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少年「ボクが世界を変えてみせる」
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1: 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 21:21:41 ID:apUuk9iOiY
むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。


98: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:54:45 ID:wJajIDVNMY
少年「待たせてごめんね」

母「あら、もういいの?」

少年「うん、お母さまを待たせてるもの」

母「もう…そんなの気にしなくていいのに」

少年「でも…」

母「あなたが子供たちと遊んでるのを見てるだけであたしは幸せよ?」

少年「……うん、ボクも楽しかった!」

母「うふふ、それは良かったわ!日も暮れてきたし行きましょうか?」

少年「そうだね、さっきまであんなに明るかったのに」

母「たくさん遊んだんだもの、しょうがないわ」

少年「楽しい時間は速く過ぎるんだね」

母「そうよ?だから大事にするの」

少年「そうだね…ボク、大事にするよ」

母「えぇ。そうなさい?」

少年「(また遊びたいな…)」
99: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:56:09 ID:PHb2NYku.U
母「それにしても…あの子たちと遊んでるあなた、まるで違和感が無かったわよ?」スタスタ

少年「そうかな?」スタスタ

母「えぇ。誰も14歳の男の子だなんて思わなかったでしょうね」ニコニコ

少年「……そんな事ないもん」

母「あ、今は女の子だったかしら?」ニヤニヤ

少年「っ……!しらない!」

母「うふふ。ところで、どの辺りなの?」

少年「えっと、確か…あっ!あそこだよ!」

母「まぁ、ずいぶん立派な……」ピタッ

少年「お母さま?どうしたの?」

母「これは…教会…?」

少年「うん、そうだよ?」

母「坊や、帰りましょ」

少年「えっ」
100: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:57:06 ID:PHb2NYku.U
少年「へ?な、なんで?」アセアセ

母「あなたも死んだおじいさまから聞いたでしょう?
教団の人間だけは、絶対にだめよ」

少年「で、でもボクを助けてくれた。いい人なんだよ?」

母「昨日はそうかもしれないけど今日はわからないでしょう?
お母さんはあなたを思って言ってるのよ」

少年「そ、そんな…急にどうして?」アタフタ

母「いいから帰るわよ、さぁ!」グイッ

少年「や、やめて!痛いよ?
それにあの人はそんな人じゃない!」

母「」キッ

少年「」ビクッ

母「ならいってらっしゃい!
行って教団の人間がどんなに酷いか知るといいわ!」

少年「……お母さま…」
101: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:57:55 ID:wJajIDVNMY
母「お母さんは先に帰るわ。
一緒に帰るなら今のうちよ?」

少年「いい…」

母「そう。勝手になさい?」

少年「うん。勝手にする…」

母「……もう、知らない」スタスタ

少年「……ごめんなさい、お母さま」
102: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:59:21 ID:PHb2NYku.U
ポツン

少年「どうして、こうなっちゃったんだろ…」

少年「さっきまであんなに楽しかったのに…」

少年「お母さま…」ウルッ

少年「……」グスッ

宣教師「どうしました?」

少年「!?」ビクッ
103: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:19:12 ID:TlNdAXGC3g
少年「し、神父さま?」

宣教師「なっ…!?
失礼な事を言うんじゃありません!私は女です!」

少年「じゃ、じゃあシスター?」

宣教師「あ、いえ。それは少し近いのですが…違います」

少年「……?」

宣教師「コホン!私は神の教えを説き、広める者…宣教師です!」

少年「宣教師…さま?」

宣教師「はい、宣教師です!」ドヤァ

少年「……」

宣教師「(無反応…だと…!?)」ガーン
104: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:20:09 ID:HcAMq1STVw
宣教師「コホン!あ、あなたはなぜ教会の前に?」

