高校生の馬鹿馬鹿しくて、
ちょっぴりセンチメンタルな
青春グラフィティ───続行。
【前スレ目次】
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【登場人物】
>>2-3
【当スレ目次】
>>768-769
340: ◆UTA.....5w:2012/10/26(金) 18:38:03 ID:hcR50Jf2HA
篠原「──これで俺の話はおしまい」
鳴海「……」
桃山「……」
鈴木「……」
清瀬「……」
橘(思っていたより重い、重すぎる……!)
ズゥ────ン…
篠原「聞いてくれてありがと。なんか、すっきりした」
篠原「……じゃあ、俺帰るね」
清瀬「え、あっ……待って下さい!」バッ
篠原「清瀬さん、退いて。ドアの前に立たれたら帰れないよ」
清瀬「い、嫌……です」フルフル
341: ◆UTA.....5w:2012/10/26(金) 18:41:19 ID:xQN70T9RIM
篠原「清瀬さん、」
桃山「言い逃げなんて男らしくないわよ、篠くん」スッ
篠原「桃ちゃんまで……」
鈴木「……」スッ
鳴海「んじゃ、俺も。はい、通せんぼー」スッ
篠原「……」
篠原「ねぇ、皆して何してんの。青春ドラマの見過ぎだよ?」
橘「ふむ。今まで散々青春ドラマ宜しくな行動をとっていた奴には言われたくないな」
橘「有難く思えよ。俺も通せんぼとやらに参加してやる」スッ
篠原「……」
342: ◆UTA.....5w:2012/10/26(金) 18:42:59 ID:xQN70T9RIM
篠原「だ、からっ……俺の話聞いてた?」
篠原「全部作り物だったんだ。俺は嘘吐きなんだよ?」
桃山「そうね、篠くんは嘘吐きよね」
篠原「……」
桃山「だってアンタ、作り物なんかじゃないじゃないの」
桃山「皆がアタシの家に泊まったあの日、アンタが言った言葉」
『しんどくないの?自分を演じる、って』
桃山「終業式の日のアンタの言葉」
『桃ちゃんも、橘も、鳴海も』
『俺、みーんな好きだよ!』
桃山「アタシは作り物だなんて思ってないわよ、アキくん……?」
篠原「……っ」
343: ◆UTA.....5w:2012/10/26(金) 18:46:52 ID:xQN70T9RIM
鳴海「あー、そういえばさー」
鳴海「俺の馬鹿従妹が来た時、必死こいて追い掛けてったりしてたよな」
鳴海「お前の兄貴ならこうしたとか、そんな事考えて動いてねぇじゃん?アキちゃん」
清瀬「ひ、一人ぼっちやったうちを見付けてくれたんはっ……」
清瀬「見付けて、声を掛けてくれたんは他の誰でもない、篠原くんでした!」
鈴木「……もしも君が嘘吐きなのだとしたら、あんなに辛そうな顔はしない」
鈴木「作り物じゃないから辛くて苦しくて、吐き出したかったんでしょう?」
篠原「皆、なんで──」
篠原「なんで俺の事、軽蔑しないの」
篠原「俺、は……ハルを……」
344: ◆UTA.....5w:2012/10/26(金) 18:55:02 ID:xQN70T9RIM
橘「友達だから、だろ」
橘「誰もお前の過去を知ったからといって嫌ったりはしない。軽蔑もしていない」
篠原「でも、俺が……」
橘「いつまでも一人で抱え込むな。人の好意には素直に甘えておけばいいんだよ」
橘「何度も言わせるなよ。出来る事があるのなら言えと言ったのは、お前の方なんだからな」フイッ
鳴海「あっれー?メガネくん照れちゃってますー?」ニヤニヤ
清瀬「あ、ホンマや……なんか橘くん、顔赤なってはる……」
橘「あーあー聞こえん!チビーズが喧しくて何も聞こえん!」
鈴木「橘くん、顔が真っ赤だよ」
橘「黙れ!萌え萌えビームもまともに出来ん分際で……!」
345: ◆UTA.....5w:2012/10/26(金) 18:56:01 ID:xQN70T9RIM
篠原「なんで皆、俺を責めないの」
篠原「なんで皆、俺に何も言わないの」
篠原「なんで、なんでっ……」ポロ
篠原「いつだって俺は、大切な人の一番にはなれない」
篠原「居なくなるべきだったのはハルじゃなかったんだ……!」ポロポロ
鳴海「……こういうの、ベタ過ぎて言いたくねぇんだけどさ、」
鳴海「自分が死ねばよかったみたいに言ってんじゃねぇよ」
鳴海「此処に居る全員、お前の事好きだっつってんの分かんねぇのかよ!」
篠原「!」
346: ◆UTA.....5w:2012/10/26(金) 18:57:44 ID:xQN70T9RIM
