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魔王「何この子超弱い!」
[8] -25 -50 

1: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:25:15 ID:GoOVcwF126
勇者「あ、あああああなたが魔王ね!!」
魔王「・・・1人でのこのこと殺されに来るとは殊勝な事だ。
ふむ、まさか勇者がこんな歳若い娘とはな・・・ククク」
勇者「う、うるさい!ここで会ったが百年目!世界に平和を取り戻すために
あなたを倒してみせる!」
魔王「いいだろう。倒せるものならしてみるがいい。・・・さぁかかってくるがよい!」
勇者「言われなくとも!てやー!!!」

ズルッ
ドテッ

勇者「ふぎゃっ」
魔王「えっ」



2:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:25:44 ID:GoOVcwF126
勇者「あいたた・・」
魔王(何も無いところで転倒しおった)
勇者「はっ!き、気を取り直して・・・!」
魔王「・・・」
勇者「こ、こんどこそー!」

ペシンッ

勇者「あれっ!?効いてない!?」
魔王「刃の向きが逆だ」


3:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:26:10 ID:GoOVcwF126
勇者「こ、こうなったら魔法で・・・」
魔王「む」
勇者「火の精霊よ・・・・・はぁあああー!!!」

プスンッ
シュゥー・・

勇者「不完全燃焼ー!?」
魔王「煙たいだけですやん」


4:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:26:31 ID:GoOVcwF126
勇者「くっ・・・さすが魔王・・・強さが並じゃないわ」
魔王「俺何もしてませんが。さっきから棒立ちですが」
勇者「このぉおお!!!うりゃあああ!!!」

ベシャッ

魔王「またコケた―!?」
勇者「うぅ・・・痛いよ・・・」
魔王「何この子超弱い!」



5:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:27:04 ID:GoOVcwF126
魔王「えっ?何、何でそんな弱いんだお前!」
勇者「うっ・・・」
魔王「魔法も剣も満足に使えない!何もないところで転倒する!お前どんだけ!」
勇者「ごめんなさい・・・」
魔王「いや別に怒ってないよ!?怒ってないけどさすがにそれはないわ!」
勇者「ま、魔法が使えないのはレベル1、だから・・・」
魔王「あーそっかレベル1か!レベル1なら仕方ないね!うん!レベル1がラスボスに挑むな!!!」

6:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:27:26 ID:GoOVcwF126
魔王「というか・・・よくそんな村人レベルで魔王城に、王座に辿りつけたな」
勇者「お、お兄ちゃんが・・・賢者の兄がここまでワープさせてくれて・・・」
魔王「うっわーいらんことを・・・」
勇者「じっ、実は昨日勇者に抜擢されたばっかで、剣を振るったのも今日が初めてで・・・!」
魔王「お前まともに修行もしてない癖に俺に挑んで死んだらどうするつもりだったんだよ・・・」
勇者「主人公補正でなんとかなるかなと・・・」
魔王「なりませんから!!」


7: 名無しさん@読者の声:2012/1/3(火) 00:27:36 ID:GLdkpQmdpQ
よし、続けろ。
8:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:27:52 ID:GoOVcwF126

魔王(えぇー・・・いくらなんでもコレはないわー・・・さすがの俺も引くわー・・・)
魔王(勇者って幾らか修行を積んでからラスボスを討ち取るもんじゃないのかよ・・・)
魔王(よく見たら軽装だし、ピクニックじゃねぇんだぞ・・・)
魔王(もう弱いとかいうレベルじゃないわこれ)
魔王「はぁ・・・仕方ない」


9:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:28:26 ID:GoOVcwF126

魔王「おい」
勇者「?」
魔王「俺がお前を鍛え直してやる」
勇者「えっ?」


10:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:28:48 ID:GoOVcwF126

魔王「聞こえなかったか?鍛え直してやると」
勇者「ええええええええ!!?何で!?」
魔王「いや、あまりにも弱すぎてなんか・・・同情というか」
勇者「こ、殺せばいいんじゃないんですか!?あなたにとって勇者という存在は害でしかないんでしょう!?」
魔王「いやもうここまで弱かったら殺すのも面倒臭いわ」
勇者「ええええ」


11:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:29:21 ID:GoOVcwF126

魔王「俺はお前を鍛え直す。お前は強くなれ。そして、強くなった暁には」
勇者「・・・」
魔王「俺を倒せ」
勇者「・・・」
魔王「・・・」
勇者「えっ」


12:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:29:46 ID:GoOVcwF126

勇者「私が強くなったら易々倒されるんですか?」
魔王「そんなわけないだろ。リベンジだ。テイク2だ。もう一度改めて闘うんだよ」
勇者「・・・負けたら」
魔王「修行し直しだな」
勇者「えええ・・・何この魔王」


13:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:30:08 ID:GoOVcwF126



−−−

魔王「と、言う訳で修行だ」
勇者「は、はぁ・・・」
魔王「先ずはこのスライム共を倒すのだ」
勇者「えぇっ!?そんなできません・・・!」
魔王「何が「えぇ」だ。お前その心意気で俺を倒せると思ってるのか?」
勇者「う、うう」
魔王「大丈夫だ!このスライム共は俺の部下だ」
勇者「何が大丈夫なんですかー!?余計倒せなくなりましたよー!」


14:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:30:38 ID:GoOVcwF126

スライムA「大丈夫っすよ勇者さん」
スライムB「俺ら序盤では必ず殺される運命なんですから」
スライムC「寧ろこんな可愛い子にやられるなんて」
スライムD「スライム冥利に尽きます!」
勇者「す、スライムさん達・・・」
スライムE「強くなって魔王様を倒すんでしょう?」
スライムF「微力ながらもお手伝いしますよ!」
スライムG「早く魔王倒しましょうね!」
勇者「スライムさん達ありがとうございます・・・!」
魔王「なにこれ」


15:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:32:07 ID:GoOVcwF126
すいませんとりあえずここまでで(´・ω・`)
また朝起きたら書きます。


16:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:44:21 ID:GoOVcwF126
>>7
ありがとうございます頑張ります。
また朝に書こうと思います

17: 名無しさん@読者の声:2012/1/3(火) 00:44:49 ID:GLdkpQmdpQ
なwwwにwwwこwwwれwww 

やばい、魔王軍が乗っ取られる未来が見えるwww
18: 名無しさん@読者の声:2012/1/3(火) 00:49:40 ID:0OULCcik5.
はやいかもしらんがっC
19:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 06:42:19 ID:GoOVcwF126

勇者「スライムさんありがとう・・・ありがとう・・・」
スライムD「さぁ!」
スライムG「早く!」
勇者「は、はい!」
勇者「いきます!!えーい!」

プニョンッ

勇者「切れない!?」


20:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 06:42:46 ID:GoOVcwF126

魔王「刃、向き、逆、逆」
勇者「あ、あっそっか!ええい!」

プニョンッ
ズデッ

勇者「あいたっ」
勇者「な、何故・・・!?」
スライムA「こんな弱い人間、勇者さんが初めてですよ」


21:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 06:43:05 ID:GoOVcwF126

スライムC「・・・魔王様、これって俺らは攻撃しなくていいんすか?」
魔王「・・・していいぞ。それも修行だからな」
スライムB「では遠慮なく」
勇者「へ、へ、えっ、嫌・・・!」
スライムF「勇者さん覚悟―!!!!」
勇者「うええええええええ!!!」


スライムA「ごめんなさい」
スライムB「面目ない」
勇者「ぐすっ・・・ぐすっ・・・」
魔王「まさかぶよぶよ攻撃で撃沈するとは」


22:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 06:43:24 ID:GoOVcwF126

勇者「ふぇ・・・っ・・・ぐすっ・・・」
魔王「はあー・・・」
魔王「おい、お前こっちゃ来い」
勇者「・・・?」トテトテ
魔王「回復してやる」パアアア
勇者「・・・えっ!?あ、ありがとうございます!!」
魔王「お前、スライム如きに倒されては格好つかんぞ。まぁ・・・一斉に仕掛けられたら厳しいかもしれんが・・・」
勇者「ごめんなさい・・・」
魔王「いいから泣き止もうな」
スライムC(如きて)


23:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 06:43:43 ID:GoOVcwF126

魔王「そうだな・・・じゃあスライムAと一騎打ちしてみろ」
スライムA「じ、自分すか!」
勇者「え、A郎さんとですか!?」
魔王「なにその名前」
スライムA「分かりました・・・!さぁ勇者さん!頭数が減ったから集中出来るでしょう!今こそ俺を倒すのです!」
勇者「A郎さん・・・!」


24:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 06:45:05 ID:GoOVcwF126
>>17
この魔王軍は直ぐに壊滅しますよね

>>18
支援ありがとうございます




勇者「い、行きますよ!!!」
スライムA「ええ!いざ!」
勇者「うりゃああ!」
スライムA「む」

ブンッ
スカッ
ドテッ

勇者「あ」
魔王「えぇー・・・」
スライムA「えぇー・・・」



25:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 06:45:43 ID:GoOVcwF126

−−−


勇者「はぁっ・・・はぁっ・・・」
魔王「お前、やれば出来るじゃねえか!」
勇者「そ、そうですかね・・・!魔王さん倒せますかね・・・!」
魔王「いやそれはまだ無理だわ」
勇者「ですよねー」

スライムA「まぁHPが1減っただけなんですけどね」
スライムB「ここまで行くと最早天才だわ」
スライムD「いいな俺も攻撃されたい」


26:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 06:46:05 ID:GoOVcwF126

スライムC「それで?」
スライムA「ん?」
スライムD「実際攻撃食らってどうよ。痛い?ねぇ痛い?1くらったから痛い?勇者さんイケそう?」
スライムE「なにお前・・・」
スライムA「そうだな予防接種くらいの痛みかな」
スライムG「うわぁ」
スライムC「大丈夫かな勇者さん。魔王様倒せるかな」
スライムA「少なく見積もってもあと5年は必要かね」


27:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 06:46:28 ID:GoOVcwF126

−−−

魔王「さて、ここいらで休憩するか」
勇者「・・・はぁ・・・疲れた・・・」
魔王「まぁまだまだ弱いけど、俺が直々に稽古つけてやるんだ。必ず強くなる。お前なら大丈夫だ。根拠は無いけど」
勇者「魔王さん・・・」
魔王「そして早く俺を倒せ」
勇者「・・・魔王さんって実はMだったりします?」


28:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 06:46:47 ID:GoOVcwF126

勇者「・・・でも、魔王さん私なんかに構ってていいんですか?」
魔王「あ?」
勇者「世界征服とか物品強奪とか村娘を凌辱とか街破壊とかなんかこういろいろ仕事があるんじゃ・・・魔物の統率とか」
勇者「私にかまけてたらいつか側近さんとかに下克上とかされて魔王さん四面楚歌になったりして・・・」
魔王「とりあえず歳若い娘さんが凌辱とかいう言葉使うのやめようか」


29: 名無しさん@読者の声:2012/1/3(火) 08:58:58 ID:P3/GcXXTkA
面白いwwwっC
30: 名無しさん@読者の声:2012/1/3(火) 09:25:48 ID:7mgrCUo9Vg
wktk
31: 名無しさん@読者の声:2012/1/3(火) 09:26:32 ID:JrgEVdGhFo
支援
32: 名無しさん@読者の声:2012/1/3(火) 12:26:58 ID:0jlt/DZZyE

面白いです!!

つCCC
33: 名無しさん@読者の声:2012/1/3(火) 13:54:07 ID:CHtPSzJde.
面白いCCCC
34:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 15:40:39 ID:GoOVcwF126

>>29-33
支援ありがとうございます!
gdgdですが頑張ります!


35:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 15:41:28 ID:GoOVcwF126

魔王「あと、その辺は心配いらねぇからマジで」
勇者「えっ・・・でも」
魔王「俺の部下は下克上とかそんな事考えてる奴はおらんよ。俺に倒されるのが目に見えてるからな。俺超強いし」
勇者「でも」
魔王「・・・お前変わってんな。魔王の仕事とか心配してよ」
勇者「それは魔王さんにも言えることですよ」
魔王「後、俺そういうお前の言う仕事したことないし」
勇者「えっ。でも魔王って・・・」
魔王「あー嫌嫌、そういうレッテル貼られるの。面倒臭いわー」
勇者「な、なんかキャラがブレてます!」


36:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 15:41:46 ID:GoOVcwF126

魔王「俺は元からこういう性格なの。それをお前らが変なテンプレ魔王を求めるからイメージ崩さないようキャラ作りしてんの。まぁ仕事はしてないけど」
勇者(別に求めては・・・)
勇者「でも、それが本当ならどうしてあんなに魔物が溢れて・・・!凌辱されて・・・!!」
魔王「いやだから凌辱って言うなよ」


37:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 15:42:51 ID:GoOVcwF126

勇者「と、とにかく魔王のせいで今世界は闇に包まれようとしてます!」
魔王「え?快晴じゃね?」
勇者「そ、そういう意味ではなくて!支配!そう支配されようとしてるんです!それに魔物もなんか急に増えましたし!そっ、それに実際魔物の被害が!だから私がこうして・・・」
魔王「いやそんな事言われましても管轄外ですし・・・」
勇者「か、管轄」


38:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 15:43:33 ID:GoOVcwF126

魔王「大体俺、刺客やら戦士とかが来ない時はいっつも寝るかゲームするかの堕落生活してるし。支配言われてもなー」
勇者(もうどこまでが本当なのか分からなくなってきた)
魔王「今日も俺を倒すとかいう輩が来たから重たい腰をあげて何時も通りのテンプレ魔王のキャラで挑んだというのに」
魔王「歴代最強に最弱だよ!俺もう吃驚よ!」
勇者「す、すみませ・・・」
魔王「あ、ごめん。別に怒ってないよ。ただ拍子抜けだったというか」


39:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 15:43:50 ID:GoOVcwF126

魔王「まぁとにかくお前が心配するような事は俺はしてないし、魔物の被害ってのは脳筋な魔物や部下じゃない奴らの仕業かもな。魔物が急に増えたってのはまぁアレだけど」
勇者「うぅん・・・」
魔王「納得いかないってか?まぁそりゃそうだよな説得力ないもんな。曲がりなりにも俺魔王だし」
勇者「・・・魔王さんは基本的にニート野郎で」
魔王「確かに堕落生活とは言ったがニートって言うなよ。ニートって」


40:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 15:44:08 ID:GoOVcwF126

勇者「魔王らしい仕事は全然していなくて・・・それどころか」
勇者「勇者である私を殺さずに稽古をつけて、自分を倒せと言って・・・」
勇者「えっと、魔王ですよね。全世界を脅かすと言われるあの」
魔王「まぁ一応・・・」
勇者「・・・何で私を」
魔王「最初に言っただろ。同情だよ」
勇者「ど、同情・・・」


41:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 15:44:28 ID:GoOVcwF126

魔王「殺すのは面倒臭い」
勇者「そういえば、私が来る前にも色々な人達が魔王さんに挑んて来た、みたいな事を仰っていましたけど」
魔王「あぁアイツらな」
勇者「その人達は、殺したんですか?」
魔王「いや、適当にあしらった後記憶を消して適当な村に転送させている」
勇者「殺してない・・?」
魔王「だって殺すの面倒臭いし。血とかあれ、カーペットに付着したらなかなか落ちないんだぜ?」


42:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 15:44:42 ID:GoOVcwF126

魔王「さぁもういいだろ?修行再開だ。休憩終了」
勇者「えっ、私まだ聞きたい事が」
魔王「後々。お前は俺を倒す、強くなることだけ考えときゃいいんだよ。俺が死んだら世界が平和になるんだろ?だったら、いいじゃねぇかそれで」
勇者「魔王さん・・・」
魔王「剣を構えろ。休憩は終了と言っただろ」
勇者「はい・・・」


43: 名無しさん@読者の声:2012/1/3(火) 16:48:41 ID:mTdLBohn9A
魔王なんか良い奴だな…

つC
44:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 18:18:14 ID:GoOVcwF126

−−−

魔王「そう、魔力を手に集中するんだ。頭の中で炎を描け。」
勇者「ん・・・」
魔王「やってみろ」
勇者「・・・え、えいっ」

ボッ
ポスッ…

勇者「で、出た!」
魔王「一瞬、だったけどな。さすが腐っても勇者だな。素質はあるんだろうよ」
勇者「腐ってもって・・・」


45:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 18:19:01 ID:GoOVcwF126
>>43
支援ありがとうございます!





魔王「レベルも上がったし、頑張ったな」
勇者「い、1レベルだけですけどね・・・」
魔王「お前そこら辺の村人よりくっそ弱いのに半日でレベルが上がったんだぞ?それに一瞬だけど魔法も使えた。なかなかの進歩じゃあないか!」
勇者「ま、魔王さんのご指導のおかげです・・・」
魔王「このまま順調に事を運べばいいんだが・・・」
勇者「?」
魔王「何も無いところで転ぶのさえなけりゃなー」
勇者「はう」


46:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 18:19:23 ID:GoOVcwF126

魔王「日が暮れてきた。夜も近いな」
勇者「あっ、えっと」
魔王「お前は暫く魔王城に身を寄せとけ」
勇者「えっそんな悪いです・・・!」
魔王「人間はいつもいらん気遣いをするな。俺が言ってるんだから素直に甘えろ」
勇者「うぅ・・でも、私勇者だし、魔王城に居座っちゃったりしたら・・・」
魔王「魔王と修行している癖に今更何言ってるんだ」


47:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 18:19:47 ID:GoOVcwF126

−−−

側近「あーそれが勇者ですか。・・・本当だ。可愛らしいお嬢さんじゃないですか」
勇者「は、はじめまして!勇者です!15歳です!魔王さんには修行をつけさせて頂いています!不束者ですが暫くお世話になります!」
側近「あぁ宜しくお願いします。僕は魔王様の側近です。」
勇者「宜しくお願いします。側近さん」
側近「ふむ・・・」ジロジロ
勇者「え、えと・・・」
側近「・・・魔王様は馬鹿だなぁ」
勇者「え?え?」
魔王「おい側近お前ちょっとこっち来い」


48:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 18:20:24 ID:GoOVcwF126

魔王「側近、アイツはレベル90代になるまで俺が鍛え直すから。それまで此処に住まわすつもりだ」
側近「はぁ。まぁそれは良いですけど。なんか、魔王様は相変わらずですね」
魔王「あー?」
側近「馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけど・・・」
魔王「おい」
側近「ここまで馬鹿とは」
魔王「・・・まぁ確かに今回のは馬鹿な行動だとは自分でも思ってるけどよ」
側近「今回?いつもじゃないですか」
魔王「お前」


49:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 18:21:00 ID:GoOVcwF126

魔王「それでも仕方がないんだよ。勇者があんなに弱いんじゃ話にならんからな。スライムも倒せない奴が俺を倒せる筈がないからな」
側近「えぇー勇者なのにスライムも倒せないんですかー?そりゃヤバイですわ。マジないわ」
魔王「だろ?さすがの俺でも引いたわ」
側近「本当に勇者なんですかぁー?」
魔王「あの剣を持てるくらいなんだから本物なんだろうよ」
側近「あぁ勇者の剣でしたっけ。栄光なる剣、レジェンドオブエクスカリバー」
魔王「なんだその胡散臭いの」
側近「厨二風に言ってみただけっす」


50:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 18:21:32 ID:GoOVcwF126

勇者「あ、あの魔王さん・・・」
魔王「?どうしたよ」
勇者「その、えっと」
側近「厠?」
魔王「おい」
勇者「そ、そうじゃなくて、えと」
魔王「なんだ。ハッキリ言えよ。それじゃ分からん」
側近「アレの日ですか?」
魔王「お前」


51:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 18:21:54 ID:GoOVcwF126

勇者「お腹が」
魔王「痛いのか?どれ回復・・・」
勇者「ち、違います。その、お腹」
魔王「???」
勇者「お腹、空いたんですけど・・・」
側近「・・・あぁ」
魔王「早く言えよ。回りくどい」
勇者「だって・・・」


52:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 21:14:48 ID:GoOVcwF126

魔王「後で部屋まで食事を運ばせる。それまで我慢出来るか?」
勇者「は、はい!頑張ります!」
魔王「そんな力まなくていいっつーの」

魔王「じゃあ俺はこのまま新作ゲームを攻略しに自室へ戻る。お前は用意された部屋でゆっくり休んどけよ」
勇者「はい分かりました。ありがとうございます!」
魔王「別に。お前は俺を倒す使命があるんだからな。ちゃんと休息と食事を取って万全の状態で挑んでもらわんと困るかんな」
勇者「は、はぁ・・・」


53:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 21:30:26 ID:GoOVcwF126


−−−

勇者「あ、おいしい。ちゃんと味付けされてる」モグモグ
勇者「しっかりした味で濃厚なのにしつこくない・・これは凄い」ハフハフ
勇者「モグモグ・・・・はぁー・・・」
勇者「何をやってるんだろ、私」
勇者「魔王を倒せるのは私しかいない、それは分かってるんだけど」
勇者「魔王さん、みんなが言ってるほど悪い人じゃないし・・・いや人じゃないけど」
勇者「・・・見た目は、人だけど。いや、中身もちょっと人らしいというか」
勇者「でも、私がやらないと、村の人達を、世界中の人達を裏切る事になるし」
勇者「・・・平和にもならないし」
勇者「・・・魔王さん、わざとこんな状況にしてませんよねぇ?」
勇者「こんな、ここまで良くしてくれた方を殺せるわけないのに・・・」


54:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 21:30:50 ID:GoOVcwF126




魔王「FFは俺的には4が至高なんだわ」
側近「だからあんたはいつまで経っても屑な魔王なんですよ。至高は5です」
魔王「いやいや、4っしょ。リディアマジ天使じゃねぇか。程良く暗い話も俺好みだ」
側近「最終的に殆どの人物復活していて何が暗い話ですか。5なんて死にまくりですよ。ハートフルボッコですよ」
魔王「死にまくりとか言うなよ・・・何で死ななきゃいけないんだよ・・・」
側近「暗い話が好きなくせに人が死ぬのは嫌なんですか。矛盾していますよ」
魔王「まぁそれとこれとは違うっつーか・・・」
側近「度を越した優しさは甘さに繋がるって誰か言ってましたよ」
魔王「それでも俺はガラフに生きていて欲しかったんだよー」




55:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 21:31:43 ID:GoOVcwF126
今日はここで終わらせて頂きます
見てくれている方がどれ程いらっしゃるかわかりませんが、また明日書こうと思います

56: 名無しさん@読者の声:2012/1/3(火) 21:38:12 ID:49i3c3R.fc
面白い


っC
57:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/4(水) 01:57:45 ID:GoOVcwF126
>>56
支援あざまっす!
58:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/4(水) 02:01:28 ID:GoOVcwF126
少し書き方変えました





3日目

スライムA「勇者さんって結構小さいですよね」

勇者「えっ!?」ガーン

スライムA「だからか剣の大きさが異常に見えます」

勇者「なんか・・・悲しい」

スライムA「女の子なんだから別にいいじゃないですか」

勇者「よくないです!仮にも私は勇者です!いつかムキムキバリボーになります!」

スライムA「なにそれやだ」


59:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/4(水) 02:01:51 ID:GoOVcwF126

5日目

魔王「さぁ今日も張り切って修行だ!」

勇者「ふぁい・・・」

魔王「なんだよ。まだ寝足りないのか?いい加減起きろ朝だ」

勇者「うぅむ・・」

魔王「・・・」ベシッ

勇者「いてっ!」


60:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/4(水) 02:02:29 ID:GoOVcwF126

7日目

魔王「今日の目標、レベル5だ」

勇者「5!?ムリムリムリです!!!私まだ3ですよ!!!!」

魔王「やかましい!やるったらやる!」

勇者「ふぇ〜・・・」

魔王「出来なかったら今日の晩飯抜きな」

勇者「横暴です!!」


61:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/4(水) 02:02:54 ID:GoOVcwF126

9日目

魔王「おお、凄いじゃないか。ようやっと炎出せるようになったじゃないか」

勇者「えへへ・・・頑張りました」

魔王「これで俺も倒される日が近しいのか待ち遠しいな」

勇者「それどうなんですか」

魔王「なんだ、倒したくないのか」

勇者「そ、それはぁ・・・」


62:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/4(水) 02:03:12 ID:GoOVcwF126


12日目
勇者「魔王さん!!やりました!レベル5です!!」

魔王「うおおおお!!きたかついに来たか!!」

勇者「目標から少し日数経ってますけど、でも、やりましたよ!」

魔王「おうおう、凄いな!だが日にちは守れこの屑!」

勇者「ひ、酷い!」


63:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/4(水) 02:04:11 ID:GoOVcwF126

13日目
勇者「つかぬ事をお伺いしますが」

魔王「なんだ」

勇者「別に私が倒さなくても他の兵士さんとかが魔王さんを倒せば・・・」

魔王「・・・」

勇者「無理、ですかね、やっぱり・・・」

魔王「いやだってお前その剣じゃないと俺死なないんだけど」

勇者「え!?そうなんですか!?じゃあこの剣を魔王さんが自ら刺せば!

魔王「いやいや自殺を促すな!あと、その剣はお前しか装備できないんだよ!」

勇者「し、知らなかった・・・」

魔王「まぁお前みたいに知らん奴が俺を殺しにかかるんだが」

勇者「馬鹿ですね!」

魔王「えー・・・お前がそれ言うー・・?」


64:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/4(水) 02:04:44 ID:GoOVcwF126


14日目
側近「勇者さんは」

勇者「ふえ?」

側近「たけのこorきのこ?」

勇者「きのこ!」

側近「ですよねー。ほら、魔王様、やっぱりきのこが至高であり究極なんですよ」

魔王「きのこ厨は直ぐに味方を作ってドヤ顔する。いけ好かない戦法だ」

側近「なんとでも言うがいいですよ。この魔王城もきのこ軍兵士が多いんですから。たけのこ軍もこれまでですね」

魔王「ぐぬぬ・・・何でみんなきのこ軍なんだよおかしいだろ・・・!」

勇者「きのこ美味しいですよ・・・?」

魔王「いや俺はたけのこを、里さんを裏切れない」

側近「誰だよ」


65: 名無しさん@読者の声:2012/1/4(水) 10:03:46 ID:.cEX9H328w
俺はたけのこ派
っC
66: 名無しさん@読者の声:2012/1/4(水) 13:36:01 ID:pOZ5pUPAs6
僕もたけのこ派

つC
67: 名無しさん@読者の声:2012/1/4(水) 13:39:06 ID:o7726pFAMk
私もたけのこ派
っC
68: 名無しさん@読者の声:2012/1/4(水) 13:39:12 ID:mB1el9yyaE
たけのこ一択 

つC
69: 名無しさん@読者の声:2012/1/4(水) 14:17:34 ID:KS1oVzK.WM
たけのこ軍に加勢

っC
70: 名無しさん@読者の声:2012/1/4(水) 18:32:22 ID:NaSHqV57P6
俺パイの実派っC
71: 名無しさん@読者の声:2012/1/4(水) 18:41:13 ID:JrgEVdGhFo
吾輩はタケノコ派である
名前はまだない
72: 名無しさん@読者の声:2012/1/4(水) 18:49:12 ID:gsXgseuz3c
俺のキノコを

つC
73: 名無しさん@読者の声:2012/1/4(水) 19:07:10 ID:a8vsX9Ln2U
お…俺コアラのマーチ派!!

つC
74:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/4(水) 19:30:52 ID:GoOVcwF126
>>65-69
魔王「だよな!やっぱりたけのこだよな!!たけのこが一番うめぇよな!!!
あのクッキー生地とチョコのハーモニーは何者にも代えがたい!」

側近「えー」

支援ありがとうございます!

>>70
魔王「ぱ、パイの身も美味いよな。うん!気持ちは分かる!」

側近「じゃあパイの身の良さ言ってくださいよ」

魔王「さ、さくさく・・・」

側近「・・・」

支援ありがとうございます!パイの身も美味しいですよね!

>>71
魔王「たけのこ派か!よしならば俺が名前をつけてやろう!たけちゃんでもいいか!?」

側近(たけのこ派だと分かったらテンション上がりすぎだろ・・・しかもネーミングセンス・・・)

実は私もたけのこ派です

>>72
魔王「えっ」

勇者「えっ」

魔王「・・・お前きのこ好きだろ」

勇者「えっと、えっと・・・えぇっと・・・その」カアアア

側近「はい、気悪い方たちでごめんなさいね。きのこさん」

支援ありがとうございます!!

>>73

スライムA「コアラのマーチと聞いて」

側近「お呼びじゃないよ」ドカッ

スライムA「ひ、ひでぇ!!きのこ兵とたけのこ兵に囲まれていつも孤独なコアマチ兵を蹴るなんて!!」

側近「わけわからん略し方すんなよ」

支援ありがとうございます!!

75:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/4(水) 19:31:34 ID:GoOVcwF126
パイの身じゃなくてパイの実だよ・・・
すみません
76:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/4(水) 19:32:36 ID:GoOVcwF126
15日目

スライムA「そういや俺ら初日以降勇者さんと戦ってないな」

スライムB「寧ろ初日を戦った、って表明するのも微妙な話だけどな」

スライムC「今勇者さん大分強くなってきたみたいだから次戦ったら今度こそ死ぬだろうな俺ら」

スライムD「まぁ本望だがな!」

スライムE「いやそれお前だけだろ」

スライムF「強くなったと言っても、何もないとこでコケたら意味ないけどな」

スライムG「言っちゃ駄目」


77:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/4(水) 19:33:10 ID:GoOVcwF126

17日目

勇者「魔王さんは、わりと髪短いですよね?」

魔王「あ?あー、まぁそうだな。それがどうしたよ」

勇者「魔王ってロングストレートヘアーのイメージがあるからちょっと意外で・・・」

魔王「またイメージかよ・・・。さすがに髪型くらいは好きにさせてくれないか」

勇者「いや、短いのとてもお似合いですよ!かっこいいですし!ただ、やっぱり魔王さんって魔王っぽくないなぁと」

魔王「っていうかお前の言う魔王のイメージはどんなんだよ・・・」

勇者「え?んー・・・髪が長くて、ツノがはえてて、鎧着てて、大きいマントで、いかつい感じで、血色悪そうで・・・」

魔王「・・・ほー」

勇者「あ、あんまり当てはまってませんね・・・」

魔王「ツノは生えてるぞ」

勇者「え、あ、はい」

魔王「一応マントも・・・」

勇者「なんかすみません」


78:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/4(水) 19:33:46 ID:GoOVcwF126
19日目

勇者「ほ、本がいっぱいだ・・・!」

側近「ここは書斎です」

勇者「私、こんな沢山の本に囲まれたの初めてです・・・!」

側近「・・・魔力を向上させるには潜在能力も勿論のこと、知性も多少なりとも必要になります。今日はここで勉学に励んでもらおうと魔王様が」

勇者「べ、勉学・・・」

側近「お嫌いですか?」

勇者「私村でも成績が良い方じゃなくて、いつもドベか下から数える方が早かったりしてましたから・・・」

側近「あぁ・・・」

勇者「な、納得しないで下さい!」

側近「いえいえそんな。さて、アホの勇者さん、先ずはこの書物を読んでもらいましょうか」

勇者「あ、アホ!!?」


79:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/4(水) 19:34:26 ID:GoOVcwF126



勇者「・・・本当に沢山本があるなぁ・・・」

勇者「あ、これ何の本だろう」ガタッ

勇者「・・・呪いの本!?」

勇者「こ、こっちは解呪の本。これも呪い。これは解呪・・・。呪い関係ばっかだ・・・。さすが魔王城というか・・・こわい」

側近「見ましたね」

勇者「うわあああ!!」

側近「なんと色気のない叫び」

勇者「ほっといてくださぁい!!ってか、急に現れないで下さい!!!」

側近「はいはいごめんねごめんね。その本はアホの勇者さんにはまだ早いので元あった場所に戻しましょうね」ニッコリ

勇者「は、はひ・・・・」


80: 名無しさん@読者の声:2012/1/4(水) 20:33:36 ID:5qvfeQjtIk
きのこ派だが文句あるか?
81: 名無しさん@読者の声:2012/1/5(木) 03:37:26 ID:KKYnYHUpK6
食べやすさならきのこ
味ならたけのこ
そういう私はトッポ派です
82: 名無しさん@読者の声:2012/1/5(木) 08:07:15 ID:4c6./S/36M
トッポってすげえよな、最後まで(ry
83: 名無しさん@読者の声:2012/1/5(木) 18:17:24 ID:Hwuqpvf2x2
切り株派
84: たけちゃん:2012/1/5(木) 21:04:18 ID:stc8zXio6w
俺の小学生の頃のあだ名がたけちゃんだったww

凄まじい偶然ww
85:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/6(金) 01:41:40 ID:GoOVcwF126


20日目

魔王「お前が先ず俺の部下以外と戦いたいと言うから、この3週間程そこら辺の下級魔物と戦わせているんだけどさ」

勇者「はい・・・」

魔王「面識も何も無い初対面の魔物に対しての、その慈悲な心構え。うん、美しいと思うよ」

勇者「・・・」

魔王「でもさぁいい加減慣れろよ!マジで!魔物倒す度に泣かれたらこっちだって困るっつーの!!!最初は何も言わなかったけどさ!!!お前勇者だろがよ!!お前俺倒す気あんの!?世界を平和にしたくないの!?」

勇者「だ、だってこの魔物さん達にも家族が居ると思ったら・・・」

魔王「んなこたぁ考えなくていいんだよ!!お前は甘いんだよ!!!いいか、次は絶対に泣くなよ!絶対にだ!」

勇者「す、すみません・・・」

側近(あんたも十分甘々だけどな。初孫の誕生を祝う爺さん並に甘いけどな)



86:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/6(金) 01:42:26 ID:GoOVcwF126

25日目

スライムC「あ、勇者さん」

勇者「あ、C夫さん」

スライムC「お久しぶりですね。どうです?あれから順調ですか?」

勇者「はい、まぁ・・・ぼちぼちってとこですかね。頑張ってはいるんですが・・・」

スライムC「・・・ちなみに、現在のレベルはお幾つで」

勇者「・・・ろ」

スライムC「ろ?もしや60ですか!?めっちゃ強なったじゃないですか!!!」

勇者「6、です・・・」

スライムC「・・・あ、はー、はい・・・」



87: 名無しさん@読者の声:2012/1/8(日) 08:51:46 ID:LD1KM0hYD6
今一番好きなスレw

魔王が松岡修造で再生されて
とても楽しいです


C
88:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/8(日) 19:17:52 ID:GoOVcwF126
30日目


スライムA「今日は魔王様が居らっしゃらないので変わりに自分がお相手をします!」

スライムA「初日ぶりですね!よろしくちゃっす!」

勇者「は、はい・・・」

スライムA「そんな硬くならなくても!聞きましたよ大分レベル上がったじゃないですか〜。それに最近調子いいじゃないですか〜」

勇者「・・・」

スライムA「今なら俺も倒さますね!さぁ初日の雪辱戦と行きましょうか!」

勇者「あの、その、でも・・・」

スライムA「情けなんかかけちゃ駄目っすよ!今はこうして修行のお手伝いをさせていただいていますけど、元々は敵同士です。それにどうせ魔王様倒したらみんな死ぬんですし!さぁ一思いに!」

勇者「そ、そんな死ぬだなんて簡単に言わないでくださいよ・・・」

スライムA「ごめん!でも割りと真面目にそんな考えじゃ駄目ですよ」

勇者「う」


89:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/8(日) 19:18:12 ID:GoOVcwF126

スライムA「魔王様を倒せるのは勇者さんしか居ないんすよ。魔王様は、勇者がその勇者の剣で倒さない限り誰が何をやっても死なないんですから!」

勇者「私が・・・」

スライムA「魔王様が存命であり続ける事は君等にとって良い話じゃないんだろ?現に魔物が増えてるんだし」

勇者「それはそうですけど・・・」

スライムA「だったらほら!」

勇者「なんか・・・でも、やっぱり、ここまでフレンドリーなのに、優しくしてくれたのに殺すって・・・」

スライムA「・・・人間の感情はこういう時不便っすね。もっと割り切ればいいのに。まぁ必要以上に構ってるこっちもアレですけど」

勇者「分かってるなら・・・」


90:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/8(日) 19:18:29 ID:GoOVcwF126

スライムA「そりゃまぁ気持ちは分からなくも無いですけど。いつかは淘汰しなきゃいけないんだから」

勇者「・・・A郎さんは、人を襲ったことありますか?」

スライムA「ある訳ないじゃないすかー。魔王様からそんな司令下ってませんし、俺も襲う気無いですし。まぁどっかの馬鹿達はあんな事やそんな事やってるみたいですけど」

勇者「・・・なんで、あの魔王さんは人を襲わないんですか?」

スライムA「それは」


91:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/8(日) 19:18:51 ID:GoOVcwF126

側近「襲う理由が無いからですよ。別に人に恨みもありませんし」

勇者「側近さん・・・」

スライムA「側近さんじゃないですか!相変わらず男前ですね!」

側近「ありがとう。給料下げておくよ」

スライムA「な、何故だ!?」

側近「勇者さん、貴女だって嫌いでもない人をぶん殴りはしないでしょう?」

勇者「それはそうですけど・・・」


92:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/8(日) 19:19:07 ID:GoOVcwF126

側近「あんまり聞かせたら勇者さんの意志が鈍るという事で口止めされていたんですが、こんな生活をさせてるのに鈍るも糞も無いと思いまして」

勇者「え?」

側近「あの人は馬鹿でデリカシーがありませんから」

側近「・・・魔王様は勇者様でしか倒せません。他のどんなに強い人間でも魔王様は死にません。勇者がその剣を心臓に突き刺さない限りは」

側近「魔物は、魔王が居るから増殖します。魔物を葬りたいなら魔王を殺さなければなりません。以前もそうでした」

勇者「・・・以前?」


93:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/8(日) 19:19:24 ID:GoOVcwF126

側近「以前の魔王です。先代ですね」

勇者「えっ、でも、それじゃ魔物は・・・あれ」

側近「居ますね。ウジャウジャと。何故でしょう」

勇者「えっと、それは・・・」

側近「・・・以前の魔王はそれはそれは悪行三昧だったそうですよ。今の、うちの魔王様はそんな事一切しませんが」

勇者「言っていましたね・・・」



94:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/8(日) 19:19:40 ID:GoOVcwF126

G
側近「以前の魔王は確かに勇者に殺されました。ですが、その時に勇者は魔王に呪いをかけられたのです」

側近「人で失くなる呪いを。それに伴って、膨大な魔力も手に入った。勇者は人間じゃなくなった」

側近「人間でもない、朽ち果てたモノを勇者と呼べますか。人々は勇者だったモノを脅え石を投げつけた。泣き叫んだ。無理もない、魔物は消えていないのだから」

側近「魔王はそれを狙っていたのかもしれない。今じゃ分からない」

側近「勇者は魔物になっていた」


95:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/8(日) 19:20:00 ID:GoOVcwF126

側近「勇者は絶望しました。守りたい者の為に成してきた事が全て水の泡、無かった事にされたんですから」

側近「人じゃ無くなりましたし」

勇者「酷い・・・そんなのって・・・」

勇者「頑張ってきたのに・・・報われないなんて・・・」

側近「・・・それが、今の魔王様ですよ」

勇者「えっ・・・」


96:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/8(日) 19:20:46 ID:GoOVcwF126
>>94のGは特に意味はないです気にしないで下さい。



側近「だから、貴女に強くなって早く自分を殺してもらいたいんですよ」

側近「自殺も出来ないし、勇者に殺されるしか無いんですからね」

側近「魔王様が魔物を殺れば話は早いんでしょうがなんせ数が多いからね」

側近「最近、魔物も増えたし、前よりも凶悪になってきたから余計ですね」

勇者「・・・」


97:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/8(日) 19:21:10 ID:GoOVcwF126

側近「この話を聞いても聞かなくても、今のあんたの性格じゃいつまで経ってもあの人を殺せないと思うんです」

側近「しかもこんな生活じゃね。だからあの人は馬鹿なんだ。人間なんて情が湧きやすい生き物だという事を自分が一番よく知っている癖に。・・・何百年も魔王やってたら感覚鈍るか」

側近「まぁ鈍っても普通は分かるけど」

勇者「・・・さっき側近さんは、魔王さんが人を襲わないのは、人間を恨んでないからと、言いましたよね」

側近「ええ、言いましたね」

勇者「・・・あんな事されたのに?」

側近「馬鹿ですから」


98:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/8(日) 19:21:30 ID:GoOVcwF126

側近「馬鹿だから、いくら絶望しようと疎まれようと石を投げつけられようと、人間は悪くないの一点張りですよ」

勇者「悪い悪くない、とかそんな問題じゃ・・・」

側近「それが、魔王様のいい所です。悪い所でもありますが」

スライムA「俺もそんな魔王様だからついてきてるしね!」

側近「お前居たの」

スライムA「酷い・・・」



99:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/8(日) 19:21:46 ID:GoOVcwF126

側近「とにかく、そういう事です」

側近「お人好しですから、かなり弱々しい貴女を見過ごす事が出来なかったんでしょうね」

側近「魔王としては失格ですが」

勇者「私、・・・」

側近「まぁ貴女はまだまだ弱いですからね。此処で勇者放棄してもいいですけど、世界は平和になりませんよ?魔物が溢れるだけです。我々が殲滅しようとも間に合わないかもしれませんね」


100:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/8(日) 19:22:04 ID:GoOVcwF126

勇者「ど、どうすれば、いいの・・・」

スライムA「どうするんですか側近さん、勇者さん困ってるじゃないですか」

側近「最初に言っただろ。この人の性格じゃどちらにせよこうなるって」

スライムA「それにしたって・・」

側近「何も知らずに終わるよりは良いと思うけど」

スライムA「あんたも十分デリカシー無いよ」

側近「魔物にデリカシーもへったくれもあるかい」

スライムA「あんた・・・」


101:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/8(日) 19:22:22 ID:GoOVcwF126

スライムA「思ったんだけど」

側近「うん」

スライムA「勇者の剣で魔王様殺せるなら、魔王様棒立ち状態にしてそのまま心臓ブッ刺しちゃえばいいんとちゃいます?」

側近「・・・未だにマトモに剣扱えてないのにか?」

スライムA「・・・いやでも心臓ぶっさすくらいなら」

側近「・・・あんた魔王様の体の丈夫さ忘れたのか?」

スライムA「心臓まで刃が届かないってか!」

側近「あんなに弱いとなー・・・」


102:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/8(日) 19:23:31 ID:GoOVcwF126
とりあえず一旦ここで終わります
超展開もいいところですね、すみません
gdgdですがなんとか完走させるよう頑張ります

そして支援及びレスありがとうございました

103: 名無しさん@読者の声:2012/1/8(日) 21:56:06 ID:rcYVC/WIFc
なんか泣けてきた
魔王すき
うん
勇者も可愛い
側近かっこいい


たがスライムA
テメーはダメだ
減給

支援
104: 名無しさん@読者の声:2012/1/8(日) 22:39:43 ID:vie1bqmG1I
1も早く更新しね〜と減給すっぞゴラァwwww


つCCCCC
105:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/9(月) 01:52:42 ID:GoOVcwF126

31日目
とある村

賢者「よし・・・準備出来たな?」

魔法使い「ええ」

戦士「おーけー」

賢者「じゃあ魔法で魔王城付近に転送するから目、瞑っとけよ」

魔法使い「・・・はぁ」

賢者「・・どうした?溜息なんか吐いて」

魔法使い「どうしたもこうしたもないわよ。一カ月よ?貴方が勇者を魔王城に転送してから一ヶ月。貴方言ってたわよね?妹は選ばれし勇者だから絶対魔王を討ち取る、と。世界を平和に取り戻すと」

戦士「可哀想だよなー。勇者に抜擢された次の日にろくに修行もせず実の兄に半ば無理矢理魔王城に転送させられてさ」

賢者「・・・あの時は浮かれていて、絶対に魔王を倒せれると思ったんだ。まさかこんな事になるなんて」

魔法使い「・・・ほんとアンタ達兄妹は考え無しなんだから。子供でも分かるわよ。無謀だって」

賢者「申し訳ない・・・」

魔法使い「あたしに謝らないで」


106:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/9(月) 01:54:32 ID:GoOVcwF126


魔法使い「あの子が簡単に魔王を討ち取る筈がないのは重々承知だったでしょうに。とりあえず一ヶ月は待ってみたけども、倒していないのはこの状況を見たら明白ね」

戦士「魔物は、消えていないもんな」

魔法使い「村の被害も酷過ぎる。貴方自分のした事分かってるわよね?無責任な行動をするとこうなるのよ」

戦士「実際、お前たち兄妹を疎んじてる奴だって居るぞ。この際だから言ってみるけどさ―」

賢者「あぁ・・・申し訳ない、本当に・・・」

戦士「謝ってばっかだな、おにーさん。先ずは安否も分からない妹に謝罪しとけよ」

賢者「・・・・勇者」



107:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/9(月) 01:55:12 ID:GoOVcwF126


戦士「しかし、勇者ちゃん大丈夫かねー」

魔法使い「それは分からないわ。行ってみないと。・・・死んでたら、あたしはアンタを絶対に許さないからね」

賢者「・・・」

魔法使い「あの子はあたし達にとっても妹なんだから。幼い頃からずっと一緒に居たのよ。賢者、アンタも辛いだろうけど、あたし達も辛いの」

戦士「死んだか、はたまた生きているが死んでると同等の扱いをされているか。・・・肉奴隷とかな」

賢者「!お前・・!」

戦士「何怒ってるんだよ。可能性は無いってこた無いだろ?言っとくけどなぁ、お前が全部悪いんだからな!!!勇者の気持ちも能力も考えず、浮かれやがって!何が勇者なら大丈夫だ!確証あんのかよ!いつもピーピー泣いていた女の子だぞ!お前兄として最低な事したんだぞ!一緒についていければ良かったものの・・・」

賢者「くっ・・・」

魔法使い「・・・とりあえず、今は責めても仕方が無いわね。一刻を争うもの・・・。賢者、ごめんなさい」

賢者「・・・」

戦士「・・・悪かったな」

魔法使い「時間、とらせてしまったわね・・・。ごめんなさい」

賢者「いや、じゃあ・・・行こうか」


108: 名無しさん@読者の声:2012/1/9(月) 02:39:33 ID:EYvskT0Xck
あらいきなりシリアスモード?wktk

    ∧_∧
    ( ;・∀・)ドキドキ
  oノ∧つ⊂)
  ( ( ;・∀・)ハラハラ
  ∪( ∪ ∪
    と__)__)
109:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/9(月) 23:39:49 ID:GoOVcwF126


−−−

魔王「・・・どうした、剣が鈍いな」

勇者「え、あ、す、すみません・・・」

魔王「慈悲の心もいいけど、お前は勇者だろがよ。そんな考えは捨てろって言わなかったか?」

勇者「はい、そう、ですね・・・・」

魔王「・・・魔物を狩ろうと言う気も感じられないんだけど」

勇者「・・・はい」

魔王「・・・っつーかいつも以上に覇気がねぇんだけど」

勇者「・・・ごめんなさい」

魔王「・・・」

勇者「・・・」

魔王「あー!!!」

勇者「!?」ビクッ


110:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/9(月) 23:40:16 ID:GoOVcwF126


魔王「休憩だ、休憩!!!っつーか今日はもう終わり!!!今日の修行は終わりです!!!」ドカッ

勇者「えっ!?え!?ご、ごめんなさい!だらしなくて!今から、今から、頑張ります!!」

魔王「うっせ!そんな今にも死にそうな面で修行なんか出来るわけねーだろ!いいから座れ!!」

勇者「は、はい!」ストン

魔王「チッ、人間の女はいつもそうだな。色々と面倒くさい。つか面倒くさい」

勇者「ごめんなさい・・・」

魔王「・・・はぁ、まあいいや。んで?何があった」

勇者「えっ・・・」


111:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/9(月) 23:40:57 ID:GoOVcwF126


勇者「そ、それは・・・」

勇者(魔王さんの秘密を、知ってしまって、案の定意志が鈍っただなんて・・・)

魔王「・・・」

勇者「言え、ないです・・・ごめんなさい」

勇者(本当は魔物じゃなくて私達と変わらない人間・・・)

勇者(どうすればいいんだろう・・・。今のままじゃ世界を平和にするなんて私には荷が重すぎる)

勇者(心の何処かで魔王城のみんなに甘えていたのかもしれない・・・いや、甘えていた)

勇者(思っちゃいけないのに、楽しかった・・・)

魔王「・・・別に」

勇者「・・・ごめん、なさい」

魔王「何謝ってんだよ」

勇者「ごめん、なさい、ごめ・・・」ポロ

魔王「!?」



112:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/9(月) 23:41:17 ID:GoOVcwF126


魔王「ちょっ、ちょ、おまっ、急に泣くなよ!何があったんだよ!俺か!?俺が悪いのか!?面倒くさいとか言ったからか!?あ、今朝の飯が不味かったか?」

勇者「ちがっ、わた、私・・・もう」

魔王「えっ、え?・・・泣くなって!よく分かんねーけど!!」

勇者「私、世界を救えないです、まお、魔王さんも倒せないっ、嫌ですっ、ぐすっ」

魔王「はぁ?お前それは聞き捨てならんぞ、何回も言ってるけど嫌だ言われてもお前がやんねぇと無理なんだってば」

勇者「・・・ごめ、ごめんなさいっ・・・私弱くて・・・」

勇者「皆さんの、優しさに、甘えて・・・」

勇者「魔王さんも、辛いのに・・・弱くて、ごめんなさい・・!」

魔王「・・・よく分からんけど、とりあえず泣きやめ。落ち着け。話にならん」

勇者「う、ごめ、んなさい」

魔王「謝んな」



113:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/9(月) 23:41:37 ID:GoOVcwF126


魔王「落ち着いたか?」

勇者「はい・・・」

魔王「じゃあ聞くけど、何で泣いたんだ?何があったんだ?」

勇者「そ、れは・・・」

魔王「言いたくないのか、それとも俺には言えないのか」

勇者「・・・どちら、とも」

魔王「ふーん・・・」

勇者「ごめんなさい」

魔王「お前謝りすぎ」


114:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/9(月) 23:42:29 ID:GoOVcwF126
ああ展開が早い(;´Д`)
また明日更新します
115: 名無しさん@読者の声:2012/1/9(月) 23:47:55 ID:B9T6SVumZs
急に変えてきたな

まぁC
116: 名無しさん@読者の声:2012/1/10(火) 18:31:20 ID:EDf04Jpibk
いや、このくらいスピーディーな方がスリルがある

スピードオーバーにはお気をつけあそばせ


C
117:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/10(火) 23:06:05 ID:GoOVcwF126

−−−

賢者「・・・と、着いたな。お前ら大丈夫か?」

魔法使い「ええ。壊れ物の様に転送してくれたもの。有難う」

賢者「・・どうも」

戦士「えーと、此処は・・・」

魔法使い「魔王城近くの森ね。此処の森を抜ければ魔王城に着くはずよ。そうでしょう?お兄さん」

賢者「・・・ああ」


118:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/10(火) 23:06:35 ID:GoOVcwF126

戦士「こっからでも城の姿が見えるな。ケッ、魔物の癖に良い処に住んでるじゃねえか」

魔法使い「幾ら魔王と言えど、こんな如何にもな場所に拠点を作って狙われないのかしら」

戦士「逆に分かりやすすぎるからこそ、誰も襲わないのかもなー」

魔法使い「どっしり腰を据えるから強さが如実に表れるという事かしらね」

戦士「カリスマオーラが露呈してんのか」

魔法使い「それはよく分からないけれど」

戦士「・・・しかし、此処から見える範囲でも魔王城って言う割には禍々しい雰囲気は無いな」

魔法使い「どちらかと言えば普通のお城よね」


119:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/10(火) 23:06:55 ID:GoOVcwF126

戦士「魔物の気配はするけれど、嫌な感じはしないし」

魔法使い「カモフラージュかもしれないわ。身を引き締めて行くわよ」

賢者「・・・」

戦士「さっきからだんまりじゃねーかよ、賢者」

賢者「・・・ああ、悪い。少し考え事をしていた」

戦士「ふーん?」

魔法使い「考えに集中して足を引っ張らいで頂戴よ」

賢者「・・・手厳しいな」


120:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/10(火) 23:25:07 ID:GoOVcwF126

スライムC「あー、側近さんも人使い・・いや、スラ扱いが粗い事で・・・」

スライムC「森に生えてるキノコとってこいとかさー、いやきのこ派だけどそれとこれとは違うというかー」

スライムC「ってか側近さんだってきのこ派やん」

スライムC「全く」ブツブツ

スライムC「・・・あ」

スライムC「どうやってキノコ採ろう・・・」

スライムC「・・・と、とりあえずスコップを口に加えてそれでなんとかするか」



121:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/10(火) 23:31:25 ID:GoOVcwF126


戦士「あ、魔物だ」

魔法使い「放っておきなさい。スライムじゃないの」

戦士「スライムと言っても魔王城の近くに生息してる奴だぜ?それなりに強いかも」

魔法使い「そうだったら尚更放っておきなさい。此処で無駄に体力消耗しても支障が出るだけよ」

戦士「ちょっとくらい剣振るわしてくれよ。鈍ってるかもしれねえ」

魔法使い「・・・昨日も振るっていたじゃないの」


スライムC(・・・?なんか近づいてくる?)

スライムC「!?」

スライムC(に、人間!?しかも3人!?)

スライムC(・・・いや、落ち着け。もしかしたらまた刺客か何かもしれない)

スライムC(だとしたらムシ。ムシムシ。逃げよう)




122: 名無しさん@読者の声:2012/1/11(水) 07:11:36 ID:ReKGlJMPIA
逃げろぉぉおお!!
逃げるんだスライムC!!
123: 名無しさん@読者の声:2012/1/11(水) 07:37:29 ID:6Hka36SpzI
逃げてくれスライムー!
124: 名無しさん@読者の声:2012/1/11(水) 13:12:36 ID:rGeVyfef4c
スライムC逃げてぇぇぇ
125: 名無しさん@読者の声:2012/1/11(水) 17:00:14 ID:gsXgseuz3c
スラシー!
126:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/11(水) 23:47:28 ID:GoOVcwF126


スライムC(さっさと城に帰って側近さんと魔王さんにあの人間達を報告しないと)

スライムC(キノコ採ってないけど、事情話したらあの側近さんでも許してくれるだろ・・・)

スライムC(あの人もそこまで鬼じゃない・・・と、思う)

スライムC(いつもはこんな心配しなくてもいいんだろうけど・・・今は勇者さんが居るからな・・・)

スライムC(もし勇者さんとあの人間たちが鉢合わせになったら勇者さんが殺されるかもしれない)

スライムC「・・・ん?」

スライムC「あれ、は」

スライムC「・・・えっ」



戦士「あ、増えた」

魔法使い「え?」

戦士「スライムが増えた」

魔法使い「あら本当。いつの間に」


127:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/11(水) 23:47:44 ID:GoOVcwF126

スライムC(ちょっ、ちょっ、ちょ、何でアイツら一斉にこっち来てんだよ)

スライムA「おーい、Cー!」

スライムC(うるせええAうるせえええ)

スライムB「キノコ採り一人じゃ大変だろ?手伝ってやるよ」

スライムC(ありがてえ・・・ありがてえけど・・今は邪魔だ)

スライムD「なあ今日の勇者さん見たー?アンニュイな感じがくそ可愛かったわ」

スライムC(お前死ねよ)


128:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/11(水) 23:47:58 ID:GoOVcwF126


スライムC「お前らマジ・・・マジさあ・・・!」

スライムA「えっ?何?キノコ採れた?」

スライムC「いやキノコとかどうでもいいんだよ」

スライムG「どうでもよくないだろー今日の晩御飯に使うんだろー?」

スライムC「いやだからどうでもいいんだってば。早く帰ろうぜ」

スライムB「えー??何でー?」

スライムC「騒ぐなってば」

スライムE「ん?・・・・あれっ、向こうから来るの人間じゃね?」

スライムF「え?」


129:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/11(水) 23:48:18 ID:GoOVcwF126

スライムB「うわ本当だ。人間だ。勇者さん以外の人間久しぶりだな」

スライムE「あの人間が居るから帰りたがってんのか?そりゃまー報告は大事だろうけど、魔王様くそ強えしあんな人間如き放っておいても大丈夫だろ」

スライムC「いやそれについては心配はしてないんだよ。只、ほら今は勇者さんが居るだろ」

スライムD「あっ」

スライムG「あーそっか」

スライムA「勇者さんが魔物と勘違いされて殺されるかも・・・しれないってか?」

スライムF「そんなまさかー」

スライムC「確証はなきにしもあらずだろ。用心はしておいた方が良いと思う。急いで帰って、勇者さんを安全な場所に隔離した方が良い」


130:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/11(水) 23:48:38 ID:GoOVcwF126

戦士「ひー、ふー、みー、・・・・7匹か」

魔法使い「急に増えたわね」

賢者「・・・仲間かもしれないな」

戦士「ありゃキングスライムになる前に狩ったほうがいいんでね?」

魔法使い「・・・そうね、仕方ないわね。此処で足止めを喰らっても弱るし。」

戦士「んじゃ、そうと決まれば」チャキッ

賢者「一人で大丈夫か?」

戦士「お前何年オレの幼馴染やってんの。こんなんオレ一人で十分だっつーの」

魔法使い「あまり力は使わないでね。相手が強い様なら直ぐに応戦するから」

戦士「へいへい」


131:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/11(水) 23:52:19 ID:GoOVcwF126


スライムB「なぁ・・・何か人間が剣持ってこっち向かって来てないか?」

スライムC「勘付かれたか?!」

スライムA「やべっ早くずらかろうぜ!」

スライムC「だからさっきからそう言って・・・!」

スライムF「やばいやばいめっちゃ速い!!」

スライムG「急げ急げ!!!」

スライムD「むぎゅっ」グイッ

スライムC「D!?」


132:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/11(水) 23:55:50 ID:GoOVcwF126


スライムD「いた・・・何?」

戦士「・・・このスライム達無駄にすばしっこいな・・・踏んで正解だわ」

スライムC「あ・・・」

戦士「とりあえず・・・・」クルッ

スライムD「!」ビクッ

戦士「1匹目、」ザシュッ

スライムA「D!!」

戦士「お?なんだこのスライム喋るのか?ははっ、おもしれえ」ザシュッ

スライムB「・・・!」

戦士「悪いな。お前達に恨みは無いんだけど」ズシャッ

戦士「此処で足止めくらっちゃ困るんだ」ザッ


133:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/12(木) 00:45:22 ID:PlpNruQFh6
>>126の スライムCの台詞で
「魔王さん」がありますが正しくは「魔王様」です
すみません
134: 名無しさん@読者の声:2012/1/12(木) 01:43:37 ID:RnZCe8tbrA
戦士、てめぇは俺を怒らせすぎた…

恨みはらすからなァッ!!!
135: 名無しさん@読者の声:2012/1/12(木) 06:35:45 ID:U5PmRreCDE
スライムッ!


っダイヤモンドの鎧
136: 名無しさん@読者の声:2012/1/12(木) 07:25:50 ID:0m2kiAr3nk
スライムの人気さww



スライムを保護させろ下さい
137: 名無しさん@読者の声:2012/1/12(木) 07:32:27 ID:BC1ymxvK56
知ってるか?最近のスライムはマダンテがつかえるんだぜ?

つまりそーいうことだ
138: 名無しさん@読者の声:2012/1/12(木) 10:36:36 ID:rGeVyfef4c
>>137 知ってるか?最近のスライムはザオリクがつかえるんだぜ?

