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少年「ボクが世界を変えてみせる」
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1: 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 21:21:41 ID:apUuk9iOiY
むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。


253: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/13(日) 21:14:17 ID:mPH/90lhss
――大聖堂――

シスター「こちらでお待ちください。司祭様はもうすぐで戻られますので」

宣教師「ありがとうございます」ペコリ

宣教師「(さて真実を確かめる為に来ましたが、はたしてどうなりますやら…)」

宣教師「(私の言い分を司祭様に認めてもらえればホビットへの差別は激減するでしょう…。
少しずつ未来も和に向かうはず…)」

宣教師「(まぁそう上手くはいかないと思いますがね…)」

宣教師「(まず間違いなく破門され、教会にもいられなくなる…。
その時は村を離れて、あの親子が安らげる場所を探しますか…)」

宣教師「(それもまたいいかもしれない…。どうせ故郷も滅ぼされ、肉親もいない身…。
ホビットに罪が無いと分かった今となっては教団の活動もバカバカしく思える…)」
254: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/13(日) 21:16:26 ID:w1YC/L5Ruc
ガチャッ

司祭「すまんすまん、待たせたのう?」

宣教師「いえ、突然の訪問でお時間を取らせてしまい、申し訳ございません」

司祭「ほっほっほ!気にするでないわ。お前の事じゃ、重要な話じゃろう?」

宣教師「はい。司祭様にとってあまり良い報告とは言えませんが…」

司祭「なんじゃ?」ジト

宣教師「…私は教団による信仰を捨てようと考えています」

司祭「なにぃ?」

宣教師「自分の中にある信仰に疑問を覚えました。
このような心持ちでは、とても布教活動など続けられません」

司祭「……そうか、それは残念じゃな」

宣教師「申し訳ございません…」ペコリ
255: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/13(日) 21:18:30 ID:w1YC/L5Ruc
司祭「構わんよ、しかしなぜ急に…やはり施しで生計を立てるのは辛かったか?」

宣教師「そうではなく、ホビットへの価値観が変わってしまったのです」

司祭「ホビットへの…価値観じゃと?憎しみが増したか?
わしがホビットを生かせと言うのが気に入らんのか?」

宣教師「違います。今まで信仰における根底に根付いていたホビットへの猜疑心が失われたのです」

司祭「なんじゃと?」ピクッ

宣教師「ホビットは罪深き種族。これは間違いであると考えます」

司祭「……貴様。それが何を意味するか分かっとるのか?」

宣教師「はい。理解しているつもりです。
それについて今日は司祭様に伺いたく存じます」

司祭「伺う?何を聞きたいんじゃ?」
256: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/13(日) 21:21:27 ID:w1YC/L5Ruc
宣教師「今まで伝えられてきた史実(※>>1-5)ははたして事実なのでしょうか?」

司祭「当然事実じゃ。今さら何を言っておる?」

宣教師「では、なぜ聖書にはホビットの伝承を記さないのですか?
その場面のみ口伝えによる布教を推奨なさるのはどういった訳でしょうか?」

司祭「声に出し、耳で聞き、頭で整理するのが最も入りやすいからじゃよ」

宣教師「ならばすべての教えを、そのように統一するべきでは?」

司祭「書き記しておかなければ忘れてしまう事もあろうて?
わしらも万能では無いのじゃ。記憶を頼れば各々の食い違いも生まれる」

宣教師「それはホビットの伝承も同じ事。違いますか?」

司祭「……」
257: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/13(日) 21:23:33 ID:mPH/90lhss
宣教師「そもそもホビットはどのように人間から癒しの力を奪ったのですか?
私が受けた教えでは『神に選ばれた人間を妬み、人間の長を殺めた』としか聞き及んでおりません」

