友天使(以下友)「どうしたんだよ、天使。ぼーっとしちまって」
天使「なんだか、胸にぽっかり穴が空いたような…」
友「?」
天使「神様の教え164項」
友「忘れちまったよ…。卒業試験はとうに終わったからな」
天使「《命は、他の命の妨げになってはならない。
これを破るものに天は、それ相応の罰を与える。》」
友「さすが、首席卒業は違うね。」
天使「129項。」
友「…」
天使「《命は、自らを絶ってはならない。
これを破るものは、地獄の使者へと明け渡す。》」
友「…わかった。昔の悪魔の小僧の事を思い出してるんだろ。」
天使「それもある…。…人を、殺してしまったんだ…。」
友「!?」
天使「あまりにも、哀れだった…。だから、自らを絶とうとしたその時、僕が殺した…。」
友「バカな!?いったいどうやって!!!」
天使「簡単さ。下界に降臨し、彼の前に立ち、胸の鼓動を停めた。」
友「…うそだ」
天使「うそじゃない」
友「…。俺だってこれくらいは知ってる。
天界の者が下界に無断で降臨するのはA級犯だ。人間一人に姿を見られるのは準A級。
これだけでお前は、地獄で想像を絶する苦痛を、500年強いられたのち、永遠に悪魔の奴隷となる。
天使学校を首席卒業でもな。」
14: ◆BpWtee7/8Y:2010/12/9(木) 02:01:51 ID:yhI0pcFjnQ
おもろい
15: 名無しさん:2010/12/9(木) 02:26:23 ID:j7UOLnkwP.
こむずかしさがいい味を出してる。キャラを想像しやすいのもいいな
16: ◆33ZGFI67fU:2010/12/9(木) 02:40:56 ID:eAGcRsPD1k
――
悪魔「廃れた狗、か…」
悪魔「僕がこの詩の狗なら…」
悪魔「やっぱり自殺するなあ…」
女悪魔「おっ、悪魔じゃん。また下界覗いてんの」
悪魔「女か…。下界覗くのって、楽しいよ」
女「どれどれ…」
悪魔「いろーんな命がいるんだ…」
女「…悪魔はさ、どの命が好き?」
悪魔「みんな好きだよ。みんな優しくて、醜い。
でも、中でも人間は芸術的だなあ…」
女「あんたってほんと変わってるよね」
悪魔「…でも」
女「?」
悪魔「君が一番、好きかな」
17: ◆33ZGFI67fU:2010/12/9(木) 03:00:55 ID:x2apvB4eTs
女「…照れるじゃん」
悪魔「ははっ。言うと思ったよ。
行こう。卒業式に遅れちゃう。」
女「わかってるわよ!」
―卒業後
「そなたに、「クルエラ」の種族を名乗る事を許可する。」
悪魔「光栄でございます。」
「クルエラだってよ…」「超上級種族じゃないか…」「やっぱりあいつすげーよ…」
女「悪魔が、遠くへ行く」
女「私の知らない所へ」
―数年後
悪魔「器〔人間〕。数値8200。クラスS級。シングルだ。罪状・連続殺人、食人、性犯、―自殺。」
部下悪魔「大罪ですね。」
悪魔「弐の部屋へ送れ。罪を洗う。」
部下「かしこまりました。」
悪魔「次。」
部下2「悪魔様。」
悪魔「なんだ?」
部下2「少々働きすぎでは…。休みをとってはいかがです?」
悪魔「…。僕は大丈夫だよ。」
部下2「東にある“窓”は大層いい眺めだと…“女様”に教えて頂いたんですが。」
悪魔「!!」
部下2「次の仕事を?」
悪魔「いや、少し休むよ」
18: ◆33ZGFI67fU:2010/12/9(木) 03:12:44 ID:6CrHi9jo.I
[東の“窓”]
悪魔「窓とは、よく言ったね、女…」
女「下界を覗く、覗き窓。いい眺めよ。久しぶり、悪魔。」
悪魔「懐かしい景色だ…」
女「ねぇ、人間と私たちの違いってわかる?」
悪魔「同じさ。彼らも僕も」
女「違うよ。悪魔には悪魔の道がある。人間には人間の道がある。」
悪魔「…彼らは自分の道がわからないんだ。なあ女。僕らの…僕の前世はなんだと思う。」
女「…『罪を背負うものは、限られる。
蟻や微生物が最大限に悪事を働いた所で地獄へは来ない。その代わり、もっと賢く大きい器に生まれ変わる。
もっと大きな罪が犯せてしまう生き物に。」
悪魔「…」
女「あなたの前世って、人じゃないかしら。
それも、とびっきりえげつないのよ。」
悪魔「……」
女「廃れた狗ね」
19: ◆33ZGFI67fU:2010/12/9(木) 03:14:11 ID:X7SBxhlvQ.
