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魔王「ろくな勇者がおらぬ!」
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1: :2015/3/17(火) 01:53:52 ID:44SiIGczZI
魔王「我が魔界と人間界を治め、世界が平和に包まれてから久しいが」

魔王「世界を混沌へと包もうとせん大魔王なる者が現れた!」

魔王「そこで我は十面に待ちかまえる大魔王を討つべく、名声に包まれし勇者を募った!大臣よ、どのような勇者が集った?」

大臣「現在、肉じゃが勇者・歯磨き勇者・弱い勇者・残尿勇者の四名が集まっています」

魔王「ろくな勇者がおらぬ!」

大臣「一応これの続編ですhttp://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch4/1367944388/1-10


2: :2015/3/17(火) 01:54:59 ID:44SiIGczZI
魔王「大臣よ、言い間違いではないのか!?もう一度申してみよ!」

大臣「肉じゃが勇者・歯磨き勇者・弱い勇者・残尿勇者の四名です」

魔王「我が耳は正常であったか!健康体であることを呪う日が来るとは!」

大臣「魔王様、包まなくていいんですか?」

魔王「そのような余裕もないわ!集った勇者の残念感が半端ないではないか!」

大臣「残念かどうかは対面するまでわからないでしょう」

魔王「わかるわ!何なのだ、今のラインナップは!?戦いに関する肩書きゼロではないか!」

大臣「弱い勇者ってのは戦いに関する肩書きじゃないんですか?」

魔王「だとしても、マイナス方面に主張されるとは夢にも思わぬ!」

大臣「とりあえず会いましょうよ。それで魔王様の差別も直るかと思いますよ」

魔王「これは差別なのか!?客観的に事実を述べてるだけであろう!」

大臣「とりあえず一人ずつ見ていきましょう」
3: :2015/3/17(火) 01:56:08 ID:44SiIGczZI
肉じゃが勇者「どうも、肉じゃが勇者です」

魔王「何なのだ、肉じゃが勇者て!?どういう勇者なのだ、貴様!?」

肉じゃが勇者「肉じゃが知らないんですか?」

魔王「知っておるわ!我が聞いてるのは肉じゃが勇者についてだ!」

大臣「肉じゃがが好きな勇者なんでしょう。それくらいもわからないんですか?馬鹿ですか?」

魔王「殺すぞ貴様!馬鹿は貴様らであろう!」

魔王「肉じゃがが好きだから何なのだ!?それがどう大魔王討伐に役立つというのだ!?」

肉じゃが勇者「役立つわけないじゃないですか。やっぱ馬鹿じゃないですか」

魔王「おい!本当に殺すぞ!後悔の念に包んでやろうか!?」

肉じゃが勇者「肉じゃがが好きってだけじゃないですか。何でそれを大魔王討伐に繋げるんですか?」

魔王「じゃあただの勇者として応募せよ!それで自己紹介で、好きな食べ物は肉じゃがです、と言う程度に留めよ!」

魔王「名前にまでなってるんだから、そりゃあ触れるであろう!何か肉じゃがで特別なことが出来るのかな?って思うであろう!」

大臣「あはは、妄想力高いですねえ、魔王様ww」

魔王「決めた!殺すぞ!我は貴様らを殺す!」
4: :2015/3/17(火) 01:58:01 ID:44SiIGczZI
肉じゃが勇者「落ち着いてくださいよ、魔王様。肉じゃが食べます?」

