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少年「ボクが世界を変えてみせる」
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1: 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 21:21:41 ID:apUuk9iOiY
むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。


121: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:21:50 ID:S6udfti/Vo
母「いやぁぁぁぁ!!!」ジタバタ

村の大人3「うるせぇ!!じたばたすんな!」バキッ

母「うっ……」

村の大人2「へへっ!にしてもこいつはいいや!
人間の女とは大違いだ!」パンッパンッ

母「お願い…もう、やめて…」

村の大人2「でもでもでもでも〜?」

村の大人3「関係ないから〜関係ないから〜」ベロンチョ

村の大人2「Oh!Let's Party Night!」パンッパンッ

母「ひっ……」

村の大人1「……こいつら、司祭様にバレたら大変だぞ」

ガサッ

村の大人1「」ビクッ
122: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:23:42 ID:8X2XsZkcTQ
少年「お母…さま…?」

村の大人1「お、お前はあん時のガキ!?」

母「え…」

少年「お母さまに…何してるの?」ワナワナ

村の大人3「ようやく来たか」モミモミ

村の大人2「おいガキ!いいもん見せてやんからこっち来いよwww」パンッパンッ

母「だめっ!だめよ!逃げなさい、坊や!」

村の大人3「てめぇは黙ってろ!」ゴッ

母「きゃっ……」

少年「お、お母さまをいじめるな!」ダッ

村の大人1「おっと、待ったぁ!」パシッ

少年「は、離せ!離してよ!?」

母「坊や!あたしはいいから早く逃げ……」

村の大人3「黙れってのが分からねぇのか!」ドフッ

少年「やめろ!」グッ

村の大人1「暴れんじゃねぇよ!」ガンッ

少年「うぁっ…!」ドサッ

村の大人1「てめぇはここでおとなしく見てろ」ガシッ

少年「うっ……」
123: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:26:09 ID:S6udfti/Vo
村の大人2「ほーれ、こっちも再開だwww」パンッパンッ

母「いやぁぁぁぁ!!」

少年「やめろ!やめろよ!?」

アッ イヤッ ギャハハハハ パンッパンッ
イヤァァァァァァ!!!

少年「お願い…だよ…」

村の大人1「黙って見てろよ、なかなか出来ねぇ体験だぜ?」ニヤニヤ

少年「こんなの…あんまりだ…」ポロポロ

少年「(ボクが…友達なんて欲しがったから……)」
124: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:27:47 ID:8X2XsZkcTQ
――事後――
村の大人2「ふい〜…もうすっからかんだぜ」

村の大人3「てめぇは出し過ぎだ」

母「」グッタリ

少年「……」シクシク

村の大人1「終わったんなら、そろそろ連れてくか?」

母「……」

少年「お母…さま。大丈夫?」

母「だい…じょうぶよ…心配しないで…」ニコッ

少年「そんな…そんな筈ないよ…」

村の大人3「そうだな、あの旅人に引き渡すか」グイッ

母「ひっ…!」

少年「や、やめて!もうお母さまをいじめないで!」

村の大人2「バーカ!お前も行くんだよwww」

村の大人1「しっかしホビットを高値で買おうなんて、奇特な旅人もいたもんだ」

村の大人3「おおかた娼婦にでもするつもりだろう。
これだけの上玉だ、ホビットと言えどそこそこの値は付くはずだぜ」

村の大人2「世の中変態が多いんだなwww」

宣教師「待ちなさい!」

村の大人1&2&3「」ビクッ
125: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:29:33 ID:8X2XsZkcTQ
村の大人1「せ、宣教師様…!」

少年「……宣教師さま、どうして?」

宣教師「あなたたち、何をしているのですか!?」

村の大人1「そ、それは…」

村の大人2「何と言われちゃー…。
ちょ、ちょいとナニをね…タハハ!」ヘラヘラ

村の大人1「バカ野郎!」ゴンッ

村の大人2「あたっ!」

宣教師「煙が上がっていたので来てみれば、なんという事を……!」

村の大人3「何か問題でも?」

村の大人1&2「えっ」
126: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:30:57 ID:8X2XsZkcTQ
宣教師「問題…?あなたは自分のした事を分かっていないのですか!?」

村の大人3「我々はただ神の教えに従い、罪深きホビットに罰を与えていただけですが?」

宣教師「なんですって?
幼子の前で、親を犯すのが罰だと言うのですか!?」

村の大人3「これは宣教師様のお言葉とも思えませんな?
昨日の暴力を咎めないのなら、これもまたありなのでは?」

宣教師「……!」ギリッ

村の大人3「では我々は失礼します。おい、さっさと来い!」グイッ

母「いやっ!」

少年「せ、宣教師さま…!」ジッ
127: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:33:22 ID:S6udfti/Vo
宣教師「分かりました」

