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姫「殴っていいですか」
[8] -25 -50 

1: ◆xXC7.dNnEA:2011/10/28(金) 22:21:53 ID:SCGnwLC0bk
姫「いいですよねお父様」

王「姫ちゃん怖いよ」

姫「殴りたくもなりますよ。



  ――何ですかこの財政は!」


2: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/28(金) 22:22:26 ID:SCGnwLC0bk
姫「小麦の不作で大赤字」

姫「改めて見てみれば、前から赤字続きじゃないですか」

王「でっでも、財政は宰相くんの担当だもん」ビクッ

姫「必死に遣り繰りする宰相さんに我儘放題だったのはどこの王様でしょう」

王「父さんは知らないよ!」

姫「よし殴る」グッ
3: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/28(金) 22:23:13 ID:SCGnwLC0bk
姫「今年はともかく、例年の赤字はほとんど宮廷費のせいですね」

王「だって気付いたらこうなってたもん、ねえ母さん」

王妃「なっちゃったものは仕方ないわねえ」

王「ほら!」ドヤッ

姫「どや顔やめてください」
4: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/28(金) 22:23:37 ID:SCGnwLC0bk
姫「国民の財産をこんなに使い込んでいたなんて」

姫「一国の姫として情けないです!」

王「まあ落ち着いて」

姫「お父様」

王「ごめんなさい」
5: 名無しさん@読者の声:2011/10/28(金) 22:23:48 ID:MCqPV4LSQM
次のランキングに波乱を呼ぶ予感!!
6: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/28(金) 22:24:04 ID:SCGnwLC0bk
王妃「ねえ姫ちゃん、うちのお隣さんのことは知ってるでしょう」

姫「隣国とは、あの大帝国ですか」

王妃「そう。うちみたいな小国は、すぐに侵略されてしまうから」

姫「大帝国の傘下に入ることで、戦争を免れているんですよね」

王「隣の皇帝さん、威厳たっぷりだよね」

姫「お父様は黙ってて」
7: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/28(金) 22:24:32 ID:SCGnwLC0bk
王妃「守ってもらう代わりにね、毎年お金を払っているのよ」

姫「まさかそのお金も」

王「うん……払えない☆」キャピッ
8: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/28(金) 22:25:50 ID:Ur8zpOk9GY
>>5
ちょwww気が早いwww
ちまちま頑張って行く予定です(`・ω・´)
ありがとうございます!
9: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/28(金) 22:26:55 ID:SCGnwLC0bk
姫「どどどどうするんですか!侵略されますよ侵略!」ガターンッ

王「侵略はやだなあ」

姫「戦争だって嫌ですよ!」

王「だからごめんってば」

姫「ごめんで済んだらけーさつは要りません!」
10: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/28(金) 22:27:43 ID:SCGnwLC0bk
王「だから、さ」

姫「はい?」

王「姫ちゃん財政立て直してよ」

姫「えっ」
11: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/28(金) 22:28:15 ID:SCGnwLC0bk
姫「ええええだってその、お父様に代わって財政を握るなんて大それたこと」

王「父さんも宰相くんに任せっきりなんだけどねえ」

姫「待ってください、何でそうなるんですか」

王「あ、財政っていっても城の中のことだけだから」

姫「どっちにしろ恐れ多くてできませんよ!」
12: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/28(金) 22:29:08 ID:SCGnwLC0bk
姫「お母様、お母様からも何とか」

王妃「ふふふ、きっと良い経験になるわよう」

姫「宰相さんも何か言って!」

宰相「城内のことは僕も申し上げにくいもので……」

王「決まりだね!」

姫「ええー……」
13: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/28(金) 22:30:57 ID:Ur8zpOk9GY
宰相「隣国には支払い期限を1年間待ってもらえることになりました」

姫「つまり1年間で立て直せと」

宰相「小麦の不作さえなければ、辛うじて払えた額です」

王「姫ちゃんしっかりしてるから大丈夫だよ」

姫「……考えさせて、ください」
14: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 07:26:32 ID:YAvYrPMcAM
従者「お疲れですね」