司祭「さぁて…どうだったかのう?」

宣教師「聖書の内容もホビットの伝承も思い返せば、あまりに漠然としています。
明確な事が何一つ分からない」

宣教師「これまでの布教活動を振り返ってみても、
まるでこの教団はホビットへの差別を促す事を目的としているような不気味さを感じます」

司祭「疑り深いのう…。そんな訳があるまい?」

宣教師「…だいたい人間を神と引き合わせたのはホビットとなっているのに、
なぜそのホビットが人間を妬んだりしたのか、史実と伝承は矛盾している」

司祭「人の話を聞かんやつじゃな、それで?何が言いたい?」

宣教師「おそらくですが、癒しの力など存在しないのではないですか…?」

司祭「……ほう?それは貴様一人の考えか?」

宣教師「……村人に傷付けられていたホビットに聞きました」
258: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/13(日) 21:25:15 ID:mPH/90lhss
司祭「やはりな…。急に何を言い出すやら、おかしいとは思っとったわい」

宣教師「では私の考えが違うと?」

司祭「かわいそうに…まさか聡明なお前がホビットに毒されるとはな。
薄汚く濁っていて、まさにずる賢い種族じゃ!」

宣教師「は…?」キョトン

司祭「まだ気付かんか?お前は騙されとるんじゃよ」

宣教師「な…!何を言って…!」

司祭「わしが手塩にかけて育てたお前を蝕むとはな…。
許されざる罪じゃ。野放しにしようと考えたわしが甘かったか」

宣教師「司祭様!私の話に耳を貸してください!?」

司祭「暫し休息を取るがよかろう。今のお前は心に重い病を抱えておる」

宣教師「なぜ…分かってくださらないのですか?」グッ
259: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/13(日) 21:28:00 ID:w1YC/L5Ruc
司祭「話は終わった。これまでにしよう」

宣教師「……あくまでシラを切ると、そうおっしゃられるのですね?」

司祭「なんのことかのう?」

宣教師「司祭様がそのつもりでしたら私にも考えがあります」

司祭「ほう?」

宣教師「私は教団を辞して各地に真実を伝えて参ります。
今は信じてもらえないでしょうが、撒いた種はいずれ芽を出し、実を成し、花となる…。
やがて真実は人々の心根を張る大樹となりましょう」

司祭「馬鹿げたことを…」フンッ

宣教師「親のように思っていた司祭様を裏切るのは心苦しいです。
しかし間違いに気付いていながら正すこと無くいられる程、私は腐っていません。
まことに申し訳ありませんが、今日限りをもって……」

司祭「……」クイッ

付き人1「」ババッ

付き人2「」ガシッ

宣教師「なっ…!こ、これは…どういうつもりですか!?」ギシッ
260: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/13(日) 21:34:23 ID:w1YC/L5Ruc
司祭「やはりわしらは似ておるな…?」

宣教師「は…!?」

司祭「わしもまた、間違いに気付けば正したくなる性格らしい。
ほっほっほ。お前は明らかに間違っとる」

宣教師「バカな…!私はこの目で、そして直に接して本質を見たのです!
偏見を捨てて見た物は…普通に暮らしたいと嘆く健気な親子の姿だ!」

司祭「そう演じていたまでじゃよ。奴らの常套手段じゃ。
とことん腐っている、なんの価値も無い罪深き種族じゃよ」

宣教師「……いい加減にしてください!!」キッ

宣教師「っ…!ホビットが生きていて何が悪い!?
人間の村に入って何が悪い!?
友達を作って何が悪いんです!?」

宣教師「我々人間に阻まれて食べ物にも恵まれないまま泥水や野草で飢えを凌ぎ、
病に侵されても医者にかかれず、理不尽に侵略される!
それでもなお虐げられて耐え忍べと言うのであれば、我々こそが醜い!!」

付き人1「黙れ!宣教師風情が司祭様に対して畏れ多いわ!」グッ

宣教師「……!」ギリッ

司祭「よいよい。案ずるな?
だいぶ奴らの毒が回っとるようじゃな。それもホビットの受け売りか?」

宣教師「だとしたら、なんだと言うのですか…!」キッ

司祭「…哀れな奴よな。こやつを地下牢に押し込めよ」

付き人1「ははっ!かしこまりました!」

付き人2「来い!」グイッ

宣教師「くっ…!なぜ…なぜですか…!」

付き人1「黙れ!」ガフッ

宣教師「かはっ…!」バタンキュー

司祭「……知らぬままであれば、幸福を約束したというに…。愚か者めが」
261: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/14(月) 21:18:06 ID:tYrmy1Mm3k
――教会――