村の大人3「さすが宣教師様、物分かりが良くて助かります。
ほら!来いっつったら来るんだ!」グイッ

母「や、やめて…!」

少年「そ、そんな…」

宣教師「ただしその親子は置いていきなさい」

村の大人3「なっ…」

宣教師「すでに十分な罰は与えたはずです」

村の大人3「バカなっ!こいつらはホビットだ!
罰に際限なんかあるか!?」

宣教師「私の言う事が聞けないのですか?」

村の大人3「あぁ。聞けねぇな!」

村の大人2「そ、そうでさぁ。こいつらは高値で売れるんだ!」

宣教師「あなたたちの事情は知りません。
私がホビットを管理すると言っているのです」

村の大人3「そんな事が…許されるわけ……」

宣教師「構いませんよ?
従えないと言うのなら司祭様に報告するまでです。
そうなれば我が教団によるこの村への援助は絶たれ、村長の怒りを買うのはあなた方でしょう」

村の大人1「うっ…」

宣教師「それでも一時の富を選ぶというのであればお好きになさい。
三等分した上で家族を養う事を考えれば雀の涙程度の額でしょうがね」

村の大人3「ち、ちくしょう…」スッ

宣教師「最初から言う通りにしていればいいのです」
128: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:35:34 ID:8X2XsZkcTQ
村の大人3「あんた、タダで済むと思うなよ?」

宣教師「噂でもなんでも広めればいい。
心貧しき人間にはお似合いです」

村の大人3「くそっ!覚えてやがれ!」ダッ

村の大人2「あっおい!待てよ!?」ダッ

村の大人1「……宣教師様…俺は悲しいですよ」

宣教師「……」

村の大人1「もう今まで通り村にいられるとは思わない事ですね」ダッ

宣教師「………」
129: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:37:04 ID:S6udfti/Vo
宣教師「」クルッ

母「」ビクッ

少年「宣教師さま…!」

宣教師「大丈夫ですか?」スッ

母「えっ」

宣教師「? どうしました?」

母「手を…差し伸べてくださるのですか?」

宣教師「えぇ。私は神に仕える者。
すべての命を平等に扱いますよ?」ニコッ

母「……あぁ…」ブワァ

少年「うっ…うぇぇ…」シクシク

宣教師「辛かったでしょう…。
今ある悲しみも、痛みも流してしまいなさい。
あなたたちの尊い涙を神は見てくださっています」

母「あぁぁぁぁ……!」ポロポロ

少年「うっ…うぇっ…」ポロポロ
130: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:40:02 ID:8X2XsZkcTQ
少年「宣教師さま、ありがとうございました!」

宣教師「いえ、礼を言われるような事など…」

母「うぅ……」ポロポロ

少年「ほら!お母さまもお礼しなくちゃ!ね?」

母「そうね、ごめんなさい…。
ありがとうございます。本当に感謝しております…」

宣教師「いえ、お礼を言うのはこちらの方です。
そして同時に、あなたたち親子に謝らなければなりません」

母「そんな…とんでもありませんわ!」

少年「そうだよ!宣教師さまはボクとお母さまを助けてくれたんだ!」

宣教師「……先ほどはキミに酷い言葉をぶつけました。
それに…私は昨日、何もせずに見ていただけです」

母「……」
131: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:43:03 ID:S6udfti/Vo
宣教師「ここから上がる煙に私がいち早く気付いていれば、
キミのお母様も、キミもこんな目に遭わずに済んだかもしれません…」

少年「……」ギュッ

母「そんな…お気になさらないでください。
こうなったのは宣教師様のせいではなく、あたしの不注意ですから…」

宣教師「違う…私はこんな事が言いたいのでは…」

母「……?」

宣教師「とりあえず今日のところは私の教会へ泊まりなさい」

母「まぁ!そんな、いけませんわ!
教団の方があたしたちを招けば人々になんて言われるか…!」

宣教師「問題ありません。
教えに背いた私はどのみち破門になります。
そうなれば村人の目はあって無いようなもの」

母「そうなればあなたまで迫害を受けてしまいますわ!?」

宣教師「……それも、問題ありませんよ」

母「えっ?」

宣教師「さ、汚れてしまった衣服やお体を清めなければならないでしょう?
夜も深まりましたし、早く教会へ行きましょう」

母「……」ペコリ

少年「宣教師さま…ありがとう!」

宣教師「……!」

宣教師「いえ、気にしないでください」ニコッ
132: 名無しさん@読者の声:2012/12/30(日) 19:58:48 ID:A8xJN2pJRk
人間ってのは、どうしてこう……

つC
133: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 20:30:08 ID:JjbL7qVj/A
>>132さん
支援ありがとうございます!
人間の良い部分も悪い部分も書きたいので、中には不快なところも出てくると思いますがお付き合いいただければ幸いですm(__)m
134: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/31(月) 20:28:56 ID:hN22NeG0qs
???「はっはっは!」パンッパンッ

???「おらぁ!そろそろ出すぞwww」パンッパンッ

???「ら、乱暴にしないでください…。
苦しいです…。」

これは…さっきの…?