少年「えっ?ぼ、ボクは…えっと…」

宣教師「……?」

少年「せ、宣教師さまこそ、どうして?」

宣教師「どうしても何もここは私の教会ですが」

少年「あ、そうじゃなくて…」

宣教師「?」

少年「お日さまも沈んでる時間に帰って来たんだって思って…」

宣教師「あぁ…いつもはもう少し早いのですがね。
趣味で作っているお菓子の材料が切れまして、買いに行っていたのです」

少年「そ、そうです…か」

宣教師「あ、はい」
105: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:23:57 ID:TlNdAXGC3g
少年「……」

宣教師「……」

少年「……」

宣教師「(き、気まずい…)」

少年「……」

宣教師「(な、なんでしょう?前にもこんな事があったような…?)」

少年「あの」

宣教師「は、はいっ」ビクッ

少年「ご、ごめんなさい」

宣教師「あ、いや…どうぞ」

少年「昨日のこと、覚えてますか?」

宣教師「ん?」
106: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:24:53 ID:HcAMq1STVw
宣教師「昨日の…?」

少年「は、はい」

宣教師「失礼ですが、あなたのような女の子とお会いした事は無いかと…?」

少年「……」バッ

宣教師「か、カツラ…?」

少年「……」

宣教師「……!キミは、昨日の?」

少年「はい、宣教師さまに助けてもらったホビットです」

宣教師「っ……!」

ホビット「覚えて…ますか?」

宣教師「……!」ギュッ

宣教師「……なにを、言っているのですか?」

少年「えっ」
107: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:26:33 ID:TlNdAXGC3g
宣教師「私はあなたを助けた覚えなどありません」

少年「で、でも手当てして寝かせてくれた…!」

宣教師「神の教えに従ったまでです。
本来であれば罪深きホビットなど捨て置くところですが、
道で死なれても困るので、しかたなく手当てして差し上げました」

少年「ビスケット…くれた」

宣教師「あれはあなたを追い返す為にあげたんですよ。
失敗作が残っていたので、ゴミを減らすにはちょうどいいと思いましてね」

少年「そんな…」

宣教師「そんな事で女装までして私に会いに来たのですか?
ずる賢いホビットの考えそうな事です」

少年「ボク…お礼がしたくて」

宣教師「結構です。元いた場所に帰りなさい。
ホビットなど目に映せば、穢れてしまいます」

少年「そんな…そんなのって……」
108: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:28:11 ID:HcAMq1STVw
宣教師「あなたたちホビットは自分の罪を償う術を考えていればいいのです。
私があなたを受け入れると思っていたのですか?
人間に媚び、擦り寄ろうなど薄汚い種族にはお似合いかもしれませんが、笑えない話ですね」

少年「……」ポロポロ

宣教師「っ……!なにを泣いているのですか?
帰りなさいと言っているでしょう!」

少年「」スッ

宣教師「……なんのマネですか、この無駄に大きい花束は?」

少年「カリアムの花…花言葉は親愛の証って、お母さまが言ってました…」

宣教師「……」

少年「ごめんなさい…」ポロポロ

宣教師「……」

少年「ボク…帰ります」タタタッ

宣教師「……」
109: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:30:00 ID:TlNdAXGC3g
宣教師「(ホビットは罪深き種族…)」

宣教師「(ホビットは罪深き種族…)」

宣教師「ホビットは……」ウルッ

宣教師「(本当に…これが正しいのでしょうか?)」

宣教師「神よ、お教えください…」

宣教師「ホビットは確かに罪を犯しました」

宣教師「しかし、いったい…いくつの罰を与えればよいのでしょうか?」

宣教師「いつの時代まで…我々は……」

宣教師「……私もまた、罪深いのでしょうか…?」

宣教師「神よ、答えてください…」ポロポロ

宣教師「心が…潰れてしまいそう…」ポロポロ
110: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:35:37 ID:TlNdAXGC3g
>>106で少年の名前がホビットとなっていますが、ミスです。
もしも見ている方がいらっしゃいましたら申し訳ございませんm(__)m
111: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:04:18 ID:8X2XsZkcTQ
――森の道――
母「(あの子は知らない…)」スタスタ

