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天使「人を、殺してしまった」
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1:🎏 #エンジェルズ:2010/12/8(水) 20:37:32 ID:6CrHi9jo.I
友天使(以下友)「どうしたんだよ、天使。ぼーっとしちまって」

天使「なんだか、胸にぽっかり穴が空いたような…」

友「?」

天使「神様の教え164項」

友「忘れちまったよ…。卒業試験はとうに終わったからな」

天使「《命は、他の命の妨げになってはならない。
これを破るものに天は、それ相応の罰を与える。》」

友「さすが、首席卒業は違うね。」

天使「129項。」

友「…」

天使「《命は、自らを絶ってはならない。
これを破るものは、地獄の使者へと明け渡す。》」

友「…わかった。昔の悪魔の小僧の事を思い出してるんだろ。」

天使「それもある…。…人を、殺してしまったんだ…。」

友「!?」

天使「あまりにも、哀れだった…。だから、自らを絶とうとしたその時、僕が殺した…。」

友「バカな!?いったいどうやって!!!」

天使「簡単さ。下界に降臨し、彼の前に立ち、胸の鼓動を停めた。」

友「…うそだ」

天使「うそじゃない」

友「…。俺だってこれくらいは知ってる。
天界の者が下界に無断で降臨するのはA級犯だ。人間一人に姿を見られるのは準A級。
これだけでお前は、地獄で想像を絶する苦痛を、500年強いられたのち、永遠に悪魔の奴隷となる。
天使学校を首席卒業でもな。」


34:🎏 ◆33ZGFI67fU:2010/12/17(金) 09:01:54 ID:eAGcRsPD1k
私の部下は実に優秀だった。

今回の仕事も、敵の情報をすべて把握できている。

どのくらい把握してるのかって?

そりゃ仕事とか、家族とか、恋人とか、セックスや自慰の頻度とか、一日に平均何回トイレに行くかとか、とにかく全部。


私は今回、逃げるヤツを自分で追いかける事にした。

なぜなら、言いたいセリフがあったからだ…。


「前の車を追ってくれ!!」
35:🎏
◆33ZGFI67fU:2010/12/17(金) 09:10:39 ID:35K7yLKyUg
私は今、ここ一週間のこの町で1番かっこよかったと思う。
この県で、でもいいかもしれない。とにかくかっこよかった。

運転手が口を開く。


「はいな。シートベルトの着用はお忘れなく。」



この間約2秒。

なんだコイツ。私のカッコイイ記録を2秒で塗り替えやがった。



それにしてもこの運転手、かなりのドライビング・テクニックであった。

しかし相手も負けていない。

ヤツの周りにカーチェイスができるほど有能な運転手がいた情報はないぞ?


これはいったいなにが起こっているのか…



「追い詰めましたよ。お客さん。」

廃倉庫。人はいないが、かっこのつけどころだ。



「観念しろ。チェック・メイトだぜ、旦那。」

昨夜練習したセリフは見事なまでに滑らかで完璧だ…


「お前がな」



え?



36:🎏 エレメンタルERO:2010/12/17(金) 10:05:11 ID:uLiI3U/Am6
支援!
37:🎏
◆33ZGFI67fU:2010/12/17(金) 10:49:49 ID:6CrHi9jo.I
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銃弾が、組長の二の腕を砕いた。


「グッ―!?」


銃を持つ手が振るえている。
二の腕に当てたのは、情けでは無かった。
詐欺師の手下に過ぎない加藤は、脅す銃は持っていてもそれを人に向かって発砲するなど考えた事も無かった。


「お前っっ!加藤!!裏切ったのか…!!!」


組長は吠えたが、語尾は弱い。偶然死に神に目つけられ成り上がったに過ぎない組長には、腕のキズは充分思考を狂わせた。

それを、加藤は見逃さなかった。

「…逃げてください……。」


「なんだとっ!?」


「ここにヤツはいません。いいから貴方は早く逃げてください。今に組全員が貴方を裏切る…!!
傷ついた貴方と弾が足りない銃を見せれば組も少しは納得します!!」



38:🎏
◆33ZGFI67fU:2010/12/17(金) 10:55:50 ID:W.YwX.TgTA
組長には、なにが起こっているのかわからなかった。


(組が謀反…?
あんなにいいやつらなのに…
ほら、あいつだって…あの…誰だっけ…)


