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特別病院〜○○科〜
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1: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 14:48:42 ID:3qfVj3OfXY

入院手続きですか?
そうですか。わかりました。

それでは此方に氏名だけの記入をお願いします。
え?他に書くことはないのかって?

いいえ。何もありませんよ。
アナタは何故この病棟にいるかご存じですか?
そうですか。存じ上げないんですね。それならいいんです。

では、病室にご案内させて頂きますね。
…おっと忘れるところでした。

此方に目を通しておいて下さい。この病棟の規則です。


――では、ご案内致します。




121: 名無しさん@読者の声:2011/12/23(金) 08:42:54 ID:.UPaASQov2

  〜119号室患者〜

ぐっ、と力を込めた拳を降り下ろし壁を殴る。
どんっ、と鈍い音が響く。
今度は額を強く壁に打ち付けた。

「へ、はは……血だぁ…綺麗でしょ?…ふふ」

切れた額からは赤い雫が滴り、顔に線を描く。少女はぺろりと舌を出し、血を舐めとると満足そうな笑顔。

「足りない」

今度は不満そうな表情を浮かべる。

「切れるの。きれるの。キレルノ」

「やっぱりこれしかないのかな。」

引き出しを開けると宝物の様に保管された鋏。
しかし錆びており、血痕もべったりと付着していた。

首筋に押し当てる。
ゆっくりと引いていく。
しかし全く切れてはいなかったのか、再び押し当てて今度は一気に引いた。

「っ…ごっ…ぁ」

飛び散る鮮血、真っ白な壁を染めていく。
荒い息でゆっくりと近付き、指で血を掬うと口に含んだ。
歩くたびにピチャリと水音がする。止まらない血を抑えながら少女は笑う。

そして力尽きた様に壁に凭れながら、ずるずると床に崩れていく。

真っ赤な水溜まりに倒れ込み、恍惚の表情を浮かべていたかと思えば、しばらくすると何度か痙攣を繰り返し静かに息を引き取った。


122: 名無しさん@読者の声:2011/12/23(金) 08:45:50 ID:.UPaASQov2

119号室患者結果
名前:飯田 真美
入院から2ヶ月経過。
死因は大量出血

薬の効果
精神崩壊・幻聴
会話は可能


123: 名無しさん@読者の声:2011/12/23(金) 08:57:41 ID:iaGtp/4v.o



「このまま上手く行くと思ったんだけどな。そう甘くはないんだね」

死を迎えた患者を映したままのモニターが同時に消える。
残った人達を見て、可笑しそうに少年は笑った。

「落ち着け」

少年はまだ笑う。

センセは少年を抱き締めた。どうしてこんな事をしたのか自分でも出来なかったのか、力の加減が上手く出来てなくて少年は「痛いよ」と呟く。

「……………センセ」

「ん?」

「次の患者さんは今から来るよ」

「そうなのか」

力を弛める。


124: 名無しさん@読者の声:2011/12/23(金) 09:05:54 ID:.UPaASQov2

「あ、ほら来たよ」

モニターを指差し病室に入ってきた人物を主張した。

「よし。じゃあ始めるか」

少年から手を離し立ち上がると置かれたマイク片手に持ち、椅子に座る。

「ようこそ初めまして」

「アナタは何故この病室に連れてこられたか解りますか?」

モニターに映る人物は呆然としていた。

「自分の犯した罪を思い返して下さい。……覚えてない、と最初は皆さんそう言います」

センセは続けた。

「ここにいる方々は異常があると見なされた人です」

「え?違うって?」

「最初は皆さんそう言いますよ」


125: 名無しさん@読者の声:2011/12/23(金) 09:10:39 ID:dQdSMz.X2A
wktk支援
126: 名無しさん@読者の声:2011/12/23(金) 09:13:24 ID:.UPaASQov2

今日の更新は以上です!この話も、もうすぐ終わる(´-ω-`)
自分でもオチは酷いと思ってしまうww

>>117
ありがとうございます(´;ω;`)
支援ありがとうございます!

>>120
支援感謝です!
127: 名無しさん@読者の声:2011/12/23(金) 09:16:01 ID:iaGtp/4v.o

>>125
そんなwktkされるとプレッシャーが((;´゚Д゚`)))gkbr
支援感謝です!
128: 名無しさん@読者の声:2011/12/24(土) 12:14:04 ID:V0CJLQQpnI