姫「そりゃ疲れるわよ、まさか財政がそこまでヤバかったなんて」ハァ

従者「宰相さん最近やつれてましたもんね」

姫「お父様は元気そうだけど」
15: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 07:26:58 ID:YAvYrPMcAM
従者「どうなさいますか」

姫「どうって」

従者「だーかーらー、姫様が財政云々の話ですってば」

姫「普通に無理じゃん!」ガバッ
16: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 07:27:16 ID:YAvYrPMcAM
姫「考えてもみてよ、生粋の箱入り娘が急にそんな遣り繰りできると思う?」

姫「失敗したら戦争よ、戦争」

従者「でもやらなかったら今まで通りですよ」

姫「それは駄目だけど……」
17: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 07:27:36 ID:YAvYrPMcAM
姫「……従者はどう思う?」

従者「俺なら逃げますね」

姫「即答!?」

従者「だってめんどいし」

姫「普通に切り捨てた!」
18: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 07:27:54 ID:YAvYrPMcAM
従者「でも姫様は違うでしょう」

従者「姫様はこの国が大好きですから」

姫「…………」

姫「……ありがとう、もう寝るわ。今日は帰ってちょうだい」

従者「了解しました」
19: 名無しさん@読者の声:2011/10/29(土) 07:38:13 ID:oCFwVVGzgU
熱烈支援
(`・ω・´)
20: 名無しさん@読者の声:2011/10/29(土) 08:07:00 ID:.L.Jxg.m9s
しえんっ!
21: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 11:34:39 ID:Vu4dJaZiYU
>>19-20
支援ありがとうございます!ヽ(゚∀゚*)ノ
話が動き出すまでもーちょっと進めますよっと
22: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 11:35:59 ID:bIIsrLE4fw
王「びっくりしてたね、姫ちゃん」

王妃「当然よ、あの子真面目ですもの」

王「父さん怒られちゃったよ」

王妃「あなたはもう少し反省した方がいいわ」
23: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 11:36:39 ID:bIIsrLE4fw
王「母さんはどう思うんだい?」

王妃「そうねえ、面白そうだとは思うけれど」

王「姫ちゃんのことだから、やるとなったら相当頑張るよ」

王妃「ふふ、見てみたいわねえ」
24: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 11:37:47 ID:bIIsrLE4fw
王妃「ねえ、あなた」

王「なんだい母さん」

王妃「……もし、1年間経っても駄目だったら」

王「その時は、この国がなくなる時だろうね」

王「戦争だけは、絶対にしないからさ」
25: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 11:38:59 ID:bIIsrLE4fw
姫「やらせてください」バーン

王妃「あら潔い」

王「ありがとう姫ちゃん!」

姫「私で力が及ぶかは分かりませんが、全力は尽くします」

王妃「まあそんなに固くならないで」
26: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 11:40:14 ID:bIIsrLE4fw
王「やりたいことがあったら言ってね、基本的に言うこと聞くから」

王妃「分からないことがあったら宰相くんに聞くのよ」

王「父さんはー?」キラキラ

王妃「あなたは頼りにならないでしょう」

姫「本当に放置してたんですか……」
27: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 11:41:32 ID:bIIsrLE4fw
姫「さて、どうしよう」

従者「何も考えてなかったんですか」

姫「うるさいわね、だって何からやればいいのか……」

従者「やるって言っときながら」

姫「今からやるのよ!」
28: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 11:44:30 ID:5tzXfudkYk
姫「そもそも原因は何なのかしら」

従者「豪奢を極めた生活を送っている訳ではありませんしね」

姫「そうよ、国が小さいこともあるけれど、王族にしては随分と慎ましく暮らしているもの」

従者「まあ国民からするとまだ贅沢三昧でしょうけどね」

姫「そういうものなの……?」
29: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 11:45:16 ID:5tzXfudkYk
姫「いっそ一般市民レベルに生活水準を落とそうかしら」

従者「やめてください、なけなしの威厳が」

姫「何よなけなしって!威厳あるわよ、お母様ならまだそれなりに!」

従者「王様にはないんですか」
30: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 23:23:46 ID:bIIsrLE4fw
従者「ともかく、財政難の原因が分からないことには何とも」