母「(あたしたちが教団のせいでどんな目に遭っているか…)」

母「"あなた"……」

母「"あなた"さえ、いてくれたら……」キュッ

母「ごめんなさい…今はあの子の幸せを願うべきなのに…」

母「やっぱり心配だわ、戻りましょう…」

モクモク モクモク

母「煙…?」

母「あれは…あたしたちの家の方角…!」

母「っ……!」ダッ
112: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:06:07 ID:8X2XsZkcTQ
――森へ続く道――

少年「ふふ…友達、かぁ」

少年「そうだよね、助けてくれて、ビスケット貰ったからって、友達じゃないよね」

少年「ボク、なんにも分かってないや」

少年「遊んでくれた二人に、また笑われちゃうなぁ」

少年「……う、うぅ…」ブワァ

少年「うぇぇん……」ポロポロ

少年「……お母さまに、謝らなきゃ」グスッ
113: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:07:57 ID:S6udfti/Vo
母「……」タタタッ

母「……!」

メラメラ メラメラ

母「い、家が燃えてる…!?」

母「す、すぐに消し止めなきゃ!」

村の大人2「もう間に合わねぇよwww」

母「」ビクッ

村の大人1「ノコノコ戻って来やがるなんてな、バカなホビットだぜ」

母「な、なんでここが…?」

村の大人3「あぁ。あの旅人の言う通りだったな?」

村の大人2「おかげで薄汚いホビットを一掃できるぜwww」

母「(旅人?まさかあの時の…)」
114: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:10:11 ID:8X2XsZkcTQ
母「この火はあなたたちが…?」

村の大人1「そうだよ、キレイに燃えてんだろ?」

村の大人2「まさか森に隠れているたぁな、ずる賢い奴らだぜ」

母「なぜ…あたしたちが何をしたって言うの?」

村の大人2「なに言ってんだ?
お前らは生きてるだけで罪なんだよwww」

村の大人1「宣教師様も火を放つべきだと言ってたからな。
教団の方々も喜んでくれんだろ?」

村の大人3「あぁ。何事も早め早めの内がいい」

母「(もう、おしまいね…)」

母「(せめて…あの子だけは…)」
115: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:11:31 ID:8X2XsZkcTQ
村の大人2「おい!ガキはどうした!?」

母「なにを…言ってるの?
あたしに子供なんていないわ」

村の大人3「しらばっくれても無駄だ。
昨日ホビットのガキを捕まえて袋叩きにしてやったんだからな」

母「あなたたちの勘違いじゃないかしら?
あたしは独り身よ?子供なんていない」

村の大人1「てめぇ!!」バッ

村の大人3「まぁ落ち着け。ここで待ってりゃどの道ガキも現れる」

母「……!」

村の大人1「それもそうだな」
116: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:13:44 ID:8X2XsZkcTQ
母「……いいわよ、好きなだけ待ってればいいじゃない?」

村の大人1「あ?」

母「待っていてもそんな子供は来ないわ。
せいぜい時間を無駄遣いするのね」ヒラヒラ

村の大人1「てめぇ…!」ギリッ

村の大人3「挑発に乗るな、ただの強がりだ」

村の大人1「……ちっ」

母「(大丈夫…あの子は教会にいるはず……)」

村の大人2「だがよ、ただ待ってるのもつまらねぇと思わねぇか?」

村の大人1「……?」

村の大人2「おいおい、分からねぇのかよ?
ホビットとはいえ女だぜ?」ニヤリ

母「あなた…なにを言って…?」
117: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:14:54 ID:8X2XsZkcTQ
村の大人2「へっへっへ!ホビットは見た目だけは美しいからな。
大国のお偉いさんなんかは愛玩用に飼ってるって話だ」

村の大人3「そうだな、せっかくだしヤっとくか?」

母「なっ……!あなたたち、本気で言ってるの!?」

村の大人2「本気も本気www」

村の大人3「本気と書いてマジと読む」

村の大人1「おいおい、俺たちには妻も子供もいるんだぞ!?」

村の大人2「でもでもでもでも〜?」

村の大人3「関係ないから〜関係ないから〜」

村の大人2「Let's Party Night!Here We Go!」
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