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魔王「何この子超弱い!」
[8] -25 -50 

1: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:25:15 ID:GoOVcwF126
勇者「あ、あああああなたが魔王ね!!」
魔王「・・・1人でのこのこと殺されに来るとは殊勝な事だ。
ふむ、まさか勇者がこんな歳若い娘とはな・・・ククク」
勇者「う、うるさい!ここで会ったが百年目!世界に平和を取り戻すために
あなたを倒してみせる!」
魔王「いいだろう。倒せるものならしてみるがいい。・・・さぁかかってくるがよい!」
勇者「言われなくとも!てやー!!!」

ズルッ
ドテッ

勇者「ふぎゃっ」
魔王「えっ」



518: 名無しさん@読者の声:2012/2/23(木) 22:11:08 ID:h9764VcBMQ
>>517
禿同
519: 名無しさん@読者の声:2012/2/24(金) 09:33:51 ID:Yj.03b4SUs
追い抜いた
520: 名無しさん@読者の声:2012/2/24(金) 16:24:13 ID:9b5/3BfUwM
側近カッコエェ……

応援してます支援っ!
521: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:22:58 ID:g.AV2R2.bU

魔王さんは戦士くんや魔法使いちゃんだけじゃなくて、怪我した村人さん達を避難させつつ、回復も施していた。魔王なのに人間を助けるなんて、普通の人なら違和感を抱く。
実際、村人さん達も訝しげな目で魔王さんを見遣ってた。中には回復を拒否する人も居た。
その度に魔王さんは相手に「お前が死んだら家族が悲しむだろうが」と魔王らしからぬ説教をして無理矢理傷を治していた。多少強引だけど、そこが彼の優しさだ。
魔王さんが村人さん達を避難させている間に、お兄ちゃんは持てる限りの全ての魔法を。側近さんは火事場の馬鹿力とかいうもので応戦をした。
私も微力ながら立ち向かっていった。
やはりというか、分かっていた事だけど、私が幾ら本気を出して剣を振るってもこの魔物はビクともしないわけで。

勇者「くっ…!」

魔物B「そこの男2人はまだやれるようだけれど…やはり、貴女は脆弱。脆すぎる」


522: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:23:15 ID:g.AV2R2.bU

魔物B「無駄な正義感を奮わせて、蛮勇を働かせて、それで自分が強くなったでも?」

勇者「う、るさい…!」

魔物B「所詮貴女はどんな選択をしても弱いまま」

魔物B「この剣の弱さが全てを物語っている」

勇者「う、うぅ…!!くぅ…っ」ギリギリ…

魔物B「ふんっ」ドンッ

勇者「うああっ!!」バタッ



523: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:23:30 ID:g.AV2R2.bU


魔王「全員避難させてきたぞ!」

側近「お疲れ様です。僕ももう体力に限界が近付いてきたので後はよろしくお願いします。一発でイケるでしょ?」

魔王「いける…いけるけど、何で俺が避難させなきゃいけねえんだよ。どう考えても要領悪すぎだろ!」

側近「だって、僕達が避難させている間に攻撃されても庇いきれませんもん」

魔王「もん、じゃねえよ…」

賢者「無駄口は良い!さっさとコイツらを倒せ!」

魔王「…はぁ。…なんというか、まぁ」スッ

魔物A「ぐああああああっ!?」ドカンッ!!

魔王「人使い…魔物扱いが酷いな」バシンッバシュッ!!