くしくも組長が名を覚えている組員は、利口な加藤だけであった。
これでは謀反も仕方のない事なのかもしれない。

とにかく、逃げなければ。

組長は出口に向かって真っ直ぐ走った。




―加藤は、利口だった。

先の失敗を元に軌道の修正をし、背中から今度は胸を貫いた。


途端、サイレンの音が鳴る。

加藤はうろたえた。いったい誰が?
この廃倉庫に電波が無い事は確認済みである。



「えらい事に巻き込まれちまった…!」


「お前か……っ」


運転手の無線。完全な凡ミスをおかしてしまった。


人を撃った自分はこの状況では助からない。

万が一、組長が生きていたら彼に詐欺の証拠はない。


それは捕まるのは、自分だけということを表わしている。

加藤は、この現状を把握できないほど馬鹿でも幸せ者でもなかった
39:🎏 名無しさん:2010/12/17(金) 11:01:24 ID:UqMrPHxyCE
支援!
40:🎏
◆33ZGFI67fU:2010/12/19(日) 15:39:34 ID:W.YwX.TgTA
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組長は、青く広がる空を見上げる。

(ほんの数日ぶりだが、まるで何年も外に出ていなかったみたいだなあ…)

組長は一命を取り留めていたが、加藤を失った。組長を沈ませるに充分な出来事だ。

(とりあえず、事務所に帰るか…)

組長には、そこしか帰る場所はない。だが、そこはすでに組長の帰る場所ではなかった。


「動くな」


「―!?お前ッ!」


そこにはかつての部下がいた。銃を構えている。加藤の言った事は、本当だったのだ。


「…理由はなんだ……」

組長はゆっくりと手をあげながら時間稼ぎに専念した。


「俺たちは、あんたの道具じゃない。あんたを処理して加藤組長を待つ。」


「加藤『組長』だと…?」


「あんたはお払い箱ってわけさ」
41:🎏
◆33ZGFI67fU:2010/12/19(日) 15:59:49 ID:6CrHi9jo.I
「クソっ…クソぉあぉあぉぉぉあぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「―ッッ!?」


組長の精神は崩壊した。もともと自殺に追い込まれた男である故、その精神は今も弱く脆い。


「うぅうぅぅうぉおああぁぁああああ!!!!!!!」


けたたましい銃声が鳴り響く。
銃を向けていた部下は既に小さな悲鳴をあげ死んだ。

だが組長は止まらない。組長の崩壊は、事務所にいる組員総勢28名を始末するまで止まらなかった。



「なにが…死に神だ………」

組長は血にまみれていた。
ヒビと血糊が付いた鏡に組長の顔が写っている。


「…俺こそ、死に神じゃあないのか……」


組長はゆっくりした歩調で事務所を出た。


「死に神よ…いや、悪魔よ!!!

今も見ているのか…

私を見て、笑っているのか!!!」


人通りは無い。もしここに人がいれば、間違いなく撃たれていただろう。


そして組長はあてもなく歩いてるわけではない。

42:🎏
◆33ZGFI67fU:2010/12/19(日) 16:00:09 ID:6CrHi9jo.I
もう一度…あの場所へ……

悪魔と出会った、あの場所へ。

そして、今度こそ……



「悪魔よ!!私は貴様から授かった力を捨ててやるぞ!!私の結末を笑うがいい!!!」


しかしそこに現れたのは、輝かしい金の長髪。銀色の瞳。精悍な眉と口元。真っ白な装束。そして同じ色の翼。
辺りにはその者の撒き散らした羽毛が舞っており、とても以前出会った悪魔には見えなかった。


「今度は…何なんだ…」


その者は何も答えずただ組長の胸にそって手を当てた。


ステンドグラスのような美しい眼は、哀しそうに組長を見ていた。











舞っていた羽毛が、すべて落ちた。






番外編―我が儘―




43:🎏 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
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