魔王「待て待て!貴様、何じゃがいもを直で手掴みしておる!?ていうか、その肉じゃがどこから出した!?」

肉じゃが勇者「え?ポケットから」

魔王「入れてたのか!?直に肉じゃが入れてたのか!?普通タッパーとかに入れてるんじゃないのか!?」

肉じゃが勇者「大丈夫ですよ。大好きなので、全く気になりません」

魔王「気にしろ!ポケットってか服が汁でグジャグジャではないか!そしてそれを他人に食わそうとするな!」

大臣「魔王様、肉じゃが嫌いなんですか?」

魔王「好き嫌いを言ってるんじゃないのだ!ぶっちゃけそれ汚いであろう!ポッケに入れて、しかも手掴みであるぞ!」

肉じゃが勇者「我儘だなあ……」モグモグ

魔王「我がおかしいというのか!?ていうか何で普通に食っておる!?汚くないのか、それ!?」

大臣「好きな物を好きと堂々宣言し、汚かろうが何だろうが受け入れる度量のある勇者です」

大臣「なので威風堂々、大魔王を倒してくれることでしょう」

魔王「物は言いようだな!?妄想力高いのは貴様の方ではないか!?」

大臣「とにかく、応募して、やってきた以上、彼に大魔王討伐を託すしかないんですよ。魔王様、ご命令を」

魔王「色々納得できぬが仕方あるまい。肉じゃが勇者よ、大魔王を討伐せよ!」
5: :2015/3/17(火) 01:59:24 ID:44SiIGczZI
翌日

大臣「肉じゃが勇者が二面でお腹壊しました」

魔王「やはり汚かったではないか!我は食べなくて良かったと安堵に包まれておるわ!」

大臣「勇ましく肉じゃがを食べたそうですが、突然の腹痛に襲われ……」

魔王「ポッケに入れてる時点で衛生面最悪なのに、更には汚い手で持って食べるのだからな!それは腹を壊すであろう!」

魔王「好きだからって、そんな扱いは逆に冒涜へとなろう!本当に好きなら、きちんと保存し最良の状態で食すのが礼儀ではないか!?」

魔王「……いや、待て!敵地で何を悠々と食っておるのだ!?戦いを舐めてるであろう!」

大臣「彼は肉じゃが勇者ですからね。肩書きを守るためには、それも仕方なかったんでしょう……」

魔王「ただ好きなだけであろう!?だったら敵地でくらい我慢せよ!そもそも名乗るのをやめよ!ただの勇者となれ!」

大臣「どうでもいいですけど、男性が喜ぶ手料理として肉じゃががよく挙げられますけど、実際そんなに嬉しくないですよね」

魔王「本当にどうでもいいな!?何でそんなこと今言うのだ!?」

大臣「お腹を壊した肉じゃが勇者ですが、壊した後は帰宅したので無事だそうです」

魔王「何でさっきの話を挟んだ!?丸々いらぬであろう!話の構成下手か貴様!」

大臣「肉じゃが勇者が駄目だったので、次の勇者いってみましょう」

魔王「我の発言を少しは拾えぇ!」
6: :2015/3/17(火) 02:00:57 ID:44SiIGczZI
歯磨き勇者「どもー、歯磨き勇者でーす」シャコシャコ

大臣「さすが歯磨き勇者、今も歯を磨いてますね」

魔王「だから何なのだ!同じこと言うけど、大魔王討伐に何の役に立つ!?」

大臣「よく言うじゃないですか。芸能人は歯が命ってね」

魔王「だからそれが何なんだっつってんだろうが、我がぁ!」

歯磨き勇者「歯が白いってのは良いアピールになると思いますけど。大魔王も気に入りますよ」シャコシャコ

魔王「気に入られてどうする!?我らは彼奴を倒すんだぞ!芸能事務所の社長と違うぞ、大魔王は!」

大臣「そんなん知ってますよ。何言ってるんです、魔王様?」

魔王「貴様らが!芸能人がどうこう言うから!我がツッコんでんだろ!」

歯磨き勇者「芸能界抜きで考えても、白い歯は良い印象を与えられて良いと思うんですけどね」ガラガラガラペッ

魔王「だから良い印象がどう大魔王討伐に役立つというのだ!てかここで口をゆすぐな!床に吐いてんじゃない!」
7: :2015/3/17(火) 02:02:10 ID:44SiIGczZI
魔王「大臣!床を拭け!あとこいつの有能性について説明せよ!」