姫「そうよねえ、宰相さんに帳簿でも見せて貰おうかな」

従者「それがいいですね」

姫「そうと決まれば早く行きましょう」

従者「御意」
31: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 23:24:36 ID:bIIsrLE4fw
姫「宰相さん」

宰相「どうなさいましたか、姫様」

姫「少し過去の帳簿を見せて貰いたくて」

従者「財政難の原因が知りたいと仰ったものですから」

宰相「熱心でいらっしゃいますね」
32: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 23:25:51 ID:/VjY1d6A56
宰相「でしたら資料室に保管してありますよ。お連れしましょうか」

姫「いいの?仕事の邪魔にならないかしら」

宰相「丁度外の空気に当たろうかと考えておりましたので」

姫「ありがとう、それならお願いするわ」

従者「姫様方向音痴ですもんね」ププッ

姫「うううるさいわよ」
33: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 23:26:27 ID:/VjY1d6A56
姫「大体あなたが案内してくれないから」

従者「あくまで自分は姫様に付き従う者ですから」

姫「私が迷うの面白がってるだけでしょ」

従者「九割方そうですが身分を弁えているだけですよ」

姫「ほとんどそうじゃん表に出なさい!」

宰相「お二方も相変わらずですねえ」
34: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/29(土) 23:27:00 ID:/VjY1d6A56
姫「そもそもこの城が大きすぎるのよ、これも無駄なんじゃないかしら」

従者「世間ではそれを責任転嫁と」

姫「あんたは黙んなさい」

宰相「もう到着しますよ」
35: 名無しさん@読者の声:2011/10/30(日) 12:54:46 ID:f79T6dgeUQ
支援(´∀`*)
36: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/30(日) 13:22:24 ID:Vu4dJaZiYU
>>35
支援ありがとうございますヽ(´∀`*)ノ
またちょっと投下ー
37: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/30(日) 13:23:02 ID:Vu4dJaZiYU
宰相「こちらが資料室です」

姫「……どんだけ本があるのよ」

宰相「建国以来の資料が各種取り揃えてあります」

従者「俺帰っていいですか」

姫「だめ」
38: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/30(日) 13:23:37 ID:Vu4dJaZiYU
宰相「奥から2番目、向かって右側から3つ目、4つ目の棚が財政の記録になっています」

宰相「奥の方から古い物が並んでいますので、手前をご覧になるとよろしいかと」

宰相「城内の記録は燕脂色の表紙のものです、この部屋から持ち出す際にはあちらの冊子に記録してください」

従者「頭が痛い」
39: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/30(日) 13:24:03 ID:Vu4dJaZiYU
宰相「では僕はこれで」

姫「ありがとう、助かったわ」

従者「では俺もこれで」

姫「だから逃げるなって言ったでしょ」ガシッ
40: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/30(日) 13:24:31 ID:Vu4dJaZiYU
姫「あなた嫌味を言うときは頭の回転速いのにね」

従者「それとこれとは別問題です。あ、これ去年のじゃないですか」

姫「本当に?見せて見せて」
41: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/30(日) 13:26:07 ID:IteBxXaruU
姫「去年の支出内容は……っと」パラパラ

姫「あー、やっぱり人件費はかさむわねえ。皆一流だもの」

従者「俺誉められました?」

姫「食費も衣装代も緩みがちで……もっと締めていかないと」

従者「それにしても、一体この“王の娯楽費”って何でしょうかね」

姫「これ……え?」
42: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/31(月) 14:34:16 ID:GlQQNTFhlc
姫「お父様――っ!!」バーンッ

王「うわあ姫ちゃんびっくりしたよ!」

姫「よくものうのうと画集なんてお読みになれますね!全国民に土下座なさい!」

姫「原因ほとんどお父様の買い集めた絵じゃないですか!」
43: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/31(月) 14:36:36 ID:GlQQNTFhlc
姫「ほらそこに掛かってる絵だって!一体いくらしたんですか」

王「それはそんなに高くないよ!むしろ食堂にある絵の方が」

姫「いくらでしたか」

王「せ、せいぜい(自主規制)円……」

姫「」クラッ

従者「姫様お気を確かに」
44: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/31(月) 14:41:49 ID:Vu4dJaZiYU
従者「この地方の名画をことごとく集められましたね」

