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神娘「人間など嫌いだ」
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1: 亀更新かもです ◆WjgYlacz.c:2015/12/10(木) 10:06:43 ID:I.XMW0eHSk



ーむか〜しむかし、とある場所で





22: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:01:43 ID:L58MV1qlVg
神娘「…まっはふ、はみをはははうほははんとはひははひな」モグモグ

男「???」

神娘「…」ゴクンッ

神娘「…まったく、神をからかうとはなんと罰当たりなと言った」

男「そうでしたか」

男「まあ、そう言いながら結局食べているんですけどね」

神娘「文句あるのか?」ギロッ

男「いえ」

神娘「わはひがほほろのひほいはみでほはっはな」モグモグ

神娘「もっほわはひをおほれふがひい」モグモグ

男「あの、喋るか食べるかどっちかにしてくれませんかね」





※「私が心の広い神で良かったな」「もっと私を畏れるがいい」
23: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:02:10 ID:L58MV1qlVg
神娘「…陽気だ。とても穏やかな」

神娘「うむ…どうも眠くなる……ぞ…」コクンコクン

神娘「……」zzz

…………
………
……

『神様〜!今年も良き米が採れましてございます!』

「おお、そうか」

『これも全て神様のおかげでございますな!』

「何を言う。お前たちの努力が全てだ」

『これからもこの村を守ってくだされ!』

『神様!』

『神様!』

「わはは、任せておくがよいぞ!」



「…生きるために頑張る人間の姿は好きだ」

「これからも、この村で共に…」

……
………
…………

神娘「……っ!」ハッ

神娘「…いかん、うとうとしていた。しかし…」

神娘(懐かしい夢を見たな。ふん、何を今さら…)

男「…神様」

神娘「わあっ!?」ビクッ
24: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:02:36 ID:L58MV1qlVg
神娘「い、いたのかお前…」

男「眠っておいででしたか」

神娘「少しだけな」

神娘「…というより何で勝手に入ってきているのだ。今さらだが」

男「そろそろ慣れてくださいよ」

神娘「馬鹿者。そもそも立ち入りを許可しておらぬ」

男「まあまあ。それより、何か良い夢でも?」

神娘「へっ?」

男「神様、眠りながら少し笑っておりました」

神娘「…」

男「そういえば神様が笑っておられるところは初めて見ました」

神娘「…お前には関わりない事だ」

男「そう言うと思いました。でも、そのお顔が見れただけで少し嬉しいです」

神娘「な、何を言っておる」

男「いえいえ。こちらの話です」

神娘「仕返しのつもりか?」

男「滅相もない」

神娘(また何か企んでるのか?こやつ…)
25: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:04:56 ID:L58MV1qlVg
男「神様!」ザッ

神娘「おう、よく来たな!」ニコーッ

男「…えっ」

神娘「待ち侘びておったぞ。さあ、そこに座れ」ニコニコ

男「あの、神様…」

神娘「ん?」ニコニコ

男「どうしたのですか。またお加減でも…」

神娘「…大事ない。たまには趣向を違えて歓迎してみたのだ」フウ

男「何故そのような事を…」

神娘「逆に気味悪がって寄り付かなくなるかと思って」

男「それなら何故あっさり白状してしまったのですか…」

神娘「自分で自分に耐え切れなくなった」

男「左様ですか」

神娘「押して駄目なら引いてみる手筈だったのだが」

男「たしかに何だか気持ち悪うございました」

神娘「…狙い通りなのだがもう少し歯に衣着せよ」

男「ですが、そのくらいでは来なくなりません」

神娘「」
26: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:06:45 ID:L58MV1qlVg
男「はあ、はあ…」ザッ

神娘「…なんだそれは」

男「…ふう」ドサッ

男「ああ、重たかった…先ほど狩った猪でございます」

神娘「ほう、なかなかに大きいな」

男「苦労致しました」

神娘「…まさか、お前一人で狩ったのか?」

男「そうでなければ村に持って帰らなければならないでしょう」

神娘「それはそうだろうが…」

神娘(何者なのだ?こやつ…)

男「どうぞ、お召し上がりください」

神娘「あのな、それをそのまま持ってきて私にどうせよと言うのだ」

男「え?食べていただきたく思います」

神娘「そのまま食えというのか!?」

男「神様ならきっとできるかと思いまして」

神娘「…むむ」

男「できないのですか…そうですか」シュン

神娘「なに?私が悪いのか?」
27: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:07:25 ID:L58MV1qlVg
パチパチ…

