律子「……はい?」
P「いや、だから、アイドル達の呼び方を変えてみようと思う」
律子「はあ。唐突ですね」
P「昨日思いついたばかりだしな」
律子「本人達さえよければいいんじゃないですか? あ、でもあまり馴れ馴れしいと事務所外の人達に勘繰られちゃうかもですね」
P「その点は大丈夫だろう。事務所の中だけにするつもりだ」
律子「なら大丈夫ですかね。でもどうして急にそんなことを思いついたのですか? プロデューサー殿」
P「なんとなく」
律子「なんとなくってあなた……」
41: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:00:32 ID:fe5N/HgVSg
>>38
トンクス 投下前のお礼忘れてたゼ
――翌日
P「やばい……死ぬ……」
P「期待してなかったけどいやしてたけど、765プロのみんなからは何もなかった」
P「メールも電話も。お見舞いなんてあるはずもない」ズズッ
P「……嫌われたなあ」ズビズビ
P「死ぬ時もこんな感じなんだろうなあ……看取ってくれる人もいない」グズグズ
P「………」ゼェハァ
アイシテルーアイシテルー
P「!?」ガバッ
From:あまとう
件名:なし!だぜ!
本文:雨、ひどいな
せっかくのオフなのに
憂鬱だぜ
42: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:02:19 ID:fe5N/HgVSg
P「………」
P「あまどお……」グス
P「………」ピッピッピッピ
To:あまとう
件名:かゆ…うま…
本文:風邪で死にそうなう
さみしいしはらへったし
ほんとうにやばひ
P「送信……と」
P「はあ」
アイシテルーアイシテルー
P「早っ」
From:あまとう
件名:なし
本文:どういううことだよ待ってろ
P「どんだけ動転してんだあいつ」
43: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:04:29 ID:fe5N/HgVSg
――三十分後
冬馬「大丈夫かよっ!!」
P「いや、お前が大丈夫か。びしょ濡れじゃん」
冬馬「お、おう……」
P「まあ上がれよ……さみしかったところだ」
冬馬「お、おう……」
冬馬「とりあえずいろいろ買ってきたぞ」
P「ありがたやありがたや」
冬馬「ゼリーにポカリ、冷えピタにレトルトたまごがゆ」
冬馬「とりあえず冷蔵庫に入れとくからよ」
P「すまんねえ……」
冬馬「気にすんなよ。困った時はお互い様だ」
P(あまとうが想像をはるかに超えていいやつ過ぎて困ってます)
44: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:06:01 ID:fe5N/HgVSg
冬馬「しかし意外だよな。アンタのとこのアイドルならこんな状況、一も二もなく見舞いに押しかけてきそうなものをよ」
P「は……はは……そうね……」
冬馬「? なんかあったのか?」
P「いや、なんかみんなに嫌われちゃってさ……」
カクカクシカジカ コレコレウマウマ
冬馬「はあ!? 呼び方を変えただけで無視!?」
P「情けないけど……これ、事実なのよね……」
45: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:07:42 ID:fe5N/HgVSg
冬馬「今の765プロがあんのはアンタのおかげみたいなもんなんだろ……? それをちょっと有名になったら手のひら返すのかよ……!」
冬馬「ゆるせねえ! 絶対に! だぜ!」ギリッ
P「いや、そんな熱血振るわなくてもいいから」
冬馬「お、おう……? そうか?」
P「別にいいんだ。元をただせば俺が悪いんだし」
P「それよりさみしくて死にそうだったのもまた事実」
P「お前が来てくれて助かったよ」ニコッ
冬馬「お、おう……」
――P宅窓の外
小鳥「こっここここっこっこけこっここれは」ガクガク
46: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:12:02 ID:fe5N/HgVSg
――翌日、765プロ事務所
小鳥「……皆さん」
律子「ど、どうしたんですか小鳥さん? こんな朝早くにみんなを呼び出して」
小鳥「大事な……とても大事なお話……いえ、報告があるんです」
ざわ・・・ ざわ・・・
春香「報告って……?」
小鳥「私…昨日見ちゃったんですよ」
真「何をさ」
伊織「はっきりしなさいよ」
小鳥「……プロデューサーさんの家に、961プロのジュピター所属、天ヶ瀬冬馬君がいるのを!!!!」
一同「!?」
47: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:13:11 ID:fe5N/HgVSg
響「またピヨコの妄想じゃないのかー?」
小鳥「そうくると思いましてね……ばっちりとコレに証拠を収めてきましたよ!」
真美亜美「おお、ピヨちゃんやるぅ!」
貴音「でじかめですか……たしかにこれならば揺るがぬ証拠に成り得ましょう」
律子「貸してください」ピッピッ
あずさ「なんだかドキドキするわねえ〜」
雪歩「うぅ〜……」チラッチラッ
律子「あったわ……これね……」
伊織「……なにこれ、手ブレしてるじゃない」
小鳥「寒いわ緊張するわで震えが止まらなかったんですよ!!」