側近「エグい…」


524: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:23:44 ID:g.AV2R2.bU

ドサッ…

シュゥー…

魔物A「ぐ…あ…・・・」

魔王「…おい、そっちの片割れ。コイツは死んだぞ。命乞いをするなら今の内だ」

魔王「と、言っても。出血多量で死ぬくらいの傷は負わすが」

側近「それ、ほぼ死んでます」

魔物B「そいつを殺るとは腐っていてもお前は魔王だったという事ね。見誤っていたようだ」

魔王「当然だろ。どうあれ俺は王だ」

魔物B「情に流されない王なら私も従ったのだが」グイッ

勇者「きゃっ…!?」


525: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:23:59 ID:g.AV2R2.bU

魔物B「今此処でこの勇者を殺す事は私にとって1秒の猶予も要らない」

勇者「くっ…卑怯者…!」

賢者「ゆ、勇者!」

側近「人質ですか?みっともなくて格好悪いですね」

魔王「…同感だ。命乞いよりダサい」

魔物B「余裕ね。それくらいの力が備わっている事ね。…或いは」チラッ

魔物B「この小娘の命が惜しくないという事か…」

魔物B「死んでも良いと思えるくらいどうでもいい存在なのかもね」 

勇者「!」


526: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:24:14 ID:g.AV2R2.bU

勇者「…え?」

魔王「はぁ…馬鹿も休み休み言え。惜しくないわけ無いだろが」

勇者「…ほ、本当ですか?」

魔王「…何そいつの言う事本気にしてるんだよ。お前はどっちの言葉を信じるんだ」

勇者「ま、魔王さん…。魔王さんの言葉を信じたいです。私、魔王さんを信じます」

魔王「…あぁ。それで良いんだ」



賢者「…」ギリッ

側近「お兄さん、空気読んで下さいよ?」


527: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:24:31 ID:g.AV2R2.bU

魔物B「この小娘を盾にしても無駄のようね。まぁ分かっていた事だけれど…」

魔物B「なら…もうこの勇者に用は無い」スッ

勇者「!!」

側近「あ…!」

魔物がその大きくて鋭い牙を剥き出すように口を大きく開きながら、勇者さんを睨む。
コイツは勇者さんを喰うつもりだ。一瞬にして分かった。
さっき僕が対峙した魔物の末路を思い出した。
アイツの最期はこの魔物達に喰われて終わった。
あの胸くそ悪い最期を勇者さんにするつもりか。
危ない、と自分でも驚くくらいの大声を張り上げて駆け出そうとした。
だが、僕が駆けるよりも早く、魔王様がその身を呈して勇者さんを庇った。


528: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:25:01 ID:g.AV2R2.bU

勇者「…ま、魔王さん…!!腕…腕が…!」

魔王「…こんな低級クラスの魔物に咬みちぎられる程、俺の腕は脆くない。どうだ?丈夫だろう?ちょっとやそっとじゃ、千切れねえよ?」

魔物B「グゥッ…!!グルッ…!」モゴモゴ

勇者「な、何余裕ぶっこいてるんですか!!腕そんな咬まれて…!!」

魔王「…余裕も何も、全然痛くないし。魔王になって良かったって思ってるのは、この身体の丈夫さかね」

勇者「…!!」

魔王「…さて、悪いけれど、もうお遊びに付き合ってられないわ」スッ…

魔王「どう足掻いても、お前は俺にとっちゃただの三下だ。スライム共よりもな」

魔王「残念だな」


529: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:25:18 ID:g.AV2R2.bU

右手を。咬まれていない片方の腕を魔物に向かって右手を伸ばす。
左腕は尚も咬まれているまま。痛くないと言えば嘘になるが、こんな痛み側近の蹴りに比べれば雀の涙。矮小だ。虚空を咬むな。
怨嗟の声が僅かに耳に入る。ああ、格好悪い野郎だ。
往生際の悪い魔物だ。ここに来て迫ってくる死に恐怖を覚え、噛み続けるというのか。

「さっきまでの威勢はどうした」

右手に魔力を注ぎ、魔物に向かって解き放つ。轟音と共に魔物の身体が塵と化していく。
融かした。消し飛ばした。存在を無かった事にした。−死んだ。
呆気無い最期だな。
悪い、どうやら俺は空気の読めない男のようだ。