つまりそーいうことだ
139: 名無しさん@読者の声:2012/1/12(木) 14:37:03 ID:5RBL5NS2bY
マダー?
140:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/12(木) 21:53:20 ID:GoOVcwF126

---

戦士「・・・全く歯応えが無かった。全員一振りで死にやがった。あーあーつまんね」

魔法使い「ちょっと・・・さっきから悪役キャラみたいな台詞やめてよ。あたし達が悪いみたいじゃないの」

戦士「冗談だよ。ちょっと言ってみたかっただけさ。オレだってスライムさん達を痛めつけちゃって心が痛いさあ」

魔法使い「本当かしら、それにしては面白がってたわよね」

戦士「そう見えた?あーそう言えばあのスライム、なんか人間の言葉を話してたな」

魔法使い「ふうん。まあ珍しいことでも無いわよ」

戦士「そうなの?オレ初めて見たんだけど」

魔法使い「それは貴方が戦闘狂だからじゃないの。口より先に身体が動いてるもの、マトモな話し合いなんてした事ないでしょ」

戦士「ほっとけ」

賢者(話し合いねぇ)


141:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/12(木) 21:53:44 ID:GoOVcwF126


賢者「・・・」

賢者「すまないね、君達」

賢者「俺達どうしても魔王城に行かなくてはならないんだ」

賢者「妹がね、どうなっているか心配なんだ」

賢者「生きていてくれたら良いが、その望みは薄そうなんだよな・・・」

賢者「・・・」

賢者(言葉が話せれるならば、聞けば良かったな。今となってはもう遅いけど)

賢者(安否を確認しに行くだけだ。そんな問題ではないだろう)


142:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/12(木) 21:54:00 ID:GoOVcwF126

戦士「なに魔物の亡骸じっと見てんだよ。気味悪いぞー」

賢者「・・・見てないよ」

魔法使い「埋葬しようだなんて馬鹿の事考えないでよ。魔物に感情移入しないで」

賢者「していないよ」

賢者「・・・勇者と違って弁えている、つもりだ。どの道魔物はいずれは殲滅しなければならない存在だし」

魔法使い「無駄な戦いは極力避けて欲しいのだけれどね」

戦士「・・・まぁ勇者ちゃんは優し過ぎるからな」

魔法使い「度を越した優しさは甘さに繋がるって誰かが言ってたわね」

戦士「甘いし、臆病だな。とても勇者なんてガラじゃない子だな」

魔法使い「本当にね・・・」

魔法使い「・・さて、見えてきたわよ。魔王城」


143:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/12(木) 21:54:20 ID:GoOVcwF126

−−−

側近「今日のご飯はキノコご飯ですよ。たけのこ魔王様」

魔王「あ、お前今来ちゃうの。この若干重たい空気の時に来るの。ってか何だよたけのこ魔王って。たけのこは菓子だろ」

側近「空気は敢えて読まない事をモットーとしていますから」

魔王「そういうのやめて」

側近「勇者さんが泣いて魔王様が童貞男子の如くアタフタしているトコ、面白かったです」

魔王「おいやめろ」

側近「今スライム達にキノコ採り行かせてます。帰ってきたらご飯にしましょうか」

魔王「あぁ、もうそんな時間なのか」

側近「まぁあのスライム共に任せても良い収穫は得られなさそうですけど」

魔王「何で行かせたんだよ」

側近「そこに居たからです」


144:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/12(木) 21:54:39 ID:GoOVcwF126

魔王「本当お前は人使いが荒くて粗いよな」

側近「この場合はスラ扱いかと思われますね」

魔王「んなこたぁどうでもいいわ!」

側近「どうでもいいだなんて、言葉は正しく使わないとお里がしれますよ・・・たけのこの里だけに」

魔王「知らねえし上手くねえしいつまでソレ引っ張るつもりだよ。大体魔物にそんな事を強要するな」

側近「別に強要はしていませんねー被害妄想甚だしい」

魔王「あーそうかよ。ハイハイ」

側近「・・・とりあえず、スライム共が帰ってくるまで中に入っておきましょう。ほら勇者さんも。そんな喪中状態みたいなテンションはやめて立って下さい」

勇者「も、喪中・・・」

勇者(だ、誰のせいだと・・・)

勇者(・・・あ、駄目だ側近さんのせいにしちゃ、駄目だ)



145:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/12(木) 21:54:57 ID:GoOVcwF126

勇者(勇者は魔王を討つモノ。それは依然として変わらない仕組み。でも、今の私にその大役果たせるだろうか・・・少なくとも、今のこの甘えた、かいない気持じゃ絶対無理だ)

勇者(どうして私なんだろう。他の人が選ばれたらこんな思いには。そのまま村で過ごせていたのに・・・)

勇者(村、・・・そう言えば)

勇者「今日で、一ヶ月か・・・」

魔王「何がだ?」

勇者「あっ、いえ、魔王さんと修行をし始めてから・・・村を出てから、もう、一ヶ月になるんだなあって・・・」

魔王「そう言えばもうそんな経ったのか・・・いい加減強くなれよお前。精神も」

勇者「ご、ごめんなさい・・・」


146:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/12(木) 21:55:18 ID:GoOVcwF126

勇者「お兄ちゃん、元気かなあ・・」

魔王「そういや賢者の兄がどうのこうのって初めて会った時言ってたな」

勇者「よく、覚えていますね・・・」

魔王「あまりにも無責任な兄に驚いて無駄に覚えてしまっただけだ」

勇者「む、無責任って・・・!!」

魔王「無責任だろがよ。こんな心身ともに弱い妹を一人ラスボス城まで転送しやがるんだから」

魔王「死んだらどうする気だったんだろうな」

勇者「・・・・っ」

側近「この魔王様じゃなければ確実に死んでいましたね、勇者さん」

勇者「・・・・」


147:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/12(木) 21:55:46 ID:GoOVcwF126

−−−

賢者(さっきも思ったけど、本当に魔王城とは思えない)

賢者(魔物の気配はすれど嫌な感じはしない。殺気立っていないというか・・・)

魔法使い「・・・着いたけれど、魔物のお出迎とかは無いのね」

戦士「警備がなっていないのか、それとも罠なのか」

魔法使い「どちらにせよ、此処で立ち止まっても仕方ないわ。行きましょう」

戦士「そだな」

賢者「・・・・」


148:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/12(木) 21:56:04 ID:GoOVcwF126

戦士「無駄に広い城だなー」

魔法使い「お城は広いものよ」

戦士「それにしたってデカすぎ。・・・こっちが裏庭かね」

戦士「・・・・ん?」

魔法使い「何か見つけたの?」ヒョコッ

魔法使い「・・・・えっ」

賢者「どうした?」

魔法使い「・・・勇、者?」

賢者「え?」


149:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/12(木) 21:56:55 ID:GoOVcwF126

側近「兎に角、話なら中でしましょう。ほら早く立ってくださいよ勇者さん。腰でも抜けましたか」

勇者「い、今立ちます・・・!っ・・・あいたあ!」ズテッ

魔王「お前そのドジっ子癖どうにかしろよ。・・・む?」

勇者「す、すみません・・・あいたた・・・」

側近「ん・・・」

賢者「・・・」ザッ

魔王「・・・お前ら誰だ」

勇者「?誰かいらっしゃる・・・・・」クルッ

勇者「えっ・・・?お、お兄ちゃん・・・?」


150:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/12(木) 23:19:58 ID:GoOVcwF126
いつも支援やレスありがとうございます(*´∀`)
今は超展開や謎シリアスでわけがわかんないと思いますがなんとか楽しく読んでもらえるよう頑張りたいと思います!

151: 名無しさん@読者の声:2012/1/12(木) 23:28:45 ID:rcYVC/WIFc
スライム・・・マジで死んじゃったの?
152: 名無しさん@読者の声:2012/1/12(木) 23:30:49 ID:R/pXqWMDcs
スライムー!!
スライム死んだら涙が…
153: C:2012/1/13(金) 00:02:31 ID:T2kk9rvpGo
ホイミ!ベホイミ!ベホイム!
ホイミホイミホイミ!(´;Д;`)
154: 名無しさん@読者の声:2012/1/13(金) 10:36:09 ID:rGeVyfef4c
俺が…俺がメガザルを唱えれたら
スライム達は生きかえるのに…!!(´;ω;`)
155: 名無しさん@読者の声:2012/1/13(金) 12:45:52 ID:qYfOiSNYkg
っ世界樹の葉
156: っCCC:2012/1/13(金) 19:01:09 ID:3OZMVoxomE
スライムは死んだ、もういない!だけど俺の背中にこの胸に、1つ(キングスライム)になって生き続ける!
157: 名無しさん@読者の声:2012/1/13(金) 19:53:55 ID:dQzi.35icA
そうだ!スライムはみんなの心の中に…!
158: 名無しさん@読者の声:2012/1/13(金) 21:32:13 ID:t/ktAHJAz6
今更ながら支援。スライム勢にコアラのマーチをお供えしたい…
159:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/14(土) 01:44:59 ID:GoOVcwF126
スライムA「俺らが死んでも変わりはいるもの」

スライムC「おいやめろ」

スライムF「支援ありがとうございます!」


また昼くらいに更新します
160: 名無しさん@読者の声:2012/1/14(土) 12:53:15 ID:5qvfeQjtIk
支援
161:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/14(土) 20:35:04 ID:GoOVcwF126
昼くらいに更新と言ってたのに嘘ついてごめんなさいでした。





魔王「お兄、ちゃん・・・?」

側近「この人間達、勇者さんの知り合いか何かですか」

戦士(・・・勇者"さん"?)

勇者「お、お兄ちゃん達、どうして、此処に・・・・」

賢者「勇者・・・お前・・・」

魔法使い「・・・この状況は一体どういう事?」

勇者「そ、れは・・・」

賢者「良かった・・・」

勇者「え?」

賢者「生きていてくれて、良かった」


162:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/14(土) 20:35:28 ID:GoOVcwF126


勇者「お兄ちゃん・・・」

賢者「俺の浅はかな考えのせいでお前が死んでしまったんじゃないかって、ずっと思ってた」

魔王「・・・」

賢者「悪かった。何も考えずにこんな処に転送して。浮かれていた自分が憎いよ」ギュッ

勇者「!」

賢者「でも良かった、元気そうだな」

勇者「・・・・あ」

勇者「ご、ごめんなさい・・・」

側近(なんかチキンそうな男だ)

魔王(どんな冷酷無慚な人間かと思ったら、なんだ、一応ちゃんと妹に対する愛情は有ったんだな)

戦士「いや良くねーだろ。自分の世界に入り込むなよ賢者」ドカッ

賢者「痛っ!」


163:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/14(土) 20:35:46 ID:GoOVcwF126

戦士「おい、あんたら何なんだ。人間みてえな風貌してるけど、魔物だよな?アレか?魔王の部下か何かか?勇者ちゃ・・・コイツと親しげに話してたけどどういう関係だよ。答えようによっちゃ殺すぞ」

側近「・・・僕達からしたら突然乗り込んできた不審者のアンタ達が先に名乗るべきだと思いますけど」

戦士「あ?」

魔法使い「ちょっと、剣を握らないで。話通じそうだし、斬り込むのは後にして」

戦士「チッ・・」

魔法使い「とりあえず・・・あたし達はこの勇者と同じ村の出身で、保護者であり幼馴染よ」

魔法使い「そこの馬鹿で無神経で考え無しの兄のせいで安否が分からなくなった妹を探しに来たの」

賢者「う・・・」

側近「言うね、お嬢さん」

魔法使い「こんなもんでいいでしょ?次は貴方達があたし達の質問に答えなさい」


164:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/14(土) 20:36:15 ID:GoOVcwF126


魔法使い「貴方、魔王でしょ?」

魔王「ああ、そうだけど」

戦士「はー?お前が魔王ー?冗談は抜きにしろよ。確かに角生えてて如何にもなマントしてるけど、こんな軟弱そうな奴が魔王とか在り得ないんですけど。少女漫画じゃねえんだぞ」

魔法使い「脳筋な貴方には分からないでしょうけど、馬鹿みたいに膨大な魔力を感じるわ。上手く抑えてるみたいだけど」

戦士「・・ふーん、まあ魔法の事は専門外だから分かんねーけど、魔法使いが言うならそうなんだろうな」

側近「だろうも何も実際魔王なんですけどね。まあ見えないのは同意ですが」

魔王「うるさい」

戦士(何かいけ好かない野郎だな)


165:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/14(土) 20:36:49 ID:GoOVcwF126


側近「ああ、それと僕はこのだらしない魔王様の部下の側近です」

戦士「側近さんねぇ。どちらにせよあんたも魔物だろう?」

側近「ええ、此処に居る人間は、勇者さんと貴方達保護者しか居ませんよ」

戦士「・・・・その勇者"さん"って何なんだよ。その馴れ合いみたいなん鬱陶しいな」

側近「馴れ合いね。言い得て妙ですね」

戦士「は?」


166:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/14(土) 20:37:04 ID:GoOVcwF126


賢者「・・・貴方達は妹と、勇者と一体何をしていたんだ?」

戦士「随分親しげそうだったな?」

魔法使い「・・・説明してくれるかしら?」クルッ

魔法使い「勇者」

勇者「えっ、・・・わ、私?」

魔法使い「そうよ。まさかこのまま傍観者気取るつもりじゃなかったでしょうね?」

勇者「そ、そんな事無いよ・・・私のせい、だし・・・」

魔法使い「じゃあ説明して。貴女とコイツらはさっきまで何をしていたの?」

勇者「しゅ、・・・・」

賢者「しゅ?」

勇者「修行して、ました・・・」


167:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/14(土) 20:37:19 ID:GoOVcwF126

賢者「・・・修行?」

魔法使い「魔物と・・・魔王と・・?」

戦士「はぁ!?なんだよソレふざけんなよ!!」

勇者「・・・・」

魔法使い「この一ヶ月もしかして・・・」

側近「強くなるために、僕達と修行してました」

賢者「本当、なのか?嘘ついてないよな?言わされてるとか・・・」

戦士「んな馬鹿な話があってたまるかよ・・・!」

勇者「ほんとう、です・・・ごめんなさい」

魔法使い「・・・」


168:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/14(土) 20:40:45 ID:GoOVcwF126

魔法使い「・・・勇者、今村は魔物の被害が酷く、廃村と言われてもおかしく無い程荒んでるわ」

勇者「・・・えっ、う、嘘!」

戦士「嘘じゃない。元々から少し被害はあったのは知ってるだろうけど、最近は異様だ。魔物の凶暴化、増殖化、全てが異様だ。荒む程だからな」

魔法使い「この一ヶ月、貴女が魔物とのうのうと修行していた間の話よ。まあ今も継続中だけど」

勇者「う、そ・・・・」

賢者「今は村の戦える者等がなんとか魔物を凌いでくれているが、それも時間の問題だ。俺達でも塞ぎきれるかどうか」

勇者「・・・・そんな」

側近(また馬鹿な魔物の仕業ですか・・・)ヒソ

魔王(いや、明らかに凶暴化とかが原因だろ・・・)ヒソ

側近(なんとかしてくださいよ。あんた魔王でしょ)ヒソ

魔王(魔王だからって何でも出来ると思うなよ)ヒソ

戦士「・・・」


169:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/14(土) 20:42:23 ID:GoOVcwF126

戦士「勇者ちゃんよぉ、確かにお前は糞弱いし臆病だし甘ちゃんの女の子で勇者なんてガラじゃない、それも分かった上で賢者は此処に転送した。コイツが全部悪い。けどよ、この状況なんだよ。なあ。何で魔王なんかと一緒に修行しているんだよ。何で仲良しこよしみたいな事してんだよ。ふざけてんの?」

勇者「う、あ・・・」

賢者「・・・戦士」

側近「まあ、怒るのも無理は無いですけど・・・」

魔王「お、おい。何もそこまで・・・」

戦士「魔物は黙ってろよ!!」ジャキッ ブンッ

魔王「!」



170:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/14(土) 20:42:48 ID:GoOVcwF126

戦士「・・・・かって。切り傷一つもついてやしねえ」

魔王「・・・伊達に魔王名乗っていないからな」

戦士「はん、そーかよ。あんたとやり合いたいところだけど、今はソレどころじゃないしな・・・」

勇者「ま、魔王さん!」タッ

戦士「!」

賢者「勇者?」

勇者「だ、大丈夫ですか?魔王さん!お怪我、ありませんか?」

魔王「・・・大丈夫だ。さっきあの兄ちゃんが言ってただろ"切り傷一つもついてない"って。人の話はちゃんと聞きなさい」

勇者「すみません・・・。良かった・・・」

戦士「なんだよ、それ・・・」


171: 名無しさん@読者の声:2012/1/14(土) 21:28:10 ID:BrQwzrbVPw
スマン、一言だけ言わせてくれ

戦士マジうぜえ
172: 名無しさん@読者の声:2012/1/14(土) 21:29:48 ID:JmyCuwL9V2
戦士は口悪いだけでこの世界では普通の人間の反応だろう

173: 名無しさん@読者の声:2012/1/14(土) 21:45:09 ID:OD/dcgKm2s
だがしかし戦士チャレェ

C
174: 名無しさん@読者の声:2012/1/14(土) 21:46:10 ID:huAFCDdjR.
>>172
普通の人間の反応だろうと一回戦士には勇者に土下座してもらわないと許さない
あとスライムにも
175: 名無しさん@読者の声:2012/1/14(土) 22:04:39 ID:pbBSj7o3Fs
なんであろうと戦士には戦死してもらう
176: 名無しさん@読者の声:2012/1/14(土) 22:09:27 ID:jowajketls
戦士嫌われすぎww
177: 名無しさん@読者の声:2012/1/15(日) 00:18:35 ID:UQPjzjChP2
戦士は死してこそだ。という訳で逝ってくれ
178: 名無しさん@読者の声:2012/1/15(日) 02:00:22 ID:5qvfeQjtIk
戦士超嫌われてるな
179:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/15(日) 03:55:32 ID:GoOVcwF126

戦士「なんだよソレ!!ふざけんのも大概にしろよ!!!お前は勇者でコイツは魔王じゃねえのかよ!!何仲良くなってんだよ!!啀み合うべき敵じゃねえのかよ!!勇者は魔王を倒さなきゃなんねえだろ!!何が修行だ!!馬鹿じゃねえの!!遊びじゃねえんだよ!!」

勇者「あ・・・・の、それ、は・・・」

魔法使い「・・・ちょっと、落ち着きなさいよ」

戦士「これが落ち着いてられるかよ!どうしてこうなったのは分かんねえけど、魔王と修行、よもや仲良くなるなんてあってはならない事だろ!勇者、お前のすべき事はなんだ?魔王と仲良くなる事じゃないだろ?!世界を平和にする事じゃないのか!?違うか!?」

勇者「・・・」

戦士「・・・心配、したのに」ボソッ

勇者「え?」


180:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/15(日) 03:55:51 ID:GoOVcwF126

魔王「おい待て、そいつばっかり責めたって仕方ないだろ。俺が悪いんだよ。俺が安易にそいつに稽古をつけさせようとしたからだ。責めるなら俺にしろ」

戦士「変わった野郎だ。敵を庇うだなんてな。お前それでも魔王か?何でそんな修行をつけさせようと思ったんだよ」

魔王「・・・あまりにも弱々しかったから。このままじゃ俺を倒すどころの問題じゃなさそうだったからな」

戦士「同情ってわけか?」

魔王「・・・ああ」

戦士「んだよそれ庇ったり同情したり仲良くなったり、魔物の癖に人間みたいな感情持ちやがって。気持ち悪ぃんだよ・・」

魔王「・・・悪かったな」

側近(人間ですからねえ)


181:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/15(日) 03:56:12 ID:GoOVcwF126

賢者「戦士、俺にも責任がある。そもそもこの事は全部俺が悪いんだろう?お前言ってたよな。俺がそのまま転送させずに、一緒に旅をしてやれば良かったんだ」

戦士「そうだな。お前も悪いな。だがこの魔王も腐れ野郎だ」

勇者「ま、待って・・・!わ、私だって、魔王さん達の気持ちに甘えて・・!お兄ちゃんにだって迷惑かけて・・・!私が弱いから・・・!!私が強かったらこんな事には・・・!」

戦士「・・・・魔王"さん"だって・・?」

勇者「!」ビクッ

魔法使い「・・・責任という点ならあたし達にも反省すべき所があるわ。賢者の行動を止めなかった事も。後を追いかければ良かったのに」

戦士「それは・・」


182:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/15(日) 03:56:29 ID:GoOVcwF126

側近「・・・ちょっと、いつまでその茶番続ける気ですか」

魔王「おい、空気読めよ・・・」

側近「読んでるからこその発言ですよ」

側近「誰が悪いとか誰が正しいとかそんな眠たい冗談もういいです。聞き飽きました。自己犠牲精神素晴らしいです。泣けます。泣きました。これでいいでしょう?」

戦士「はあ?何言ってやがるんだテメエ・・・!」

側近「此処で責任の押し付け合いしたら魔物が居なくなるとでも?それは実に簡単ですね凄いですお手軽万歳です」

魔法使い「・・ふざけてるの?」

側近「・・・人間は本当に面倒くさいですね。自分の事ばかりで目先の事は何も考えていないんだから。今こうして諍いをしている間にも魔物は増えているんでしょ?」

側近「僕お腹がすきました。キリの良いところでその茶番終わらせて下さいよ。迷惑です」


183:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/15(日) 03:56:49 ID:GoOVcwF126

魔法使い「・・・」

賢者「・・・」

戦士「チッ」

勇者「・・あの、私」

魔王「もういい。とりあえずこの件に関しては一先ず終了だ」

勇者「魔王さん・・・」

魔王「おい賢者とやら。妹を探しに来たんだろ?持って帰れよ」

勇者「!?魔王さん!」


184:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/15(日) 03:57:03 ID:GoOVcwF126

勇者「し、修行は」

魔王「俺に教えてもらうよりコイツらに教えてもらった方がいいんじゃないか?魔王と修行するなんてオカシイと最初から思ってただろ?」

勇者「・・・最初は思ってましたけど、でも、今は・・!」

魔王「それに、余計な感情もついてしまったみたいだしな。今の状態じゃどちらにせよ俺を倒すなんて到底不可能だ。・・・悪かったな、余計な真似してよ。破門・・で、いいのか?」

勇者「ま、おうさん・・・!」

戦士「全くだな。お前がいらん事をしなければ」

魔王「悪かった」


185:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/15(日) 03:57:22 ID:GoOVcwF126

賢者「・・・とりあえず、勇者。帰ろう。此処に居座る事は間違ってるんだから」

勇者「私、魔王さん・・・」

魔王「また強くなったら此処に来ると良い。いつでも相手してやるよ。まあその時は今度こそ倒して欲しいんだけどな」

勇者「!!」

魔法使い「帰りましょう、勇者」

側近「今のうちに帰った方が身のためですよ?」

勇者「側近さん・・」

側近「魔王様が破門したんだから、今の貴女は敵ですよ。勇者さん」

勇者「・・・・そんな」


186:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/15(日) 03:57:41 ID:GoOVcwF126

−−−

側近「やっと帰りましたね。勇者達」

魔王「そうだな」

側近「本当、人間は面倒くさい。アンタもあんなんだったんですか?」

魔王「どうだろな・・・。もう何百年も前の話だしな。まあでも恐らく、あんな繊細な人間では無かったかな。今も昔も適当野郎だよ俺は」

側近「・・しかしスライム達遅いですね。もう帰ってきてもいい頃合いなのに。一向に帰ってくる気配が無い」

魔王「・・・そういえばそうだな。忘れてた」

側近「僕、見てきます」

魔王「ああ」


187:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/15(日) 03:57:57 ID:GoOVcwF126

魔王城近くの森


スライムA「・・・・」

スライムC「・・・・」


側近「・・・・」

側近「成る程、ね」

側近「そりゃ、死んでたら来るわけないな」


188:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/15(日) 03:58:22 ID:GoOVcwF126


側近「・・・十中八九、さっきの保護者達がやったんだろうけど」

側近「こりゃまた見事無残な死骸」

側近「傷を見る限り、あの戦士だろうな」

側近「ふむ・・・」


189:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/15(日) 03:58:40 ID:GoOVcwF126




魔王「そうか、スライム達死んだのか・・・」

側近「えぇ。保護者達の仕業でしょうが。・・・生憎ですが僕には慈しむ心が無いので泣いてやる事が出来ません。魔王様、僕の変わりに泣いて下さい」

魔王「・・・俺だって魔物歴長いんだよ。今更部下の一匹や二匹死のうと涙が枯れてるよ」

側近「そうですか?」

魔王「それに元々アイツの修行につき合わせた時から死が決まってたようなもんだろ」

側近「時間の問題だったという事ですか?」

魔王「ああ」

側近「それにしては哀しそうですね」

魔王「・・・」



190: 名無しさん@読者の声:2012/1/15(日) 12:18:45 ID:ESEv7C/AiU
ス、スライム〜〜〜!!(涙)

くそぅ、戦士の奴許せねぇ!!
確かに勇者ちゃんを心配してた気持ちとかも分かるが、それでも腹が立つぅぅぅぅぅ。

スライム達に安らかな眠りを……。
つ【キノコ山盛り】
191: 名無しさん@読者の声:2012/1/15(日) 23:51:50 ID:4c6./S/36M
CCCCC
192:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/16(月) 17:49:17 ID:df6KsqOD5c


魔王「やっぱり埋葬とかはするべきなのかな」

側近「さぁ?魔王様の好きにしたらいいんじゃないですか?僕には分かりません」

魔王「・・・お前がもし死んだら埋葬とか、火葬とか棺桶とかに入れられたいか?」

側近「普通そういう事聞きます?」

魔王「魔物に普通言われてもな・・・」

側近「とりあえず、僕はそんな事しなくていいです。放っておいて下さい」

魔王「そうか・・・」

側近「まあそれは僕の個人的な意見なんで、スライム達の供養は魔王様にお任せします」



193: 名無しさん@読者の声:2012/1/16(月) 21:38:19 ID:2jtQ6Mfo/w
スライム…(;д;)
194:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/17(火) 20:53:07 ID:GoOVcwF126


−−−

魔王「…と、これでいいかな」

魔王「結局埋葬という形になったけど…。まあいいか。不格好だけど許せ」

魔王「っつーか、部下をちゃんと供養する魔王って、俺つくづく魔王っぽくないなあ」

魔王「まあ元は人間、それも勇者だったし…いまいちよく分かんないんだよな。魔王って」

魔王「テンプレ魔王は演じてるけど、俺がやってる”らしい”魔王はそれだけなんだよなー」

魔王「早く勇者に倒されないとな…」

魔王「…スライム達もごめんな。巻き込んだような形になってしまって」

魔王「お詫びっていうのも不謹慎かもしれないけど、きのこの山置いといてやるよ」



195:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/17(火) 20:54:50 ID:GoOVcwF126
明日面接なので今日の更新はこれだけです。すみません(´;ω;`)
昨日も少なくてすみませんでした。
明日からまた沢山更新出来ると思います。

196: 名無しさん@読者の声:2012/1/17(火) 20:56:16 ID:apl6Sgg8wc
きのこの山w

面接頑張れー!
197: 名無しさん@読者の声:2012/1/17(火) 21:09:05 ID:9AeZmG8JLk
コアラのマーチ...
198: 名無しさん@読者の声:2012/1/18(水) 00:29:59 ID:2gxkR.B2dQ
面白いwww

支援CCCC
199:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/18(水) 20:51:25 ID:GoOVcwF126

私達は兄の転移魔法で村へと帰還した。
魔王城の皆さんと過ごした一ヶ月、軽骨だが楽しかったのは揺ぎ無い真実。
覆せない事実だ。どうしようもない。
戦士くんが声を荒げ私を叱咤した意も理解している。
世間から見て、痩せても枯れても勇者と魔王というレッテルは拭えないのだ。
もし今回の事が村だけでなく、世間に知れ渡っても、反駁出来ない。
魔王さんと世界の人達を同時に守れたらいいのに。
魔王さんが魔王である限り、やはりそんな事は無理なのだろうか。


200:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/18(水) 20:51:46 ID:GoOVcwF126

−−−

勇者と賢者の家



勇者「・・・」

賢者「・・・」

賢者「お、おかえり」

勇者「・・・うん、ただいま」

賢者「・・・」

勇者「・・・」

賢者(何だろうこの異様な気まずさは)


201:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/18(水) 20:52:08 ID:GoOVcwF126

賢者(こんなに落ち込むとはやっぱり彼処に居座るのは間違いだったな)

賢者(少し違うがまるでストックホルム症候群と似たような感じだ)

賢者(まあ村人達から向けられる疎まれた目もあるのだろう)

勇者「・・・ねぇ、お兄ちゃん」

賢者「えっ!?あ、あー、・・・何だ?」

勇者「村、酷いね・・・」

賢者「・・・えっと」

勇者「これ、全部魔物のせいなの?」

賢者「あぁ・・・」


202:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/18(水) 20:52:25 ID:GoOVcwF126

賢者「・・・そうだ。さっきも言ったがこの村の惨状は全て魔物の仕業だ」

勇者「実際この目で見て、本当に、村の被害がひどくって・・・私」

賢者「・・・」

勇者「やっぱり、この一ヶ月、取り返しの付かないことしたんじゃ」

賢者「勇者、過ぎたことは仕方ないよ。どうしようもない。・・・側近だっけ?あいつも言っていたじゃないか。誰かが責任を背負えば良いってものじゃないよ」

勇者「うん、でも・・・」

賢者「・・・はぁ」

賢者「疲れているだろう?今日はもうゆっくりお休み」

勇者「うん・・」


203:
◆Gw31v9ceXw:2012/1/18(水) 20:52:44 ID:GoOVcwF126

−−−

勇者の部屋



勇者「・・・」

『この一ヶ月何をしていたのかしら』

『選ばれし勇者と豪語していたのは誰だったのかね』

『そもそもあんな臆病な村娘に全てを任せるのが間違いだったんだよ』

『親が居なくて可哀想だけど、そうも言ってられないね』

『やはり普通に旅に出た方が得策だったんだよ。可哀想に、馬鹿な兄を持って』

勇者「・・・・」

『お前は勇者でコイツは魔王じゃねえのかよ!!何仲良くなってんだよ!!啀み合うべき敵じゃねえのかよ!!』

『この一ヶ月、貴女が魔物とのうのうと修行していた間の話よ』

『魔王様が破門したんだから、今の貴女は敵ですよ。勇者さん』

『また強くなったら此処に来ると良い。いつでも相手してやるよ』

勇者「もう、よく分かんないや」



204: 名無しさん@読者の声:2012/1/18(水) 22:20:16 ID:5RBL5NS2bY
支援
205: 名無しさん@読者の声:2012/1/19(木) 13:30:32 ID:2BGOPg1qkI
おいついた!しえん!
っきのこの山
206: 名無しさん@読者の声:2012/1/19(木) 16:31:26 ID:VPFdW/w.PY
悲しいけどこれも戦争なのよね…
207: 名無しさん@読者の声:2012/1/19(木) 20:45:31 ID:5RBL5NS2bY
支援私怨試演
208: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/19(木) 23:57:46 ID:GoOVcwF126


