2chまとめサイトモバイル

2chまとめサイトモバイル 掲示板
豆しば「ねぇ知ってる?」
[8] -25 -50 

1: ◆R01dOieVuY:2012/2/8(水) 03:16:10 ID:QLchl5COho


「ねぇ知ってる?」

このフレーズでピンとくる方も多いはずだ。
CMの合間合間に微妙な豆知識を披露する、一見可愛い豆型の犬(?)
豆しばは何を思い、何故知識を披露するのか。
それは本人達にしか解り得ない境地なのだろう。


12: ◆R01dOieVuY:2012/2/17(金) 09:20:55 ID:NN03TnBYhc
会うなりAは知識の顔色の悪さをからかってみせた。
しかしそれに乗っかることも出来ない知識はただ青ざめることしかできず、Aも不安気に何かあったのかと聞くほどに。


「まぁ、ほら何かつまもう。」


Aはそう言いながらジョッキを二つ注文する。
ついでに枝豆も。


「で、どうしたんだ?」

「あのさ…。豆って喋ると思うか?」


吹き出すA。
もっともな反応ではあるが、知識にとっては真剣に話を聞け!という気分になる。
その睨みが聞いたのか、笑うのをこらえながら続きを聞く体勢に移る。
そのときに威勢のいい兄ちゃんが額に汗の粒を浮かべながら、注文の品をテーブルに置く。


「こう目口鼻があってさ、耳もついてんの。それでいきなり『ねぇ知ってる?』とか喋りだして…。」

「あ、それ豆しばじゃねぇ?」


豆しば。
知識もその名前を聞くまでは存在すら忘れていた。
CMで流れてる可愛らしいキャラクターだと記憶していたが、事態のあまりの異様さにあれが豆しばに似た生物だということに気づかなかった。


「あれは確かに可愛いよなぁ。」


しかし知識は次の瞬間凍りついた。
笑いながら語るAの手の中。
枝豆からひょっこり顔を出した豆がこちらを見ていることに気付いたからだった。
13: 名無しさん@読者の声:2012/2/20(月) 00:07:34 ID:qt.iPt1kok
わくてか!
14: 名無しさん@読者の声:2012/2/25(土) 19:02:30 ID:a64lxjZSHw
なんかしゅーるでわろたwww
紫煙!
15: ◆R01dOieVuY:2012/4/9(月) 00:39:24 ID:NBxnh7/CI.
気づかずにそのまま食べようとするA。


「おいばかやめろっ!!」


知識は思わずAの枝豆を奪い取る。
友人の突然の形相にポカンとしているAだったが、さすがに不審に思ったらしい。
どうしたのかと口を開こうとしたそのとき。


「ねぇ知ってる?A君の彼女にソープ通いをばらしたのは知識君だったんだって。」


枝豆がそう喋るとみるみるうちに怒りに赤くなるAの顔。
それとは対称的に知識の顔色は青ざめていくのであった。


「お前がそんなやつだとは思わなかった!」

「い、いや誤解だって!なんの信憑性もない豆の戯言だろ!?」

「いいやよくよく考えればお前しかいない!そういえばあの時もそうだったろ!お前最低だな!!」


激昂している相手にどんな言葉を説き伏せても無駄なことを知識は知っていた。
一時的な感情だとも言えるが、他のみんなに『そういえば』という疑念を持たせたくない。
ここで騒がせるのは得策じゃない。

慌てて諭吉をカウンターに置くと、知識はAを引っ張りながら店を出た。
16: ◆R01dOieVuY:2012/4/9(月) 00:56:02 ID:Ob7etGiKqk


「昨日は本当散々だったな…。」


知識は痛む頭を抱えて、布団から起き上がる。
変な豆は喋るし、そのせいでAと揉め事起こすし…。
ため息をつきながら目覚ましを見ると、セットした時間よりも早く起きてしまっている。
二度寝するには目が冴えすぎていたため、そのまま朝の準備をすることにした。