王「そうなの!父さんの自慢のコレクションだよ」

姫「こいつ本当殴りたい」
45: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/31(月) 14:43:38 ID:Vu4dJaZiYU
姫「とにかく!本当に手元に置きたいもの以外は手放して頂きますからね」

王「それは駄目え!姫ちゃん酷い!」

姫「つべこべ言わずに売り払いましょう」

王「姫ちゃんの鬼!悪魔!父さんがどれだけ頑張って集めたか知らないでしょ!」ワアアン

姫「知りたくもないですよ如何にして国民の財産を浪費したかなんて!」
46: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/31(月) 23:48:01 ID:0MRnBcGkRk
従者「しかし姫様、いきなり売り払えというのも少々酷かと」

王「うんうん、従者くんは分かってるなあ」

姫「従者まで……じゃあどうしろって言うのよ、こんなにお金使って」

従者「そうですね、例えば」

従者「ただ売却するのではなく、その絵で収入を増やしてみては如何でしょう」
47: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/31(月) 23:50:34 ID:f2kNfbK7/o
姫「稼ぐって……?」

従者「他国にその絵を貸し出して代金を取ったり、いっそ王立で美術館を作ってしまったり、色々とやりようはありますね」

王「はい!父さん美術館作りたい!」

姫「そんな資金がどこにあるんですか!」
48: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/31(月) 23:52:06 ID:f2kNfbK7/o
姫「ふうん……纏まったお金は入らないけれど、確かに長期的な収入は見込めるわね」

王「ほら、他にやり方あるんだし絶対売らないからね!」

姫「お父様に決定権はありません!」

王「あるもん王様特権が」

姫「くっ、流石に逆らえないわ……」
49: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/31(月) 23:53:34 ID:f2kNfbK7/o
従者「それでは当面の間、国外に絵画を貸し出して収入を得るということで」

姫「すぐに纏まったお金が入ると思ったのに」

王「父さん売らないからねっ!」

姫「はいはい分かったから」
50: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/10/31(月) 23:54:47 ID:f2kNfbK7/o
姫「それにしても、そんなすぐに借り手が見つかるかしら」

従者「この地方でも有数の名画揃いでしたからね」

王「父さんみたいな人には喉から手がでる代物なんだよ……って、あー!」

王「返して貰えなかったらどうしよう!」

姫「行くわよ従者」スタスタ

従者「御意」スタスタ
51: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/1(火) 11:42:04 ID:QZJczNwe4M
姫「とりあえず、財政難の最大の原因は取り払ったわ」

従者「王様は気乗りしなさそうでしたが」

姫「良いのよ言わせとけば」

従者「まあその内大人しくなりますよね」
52: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/1(火) 11:44:08 ID:BD5gqboGtA
姫「纏まった収入にならなかったのが心残りね……」

従者「やっぱり売りたかったんですか」

姫「あんたが余計な提案するから」

従者「それは失礼を」

姫「なんかむかつく」
53: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/1(火) 11:45:02 ID:BD5gqboGtA
従者「絵画を全て売ってしまえば大金が入り、今年帝国に払う分は確保できたでしょうね」

従者「でも、来年以降の分はどうなるでしょう」

従者「一度に叩き売っただけの代金で、この国の将来の財政は立ち直るでしょうか」

姫「それは……」
54: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/1(火) 11:45:44 ID:BD5gqboGtA
従者「姫様もまだまだですねえ」

姫「しょうがないじゃない、急にこんなこと任されたんだから」

姫「本気を出すのはこれからよ」

従者「明日から本気出すんですね分かります」

姫「ニートみたいに言わないで頂戴」
55: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/1(火) 23:45:16 ID:BD5gqboGtA
王妃「ねえねえ従者くん、あの子どうかしら」

従者「どう、とは」

王妃「父さんが泣きついてきたのよ、姫ちゃんが怖いよーって」

従者「なるほど」
56: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/1(火) 23:45:59 ID:BD5gqboGtA
従者「まじでアホです」

王妃「うふふ、辛辣ねえ」

従者「そして暴走します」

王妃「あら大変」

従者「……でも、必死ですよ」
57: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/1(火) 23:47:10 ID:YEY72tQYGM
王妃「意外と優しいこと言えるじゃない」ニコニコ