ただ存在が業であり、その罪を背負う。絶つ事もできず。
それって、あなたそっくりよ
20: 名無しさん:2010/12/9(木) 05:23:19 ID:rwUn26qwGw
オモロイ
21: ◆33ZGFI67fU:2010/12/9(木) 14:47:17 ID:M1hgOw/KZ6
悪魔「…僕の、なにが業だって言うんだ……!!!」
悪魔「悪魔として!!裁き!!導き!!与える!!」
悪魔「『クルエラ』である僕が…!!業だと言うのか!!」
女「あなたが存在する事で、多大な命の妨げになる。」
女「現に、あなたがちょっと悪戯すればS級の罪がかせられる。」
女「あなたは…私たちは、善と悪の成れの果てよ。」
悪魔「……!!!!!」
女「気晴らしに旅行なんてどう?行き先は…そう、下界なんてどうかしら。
無理にとは、言わないけれど」
悪魔「…なにを馬鹿な事を……
もう、放っておいてくれ…」
女「…」
女「ずっとそこで、そうしてなさい。」
女「私の憎しみは、あなたが死ぬまで消えないわ」
22: ◆33ZGFI67fU:2010/12/9(木) 15:02:04 ID:eAGcRsPD1k
悪魔「善と悪の、輪廻の輪…」
悪魔「廃れた狗の、最期…」
悪魔「下界は…」
『どけよガキ!!』『お前のせいだぞ!!』『失せろ』『消えろ』『…死のう』
悪魔「!!」
部下「悪魔様、帰りが遅いので様子を身に来たのですが…」
悪魔「…」バサッ
部下「なっ!転移魔法!?いったいどこへ行くつもりですか!!まさか…窓の外へ!?」
悪魔「…」ギロ
部下「あぁがッ!!あっグゥ!!!」シュゥゥゥゥ…
悪魔「…」
―下界
人間「死のう…」
悪魔「なぜだ」
人間「!!」
人間「死に神…か」
悪魔「似たようなものだ。お前はなぜ死ぬ?」
人間「俺は…生きてるだけで罪なんだ」
悪魔「!!」
人間「あぁ、せめて、若い頃からやり直せたらなあ…」
悪魔「…お前の願いを叶えてやる。」
人間「え?」
悪魔「知能と記憶はそのままに、10代半ばまで戻してやる。
僕はお前を見ている。この先どうなるかをな。」
人間「遊んでるのか…?」
悪魔「違う。楽しんではいるがな。」
23: ◆33ZGFI67fU:2010/12/9(木) 15:09:07 ID:6CrHi9jo.I
―数日後
魔王「お前の罪は、相当なものだ。殺すならまだしも、人にはありえない存在を創るとは。」
悪魔「…」ボーッ
魔王「刑罰を下す。お前は10年、苦痛の部屋へ送る。」
悪魔「…たった10年?」
魔王「あまりに多大な罪は、お前の最も大切な者にかせられる」
『ぐぅああ!!!!!ぁぁぁっはぁ!!!!!!!!ぎぃいぃい!!!』
悪魔「…!?」
魔王「女は、200万年これを続けた後、800万年、無の部屋に送られる。なにひとつない、真っ白な空間にな。」
悪魔「そんな…バカな……」
魔王「お前、ろくな転生できないよ。」
悪魔「…ばぁあぁあかなぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
24: 名無しさん:2010/12/9(木) 18:57:54 ID:R1xQ3Q6ChU
すごくいい
支援
25: ◆33ZGFI67fU:2010/12/9(木) 19:35:35 ID:M17aQNLWVU
ガコン
悪魔「お前…」
部下2「これから10年。せいぜい苦しんでください」キィィィ…