ドンドンッ


賢者「?」ガチャ

戦士「よう」

賢者「戦士!どうしたんだ。一体何の用だ?」

戦士「夜分遅く悪い。勇者ちゃん、起きてる?」

賢者「さっき寝るように言ったばかりだ。疲れているだろうからもう寝たと思うけど?」

戦士「ふうん・・・」

賢者「?」

戦士「お邪魔しまーす」

賢者「えっ、ちょっ」


209: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/19(木) 23:58:01 ID:GoOVcwF126

賢者「おい戦士、お前俺の話聞いてたか?」

戦士「聞いてた。ちゃあんと聞いてたぜ。疲れてるからもう寝てるかもしれないって」

賢者「分かってんなら今日の所は引き返して欲しいんだけど。常識的にも考えて」

戦士「オレが簡単に引き返す男に見えるか?」

賢者「・・・いや。見えない」

戦士「起きてたらそれに越したことはないけど、寝てたら起こすまでだ」

賢者「単刀直入に言う。迷惑だ」

戦士「ごめんごめん」



210: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/19(木) 23:58:18 ID:GoOVcwF126


戦士「・・・あのさ」

賢者「何?」

戦士「もしかして賢者も一緒に付いてくるつもりじゃないだろうな?」

賢者「・・・部屋に若い男女2人きりとか危ないだろ。しかもお前」

戦士「うーわ、全く信用されてねー。心配すんなよおにーさん。やましい事はしないから」

賢者「・・・本当か?にわかに信じがたいんだが」

戦士「本当だっつーの!信じろよ!シスコンは帰れ!」

賢者「ここ俺の家」



211: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/19(木) 23:58:33 ID:GoOVcwF126

−−−

コンコン

勇者「・・・?」

勇者「お兄ちゃん?」カチャ

戦士「よっす」

勇者「せ、戦士くん・・・!?」

戦士「悪いな夜遅いのに。しっかし、いつ見ても質素な部屋だなー。もうちっと女の子らしい内装しようぜ」

勇者「え?え?どうして?何で急に?」

戦士「ぬいぐるみを置くとか、カーテンの色をピンクにするとか、もっと色々あるだろうよ」

勇者(無視・・・)


212: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/19(木) 23:58:51 ID:GoOVcwF126

戦士「・・・寝てた?」

勇者「え・・・う、ううん・・・?起きてた・・・」

戦士「やっぱり、そうだと思った」

勇者「うん・・・?」

戦士「どうせ色々難しい事考えて眠れないんだろ?」

勇者「・・・・う」

戦士「・・今日色々あったもんな。オレも話の展開についていけてねえし」

勇者「・・・そう、だね」



213: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/19(木) 23:59:11 ID:GoOVcwF126


戦士「まさか、勇者ちゃんと魔王が修行していたなんて思いもしなかったし」

勇者「うぅ・・・」

戦士「何のための勇者やら魔王だか分かんねえし、仲睦まじく会話してたし、何より本来の目的と違う事してたから脳の処理が追いつかねーよ」

勇者「・・・お、怒ってる、ね」

戦士「当たり前だ、馬鹿」

勇者「ご、ごめん・・・」

戦士「・・・まーあの時はオレも頭に血が昇って色々と酷い事言っちまったな。悪かった。ごめん」



214: 名無しさん@読者の声:2012/1/20(金) 07:21:44 ID:ypGmimbIno
なんかこの戦士は実際にいたら仲間になりたくないレベル
215: 名無しさん@読者の声:2012/1/20(金) 13:00:48 ID:zeZgsGkyLM
仲間にしたら後ろから刺される可能性を考えてしまう
216: 名無しさん@読者の声:2012/1/20(金) 14:56:41 ID:huAFCDdjR.
>>215
仲間にして1ヶ月でこっちが後ろから刺したくなるレベル
217: 名無しさん@読者の声:2012/1/20(金) 15:18:09 ID:xea6T4XEgE
でも戦士普通の人間の反応だよな
218: 名無しさん@読者の声:2012/1/20(金) 15:47:41 ID:AsNljgCVCw
>>217
普通のDQNだと思う。
相手や周りの話を聞かなくて、自分の感情や意見を人に押し付けて勝手に物事を決めつける辺りが特にそう感じた。

219: 名無しさん@読者の声:2012/1/20(金) 18:17:37 ID:dw4OcSXloU
>>218
禿同
典型的な自己中野郎だぜ
220: 名無しさん@読者の声:2012/1/20(金) 20:35:05 ID:CO20nL.cqw
だがしかし、これが今の日本人の実態なのです

戦士日本人ちゃうけど


おもろいねーこれ
支援
221: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/20(金) 23:49:32 ID:GoOVcwF126


戦士「でも、魔物もいつかは殲滅しなくちゃいけないんだ。気持ちは分かるけど、いつまでも落ち込んでられない。弁えなくちゃいけないんだ」

勇者「・・・そうだけど、でもやっぱり、あそこまで良くしてくれた方達を倒すのって・・・」

戦士「そうして倒すべき相手を倒さず世界が朽ち果てていくのを放って置くのは、みんなを裏切った事にはならないのか?」

勇者「う・・・」

戦士「お前は甘すぎるよ。そして誰よりも優しすぎる。・・・何で勇者に選ばれたんだろうな」

勇者「分かんない・・分かんないよそんなの私だって聞きたいよ・・・。私だって、勇者になんかなりたくなかったよ」

戦士「・・・」


222: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/20(金) 23:49:47 ID:GoOVcwF126

勇者「だって私、戦士くんの言う通り凄く弱いし気も小さいし臆病だし、直ぐに人に甘えちゃうし、自分のするべき事もしなくちゃいけない事もよく分かんなくなってきた。才能もないよ何もないよ。どうして私なの・・・何で私なの」

戦士「・・・」

勇者「魔王さんも世界の人達も守りたい。救いたいよ・・・。これって我儘なのかな。無理なのかなあ・・・」

戦士「・・・どうしてそこまで魔王に執着出来るんだ?良くしてくれただけじゃないよな?」

勇者「あっ・・・・!・・そ、それは・・・」

戦士「確かに変な魔王だけど。・・・よくよく考えたら話しの通じる奴だし魔物っぽくないし、何より邪気が感じられないんだよな・・・」

戦士「一々人間っぽいんだよ。話聞く限りでも」

勇者「・・・!」


223: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/20(金) 23:50:00 ID:GoOVcwF126


勇者「だって、魔王さんは・・・!!」

戦士「?」

勇者「本当は・・・!・・・・あ」

勇者(つい、言いそうになったけど、コレ、言っていいのかな・・・

勇者(本当は、魔王さんは元人間で、先代の魔王に呪いをかけられた、私と同じ勇者だって・・・・)

勇者(でも、戦士くん魔物嫌いだし。こんな事簡単には信じてくれなさそう・・・)

勇者(それに、あまりペラペラ喋っても良い内容じゃないかもしれない・・・)

勇者(言わないほうがいいのかな・・・)

戦士「何?」



224: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/20(金) 23:50:15 ID:GoOVcwF126

勇者「う、ううん・・・なんでもない・・・」

戦士「・・何でもない事ないだろ。魔王が、本当は何だって?」

勇者「なんでもないの・・」

戦士「オレには言えないことなのか?」

勇者「・・・だって、魔物嫌いだよね」

戦士「ああ、嫌いだね。オレが勇者だったら真っ先に魔王なんかぶっ潰して魔物なんて殲滅してたね」

勇者「・・・酷い人」ボソッ

戦士「おい、聞こえてるぞ」


225: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/20(金) 23:50:30 ID:GoOVcwF126

戦士「だって、そうしないと世界が平和にならないんだろ?魔物が居なくなったからって完璧に平和になるとは限らないけど、それでも大分マシになるだろ?それに、魔物は基本的に害を及ぼす存在だ。殲滅するべきだろ」

勇者「それは、そうなんだけど」

戦士「・・・オレの魔物に対しての考えは別にいいだろ。そんな事より、ソレ、どうしても言えないのか?」

勇者「ソレ?」

戦士「この流れで分かんないのかよ・・・。魔王の事だよ、まおう」

勇者「・・・・あ」


226: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/20(金) 23:51:03 ID:GoOVcwF126

勇者「まだ、ちょっと言っていいのか分からなくって・・・」

戦士「・・・そっか。まぁ概ね、魔王が魔王らしくない理由且つ、お前が執着する理由だと思うけど」

勇者「うん・・・」

戦士「気になるけど、言いたくなったら言えばいいし無理して言わなくてもいいぜ。オレなんかに話すより、賢者や魔法使いに話す方がいいかもしれないし。まあ好きにしなよ。・・・好きにしていい内容かは知らないけどさ」

勇者「・・・・う、うん」


227: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/20(金) 23:51:20 ID:GoOVcwF126

勇者「・・・そういえば、普通に流してたけど、どうして戦士くんこんな夜遅く此処に来たの?」

戦士「あ、すっかり忘れてた。何かまた要らない事言ってしまったな。ごめん」

勇者「別に、いいけど・・・」

戦士「とりあえず、今日の所はこうやって村に帰ってきてるわけだけど。また、魔王城まで行かなきゃならないだろ?今度こそ、魔王を倒しにさ」

勇者「うん、でも、今度は強くなって行かないと・・・」

戦士「だから、さ。修行も兼ねてオレと一緒に旅に出ないか?」

勇者「えっ!?」


228: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/20(金) 23:52:23 ID:GoOVcwF126

戦士「自分で言うのも何だけど、オレ結構強い方だし。旅しながらだと簡単に修行出来ると思う。そのまま魔王城に行けばいい」

戦士「元々、勇者って旅して強くなるもんだろ?」

戦士「・・・まぁ、勇者が良かったらの話だけど。嫌なら嫌でいいさ」

勇者「・・・お兄ちゃんと、魔法使いちゃんとは一緒に旅に出ないの?」

戦士「あぁ・・・まぁそう言われればそうなんだけど・・・えっと、まぁそれは」

勇者「だって、戦士くんも私も回復魔法満足に使えないし、危ないんじゃないかな・・・」

戦士「それは、そうだけ、どさ・・」


229: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/20(金) 23:52:56 ID:GoOVcwF126


勇者「・・・ごめんね。旅の事は、自分で考えるね。今は直ぐには決められないや」

戦士「・・・分かった。変な事言ってごめん」

勇者「ううん。私の事考えて言ってくれたんでしょ?ありがとう」

戦士「うっ・・・いや、いいけど。・・・ある意味オレの為でもあったから悪い気がするな」ボソッ

勇者「?何か言った?」

戦士「何でもない。忘れてくれ」


230: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/20(金) 23:53:15 ID:GoOVcwF126

戦士「さて、帰ろっかな・・・」

勇者「あ、うん・・分かった」

戦士「じゃあ、またな。悪かったな、急に押し掛けて」

勇者「ううん・・・」

戦士「あと、責め立てたオレが言うのもお門違いだろうけど、あまり自分を卑下したり、悩むなよ?」

勇者「うん・・でもホント戦士くんが言うのはちょっとオカシイね」

戦士「悪かったよ」




231: 名無しさん@読者の声:2012/1/21(土) 00:16:39 ID:5RBL5NS2bY
しえん
232: 名無しさん@読者の声:2012/1/21(土) 00:20:18 ID:pAumUGRTew
戦士ヤル気満々だな

っCC
233: 名無しさん@読者の声:2012/1/21(土) 00:47:38 ID:n5kle3k2h6
戦士叩かれ過ぎw
そんな嫌いじゃないぜ
234: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/21(土) 00:54:51 ID:GoOVcwF126

賢者「・・・ん、帰るのか?」

戦士「あぁ、邪魔したな、おにーさん」

賢者「本当にな。・・・何もしていないだろうな」

戦士「してねーっつってんだろ!!!」

賢者「・・・分かってるよ。戦士が、”本当に好きな子には手も出せないヘタレ野郎”くらいには」

戦士「は、はあ!?何言ってんだよ!?ふざけんなよマジ殺すぞ!」


235: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/21(土) 00:55:12 ID:GoOVcwF126

戦士「あー・・・そうそう、勇者に言ったんだよ」

賢者「何をだ?」

戦士「良かったら一緒に旅しないか?って・・・」

賢者「・・・前言撤回しよう。妹に何する気だ万年発情期の脳筋猿」

戦士「なんにも!!!しないって!!!言ってるだろ!!!!普通の旅じゃないんだからそんな邪な気持ちはねえよ!!!!」

賢者「そうか」

戦士「笑顔で詠唱すんのやめてくんない?」


236: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/21(土) 01:27:52 ID:GoOVcwF126

賢者「そもそも旅に出るとしてもお前ら2人じゃ心配だし、俺も魔法使いもついていくけど。何も言われなくともついていくけど」

戦士「あー・・・それ、勇者にも言われたな。オレら2人じゃ危ないって」

賢者「当然だ。戦士が幾ら強くとも、回復魔法が使えないんじゃいつ死んでもおかしくない」

戦士「・・・今まさに死と向かい合ってるけどな」

賢者「というか2人きりとか、そんなの俺達が許さない」

戦士(こっわ・・・)

戦士「・・・心配しなくとも断られてるよ。多分」

賢者「へぇ」


237: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/21(土) 01:28:09 ID:GoOVcwF126


賢者「・・・散々勇者に遊びじゃないって言った癖に自分は遊びみたいな事するんだな」

戦士「はぁ!?遊びじゃねえよ!実戦を交えて修行も出来るし、オレだって強いから教えてあげる事も出来る!!」

賢者「本当か?さっき下心は無いみたいな事言っていたが、本当に下心が無ければ俺達もついていって良い筈だけど?」

戦士「ぐっ・・・まぁ、それは」

賢者「それに剣術だけ教えても意味が無いだろ?魔法も教えないと。勇者はお前みたいに脳筋じゃない」

戦士「・・・」

賢者「大方、2人きりで旅がしたいとかそういう気持ちが少しばかりでもあって、ついそんな提案をしたんだと思うけど」

戦士「う・・・・」


238: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/21(土) 01:28:24 ID:GoOVcwF126

賢者「お前、勇者に言った事自分の胸に手を当てて考えろよ?本当に勇者を思っての旅の提案だったのか自分の恋路の為なのか、両方なのか」

戦士「・・・」

賢者「・・・まぁいいさ。お前の自己中は今まさに始まった事じゃないし。それに、断られた雰囲気みたいだし。もう関係無いな」

戦士「・・・・ごめん」

賢者「いいよ。・・・もう夜中だ。魔物が彷徨いているだろうから気をつけて帰れよ」

戦士「・・・」


239: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/21(土) 01:28:40 ID:GoOVcwF126

戦士「・・・・あのさ、賢者」

賢者「何」

戦士「わ、悪かったな・・・その、色々と」

賢者「えらく素直に謝るんだな。珍しい。昼間散々だったからか?」

戦士「・・・幾らオレでも悪いと思ったら謝るよ」

賢者「先ずは、いきなり突拍子も無く旅の提案をされて傷心中の妹に謝罪しとけよ」

戦士「・・・その言い方、何時ぞやのお返しかよ」

賢者「さぁ」


240: 名無しさん@読者の声:2012/1/21(土) 07:57:06 ID:P/3Z/Hd7EE
はやく戦士がスライム殺したこと知って勇者に愛想つかされてほしい
241: 名無しさん@読者の声:2012/1/22(日) 00:17:54 ID:8milIh2Bi2
戦士ェ…
242: 名無しさん@読者の声:2012/1/22(日) 01:54:34 ID:hUs/wpID2k
おめええええええええええ
243: 名無しさん@読者の声:2012/1/22(日) 09:05:09 ID:1uPHLrvNvI
おめでとぉぉぉぉ
244: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/22(日) 12:14:55 ID:GoOVcwF126
いつも支援とレスありがとうございます。
そしてランキング1位ありがとうございます!嬉しいです!
まさか1位になるとは思っていなかったので本当に吃驚しています。
これも皆様のお陰です。本当にありがとうございました!

245: 名無しさん@読者の声:2012/1/22(日) 12:53:56 ID:jowajketls
うわああぁ一位おめでとうございますぅぅ!!!これからも応援しております!
乗り遅れた訳じゃないんだからな!←
246: 名無しさん@読者の声:2012/1/22(日) 14:24:29 ID:57NKO.Nmj.
戦士ェ‥
247: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/22(日) 15:46:52 ID:GoOVcwF126

−−−

魔王「側近はよく図書室に篭るな」

スライムナイト「はい!何やら調べ物があるそうで!」

魔王「いやまあそんな気はするけど」

ナイト「はい!それで側近様以外の如何なる者も図書室に入室してはいけないと仰せられました!」

魔王「俺も?」

ナイト「はい!」

魔王「俺の城なのに・・・」


248: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/22(日) 15:47:07 ID:GoOVcwF126

魔王「本が読みたいから入りたいんだが」

ナイト「お言葉ですが、いくら魔王様の命と言えど無理です!」

魔王「無理言うな!!ってか何で側近の命は聞けて魔王の命は聞けないんだ!」

ナイト「はい!それは私が側近様の豚、即ち家畜だからです!!!」

魔王「胸を張って言うな!このドM野郎!!」

ナイト「ハッ」

魔王「何で鼻で笑ったんだ」



249: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/22(日) 15:47:23 ID:GoOVcwF126

ナイト「此処を通りたくば私を嬲ってから行くといいですよ!拷問も可!今ならアヘ顔ダブルピースもつけちゃいます!」

魔王「いらんいらんノーセンキューだ!!ええい寄るな来るな近づくな!!ドM菌が伝染る!!!」

ナイト「私はドMじゃあありませんよ!!タダ、嬲られたり弄られたり罵られたり冷たい目で見られたりするのが大好きなノーマル!!!」

魔王「お前のソレはアブノーマルだよ!!!」

ナイト「失敬な!アブノーマルと一緒にしないで下さいませんか!!幾ら魔王様といえど許すまじ!!」

魔王「何でそこでキレるんだよ!もうお前やだ!!」



250: 名無しさん@読者の声:2012/1/22(日) 16:07:10 ID:sGwPd7s8CQ
スライム族は総じて良いキャラしてる
251: 名無しさん@読者の声:2012/1/22(日) 16:23:45 ID:nFUwUyBQA2
一位おめ
っCCCCC
252: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/22(日) 17:53:52 ID:GoOVcwF126

ナイト「いいですか魔王様。そもそもマゾヒズムというのはですね。被虐趣味とも言われるわけですが、起源はというとですね」

魔王「誰も頼んでいないのに、Mの講義を始めるな」

ナイト「知っていますか?ドMってオーストリアの作家、マゾッホに由来するらしいですよ。ちなみにSは」

魔王「いや知らんしどうでもいいし、その講義に全く価値は見出せない。いいからそこ通してくれよ」

ナイト「差し出がましいことを申し上げまするが、部下とマトモに会話を出来ないようでは王の名が廃りますよ!そもそも如何なる会話も全て熟し盛り上げるというのが王というものです!そんなのではコミュ障乙と言われるのが掉尾ですよ」

魔王「そんなお下劣な会話をするくらいなら廃れた方が数十倍、いや数百倍マシだし、何かもう色々とお前の言うことは間違っている!」

ナイト「フフフ、まぁ私がMでは無いという事を諳んじておいてさえいてくれれば、前述は別にどうでもいいのですがね!」

魔王「どうでもいいのかよ!!」


253: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/22(日) 18:02:23 ID:GoOVcwF126

魔王「お前何で俺の部下なんだよ・・・」

ナイト「おや!お忘れになりましたか嘆かわしい!!なんたる薄弱な脳味噌でしょう!部下との思い出を忘れる等全くなんともいやはや!!」

魔王「お前本当はドSだろ・・・」

ナイト「何度も申し上げるように私はノーマルでございます!ドSでもドMでもドLでもありません!!」

ガチャッ
ドンッ

ナイト「むぎゅっ!!」

側近「あ、ごめん」



254: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/22(日) 19:21:08 ID:GoOVcwF126

ナイト「側近様!!側近様ではないですか!!側近様が開け放った扉に私の後頭部が見事にクリーンヒットしてささやかな痛みを伴いましたがそんなものは一抹の問題!!さして問題ではありません!!ありがとうございます!!!!」

側近「魔王様、何の御用ですか?僕は今ちょっと小躍りしたい程嬉しい出来事があったので用は手短にお願いします」

魔王「見事に会話をしていないな、お前ら」

ナイト「無視されるのは本来ならば嫌な部類に属される行為では御座いますが、側近様のように丹精な顔立ちで若者言葉で言う所謂イケメンに無視をされるのは成る程いい気持ちです!!」

側近「キミは煩いから少し黙っていようか」ムギュ

ナイト「いたっ・・・くない!!全然痛くない!!底の厚いブーツで蹴られようと痛くない!!何故ならば私は側近様の行為行動振舞行儀全てを受け止める自信があるからです!!!あ、でもちょっといたっ、あっグリグリやめっいややめないで!!!」

魔王「うわ・・・」



255: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/22(日) 19:21:26 ID:GoOVcwF126

魔王「いや、お前に用は無いんだ。ただ、俺は本を読みに来ただけなんだ」

側近「暇潰しにですか」

魔王「そうだ。やる事何も無いからな」

側近「・・・勇者さんの相手をする必要が無くなりましたからね」

魔王「・・・」

側近「ちょっと睨まないで下さいよ。怖いですう」

魔王「それうざい」


256: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/22(日) 19:21:48 ID:GoOVcwF126

−−−

側近の部屋


側近「ふぅ・・・魔王様も未練がましい男で」

側近「まぁいいや。それよりやっと見つけたんだ」

側近「やっぱり魔界の書物は万能だな。何でも載っている」

側近「いや、何でもは少し過大しすぎだな」

側近「・・・ただ、この方法」



257: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/22(日) 19:22:12 ID:GoOVcwF126

魔王様が何故魔王になったのか。
魔王様は元人間、それも世界を平和へと導く勇者だ。
先代の魔王にかけられた呪いより魔王様は人ならざぬモノになった。
膨大な魔力と強靭な肉体。
元々勇者としての素質もあり、先代の魔王とは比べ物にならない程に強大な力を持ち合わせる事になる。
僕は魔王様に恩義がある。魔物だし僕の性格上でも異な事だけど。
この人の為に何か出来ないかと考えていた。
ならば呪いを解く方法を捜そうと思ったのだ。
様々な書物を読してきた。極稀ではあるが、人間に模してそのような解呪の方法が無いか訊ねたりした。
魔王様には気付かれないように、解呪の本は本棚の隅、本来ならば目も通さない場所に保管していた。
まぁ魔王様はそこまで読書家では無いから杞憂だったようだが。
そして今、魔界から持って来た書物に魔王様にかけられた呪いが記載されていた事を知った。
ようやく見つけた。魔王様が人間に戻ったら僕達は雲散するが、城の者達は既に了承済みだ。
後は解呪するだけだが、この方法は

「勇者さんの力が、必要なのか・・・」


258: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/22(日) 20:47:38 ID:GoOVcwF126

側近「解呪には相当の魔力が必要になる・・・。魔王様程とはいかないが、それに近い魔力が」

側近「勇者にしか解けないなんてな・・・盲点だった」

側近「・・呪いも勇者、倒すのも勇者。勇者と魔王は切ってはいけない縁でもあるのか。どんなしがらみだよ・・」

側近「しかし困った。手詰まりとまではいかないが、折角見つけたのに、難しいな」

側近「・・・まぁ、どうとでもなると言えば、なる・・・のか?」

側近「ふむ・・・」


259: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/22(日) 22:31:31 ID:GoOVcwF126

−−−

図書室


魔王「ふむぅ・・・」

魔王「何となく小説が読みたくて図書室に来たのはいいが、何を読めばいいのやら」

魔王「あまり文章が緻密なのは読めないんだよね、眠くなって・・っていうか語彙とか頭に入らない・・・簡単に読めるライトノベル程度じゃないと読めない・・」

魔王「くそっ、こういう時に自分の教養の無さを恨むな!」

魔王「・・・」

魔王「本当にやる事がないな・・・」


260: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/22(日) 22:31:49 ID:GoOVcwF126

魔王「ゲーム・・今日はゲームしんどいな・・・漫画とかアニメとかは興味無いし・・・なんか俺とことん趣味が中途半端だな・・・」

魔王「部下に"魔王様ってにわかっすよねー"って言われた事を思い出した・・・」

魔王「・・・はぁ」

魔王「ずっと、アイツの相手をしていたからなぁ・・・」

魔王「まぁ、俺が勝手に追いだした様なものだし。今更どうしようもないけど」

魔王「強くなってたらいいけど、そうじゃないと魔物も居なくならないわけだし・・・」


261: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/22(日) 22:32:07 ID:GoOVcwF126

魔王「魔物・・・そういや、最近やたら魔物が凶暴化、増殖しているのは何故なんだろう」

魔王「最近っつーか・・まぁ数年前から徐々に凶暴化・・・とまではいかないけど、少しずつ強くなっていっているんだよな・・・」

魔王「これが動物の生きていくための進化という事か?魔物だけど」

魔王「それに、今まで気付かないフリをしていたけど・・・俺の魔力も増力していってるんだよな・・・」

魔王「・・・俺の魔力が強力になれば成る程、魔物も凶暴化する・・っていう事か・・?」

魔王「・・・可能性は否めないな」

魔王「そうだとしたら、いよいよ時間が無いな・・・」



262: 名無しさん@読者の声:2012/1/23(月) 20:28:56 ID:2gxkR.B2dQ
CC
263: 名無しさん@読者の声:2012/1/23(月) 23:35:46 ID:rMARLPkUmY
つCCC
264: 名無しさん@読者の声:2012/1/24(火) 00:29:50 ID:w0y4/CrD5Y
CCCC
265: 名無しさん@読者の声:2012/1/24(火) 00:33:10 ID:2c0xmgTsyY
追い付いた
つCCC
266: 名無しさん@読者の声:2012/1/24(火) 08:07:24 ID:PlpNruQFh6
追い抜いた
267: 名無しさん@読者の声:2012/1/24(火) 11:32:30 ID:TAPoUxc0hM
うっ



・・・ふぅ
268: 名無しさん@読者の声:2012/1/24(火) 14:00:07 ID:rGeVyfef4c
>>267

追い抜いたからってヌイちゃ駄目ww

269: 名無しさん@読者の声:2012/1/24(火) 16:40:30 ID:LDvZZ1bmmI
>>266
追い抜くな
>>267
オイ、抜くな
270: 名無しさん@読者の声:2012/1/24(火) 16:50:25 ID:5uuTIH4l1g
>>269
だれうまwwwww
271: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/24(火) 22:37:08 ID:GoOVcwF126

−−−

賢者「お早う」

勇者「うん〜…」

賢者「朝御飯もう少しで出来るから、先に顔洗っておいで」

勇者「はぁい…」

賢者「…昨日よりかはまだマシか」


272: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/24(火) 22:37:23 ID:GoOVcwF126

モグモグ
カチャカチャ


賢者「時に勇者」

勇者「うん?」

賢者「これからどうするつもりだ?」

勇者「…えっと」

賢者「まだ決まっていないのか?」

勇者「うん…早く決めなくちゃいけないのに…ごめん、逡巡して…」

賢者「焦らなくていいよ。ただ、時間は無いよ」

勇者「それ、どっちなの…」


273: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/24(火) 22:37:44 ID:GoOVcwF126

賢者「…これは、普通の会話のネタとして言うけど」

勇者「…?」

賢者「魔王"さん"達は良くしてくれたんだよな?一ヶ月間、お世話になってた間」

勇者「!う、うん!凄く…良い人達だった…!」

勇者「敵なのに、優しくて、側近さんはいつも厳しいけど、でも嫌じゃない厳しさで」

勇者「スライムさん達も面白くて側近さんにいつも怒られているの、あ、スライムさん達いつも7体で行動してるんだよ。でも、キングスライムにはならないんだよ。不思議だよね」

賢者「へぇ…」


274: 名無しさん@読者の声:2012/1/25(水) 00:29:16 ID:gsXgseuz3c
この流れは…
CCCCCCC

275: C:2012/1/25(水) 01:55:11 ID:2gxkR.B2dQ
知ってしまうのか…
276: 名無しさん@読者の声:2012/1/25(水) 07:25:56 ID:CZvksynwwg
戦士死亡フラグww
ざまあww
277: 名無しさん@読者の声:2012/1/25(水) 16:38:41 ID:tbpDYj2bNQ
これは……ゴクリ
っCCC
278: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/25(水) 19:19:36 ID:GoOVcwF126

勇者「魔王さんにも…本当にお世話になって…」

勇者「私今レベル6なんだよ!最初は1だったけど、魔王さんが戦闘教えてくれてちょっとだけだけど、ちゃんと強くなったんだよ!」

勇者「私、魔王さんのお陰で火の魔法も少しだけだけど使えるようになったの!」

勇者「戦闘の時はちょっと厳しくて沢山怒られた事もあったけど、それは私の意志が弱いから諭してくれていたんだよね…」

勇者「でも、普段は本当に優しいよ。文句言いながらも何だかんで助けてくれるし。本当に頼りになる人で…」

賢者「…人?」

勇者「あっ、違う!人じゃない!!」


279: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/25(水) 19:19:56 ID:GoOVcwF126