カロル「二人とも早く来ないかなぁ?」ワクワク

マルク「わんっ!」

カロル「ん?」

ルーボイ「おーい、カロル!遊びに来たぞー!」タタタッ

カロル「あ、ルーボイくん!
…あれ?パッチくんはどうしたの?」

ルーボイ「あいつなら後から来るぜ?
どっちが先に着くか競争してたんだ!」

カロル「そうなんだ…。じゃあボク迎えに行ってくるよ!」

ルーボイ「えー!いいよ、先に遊んでようぜ?」

カロル「そんな…かわいそうだよ…?」

ルーボイ「…じゃあ一人で行けよ。俺は走り疲れたから中で休んでんぞ?」

カロル「うん!」タタタッ

ルーボイ「……たく!いい奴だけど、めんどくさいよなぁ…」
262: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/14(月) 21:19:44 ID:n8gUqnX.1k
――村の外――

パッチ「はぁっ…はぁっ…ルーボイくん、早すぎるよ…」

パッチ「先に行っちゃったかな…?」

カロル「パッチくーん!!」タタタッ

パッチ「カロルくん!?」ギョッ

カロル「おはよう!」ニコッ

パッチ「どうしたの!?それにその格好は…?」

カロル「あ、これ?外に出る時はいつも頭巾を被るんだ。
ボクらのことが嫌いな人間も多いから、念のため」

パッチ「そっか…。そうだね…」
263: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/14(月) 21:23:30 ID:tYrmy1Mm3k
パッチ「ごめんね、足が遅いから置いてかれちゃって…待たせちゃったかな?」スタスタ

カロル「そんなことないよ?来てくれただけで嬉しいもの!
てっきり道に迷っちゃったかと思って心配したよ?」スタスタ

パッチ「…もしかしてボクの為に迎えに来てくれたの?」

カロル「そうだよ。だって心配じゃない?」

パッチ「あはは…カロルくんはホントに優しいね?
なんでキミみたいな優しいヤツが嫌われるのか分からないよ」

カロル「…決まってるんだってさ。お母さまが言ってた。
だから…しょうがないよ」

パッチ「そうかな?ボクはキミが大好きだよ?
絶対嫌ったりなんてしない」

カロル「パッチくん…」

パッチ「ボクらは何があってもずっと友達だからね?」ニコッ

カロル「うん、ありがと…!」パァァ

パッチ「ううん。どういたしまして!ルーボイくん、待ちくたびれてないかな?」

カロル「大丈夫だよ。ルーボイくんは優しいもの」

旅人「ちょっといいかい?」

カロル「へ?」クルッ
264: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/14(月) 21:26:02 ID:n8gUqnX.1k
旅人「やぁ、お出かけかな?」

カロル「あ…一昨日の…」

旅人「ん?」

カロル「な、なんでもないです!」アセアセ

パッチ「……?」

――回想(一昨日の夜)――
母「坊や、さっき家に来た旅人に会ったら逃げなさい?」

カロル「え?なんで?」

母「あの旅人はあたしたちをお金で買おうとしているの。
村人が家を燃やしたのも、あの旅人がやらせたことなのよ…。
出会ったら絶対に逃げなきゃだめ。いい?」

カロル「う、うん…!」

――――

カロル「(お母さまが言ってたのがホントなら逃げなきゃ…!
頭巾のおかげでボクに気付いてないみたいだし…)」
265: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/14(月) 21:27:18 ID:n8gUqnX.1k
旅人「キミたち、こんな村の外れで何をしてるんだい?」

