ある日、あるところでのお話です。
綺麗に整備された真新しい道路の上を、一台のモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)が走っていました。
後輪の両脇と上に載せた荷物がほとんど揺れていない所を見ると
とても綺麗に整備されているのでしょう
その上をモトラドはゆっくり走っていました
その道路の脇には立てられた白い看板が
「2ch…まとめモバイル掲示板、だって、キノ」
「……」
モトラドが運転手に声をかけます、が
返事はありません
101： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 22:52:54 ID:klZmCv3cl2
この国で迎える初めての朝
キノは夜明けと共に目を覚ました
軽い運動から、パースエイダー二丁の抜き撃ちの訓練をこなしていた
王子「…ん…ぅ?」
ｷﾉ「…あ、起こしてしまいましたか?」
王子「あ、いや…」
ｷﾉ「すみません、やらないと落ち着かないので」
王子「いえいえ。お互い、こんな顔だと舐められかねませんからね、色々な意味で」
王子「護身の術くらいは身につけないと…」
ｷﾉ「あぁ、昨日から何か勘違いなさってるみたいですけど」
王子「?」
ｷﾉ「ボクは、女ですから」
王子「……はぁ」
王子「うわあああああぁ!!!!」
102： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 22:58:41 ID:6ATZQoPsn.
ｷﾉ「言う機会がなかなか無くって」
王子「じゃあ僕は知らない女の子を無理矢理ベッドに連れ込んだって事ですかっ!?」
ｷﾉ「あの、あんまり騒がない方が」
王子「コルネオの奴と変わらないじゃないか…最低だ…」
姫「王子ー!?起こしに来てあげ…た…?」
王子「姫!違います!誤解ですよぉ!」
ｷﾉ「あ、どうも」
姫「なにこれ」
103： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 22:59:34 ID:3WxtW4VB7g
ｷﾉってなんだ
ｷﾉの旅とかいうやつか？
104： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 22:59:58 ID:RqjwbpZyzA
やばいｗｗｗｗｗ
105： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 23:05:42 ID:uBvkOa71RM
姫「まぁ事情は把握したわ。知らなかったなら仕方無いんじゃない?」
姫「実際私もキノさんが女の子とは思わなかったし」
ｷﾉ「……」
姫「あ、気を悪くしないで
経験上ね。王子のせいで変な耐性がついちゃって」
王子「う、浮気とかじゃ…ないんで…その…」
姫「あんたもうじうじしない」
姫「そうだ、朝ご飯に呼びに来たんだけど」
ｷﾉ「あ、はい!」ｽｯ
106： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 23:06:50 ID:uBvkOa71RM
>>103
それそれ!
107： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 23:09:47 ID:W2StYRlO7.
王子「…そいえば、さっきのは」
ｷﾉ「…?あ、これですか?」
王子「拳銃なんて珍しいものを…」
ｷﾉ「何かしら物騒ですから、旅をしてると」
王子「……」
ｷﾉ「何か?」
王子「…出来たら、御手合わせ願えませんか?」
ｷﾉ「はい?」
108： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 23:12:54 ID:Q7VdjOx2wM
おおっ
支援
109： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 23:14:22 ID:RqjwbpZyzA
マジでktkrｗｗｗ
④④④④④
110： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 23:14:34 ID:klZmCv3cl2
姫「ちょっと王子?危ない事はやめてっていつも言ってるでしょ?」
ｷﾉ「何でまたそんな事を」
王子「銃器装備の暴徒から姫を守らないとならない時もあるかも、知れませんから」
姫「…っ…」
ｷﾉ「それは…」
ｴﾙﾒｽ「やめといた方がいいよ?」
姫「!」ﾋﾞｸｯ
ｷﾉ「やぁエルメス、ここに居たんだ」
ｴﾙﾒｽ「豪華な王冠のおっちゃんに移動してもらってね」
姫「お父様に?」
111： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 23:20:03 ID:bWHnpuYhps
ｴﾙﾒｽ「でだ、やめた方がいいよオージ様とやら
キノがくぐった修羅場の数は桁違いだ」
ｴﾙﾒｽ「舐めてかかると本当に怪我しかねないって」
王子「はい、だからお互い寸止めです」
姫「寸止め?」
王子「決して僕は刃をキノさんには当てない」
ｷﾉ「ボクも弾を外せと?」
王子「はい!」
ｴﾙﾒｽ「随分甘い線引きだね」
王子「自分がやられる瞬間位分かります
その時は負けを認めますよ。所詮手合わせですから」
112： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 23:25:26 ID:klZmCv3cl2
ｴﾙﾒｽ「挑発?」
王子「まさか、挑発は今からですよ」
ｼｭﾘﾝ、と王子が剣を抜く
朝の陽に曝されて、白く光る
王子「２撃。二回あなたを斬りつけた時点で僕の勝ちです。あ、勿論寸止めですが」
ｷﾉ「……」
姫「ちょ、ちょっと…」
ｴﾙﾒｽ「そりゃまた何で?」
王子「銃器は引き金を引くだけで撃てるじゃ無いですか
一度斬ったくらいなら、逆転もあり得ますから」
ｷﾉ「なるほど」
113： 111に追記：2011/10/26(水) 23:27:51 ID:6ATZQoPsn.