「そこにある薬が見えますか?」

「はい、それです。飲んで下さい」

「説明を受けましたよね…え?この薬が何かって?」

手元にあった同じ薬を見つめながらセンセは、静かに言った。

「症状を明らかにする薬です」

「人によっては効果があったり無かったり…」


129: 名無しさん@読者の声:2011/12/24(土) 12:41:12 ID:V0CJLQQpnI

「症状が表れた患者に関しては次の治療が始まります」

ぽいっと投げられた薬は水槽に入り魚は餌と勘違いし反応した。

「どんな効果かって?」

「アナタは質問ばかりですね。それは私達も知りません」

目を伏せ質問に確実に答える。その表情はどこか暗い。
そんな表情を横で窺う少年はいまだに無表情で何を考えているのかわからなかった。


130: 名無しさん@読者の声:2011/12/24(土) 12:55:53 ID:/3MIJ0S1EM

「結局は生きるも死ぬも患者次第なのを理解して頂きたい」

そして再び目を開けた。とても冷めた様にも見えたのは少年だけである。

「では改めて……」

少年とセンセは目を合わせるとにやりと笑って見せた。

「「ようこそ、特別病院へ」」

二人の声が重なり不気味に密室に響き渡り、それがいっそう寒気を覚えた。

「先行ってるね。センセ」

満足した様子で少年は髪を靡かせ部屋を出ていった。

それをセンセは見送ると切られたモニターとマイクの電源を落とす。しばらく部屋を眺め、同じように部屋を出ていった―――。


131: 名無しさん@読者の声:2011/12/24(土) 13:06:29 ID:V0CJLQQpnI

――あれから数年の月日が経った。


「ねえ知ってる?」

「何をー?」

二人組の少女道を歩きながら話している。夕日は少しずつ沈み暗くなり始めていた。

「ここの近くに病院があったんだって」

「へえ」

「そこで沢山の犯罪者が実験台にされてたんだって。…確か精神を安定させる実験だったかな」

「どうせ都市伝説とかでしょ?聞いたことないもん」

けらけらと可笑しそうに笑う少女にもう一人の少女は続けて話す。

「そうだよね」

そして売地と書かれた看板の横を通り過ぎる途中足元にあるボロボロの新聞が目に入った。


132: 名無しさん@読者の声:2011/12/24(土) 13:25:32 ID:V0CJLQQpnI

『光希と名乗る少年は"センセ"と呼び親しくしていた人の首を持ち警察署へ来た。死亡した日は―――』

「怖いね…」

「私そんなこと出来ないよ」

ははっと苦笑いし、拾い上げた新聞記事を捨て再び歩き出した。
風に煽られ紙は空を舞いどこかへと運ばれていく。


そして夕日も沈み、静かな夜を迎え始める。
聞こえるのは風が揺らす草木の音と虫の声だけであった――…。


     END


133: 名無しさん@読者の声:2011/12/24(土) 13:28:36 ID:/3MIJ0S1EM

…こんなはずじゃなかったぁぁ!
中途半端に終わってしまうし、雑だし本当に申し訳ありませんでした(´・ω・)
次はオマケとして、センセと少年の出合いを書いていきたいと思います。

見てくださった方々、本当にありがとうだお!
134: 名無しさん@読者の声:2011/12/24(土) 18:34:04 ID:h9zi9vGP96
あぁ...終わってしまった......

でも、乙でした!!!

オマケ楽しみにしています!!
135: 名無しさん@読者の声:2011/12/24(土) 19:00:15 ID:m89zjFo/aY
お疲れさまです!
136: 名無しさん@読者の声:2011/12/25(日) 07:38:40 ID:dWAyjl2I9o
お疲れ様です!
センセ…(´;ω;`)

おまけwktk
137: 名無しさん@読者の声:2011/12/25(日) 12:33:22 ID:OgM81a6u2A
お疲れ様でした!
138: 名無しさん@読者の声:2011/12/27(火) 08:39:13 ID:bpxgVUgziY

皆様ありがとうだお!(´;ω;`)
オマケ(番外編)も気長にやっていくので、生暖かく見守ってやってください!
139: 番外編:2011/12/27(火) 08:42:05 ID:E7unVwV4mg

「傘持ってきて良かった」

ポツリポツリと雨粒がアスファルトに落ち、小降りだった雨は次第に大降りになった。
傘を開く俺の横を通り過ぎるのは、頭を手で覆い走る沢山の人達。俺はその人達を横目で見ながら歩く。

「ハズレ」

思い返せば朝のニュースでは雨は降らないと言っていたのに。
空は厚い雲で隠れて灰色になっていて、何故か寂しさを覚える。


コンビニ寄ろう


自分でも驚くくらい、いきなりな考えに戸惑いながらも足はしっかりとコンビニに向かって歩いていた。


140: 名無しさん@読者の声:2011/12/27(火) 08:56:44 ID:9hcHD347TQ

「いらっしゃいませ」

店員のいつもの挨拶、俺はいつものように本を立ち読み。別に買うわけでも無いが。

客はあまりおらず静かな店内で、俺の読む本のページを捲る音だけが微かながらも聞こえる。

しばらくしてから俺は本を戻し、飲み物を求め違う棚に移動。
そしていつものようにオレンジジュースを手に取り会計。

「ありがとうございました」

戸を明けて一歩外に踏み出せば、雨はまた小降りになり始めていた。


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