勇者「お兄ちゃんも困った時は魔王さんに助けて貰えば良いよ…なんて」

賢者「…」

勇者「…あ、ごめんなさい」

賢者「別にいいよ。それだけ、魔王さんを、魔王さん達を信用しているって事だろ?」

勇者「…う、うん」

賢者「全く、勇者も魔王達もみんな変わっているな…」


280: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/25(水) 19:20:19 ID:GoOVcwF126

勇者「…もっとみんなとお話したかったな…」

賢者「それは、出来無いね。悪いけど」

勇者「そうだね…」

勇者「でも、せめて最後くらいは、別れのご挨拶したかったな…あ、スライムさん達に会ってないな…」

賢者「スライムねぇ…」

勇者「なんか、側近さんにキノコ採りに行くように言われて森に行ったらしいんだ…」

賢者「…」



281: 名無しさん@読者の声:2012/1/25(水) 20:34:25 ID:5RBL5NS2bY
支援
282: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/25(水) 20:46:22 ID:GoOVcwF126

勇者「お兄ちゃんたち、森から来たんだよね?7体いるスライムさん達見なかった?」

賢者「…多分、見た、かも」

勇者「あっ、そうなんだ…」

賢者「…」

賢者「…言葉発するスライム?」

勇者「う、うん…そうだけど?」


283: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/25(水) 20:46:35 ID:GoOVcwF126

賢者「あぁ…アレか…そうだったのか…」

勇者「えっと…何か、知ってるの?」

賢者「知ってるも何も…」

賢者「…ごめん」

勇者「え?」


284: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/26(木) 00:12:43 ID:GoOVcwF126


勇者「ごめんって、何…?どういう事?」

賢者「多分、間違ってなかったら…いや、間違ってはないな。合ってる」

勇者「何…?」

賢者「…そのスライム達、俺達が倒した」

勇者「えっ…!?」

賢者「厳密には戦士一人で倒した。だが、俺達は何も言わなかった。ちゃんと止めなかった。同罪だ」

勇者「そ、んな…」

285: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/26(木) 00:12:58 ID:GoOVcwF126

勇者「どうして、そんな…!」

賢者「…お前が好きな相手であっても、俺達はその事を知らない。目の前に顕れたのは魔物。倒さなければならない魔物。ただ、それだけだったんだ」

勇者「そうだとしても…!!そんなのって…!!ないよ…!」

勇者「スライムさん達…そんな…」

兄に、自分の兄達に何を言っても仕方が無いのは分かってる。
分かってるけど、理解したくなかった、信じたくなかった。
大好きな方達が、自分の大好きな者の手によって、殺められた事実が。
だが、自分も鍛える為に魔物を倒してきた。
慈しんできたとは言え、魔物を倒して修行、鍛えてきた事も事実。
どちらも使命として倒した。ただ、それだけ。
それでも、知りたくなかった。



286: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/26(木) 00:27:20 ID:GoOVcwF126

恩讐、怨嗟、悲嘆。
色々な感情が勇者の中で渦巻く。
此処で感情を剥き出しにしても仕方が無い。
勇者自身も魔物を討った事がある。自分の為に、世の為に。
賢者達も勇者を捜しに、その捜索の邪魔者を排除する為に魔物を、スライムを討った。

「っ…!」

自分を棚に上げている様で恥ずかしく情けなかったが、もう感情は止まらない。
いくら事情を知らなかったとは言え、大好きな者を殺られたら悲嘆に暮れる。
沸々と怒りとも言えない物がドロドロと沸く。
その矛先は誰か。何か。自分か。

「…勇者、ごめん」

賢者が申し訳ないとばかりに深々と頭を下げるも、当の勇者は何も言わず。
ただ、何とも言い難い、悲しいようで怒りがあるような支離滅裂した表情で賢者を見つめるだけだった。



287: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/26(木) 01:56:15 ID:GoOVcwF126

バンッ

賢者「あっ、勇者!!」

ダンッ
タッタッタッ…

賢者「出て行ってしまった…」

賢者「…やっぱり、言わないほうが良かったのか…?」

賢者「ともかく、追いかけなくては…」



288: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/26(木) 01:56:49 ID:GoOVcwF126

タッタッタッ…



勇者(気が付いたら家を飛び出してしまっていた)

勇者(どうしようもなくて、いろんな感情が渦巻いて、逃げたかった)

勇者(逃げたってどうしようもないのに)

勇者「はぁっ…はぁっ…」

勇者(行き先は分からない。でも、此処には居たくない)

勇者(村人の痛い視線が突き刺さる”何をしているの”と囁いているかのよう)



289: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/26(木) 02:07:01 ID:GoOVcwF126

勇者(やめてよ。見ないでよ。私にどうしろって言うのよ…)

勇者(じゃあ貴方達が私の代わりに魔王を倒してよ…)

勇者(私なんかより、ずっと、ずっとずっと強いんでしょう?)

勇者(側近さん、魔王さん…)

勇者(スライムさん達…ごめんなさい…さよなら、言えてない…)

勇者「うっ…ぐすっ…」



290: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/26(木) 02:13:11 ID:GoOVcwF126

−−−

魔法使い「ほら、シャンと歩きなさいよ。何よそのだらしない顔。見ていてとても不愉快」

戦士「朝っぱらからガンガン怒らないでくれよ…オレは眠いんだよ…」

魔法使い「ふん、間接的にでも勇者にフラれたことがあまりにもショックで夜も眠れなかったのかしら。どこの子供よ」

戦士「フラれてねーよ!!一緒に旅をするのを断られただけだ!!捏造すんな!」

魔法使い「喧しいわね。そんなんだからアンタ、モテナイのよ。おつむも弱いし」

戦士「うるっせえな!!ってか何でそんな機嫌悪いんだよ!」

魔法使い「あたし、朝弱いのよね」

戦士「だからって当たるこたあ無いだろうよ!」



291: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/26(木) 21:56:38 ID:GoOVcwF126

魔法使い「あー、喧しい喧しい。ったく、低血圧のあたしがこうしてアンタを起こしに来てあげただけでも数奇な事なのよ?感謝しなさいよ」

戦士(自分で言うのかよ…)

戦士「あーあー、そうかいそうかい。そりゃあ、ありがとうございましたー」

魔法使い「心がこもってないわねえ」

戦士「こもってたまるかっ…」

戦士「…ん?」


292: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/26(木) 21:56:56 ID:GoOVcwF126

勇者「…ぐすっ…」タッタッタ…

魔法使い「あら?…勇者じゃないの」

戦士「お、おいっ、どうしたんだよ。そんな急いで」パシッ

勇者「!?」

戦士「な、何だよ。…そんなに驚くことないだろ」

魔法使い「どうしたの、勇者?」

戦士「泣いてるじゃねーか。ホント、どうしたんだよ…」

勇者「い、嫌っ、離して!!」パシンッ

戦士「え」

魔法使い「えっ…?」


293: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/26(木) 21:57:44 ID:GoOVcwF126

戦士「勇者…?」

勇者「あっ…ちが…」

勇者「…っ」ダッ

戦士「勇者!!」

勇者「ついてこないで!!!」

戦士「!」



294: 名無しさん@読者の声:2012/1/27(金) 03:57:44 ID:uQPO4zle2c
初カキコ初支援


295: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/27(金) 17:53:46 ID:GoOVcwF126

戦士「え…」

魔法使い「…どうしたのかしら、勇者…」

戦士「えぇ…」

魔法使い(うわ…すっごいショック受けてる…)

魔法使い「…戦士」

戦士「…はい」

魔法使い「何をしたかは後で尋問するとして、これで完璧にフラれた…いや、寧ろ嫌われたわね」

戦士「うるせえええ!!何もしてないし!フラれてない!た、多分!!…おい、勇者待て!!!」ダッ



296: 名無しさん@読者の声:2012/1/28(土) 00:08:32 ID:Ma2nBUKySI
追いついた
この先wktk
つCCCC
297: 名無しさん@読者の声:2012/1/28(土) 00:24:30 ID:whq.aZ6wWc
勇者ちゃん、心境複雑だろうなぁ……。

そして、戦士は申し訳ないが、超ざまぁwwwwwww

もう続きが気になって仕方ないです♪♪♪
つCCCCCC
298: 名無しさん@読者の声:2012/1/28(土) 15:18:40 ID:huAFCDdjR.
あえて言おう
戦士ざまぁwwwwwwwww

っC
299: 名無しさん@読者の声:2012/1/28(土) 15:50:46 ID:w1YC/L5Ruc
言わせてもらおう
戦士pgrwwwww


勇者、がんばれ
CCC
300: 名無しさん@読者の声:2012/1/28(土) 17:37:39 ID:xVwP2DCTi.
戦士応援してるぞwC
301: 名無しさん@読者の声:2012/1/28(土) 19:47:09 ID:5RBL5NS2bY
戦士叩きワロタwwwwww

支援
302: 名無しさん@読者の声:2012/1/28(土) 20:18:04 ID:7Z2YiUeokA
戦士は前に出て魔法使いや僧侶を庇うために叩かれるのが仕事だぜ

っC
303: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/28(土) 21:16:45 ID:GoOVcwF126

−−−

側近「魔王様が破門したんだから、今の貴女は敵ですよ。勇者さん」キリッ

側近「…なんて、言った手前会いに行くのはちょっと恥ずかしいかな。気が引けると言うか」

側近「うーん…でも、此処で逡巡していても仕方のない事だし」

側近「…魔王様を倒さなくてもいい方法が見つかったんだ。急がなくてはならないな」

側近「でもなぁ。…あぁそうだ。人間に扮して接触すればいいんだ」

側近「そうだ。そうしよう。あの人アホだから疑わないだろ」


304: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/28(土) 21:17:05 ID:GoOVcwF126

側近「そうと決まれば…」




魔王「は?」

側近「ですから、今から出掛けるので転送オナシャス」

魔王「いやいや、急すぎるわ。何?何か買いに行くの?ってかお前自分で転移魔法使えよ。使えるんだろうが」

側近「えぇ、ちょっと買い物に。後、僕魔力少ないんでなるべく使いたくないんですよねー」

魔王「ケチか」

側近「ちょっと違う気がします」


305: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/28(土) 21:17:25 ID:GoOVcwF126

魔王「で?どこらあたりに転送して欲しいんだ?」

側近「そうですねー…」

側近(確か村の近くに街があった筈…)

側近「ココら辺で構いませんよ」

魔王「分かった。なるだけ早く帰ってこいよ」

側近「僕が居なくて寂しいんですか?」

魔王「違ぇよ。気持ち悪い勘違いをするんじゃない」


306: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/28(土) 21:17:46 ID:GoOVcwF126

魔王「何を買いに行くんだ?」

側近「え?」

魔王「えって、え?」

側近「…あぁーあー、えっと、篆刻です」

魔王「えぇー何でまたそんな物…」

側近「多分」

魔王「多分って何だよハッキリしろよ…」


307: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/28(土) 21:18:02 ID:GoOVcwF126

側近「まぁ、魔王様の好きで好きでたまらないたけのこの里でも買ってきてあげますよ」

魔王「だからお前そのネタ何時まで引っ張る気なんだよ。あと別に好きでたまらないって程じゃないからな」

魔王「ところでお前、どうやって帰るつもりなんだ?」

側近「え?自分で転移しますけど」

魔王「やっぱお前ケチだな…」

側近「ケチじゃないですー」



308: 名無しさん@読者の声:2012/1/28(土) 22:04:05 ID:sZ59C4fO/s
たけのこwww
309: 名無しさん@読者の声:2012/1/29(日) 00:07:49 ID:Y8nUCKBzqA
側近さん好きだわー

つCCC



|m_ _)moO(大変恐縮なのですが描かせていただいてもよろしいですか?
あと、もしよろしければキャラのスペック 教えてください)
310: 名無しさん@読者の声:2012/1/29(日) 00:14:54 ID:GoOVcwF126
>>309

まじですかあ!いいですよ、お描きになってくだせえ!
スペックは特にこれといって決まっていないんですが、
勇者はポニーテールで軽装。
魔王は絵スレ見て頂ければ描いとりますのでそれでww
側近は髪サラサラで若干長いけど肩にはつかない長さ。
それくらいですかねぇ
すみません適当で、一応鎧着込んでるキャラは居ませんww
311: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/29(日) 00:15:11 ID:GoOVcwF126
309は私です!!!
312: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/29(日) 00:16:33 ID:GoOVcwF126
309じゃねーよ310だよ!!!無駄レスごめん!!!!
313: 名無しさん@読者の声:2012/1/29(日) 06:43:31 ID:huAFCDdjR.
篆刻がわからなくてググったら余計にわからなくなった
つC
314: 名無しさん@読者の声:2012/1/29(日) 09:15:07 ID:aHTz7gkw9M
>>313
篆刻って判子(印鑑)を彫ること…でよかったはず
間違ってたらすまん

つC
315: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/29(日) 11:09:48 ID:GoOVcwF126
篆刻微妙に間違ってて恥ずかしい。「篆刻セット」を買いに行ったという事にして下さい。
ごめんなさい。すみません。







−−−

勇者「はぁっ…はあっ…!んぁ……はぁっ…!!」

走って。走って。
持てる脚力全て使って、走って。
村を駆け抜けて、一番近い森へ。
様々な思想、事実、人物、全てがグチャグチャなまま、走る。

勇者「はぁ…はぁ………っ…」

森に着いた頃、気が抜けたのか膝がガクッと崩れた。
刹那、酷い疲労が全身を駆け巡る。
あれだけ走ったのだから無理は無い。
今は呼吸を整えることだけに専念しよう。



316: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/29(日) 11:10:05 ID:GoOVcwF126

タッタッタッ


戦士「あいつ…っ…あんなに急いで…泣いてっ…何が、あったんだ…?」

戦士「彼処の道は確か…森」

戦士「あいつ、あんな丸腰で森に行くつもりか…!?」

戦士「あんの馬鹿…!!」

戦士「魔物にでも襲われたらどうすんだよ…!!」


317: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/29(日) 11:10:21 ID:GoOVcwF126

勇者「…はぁ…。…大分、落ち着いた、かも…」

勇者「…うっ」

勇者「ふぇっ…ぐすっ…」ポロポロ

勇者「スライム、さんっ…!」

勇者「ごめんなさい…ごめんなさい…」


318: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/29(日) 11:10:39 ID:GoOVcwF126

ガサッ


勇者「…!?」ビクッ

勇者「だ、誰か…」

勇者「いる、の…?」

ガサッガサガサッ

バッ

勇者「!!!!」



319: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/29(日) 14:09:18 ID:GoOVcwF126

戦士「はぁっ…はぁっ…」

戦士「確か、こっちの方に…」キョロ

戦士「何処に…」

戦士「くそっ…見失ったか…!?」

戦士「最悪だ…」


320: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/29(日) 14:09:52 ID:GoOVcwF126
魔王サイドと勇者サイドは同時進行していると思って下さい



−−−

とある街


側近「まぁ、怪しまれないように篆刻セットとたけのこの里買っておこう」

側近「必要ないけど」

側近「あ、ばくだんいし買ってスライムナイトにぶち当てよう」

側近「仕事のストレスを解消するにはアイツを痛めつけないと気が済まない。アイツも満更でもない顔するし一石二鳥だ」

側近「…さて、勇者さんの住む村まで行こう」

側近「確かこっちって言ってたようなないような」



321: 名無しさん@読者の声:2012/1/29(日) 18:25:22 ID:5RBL5NS2bY
スライムナイトMかよwwwwwww
支援
322: 名無しさん@読者の声:2012/1/29(日) 21:15:08 ID:.cEX9H328w
追いついた
つC
323: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/29(日) 22:36:19 ID:GoOVcwF126

テクテク

テクテク


側近「…しかし、この姿」

側近「適当に人間に扮したとは言え、なかなかどうして格好良いじゃないか。自分で言うのも何だけど」

側近「何か街歩いただけで人間の女に貢がれたし。菓子とか」

側近「まぁ元が良いから仕方ないね」キリッ

側近「…さて、魔物が来る前に事を済ませないとね」



324: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/29(日) 22:36:37 ID:GoOVcwF126

数時間前


おばさん『あらぁアンタ男前ね!ここいらじゃ見ない顔だけどどっから来たんだい?』

側近『あっちの方です。あ、それ下さい』

おばさん『あっち…?よく分からないけれど、旅人さんか何かかい?はい、20ゴールド』

側近『…まぁそんな感じに捉えて下さって構いませんよ。はい』

おばさん『ん、丁度だね。まいどあり。旅人さんかぁ、最近見掛けなかったから珍しいねぇ』

側近『へぇ…そうなんですか?』

おばさん『そうよぉ。魔物が凶暴化して迂闊に旅にでも出れないのかしらねぇ〜。まぁ見掛けないといっても居ないわけじゃないみたいだけど』

側近『ふうん…』


325: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/29(日) 22:36:54 ID:GoOVcwF126

おばさん『お兄さんは今から何処に向かう予定だい?』

側近『あぁ…えっと、この近くの村にとりあえず行く予定です』

おばさん『あらあらまぁまぁ!!あの村に!?』

側近『?何か問題でも?』

おばさん『問題も何も…あの村付近に森があるんだけどね』

側近『はい』



326: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/29(日) 22:37:11 ID:GoOVcwF126

おばさん『どうやらその森に、やったら狂暴で獰猛な魔物が棲み着いているって噂よ』

側近『それは、大変ですね…』

おばさん『そうよ、大変なのよぉ。あの村の住民だけで何とか凌いでいるらいけれど、時間の問題よねえ』

おばさん『実は此処の街も最近よく被害に遭うのよ。まぁあの村程じゃないんだけど』

側近『…まぁ、来た時少し荒んでいるとは思いましたね』

おばさん『あの村が廃村になったら次はここかもねぇ』


327: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/29(日) 22:37:26 ID:GoOVcwF126

おばさん『悪い事は言わないわ。あの村には近付かないほうが身の為よ。特に森はね』

側近『はぁ…』

おばさん『お兄さん格好良いから顔に傷でもついちゃったら大変よぉ?おばさん、泣いちゃうかも』

側近『そうですか』

おばさん『んもう、冷たいんだねぇ。でも、そこも格好良いから許す!!』

側近『そっすかー』

おばさん『ともかく、危ないから近付いちゃ駄目よ?旅人だから多少なりとも強いとは思うけれど。そうだ、酒場でお仲間でも集めてきなさいな!心強いかもよ?』

側近『そうですね。一人旅は危ないし、そうします』


328: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/29(日) 22:37:42 ID:GoOVcwF126




側近「なぁーんてねぇ。僕は魔物だからいらないお世話ですよー、と」

側近「一応、魔王様の側近だし一応。まぁここ1年程満足に戦ったことないけど」

側近「そんな簡単にその狂暴な魔物に遭遇しないでしょう」

側近「多分、恐らく、きっと」

側近「…っと、見えてきたな。アレが森か。アレを抜ければ村、ねぇ」


329: 名無しさん@読者の声:2012/1/30(月) 18:29:35 ID:jEfiLTPAeE
取りあえず戦士、どんまい
遅かれ早かれ知る事だったろうけど、このタイミングで知ったらそりゃ混迷するよなあ。勇者ちゃん…
330: 名無しさん@読者の声:2012/1/30(月) 21:24:43 ID:lOQidby2kM
おいついてしまったああああ
C
331: 名無しさん@読者の声:2012/1/30(月) 23:07:14 ID:YdSfAzRiGo
追いついたあああああ
つC
332: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/30(月) 23:32:23 ID:GoOVcwF126


−−−


勇者「…ひっ…!!」

グルルルル…
フシュウー…

勇者「うあっ…ま、魔物…!?」

茂みから飛び出してきたのは、巨大な体躯の魔物。
赫くドス黒い色をした重量感のある体躯。狼と思しき容貌。
鋭い牙と爪。瞥見しただけでも獰猛な魔物だと理解する程だ。
血の気が引くのを実感した。



333: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/30(月) 23:34:08 ID:GoOVcwF126

勇者「あ…やだ…っ…」

怖い。
今まで本でしか見たことの無かった獰猛な魔物が目の前にいる。
魔王城にもこんなものは居なかった。
下手に動いたら殺されるかもしれない。
死。改めて死というものを認識し、恐怖で足が竦む。

勇者「やだ…、死にたくない…」

一歩、二歩、魔物がじわじわと近づいて来る。
獲物を捕らえんとする眼。



334: 名無しさん@読者の声:2012/1/31(火) 00:22:24 ID:Ym3lTLHz8Q
クリリン「四円斬!!」
335: 名無しさん@読者の声:2012/1/31(火) 00:58:50 ID:qYfOiSNYkg
C
336: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/31(火) 18:50:30 ID:df6KsqOD5c
ちょっと卒業できるか分からないので、5日まで留守にします。
すみません。書き溜めはしておきます。
337: 名無しさん@読者の声:2012/1/31(火) 20:04:22 ID:8bCKtj6Wk.
Cふぁいとです!
338: 名無しさん@読者の声:2012/1/31(火) 21:36:19 ID:huAFCDdjR.
卒業ってwwそんな重大な問題抱えながら更新してたのかw
がんばってください
っC
339: 名無しさん@読者の声:2012/1/31(火) 21:51:20 ID:44ePBrmhy6
待ってるよ〜!

つC
340: 名無しさん@読者の声:2012/1/31(火) 23:24:27 ID:xea6T4XEgE
CC
341: 名無しさん@読者の声:2012/1/31(火) 23:49:30 ID:HehK6hFvmE
しえん
342: 名無しさん@読者の声:2012/2/1(水) 14:24:31 ID:T77F4lTOsc
しーえーんーっ

ハァッ!つC
      C
       C
        C
343: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/2(木) 21:43:01 ID:g.AV2R2.bU
5日まで留守にすると約束したな。あれは嘘だ。
嘘ではないが予想外に早く帰還した。すまない。
卒業はまだ危うい。が、もういいや。







勇者(私、此処で死ぬの…?)

勇者(みんなを放っておいて、魔王さん達に甘えて…)

勇者(これは…いつまでたっても脆弱で意気地無しな私への天罰なのかな…)

勇者(でも、でも…)

勇者(魔王さん…っ!)

勇者「いやっ…」




344: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/2(木) 21:43:24 ID:g.AV2R2.bU


グオオオオオオオオオッ!!!!

突如、劈くような咆哮をあげる。
獲物の位置を定めた、後は捕らえるだけだ。
その重量感のある体躯を容易に動かし、勇者に襲い掛かる。


勇者「ひっ…!!!!」

勇者「い…っ!!!」

勇者「いやああああああああああ!!!」




345: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/2(木) 21:43:55 ID:g.AV2R2.bU

−−−


回想



戦士『うるせえええ!!何もしてないし!フラれてない!た、多分!!…おい、勇者待て!!!』ダッ

魔法使い『あっ…!!ちょ、戦士!?』

魔法使い『…相変わらず、足が速いわね。もう、見えない…』

魔法使い『って、関心している場合じゃなくて…!!あっ、み、見失ったわ…』

魔法使い『…どうしよう』


346: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/2(木) 21:44:10 ID:g.AV2R2.bU

タッタッタッ…

魔法使い『…ん?』

タッタッタッ…

魔法使い『あれは…』

賢者『ぜー、はー…はぁっ…はぁっ…ぜー…』

魔法使い『ちょ、ちょっと、あんたも走ってきてどうしたのよ!!息絶え絶えじゃないの!!』

賢者『ゆっ…みな…ゲホッ…!!ゆうゴホッ!!!』バタッ

魔法使い『とりあえず落ち着きなさいよ!!』



347: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/2(木) 21:44:27 ID:g.AV2R2.bU


賢者『はぁ…はぁ…ん…はー…』

魔法使い『…落ち着いた?全く無理しないでよ。貴方、体力無いんだから』

賢者『あ、あぁ…すまない』

魔法使い『別にいいわよ。これくらい。で、何があったの?勇者といい、あんたといい』

賢者『あぁ実は勇者が…!!そうだよ勇者だよ!!早く勇者を追いかけないと!!』ガバッ

魔法使い『きゃっ…!?きゅ、急に立ち上がらないでよ!!吃驚したじゃないの!!』


348: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/2(木) 21:44:41 ID:g.AV2R2.bU

賢者『ごめん!…あ…さっき、勇者がどうとか言ってたけど、勇者に遭ったのか!?』

魔法使い『え、ええ…今さっき、戦士と歩いている時にこっちに向かって走ってきたわよ。…何だか思い詰めた顔をして』

賢者『何でそれを早く言わない!!』ガシッ

魔法使い『な、何よ…大体、言ったってあんたの体力はもう限界だったじゃないの!!それにこっちは事情がもうさっぱりなのよ!!』

賢者『…とにかく、急がないと駄目なんだ!』

魔法使い『…ちょっと待って。ごめんなさい、本当に急いでいるだろうけど、でも、事情話してよ』

魔法使い『勇者なら、戦士が追いかけたから…』

賢者『…』


349: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/2(木) 21:44:55 ID:g.AV2R2.bU

魔法使い『そう、そんな事が…』

賢者『なんか、微妙に他人事な反応に思えるんだが』

魔法使い『失礼ね。あたしだって心配しているのよ。貴方がそう思いたいならそう思っているといいわよ』

賢者『…すまない』

魔法使い『…だからあの子あんな感じだったのね…』

賢者『感情移入し過ぎるのはいけない事なんだけどな…』

魔法使い『…勇者の魔物に対する情は賛否があるかもしれないけれど。今は、そんな事は忘れましょう』

魔法使い『引き止めてごめんなさい。改めて、行きましょう』



350: 名無しさん@読者の声:2012/2/3(金) 02:35:23 ID:5xba3D.HW2
C!!
351: 名無しさん@読者の声:2012/2/3(金) 19:00:15 ID:8hPDs1L8Pg
しえん
352: 名無しさん@読者の声:2012/2/3(金) 21:27:10 ID:MlnIltvo6U
追いついた

C
353: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/3(金) 21:43:14 ID:g.AV2R2.bU

−−−

ザシュッ

ブシャッ


勇者「……っ!」

勇者「…?…あ、」

勇者「あれっ…」

勇者「…襲われて、ない?」

勇者「どう、して…?」

勇者「!!」


354: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/3(金) 21:43:35 ID:g.AV2R2.bU

ポタポタ…


戦士「いっ…た…っ!」

勇者「せ、戦士くん!!?ち、血が!!」

戦士「どうってことねーよ…。間に合って良かった…」

勇者「どうして…私、酷い事したのに…そんな…腕まで怪我して…」

戦士「確かに少し傷付いたけど、お前に今ここで死なれたらオレはもっと傷付く」


355: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/3(金) 21:43:53 ID:g.AV2R2.bU

勇者「せ、戦士くん…!」

戦士「痛っ…!」

勇者「戦士くん大丈夫!?」

戦士「大丈夫…じゃないかもな」

戦士(相手の腹に斬り込んでやったけど、そんなに効いちゃいないみたいだな…)

戦士(体勢は崩せたけど、時間の問題かも…)



356: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/3(金) 21:44:10 ID:g.AV2R2.bU

戦士(ぐっ…右腕がマトモに動かない…)

戦士(今のうちに逃げるか…いや…間に合わない)

戦士(…利き腕がやられたのが厳しいな…)

戦士(せめて、アイツだけでも逃がして…)


357: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/3(金) 21:44:28 ID:g.AV2R2.bU

グアアアアアッ!!!

バッ

勇者「あっ…!!」

戦士「勇者、危ない!!」

?「下がって!」

ヒュンッ

ドガアアアアンッ!!

勇者「ひゃっ…!」

戦士「爆発…!?」


358: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/3(金) 21:44:44 ID:g.AV2R2.bU

モクモク…

?「お二方とも大丈夫でしたか?」

勇者「えっ…」

戦士「アンタは…」

側近「吃驚しましたよ。ラスダン付近にいそうな魔物が勇者さん達とエンカウントしていましたもん。あーばくだんいし買っていて良かったー」

勇者「だ、誰…?」

側近(あ、そっか。今変装していたんだっけ)

側近「…旅の者です」ニコ


359: 名無しさん@読者の声:2012/2/4(土) 01:15:55 ID:yL8Zs9ljV.
しえん
360: 名無しさん@読者の声:2012/2/4(土) 09:08:51 ID:71pDIPnZFQ
おお側近キタ―
361: 名無しさん@読者の声:2012/2/4(土) 09:09:19 ID:71pDIPnZFQ
シエン
362: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/4(土) 23:08:40 ID:g.AV2R2.bU

側近「この近くの村に向かおうとしていた所、あなた方二人が魔物に襲われているのを発見して、ばくだんいしを投げさせて頂きました」

戦士「あ、あぁ…そうか。助かったよ…」

側近「いえ」

勇者(この人さっき私の名前…。気のせいかな…)

側近「さて、安心するのはまだ早いですよ。敵は死んでいません。そこの剣士さん、動けますか?」

戦士「…利き腕がやられているから、大ダメージは与えられねえぞ」

側近「ふぅん…」



363: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/4(土) 23:08:56 ID:g.AV2R2.bU


側近「ならば、僕が魔法でコイツを倒しますので、その間に逃げて下さい」

勇者「えっ…!でも、旅人さん危ないですよ!!」

側近「大丈夫ですよ。確かに、ここ数年マトモに戦ってませんが」

戦士「お、おいおい大丈夫なのかよ!!」

側近「大丈夫ですって」

側近(伊達に魔王様の側近なんて勤めてませんって)




364: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/4(土) 23:09:22 ID:g.AV2R2.bU

側近「あ、僕魔力少ないし肉弾戦もあまり得意ではありません」

戦士「は、はぁ!?そんなんで良く逃げろとか言うな」

側近「だから、逃げるなら今のうちです。魔力は少ないですが、その分威力は並大抵のものではありませんよ」

側近「ほら、早く。一発撃ったら直ぐに向かいますから。…その人に死なれちゃ困るんですよ」

勇者「わ、私!?」

側近「僕も死ぬ気はさらさらありませんし」


365: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/4(土) 23:09:38 ID:g.AV2R2.bU

戦士「…っ、よくわかんねーけど、信用して良いって事だな…」

戦士「勇者、逃げるぞ。此処はこの人に任せよう。立てるか?」

勇者「あ…う、うん…」

勇者(…私…また逃げるの…?)

