高校生の馬鹿馬鹿しくて、
ちょっぴりセンチメンタルな
青春グラフィティ───続行。
【前スレ目次】
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【登場人物】
>>2-3
【当スレ目次】
>>768-769
611: ◆UTA.....5w:2013/1/15(火) 21:54:26 ID:0z7MCrLKMA
──バレンタイン前日、清瀬宅
鈴木「お邪魔します」
清瀬「そ、そんな畏まらんで大丈夫!お父さんは仕事で遅くなる言うてたし、お母さんはパートの人らとご飯行く言うてたから」
鈴木「そう。初めてお会いするからご挨拶を、と思っていたんだけれど」
清瀬「えへへ、家に呼ぶん初めてやもんね」テレ
鈴木「機会があれば私の家にも呼ばれてね」
清瀬「うんっ……!」
清瀬「よーし!チョコレート作ろ!」
鈴木(……可愛らしい)
清瀬「」ルンルン
612: ◆UTA.....5w:2013/1/15(火) 21:55:26 ID:.nSeJwBfx.
\ 簡単生チョコ講座 /
清瀬「板チョコを細かく刻んで、」
鈴木「板チョコ二枚」ストトトン
清瀬「湯煎で溶かします」
鈴木「はい」マゼマゼ
清瀬「生クリームを沸騰しない程度に温めて、」
鈴木「生クリーム50グラム」
清瀬「チョコレートと混ぜます」
鈴木「ちゃんと溶かす」マゼマゼ
清瀬「無塩バターと水飴を混ぜます」
鈴木「5グラムずつくらい」マゼマゼ
清瀬「洋酒を混ぜると美味しいけど、うちらは未成年やから止めておきます」
鈴木「真面目だね」
清瀬「あとは型に流して冷蔵庫で固めて、ココアパウダーを塗せば出来上がりです!」
鈴木「という事で作業工程終了」
613: ◆UTA.....5w:2013/1/15(火) 21:57:11 ID:.nSeJwBfx.
──リビング
鈴木「チョコレート、一年女子さん達にもあげようね」
清瀬「うん、皆喜んでくれるとええなあ」ニコニコ
清瀬「ところで、固まるまでする事ないから暇やね……」
鈴木「そう?私は初めての清瀬の家だし、退屈しないよ」
清瀬「でも、何にもおもろい物あらへんよ?」
鈴木「そんな事ないよ。家族写真に混ざって韓流スターのスナップが飾られているのとか、さっきから気になって仕方ないもの」
清瀬「うちのお母さん、冬○ナ見てから韓流にハマってしまいまして……」
鈴木「この写真に写っているのがお母さん?優しそうな顔してる」
清瀬「えへへ、怒ったら家族で一番怖いんやけどね」
614: ◆UTA.....5w:2013/1/15(火) 22:02:32 ID:0z7MCrLKMA
鈴木「隣に居るのはお父さんと……お兄さん?」
清瀬「あ、うん。うちとお母さんはお父さんの転勤に付いて来たけど、お兄ちゃんは仕事してやるから関西に残って……」
ガチャガチャ──バタン!
清兄「たっだいまー!」
鈴木「」ビクッ
清兄「……あれ?どちら様……家間違えた?」
清瀬「お、お兄ちゃん!?」
清兄「なんや、間違えてへんやんかー。ちょっと焦ってしもたやん」ヘラヘラ
清兄「正月忙しくてこっち来れんかったから有給使って来ちゃった……ちゅうか、この子どちら様?」
鈴木「どうも初めまして、鈴木です」
清兄「どうもどうも、お兄ちゃんです」ニッコリ
清瀬(な、なんか恥ずかしい……)
615: ◆UTA.....5w:2013/1/15(火) 22:03:43 ID:.nSeJwBfx.