やよい「あ、でもお顔はなんとか見えますねー」
真「プロデューサー、つらそうだね……」
千早「やっぱりすぐにでも様子を見に行ったほうが良かったみたいね」
伊織「…………」
48: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:14:55 ID:fe5N/HgVSg
春香「うーん……これってやっぱり……」
雪歩「あの人……だよね……?」
貴音「……天ヶ瀬、冬馬」
美希「あふぅ……あー、ハニーなのー! 久しぶりなのー!」
律子「なぜ961のホープ、ジュピターの天ヶ瀬冬馬がウチのプロデューサーと……」
あずさ「――風邪と一連の出来事で心も体も衰弱しきったプロデューサーさんを引き抜くために」ボソ
一同「!!!!???」
あずさ「……だったりしてね〜」
美希「えっ、ハニー引き抜かれちゃうの!? ゼッタイやなの!」
千早「マズイわね……プロデューサーはもう私たちにとって仕事を取ってきてくれるだけの人じゃない」
貴音「あの方が辞めたら最後、765ぷろは瓦解していくのみ……」
真美「えっ、やだよ……兄ちゃんは真美たちを見捨てないよね!?」
亜美「ずっと一緒にいてくれるよね!?」
律子「……もし彼が向こうを選んでも、私たちには彼を責められないわ……」
雪歩「そ、そんなぁ〜……」
真「プロデューサー……!」
49: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:16:43 ID:fe5N/HgVSg
やよい「伊織ちゃん……」
伊織「………っ」
小鳥「ど、どうしたら……ピヨ……」
響「ぎゃー! もうどうしたらいいのかわかんないぞーっ! たすけてぷろでゅーさー!!」
春香(プロデューサーさん……そんな、そんなことないですよね……!?)
コンコン
一同「!!!??」
律子「……」メクバセ
一同「……」コクン
律子「はい、今出ます」
ガチャ
律子「あなたは……」
冬馬「よう」
50: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:19:44 ID:fe5N/HgVSg
律子「えっと……ピピン板橋……だったかしら?」
冬馬「どんな名前だよ!? 天ヶ瀬冬馬だ!」
貴音「天ヶ瀬冬馬」ズイ
冬馬「うっ…な、なんだよ」
貴音「如何な用があってきたのですか?」
律子(貴音……そうか、このタイミングでの来訪が意味するのは……!)
貴音「あなた方の謀略はすでに看破しています」
美希「ハニーはあなたたちなんかに渡さないのー!」ベー
冬馬「はあ? ……まあ、なんでもいいけどよ」
冬馬「俺ぁ、アンタたちに一言言ってやりたくてきただけだ」
一同「?」
51: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:21:08 ID:fe5N/HgVSg
冬馬「新しい呼び方が気に食わなかったのかどうか知らねえけどな」
冬馬「今まで世話ンなった人が弱ってんのに無視だのなんだのガキみてえなことして」
冬馬「見舞いの一つも寄越さねえなんて、そりゃあんまりじゃねーのか!?」
冬馬「あいつ言ってたぞ! 『一人なのはこんなにもさみしいものなのか』って……」
冬馬「こんな時こそ、傍に居てやるのがせめてもの恩返しってもんじゃねえのかよっ!!」
亜美真美「あまとう……」
貴音「……それを、あの方があなたに?」
冬馬「……いや。あいつはあくまでもアンタらには何も言うなって」
冬馬「『悪いのは自分だから』って……『あいつらは悪くない』って」
春香「ぷろでゅ…さー…さん……」ポロポロ
雪歩「……ぅぅ……」グスン
52: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:22:46 ID:fe5N/HgVSg
冬馬「大分良くなってきてるみたいだが、まだつらそうだった。アンタらがまだあいつのために泣けるってんなら、行ってやれよ」
春香「……うんっ!」
ドタバタ ドタバタ
律子「………」
冬馬「アンタは行かねえのか?」
律子「いえ……ありがとね。天ヶ瀬君」ダッ
冬馬「へっ」
冬馬「ガラにもないことやっちまったぜ」テクテク
黒井「ウィ。このバカめ」スッ
冬馬「うおっ!? おっさんかよ……ビビらせんなよ」
黒井「ウィ。敵に塩を送るとはな。黙っていれば765プロは空中分解さながらに脆くも崩れ去っていたであろうに」
冬馬「敵……か」
冬馬「もちろん、敵だけどよ」
冬馬「同時に、メル友だからな!」
黒井「……ふん。帰るぞ」
冬馬「おう」
53: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:23:54 ID:fe5N/HgVSg
小鳥「また蚊帳の外ですかそーですか」
小鳥「事務所を空けるわけにもいかないしね……」
小鳥「耐えるのよ、小鳥……!」
小鳥「あまとう×Pで孤独にも負けない!」フンス
54: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:25:17 ID:fe5N/HgVSg
――P宅
P「どうしてこうなった」
真「プロデューサー! ちゃんと暖かくして、水分も細めに補給して、それからえっと……」
真美「兄ちゃん汗拭いたげよっか?」ムフフ