勇者(この魔物は私じゃ絶対に倒せない…)

勇者(…でもこんな見ず知らずの人を盾にして逃げるなんて…)


366: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/4(土) 23:10:05 ID:g.AV2R2.bU

側近「…余計な事は考えなくて良いですよ」

勇者「!」

側近「逃げるのは悪く無いです。寧ろ此処で無駄に蛮勇を振るわれても困ります」

側近「さっきも言いましたが今此処で貴女に死なれちゃ困るんです」

勇者「えっと…な、何で…今会ったばかりなのに…」

側近「勘違いはやめてくださいよ。僕は僕の大事な人を助けたいだけですから」

戦士「どういう事だよ…」


367: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/4(土) 23:10:32 ID:g.AV2R2.bU

側近「早く行って下さいよ。…死にたいんですか?」

戦士「…はっ、なんだよその悪役みたいなセリフ…」

側近「また言い得て妙ですねぇ」

戦士「…また?…まぁいいや」

勇者「あ、あの…」

戦士「…勇者、急ごう!」

戦士「何処の誰だかわかんねーけど…絶対死ぬなよ」

側近「いらないお世話ですよ」


368: 名無しさん@読者の声:2012/2/5(日) 00:54:33 ID:yL8Zs9ljV.
側近がかっこいい支援
369: 名無しさん@読者の声:2012/2/5(日) 13:27:54 ID:wPFCMzneoQ
側近さんマジイケメン支援
370: 名無しさん@読者の声:2012/2/5(日) 18:35:12 ID:WDEInYLiIw
側近を嫁にしたい
支援ーーーーーーーーー
371: 名無しさん@読者の声:2012/2/5(日) 22:00:05 ID:Zn..IGjcXM
続きが気になる

C
372: 名無しさん@読者の声:2012/2/6(月) 05:33:45 ID:NCugtmft1A
戦士だって利き腕犠牲にしてまで勇者守ったのになんだこの側近コールw
側近は俺の嫁支援
373: 名無しさん@読者の声:2012/2/6(月) 11:57:34 ID:d3WEHMFMiQ
4円
374: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/7(火) 00:02:36 ID:g.AV2R2.bU

−−−

タッタッタ…


勇者「…」

戦士「…」

勇者「あ、あの…」

戦士「何?」

勇者「腕…私のせいで…ごめんなさい…」

戦士「お前のせいじゃない。これはオレが自分が勝手にした事だ。気にするな」


375: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/7(火) 00:03:52 ID:g.AV2R2.bU
違う
こっちが先です
すみません






グル…グルル…
フシュウ-…

側近「さて、勇者さん達も行ったことだし」くるり

側近「貴方には此処で死んで貰いますね」

側近「僕の少ない魔力をわざわざ貴方にぶつけるのだから」

側近「光栄に思って欲しいですね」


376: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/7(火) 00:04:22 ID:g.AV2R2.bU
2回目すみません



−−−

タッタッタ…


勇者「…」

戦士「…」

勇者「あ、あの…」

戦士「何?」

勇者「腕…私のせいで…ごめんなさい…」

戦士「お前のせいじゃない。これはオレが自分が勝手にした事だ。気にするな」



377: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/7(火) 00:08:41 ID:g.AV2R2.bU

勇者「で、でも…」

戦士「いいから」

勇者「…」

勇者(私…何しているんだろう…)

勇者「あの…さっきの…旅人さん…大丈夫、かな…」

戦士「さぁ…わかんねーけど…でも、あの目は簡単には死なない奴の目をしていた」



378: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/7(火) 00:09:03 ID:g.AV2R2.bU

勇者「もし…もしあの人が、あの魔物にやられたら…それは、私のせい…なのかな…」

戦士「…そういうの、今はやめようぜ」

戦士「お前のせいじゃないよ。魔物が出てきたのもあの旅人が自分で盾になったの全部お前のせいなわけないだろ。自分を責め過ぎているよ」

勇者「で、でも…」

勇者「…私が…あそこで森まで逃げなければ、戦士くんの腕も怪我せずに…」


379: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/7(火) 00:09:21 ID:g.AV2R2.bU


戦士「…逃げたのには、理由があるんだろ?」

勇者「…」

戦士「何があって、どうしてオレを拒否したのか分からないけれど、それとオレの腕が怪我したのは関係ない」

戦士「オレはお前を守りたかった。それだけ」

勇者「…ごめん」


380: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/7(火) 00:09:35 ID:g.AV2R2.bU

戦士「…今聞いてもいいか?」

勇者「え?」

戦士「何でオレを避けたのか、あんな泣きそうな顔をしていたのか」

勇者「えっと…それは…」

戦士「…」

ガサッガササッ

勇者「ひっ!」

戦士「下がっとけ」


381: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/7(火) 00:09:55 ID:g.AV2R2.bU

戦士「…誰だ」

ガサッ…

魔法使い「あたしよ」

勇者「魔法使いちゃん!」

賢者「お、俺も居る、ぞ…」ゼー…ゼー…

勇者「お、お兄ちゃん!?」

戦士「何で息切れてるんだよ」


382: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/7(火) 00:10:14 ID:g.AV2R2.bU

賢者「お、お前らを…勇者を…ゴホッ…追いかけてきたんだよ…!」

魔法使い「そんなに走っていないのにコレよ」

戦士「落ち着けよ…」

勇者「私を…追いかけてきたの…?」

魔法使い「思い詰めていたような顔をしていたからね。まぁ無理もないだろうけど」

勇者「…知ってるの?」

魔法使い「えぇ。さっき、賢者から聞いたわ」


383: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/7(火) 00:10:28 ID:g.AV2R2.bU

勇者「そ、そう、なんだ…」

賢者「…」ゼー…ハー…

賢者「…ん?あれっ、戦士どうしたんだよ!その腕!!」

魔法使い「勇者にフラれて自傷でもしたの?」

戦士「してねーよ!馬鹿!これはさっき、獰猛なでっけー魔物にやられたんだよ…」

魔法使い「油断ね」

戦士「なんとでも言えよ」


384: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/7(火) 00:10:43 ID:g.AV2R2.bU


賢者「とりあえず、回復、してやるよ…」

戦士「いや、先ずは呼吸を整えろよ。オレの事はいいから」

戦士「それに、また走る事になるしな」

魔法使い「どういう事?さっき言ってた魔物でも襲ってくるの?」

戦士「わかんねーけどな」

勇者「実は…」


385: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/7(火) 00:10:59 ID:g.AV2R2.bU





魔法使い「そう…じゃあその旅人さんが今は食い止めてくれているわけね」

賢者「見ず知らずの人が何で助けてくれたんだろうな…」

勇者「わかんない…でも、死なれちゃ困るって…」

戦士「…とりあえず、急いで森を抜けようぜ。その旅人の為にもさ」

勇者「うん…」


386: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/7(火) 00:11:22 ID:g.AV2R2.bU

−−−

プシュウー…

バタッ

側近「…」

側近「…結構強かったな」

側近「さすがラスボス付近に居そうな魔物だな…」

側近「この強さはやっぱり魔王様の魔力に関係あるのだろうか」


387: 名無しさん@読者の声:2012/2/7(火) 03:38:00 ID:Z7n6lNKY9c
紫煙!
388: 名無しさん@読者の声:2012/2/7(火) 23:58:07 ID:x0q3HRi1qM
しえん
389: 名無しさん@読者の声:2012/2/8(水) 12:48:26 ID:tbdB0UCCzM
つC
390: 名無しさん@読者の声:2012/2/8(水) 14:39:37 ID:OXmxEE5H02

追い付いた!
つC
391: 名無しさん@読者の声:2012/2/8(水) 16:44:02 ID:CmdQzk9Fwc
ぷよぷよのキャラで脳内再生されている…。

つC
392: 名無しさん@読者の声:2012/2/8(水) 17:23:03 ID:nfXWrQKYlE
つC
393: 名無しさん@読者の声:2012/2/8(水) 18:00:58 ID:1mgK1wytf6
追い付いた
つC
394: 名無しさん@読者の声:2012/2/8(水) 19:22:59 ID:NDeCNNc9dk
しえん
395: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/8(水) 22:49:56 ID:g.AV2R2.bU

側近「まさか本当にMPがなくなるまで戦うハメになるとはな…」

側近「まぁいいか、帰りは歩いて帰ろう…」

側近「…さて、急いで勇者さんの所に向かうか…」

グルッ…

側近「ん?」

グル…グルル…

側近「…まだ生きてたの?しつこいな」


396: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/8(水) 22:50:14 ID:g.AV2R2.bU

ゲシッ

側近「さすがにそこまで弱っていたら僕の蹴りで十分だね」

側近「…ったく、こっちは急いでいるというのに迷惑だな」

側近「ほら、早く死んでくださいよ。もう」

グ…グウウ…

側近「…はぁ。もう面倒くさいなあ」


397: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/8(水) 22:50:39 ID:g.AV2R2.bU

グルルルゥ…

側近「んもー…しぶといなぁ…」

側近「貴方に構ってる暇は無いんですよ」ゲシッグリッ

側近「…一分一秒も無駄には出来ないんです」ブシュッ

側近「…」

側近「…ふぅ。やっと死んだか」

ガサガサ

側近「え」


398: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/8(水) 22:50:54 ID:g.AV2R2.bU

側近「!?」

側近「…仲間が居たのか!?」

突如目の前に顕れたのは先程まで僕が相手をしていた魔物の仲間だ。
姿形が同じだから恐らく仲間だろう。その数は二体。
二体の魔物は今僕が屠ったモノを一瞥した後、その亡骸を喰った。

側近「…刳いな」



399: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/8(水) 22:51:10 ID:g.AV2R2.bU

側近(さて、どうする…逃げるか)

側近(あいつらがお食事をしている今がチャンスだろうが…)

側近(今の僕は二体を相手にする程力が無い…)

側近(時間も無いし下手に構っていられない。此処で死ぬわけにはいかない)

側近(…逃げるか)


400: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/8(水) 22:53:14 ID:g.AV2R2.bU
いつも支援ありがとうございます。
突然ですがこの魔物はドラクエに出てくるモンスターでは無いです。
狂暴で獰猛なモンスターが思いつかなかったので適当に作りました。
イメージ的にはFFのベヒーモスですが。
いやまぁそれだけです。すみません。

401: 名無しさん@読者の声:2012/2/9(木) 07:46:28 ID:aHlvZ2IFDU
モスバーガー食べたいC
402: 名無しさん@読者の声:2012/2/9(木) 22:13:23 ID:yL8Zs9ljV.
支援
403: 名無しさん@読者の声:2012/2/10(金) 09:12:57 ID:YcLkyE1L4E
はじめて追い付けた…!

側近さん、魔王さん、勇者ちゃんたちみんな素敵です!

しえん\(^-^)/
404: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/10(金) 22:18:53 ID:g.AV2R2.bU

グルッ…
ガサッ…

側近「…」

側近(…気付かれたか?)

ザザザザッ

バッ

側近「!?」


405: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/10(金) 22:19:12 ID:g.AV2R2.bU

−−−

魔王「暇」

キングスライム「暇暇ひまって!!あんた暇なら部屋の片付けでもしなさいよね!」

魔王「…お前は俺のおかんか」

キング「誰がおかんよ!魔王ちゃんってばいつも部屋散らかすだけ散らかして!後で片付けするのはあたし達部下なんだからね!偶には自分でしてよんもう!!」

魔王「どうでもいいけど、お前そ馬鹿でかい図体でどうやって片付けしてんの?」

キング「んまああああああああああああああああ!!乙女に向かって馬鹿でかいとは何よおおお!!失礼極まりないわぁ!!」

魔王「お前男じゃん…」


406: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/10(金) 22:19:29 ID:g.AV2R2.bU

キング「男じゃないわよぉ!!っていうか、スライムに性別なんて無いと思うの!愛に性別なんて必要ないと思うの!国境にも性別なんて関係無いわ!!性別なんて飾りよぉ!くそおあのメタル野郎!!今度会ったら絶対に屠る!!」

魔王「途中からキングスライムの私情混ざってないか」

魔王(…スライム達も、側近も…勇者も居ないのか)

魔王(こんなに暇だったのか…)

キング「キングスライムじゃなくてクイーンスライムって呼んでってあたしアレ程言ったわよね!?言ったわよ!!あたし口酸っぱく言ったわよ!」

魔王(この城のスライム族は何で変態ばっかりなんだ)


407: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/10(金) 22:19:45 ID:g.AV2R2.bU

キング「そうそう、魔王ちゃん、暇なら側近ちゃんの所に行って来なさいよ」

魔王「は?何でだよ」

キング「きっと一人で寂しがってるわ…側近ちゃんああ見えて超ナイーブナーバスガラスハートボーイだから…」

魔王「あいつ進んで一人で街行ったんだけど」

キング「とにかく!暇で暇で仕方が無いんならちょっと外の空気でも吸ってきなさいよ!あんた休日はいつも寝るかゲームするかしかしないんだから!ニート予備軍みたいなみっともない事しないでちょうだい!近所の奥様モンスターに何て言われてるか分かってるの!?マトモに仕事もしないでさぁ!しかも最近だと勇者ちゃんを家に連れ込んで来て!んもう情けない!!将来の事も考えないでフラフラフラしないで頂戴!!」クドクド

魔王「あーあーあー!!うるさいうるさい!!だからおかんかお前は!!」

魔王「っつーか、俺魔王なんだから放って置いてくれよ!!うるっせえな!」

キング「んまぁ!!部下に向かって何て口の効き方!」

魔王「部下なら黙っててくれないか!!」


408: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/10(金) 22:20:00 ID:g.AV2R2.bU

キング「いいからほら、さっさと出ていきなさい!もう、掃除の邪魔邪魔!この穀潰し!」

魔王「酷っ!だからお前その投げやりおかんみたいな事すんなって!!」

キング「やかましい!!ほら、側近ちゃんの所にでも行きなさい!二人で遊んで来なさいな。お金渡すから。余ったらジュースにでも使いなさい」チャリン

魔王「お前っ…これ…っ、100ゴールドじゃねえか…!」

キング「あんたまた文句ばー言って!!就職してからお金にケチつけなさいよ!」

魔王「もうしてるよ就職!!」


409: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/10(金) 22:20:15 ID:g.AV2R2.bU

キング「あ、側近ちゃんは変装しているから気を付けるのよ!間違えて関係の無い人間に話しかけちゃ駄目よ!」

魔王「分かってるっつーの!!いちいちうるせえな!!」

キング「んまああああああああ!!反抗期!?反抗期なの!!?部下に向かって何て…!!何たる…!!」

魔王「もうどこから突っ込んだらいいんだよ…」

キング「突っ込むなんてやらしい…!」

魔王「もう知らん」



410: 名無しさん@読者の声:2012/2/11(土) 02:07:41 ID:n.c7U/3INQ
CCC
411: 名無しさん@読者の声:2012/2/11(土) 03:05:55 ID:n5K4sWRrT6
支援支援(^^)
412: 名無しさん@読者の声:2012/2/11(土) 11:34:35 ID:VCHgmReH86
っC
413: 名無しさん@読者の声:2012/2/11(土) 12:11:43 ID:yL8Zs9ljV.
支援
414: 名無しさん@読者の声:2012/2/11(土) 16:53:35 ID:kU3eMKu5LA
支援ー
415: 名無しさん@読者の声:2012/2/11(土) 17:24:14 ID:PcVrKt0N4c
スライム族が好き過ぎる。
416: 名無しさん@読者の声:2012/2/11(土) 20:29:11 ID:hWvCoopnsE
スライム皆大好きです支援
そして誠に勝手ながら、>>1さんのイラストをもとに勇者ちゃんと魔王さま描かせて頂きました

417: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/11(土) 22:46:23 ID:g.AV2R2.bU

魔王「ていうか、魔王城なのに魔王が留守とかさ可笑しいだろ」

キング「可笑しいも何も貴方偶に外に出るでしょ?」

魔王「5ヶ月に1回あるかないかだよそれもさ」

キング「どーせ今居なくても誰も人間も来ないわよお。何か挑戦者が現れたら今遊びに行ってるって言っとくからぁ」

魔王「どんなラスダンだよそれ!!」

キング「ラスダンだなんて自分で言っちゃって…」

魔王「いや、ラスダンだろ」

キング「もう!なんでもいいから出て行ってよ!!うざいわぁ!!」

魔王「おまっ…!!魔王に向かってうざいって、おまっ…!!」


418: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/11(土) 22:46:41 ID:g.AV2R2.bU

−−−

とある街


魔王「結局追い出されてしまった」

魔王「部下の奴等は何なんだ…いくら俺が魔王っぽく無いと言ってもさ…」

魔王「まだ下克上を狙ってゴマを擦る奴の方が幾分かマシに見えてくるな…」

魔王「そんな奴も居ないんだけどさ…」

魔王「はぁーあ…」


419: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/11(土) 22:47:03 ID:g.AV2R2.bU

魔王「側近と遊ぶっつったてなー…」

魔王「かなりどうでもいいしな…」

魔王「今帰ってもまた追い出されるだろうし…」

魔王「っつーか、俺の城で俺が王で俺が一番偉いのに何だこの扱い!!」

魔王「ありえなさすぎだろ!!」ダンッ

町民「あの、街のど真ん中で叫ばないで下さい」

魔王「あ、すみません」



420: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/12(日) 03:36:25 ID:g.AV2R2.bU

チラチラ
ヒソヒソ

魔王(うっ…)

魔王(住民の痛い視線が突き刺さる…)

子供「ままー!あのフードのおじちゃん何か叫んでたよー!」

母「しっ!見ちゃいけませんよあんな泥饅頭!」

魔王(…おじちゃんじゃねえし…見た目は若者だし…実年齢はアレだけど…ぐっ…!)



421: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/12(日) 03:36:49 ID:g.AV2R2.bU

子供「ママー!あのフードのおじちゃん涙ぽろりぽろり一人ぼっちだよー!!フードからチラリと涙が見えるよー!」

母「貴方…見過ぎよ…」

魔王(おじちゃんじゃねえっつってんだろ…!)

魔王(フード…)

魔王(フードねぇ…)


422: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/12(日) 03:37:06 ID:g.AV2R2.bU

ここまでの膨大な魔力があれば、普通なら人間に扮する事も容易だっただろう。
だが、今の俺の力ではどうしたって人間に扮する事が出来ないのだ。
理由は先代にかけられた呪いだろう。魔物として一生を経つ事を余儀なくされるのだ。
人間の時には無かった角や、尖った耳を隠すにはフードを被るか帽子を被るしかない。
極偶にだが、人間の街に行く事はある。その時は何時もフードを被って顔を隠している。
こちらに敵意は無くとも、向こうはそうもいかないのが現状。


423: 名無しさん@読者の声:2012/2/12(日) 06:47:34 ID:h096Ad6QOE
面白い。支援
424: 名無しさん@読者の声:2012/2/12(日) 10:29:13 ID:YEKrbKpH2U
続き待ってるぜ
支援
425: 削除:あぼーん
削除されますた
426: 名無しさん@読者の声:2012/2/12(日) 16:08:10 ID:JPOJYwW2Gc
つC

>>425
馴れ合ったっていいじゃん。嫌なら見なきゃいいんだよ

427: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/12(日) 18:15:06 ID:g.AV2R2.bU
>>416
見てきましたよありがとうございます
可愛いすぎて昇天しました
428: 名無しさん@読者の声:2012/2/13(月) 12:15:28 ID:k81ksGofh2
主、卒業出来るかな?
429: 名無しさん@読者の声:2012/2/13(月) 12:37:47 ID:0lWWzKe/lQ
主て
430: 名無しさん@読者の声:2012/2/13(月) 15:22:58 ID:nHtxpoh1uw
面白いwww


つC
431: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/13(月) 20:43:25 ID:g.AV2R2.bU
>>428
やべぇです
そのせいで更新遅いです
でも明日更新します

432: 名無しさん@読者の声:2012/2/13(月) 22:03:34 ID:8HMOu3R/Fk
ええいいいいやああ
433: 名無しさん@読者の声:2012/2/14(火) 12:47:31 ID:aotAc0vzsc
マダカナー


わくてか
434: 名無しさん@読者の声:2012/2/14(火) 13:01:04 ID:Cv0uaM0rFg
きっと大丈夫だ!

更新待ている
435: 名無しさん@読者の声:2012/2/14(火) 16:23:52 ID:A9nyC9U9NY
此処で敢えて言わせてもらおうっ

戦士うぜぇぇえ!!!!!!!!ww
436: 名無しさん@読者の声:2012/2/14(火) 19:41:56 ID:3.n7nWK9iw
(´Д` )まだぁ?
437: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/14(火) 20:10:25 ID:g.AV2R2.bU
今更ですが、またもや1位ありがとうございました。
これも皆様のお陰です!(*´ω`*)
チョコください。







魔王「…はぁ」

魔王「あんな餓鬼の言葉に落ち込んでいても、仕方無いな」

魔王「おじさんじゃねえけど」

魔王「…もう此処まで来てしまったし。さっさと側近でも捜すか」

魔王「これで既に帰っていたら笑いものだな」





438: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/14(火) 20:10:41 ID:g.AV2R2.bU





魔王「あの、すみません」

おばさん「はいはい、いらっしゃい!」

魔王「あ、ごめんなさい。俺、客じゃないです…」

おばさん「あらあら、そうなの?何か用?業者さん?」

魔王「ちゃいます」


439: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/14(火) 20:11:12 ID:g.AV2R2.bU

魔王「えっと…こういう男見ませんでしたか?」写真ピラッ

おばさん「あらあらあら!!見ましたわよ見ましたわよさっき!」

魔王「あ、本当ですか?」

おばさん「ええ、ええ。さっきねうちの商品を買っていってくれた憎い男よぉ」

おばさん「何?あんたその旅人さんの知り合いか何か?」

おばさん「もしかして暗殺とか闇金的な知り合いかい!?ちょっと勘弁してくれよ?!」

魔王「ちゃいます」


440: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/14(火) 20:11:32 ID:g.AV2R2.bU

魔王「僕はこいつの友人です。さっき逸れまして」

おばさん「え?でもその人一人旅って…」

魔王「あー!あー!!違います間違えました!!一人旅は一人旅なんですけど、ええと、さっき!そうさっき偶然この街で出会って…えっと、それで!!」

おばさん「えぇ…?」ジトー

魔王(うわ詰んだ)


441: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/14(火) 20:11:50 ID:g.AV2R2.bU

おばさん「まぁいいわ。おばさんには関係の無い事だし」

魔王(結構潔い)

魔王「はぁ…。えっと、まぁそれで、この旅人何処に行ったかご存知ですか?」

おばさん「えぇーと…確か、何処かの村に行くとかどうとか…」

魔王「何処だか思い出せますか?」

おばさん「うーん…」


442: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/14(火) 20:12:05 ID:g.AV2R2.bU

おばさん「あっ、思い出した!この近くの村だ!」

魔王「この近くの…?」

おばさん「そうよ。知ってる?勇者様が生まれ育った村よ」

魔王「勇者…?」ピク

おばさん「そうそう。まぁ最近抜擢されたばっかりのヒヨっ子勇者様らしいけどねぇ〜」

魔王「…ふぅん…」


443: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/14(火) 20:12:20 ID:g.AV2R2.bU

魔王(側近の奴…用事が買い物だけじゃないのか…?)

魔王(あいつの村か…何の用で行ったんだ…?)

魔王(何だか、行かなくてはいけない気がする…)

魔王「あの、その村って何処にありますか」

おばさん「ん?あぁ、ちょっと待ってね。地図描くから」

魔王「恐れ入ります」


444: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/14(火) 20:38:52 ID:g.AV2R2.bU

−−−

魔王「さて、行くか…」

魔王「森を抜ければ良いって言ってたけど…」

魔王「転送魔法…」

魔王「あ、歩いて行こうか」

魔王「いや、別に会うのがすげぇ気まずいから少しでも時間を喰って行きたいとかそんなんじゃなくて」

魔王「そう、散歩!散歩だよ!!」


445: 名無しさん@読者の声:2012/2/14(火) 21:55:11 ID:3.n7nWK9iw
( ^ ^ )/■ちょこドゾ
446: 名無しさん@読者の声:2012/2/15(水) 12:43:40 ID:sGsKplNHPk
魔王は俺の嫁w
447: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/16(木) 23:24:17 ID:g.AV2R2.bU

魔王「それに、必ずしもあいつに会うとは限らないしな」

魔王「側近だって、何考えているかさっぱり分からないけれど、あいつと会う約束してるとは思えないし」

魔王「そうだ、そうなんだよ。何も心配することなんて無いじゃないかよ」

魔王「今は簡易とは言え変装もしている。そう簡単に俺が魔王とは気付かまい」


448: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/16(木) 23:24:38 ID:g.AV2R2.bU

魔王「そうとなれば、ガンガンこの森を進むだけだ」

魔王「何も恐れることは無い」

魔王「ガンガン行こうぜ!!」

魔王「…」

魔王「テンションがおかしい」


449: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/16(木) 23:24:53 ID:g.AV2R2.bU

−−−

私達が村に着いたのと同時、いや少しくらい後に、先程旅人さんと対峙した魔物によく似た2体のそれが、森の方から飛び出してきた。
村に向かって一直線に。疾く。切り裂くように飛び出してきたのだ。
幾つ物の疑問が脳裏を駆け巡る。
旅人さんは魔物に殺られてしまったのか。
どうして1体じゃなくて2体なのか。
何故気が付かなかったんだろうとか。
どうして、何故、何でと答えの分からない疑問が浮かび上がり消え、また浮かび上がる。
分かることはただ一つ、この後村がどうなるかだけ。



450: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/16(木) 23:25:27 ID:g.AV2R2.bU
少なくてすみません。
土日だとまだ多く更新出来そうです。

451: スーパーキラーマシン:2012/2/17(金) 00:57:04 ID:S72h6PC/2Y
4円4円4円

452: 名無しさん@読者の声:2012/2/18(土) 00:15:57 ID:n.c7U/3INQ
CCC
453: 名無しさん@読者の声:2012/2/18(土) 11:49:22 ID:Iq/FZsJprc
超絶に面白い・・・だとっ!?

