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魔王「何この子超弱い!」
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1: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:25:15 ID:GoOVcwF126
勇者「あ、あああああなたが魔王ね!!」
魔王「・・・1人でのこのこと殺されに来るとは殊勝な事だ。
ふむ、まさか勇者がこんな歳若い娘とはな・・・ククク」
勇者「う、うるさい!ここで会ったが百年目!世界に平和を取り戻すために
あなたを倒してみせる!」
魔王「いいだろう。倒せるものならしてみるがいい。・・・さぁかかってくるがよい!」
勇者「言われなくとも!てやー!!!」

ズルッ
ドテッ

勇者「ふぎゃっ」
魔王「えっ」



575: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:05:54 ID:g.AV2R2.bU

魔王「あの時のリベンジマッチか?悪いが今日はもう―…」

勇者「違いますよ。違います」

勇者「私が旅で出たのは、魔王さんを倒す旅ではありません」

勇者「魔王さんを助ける旅です」

魔王「…あぁ。あぁ…そうだったな…そうだった」

勇者「…知ってたんですか?」

魔王「…いや、知らないよ」

勇者「そうですか。なら、安心です」


576: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:06:20 ID:g.AV2R2.bU


魔王「それで?助けるって具体的にどう助けるんだ?」

魔王「その勇者の剣で一思いにぶっ刺す気か?まぁ今のお前なら出来そうだけど」

勇者「違いますってば。それじゃあ倒してるじゃないですか」

勇者「…貴方にかけられた呪いを解きに来たんですよ、魔王さん」

魔王「それは凄いな」

勇者「…もっと驚いて下さいよ」

魔王「ごめんな」


577: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:06:35 ID:g.AV2R2.bU

勇者「私、頑張ったんですよ。何回も挫けそうになりましたけど、何度も殺されかけましたけど、それでも頑張って此処まで来ました」

勇者「魔王さんは魔王だからわかりますよね?今の私、強いですよ?」

魔王「…あぁ、見たら分かる。見違えたよ」

勇者「へへ…ついでに身長も伸びれば良かったんですが」

魔王「いや、お前はそれでいいよ。それがいい」

勇者「何を言ってるんですか…もう」

魔王「変わってるようで変わっていない。勇者は勇者のままだ。安心した」

勇者「…ふふ、やっと名前で呼んでくれましたね。嬉しいです」


578: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:06:51 ID:g.AV2R2.bU

あの時側近さんから頂いた魔導書を開く。
その書物に記されている魔方陣を描く。記されている呪文を唱える。呪文の通りに剣を魔方陣に突き刺す。
熱風が吹きすさぶ。電気がバチバチと鳴る。確かにコレは魔王さん程の魔力が無いと出来ないな。
自分で唱えているのにも関わらず、物凄く、痛い。熱い。
掌が汗ばむ。風は止まない。地鳴りが響き始めた。
魔王さんはそれでもそこから一歩も動かずにジッと私を見つめている。
まるで魔法の修行中の弟子を見遣る師匠のように。
あぁでも私達はそういう関係だったな。懐かしい。何もかもが懐かしい。
呪文はもうすぐで終わる。コレが成功すれば、全ては。


579: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:07:07 ID:g.AV2R2.bU

スライムナイト「…何だか暖かい光に包まれている感覚です」

側近「昇天しかけなんじゃないのか?」

ナイト「私は側近さんのお御足で踏み潰されて昇天したいです」

側近「してやりたいけど、無理だ」

ナイト「それは残念です」

側近「…消えるってこういう感覚なんだな」

ナイト「じんわりですね。どうせなら思いっきりが良いです」

側近「そうだな…どうせなら、思いっきりが良かったよ」

側近「ま、悔いは無いからいいんだけど」


580: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:07:23 ID:g.AV2R2.bU

眩しい。
眩しすぎる。勇者の詠唱が終わったと思ったら目の前が真っ白になって。
それで、何がなんだか分からない内に眠りについていた気がする。
真っ白い光の中、か。何だか死んだような感じだな。
いや…死んだんだ。
亡くなったんだよ、俺は。
魔王だった頃の俺は、消えたんだ。
光の中に先代の魔王が居た。顔が歪んでるように見えた。
お前がかけた呪いは解けた。ざまあみろだな。
まぁでも魔王になったお陰で面白い奴と出会えたから、それは感謝している。
ありがとうは言わないけどな。


581: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:07:49 ID:g.AV2R2.bU

勇者「魔王さん!!魔王さん!!」

魔王「あ…、ゆう、しゃ…?」

勇者「ま、魔王さん…!」ホッ

勇者「よ、良かった…唱え終わったら急に倒れたから、失敗した、のかと、おもっ」ポロポロ

魔王「…泣くなよ。相変わらずだな。…俺は生きてる。って事は、失敗じゃなかったんだろう?」

勇者「はいっ…!はい…!戻りましたよ!魔王さん元の姿に戻れたんですよ…!あ、これ…鏡です…見て、ください」スッ

魔王「…ふん」パリンッ

勇者「あっ!ちょっと!何を!」

魔王「お前が失敗していないと、人間に戻れたと言うのなら、わざわざ鏡を見る必要なんて無いよ」

勇者「またそんな…!…言っておきますけどおじいちゃんみたいなお顔になってますからね」

魔王「えっ!?嘘!!?」

勇者「嘘です」

魔王「こいつ…」


582: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:08:12 ID:g.AV2R2.bU

魔王「よし…ん。あれっ…うおっ!?」ドターン!