亜美「丁寧にゴホウシしまっせ〜」ムフフ
美希「ハニー、ミキにちゅーしてうつせばカイケツ! なの!」
ポカ ポカ ポカ
律子「あんたたちは本当に……迷惑かけるくらいなら帰りなさい!」
真美「うわーん、りっちゃんがぶった〜」
亜美「うえーん、兄ちゃん〜」
P「おお、よしよし……」
美希「いたた……なにも、ぶつことないと思うな!」
律子「ぶたれるようなことするほうが悪いんでしょうが!」
55: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:26:35 ID:fe5N/HgVSg
P「騒がしい」
雪歩「ぷ、プロデューサー……」オズオズ
P「ん?」
雪歩「そのぅ……お茶……」オズオズ
P「ああ。さんきゅ。ちょうど喉が渇いてたんだ」フーフー ゴクゴク
P「んん……やっぱ雪歩のお茶だな。お湯加減もちょうどいいし」
雪歩「……っ」パァァ
雪歩「あのっ、お茶は風邪にもいいので、その、よろしければいつでも、その……」
響「はいさーい!」
やよい「うっうー!」
春香「アイドルおかゆの完成でーすっ! プロデューサーさん! おかゆですよ、おかゆ!」
P「あ、ああ。頼むから転んでくれるなよ?」
春香「大丈夫ですよ、もう……あっ」ツルッ
P「」
一同「」
春香「っとと……えへへ、危ない危ない」
P「危ない危ないじゃないよ! 言ってるそばから!」
春香「のヮの」
P「目をそらすな」
56: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:28:51 ID:fe5N/HgVSg
千早「春香。私が持っていくわ。一応、念のためね」
春香「あーっ、千早ちゃんまでひどーい」プクー
千早「どうぞ」
P「ありがとな、千早」ニコッ
千早「……っ、いえ……」
あずさ「それじゃあ、熱いと思うので私がふーふーしてあげますね〜」フーフー
P「えっ」
P(なにこのご褒美)
あずさ「はいあなた、あ〜ん」
P「あ、あーん」モグモグ
P「うめえ!」
P「春香、響、やよいの三人が集えば世界を救えるよ!!」
春香「そ、そんな〜」テレテレ
響「大げさだぞ〜」テレテレ
やよい「おにいちゃんにそう言ってもらえると嬉しいですー!」ペカー
律子「ちょっと待った。今あずささんから邪な気を感じたような」
あずさ「気のせいです〜」
律子「……?」
57: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:30:34 ID:fe5N/HgVSg
真美「ヨコシマといえば!」
亜美「いえば!」
貴音「あなた様あなた様」クイクイ
P「うん? どうした貴音」
貴音「あーん」
P「………」
貴音「あーん」
P「………」
貴音「あ、あなた様。こちらも恥ずかしいのですから……」
P「じゃ、おねだりして」
貴音「? えっと、くださいませ」
P「……物足りないが、まあよかろう」
貴音「……」モッキュモッキュ
貴音「真に…美味ですね……ふう」ウットリ
P(色っぺえなにあれ)
58: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:31:54 ID:fe5N/HgVSg
真美「じゃ→ん! ぼいすれこーだー!」
亜美「再生すいっち、おん!」
機械『りっちゃんも立派なアイドルだよ……』
律子「!?」
機械『なーんてっ……くふ、くふふ〜〜〜〜〜っ!』
律子「ちょっ、亜美真美!! それ、それこっちに寄越しなさい!!」
真美「やだよ〜〜〜〜!」
亜美「りっちゃんに取られたらピヨちゃんに怒られるもん!」
P「ははっ……あんま暴れないでくれると助かるんだがな……」
P「無駄か……悪い雪歩、お茶のおかわりもらえるか」
雪歩「は、はいぃ! そ、その、すぐに! あ、あの、…ぃ情たっぷりいれます……!」
P「ん?」
雪歩「……っ!!」ドヒュン
真「聞いてますかプロデューサー!? プロデューサーは体がなってないから、今度からボクとジョギングしましょう! ね!」
P「ああ、うん。わかったわかった」
59: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:33:40 ID:fe5N/HgVSg
P「……伊織」
伊織「……なによ」
P「…………」
伊織「い、いっとくけど謝んないから――」
P「正直すまんかったぁ!!」ドゲザァッ
伊織「えっ、ちょっ……!?」
P「ごめんな……その、心にもないこと言っちゃって。ホント、このと〜〜〜りっ!」
伊織「………」
伊織「ぷっ」
伊織「あっはははは!」
P「伊…織?」
60: にわかP ◆6MA9BFz/HA:2012/10/9(火) 19:34:50 ID:fe5N/HgVSg
伊織「あ〜おかし……謝らなきゃいけないのはこっちなのにね……」
P「伊織……」
伊織「うん、そうね。お互い様、ってことで許したげるわ」
P「……おう、さんきゅ、いおりん」
伊織「んな〜〜〜〜〜!?」
美希「あ〜、デコちゃん顔まっかなの」
伊織「ぅぅぅうるっさいわねこれは違うわよそうだわあのバカに風邪うつされたのよあーやだわ!!!」
P「え〜俺のせいかよ」
伊織「うっ……」
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