従者「貴女は俺を何だと思ってるんですか」

王妃「ツンデレ?」

従者「うわあ」
58: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/1(火) 23:51:05 ID:cdu7xIBYa.
姫「うーん……」コテン

姫「うううー……」グルン

姫「んんー……?」グググ

従者「どうなさいましたか姫様、その顔不細工ですよ」

姫「あんた本当に私より格下?」
59: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/1(火) 23:51:45 ID:cdu7xIBYa.
姫「他に減らせるとこないかなって」

従者「財政ですか」

姫「それ以外に何があるっていうの」

従者「体重とか」

姫「標準体型よ!」
60: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/1(火) 23:52:49 ID:cdu7xIBYa.
従者「やっぱ人件費じゃないですか」

姫「あー生意気な従者をリストラしたりとか?」

従者「やかましい姫君を嫁に出したりとか」

姫「まじで首にするわよ」

従者「わあ怖い」キャッ
61: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/1(火) 23:55:01 ID:cdu7xIBYa.
姫「正直な話、リストラは気が進まないわ」

従者「と言いますと」

姫「だって城の使用人さん達にも生活があるじゃない」

姫「私達の都合で人生を狂わせる訳にはいかないわ」
62: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/1(火) 23:57:57 ID:vaPRAZHb9M
従者「甘いですね」

姫「甘いわよ」

従者「でも王族的には間違ってませんよ」

姫「なら構わないわ」
63: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/2(水) 00:00:55 ID:TKQezqcdlg
侍女「姫様、お食事のお時間です」

姫「ああごめんなさい、すぐに行くわ」

従者「ではこの話は後にしましょうか」

姫「ええ、そうする」
64: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/2(水) 00:02:52 ID:TKQezqcdlg
姫「全部を少しずつ削っていくしかないのかしら」

従者「必然的にそうなりますね」

姫「本当に、1年間で……」

姫「いいえ、やめましょう。まずはご飯よ」

従者「御意」
65: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/2(水) 15:50:17 ID:YJIMGSU7Oo
王「姫ちゃん遅いよー」

姫「すみません、お父様」

王子「お前も相変わらずだね、姫」

姫「お兄様!」パアッ
66: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/2(水) 15:52:34 ID:YEY72tQYGM
姫「どうしたのお兄様、いつの間に辺境から帰ってらしたの?」

王子「決めていた2年間も終わったからね、暫くはこっちにいるよ」

姫「そっか、お疲れ様です」

王妃「まあ、みんな冷めない内に頂きましょうよ」

王「ゆっくり話すのはそれからだね」
67: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/2(水) 15:56:21 ID:YJIMGSU7Oo
王子「久々の家族の食卓……」ジーン

姫「本当に久しぶりね」

王「王子くんも大変だったでしょ、たくさん食べるんだぞー」

王妃「父さんみたいなお腹にならない程度にね」

王「母さんひどい!」ボヨーン
68: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/2(水) 15:59:43 ID:wPFCMzneoQ
姫「お兄様は、確か実務経験に行ったのよね」

王子「そうだね、辺境って言う割に至って平和なものだったけれど」

王「うんうん、平和がいちばんだよ」

王子「平和すぎる気もしますがね」
69: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/2(水) 16:18:16 ID:VwxIAK9LCQ
王妃「じゃあ王子くんには退屈だったかしら、あそこは」

王子「そんなことはありませんよ、ほとんど毎日砦の兵士と訓練していたし」

姫「じゃあお兄様、剣の腕も上がったんじゃないの」

王子「そうだと良いけどなあ」
70: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/2(水) 19:00:08 ID:CDn3vnH7O.
王子「これからは、城の方で政務の勉強もするんだ」

王「父さんの仕事も減りそうで嬉しいよ」

王妃「まあ、あなた元から仕事なんてさぼってばかりでしょう」

王「それ言っちゃだめえ!」
71: 名無しさん@読者の声:2011/11/2(水) 19:28:39 ID:fcKWrgb8mk
C
72: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/2(水) 23:06:58 ID:wPFCMzneoQ
>>71
支援ありがとうございます!(*゚∀゚)=3ムッハー
73: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/3(木) 15:24:52 ID:cdu7xIBYa.
王「まあとりあえずたくさん食べなよ、話はそれからだ」