桃山「やだ、なるみんがデレたわよ……!」
鳴海「う、うるせーよ!馬鹿には言わなきゃ分かんねぇんだろうよ!」
鈴木「そうね。前にも言ったけれど、私も友達だと思ってるから」
桃山「あら、アタシは散々ラブビーム発射してたから改まって言う必要ないと思うんだけどねぇ……」
桃山「大好きよ、篠くん。アンタも同じように思ってくれていたら、アタシは嬉しいんだけれど」ニコ
篠原「お、れ……俺、皆にバレるのが怖かったんだ」
篠原「自分が嘘吐きな卑怯者だってバレるのがずっと怖かった」
篠原「俺、ハルじゃないよ。ハルみたいに上手く笑えない」
篠原「皆に、嫌われたくないよ……」ポロポロ
347: ◆UTA.....5w:2012/10/26(金) 19:01:11 ID:hcR50Jf2HA
橘「残念ながら俺達はエスパーでも何でもないから、お前がどれ程葛藤していたのかなんて分からん」
橘「お前達兄弟の事も、幼馴染みの事も、口を出していい立場じゃないだろう」
橘「だが、敢えてこれだけは言わせてもらう」
橘「お前が全て悪い訳ではない。もう十分、苦しんだだろう」
橘「これ以上自分を殺す必要はないんだ、アキ」
篠原「……っ」
篠原「う、うぅ……ふっ、うああああぁ……っ」ボロボロ
篠原「あああああぁ!」
348: ◆UTA.....5w:2012/10/26(金) 19:02:37 ID:hcR50Jf2HA
──翌日、校門前
桃山「なーるみん!おはよ!」
鳴海「んー。はよー……」
橘「なんだお前、朝から締まりのない顔しやがって」
鳴海「メガネも居たのかよ。あー、眠ぃー!」
橘「どうせ昨日の愛の告白でも思い出して、枕に顔を埋めてバタバタして眠れなかったんだろう」
桃山「ふふ、なるみんは篠くんの事大好きなんだものねー」
鳴海「違うわ!大好きっつったのはテメェだろオカマ!」
桃山「もう、照れちゃって……あら?」
349: ◆UTA.....5w:2012/10/26(金) 19:10:50 ID:xQN70T9RIM
鈴木「おはよう。珍しいね、三人揃ってるなんて」
清瀬「お、おはよう……!」
桃山「おはよ。鈴木ちゃん、ピヨちゃん」
橘「ふむ。朝からこんなに揃うのは確かに珍しいな」
鳴海「篠原が居れば全員集合じゃね?」
桃山「……篠くん、来てくれるかしら」
鈴木「もう来てるよ、篠原くん。ほら、皆の後ろ」
清瀬「へっ?……あ!」
篠原「あはは、あー……えっと、おはようございます」ペコリ
350: ◆UTA.....5w:2012/10/26(金) 19:15:16 ID:xQN70T9RIM
橘「おはよう、篠原」
鳴海「何だよ篠原、後ろに居たなら声掛けろよなー」
桃山「今日も爽やかイケメンボーイね、篠くん!」キャッ
鈴木「篠原くん、また寝癖ついてるよ」
清瀬「ふふ、ホンマや。また右側跳ねてやる」クスクス
篠原「皆……」
篠原「あ、あのっ、昨日はごめんなさい!」
篠原「それから、ありがとう」
篠原「桃ちゃん、橘、鳴海、鈴木さんと清瀬も……」
篠原「やっぱり俺、みーんな大好き!」
351: ◆UTA.....5w:2012/10/26(金) 19:21:14 ID:hcR50Jf2HA
鳴海「ひひっ、朝から暑苦しいんだよバーカ」
清瀬「う、うちらも入ってる……!」ジーン
桃山「篠くん……!やっぱり篠くんはアタシの理想の王子さ──…」
キーン コーン カーン コーン…
鈴木「あ、チャイム」
橘「……待て。此処は何処かよく考えろ」
篠原「何処って、校門の前?」
橘「という事は、だ」
篠原「えーと……もしかして遅刻、かな?」ヘラッ
橘「走れクズ共おおおお!!」
352: ◆UTA.....5w:2012/10/26(金) 19:23:22 ID:hcR50Jf2HA
バタバタバタ!
橘「篠原!遅刻しかけてたのなら何故それを言わない!」
篠原「えー?俺って遅刻しかけてたの?」
橘「この阿呆!実際チャイムが鳴っているだろうが!」
鈴木「お先に失礼」ビュン
清瀬「鈴木さん速っ……速いから!」
鳴海「遅いってオカマ!置いてくぞ!」
桃山「これでも全力なのよ!」
橘「校舎の中に入ってしまえばこっちのものだ!ラストスパートだぞ!」
\ ウオォオォォォォ! /
生徒指導「遅刻です」ニコニコ
一同「……」デスヨネー
こうしてまた、いつも通りの日常が始まるのでした。
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