７月２０日 天気 晴れ
今日から世界征服のための夏期訓練が始まった。
今期の訓練生は全部で200名。
僕は「五十六号」だから、なかなかの成績で入所できたということだ。
訓練所の入所式では、各教官の紹介があった。
一番怖そうなのはタランチュラ教官。
優しそうなのは、衛生部隊の櫻子さんだ。
36： ◆cLDKWvNKBk：10/8/29 17:40 ID:9Ta8bCYEw.
８月 ８日 天気晴れ
やばい、もう向かうとこ敵なしだo(｀▽´)o
トラの怪人が相手だったんだけど、ススキを猫じゃらしみたいにしてやったら簡単に手懐けられた
ちなみにそいつは中級に降格になったよ
37： 名無しさん：10/8/29 17:41 ID:6ONvXedXtY
トラがんばれよｗｗｗ
38： ◆cLDKWvNKBk：10/8/29 17:44 ID:se.4IpTuHA
８月 ９日 天気 雨
やべ、調子のりすぎた
雨の日は調子悪いって忘れてた。
大型ダンプみたいな奴に引き回されて、左腕と両脚の強化骨格が折れちゃった
39： ◆cLDKWvNKBk：10/8/29 17:49 ID:J8uBTtgFiA
８月 １０日 天気 晴れ
４９号が医務室に見舞いに来てくれた。
なんだか久しぶりな気がする。
いろいろバカな話をして笑わせてくれた。
もう櫻子さんとは普通に話せる仲になった。
体が治ったら、自由外出日にデートにでも誘ってみよう。
組織の南米支部が「正義の味方」の手によって壊滅したらしい。
40： 名無しさん：10/8/29 17:51 ID:kLQdZSsZjo
>>29
糞つまらないけどなｗｗ
41： ◆cLDKWvNKBk：10/8/29 17:59 ID:uv/VVvGb2Y
８月１１日 天気 晴れのち雨
医務室でテレビ見てたら、「逸子の部屋」に正義の味方の一人が出てた。
『我々は世界征服を企む組織をゆるさない。 なぜなら彼らは正義に反するからだ』
組織の首領は元々、お前たちの仲間だろ
そもそも、お前らが軍事独裁国家の傭兵なんかやるから、うちの首領は離反したんじゃないか
正義って…………なんなの？
42： ◆cLDKWvNKBk：10/8/29 18:03 ID:QWexXY4oic
８月１２日 天気 嵐
４９号が次の作戦の指揮官に抜擢された。
冷静な判断力と決断力を併せ持ち、リーダーシップを評価されたらしい。
明日、強化改造をうけるそうだ
43： ◆cLDKWvNKBk：10/8/29 18:09 ID:wnkhG6Se9k
８月１７日 天気 晴れ
ここ数日、体が治ってきたからリハビリを受けてた。
もう随分もとの動きを取り戻してきた。
４９号は強化改造をうけて、見た目がいかついドクロの怪人になってた。
黒いマントみたいなのも付いてて、ちょっとかっこよかった。
コードネームは「スカルウォリアー」だけど、鋼鉄製の左胸には「４９」の刻印が記されてた。
44： ◆cLDKWvNKBk：10/8/29 18:16 ID:IKjjjix3W.