パッチ「ボクたち、今からき……」

カロル「パッチくん!行こう?」

パッチ「え?」

カロル「知らない人と話したらいけないってママが言ってたもの」

パッチ「ま、ママ?」キョトン

旅人「しっかり者だねぇ、坊や?
でもおじさん悪い人じゃないんだよ?
そんな風に言われちゃうと悲しいなぁ〜?」

カロル「ね、行こ?」

パッチ「う、うん…」オロオロ

旅人「おじさんね、これから教会に行くんだがキミたちもそうなのかい?」

カロル「」ビクッ

パッチ「……」

旅人「おや、こいつぁひょっとすると大正解?」ヘラヘラ
266: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/14(月) 21:30:04 ID:n8gUqnX.1k
パッチ「違いますよ」

カロル「え…?」

旅人「んー?」

パッチ「ボクたち、これから森に入ってカリアムの花を摘むんです」

旅人「カリアムの花?なんだね、それは?」

パッチ「親愛の花言葉がある桃色のキレイな花ですよ。
ボクらの村では感謝する人にカリアムの花を送るんです。
今日はお父さんの誕生日ですから。ね?カロルくん?」

カロル「う、うん?そうだよ?」

旅人「はぁー!偉いねぇ!おじさん感心したよ!
キミらのご両親も、さぞ喜ばれることだろう?」

パッチ「ありがとうございます。じゃあボクらはこれで」ペコリ

カロル「さようなら」ペコリ

旅人「あーボクちゃんたち、心配はいらないと思うが教会には近付いちゃいけないよ?
あそこはホビットを飼う悪い宣教師さんがいるからねぇ」

パッチ「」タタタッ

カロル「」タタタッ

旅人「あらま、無視されちまったか?
ま、いいだろ。どうせ目的のホビットとは関係ないんだしな。
急がず焦らずゆったり歩いてこうかね」スタスタ
267: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/14(月) 21:33:26 ID:tYrmy1Mm3k
タタタッ

カロル「パッチくん、ありがとね!」タタタッ

パッチ「いいよ、さっきの様子だと何かあるんでしょ?」

カロル「うん、お母さまに言われたんだ。あの人は危ないって」

パッチ「どこかで会ったの?」

カロル「一昨日ね。ボクの家にあの人が迷いこんで来て、お母さまが村の場所を教えてあげたんだ」

パッチ「うん」

カロル「そしたら夜に村の大人たちが家に来て、火を点けたんだ…」

パッチ「……だからカロルくんは教会に住んでるのかい?」

カロル「うん、宣教師さまが助けてくれたの!
大人たちを説得してね!かっこよかったよ!」

パッチ「……そうなんだ。それでなんであの人が危ないんだい?」

カロル「あの旅の人が村の大人に家を教えたんだって。
ボクとお母さまを買うために…」

パッチ「…ちょっと待って、買うってどういうこと?」

カロル「分からない。でも…きっと良い意味じゃないと思う」

パッチ「そうだね。絶対にだめだよ、そんなの!」

カロル「だから早くお母さまに教えなくちゃ!
教会にいたらルーボイくんも危ない!」

パッチ「…あの人、教会に行くって言ってたもんね?」

カロル「うん、急ごう!」

パッチ「うん!」
268: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/14(月) 21:35:46 ID:n8gUqnX.1k
パッチ「それにしたってひどいよ!
大人たちはカロルくんの家を燃やして、その上売ろうとするなんて!」タタタッ

カロル「……」タタタッ

パッチ「もしお父さんまで一緒になってやってたなら、ボクは軽蔑するよ…!」

カロル「……それは違うと思うなぁ」ピタッ

パッチ「え?」ピタッ

カロル「誰かを恨んだり嫌ったりしても何も変わらないし、自分が辛いだけだよ?」

パッチ「でも…カロルくんは我慢できるの?」

カロル「うん。辛いのは慣れっこだもん」

パッチ「そんなの…おかしいよ」

カロル「あはは。そうかもね?
けどパッチくんもルーボイくんも宣教師さまもボクを嫌わないでしょ?
こんな幸せなことってないよ!」

パッチ「カロルくん…」

カロル「お母さまが教えてくれたのは間違ってなかったんだ。
辛くて、悲しくて、やりきれなくても、誰かのせいにしちゃいけないって…」

パッチ「…ごめん。ボクが間違ってたよ」

カロル「ううん。ボクの方こそ突然ごめん。早く行かなきゃね」

パッチ「…うん」

ダッ タタタッ
269: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/14(月) 21:38:27 ID:tYrmy1Mm3k
――教会――