神娘「まさかここで火を焚くとは思わなかったぞ」

男「風通しは良い洞窟ですから。煙も籠りませんし」

神娘「まあ実は生肉で食えない事もないのだがな」

男「そうなのですか?」

神娘「神だからな」

男「納得しました」

神娘「しかし焼いた方が美味いのは間違いない」

男「まったくです」

神娘「山の恵みには感謝せねばな」

男「はい、焼けました」スッ

神娘「うむ」スッ

はむっ

神娘「……」モグモグ

男「…」ジーッ

神娘「…何を見ておる」

男「いえ」

神娘「おかしな奴だ」モグモグ
28: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:07:58 ID:L58MV1qlVg
神娘「……」モグモグ

男「……」モグモグ

神娘「…おい」

男「はい」

神娘「何故お前も普通に食べているのだ」

男「お腹が空いてございます故」

神娘「本能に忠実か!」

男「猪など滅多に狩れませんから」

神娘「これ、私への供え物だろう」

男「そうです」

神娘「お前が今やっているのは罰当たりな事ではないか」

男「しかし神様一人でこれ全て召し上がれるとは思えません」

神娘「う、うむ…」

男「この時期、肉などすぐに腐ってしまいますからね」

男「ここで食べてしまう方が得策でしょう」

神娘「正論なのだが釈然とせぬな」

男「ご安心を。普段は節度を守り、道端の地蔵に供えられた饅頭などにも手を付けません」

神娘「今のお前はそれとほぼ同義だと言っているのだが」
29: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:08:36 ID:L58MV1qlVg
男「…」モグモグ

神娘「…なあ」

男「はい」

神娘「正直に言え。何か企んでおるのか?」

男「?」

神娘「よく考えればおかしいぞ。何の目的もなくここに来るなど…」

男「目的ならありますよ。神様にこうして美味しいものを食べていただき、早く元気になっていただきたいのです」

神娘「何故お前が私の世話を焼くのだ」

男「…責任を感じております」

神娘「責任?」

男「あの時倒れたのは、神様がそのお力を使ったからでしょう?」

男「私が素直に神様の言う事を信じていれば、ああはならなかった筈です」

神娘「……」

男「だから、こうしているのは一種の罪滅ぼしなのです」

男「もし神様に何かあれば目覚めが悪いですから」

神娘「…本当にそんな理由か?」

男「それだけです」

神娘「馬鹿馬鹿しい。私の調子が悪いのはあれが原因ではない」

神娘「よってお前に責任などない。分かったか」

男「そうですか…しかし、調子が悪いのは確かなのですね」

神娘「あっ…」

男「ならば、私は神様を放っておくことはできません」ニコッ

神娘「もうやだこの人間」
30: ◆WjgYlacz.c:2015/12/24(木) 11:09:12 ID:L58MV1qlVg
男「…あの、神様」

神娘「む?」

男「今度は神様の事を少しお聞きしてもよろしいでしょうか?」

神娘「……」モグモグ

神娘「ふぅ、食った食った」ポンポン

男「……」

神娘「…何故聞きたがる。お前に利は無いぞ?」

男「利など要りませんが」

神娘「では何なのだ?」

男「ただの興味本意です」

神娘「…」

神娘「お前は馬鹿なのか何なのか分からん」

男「馬鹿でも何でもいいです」

神娘「分かったよ。美味い肉の礼だ」

男「おお、ありがたや」

神娘「とは言っても、何から話せばいいものか…」
31: 名無しさん@読者の声:2015/12/31(木) 00:12:47 ID:iGoluuLBq.
神様と男のやりとり見てるとほんわかする(´∀`*)

作者さんには
つCCCC
神様には
つ つきたての餅(きなこ、あんこ、抹茶、砂糖と醤油の4種類)
32: 支援ありがとうございます ◆WjgYlacz.c:2016/1/1(金) 00:16:13 ID:6EINa3wIrQ
男「神様、>>31から搗き立てのお餅が送られてきましたよ」

神娘「>>31とは誰だ。それに、人間からの施しなどいらん」ジュルリ

男「神様、言動が一致しておりません」

神娘「き、気のせいだろう。いらんものはいらんのだ」ソワソワ

男「そうですか。では持って帰って村の皆で食べますね」

神娘「!」ピクッ

男「なんと良い匂い…これは良いもち米を使っておりますね」

神娘「ぐっ…」

男「しかも味も4種類用意するとは気が利いておりますね。私はきな粉派ですが…」

神娘「うっ…うぅ〜…」ジワア

男「…神様、やせ我慢は体に毒です」

神娘「あぅ…」

男「正月に餅を食べるくらい、何もおかしくありませんよ」

神娘「…」

神娘「……あ、味見くらいはしてやろう」

男「はい」

この後、1人と1柱で美味しくいただきました。
33: ◆WjgYlacz.c:2016/1/1(金) 00:18:51 ID:6EINa3wIrQ
男「あっ、SS板の皆様、明けましておめでとうございます」