テレビをつけてご飯をよそう。
面倒なので今日は納豆だけだ。
あくびをしながら、それをかき混ぜようとすると…。

一粒の豆に目口鼻耳。
またもや知識は凍りついた。
そして案の定それも、語り出すのだ。


「ねぇ知ってる?」


知識は納豆が全て言い終わるより先にゴミ袋に投げ入れ、殺虫剤を吹きかけて、厳重に固結びをした。


「なんなんだよもう!!」


イラつきながら卵を取り出し、醤油と一緒にご飯にかき混ぜる。
しかしか細い声がかすかに聞こえた。


『…醤油は大豆から出来てるんだって…。』


知識は自分の手元の卵かけご飯を見る。


『僕らを…水責めにして…押し潰して…釜茹でにして…腐らせて…』

『ねぇ…知ってる?…醤油にも…納豆にも…僕らはなりたくなかったんだよ』


「うわああああああああああ!!!」


あまりにも不気味な声が部屋中にリフレインし、恐怖が知識を包んだ。
そんな彼が着の身着のままで外に駆け出すのも仕方のないことだった。
17: ◆R01dOieVuY:2012/4/9(月) 01:01:35 ID:v9.NOO2OA.
支援もらっといて申し訳ないです
更新ペース大分ゆったりなので気が向いたときにでも覗いて頂ければ。

話自体もそんなに長くないですし
18: 名無しさん@読者の声:2012/5/18(金) 20:11:20 ID:1rjKaK7ckI
豆しばが怖くなった
19: 名無しさん@読者の声:2012/7/3(火) 16:58:44 ID:W6Vsld8Cqc
更新マダー?
20: ◆R01dOieVuY:2012/7/20(金) 02:21:28 ID:JXS0NB5UFg


知識の話をBは笑いながら聞いていた。
それもそうだろう
いくら知識が己の恐怖を弁舌しても、戯言にしか聞こえない。
そんなこともわからないのか、知識はただただ憤慨するばかりだった。

そこでBの飲みかけの豆乳パックから、声が聞こえた気がした。


「ねぇ、知ってる?」


そのフレーズに知識は凍りつく。
Bもそれは同様で、豆乳パックを注視している。
凍りつく二人の様子を気にも止めず、そのパックの中にいるであろう『それ』の口が動くのをありありと想像できた。


「B君の顧客情報を漏洩したのは知識君なんだよ。」


またもや凍りつく、今度は、空気が。
信じられないといった表情でBは知識を見た。
必死に知識は違うとかぶりを振るが、Bにも思い当たる節があるらしく、疑惑の目で見つめ続けるだけだった。
それにしびれを切らしたのか、豆乳は尚も雄弁に語る。
まるで、知識の犯行を実際に見たかのように詳しく。

そしてそれは虚言ではなく、事実のことであった。

Bは怒りにワナワナと震えていたが、突然知識に掴みかかった。


「お前…!よくもそんなことを!!!」

「違っ!!違う!!俺はやってない!!!」

「だけどこれならつじつまが合う…!!よくも…よくも俺の人生を台無しにしてくれたな!!!」


烈火の如く怒っているBをよそに、どこか遠くで子供の甲高い笑い声を聞いた。
それが豆しばのものだとわかるのに、しばし時間が必要だった。

知識が次に目を覚ましたのは自宅であった。


21: ◆R01dOieVuY:2012/7/20(金) 02:40:34 ID:Ggts5cP8t2


「やっと起きた?」


女性の声がする。
ああ、彼女が自分を家まで連れてきてくれたのかとほっとため息をついた。
安心すればなんだか体を起こすのも気だるいもので
しばらくぼんやりと天井を眺めていた。

そういえばBとはどうなったのだろう。
考えようとすると、頭の奥に虫歯のような痛みが走る。
結局殴りあいのケンカになってしまったのだろう。
倒れている俺を彼女が介抱してくれたんだ。