──────‐‥
清兄「へえ、そうなんや。学校のお友達。妹がいつもお世話なってます」
鈴木「いえ、此方こそ」
清兄「そっかー、お友達かー。ちゃんと学校生活楽しんどるんやね、よかったよかった」
清瀬「ほんで、どないしたんよいきなり。こっち来るんやったら連絡くらい……」
清兄「休み取れたからすぐに車飛ばして来てん。皆の事びっくりさせたろ思たんやけど、オトンもオカンも居らんのやね」
清瀬「二人共、今日は帰るん遅い言うてたよ」
清兄「えー、折角来たのに残念。お土産も買ってきたのにー」
清瀬「お土産?」
清兄「55○の豚まん!お兄ちゃんは関西人やから言うてたこ焼きやなんて、ベタな事はせんよ!」
清瀬「十分ベタやと思うんやけど……」
清兄「えーと、鈴木さんやっけ。鈴木さんも一緒に食べよ!めっちゃ美味しいんやで、この豚まん!」
清瀬「あのー……どの豚まん?」
清兄「どのって、この……あれぇ?豚まん車ん中に忘れて来てしもたー」
清瀬「もうっ、阿呆!」
鈴木(清瀬の可愛らしいところは、お兄さん譲りなのか……)
※5○1の豚まんは新大阪駅でも買えますので、是非!
616: ◆UTA.....5w:2013/1/15(火) 22:04:10 ID:0z7MCrLKMA
清瀬「ご、ごめんな鈴木さん、放ったらかしてしもて」
鈴木「気にしないで。久しぶりにお兄さんと会えたんだもの」
清兄「なんや大人しい子やね。普段からこんな静かなん?」
清瀬「えへへ、鈴木さんはこっち来て初めての友達なんよ。独りぼっちやったうちに声掛けてくれてん」
清兄「そうなんや、よかったやんか。綺麗な顔してはるし、お人形さんみたいやねー」ニコニコ
清瀬「うん!」ニコニコ
鈴木「……」ホクホク
清瀬「あの、折角やから豚まん食べよっか。うち取って来るよ」
清兄「え、でも……」
清瀬「すぐ戻るから待っとってねー!」
パタパタパタ……バタン!
617: ◆UTA.....5w:2013/1/15(火) 22:04:46 ID:.nSeJwBfx.
清兄「あらら……行ってしもた」
鈴木「行ってしまいましたね」
清兄「何処に車停めたか知らんやろうに……言うとる間にメール来ましたわ。車何処やて、ホンマ阿呆やなあ」
清兄「角のパーキングに停めてありますよっと。送信!」ポチポチ
清兄「あ、角のパーキングな、あそこ30分で250円やってん。ちょっと高ない?都会のど真ん中かっちゅうねんな」
鈴木「はあ……車に乗らないので相場は分かりませんが」
清兄「車は便利やけどお金掛かるよー。あんまり遠出せんのやったら軽で十分やと思うわ。最近の軽は中も広いし燃費もええし、何より維持費が安いからね!」
清兄「ほな、お前は軽かと訊かれると実はちゃうかったりすんねんけどね。阿呆やと思われるやろけど、男は見た目に拘る事があるからね。要するに格好付けなんやけど、軽ナンバーぶら下げて走りたないっちゅうプライドがやね……」
清兄「……あ、なんか一人で喋ってしもてごめんなさい」
鈴木「いえ、見ていて楽しいので問題ないです。そういう自分の趣味を語らせると熱くなってしまう子、友達に居ますから」
鈴木(……胸と車じゃあ全然違うけれど)
618: ◆UTA.....5w:2013/1/15(火) 22:05:37 ID:.nSeJwBfx.
清兄「あはは、そうなんや。ごめんやで、ちょっと緊張してしもて」
鈴木「緊張?私はただの高校生ですよ」
清兄「いやー、女子高生と話す機会なんか社会に出たらなかなかあらへんからね。なんかいけない事しとるみたいで」
清兄「……ちゅうのは冗談で、妹のお友達とこうやって話すのは初めてなもんで」
鈴木「そうだったんですか」
清兄「うん。妹、あんなんやろ。チビの時からずっと引っ込み思案で、いつも僕の後ろ引っ付いとったんよ」
清兄「僕と妹、8つも離れとるから当然友達と遊んでる時は妹は輪に入れんのやけど、それでも引っ付いとった。学校の友達なんか家に連れて来た事あらへんかったしね」
清兄「あの引っ付き虫のブラコンが成長したんやなぁって……」シミジミ
鈴木「お兄さんはシスコンではないのですか」
清兄「僕は家族丸ごと大好きやから、強いて言うならファミコンです!」キリッ
鈴木「おお、それは素晴らしい」
619: ◆UTA.....5w:2013/1/15(火) 22:06:07 ID:.nSeJwBfx.