ｷﾉ「あの…」
王子「可能ですよね?数々の修羅場をくぐり抜けてきたのなら」
114： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 23:31:39 ID:6ATZQoPsn.
ｴﾙﾒｽ「キノ?」
ｷﾉ「いいよエルメス、受けて立つ。泊めて貰ったお礼だ」
王子「あ、ありがとうございます!」
ｷﾉ「二発」
王子「…え」
ｷﾉ「それじゃボクも弾は二発だけ、勿論外しますけど」
そう言って腿のパースエイダーを軽く叩く
ｴﾙﾒｽ「キノ、意地張っちゃってる?」
ｷﾉ「まさか」
王子「分かりました」ｽｯ
一礼、距離を取る。
115： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 23:37:10 ID:GLlX6Te9R6
姫「だ、誰か…」
ｴﾙﾒｽ「無駄だよお姫様。これは短期決戦だ」
ｴﾙﾒｽ「誰かを呼びに行く隙なんて無いくらいのねー」
そうだ。一瞬でケリをつける
二発目を撃たせてしまったら、僕の負けだ
王子「行きますよキノさんっ!」
思い切り土を蹴る
116： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 23:42:11 ID:saEChacEkQ
ｷﾉ「……」ｽｯ
キノが一瞬で『カノン』を抜く
毎朝毎朝繰り返している為、その動きには無駄が全くない
王子「……!」ﾋﾟｸｯ
そのまま腕を振り上げる途中、引き金が引かれる
タンッと乾いた音が響く
シリンダーが熱を持ち、回る
117： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 23:47:02 ID:GLlX6Te9R6
王子「くぅっ…!」
辛うじて反応し、顔の位置をずらす
弾丸は王子の顔の真横の空気を貫いていった
姫「ちょっと!」
ｴﾙﾒｽ「よく反応できたねー。まぁわざと外したには違いないけど」
それにしたってギリギリだ
本当に外すつもりなのか疑ってしまう
118： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 23:51:23 ID:uBvkOa71RM
剣を持つ腕がしなる
まだだ。
キノが外した事を確認し、腕を下ろし始める
まだだ。
キノが銃口を此方に向けた瞬間。
王子「―――ｯ!!」ﾋｭﾝｯ
今だといわんばかりに、剣を突きつける
ｷﾞｨﾝと不快な音が漏れる
切っ先は銃口に抉り込む
119： 名無しさん＠読者の声：2011/10/26(水) 23:58:21 ID:GYH9D2.JxU
ｷﾉ「…!」
王子「…あなたが少しでも指を動かせば、このまま払い上げ、斬りつけます」
ｷｼｷｼと２人の凶器が音を立てて揺れている
姫「勝っ…!」
ｴﾙﾒｽ「まだだよ」
ｷﾉ「それじゃ」
いつの間にか抜いていた、腰の後ろのパースエイダー『森の人』を、王子に突きつける
ｷﾉ「こっちはどうでしょうか」
王子「…なっ!?」
120： 名無しさん＠読者の声：2011/10/27(木) 00:03:45 ID:ltP/Ll0.T2
ｷﾉ「すみません、二丁に一発ずつしか入れてませんでしたから」
ｷﾉ「こっちはフェイクに使わせて貰いました」ｶﾁｬﾝ ｶﾁｬﾝ
『カノン』の引き金を二度引く
勿論、弾は出ない
姫「……」
王子「……ありがとう、ございました」
ｶﾗﾝと、刃が地面を叩く
ｷﾉ「お礼は結構です。代わりに、今日のお昼ご飯も……」
ｴﾙﾒｽ「ちゃっかりしてるね、キノ」
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