神娘「おい」

男「今年ものんびり更新していきますので、温かい目で見守りください」ペコッ

神娘「お前、誰に何を言っておるのだ?」

男「神様も一緒に頭を下げていただけませんか」

神娘「嫌に決まっているだろう。というより誰にだ?」

男「こんな神様ですが、皆様よろしくお願いします」

神娘「こんなとはなんだ。そして誰と喋っているのだと聞いておる」
34: お久しぶりです ◆WjgYlacz.c:2016/2/9(火) 04:13:05 ID:Q4px5cWK5o


以下、>>30続き
35: ◆WjgYlacz.c:2016/2/9(火) 04:14:40 ID:Q4px5cWK5o
神娘「そうだ。お前、前に聞いてきた事があったな」

男「いつの事でしょう?」

神娘「ほれ、>>6でだ」

男「ああ、そんな事もありましたっけ」

神娘「…忘れているという事はどうでもいいのだな」

男「いえいえ。気になります。興味があります。夜も眠れません」

神娘「どれだけ必死なのだ」
36: ◆WjgYlacz.c:2016/2/9(火) 04:15:56 ID:Q4px5cWK5o
神娘「とにかく、あの時お前は私が何の神であるかと聞いてきたな」

男「そうでしたね」

神娘「あれに答えてやろう」

男「ありがたやありがたや」

神娘「…とは言っても、そこまで詳しくは答えてやれないんだがな」

男「えっ?」

神娘「神には神の、人間には人間の領域というものがある。迂闊にお前たちにこちらの事情を話す事はできん」

男「はあ」

神娘「それに…私は何の神でもない」

男「どういうことですか?」

神娘「私にはまだ神としての役割がないということだ」

男「なんと」
37: ◆WjgYlacz.c:2016/2/9(火) 04:16:32 ID:Q4px5cWK5o
神娘「お前たちの言葉で言えば…八百万の神とでも言うのかな」

神娘「私は神としては修業中の下級神だ」

男「神様にも身分があるのですか」

神娘「うむ。そこは人間の感覚と一緒だろう」

男「では、神様はまだ神様ではない?」

神娘「いや、神に属する存在だ。神技も使えるし」

男「しかし今は神技を使えない身ですよね?」

神娘「それは力が尽きているからであって…」

男「ですがそれでは…」

神娘「分かった。怒らないから今考えている事を言ってみよ」

男「神様が神様でなければ、もうあれこれ供え物を用意せずとも済むかと」

神娘「そんな所だろうと思った」

男「さすが神様」

神娘「ついでに更に気兼ねなく無礼を働けるとでも思っているのだろう」

男「そそそんなわけないではないですか」
38: ◆WjgYlacz.c:2016/2/9(火) 04:17:18 ID:Q4px5cWK5o
神娘「こほん、とにかく下位であろうとも私は神たる存在。お前たち人間より上に立つ者だぞ」

男「ははーっ」

神娘「本来ならお前の無礼の数々、万死に値する」

神娘「しかし私は心が広い故、見逃してやっているのだ」

男「……」

神娘「今はお前に馬鹿にされてもろくに仕返しもできぬ体たらくだが、今に見ておれ」

神娘「きっといつか本神となり、お前に天罰を…っておい」

男「……」コックリコックリ

神娘「…」

男「…あっ、すいません。なんの話でしたっけ?」ハッ

神娘「都合の悪い話の流し方が雑だぞ」
39: ◆WjgYlacz.c:2016/2/9(火) 04:17:54 ID:Q4px5cWK5o
男「ところで神様、その修行というのは何をされているので?」

神娘「……」

男「神様?」

神娘「言ったはずだぞ。神には神の領域があると」

男「…」

神娘「それは話せない」

男「…そうですか」

神娘「お前には関係のない事だしな」

男「何かお力になれる事があればと思ったのですが」

神娘「……」

神娘「神の事情だ。お前のような人間に出来る事などない」

男「差し出がましい事を申しました」

神娘「…ふん」プイッ
40: ◆WjgYlacz.c:2016/2/9(火) 04:18:29 ID:Q4px5cWK5o
神娘「ふう、今日はもう帰れ」

男「お疲れの様で」

神娘「主にお前のせいでな」

男「ご冗談を」

神娘「…本当にお前の頭に雷でも落としてやりたいもんだ」

男「くわばらくわばら」

神娘「鬱陶しい。ほれ、日が傾いてきたぞ」

男「あっ、はい。では失礼します、神様」

タッタッタッ

神娘「……」
41: ◆WjgYlacz.c:2016/2/9(火) 04:20:44 ID:Q4px5cWK5o
神娘「…いかんな。どうにも喋り過ぎてしまう」

神娘「私も懲りないものだ」

神娘「口は災いの元とはよく言ったものだな」

神娘「あの男も所詮は人間。欲深い存在に変わりない」

神娘「…人間になど、もう気を許さんぞ」フンス

神娘「……」



神娘「…そういえば言い忘れたな」

神娘「もう来るな、と」
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