大臣「ちっ!わかりました」

魔王「舌打ち!舌打ち!!」

大臣「歯磨き勇者は歯を凄い磨いて真っ白です。光を反射するレベルでしょう」フキフキ

大臣「そうして反射された光が、魔物の目に入ったら、眩しくて目を瞑るでしょう。その隙に倒すわけです」フキフキ

魔王「回りくどいわ!なら懐中電灯とかで直接光を当てよ!世界観が気になるなら、光の魔法とか使え!」

魔王「ていうか、魔王とかそういうのがいるとこって大抵薄暗いぞ!我もそうだったし!」

魔王「そんなんでどう反射させるというのだ!?そもそも本当にその歯は光を反射するのか!?」

大臣「わかりませんよ。何でそんなこといちいち聞かれなきゃいけないんですか?」

魔王「貴様が言い出したことだからだろ!?自分の発言にくらい責任を持て!」

大臣「わからないので、実際に行かせてみて、それで判断しましょう。魔王様、そろそろ」

魔王「ぶっつけ本番とか良くないけど贅沢は言えん……歯磨き勇者よ、大魔王を討伐せよ!」

歯磨き勇者「はい!頑張ります!」ガラガラガラペッ

魔王「だから床に吐くなぁ!せめて大臣が拭く前に口ゆすぐの終わらせておけぇ!」
8: :2015/3/17(火) 02:03:30 ID:44SiIGczZI
翌日

大臣「歯磨き勇者が歯医者に行きました」

魔王「何の報告だぁ!?彼奴は討伐に行ったんじゃないのか!?」

大臣「勇ましく歯を磨いたそうですが、摩耗症になってしまい……」

魔王「摩耗症って何だ!?そういう歯の病気は歯磨きしてんだから防げるのではないか!?」

大臣「逆です。摩耗症は歯を磨きすぎてなってしまう症状です」

大臣「簡単に言うと、磨きすぎちゃって歯が削れて、中の神経とかがむき出しになって痛むんです」

魔王「いたたたた!聞いてるだけで痛くなってきた!」

大臣「歯を磨くのは大切ですが、正しいやり方で適度にしないと、それが逆に歯を悪くしてしまうんですね」

魔王「大事なことだけども勇者SSでやるでない!こんな教訓を勇者SSでどう活かせと!?」

大臣「歯磨き勇者はもう大魔王討伐どころじゃなくなったので、次の勇者いきましょう」

魔王「どうしよう、何か今後歯磨きするのが怖くなってきた!」
9: :2015/3/17(火) 02:04:42 ID:44SiIGczZI
弱い勇者「はじめまして、弱い勇者です……」

魔王「悲しい自己紹介であるな!それ聞いて我らはどうリアクションすればよい!?」

大臣「どうしてあなたは弱いんですか?」

魔王「掘り下げるのか!?貴様けっこう勇気あるな!」

弱い勇者「……わかりません。どれだけトレーニングをしても……どうしても強くなれないんです……」

大臣「とりあえず握力ってどれくらいです?」

弱い勇者「6キロ……」

魔王「弱いな!?弱いってレベルじゃないぞ!せめて十台はいっておけ!」

大臣「流石は弱い勇者です。その名に恥じない弱者っぷりですね」

魔王「そもそもその名が恥であろう!その名を恥じるべきであろう!」

大臣「そうは言いましても、努力しても改善できないなら、どうしようもないでしょう」

魔王「なら大魔王討伐に名乗り出るな!自他共に認める弱さで、何故応募してきた!?」

弱い勇者「たくさんの勇者が応募してて……僕もしなきゃ叩かれるかなって……」

魔王「メンタルも弱いな!時には身を引く勇気も必要であろう!応募したところで貴様に何が出来るのだ!?」
10: :2015/3/17(火) 02:06:01 ID:44SiIGczZI
魔王「大臣!こんな弱い奴が、どうして戦闘で役立とうか!?」

大臣「この者はもう弱い勇者ではありません」

魔王「はあ!?」

大臣「弱い者は己を弱いとは言いませんからね」

魔王「貴様バガボンド読んだであろう!そんな台詞あったぞ!本位田とこのお杉さんだろう!」

魔王「大体それはこれから強くなれるって意味だろう!この者は明日にも戦場へ赴く!遅すぎたんだよ!」

大臣「明日にならなければわからないでしょう」

魔王「わかるわ!握力6キロが一日で70キロとかになれるか!?上げれて精々7キロとかであろう!」

大臣「川島さんのファンなんですか?」

魔王「わかるわ、言うとるけども!口調的にこうなってるだけである!」

大臣「まあとにかく、奇跡を信じて明日の弱い勇者に期待するしかないですよ」

弱い勇者「期待されたって、どうせ無理ですよ……」

魔王「本人がこれであるぞ!メンタルも弱いからなあ!もうこれ駄目であろう!」

大臣「じゃあどうするんです?大魔王討伐は諦めますか?」

魔王「送り出すしかないんであろう!?しょうがないから一日無駄にしてやるわ!……弱い勇者よ、大魔王を討伐せよ!」
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