4円
454: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:15:20 ID:g.AV2R2.bU

村人「きゃあああああ!」

村人「ま、魔物だ!」

村人「女、子どもは避難させろ!戦闘力のある者は馳せ参じろ!」


勇者「…え」

勇者「さ、さっきの、魔物が…どうして、村に…?」


455: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:15:38 ID:g.AV2R2.bU

賢者「勇者、お前は家で避難しろ。此処は俺達で何とかするから」

勇者「えっ?そ、そんな、駄目だよ…っ!」

魔法使い「貴女が心配する事なんて何も無いわ。貴女が居ない間も今までこうして村に来る魔物を倒して来たもの」

勇者「い、今まで…」

戦士「村の連中は未だにこの状況に慣れていないみたいだけどな。まぁ任せろよ」

勇者「戦士くんは…怪我、してるじゃないっ…」


456: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:15:52 ID:g.AV2R2.bU

戦士「腕は大丈夫だ。さっき賢者に回復して貰ったばっかりじゃないか。なんだ、見ていなかったのか?」

勇者「見てた、けど…でも」

戦士「そりゃ、確かに感覚は鈍ってるけど、大丈夫だ。動かせない事はない」

賢者「まだ勇者は弱いんだ。勇者に被害が回ったら、それこそ駄目だ」

勇者「…」

魔法使い「ほら、いいから。大人しく家で待ってて」

勇者「そんな、留守番みたいな…」


457: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:16:07 ID:g.AV2R2.bU





魔法使い「送ってきたわ」

賢者「そうか。ありがとう」

戦士「でもさ、アイツには大丈夫っつったけどさ」

魔法使い「あら、怖じ気づいたの?」

戦士「最後まで話聞けよ」


458: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:16:22 ID:g.AV2R2.bU

戦士「あの魔物、かなり強いぜ?さっきも言ったけど、オレでさえ利き腕がやられるくらいだ」

魔法使い「一筋縄ではいかない相手なのは、見たら分かるわよ」

賢者「いざとなったらお前が盾になれよ」

戦士「分かってるっつーの。戦士は戦場で死んでこそだ」

賢者「はは、笑い事じゃないな」

魔法使い「フラグなんて立てて、本当に死ぬつもり?」

戦士「まさか」


459: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:17:02 ID:g.AV2R2.bU

賢者「此処で話し込んでいても仕方が無いな」

魔法使い「えぇ。戦える者は戦場に赴いてこそ」

魔法使い「加勢しましょう」

戦士「相手の強さは並じゃない。気を引き締めて行くぞ」

賢者「リーダー面するな。発情期猿」

戦士「賢者、お前最近オレに対しての風当たりが強くないか?」



460: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:17:26 ID:g.AV2R2.bU





勇者「結局、避難って事になっちゃったけど…」

勇者「あぁ、まただ」

勇者「私、みんなに守られてばかりだ」

勇者「駄目だな…駄目だ…」

勇者「私、何もしてない…」


461: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:17:41 ID:g.AV2R2.bU

勇者「今もこうして、自分だけ安全圏で」

勇者「私だけ…傷を負っていない…」

勇者「皆に戦わせてばっかりだ…」

勇者「卑怯だよ…こんなの…」


462: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:17:58 ID:g.AV2R2.bU

勇者「何時まで経っても強くならない…」

勇者「魔王さん達には最後まで迷惑をかけて…」

勇者「魔物が可哀想だからって、ろくに戦おうともしないで…」

勇者「スライムさん達だって、そこら辺りの魔物みたいに狂暴でも獰猛でもなくて、優しいけど」

勇者「普通の人から見たらただの魔物で」

勇者「戦士くんは普通に魔物を倒しただけで」


463: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:18:13 ID:g.AV2R2.bU

勇者「倒した事実は許せないけど…、それでも戦士くんを責めるのは違う…よね」

勇者「…勿論、お兄ちゃんも、魔法使いちゃんも…」

勇者「…分からないな」

勇者「森で出会った旅人さんにも戦わせちゃて…私本当駄目だな…」

勇者「…」


464: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:18:44 ID:g.AV2R2.bU
−−−

ザザザザッ

魔王「…?」

魔王「何か今駆けて行ったような…」

魔王「まぁいいか…」

魔王「…っ!」

魔王「この魔力…」

魔王「まさか…」タッ


465: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:19:03 ID:g.AV2R2.bU





側近「ぐっ…殺されなかったのは運が良かったけど」

側近「…去り際に腹を切られるなんて」

側近「あー…あんな鋭い爪で抉られたら流石に痛い…」

側近「僕が人間だったら死んでたな…」

側近「くっそ…いてぇ…」ドクドク…


466: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:20:02 ID:g.AV2R2.bU

ガサッ

ガササッ

側近「…」

スタスタスタスタ… 

魔王「…」ピタッ

側近「…?」

側近「あれ、夢でも見てるのかな。走馬灯?」

側近「魔王様が居る」

魔王「夢でも走馬灯でもねぇよ。現実だ」

魔王「そんな所で何へばってるんだよ、馬鹿か?」


467: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 01:24:01 ID:g.AV2R2.bU

側近「ははは、どうしたんです?そんなフードなんて被って…まさか人間の街にでも行ってたんですか?」

魔王「そのまさかだよ。キングスライムの奴に追い出されてな。側近と一緒に遊んでこいって」

側近「へぇ…生憎、僕は今超絶忙しいので御一緒に遊ぶ事は出来ません」

魔王「見りゃ分かるさ」スッ

側近「手なんて翳して何をする気ですか。言っときますけど、満身創痍ですから今更手を加えたって変わりませんよ」

魔王「ばぁか。何勘違いしてるんだよ。回復してやろうっつの」パアァ…

側近「お人好しめ」

魔王「うるせ」


468: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 01:24:20 ID:g.AV2R2.bU

魔王「一応、腹の傷は塞いどいた。回復したとは言え、直ぐには動くなよ?暫くは大人しくしてろ」

側近「そうは烏賊の金玉ですよ」

魔王「何この場面でボケかましてるんだよ」

側近「冗談です。…魔王様は見ませんでしたか?駆け抜けていった魔物を」

魔王「…見てはいないな。何かが通り過ぎた気はしたけど」

側近「それでも本当に魔王ですか」

魔王「…振りだよ」


469: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 01:24:38 ID:g.AV2R2.bU

側近「魔物がですね、2体の馬鹿でかい体躯の魔物が…勇者さんの村に向かって駆けていったんです」

魔王「…あぁ」

側近「早く行かないと、大変です」

魔王「心配なのか…?」

側近「死ぬのはどうでもいいですけど、死なれちゃ困ります。用事が終わっていないんだから」

魔王「は?」

側近「こちらの話です」


470: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 01:25:44 ID:g.AV2R2.bU

側近「とにかく、計画をあんな魔物に邪魔されちゃ困ります」スクッ

魔王「おい、まさか」

側近「魔物のせいで勇者さんが死んだら元も子もないです。僕は、助けに行きます」

魔王「…お前、今魔力無いじゃんかよ」

側近「…ありますよ」

魔王「それは気配の方だろ。何にどれだけ使ったのか大体は予想付くけど、自分で自分の傷も満足に治せない奴が人を助けるなんて馬鹿な事はするな」

側近「…じゃあ、どうしろって言うんですか」

魔王「俺が行く」

側近「…言うと思ったよ」


471: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 01:26:03 ID:g.AV2R2.bU

魔王「今、アイツの村に危機が迫っているんだろう?獰猛な魔物のせいで」

側近「…それで、勇者さんが魔物に殺されるかもしれない」

魔王「アイツだけじゃない。罪も無い人間も殺られるかもしれない」

魔王「何でこんな事で死ななきゃならないんだ」

側近「…ははっ、相変わらず甘いなぁ…。アンタ、本当に魔王ですか?」

魔王「魔王だよ。でも」

魔王「勇者でもある」


472: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 01:32:16 ID:g.AV2R2.bU

側近「馬鹿な行為もこれだけにしてくださいよ。情けない」

魔王「何が情けないものか。人助けは良いぞ」

側近「そう思ってるのはアンタだけかもよ。"魔物"の中では」

魔王「それはどうだろうな」

側近「…足手纏いと言われようと、馬鹿と言われようと僕も付いて行きますからね」

魔王「…そうか」

側近「僕にもやらなければならない事がありますから」

魔王「俺が馬鹿なら、お前は阿呆だな」

側近「何とでも」


473: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 01:32:48 ID:g.AV2R2.bU
そろそろ終わりが見えてきましたね。
最後まで頑張ります。
474: 名無しさん@読者の声:2012/2/19(日) 02:08:43 ID:gcXINPOFyo
壁]ω・)つC
475: 名無しさん@読者の声:2012/2/19(日) 03:58:43 ID:KZsUceHXj.
CCCCCCC
476: 名無しさん@読者の声:2012/2/19(日) 09:03:45 ID:h4F3elAXVw
そろそろ終わりが見えてきましたね。だって?

………もっと見たいなー
477: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 15:22:43 ID:g.AV2R2.bU
>>476
ところがぎっちょん、終わるのです
 
今日の夜にまたあげに来ます
478: 名無しさん@読者の声:2012/2/19(日) 16:54:32 ID:Kt/HpIz9p2
一瞬「超弱」が「超熟」に見えておいしそうだと思ってしまった
もう少しで終わってしまうのか…
479: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 21:21:12 ID:g.AV2R2.bU
−−−

ドカンッ
バババババッ
バチッ

魔法使い「うぁっ!」ドカッ

賢者「魔法使い!大丈夫か!?」

魔法使い「え、えぇ…なんとか…」

戦士「くそっ…!魔法使いの魔法が効かないだなんて、どういう身体してるんだよ…!」

カサッ…

魔物A「…無駄な事だと分かっているのに」

魔物B「人間は愚かね」

戦士「…!?」

賢者「喋っ、た…っ?」


480: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 21:21:29 ID:g.AV2R2.bU

魔物A「何をそんなに驚く」

魔物B「物言う魔物なんて珍しくもなんともないでしょう」

魔物A「魔王城に居る魔物も、魔王も話す」

魔物B「我々が喋っていても何も可笑しくない」

魔物A「視野が狭いのだな」

魔物B「それがどうしたと言うの」

戦士「…っ、あぁ、喋ったからってそれがどうしたって話だよな」


481: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 21:21:47 ID:g.AV2R2.bU

戦士「てめぇらはオレ達が倒す。これ以上、無駄な損害は被りたくない」チャキッ

魔物A「無駄な損害では無い」

魔物B「無駄では無いわ。我々がこの世界を支配するのだから。先ずは災いを潰すべき」

賢者「…災い?」

魔物A「災いは勇者。人間にとっての希望だが、我々魔物にとっては災いで他ならない」

魔物B「聞けば魔王と勇者が仲良しこよしをしているのだとか」

魔物A「あの魔王はいけ好かない」

魔物B「だが、実力は本物。我々が魔物を倒すことなど、不可能に近かった」

魔法使い「どういう事よ…」


482: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 21:22:03 ID:g.AV2R2.bU

魔物A「魔王は人間を滅ぼすなどという考えを持ち合わせていなかった。その膨大な魔力も持ちながら、あの魔王はそんな事は一切して来なかった。私はそれが気に食わない」

魔物B「宝の持ち腐れという奴ね。あんな腑抜けた輩に王は務まらない。いくら人間だったとは言え、平和呆けをしすぎている。何時まで経っても人の思想のまま」

戦士「えっ?」

賢者「人間…」

魔法使い「だった、…?」

魔物A「知らなかったのか」

魔物B「魔王は元は人間。それも、人間達が崇拝し、幻想を抱いている勇者だったの」


483: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 21:22:21 ID:g.AV2R2.bU

魔法使い「えっ…?魔王が、人間で…それも、勇者だった…?」

賢者「どういうことだ…人間って…え?…そんな事って」

戦士「…ハッ、どうせ、嘘なんだろ?そうやってオレたちを騙して、戦意喪失でもさせるのか?隙を作らせる気か?」

魔物A「嘘等つかない」

魔物B「嘘吐いてどうなるの」

戦士「そんな事信じられるかよ…ハッタリだ」


484: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 21:22:58 ID:g.AV2R2.bU

魔物A「…此処の、今の勇者はとても脆弱だ」

魔物B「私達の中でも最弱の者に怖じ気づいていた」

魔物A「あのような人間、弱い内に潰した方が良い」

魔物B「滅ぼす気の無い魔王、力の無い勇者」

魔物A「先に潰してしまえば、どうという事もない」

魔物B「何故、我々魔物が近時、獰猛化して行っているのか分かる?」


485: なんだかベタな展開:2012/2/19(日) 21:23:36 ID:g.AV2R2.bU


魔物A「これは憶測でしか無い。憶測の域でしか無い。憶測の範囲内でしか無い」

魔物B「でも、紛れも無く、それでしか無い」

魔物A「魔王は純粋な魔族では無い。何故ならば人間だから。勇者の時分の力や才能、それらでは魔族の力は抑えられない」

魔物B「魔王と言えど、元を正せばただの人間。魔族の力なんて扱える筈が無い」

魔物A「魔王の力は増幅する。意思とは裏腹に。それは抑えつけられない」

魔物B「魔王の魔力が増力すればする程、我々、魔物の魔力も増幅し、獰猛となる」

魔物A「それが憶測の範囲の理である」

魔物A「奴は人間を滅ぼしもしないが、それ以上何をするという訳でもない」

魔物B「ならば、その座を奪うだけよ」

魔物A「我々の理想の為に、勇者を潰させて頂く」



486: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 21:23:56 ID:g.AV2R2.bU

賢者「…」

勇者『でも、普段は本当に優しいよ。文句言いながらも何だかんで助けてくれるし。本当に頼りになる人で…』

賢者「…勇者は、知ってたのだろうか」

戦士「は?」

魔法使い「知っていた?」

賢者「勇者は、魔王が元人間だった事を知っていたのかもしれない」

戦士「…は、はぁ?そんな事あるかよ…」

魔法使い「でもそれならば、あの子があんなに落ち込んで、魔王側に肩入れするのも納得がいく…」

戦士「マジ…?」


487: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 21:24:23 ID:g.AV2R2.bU

戦士「…あっ」

賢者「戦士?」



戦士『・・・どうしてそこまで魔王に執着出来るんだ?良くしてくれただけじゃないよな?』

勇者『あっ・・・・!・・そ、それは・・・』

戦士『確かに変な魔王だけど。・・・よくよく考えたら話しの通じる奴だし魔物っぽくないし、何より邪気が感じられないんだよな・・・』

戦士『一々人間っぽいんだよ。話聞く限りでも』

勇者『・・・!』

勇者『だって、魔王さんは・・・!!』

戦士『?』

勇者『本当は・・・!・・・・あ』


488: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 21:24:40 ID:g.AV2R2.bU

戦士「…あぁ」

魔法使い「…?」

賢者「…兎に角、魔王が人間だった事も元勇者だった事も驚いたが、それとお前らがこの村を、勇者を殺そうとする事には全く関係が無い」

魔法使い「…そ、そうね。その憶測と言うのも、それがどうしたと言うのよ」

魔法使い「支配が何。勇者を潰すですって?今此処で貴方達を倒せば、そんなのは関係無いわ」

賢者「勇者は俺達が守る。絶対に、殺させやしない」


489: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 21:24:59 ID:g.AV2R2.bU

戦況を可か不可で決めるのならば、認め難いが不可であろう。
俺の魔法も、魔法使いの魔法もまるで蚊が止まったが如くの反応で、全く歯が立たない。
戦士の利き腕は、俺が回復したから動かせれるものの、後遺症なのか分からないが何時もどおりの強さが出し切れていない。
魔物自体の強さは戦士が言った通り、桁外れの強さだ。
1体だけならまだ勝算はあったのかもしれない。
だが、それが2体なのだからタチが悪い。
魔物の鋭い爪が、戦士の腹を抉る。
ビッシリと棘塗れの尾が、魔法使いを撲る。
不毛すぎる。
あぁ、俺達では無理なのだろうか。此処で、終わりなのだろうか。
俺は別に死んでも良いと思っている。でも、勇者は絶対に死んではいけない。
魔物が、その巨大な体躯を動かし、俺に向かって突進してくる。
終いか。


490: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 21:29:42 ID:g.AV2R2.bU
ククク…奴は四天王の中でも最弱の男…


ベッタベタの展開且つ、この後起こる事も容易に想像出来ますね。
戦闘描写は大の苦手なので、全く戦闘していません。すみません。
戦闘はカットカットしまくりなので、熱い展開は無いでしょう。

兎にも角にも、もう少しで終わります。
恐らく、この週で終わるんじゃないだろうか。
終わった後は特に何も考えていませんが、多分番外編等何もやらずに終わりだと思います。

長くなって申し訳ございません。
最後までお付き合い宜しくお願いします。

491: 名無しさん@読者の声:2012/2/19(日) 21:32:15 ID:ckuIzWtpdw
文の書き方好きすぎる

お疲れ様です
楽しいですありがとう
っC
492: 名無しさん@読者の声:2012/2/19(日) 21:44:17 ID:peBMWugcX6
終わったら楽しみが1つ減ってしまうではないか(´・ω・`)

支援!
493: 名無しさん@読者の声:2012/2/20(月) 16:40:59 ID:AY51fdUhxg
追いついた
っC
494: 名無しさん@読者の声:2012/2/20(月) 17:17:35 ID:wmewq2ymjk
支援
495: 名無しさん@読者の声:2012/2/20(月) 22:09:41 ID:S72h6PC/2Y
追い抜いた。
っ4円
496: 名無しさん@読者の声:2012/2/21(火) 01:54:55 ID:aDHqf8udzU
追い付いた

C

497: 名無しさん@読者の声:2012/2/21(火) 06:07:41 ID:0qRAev2QxY
マダカナー
498: 名無しさん@読者の声:2012/2/22(水) 07:34:12 ID:MIZQN488hg
やっと追い付いた
支援
499: 名無しさん@読者の声:2012/2/22(水) 11:47:46 ID:qHWC.eMnXs
うっ...

追い抜いた

ふぅ...
500: 名無しさん@読者の声:2012/2/22(水) 12:31:56 ID:n.c7U/3INQ
>>499
追い抜いたからってヌイちゃ駄目
501: 名無しさん@読者の声:2012/2/22(水) 13:34:10 ID:2D1tz6wMaE
≫1マダー?
とりあえず( ^ ^ )/CCC

502: 名無しさん@読者の声:2012/2/22(水) 15:06:32 ID:vDlqGeWazg
追い付いた

つCCCCCC
503: 名無しさん@読者の声:2012/2/22(水) 16:22:17 ID:2D1tz6wMaE
≫1マダー?
とりあえず( ^ ^ )/CCC

504: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/22(水) 22:10:27 ID:g.AV2R2.bU

−−−

勇者「…やっぱり、気になるな」

勇者「窓から…見れるかな…」

勇者「ん…」ヒョコッ

勇者「!!」

勇者「…ひっ、酷い…!」


505: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/22(水) 22:10:42 ID:g.AV2R2.bU

勇者「魔法使いちゃん…戦士くん…」

勇者「あんな…怪我が…酷い…酷過ぎる…」

勇者「…っ!」

勇者「お、お兄ちゃん!!危ない!!」

ダッ
バタンッ


506: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/22(水) 22:10:57 ID:g.AV2R2.bU

気が付いたら家を飛び出していた。
避難とか、私が弱いからとか関係無い。
大事な人達が今危険な目にあっている。
実際にこの目で悲惨なものを見ないと身体が動かないなんて私、馬鹿だ。
だから何時まで経っても強くならないんだ、身体も、心も。
もう大丈夫とは言い切れないけれど、それでも、今行かなくちゃ。
今しか無いんだ。
大事な人も守れないで勇者なんて名乗りたくなんか無い。
弱くても良い、死んでも良い、やらないで泣いてめそめそするだけはもう嫌。


507: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/22(水) 22:11:14 ID:g.AV2R2.bU

−ザッ

バシインッ

魔物A「グウッ…!」

魔物B「ウアッ!!」

ドサッ

賢者「…魔法?」

?「これは…醜い大惨事ですね」

?「やり方も醜いな」

賢者「お前は…!」

側近「大丈夫ですか?お兄さん」

魔王「少し遅れてしまったな。ごめん」ファサッ

側近「ヒーローは遅れて来るものですからオーケーですよ」

魔王「そっか」


508: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/22(水) 22:11:30 ID:g.AV2R2.bU

賢者「ま、魔王と…誰だ?」

側近「おっと、そういや人間に扮したままでしたね。忘れていましたよ」パッ

賢者「!」

側近「僕ですよ、僕」

側近「そんなに日にち経っていないんだから、忘れたなんて言わせませんよ。お兄さん?」

賢者「そ、側近…だったっけ…?」

側近「うわ、微妙に忘れてやがる」


509: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/22(水) 22:11:47 ID:g.AV2R2.bU

賢者「!!そ、そうだ魔王!!お前、回復魔法は使えるのか!?」

魔王「あぁ。得意分野のお前よりかは劣るかもしれないがな」

賢者「俺はもう…魔力に限界が来た。俺はいいから、アイツらを、魔法使いと戦士を治してくれないか?」

側近「あんなに敵意剥き出していたのにこんな状況だと頼るんですね」

賢者「…」

魔王「側近。…賢者、それはできないな」

賢者「っ…そ、そうか」

魔王「俺はお前も治さないと気が済まない。お前ら全員治してやるよ」

賢者「!…あ、あぁ!感謝する!」



510: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/22(水) 22:12:10 ID:g.AV2R2.bU

タッタッタッ…

勇者「おっ、おに、お兄ちゃん!!」

賢者「!?」

賢者「勇者!何で家から出てきた!危ないから帰れ!!」

勇者「嫌!!絶対に嫌!!みんなみたいに戦えないかもしれないけど、それでも見てるだけは嫌!」

勇者「私もみんなと戦う!戦わせて!もう泣くだけの何もしない自分は嫌!」

賢者「…勇者」

魔王「…」

側近「魔王様?」

勇者「えっ…?あっ!ま、魔王さん!?どうして!?」

魔王「今気が付いたのかよ…」


511: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/22(水) 22:12:25 ID:g.AV2R2.bU

勇者「な、何だか…とても、久しぶりな気がします」

魔王「あ、あぁ…。そ、そうだな…」

側近「思春期か」パシッ

魔王「痛っ」

側近「…勇者さん。何だかさっき会った時と変わりましたね」

勇者「あっ…側近、さん…!…さ、さっき?」

側近「僕ですよ。僕」パッ

勇者「!?た、旅人さん!?さっきの!?」


512: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/22(水) 22:12:40 ID:g.AV2R2.bU

側近「何のための変装だか分からなくなったけど…そんな事も言ってられない状況になりましたからね…」

勇者「…?」

賢者「…」

賢者「勇者、本当に戦うのか?」

勇者「…うん」

勇者「足手纏いなら…踏み台にしてくれて構わない。私は、戦うよ」

賢者「…。分かった。踏み台にされないようにしっかりな」

勇者「…うん!」


513: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/22(水) 22:12:58 ID:g.AV2R2.bU

側近「さて…平和的に話している所すみませんが、魔物が起き上がりましたよ」

側近「魔王様の魔法を喰らって、よく這い上がれますね」

魔物A「平和呆けをした魔王に…脆弱な勇者…。我々も舐められたモノだ」

魔物B「先程、ヤツと対峙していた男も居るな。大した事では無いけど」

側近「何ですって?」ピクッ

側近「確かに僕は魔力も少ないし。ってか今ゼロですけども。肉弾戦もあまり得意ではありませんが…」ザッ

側近「魔物でも火事場の馬鹿力というものは存在するもので」バキッ

魔物B「グッ…!?」

勇者「ま、回し蹴り…」

側近「どうやらまだまだ足手纏いにならない程度になら戦えそうです」ニコッ



514: 名無しさん@読者の声:2012/2/23(木) 00:51:34 ID:tk7b8wFsUg
<キャーソッキンサーン
515: 名無しさん@読者の声:2012/2/23(木) 16:42:56 ID:wmewq2ymjk
ソッキンサンカッコイイワー>
516: 名無しさん@読者の声:2012/2/23(木) 20:59:02 ID:985iqq7eq.
側近さんの人気に嫉妬
517: 名無しさん@読者の声:2012/2/23(木) 21:35:09 ID:neWU3PF3OM
側近がテイルズオブジアビスのジェイドでなぜか再生される。なんかしっくり来る。

応援してまっす。つC
518: 名無しさん@読者の声:2012/2/23(木) 22:11:08 ID:h9764VcBMQ
>>517
禿同
519: 名無しさん@読者の声:2012/2/24(金) 09:33:51 ID:Yj.03b4SUs
追い抜いた
520: 名無しさん@読者の声:2012/2/24(金) 16:24:13 ID:9b5/3BfUwM
側近カッコエェ……

応援してます支援っ!
521: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:22:58 ID:g.AV2R2.bU

魔王さんは戦士くんや魔法使いちゃんだけじゃなくて、怪我した村人さん達を避難させつつ、回復も施していた。魔王なのに人間を助けるなんて、普通の人なら違和感を抱く。
実際、村人さん達も訝しげな目で魔王さんを見遣ってた。中には回復を拒否する人も居た。
その度に魔王さんは相手に「お前が死んだら家族が悲しむだろうが」と魔王らしからぬ説教をして無理矢理傷を治していた。多少強引だけど、そこが彼の優しさだ。
魔王さんが村人さん達を避難させている間に、お兄ちゃんは持てる限りの全ての魔法を。側近さんは火事場の馬鹿力とかいうもので応戦をした。
私も微力ながら立ち向かっていった。
やはりというか、分かっていた事だけど、私が幾ら本気を出して剣を振るってもこの魔物はビクともしないわけで。

勇者「くっ…!」

魔物B「そこの男2人はまだやれるようだけれど…やはり、貴女は脆弱。脆すぎる」


522: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:23:15 ID:g.AV2R2.bU

魔物B「無駄な正義感を奮わせて、蛮勇を働かせて、それで自分が強くなったでも?」

勇者「う、るさい…!」

魔物B「所詮貴女はどんな選択をしても弱いまま」

魔物B「この剣の弱さが全てを物語っている」

勇者「う、うぅ…!!くぅ…っ」ギリギリ…

魔物B「ふんっ」ドンッ

勇者「うああっ!!」バタッ



523: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:23:30 ID:g.AV2R2.bU


魔王「全員避難させてきたぞ!」

側近「お疲れ様です。僕ももう体力に限界が近付いてきたので後はよろしくお願いします。一発でイケるでしょ?」

魔王「いける…いけるけど、何で俺が避難させなきゃいけねえんだよ。どう考えても要領悪すぎだろ!」

側近「だって、僕達が避難させている間に攻撃されても庇いきれませんもん」

魔王「もん、じゃねえよ…」

賢者「無駄口は良い!さっさとコイツらを倒せ!」

魔王「…はぁ。…なんというか、まぁ」スッ

魔物A「ぐああああああっ!?」ドカンッ!!

魔王「人使い…魔物扱いが酷いな」バシンッバシュッ!!

側近「エグい…」


524: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:23:44 ID:g.AV2R2.bU

ドサッ…

シュゥー…

魔物A「ぐ…あ…・・・」

魔王「…おい、そっちの片割れ。コイツは死んだぞ。命乞いをするなら今の内だ」

魔王「と、言っても。出血多量で死ぬくらいの傷は負わすが」

側近「それ、ほぼ死んでます」

魔物B「そいつを殺るとは腐っていてもお前は魔王だったという事ね。見誤っていたようだ」

魔王「当然だろ。どうあれ俺は王だ」

魔物B「情に流されない王なら私も従ったのだが」グイッ

勇者「きゃっ…!?」


525: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:23:59 ID:g.AV2R2.bU

魔物B「今此処でこの勇者を殺す事は私にとって1秒の猶予も要らない」

勇者「くっ…卑怯者…!」

賢者「ゆ、勇者!」

側近「人質ですか?みっともなくて格好悪いですね」

魔王「…同感だ。命乞いよりダサい」

魔物B「余裕ね。それくらいの力が備わっている事ね。…或いは」チラッ

魔物B「この小娘の命が惜しくないという事か…」

魔物B「死んでも良いと思えるくらいどうでもいい存在なのかもね」 

勇者「!」


526: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:24:14 ID:g.AV2R2.bU

勇者「…え?」

魔王「はぁ…馬鹿も休み休み言え。惜しくないわけ無いだろが」

勇者「…ほ、本当ですか?」

魔王「…何そいつの言う事本気にしてるんだよ。お前はどっちの言葉を信じるんだ」

勇者「ま、魔王さん…。魔王さんの言葉を信じたいです。私、魔王さんを信じます」

魔王「…あぁ。それで良いんだ」



賢者「…」ギリッ

側近「お兄さん、空気読んで下さいよ?」


527: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:24:31 ID:g.AV2R2.bU

魔物B「この小娘を盾にしても無駄のようね。まぁ分かっていた事だけれど…」

魔物B「なら…もうこの勇者に用は無い」スッ

勇者「!!」

側近「あ…!」

魔物がその大きくて鋭い牙を剥き出すように口を大きく開きながら、勇者さんを睨む。
コイツは勇者さんを喰うつもりだ。一瞬にして分かった。
さっき僕が対峙した魔物の末路を思い出した。
アイツの最期はこの魔物達に喰われて終わった。
あの胸くそ悪い最期を勇者さんにするつもりか。
危ない、と自分でも驚くくらいの大声を張り上げて駆け出そうとした。
だが、僕が駆けるよりも早く、魔王様がその身を呈して勇者さんを庇った。


528: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:25:01 ID:g.AV2R2.bU

勇者「…ま、魔王さん…!!腕…腕が…!」

魔王「…こんな低級クラスの魔物に咬みちぎられる程、俺の腕は脆くない。どうだ?丈夫だろう?ちょっとやそっとじゃ、千切れねえよ?」

魔物B「グゥッ…!!グルッ…!」モゴモゴ

勇者「な、何余裕ぶっこいてるんですか!!腕そんな咬まれて…!!」

魔王「…余裕も何も、全然痛くないし。魔王になって良かったって思ってるのは、この身体の丈夫さかね」

勇者「…!!」

魔王「…さて、悪いけれど、もうお遊びに付き合ってられないわ」スッ…

魔王「どう足掻いても、お前は俺にとっちゃただの三下だ。スライム共よりもな」

魔王「残念だな」


529: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:25:18 ID:g.AV2R2.bU

右手を。咬まれていない片方の腕を魔物に向かって右手を伸ばす。
左腕は尚も咬まれているまま。痛くないと言えば嘘になるが、こんな痛み側近の蹴りに比べれば雀の涙。矮小だ。虚空を咬むな。
怨嗟の声が僅かに耳に入る。ああ、格好悪い野郎だ。
往生際の悪い魔物だ。ここに来て迫ってくる死に恐怖を覚え、噛み続けるというのか。

「さっきまでの威勢はどうした」

右手に魔力を注ぎ、魔物に向かって解き放つ。轟音と共に魔物の身体が塵と化していく。
融かした。消し飛ばした。存在を無かった事にした。−死んだ。
呆気無い最期だな。
悪い、どうやら俺は空気の読めない男のようだ。


530: 名無しさん@読者の声:2012/2/24(金) 23:17:57 ID:qhe8TO4DYw
>キャーマオウサーン
531: 名無しさん@読者の声:2012/2/24(金) 23:41:25 ID:0CerDYz4Z2
>キャーマオーサマカコイー
532: 名無しさん@読者の声:2012/2/25(土) 00:26:24 ID:WO9QRt5V6.
最後の最後でやりおった…今までのニートっぷりが嘘みたいだ
533: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:33:34 ID:g.AV2R2.bU


その出来事は一瞬だった。まるで夢を見ているかのよう。
魔王さんの右手から魔法が放たれて、あの獰猛で巨大な体躯を持った魔物は、元から存在していなかったんじゃないかと思う程、綺麗に消えて無くなっていた。
魔王さんがあの魔物を倒す時の眼は、"魔王"とも"勇者"ともつかない怒りに満ちた眼をしていた。
上手くは言えないけれど、あの眼に畏怖さえ感じたと思う。
あの後は色々とてんてこ舞いで、村人さん達や村長さん達に謝罪混じりのお礼を頂いたけれど、魔王さん達を分かってくれる人が増えたと言えばそうでもなくて。…そこは、やっぱり難しい問題だから仕方のない事なんだけど。
ちなみに、怪我をした人達は村の診療所で治療中。
魔王さんが回復してくれたお陰で大事には至っていないからそんなに心配する事でも無いみたいだ。
戦士くんや魔法使いちゃんも、今は泥のように眠っていて、明日にでも目を覚ますだろうと言われた。