悪魔「まっ!!やめっ…うぅぐおあああああぁぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあああぁあぁあああぁあぁあああああああああああぁあ!!!!!!!!!!!!!!」
―10年後
悪魔「」
悪魔「これを。200万年だと。」
悪魔「おれは。いったい」
悪魔「あは。あはは。」
悪魔「胸にぽっかり。穴が空いたようだ。」
悪魔「数字のみちから。あるふぁべっトの途ちゅウへ」
悪魔「なげだされタみタいダ」
悪魔「あは。あはハ。」
悪魔「チョウド。Mくらイカナ?」
悪魔「えーびぃーしぃーでぃー♪」
悪魔「いーえふじぃー♪」
悪魔「…あは。」
あはははは
26: ◆33ZGFI67fU:2010/12/9(木) 19:44:29 ID:M1hgOw/KZ6
――
天使「なあ、Mよ。」
M「なんだ」
天使「お前が変えた人間は、どうなったかなあ」
M「もう死んだよ。」
M「殺された。」
天使「やっぱり。そんなもんなんだなあ」
END
要望があれば番外書きます
27: 名無しさん:2010/12/9(木) 23:58:39 ID:wFdURrzodQ
おもしろかった!
1乙かれい
番外編キボン
28: 名無しさん:2010/12/10(金) 05:12:38 ID:g/aS.qr9Xk
書いて!
29: 名無しさん:2010/12/10(金) 07:31:17 ID:X6h6JRQZ8Y
ぜひ!
30: 名無しさん:2010/12/10(金) 07:41:18 ID:SDDQv0qEqE
お願いします
31: 名無しさん:2010/12/10(金) 08:08:15 ID:S6udfti/Vo
天使ちゃんマジ天使
32: ◆33ZGFI67fU:2010/12/14(火) 07:21:32 ID:6bZnwfxYfA
番外編・『我が儘』
「前の車を追ってくれ!!」
タクシーの運転手を始めて去年で10周年。まさかほんとにこんなベタなセリフが聞けるとは。
思わずバックミラーで息を切らしたお客様を見る。
精悍な顔つき。眼を見ればわかる。こりゃ正義の味方だな。
「はいな。シートベルトの着用はお忘れなく。」
俺はしかたなく巻き込まれてみる。しかなく、だ。
ただの、気まぐれである。
33: ◆33ZGFI67fU:2010/12/14(火) 07:35:33 ID:72Oo58upPU
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私の正体を教えよう。
警官?違う。
名探偵?違う、違う。
私は、神なのだ。多分。
私は10年ほど前、自殺を試みた。だが死に神がやってきてそれを止めた。
しかも若返らせてくれた。死に神がこんなに優しいなんて、私は神に違いない。多分。
しかし問題があった。
私は知能や記憶をそのままに10代まで若返ったが、戸籍上はもうおっさんだ。だから学校に行く事も働く事もできない。
できるかもしれんが、ややこしいと思う。
結論から言うと私は犯罪に走った。若返った体と、人生経験。
詐欺師にはもってこいであった。まずは整形を施す資金を貯め、次に身なりを整える資金を貯めた。
私の詐欺はことごとく成功した。詐欺師としての技術は日々成長していった。
そして、組織を作った。
私は晴れて、ヤクザの組長になったのだ。
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