???「なに言ってやがる!望むもんはくれてやったんだ!
しっかり働いてもらわねぇとな?」

母「は、はい。申し訳ありません」

???「……たく!ホビットは客の相手も満足に出来ねぇのかよ」

母「ごめんなさい…。」

違う…これはさっきのじゃない…?

オギャア オギャア

あれはボク…?
135: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/31(月) 20:31:07 ID:hN22NeG0qs
母「すみません、子供が泣いてますので…」

???「なにぃ?」

母「お願いします。すぐに泣き止ませますから」

オギャア オギャア

???「うるせぇガキだ。俺が黙らせてやる!」

母「そんな!おやめください!」

???「ならくれてやった食料の半分、返してもらおうか?」

母「なっ…!」

???「ガキのせいで興が削がれたんだ。当然だろうが?」

母「……分かりました。お返します。
どうか息子には手を出さないでください」

???「それから1日延長だ。もちろんタダでな?」

母「はい、分かりました……」

お母さま…なんで…?
なんで、こんな事するの?
ボク、いやだよ。こんなの………

オギャア オギャア オギャア
136: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/31(月) 20:34:11 ID:hN22NeG0qs
――教会――
少年「」ガバッ

少年「……」ダラダラ

少年「ここ、どこ?」

ガチャッ

母「あら、目が覚めたのね?」

少年「お母さま?」

母「なぁに?」ニコッ

少年「ここは?」

母「まぁ!寝ぼけてるの?
ここは宣教師様の教会じゃない?」

少年「教会?……あ、そっか」

母「もう!夢でも見てたんじゃないの?」

少年「夢……あ、あぁ…!
いやだ、いやだよ!思い出したくない!!」バッ

母「坊や?」

少年「う、うわぁぁぁあ!!!」ジタバタ

母「ど、どうしたの。坊や!?」
137: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/31(月) 20:35:41 ID:JjbL7qVj/A
少年「いやだ、いやだ!いやだぁぁぁああ!!!」

母「坊や……」ダキッ

少年「あ、あ、あぁぁぁぁ!!!」

母「もう、大丈夫よ…。
あれは夢、忘れてしまいなさい」ギュッ

少年「お母さま…」

母「落ち着いた?」ニコッ

少年「ねえ…」

母「ん?」

少年「…ボクが赤ちゃんだった時にも、あんな事してたの?」

母「」ビクッ
138: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/31(月) 20:37:36 ID:hN22NeG0qs
母「なにを、いっているの…?」

少年「ねえ、答えてよ。お願い?」

母「……」

少年「なんで何も言ってくれないの?
ねえ、どうして?」

母「坊や、それはね…」

少年「ごめんなさい」

母「えっ」

少年「よく考えたら、お母さまがそんな事するわけないよね?
疑ったりしてごめんなさい」ペコリ

母「坊や…?」
139: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/31(月) 20:41:37 ID:hN22NeG0qs
少年「だってお母さまはキレイだもんね?」

少年「汚れてなんかないよね?」

少年「ごめんなさい。二度とお母さまを疑ったりしないよ」

少年「ボク、お母さまを信じてるから!」ニコッ

母「坊や……」

少年「どうしたの。お母さま?」

母「……なんでもないわ」

母「(謝らなきゃいけないのは、あたし……。
ごめんなさい…ごめんなさい…)」
140: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/31(月) 20:43:15 ID:hN22NeG0qs
少年「そういえば宣教師様は?」

母「少し出かけるそうよ?」

少年「そっか。じゃあボク、マルクに会いに行こうかな」

母「だめよ、おとなしくしてなくちゃ。
村から離れているとはいえ、いつ人間に会うか分からないわ」

少年「そっか、そうだね。
マルク、ひとりぼっちで寂しくないかなぁ?」

母「大丈夫よ、マルクは利口な子だもの。
ちゃんと自分の生活を送ってるわ?」

少年「そうだよね、ボク我慢するよ」

母「あなたもとってもお利口ね?」ナデナデ

少年「えへへ!」テレテレ

母「………」
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