清兄「あはは、鈴木さんてなんや、おもろい子やね」
鈴木「おもろい、ですか」
清兄「うん、おもろい!変わってる言われへん?」
鈴木「……よく、言われます。だから私も清瀬に出会うまでは一人で居る事が多かったですよ」
清兄「勿体ないなぁ、鈴木さんめっちゃおもろい子やのにー」
清兄「それに、あんなグズグズした妹に声掛けててくれたんやもん。ええ子やわ」
鈴木「いえ、それ程でも」
鈴木(可愛らしかったからつい、構いたくなっただけだもの)
清兄「ありがとう、鈴木さん」ポンポン
鈴木「……」
清兄「……あ、ごめん。つい頭撫でてしもた」テヘヘ
620: ◆UTA.....5w:2013/1/15(火) 22:06:38 ID:.nSeJwBfx.
鈴木「清瀬が篠原くんを好きになったの、何だか分かる気がする」
清兄「へ?しの……何?」
鈴木「大きな手とか、優しい笑顔とか、お兄さんによく似てる」
清兄「ちょっと待った。誰それ、彼氏?」
鈴木「……」ギクリ
鈴木(どうしよう、口が滑った……)
鈴木「どうか今のは忘れて頂きたい」
清兄「えー、そんなあからさまにしまった!みたいな顔されたら気になるんやけど」
鈴木「気の所為ですよ」シレッ
清兄「嘘やね、鈴木さんポーカーフェイスやけど動揺隠しきれてへんよ?お兄ちゃんはお見通しやでー」
鈴木「……侮れないところも似てるわけか」
清兄「?」ニコニコ
621: ◆UTA.....5w:2013/1/15(火) 22:07:05 ID:0z7MCrLKMA
ガチャガチャ──バタン
清瀬「ただいまー。遅なってしもてごめ……」
清兄「」ジィー
清瀬「な、何なん人の事じろじろ見て……」
清兄「べっつにー?」
清瀬「ほら、豚まん温めて食べよ!そろそろチョコも固まる頃やろうし」
清兄「チョコ?」
清瀬「あ、うん。鈴木さんと一緒に作っててん。明日バレンタインや、し……」
清兄「うわー!やっぱり彼氏居るんやー!ちょっと会わん内にめっちゃ高校生活エンジョイしとるー!」
清瀬「いや、違っ……!あの、彼氏とかちゃうから!チョコはお父さんとお兄ちゃんにもあげるし!」ワタワタ
清兄「何やのそのついで感!メインは他に居ます言うてるようなもんやないか!」ウワァァン
鈴木「やっぱりお兄さんはシスコンなのでは」
清兄「ファミコンです!」キリッ
622: ◆UTA.....5w:2013/1/15(火) 22:07:54 ID:.nSeJwBfx.
鈴木「お兄さん、清瀬は私のチョコレート作りを手伝ってくれているだけですよ」
清兄「え?そうなん?」
清瀬「へ?えっと、手伝ってるっちゅうか……」
鈴木「手伝ってくれているんです。あとは友達にあげる分を一緒に作ろうという話になって」
清兄「鈴木さん、彼氏にあげるん?」
鈴木「いえ、恋仲にはなっていません。私が一方的に思いを寄せているだけです」
清兄「青春やねぇ。鈴木さんがどんな子好きになったんか、ちょっと興味湧くなぁ」ニコニコ
鈴木「どんな……小さな男の子です」
清兄「いくら女子高生とはいえ、ショタはアカンで鈴木さん……」
鈴木「……」
623: ◆UTA.....5w:2013/1/15(火) 22:08:43 ID:.nSeJwBfx.
清瀬(た、助かった……)
清瀬「豚まん、温めてくるね!」パタパタ
清兄「そない逃げるように行かんでも」
鈴木(誤魔化しきれた、かな……)フゥ
清兄「何となく僕に似てるっちゅう事はヘラヘラした子なんやろなあ。ええ男やなかったら、お兄ちゃんぶっ飛ばしちゃうかも」ヘラヘラ
鈴木「良い子ですよ、とても」
清兄「ん?それは鈴木さんの思い人の事?それとも、妹の?」
清兄「なんて、ちょっと意地悪やったね。青春は大いに謳歌するとええよ」ポンポン
鈴木「……やっぱり侮れない、か」
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