実際はどうかはわからないが、そういうことにしておいた。

遠くで水の流れる音が聞こえる。
きっと彼女が料理でも作っているのだろう。
乱れることなく、一定のリズムで水が…。

知識はここで違和感に気づく。
炊事をしていれば普通水の音には乱れが出るのに…。
ひとつ気になれば他にも気になり始める。
そういえば、水の流れる音以外…金属音…料理を作る独特の熱気等も感じられない。

不安に駆られた知識は起きあがり、台所を確認した。

そこには誰もいなかった。
まるで人だけを消したかのように、流しには銀糸が流れている。

そして知識は大変なことを思い出し、口をパクパクとさせた。
知識には現在、彼女はいない。


ではあの声は誰のものだ!?
パニックになりながらも、とりあえず水を止めようと流しに近づく。
そこでまた知識は悲しいかな硬直する。

水を流しっぱなしかと思われたシンクには銀色のボウルが置いてあり。
その中には無数の豆達がいっせいにこちらを向いて見つめているのだ。

悪意のある無表情さで豆たちは言った。


「「「ねぇ知ってる?」」」


それは先ほどの女性の声に相違なかった。

知識が絶叫し、部屋を出たのはそう間もないことであった。
22: 名無しさん@読者の声:2012/7/20(金) 12:02:56 ID:oNmRRovy2M
更新きた!!
23: 名無しさん@読者の声:2012/7/27(金) 23:00:16 ID:AWAgK8JDiY
豆しばこわすぎワロタ
24: ◆R01dOieVuY:2012/7/28(土) 05:30:02 ID:VogoRq5GDw

「ねぇ知ってる?」

「Cさんの陰口をDさんに伝えたのは知識君なんだって。」

「ねぇ知ってる?」

「E君が行方不明なのは知識君が高利貸しに売り渡したからなんだって。」

「ねぇ知ってる?」

「F君が自殺したのは知識君が情報を奪ったからなんだって。」


「やめてくれよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」


どこへ行くわけでもなく知識はただ走り抜けた。
人が、自分を汚い物を見るような目で見てくる。
立ち止まれば、町中の人間が掴みかかってくる錯覚と焦燥。
汗は暑いから流れるだけではない。
息はただ呼吸するために存在するわけではない。
足は前進することに囚われるわけではない。
破けそうな肺と、固まりそうな自分の足。
恐怖か懺悔か目からは涙を落としながら、全身が走る脈動を体感している。
周りの怪訝そうな目も、今の知識には殺意のある視線でしかなかった。

薄暗く、人もあまりいない公園。
ようやく知識は一人になれたことを確認すると、乳酸でパンパンになった足をベンチに投げ出した。
荒々しく呼吸をするが、ふと大きく息を吸った後にため息のような呼気を吐きちらかした。
ずいぶんと落ち着いたようで、空を眺めながらこれからどうするかを考える。

もう自分には居場所がないのかもしれない。
いくら言葉を取り繕うとも、皆、豆の言うことを信じてしまう。
思えば知識には友人と呼べる相手がいなかった。
困ったときに親身になって、知識を信じてくれる相手が…。

それは結局知識自身がやってきたことの積み重ねであり、今傍らにそういう人間がいないのも自業自得。
人を貶め嘲笑い、奈落へ突き落とし、利益を得て。
助けを求めるように上空に手を伸ばした。
今は亡き母親に思いを馳せて、パタリと手は糸を切るように落ちた。
25: 名無しさん@読者の声:2012/7/30(月) 03:41:29 ID:hDE98dHwz2
こええよ
っC
26: 名無しさん@読者の声:2012/7/30(月) 03:48:07 ID:LW72vK0jCQ
まめしばのキーホルダー捨ててきた
27: ◆R01dOieVuY:2012/7/31(火) 01:27:16 ID:C9NIO2qu4I

「母さん…。」


自分は間違っていたのだろうかと自分の胸に問いかける。
あのときの母親の嬉しそうな顔。
あのときの父親の悔しそうな顔。
今でも昨日のことのように思い出せる。
自分は間違っていないはずなんだ。
何故、何故隠し事をするんだ。
それを露呈されたらもっと始末の悪いことになるのに。
何故、本当のことを言わないんだ。