ややあって、今こうして魔王さんと側近さんを、家に招いている。
今度こそ、あの時出来なかったお話をしようと思ったけど



534: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:33:53 ID:g.AV2R2.bU

勇者「もう…帰られ…るんですか…?」

側近「ええ。遊びに来た訳ではありませんし。そろそろお暇しないと」

魔王「…元々、俺は此処に来る予定なんて無かったんだよ。偶々、こうなっただけで。コレ以上居座る必要なんて無い」

勇者「そ、そう、ですか…。そうですよね…」

魔王「それに、あんまりこの村に長居してもお前らが白い眼で見られるだけだぞ」

賢者「その件に関しては心配するな。もう白い眼で見られている」

勇者「胸を張って言う事じゃないと思うの…お兄ちゃん」


535: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:34:14 ID:g.AV2R2.bU

側近「…」

側近「勇者さん。勇者さん」コイコイ

勇者「なんですか、側近さ…わぁ!」グイッ

魔王「?」

側近「付いてきて下さい」ボソッ

勇者「え?」

側近「何だかこの家、熱気が凄いので少し外で涼んできます。心細いので勇者さんにも付いてきて貰いますわ」グイグイ

勇者「わ、わ!」グイグイ

バタンッ

賢者「…」

魔王「殺気やめて」


536: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:34:40 ID:g.AV2R2.bU

−−−

勇者「いたいっ!痛いですっ側近さん!もうっ、どうしたんですか!いきなり!」

側近「…良いですか。耳も目もかっぽじって良く聞いて下さい。見て下さい」

勇者「ん…?」

側近「前に一度、魔王様は先代の魔王に呪いをかけられて今の姿になったと…そう説明した事覚えていますか?」

勇者「!…う、あ、はい」

勇者「…魔王さんは、元人間で…私と同じ、勇者、だった…」

側近「はい、そうです。もう、何百年前のお話ですけどね」


537: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:34:56 ID:g.AV2R2.bU

勇者「それが…どうかしたんですか?まさか、魔王さんの身に何か…」

側近「そういう不吉なお話をしに此処に連れ込んだのではありません。見て貰ったら早いでしょうが、コレを」スッ

勇者「?…これは…本?魔導書?」

側近「はい。さすがの阿呆の勇者さんでも、コレが何なのか分かっていただけで良かったです」

勇者「うぐ…」

勇者「ば、馬鹿にしてますね…」

側近「はい」

勇者「むぅ〜…!」


538: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:35:11 ID:g.AV2R2.bU

側近「そんな事はさて置き、此の魔導書。どうやら、魔王様の呪いと解く方法が記されているみたいなんですね」

勇者「!!ほっ、本当ですか!?」

側近「えぇ。ただ、この解呪出来る人物はそう」チラッ

勇者「?」

側近「勇者さん、貴女だけなんですよ」

勇者「えっ。…ええええ!?」

側近「喧しい」


539: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:35:26 ID:g.AV2R2.bU

勇者「な、何で…私が…!」

側近「さぁ?ただ、魔王を倒せれるのも勇者だけだし。当然の法則なんじゃないんですか?それは分かりません。作った人に聞いて下さい」

勇者「そ、んな無茶苦茶な…」

側近「無茶苦茶で結構。どうして僕が此処まで必死になって、貴女を庇って、貴女の村を脅かそうとした魔物と対峙したと思ってるんです?まさか、自分の為だなんて思っていないでしょうね?」

勇者「…魔王さん、の為ですよね?」

側近「えぇ、そうです。僕はあの方に命救われたようなモノですし。借りがあるんですよね…大きな大きなね。恩を仇で返す気なんて毛頭無いですし。僕に出来る事と言ったらこれくらいですから」

勇者「…」

側近「嫌、と言っても無理矢理にでも解呪させますから」

勇者「脅し、ですよ…それ」



540: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:35:45 ID:g.AV2R2.bU

私は少し、逡巡した。
逡巡する必要なんて無い筈なのに、してしまった。
魔王さんの呪いが解ければ、恐らく、きっと、魔王さんは元の人間の姿に戻れる。
それはとっても喜ばしい事。
でも、魔王さんが人間に戻ったら、魔王城に住んでいる魔物さんや、今目の前に居る側近さん達の存在はどうなるのだろう。…消えて、しまうの?
魔王を倒したら魔物が居なくなるのと同じ原理、消えてしまうんだろうか?
それは、とても、嫌だ。

勇者「私、は…」

側近「…僕らの事なら、心配は要らないよ」

勇者「え…」

それは酷く優しい声だった。


541: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:36:00 ID:g.AV2R2.bU

側近「君の事だろうから、僕ら魔物の存在を心配してくれたのだけれど」

側近「大丈夫。もうみんな覚悟は出来ている。ありがとう」

―突然人が変わったような優しい声。何時も通りの冷たい視線も無い。穏やかな眼をしていた。
―穏やかな眼差しだけじゃない。その眼には強い意志も込められている。
―人が、中身が見えてしまう程、一生懸命なんだ。

側近「酷な願いを頼んでいる事は重々承知だよ。これは僕らの我儘だ」

側近「魔王様の魔力が噴き出す恐れも否めない。魔王様が苦しむ姿は見たくないから。みんなね」

側近「死は恐れない。無も恐れない。本当に怖いのは、大切な人が傷付く時だ」

側近「だから、勇者。受け入れてくれないか。僕達のお願いを」

側近「我儘で、すまない」


542: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:36:17 ID:g.AV2R2.bU

−−−

賢者「…あの2人、何をしに行ったんだろうな」

魔王「…す、涼みに行ったんだろう?」

賢者「に、しては少し遅いと思わないかい?」

魔王「そうか?逆上せてから冷えるまでにはこれくらいの時間が有するんじゃないのか?」

賢者「ってか、そもそもこの家そんなに蒸し暑くなんざねーよ!!!寧ろ涼しいわ!!隙間風が吹いてきて逆に寒いわ!!!」ダンッ

魔王「うっ、うおあ!!!」ビクッ



543: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:36:35 ID:g.AV2R2.bU

賢者「あぁもう、我慢ならん。連れ戻しに行く」スタスタ

魔王「いやいや待て待て。確かにアイツらの様子は不自然だったし、涼みに行くにはあまりにも展開が急だ」

賢者「だろう?だから無理矢理にでも連れ戻す。こんな夜に男女2人きりなんて危ない。妊娠する」

魔王「発想が突飛すぎるぞ!どんだけシスコンなんだよ!…待て、落ち着け、な?茶飲めよ、茶」

賢者「そんな不味い茶は要らん!!」

魔王「アンタの妹が淹れたヤツだぞ!?」


544: 名無しさん@読者の声:2012/2/25(土) 14:53:00 ID:n.c7U/3INQ
CCCCCC
545: 名無しさん@読者の声:2012/2/25(土) 17:50:24 ID:YEKrbKpH2U
4円4円
546: 名無しさん@読者の声:2012/2/25(土) 19:52:47 ID:wmewq2ymjk
支援
547: 名無しさん@読者の声:2012/2/26(日) 19:12:53 ID:0Q/S9R03Ys
しえ〜ん
548: 名無しさん@読者の声:2012/2/26(日) 23:01:50 ID:bad939XkgI
やっと追いついた                                                                                支援       
549: 名無しさん@読者の声:2012/2/26(日) 23:04:01 ID:ckuIzWtpdw
無駄な改行いりません
550: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/26(日) 23:30:52 ID:g.AV2R2.bU
この週で終わるとか言ってすみませんでした。
終わりませんでした。
申し訳ありませんがもう少し時間を頂ければ幸いです。すみません。

551: 名無しさん@読者の声:2012/2/26(日) 23:41:43 ID:wSoY8fgyqA
最後まで付き合いますよ!
支援C
552: 名無しさん@読者の声:2012/2/27(月) 00:40:29 ID:Drdi/RDOBg
追い付いてしまった
支援
553: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:22:36 ID:g.AV2R2.bU

魔王「じ、じゃあ、アレだ。俺が見てきてやるよ。な?だから落ち着けって。アンタは座っとけよ」

賢者「落ち着いているよ。十二分に」

魔王「嘘つくなよ。…この家、涼しいんだろ?頭冷やせよ」

賢者「む…」

魔王「よしよし。じゃあ直ぐに連れてくるから」バタンッ

賢者「…」

賢者「変わった人だ…」ボソッ


554: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:22:55 ID:g.AV2R2.bU

魔王「おい、いつまで外にいるつもりだー…ん?」

勇者「〜…」

側近「ー…」

魔王「…」コソコソ

魔王「はっ、いやいや何で物陰に隠れてるんだよ俺!!堂々としろよ!!」

魔王「…しかし、何というか、今出て行ったらイケない様な雰囲気だ」

魔王「これは盗み聞きではない。不可抗力だ」


555: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:23:11 ID:g.AV2R2.bU

側近「…という、事でですね。まぁそんな後ろ向きに考えないで下さい。僕らは大丈夫ですから」

勇者「…」

側近「ちょっと、聞いてるんですか?阿呆の勇者さん」

勇者「ふえっ!?…あっ!は、はい!聞いてます!!」

勇者(きゅ、急に口調変わるから吃驚した…)

勇者(今のって、もしかして、素の口調だったりするのかな…まさか、ね)


556: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:23:29 ID:g.AV2R2.bU

側近「解呪するから宜しく、なんて魔王様に言ったら反対されますからね。コソコソとやらないと」

勇者「えっ?…ど、どうしてですか?」

側近「…僕らが消えるからですよ。あの人は何処までも大馬鹿野郎ですよ。世界の人々と魔物、どっちが大切なんだか」

勇者「どちらも…だと思いますけど…」

側近「…全く、アンタ達2人は本当似た者同士だ。優しすぎますね」

側近「そんな我儘、通用出来たらどんなに良い事か」

勇者(…何だかんだで側近さんも優しいと思うけど)


557: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:23:44 ID:g.AV2R2.bU

勇者「…側近さん」

側近「何でしょうか」

勇者「その呪い、本当に私でも解けるんですか?」

側近「だからアンタにしか解けないんだってば」

勇者「こんな弱い私でも?今の私でも?」

側近「…この解呪の方法に必要とする魔力は並大抵のモノじゃない。それこそ、魔王様と同等くらいの力が要ります。同等とは行かなくても、近い程の魔力が」

勇者「…それって、今の私の力じゃ」

側近「無理ですね。確実に」

勇者「…」


558: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:23:59 ID:g.AV2R2.bU


側近「地道にレベルを上げるか、何処かの師に弟子入り志願するか、…無理矢理にでも魔力を上げるか」

勇者「無理矢理?」

側近「薬漬けとかですね」

勇者「いっいいい嫌!それは嫌です流石に!!」

側近「じゃあどちらかですね」

勇者「…どちらか」


559: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:24:15 ID:g.AV2R2.bU

魔王さんの呪いは私にしか解けない。
私にしか出来ない事。私だけが。
結局、私は強くなれなかった。最後まで魔王さんやみんなの足を引っ張っただけの存在だった。
…少しは成長したと思いたい。
でも、さっきの魔物だって、幾ら剣を振るっても全然歯が立たなかった。
其処か魔物に捕まってしまって、それで魔王さんに助けて貰って…。
魔王さん達には迷惑かけてばかりだな。
今度こそ強くなって、魔王さん達にお礼をしたい。
今度は私がみんなを助ける番だ。
弱くても良い、死んでも良い、やらないで泣いてめそめそするだけはもう嫌?
そうだね、その時はそんな考えしか出来なかった。
でも、今は

勇者「私…強くなります。強くなって、魔王さんを助けます」

勇者「一人で」


560: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:24:32 ID:g.AV2R2.bU

側近「へぇ…言いますね。てっきり、名のある師に弟子入りしに行くのかとばかり」

勇者「もう誰にも頼りません。自分自身の事だから、私は自分の力で強くなります」

側近「勇者さんの力だけでねぇ…。何年、何十年かかるんですかね」

勇者「分かりません」

側近「いい加減ですね。こうしてる間にも魔物は凶暴化しているかもしれないと言うのに」

側近「もしかすると、あと何年かしたら僕の自我も無くなって、獰猛化するかもしれませんね」

勇者「その時は…」

勇者「その時ですよ」

側近「ははっ、本当にいい加減だ。それでも勇者かよ」


561: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:24:49 ID:g.AV2R2.bU

勇者「私はみんなを救いたいです。魔王さんやお兄ちゃん達…勿論側近さんも」

側近「それは無理な願いですね。魔王が居なくなれば魔物は消滅する。それは変えられない理だ。法則だ。ねじ曲げられない、絶対に」

側近「大体、僕達を救うと言っても、どうせ魔王城のヤツだけでしょ?それはエゴってものですよ」

勇者「…大切な人を救いたいという気持ちがエゴというなら、エゴで良いですよ」

側近「そう」

側近(まぁ…僕もそう変わったものじゃありませんが)


562: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:25:07 ID:g.AV2R2.bU

側近「それじゃあ勇者さんは魔王様の呪いを解くという事に了承したと、そういう事でいいんですね?」

勇者「はい。…この魔導書、お借りしますね」

側近「あげますよ。どうせ僕には扱えませんし」

勇者「…ありがとうございます」

側近「…強くなるって事は、いつかは旅立たれるという事ですよね?」

勇者「はい。明日の朝にでも」

側近「…結構行動派なんですね」

勇者「へへ。意外ですかね?」


563: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:25:24 ID:g.AV2R2.bU

魔王「…」

魔王「マジかよ…」

魔王「アイツら独断で俺の断りも無く勝手に決めやがって…」

魔王「…俺が、迷惑です、とか言ったらアイツらどうする気なんだ…」

魔王「お節介にも程があるだろ…」

魔王「…それは俺も同じか」

魔王「ホント、馬鹿ばっかりだな」

魔王「しかし、アイツ一人でねぇ…」

魔王「何か、一生この呪いと過ごさなければいけない気がしないでもないんだが…」


564: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:25:42 ID:g.AV2R2.bU

魔王「…コレ以上、魔物達が凶暴化しない為にも」

魔王「俺も何かをするべきなんだろうか…」

魔王「しかしな…どうしたってこれは抑えられない…」

魔王「…」

魔王「仕方無いな。凶暴化した魔物は俺が片付けていってやるか…。数が多いだろうからアイツの旅と同じく果てしないだろうな」

魔王「…まさか、人間に戻れる日が来るかもしれないなんてな」

魔王「あの魔導書を発見した側近には感謝しないとな」

魔王「それと、謝罪を」



565: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:26:04 ID:g.AV2R2.bU

−−−




戦士「は、はぁ!?旅に出るぅ!?ちょっと待てよ!聞いてねえぞそんなの!!」

賢者「言ってないからな」

戦士「うるっせえ!お前には聞いてねえ!勇者本気か!?しかも一人って…オレもついてく!」

勇者「駄目。コレは私の戦いだから。戦士くんは付いて来ないで」

戦士「えっ…」

魔法使い「戦士はいいとして、本当に一人で大丈夫なの?遠足じゃないのよ?死ぬかもしれないのよ?」

勇者「大丈夫。大丈夫だから。そんなに心配しないで。…ちょっと時間かかるかもしれないけど、必ず帰ってくるよ。世界も救うから」

戦士「ちょっと時間がって…どれくらいだよ…」

勇者「分かんないよ。そんなの」


566: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:26:21 ID:g.AV2R2.bU

魔法使い「賢者…」

賢者「…俺も、昨日聞いた時驚いた。勿論反対したよ。一人じゃ危ない、俺も付いて行くって。だけど、何度言っても聞き入れてくれなかった。もう何を言ったって無駄さ」

魔法使い「…むぅ。…勇者、危なくなったら絶対に帰ってきてよ?貴女の身に何かあったらあたし…」

勇者「大丈夫だよ、魔法使いちゃん。安心して。私、絶対にやり遂げてくるから」

戦士「…大丈夫か?」

勇者「大丈夫だってば。もーしつこいなー」

戦士「だ、だってよ…」

勇者「だってもじゃないの。私が大丈夫って言ったら大丈夫なんだから」

戦士「それが信用出来たら苦労しねえよ!!お前弱いんだからさ!!」

勇者「ひ、酷い!」

賢者(いや、事実だ)


567: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:26:44 ID:g.AV2R2.bU

勇者「…よいっしょ、と」

賢者「荷物大きいな」

勇者「えへへ…。必要なもの詰め込んでたらこんなになっちゃった…」

賢者「要領が悪いな」

勇者「なっ」

賢者「そんなに大荷物だと敵から狙われやすいぞ?」

勇者「その時には盾にするから大丈夫だよ」

賢者「そういう問題じゃないだろ…」


568: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:27:01 ID:g.AV2R2.bU

勇者「じゃあ、行ってきます!」

賢者「…あぁ」

魔法使い「気を付けてね」

戦士「う…」

勇者「あ…忘れてた。…戦士くん」

戦士「…何?」

勇者「…」スタスタスタ

バチンッ!

戦士「いっ!!?」

魔法使い「!?ゆ、勇者!?平手打ちって…!?えっ…!?」


569: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:27:24 ID:g.AV2R2.bU

勇者「ごめんね。どうしても、許せない事があったから」

戦士「は?はぁ!?どういう…!」

勇者「スライムさん達、忘れないでね」

戦士「へっ…!?」

勇者「じゃあ、今度こそ行ってきます!」

戦士「お、おいっスライムさん達って…!!」

魔法使い「…行っちゃった」

賢者「足速いな」

戦士「なぁ!?スライムって何!?」

賢者「忘れたのか?薄情者め」

魔法使い「万死に値するわ」

戦士「はぁあああ!?」


570: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:27:45 ID:g.AV2R2.bU

魔法使い「…っていうか、あたし達はお咎め無しなのかしら」

賢者「…まぁ実際に手を出したわけじゃないし」

魔法使い「あたし達全員の分のが戦士への平手打ちに込められていたとしたら…」

賢者「戦士、悪かった」

戦士「だから、何がだよ!」

賢者「…後で、話してやるよ」

賢者「話した後は、花を供えに行こう」


571: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:04:40 ID:g.AV2R2.bU
−−−

一人旅も楽じゃないな。想定の範囲内ではあるけれど、思うのと実際に感じるとのでは全く違う。
最初は、かなり苦労した。旅をし始めて、そう言えばと気付いたけど、料理もまともに作った事が無かった。はじめの頃の料理なんて酷すぎて泣きたくなるくらい。
今はもう大分上達した。最近では少し工夫なんかもしたりする。
と言っても、野宿だとそんな手間のかかる料理なんてしている暇なんて無いけれど。
魔法も沢山覚えた。火もマトモに出せなかった頃が懐かしく感じる。成長したんだなぁ私も。
旅の行く先々で、困難にぶち当たったり、おかしな人にも出会ったり、…あぁ一つ村を救ったな。
勇者らしい事もした。うん、本当に成長したと思う。…大分、時間かかったけれど。
強くなった。そう、私は思っている。まだまだ精進しなくちゃいけない所は山程あるけど、あの頃のいつも泣いていた私では無くなった。
未だに初対面の人と話す時は緊張しちゃうけど。根本的な所は変わっていなくて逆に安心する。
全てが全て変わったら、私が私じゃなくなるもの。それは、怖いから嫌。

「…見えてきた」

この旅の終着点が見えた。
アレだ。久しぶりだな。

「少し、廃れてる、な」

久しぶりに見た魔王城は少し暗かった。


572: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:04:56 ID:g.AV2R2.bU

側近「…おやっ、お久しぶりですね」

側近「えぇ…見ての通りですよ。自我は保っていますけど、少し身体に異変がね」

側近「…心配ですか。変わったと思いましたけど、やっぱり根本は変わっていないんですね。安心しました」

側近「…そうですか。いいえ、謝らないで下さい。分かっていた事です」

側近「世の中、全てが上手くいく程甘くありません」

側近「ハッピーエンドには犠牲がつきものですよ。…え?違う?」

側近「えぇ。ありがとうございます。魔王様だけでなく、僕達の為にも頑張ってくれて」

側近「大丈夫です。此処で消えても悔いはありませんよ。もう、こんな身体ですし」

側近「やっぱり、魔力が少ないと駄目ですね。凶暴化はしなかったから良かったものの、これじゃあ折角の男前が台無しですよ」

側近「…泣かないで下さいよ。僕が泣かせたみたいじゃないですか。…はい、はい」

側近「…こちらこそ、ありがとう」

側近「お元気で」


573: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:05:15 ID:g.AV2R2.bU

魔物の凶暴化というのは全員が全員そうなる理由では無いみたいだ。
魔力が元々少ない奴や運の悪い奴は急激に増えた魔力に耐え切れなくて身体に異変を起こし、前の身体を保てなくなって、肉塊へと変貌する。そんな奴も中には居た。
全部が全部そうなら勝手に自滅してくれて助かるんだろうけど、それは一部らしい。
基本はみんな凶暴化、獰猛となる。
この城の奴等も大分やられた。自我を最期まで保てない奴は、自我が切断される前に俺が殺した。そう言われていたからだ。
俺の魔力は尚も増え続けていくばかり。凶暴化も肉塊にもならないからそれはそれで良いんだろうけど、やはり軋む。身体のあちこちで悲鳴をあげてやがる。
人間から魔物になるにはリスクが大きすぎると、ぼんやりとした頭で思った。
簡単に死ねたらどんなに楽な事か、死ねない身体のくせに何度も死のうと思った。
でも、いつも寸前でやめた。今此処で死んだら、アイツに申し訳立たないから。
だったら死のうだなんて思わないで下さい、とアイツなら言うだろうな。
しかし…さっきから何やら外が騒がしいな。
招かれざる客人でも来たか?今日はもう頭が重たいからこのまま寝ておきたかったんだが。

「…折角、来たのにお出迎えは無いんですか」

「…悪いな。どうやら風邪を引いたみたいだ。明日にしてくれ」

「何を馬鹿な事を」


574: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:05:36 ID:g.AV2R2.bU

勇者「…来ましたよ。魔王さん。お久しぶりですね」

魔王「…そうだな。何年ぶりだ?10年か?20年か?…30年?」

勇者「5年ですよ。時間の感覚狂ってますね。ちゃんと頭のネジ回しといて下さいよ」

魔王「手厳しい発言だ。お前はそんな辛辣な言い回しをする子じゃなかったろうに」

勇者「5年も旅をすれば変わりますよ、多少は。…多少ですけれど」

勇者「大分待たせちゃいましたね。ごめんなさい」

魔王「いいよ。…いや、良くないか。俺の仕事が増えたし」

勇者「仕事?」

魔王「何でもない」


575: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:05:54 ID:g.AV2R2.bU

魔王「あの時のリベンジマッチか?悪いが今日はもう―…」

勇者「違いますよ。違います」

勇者「私が旅で出たのは、魔王さんを倒す旅ではありません」

勇者「魔王さんを助ける旅です」

魔王「…あぁ。あぁ…そうだったな…そうだった」

勇者「…知ってたんですか?」

魔王「…いや、知らないよ」

勇者「そうですか。なら、安心です」


576: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:06:20 ID:g.AV2R2.bU


魔王「それで?助けるって具体的にどう助けるんだ?」

魔王「その勇者の剣で一思いにぶっ刺す気か?まぁ今のお前なら出来そうだけど」

勇者「違いますってば。それじゃあ倒してるじゃないですか」

勇者「…貴方にかけられた呪いを解きに来たんですよ、魔王さん」

魔王「それは凄いな」

勇者「…もっと驚いて下さいよ」

魔王「ごめんな」


577: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:06:35 ID:g.AV2R2.bU

勇者「私、頑張ったんですよ。何回も挫けそうになりましたけど、何度も殺されかけましたけど、それでも頑張って此処まで来ました」

勇者「魔王さんは魔王だからわかりますよね?今の私、強いですよ?」

魔王「…あぁ、見たら分かる。見違えたよ」

勇者「へへ…ついでに身長も伸びれば良かったんですが」

魔王「いや、お前はそれでいいよ。それがいい」

勇者「何を言ってるんですか…もう」

魔王「変わってるようで変わっていない。勇者は勇者のままだ。安心した」

勇者「…ふふ、やっと名前で呼んでくれましたね。嬉しいです」


578: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:06:51 ID:g.AV2R2.bU

あの時側近さんから頂いた魔導書を開く。
その書物に記されている魔方陣を描く。記されている呪文を唱える。呪文の通りに剣を魔方陣に突き刺す。
熱風が吹きすさぶ。電気がバチバチと鳴る。確かにコレは魔王さん程の魔力が無いと出来ないな。
自分で唱えているのにも関わらず、物凄く、痛い。熱い。
掌が汗ばむ。風は止まない。地鳴りが響き始めた。
魔王さんはそれでもそこから一歩も動かずにジッと私を見つめている。
まるで魔法の修行中の弟子を見遣る師匠のように。
あぁでも私達はそういう関係だったな。懐かしい。何もかもが懐かしい。
呪文はもうすぐで終わる。コレが成功すれば、全ては。


579: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:07:07 ID:g.AV2R2.bU

スライムナイト「…何だか暖かい光に包まれている感覚です」

側近「昇天しかけなんじゃないのか?」

ナイト「私は側近さんのお御足で踏み潰されて昇天したいです」

側近「してやりたいけど、無理だ」

ナイト「それは残念です」

側近「…消えるってこういう感覚なんだな」

ナイト「じんわりですね。どうせなら思いっきりが良いです」

側近「そうだな…どうせなら、思いっきりが良かったよ」

側近「ま、悔いは無いからいいんだけど」


580: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:07:23 ID:g.AV2R2.bU

眩しい。
眩しすぎる。勇者の詠唱が終わったと思ったら目の前が真っ白になって。
それで、何がなんだか分からない内に眠りについていた気がする。
真っ白い光の中、か。何だか死んだような感じだな。
いや…死んだんだ。
亡くなったんだよ、俺は。
魔王だった頃の俺は、消えたんだ。
光の中に先代の魔王が居た。顔が歪んでるように見えた。
お前がかけた呪いは解けた。ざまあみろだな。
まぁでも魔王になったお陰で面白い奴と出会えたから、それは感謝している。
ありがとうは言わないけどな。


581: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:07:49 ID:g.AV2R2.bU

勇者「魔王さん!!魔王さん!!」

魔王「あ…、ゆう、しゃ…?」

勇者「ま、魔王さん…!」ホッ

勇者「よ、良かった…唱え終わったら急に倒れたから、失敗した、のかと、おもっ」ポロポロ

魔王「…泣くなよ。相変わらずだな。…俺は生きてる。って事は、失敗じゃなかったんだろう?」

勇者「はいっ…!はい…!戻りましたよ!魔王さん元の姿に戻れたんですよ…!あ、これ…鏡です…見て、ください」スッ

魔王「…ふん」パリンッ

勇者「あっ!ちょっと!何を!」

魔王「お前が失敗していないと、人間に戻れたと言うのなら、わざわざ鏡を見る必要なんて無いよ」

勇者「またそんな…!…言っておきますけどおじいちゃんみたいなお顔になってますからね」

魔王「えっ!?嘘!!?」

勇者「嘘です」

魔王「こいつ…」


582: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:08:12 ID:g.AV2R2.bU

魔王「よし…ん。あれっ…うおっ!?」ドターン!

勇者「わっ!どうしたんですか転けて!」

魔王「いや、立ち上がろうとしたんだけど…足が…」

勇者「…急に人間に戻ったから、身体がついていけてないんですね」

勇者「あぁ、そうだ。どうせならこのまま私の村に行きましょうか」

魔王「は?どうやってだよ?俺はこんな状態だし…」

勇者「甘く見てもらっちゃ困りますよ。転送魔法を使えばこんなの一発…えいっ!…あれ?」

魔王「おい」

勇者「あっ、あれ!?あれれ!?つ、つかえな…!?えっ?!」

魔王「…おい、まさか」

勇者「魔力が…無くなった…?」


583: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:08:32 ID:g.AV2R2.bU

魔王「減っただけじゃないのか…?」

勇者「で、でも…何か言ってみれば…なんか…魔力を感じないというか…!もしかして…さっきの魔法で…!?」

魔王「あの魔法そんなリスクあったのか…」

勇者「…いやっ、でも私にはこの鍛えあげられた身体が…ぎゅむっ!」ズテッ

魔王「…何か、デジャブだぞ。何も無い所で転けたな」

勇者「あ、あれ…ええ…何で…?」

魔王「…」

勇者「力も魔力も無くなってる…!」

魔王「…超弱い勇者、再びか」

勇者「えぇ!?」


584: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:08:52 ID:g.AV2R2.bU

魔王「まぁ…でも、俺が人間に戻った事により、魔物は居なくなったんだ」

勇者「…探したんですけれど、側近さん達を救う方法が見付からなくて…。ごめんなさい」

魔王「お前が謝る事じゃあないよ。よくやったさ」

魔王「でもまぁ…最期の挨拶、しておきたかったな」

勇者「…ごめんなさい」

魔王「過ぎた事は仕方無い。死んだら会えそうな気がするし、死んだ時にでも会いに行くさ」

勇者「縁起が悪いです…」

魔王「ごめんごめん」


585: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:11:13 ID:g.AV2R2.bU

魔王「それじゃあ…お前の村まで行くか」

勇者「えっ!?今ですか!?テレポートアイテムなんて持ちあわせていませんよ!?」

魔王「今じゃねえよ。もう少し休憩してからだ。後、アイテムは使わない」

勇者「え?じゃあ、どうやって…」

魔王「徒歩」

勇者「…は?…正気ですか?…大分距離ありますよ…?」

魔王「仕方無いだろ。俺も副作用か知らんけど、魔法使えないし。お前も使えないし。アイテムなんてはなから期待していなかったし。…いいじゃねえか、のんびり旅って事でさ」

勇者「…私さっきまで旅してきた身ですよ?」

魔王「はは、遠足は帰るまでが遠足だよ」

勇者「そんな愉快なものじゃないです…」

魔王「…魔物は居なくなったから悪漢にでも襲われない限り弱くても大丈夫だよ」

魔王「いいじゃねえか、超弱い者同士、のんびり帰ろうぜ」



終わり
586: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:16:08 ID:g.AV2R2.bU
ぐえあ。やっと、終わったぜ。長かった。
微妙に残っている謎とかありますけど、(側近の過去云々やら)1000レス以内に書けそうに無いので割愛します。
すんまそん。
日付変わってから大量に投下して申し訳なかった。
一応今日更新した分です
>>553->>585

とりあえず無事完結したのもひとえに支援して下さった皆様。閲覧して下さった皆様のお陰です!
投票もありがとうございました!!
今日の夜には保管庫申請してきます!
それでは!


587: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:17:50 ID:g.AV2R2.bU
最後の最後で格好つかないぜ!
改めて今日更新した分です!すんませんした!
>>553-585


588: 名無しさん@読者の声:2012/2/27(月) 07:38:35 ID:JvSjQayFWw
乙!面白かったよ!
589: 名無しさん@読者の声:2012/2/27(月) 12:16:36 ID:ckuIzWtpdw
すっげー、よかったぜ!
乙!!
590: 名無しさん@読者の声:2012/2/27(月) 12:29:35 ID:esacBCDh.U
面白かったです
勇者かわえぇ

乙でした
591: 名無しさん@読者の声:2012/2/27(月) 12:56:13 ID:oUrZxx2jaQ
乙!
次回作楽しみにしてます!
592: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 14:23:12 ID:g.AV2R2.bU
夜に保管庫申請出来そうに無いので今してきました

593: 名無しさん@読者の声:2012/2/27(月) 14:31:18 ID:LIrhX9.mL.

お疲れ様です!
すっごいよかった!

次回作楽しみにしてます♪
594: 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
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