姫「話って何ですか」

王妃「父さんのお腹の話よ」

王子「ああなるほど」

王「ねえみんな父さんのこと嫌い?」
74: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/3(木) 15:27:49 ID:CDn3vnH7O.
王子「食べる量は増えたはずなんですけどね、流石にこれは無理かな」

姫「無理って?」

王子「明らかに食べ切ることを想定してない量だろう、これ」

王「父さんは余裕だよ!」ボヨーン

姫「お父様は別よ」
75: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/3(木) 15:34:13 ID:/h1J5f9sxg
王妃「そうねえ、確かにいつもたくさん残してしまうわね」

王子「砦ではお代わり争奪戦でしたから」

王「熾烈な戦いだろうね」

姫「……これも減らせる、かな?」
76: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/3(木) 15:42:49 ID:CDn3vnH7O.
王子「どうしたんだい、姫」

王妃「そういえば、まだ王子くんは知らないのよね」

王子「何でしょう」

王「いや、実はね……」
77: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/3(木) 15:50:38 ID:QZJczNwe4M
王子「父上」

王「……はい。」

王子「殴っていいですか」

王「わあ兄妹」
78: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/3(木) 15:57:34 ID:CDn3vnH7O.
王子「殴りたくもなりますよ何ですかその状況!」

姫「普通そうよねー、あ、このお肉美味しい」

王「ごめん!ごめんって!」

王妃「平謝りよねえ。料理長さんが自信作って言ってたのよ、それ」

王子「一体父上は何をやってたんですか!」

王「だからごめんってばー!」
79: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/3(木) 23:06:17 ID:1Mn.ULmtuc
王子「で、姫が立て直すの?」

姫「城内のことはね」

王「流石に国のことは宰相くんにお願いしてるけど」

王子「大体分かりました」
80: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/3(木) 23:09:42 ID:cdu7xIBYa.
王子「その手伝い、俺にもさせてください」

王「いいよー」

姫「ノリ軽くない?」

王妃「まあ良いじゃないの」
81: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/3(木) 23:12:32 ID:cdu7xIBYa.
王子「どちらにせよ実際に国政を学びたいと思っていました」

王子「知識だけなら身につけています、俺でも宰相の邪魔にはならないでしょう」

王妃「ふふ、頼もしい子がふたりもいて母さん幸せだわ」

王「父さんはー?」ワクテカ

王妃「何か言ったかしら」
82: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/3(木) 23:18:49 ID:1Mn.ULmtuc
王妃「それじゃあふたり共、よろしくね」

王「頑張ってねー」

王子「父上無駄遣いしちゃ駄目ですよ」

王「分かってるもん」
83: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/4(金) 13:08:32 ID:YJIMGSU7Oo
何やら最近のSS限定ランキングで、このSSを2位にして頂けたということで、ありがとうございます!ヽ(*´∀`)ノ
結構たくさんの方が見てくださってるようで、とても嬉しいです
これからもご期待に沿えるようなものを書いていけるよう頑張りますので、何卒宜しくお願いします……m(*_ _)m

今日の更新はまた後で来ますね(*゚ω゚)ノシではでは
84: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/4(金) 21:12:05 ID:1Mn.ULmtuc
従者「へえ、王子がそんなことを」

姫「そう。お兄様が手伝ってくれるなら頼もしいわね」

従者「あんなんが役に立ちますかねえ」

姫「……あんたいつになくキツいわね?」

従者「さあ」
85: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/4(金) 21:16:52 ID:YJIMGSU7Oo
姫「食事も終わったことだし、行くわよ従者」

従者「はいはい今度はどこですか」

姫「厨房よ」

従者「なるほど、食費削減ですね」

姫「お父様のダイエットも兼ねてのことよ」
86: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/4(金) 21:21:21 ID:vaPRAZHb9M
姫「今回は上手くいきそうな気がするわ」