530: 名無しさん@読者の声:2012/2/24(金) 23:17:57 ID:qhe8TO4DYw
>キャーマオウサーン
531: 名無しさん@読者の声:2012/2/24(金) 23:41:25 ID:0CerDYz4Z2
>キャーマオーサマカコイー
532: 名無しさん@読者の声:2012/2/25(土) 00:26:24 ID:WO9QRt5V6.
最後の最後でやりおった…今までのニートっぷりが嘘みたいだ
533: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:33:34 ID:g.AV2R2.bU


その出来事は一瞬だった。まるで夢を見ているかのよう。
魔王さんの右手から魔法が放たれて、あの獰猛で巨大な体躯を持った魔物は、元から存在していなかったんじゃないかと思う程、綺麗に消えて無くなっていた。
魔王さんがあの魔物を倒す時の眼は、"魔王"とも"勇者"ともつかない怒りに満ちた眼をしていた。
上手くは言えないけれど、あの眼に畏怖さえ感じたと思う。
あの後は色々とてんてこ舞いで、村人さん達や村長さん達に謝罪混じりのお礼を頂いたけれど、魔王さん達を分かってくれる人が増えたと言えばそうでもなくて。…そこは、やっぱり難しい問題だから仕方のない事なんだけど。
ちなみに、怪我をした人達は村の診療所で治療中。
魔王さんが回復してくれたお陰で大事には至っていないからそんなに心配する事でも無いみたいだ。
戦士くんや魔法使いちゃんも、今は泥のように眠っていて、明日にでも目を覚ますだろうと言われた。


ややあって、今こうして魔王さんと側近さんを、家に招いている。
今度こそ、あの時出来なかったお話をしようと思ったけど



534: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:33:53 ID:g.AV2R2.bU

勇者「もう…帰られ…るんですか…?」

側近「ええ。遊びに来た訳ではありませんし。そろそろお暇しないと」

魔王「…元々、俺は此処に来る予定なんて無かったんだよ。偶々、こうなっただけで。コレ以上居座る必要なんて無い」

勇者「そ、そう、ですか…。そうですよね…」

魔王「それに、あんまりこの村に長居してもお前らが白い眼で見られるだけだぞ」

賢者「その件に関しては心配するな。もう白い眼で見られている」

勇者「胸を張って言う事じゃないと思うの…お兄ちゃん」


535: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:34:14 ID:g.AV2R2.bU

側近「…」

側近「勇者さん。勇者さん」コイコイ

勇者「なんですか、側近さ…わぁ!」グイッ

魔王「?」

側近「付いてきて下さい」ボソッ

勇者「え?」

側近「何だかこの家、熱気が凄いので少し外で涼んできます。心細いので勇者さんにも付いてきて貰いますわ」グイグイ

勇者「わ、わ!」グイグイ

バタンッ

賢者「…」

魔王「殺気やめて」


536: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:34:40 ID:g.AV2R2.bU

−−−

勇者「いたいっ!痛いですっ側近さん!もうっ、どうしたんですか!いきなり!」

側近「…良いですか。耳も目もかっぽじって良く聞いて下さい。見て下さい」

勇者「ん…?」

側近「前に一度、魔王様は先代の魔王に呪いをかけられて今の姿になったと…そう説明した事覚えていますか?」

勇者「!…う、あ、はい」

勇者「…魔王さんは、元人間で…私と同じ、勇者、だった…」

側近「はい、そうです。もう、何百年前のお話ですけどね」


537: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:34:56 ID:g.AV2R2.bU

勇者「それが…どうかしたんですか?まさか、魔王さんの身に何か…」

側近「そういう不吉なお話をしに此処に連れ込んだのではありません。見て貰ったら早いでしょうが、コレを」スッ

勇者「?…これは…本?魔導書?」

側近「はい。さすがの阿呆の勇者さんでも、コレが何なのか分かっていただけで良かったです」

勇者「うぐ…」

勇者「ば、馬鹿にしてますね…」

側近「はい」

勇者「むぅ〜…!」


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