ゆっくりと起き上がると、何も変わらない平穏な公園。
まだ明るいが、子供の声はしないため静まりかえっている。
向こうの古くさい木製のベンチに腰かけた老人は、ビニール袋から豆袋を取り出し、鳩に向かって優しくほおり投げる。

その瞬間だろうか。
公園には自分と老人しかいないのに、子供の声が聞こえたのは…。
恐ろしくなった知識は辺りを見回すが、もちろんいない。
ドクンドクンと心音が耳元で響き、嫌な汗はにじみ出る。

恐々と前を向いた時に知識は小さく「ひっ」と叫んでしまう。

ベンチに座っていたはずの老人が、無表情のまま目の前に立っていたのだった。
その片手には豆袋を持って。
知識はその老人よりも、豆袋のほうに目をやった。
案の定、豆達がこちらを見ている。
老人は青臭い息を吐きながらニイッと笑うと、豆を両手に掴んで知識の耳に擦り付け始めた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

ざわ ざわ
  ざわ『ねぇ知ってる?』ざわ
ざわ『A君とB君を殺したのは』ざわ ざわ
 ざわざわ『知識君なんだよ。』ざわざわ


「ちがあああああああうああああああ!!!!!!!!!!!!!」


たくさんの豆達がいっせいにそう語る。
不協和音を奏で、ボイスチェンジャーを使ったような…腹をえぐる重低音。
ニタニタと笑う老人を押しのけて、知識はまた走り出した。
28: 名無しさん@読者の声:2012/7/31(火) 03:03:50 ID:U1SoexudYo
まめしば恐怖症とかになりそう
29: 名無しさん@読者の声:2012/7/31(火) 03:08:29 ID:LW72vK0jCQ
まめしばの恐ろしさに気づくのが遅すぎたC
30: ◆R01dOieVuY:2012/8/6(月) 04:49:43 ID:hP/teSu7xw
「ダレガAクンコロシタノ?」

「ソレハワタシ、トモシキデス」

「ダレガBクンコロシタノ?」

「ソレモワタシ、トモシキデス」

「ダレガシヌノヲミテイタノ?」

「ソレハネ、ミンナ。ミンナガシッテルノ」

「ダレガシタイノバショヲシッテルノ?」

「シタイは」

「何処ニ」

「あるノかな?」


奴等はからかうように笑う。
子供の声をした豆はケタケタと歌っている。
童謡を歌うように軽快に、愉快に。


「やめてくれって…っ!」


泣き言を言う口をつぐんだ。
これ以上泣いて、逃げても同じことの繰り返し。
どこまで行っても奴等は着いてくる。
それならば、奴等を捕まえて…殺してやる!!
その思考に至ったとき、知識は自分の家の前にいた。
今までさんざ酷使した体と、酷い喉の渇きが一気に襲ってきて、とりあえず家に入ることにした。

扉を開けると、間違いなく自分の家の香りがした。
木の香りとムカつくようなヤニの臭い。
入ってすぐ確認できる流し場には水は流れていなかった。
自分は確か水を止めずに慌てて出ていったはずだが…と考えたが、あまりそれに囚われないように心がけた。
恐怖心に駆られたらそれこそ相手の思うツボだ。
包丁を手にとると、知識はそれを片手に身構える。

あのフレーズ。
あのフレーズが聞こえてきたら、声の方向へ向かってこの包丁を突き立てる!

今の知識の顔は、鬼と見まごうほどであった。


「ねぇ知ってる?」
31: 名無しさん@読者の声:2012/8/8(水) 10:49:29 ID:ycV30JdJBU
こわい
たまごかけご飯食べるの怖くなったじゃねーかどうしてくれる
27.42 KBytes

名前:
sage:


[1] 1- [2] [3]最10

[4]最25 [5]最50 [6]最75

[*]前20 [0]戻る [#]次20

うpろだ
スレ機能】【顔文字