従者「まあ量を減らせってだけですもんね」

姫「厄介な権力者もいないし」

従者「後から文句言いそうですけど」

姫「先手必勝よ」
87: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/4(金) 21:27:47 ID:BD5gqboGtA
料理長「いやです」

従者「なんと」
88: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/4(金) 21:38:18 ID:BD5gqboGtA
料理長「申し訳ございませんが、姫様のご命令とあっても、私が従うことはできません」

姫「どうして?」

従者「この提案に、何か問題が?」

料理長「問題どころじゃありませんよ」

料理長「何故なら……何故なら私が城にお仕えしているのは……」フルフル

料理長「豪華な料理が作りたいからなんですよ!!」バーンッ
89: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/4(金) 21:49:47 ID:VwxIAK9LCQ
姫「…………」

従者「…………」

料理長「…………」

姫(……ねえ従者)コソッ

従者(そうですね姫様)ヒソヒソ

姫・従者(めんどくせえ……)
90: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/5(土) 12:57:42 ID:VwxIAK9LCQ
姫「ね、ねえ料理長さん。何も貧相な料理を作れと言っている訳じゃないのよ」

従者「そうですよ、ただ少し食費を減らして貰えればと」

姫「そうよ、量を減らしたり高級食材を控えてもらえれば」

料理長「甘い……甘いですよおふたり共……」

姫(あっなんかまた面倒事の予感)
91: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/5(土) 13:03:17 ID:/h1J5f9sxg
料理長「半端な材料で一流の作品ができるとでもお考えか!」

料理長「少量の盛り付けで、城にふさわしい豪勢さが表せるとでも……?」

料理長「ええそうですとも、私は権力になど屈しない」

料理長「私の意志を曲げるようならば、こちらにも考えがある……」

料理長「王宮料理人など、辞めさせて頂きます!」
92: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/5(土) 13:09:43 ID:BD5gqboGtA
姫「おおお落ち着いて!早まらないで料理長さん!」

従者「そうですよ面倒臭モガッ」

料理長「今まで姫様方のお食事を作らせて頂けて……私は幸せでした」

姫「待って!聞いてほしいの!」
93: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/5(土) 13:15:09 ID:YEY72tQYGM
姫「私、あなたの料理すごく好きよ」

姫「さっきのお肉、とても美味しかったわ。自信作なんですってね」

姫「あなたに辞められると、私達がみんな困るわ」

料理長「姫様……!」
94: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/5(土) 13:23:06 ID:1Mn.ULmtuc
料理長「そのようなことを言って頂けるとは、料理人として感激の極みです」

姫「じゃあ!」

料理長「ですが、自分の信念を曲げる訳には……」

姫「そう……残念ね」
95: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/5(土) 13:28:41 ID:YEY72tQYGM
姫「隣の帝国では、皿の上に少しだけ料理を盛るのが流行りだと言うわ」

姫「その姿はとても品があって、宝石のように美しいんですって」

姫「料理長さんが作ったものだったら、多分うっとりするほど美味しいんでしょうね」

姫「一度食べてみたかったわ……」グスッ

従者(うっわあ)
96: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/5(土) 14:02:04 ID:VwxIAK9LCQ
料理長「姫様!」

姫「ああ、でも料理長さんの信念を曲げる訳には」

料理長「いいえ構いません!姫様のお願いとあらば、この私が作って差し上げましょう!」ガシッ

姫「本当に?嬉しい!ありがとう料理長さん!」ガシッ
97: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/5(土) 14:05:58 ID:VwxIAK9LCQ
従者「お見事です」

姫「崇めていいのよ」

従者「お断りします」
98: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/5(土) 14:08:34 ID:YJIMGSU7Oo
姫「これで問題はひとつ解決っと」

従者「長続きしますかね」

姫「それはおいおい考えればいいわ」

従者「御意」
99: 名無しさん@読者の声:2011/11/5(土) 17:27:58 ID:ke8kDwatac
どんな食材を使ってでも一流の品を作るのが料理人だろうに…って金髪ぐるまゆが言ってたかも。

C
100: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/11/5(土) 20:26:08 ID:RXwsYJSRA.
>>99
どこぞのギャグ要員の料理長と違って、出来た人なんでしょうね……(´ω`*)
支援ありがとうございます!
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