勇者「わっ!どうしたんですか転けて!」

魔王「いや、立ち上がろうとしたんだけど…足が…」

勇者「…急に人間に戻ったから、身体がついていけてないんですね」

勇者「あぁ、そうだ。どうせならこのまま私の村に行きましょうか」

魔王「は?どうやってだよ?俺はこんな状態だし…」

勇者「甘く見てもらっちゃ困りますよ。転送魔法を使えばこんなの一発…えいっ!…あれ?」

魔王「おい」

勇者「あっ、あれ!?あれれ!?つ、つかえな…!?えっ?!」

魔王「…おい、まさか」

勇者「魔力が…無くなった…?」


583: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:08:32 ID:g.AV2R2.bU

魔王「減っただけじゃないのか…?」

勇者「で、でも…何か言ってみれば…なんか…魔力を感じないというか…!もしかして…さっきの魔法で…!?」

魔王「あの魔法そんなリスクあったのか…」

勇者「…いやっ、でも私にはこの鍛えあげられた身体が…ぎゅむっ!」ズテッ

魔王「…何か、デジャブだぞ。何も無い所で転けたな」

勇者「あ、あれ…ええ…何で…?」

魔王「…」

勇者「力も魔力も無くなってる…!」

魔王「…超弱い勇者、再びか」

勇者「えぇ!?」


584: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:08:52 ID:g.AV2R2.bU

魔王「まぁ…でも、俺が人間に戻った事により、魔物は居なくなったんだ」

勇者「…探したんですけれど、側近さん達を救う方法が見付からなくて…。ごめんなさい」

魔王「お前が謝る事じゃあないよ。よくやったさ」

魔王「でもまぁ…最期の挨拶、しておきたかったな」

勇者「…ごめんなさい」

魔王「過ぎた事は仕方無い。死んだら会えそうな気がするし、死んだ時にでも会いに行くさ」

勇者「縁起が悪いです…」

魔王「ごめんごめん」


585: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:11:13 ID:g.AV2R2.bU

魔王「それじゃあ…お前の村まで行くか」

勇者「えっ!?今ですか!?テレポートアイテムなんて持ちあわせていませんよ!?」

魔王「今じゃねえよ。もう少し休憩してからだ。後、アイテムは使わない」

勇者「え?じゃあ、どうやって…」

魔王「徒歩」

勇者「…は?…正気ですか?…大分距離ありますよ…?」

魔王「仕方無いだろ。俺も副作用か知らんけど、魔法使えないし。お前も使えないし。アイテムなんてはなから期待していなかったし。…いいじゃねえか、のんびり旅って事でさ」

勇者「…私さっきまで旅してきた身ですよ?」

魔王「はは、遠足は帰るまでが遠足だよ」

勇者「そんな愉快なものじゃないです…」

魔王「…魔物は居なくなったから悪漢にでも襲われない限り弱くても大丈夫だよ」

魔王「いいじゃねえか、超弱い者同士、のんびり帰ろうぜ」



終わり
586: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:16:08 ID:g.AV2R2.bU
ぐえあ。やっと、終わったぜ。長かった。
微妙に残っている謎とかありますけど、(側近の過去云々やら)1000レス以内に書けそうに無いので割愛します。
すんまそん。
日付変わってから大量に投下して申し訳なかった。
一応今日更新した分です
>>553->>585

とりあえず無事完結したのもひとえに支援して下さった皆様。閲覧して下さった皆様のお陰です!
投票もありがとうございました!!
今日の夜には保管庫申請してきます!
それでは!


587: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 03:17:50 ID:g.AV2R2.bU
最後の最後で格好つかないぜ!
改めて今日更新した分です!すんませんした!
>>553-585


588: 名無しさん@読者の声:2012/2/27(月) 07:38:35 ID:JvSjQayFWw
乙!面白かったよ!
589: 名無しさん@読者の声:2012/2/27(月) 12:16:36 ID:ckuIzWtpdw
すっげー、よかったぜ!
乙!!
590: 名無しさん@読者の声:2012/2/27(月) 12:29:35 ID:esacBCDh.U
面白かったです
勇者かわえぇ

乙でした
591: 名無しさん@読者の声:2012/2/27(月) 12:56:13 ID:oUrZxx2jaQ
乙!
次回作楽しみにしてます!
592: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 14:23:12 ID:g.AV2R2.bU
夜に保管庫申請出来そうに無いので今してきました

593: 名無しさん@読者の声:2012/2/27(月) 14:31:18 ID:LIrhX9.mL.

お疲れ様です!
すっごいよかった!

次回作楽しみにしてます♪
594: 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
210.61 KBytes

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