ルーボイ「あいつらおせぇなぁ。なにしてんだろ…?」

母「そうね。宣教師様も戻られないし心配だわ…」アタフタ

マルク「くぅん…」

バンッ

ルーボイ「うわっ」ビクッ

母「きゃっ!」ビクッ

マルク「わぅ?」

カロル「みんな!早く逃げて!?」

パッチ「はぁっ…はぁっ…」ゼーゼー

ルーボイ「な、なんだ。お前らかよ!びっくりしたじゃんか!」

母「…逃げてって、どういうことなの?」

カロル「おととい家に来た旅人がここに来るんだ!」

母「なんですって!?」

ルーボイ「はぁ?お前なに言ってんだよ?」キョトン

パッチ「はぁっ…はぁっ…説明は後でするから、カロルくんの言う通りにして!」

ルーボイ「意味が……」

マルク「わんっ!!」

ルーボイ「ひっ!!」ビクッ

マルク「ぐるる…!」

ルーボイ「わ、分かったよ。行けばいいんだろ?」ビクビク

母「荷物を用意する時間も惜しいわ!行きましょ!」ダッ

カロル「おいで、マルク!」ダッ

マルク「わんっ!」ダッ

パッチ「ルーボイくんも早く!」ダッ

ルーボイ「ちょ、ちょっと待てよ!」ダッ
270: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/19(土) 18:07:40 ID:PegmcYVJcA
――十数分後――

旅人「おんやぁ〜?」

旅人「こりゃ一体全体どうしたことだ?」キョロキョロ

旅人「せっかく来た客にもてなしはおろか茶も出さない」スタスタ

旅人「おまけにもぬけの殻ときたもんだ?」ハァ

旅人「…おかしいねぇ。俺がここへ来ると決めたのはつい先刻のことだ」

旅人「漏れる筈が無いってのに…」

旅人「(開けっ放しの扉…散らかった木の人形。
まだ水滴の残る食器はさっきまで洗われてた証拠だ…)」

旅人「完璧に逃げられてるじゃないか」

旅人「なんでだ?何をまちがえ……」

旅人「」ハッ

旅人「まさか…さっきの子供か?」

旅人「(しかし片方は明らかに人間だったしな…。
ホビットと人間の子供が一緒にいる訳が…)」

旅人「……まぁいいだろ。考えてみても無駄だ。
まずは村に戻るとするかね」

271: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/19(土) 18:09:39 ID:cYUoihoiOE
――森――

母「みんな…はぁっ…だいじょうぶ…?」ゼーゼー

カロル「う…うん…」ゼーゼー

パッチ「はぁっ…はぁっ…」ゼーゼー

ルーボイ「急になんなんだよ?」ピンピン

マルク「くぅん?」

パッチ「(マルクは犬だから分かるけど、ルーボイくんの体力はどうなってんだろ…?)」ゼーゼー
272: ◆WEmWDvOgzo:2013/1/19(土) 18:12:04 ID:PegmcYVJcA
母「二人はすぐに村に帰りなさい?」

ルーボイ「え…な、なんで?」

カロル「ごめんね…。でもここは危ないから…」

ルーボイ「だぁかぁらぁ!何が危ないんだよ!
教えてくんなきゃ分かんねーだろ!?」プンスカ

母「……怖い人間がいるの。見つかればあなたも怖い目に合うかもしれないわ?
だから今日はお家に帰ってちょうだい。お願いよ…」

ルーボイ「はぁ?意味わかんないよ」

カロル「……」オロオロ
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名前:
sage:


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