８月１８日 天気 雨
今日、タランチュラ教官がリハビリの相手をしてくれた。
教官は引退して随分経つのに、上級怪人より動きが早くパワーもあった。
やはり幹部候補だったのかなと思ったけど、櫻子さんに聞いたら戦闘員からの成り上がりらしい。
俺も教官みたいになれるかな？
45： ◆cLDKWvNKBk：10/8/29 18:31 ID:VS8cFNour2
８月１９日
「スカルウォリアー」こと、４９号の初陣を見届けるため、５６号は訓練所を抜けだした。
街頭のテレビのニュース中継に、採石場で闘う４９号を見つけると、疾風のごとく駆けだす。
採石場にたどり着いた５６号は唖然とした。
あの４９号が、いつも陰ながら支えてくれた４９号が、ボロボロにやられている。
考えるよりも早く、５６号は正義の味方の前に立ちはだかった。
「やめろ！ 友達を殺すな！」
「なんだ貴様！ 危ないから退くんだ！」
「おまえ、５６か……？ そんなことしてねえで逃げろ……」
「イヤだ、逃げない！ 絶対に４９号は死なせない」
正義の味方は「やれやれ」といった仕草をして、静かに言った。
「かまわん。殺れ」
５６号は、背中に凄まじい熱気を感じて振り返った。
46： ◆cLDKWvNKBk：10/8/29 18:39 ID:l1GoSPKBsY
たちのぼる爆炎。
そのなかに、黒い影が２つ。
「スカルウォリアー……だっけ？ 大したことねえな」
炎のなかから現れたそいつは、もう一人の正義の味方。
「キミ、あいつに何か恩義でもあったのかな？ でも奴らと関わるのはやめた方がいいよ。 奴らは悪だからね」
「しかし、敵が１人とは限らないことくらい、考えつかないのが不思議だな。ハハハ」
正義の味方二人は高らかに笑うと、バイクで走り去っていった。
「正義って……正義ってなんなんだよぉぉおお！」
改造人間は、涙を流せなかった。
47： ◆cLDKWvNKBk：10/8/29 18:42 ID:QWexXY4oic
８月２０日 天気晴れ
俺は炎の中から、４９号の亡骸をかき集めて持ち帰った。
明日の葬儀には、本部から首領も来られるらしい。
48： ◆cLDKWvNKBk：10/8/29 18:54 ID:l1GoSPKBsY
８月２１日 天気 くもり
首領に初めて会った。
４９号の死に様を聞かれた。
首領は涙を流して、「申し訳ない、申し訳ない」と謝ってた。
何を謝ってるのか、よく分からなかった。
そのあと、櫻子さんとたくさん話して、そしたら悲しさがいくらか紛れた。
49： ◆cLDKWvNKBk：10/8/29 18:59 ID:7ggZvbikxI
８月２２日 天気 晴れ
自由外出日。櫻子さんとブラブラ出かけた。
櫻子さんは４９号が好きだったそうだ。
今まで死んだ怪人はたくさんいるが、怪人を好きになったのは初めてだったらしい。
それだけショックがデカいと。
この日、正義の味方たちは総攻撃を宣言した
50： ◆cLDKWvNKBk：10/8/29 19:03 ID:l1GoSPKBsY
８月２３日 天気 雨
今日、俺は覚悟を決めた。
櫻子さんのことを、４９号のぶんまで守り抜く。
首領に頼んで、強化改造を受けることにした。
総攻撃は８月３０日と宣言された
51： ◆cLDKWvNKBk：10/8/29 19:04 ID:VS8cFNour2
飯、風呂おち
52： 名無しさん：10/8/29 19:48 ID:kf0p5SmlKc
俺は好きだぜ
普通に
53： 名無しさん：10/8/29 23:28 ID:QFEKIkmAcA
だんだんおもしろくなってきたな
支援
54： ◆cLDKWvNKBk：10/8/30 00:54 ID:wnkhG6Se9k
５６号くんは目を覚ますと、辺りの無機質な壁を見ておどろいた。
「ここは……どこ？ 櫻子さん……」
ここは訓練所の地下シェルター。
５６号くんを強化改造して記憶のバックアップを入力する間に、正義の味方が総攻撃をしかけてきたのだ。
「………みんなは？」
「向こうの部屋よ」
５６号くんは手術台から降りて、広間へ出た。
奇襲攻撃によって不意を突かれた訓練生や教官たちは、みんな深く傷つき命を落とした者もいる。
「みんな……元気がないね……」
５６号くんは悲しい目をして呟いた。
「上級怪人さえ震え上がってる……幹部候補もいない……どうすればいい？ こんなとき、４９号なら……」
そのとき、ゴオオオンという震えが起きた。
シェルターの防壁を壊そうとする音である。
広間の怪人たちは、途端に悲鳴をあげて騒ぎだした。
55： ◆cLDKWvNKBk：10/8/30 00:56 ID:oHNyuPfZpg
「みんな落ち着いて！ パニックになっても仕方ないわ！」
私は精一杯気丈に振る舞った。
いま思い返せば、そうすることでしか理性を保てないのだから、私もある意味でパニクっていたんだろう。
「ええい、黙れぇ！ たかだかこの程度で焦るとは、鍛え方が甘かったようだなあ！」
シェルター中に轟く声で、タランチュラ教官が叫んだ。
怪人たちは常の条件反射で、直立不動の姿勢になり沈黙した。
ゴオオオンという音は鳴り止まない。
「良いか。これは訓練だ。 外は不特定多数の敵、正面から出ることは死を意味する。
では、この密閉された空間を生きて脱出するにはどうすれば良いか？」
落ち着きを取り戻した怪人たちは、相談をはじめた。
「ここは天然の岩山を利用して作ってあるから、正面の防壁は堅くても他はそうでもないはずだ」
「よし、そんなら俺がこの拳で」
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