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3センチメンタル・ヤング・ピーポー
[8] -25 -50 

1: :2012/1/28(土) 22:24:39 ID:kbMCzVk3I2

高校生の馬鹿馬鹿しくて、

ちょっぴりセンチメンタルな

青春グラフィティ───開幕。



※登場人物が増える予定の為、名前を付けています。




833: 名無しさん@読者の声:2012/6/7(木) 23:08:49 ID:4dzm7WtJz6
wktkwktkwktk…
最近鈴木さんが可愛くて好きです

っCCCCC
834: 名無しさん@読者の声:2012/6/8(金) 13:00:03 ID:kg/8h/oV7Y
どのキャラも魅力的だわ
好きです

しえーん
835: 名無しさん@読者の声:2012/6/10(日) 23:16:04 ID:Wdv4tK5kXU
軽めの秘密でもワクワクすっぞなおれがいるww


し・え・ん☆
次回もたのしみに待ってるからねーノシ

836: 名無しさん@読者の声:2012/6/11(月) 00:58:03 ID:/1qOccaHaM
オラもワクワクすっぞ!
この4馬鹿達アニメ化してほしいものwww
837: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 02:16:48 ID:IT.GT0QV0s

>>833
鈴木にも段々愛着が湧いてきたところだったので、そう言って頂けてとても嬉しいです!
引き続き833にwktkして頂けるますように…!

>>834
4馬鹿以外のキャラも見て下さっているなんて(´;ω;`)
私はそんな嬉しい事を言って下さる834さんが大好きです!

>>835
支援か・ん・しゃ☆
がっかりされないように、しっかり練りつつ仕上げますね!
これからも835さんにワクワクして頂けますように。ありがとうございます!

>>836
あれ、こんな所に人参さんがいらっしゃる…?
いつも脳内では動き回っているのですが、実際に映像化された4馬鹿も見てみたい気はしますw


支援感謝です。投下します。


838: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 02:17:36 ID:IT.GT0QV0s

「待ってよっ……!」

少女の声を背に、少年は走りました。
唇を噛みしめて、今にも泣き出しそうな顔をして。

どれ程走った頃だったでしょう。
ふと、足を止めて後ろを振り返りました。

先程来た道には誰も居ません。自分を呼び止めた、少女の姿さえ。
がむしゃらに駆けた足はじんじんと痺れ、息をするのもやっとのこと。

何故、後ろを振り返る?
一体、何を期待している?

ぽたり、と汗の雫が頬を伝い、少年の顎からアスファルトへと落ちていきました。

「──何やってんだ、俺」



【鳴海少年の憂鬱】


839: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 02:27:42 ID:IT.GT0QV0s

小学生の頃、先生がこんな事を言った。

「“将来の夢”について作文を書きましょう」

皆、各々の未来予想図に胸を膨らませて、花屋さんだのサッカー選手だの、ぼんやりとした夢を再生紙に描いた。

「鳴海くんは何て書いたのかな?」

髪を耳に掛けながら、先生が笑顔で覗き込む。迷いなく滑らされた鉛筆の、不恰好な字に視線を落とした。

『お父さんと、お母さんの、しごとを手つだう』

うーん、と小さく唸ると、俺の目線の高さまで屈んで首を傾ける。
困ったように眉を寄せた先生の顔は、とても優しい笑顔だった。


840: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 02:36:45 ID:IT.GT0QV0s

「お父さんとお母さんのお手伝いをして、どんな風になりたいのかな?」

そんなの、お手伝いをするって言ってるじゃんか。

「じゃあ、どうしてお手伝いをしたいと思ったのかな?作文だから、鳴海くんが思ってる事を沢山書いて欲しいの」

お父さんとお母さんが、大きくなったら手伝ってねって、そう言ったから。

「あのね、鳴海くん。先生は鳴海くんが“自分がやりたい事”を書いて欲しいの。分かるかな」

分からないよ、先生。
だって俺は、大きくなったらお手伝いをするんだ。立派な大人になるんだよ。

「鳴海くん、それは──」


841: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 02:46:36 ID:1GI25vtbK2

─────‐‥


「あ、鳴兄起きたー!」

まだ朧な意識の中、目を開けると自分とよく似た顔が其処にあった。
どうやら眠っていたらしい。畳の上で眠った所為か、体のあちこちが痛む。

「……寝起き早々からお前は本当にうるせぇな、鳴子」

溜め息混じりにそう言うと、鳴子はむっと口を尖らせた。

「鳴兄が寝てる間は静かにしてたもん」

「はいはい、そんな顔しても可愛くねぇから」

「むー」

よく似ているとはいえ、多少は俺の方が背も高いし、顔も違うんだけど。それでも、似たような顔で膨れっ面をされると、気持ち悪い事この上ない。

従妹である鳴子と俺は、その容姿の似ている事から、周りから双子かと訊かれる事もしばしば。(初見の方々とのお決まりの下り)
中途半端にしか髪を切らない所為で、お互いを間違われる事もしばしば。(かといって、俺は短髪が似合わない)
何度言っても女らしい口調をしない所為で、性別を間違われる事もしばしば。(そして否定もしない)

よって、俺は鳴子ちゃんの存在に困らされてるのだ。目の上の瘤のような、ちょっとした悩みの種なのだ。


842: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 02:47:58 ID:1GI25vtbK2

「そういえばさー」

冷凍庫から取り出したアイスキャンディを俺に手渡して、鳴子は唐突に話しだした。

「高校受験、進路変えたんでしょ?伯母さんが言ってた」

噛み砕かれたアイスがシャクシャクと音を立てて口の中に広がる。
シャーベット状になったそれを飲み込むと、チクリと胸が冷たくなった。

「なんで変えたの?大分レベル落としたんでしょ?」

「……あんな学校、行ける訳ねぇだろ」

どうして?と鳴子が首を傾げる。

「お前に話したって分かんねぇよ」

そうだ、鳴子に話したって分かる筈がない。いくら似ていると言っても、鳴子は俺じゃないんだから。
母さんに話したって、きっと。


843: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 03:01:17 ID:IT.GT0QV0s

俺の両親は若くしてブランドを立ち上げ、大成功とまでは言わずともある程度の知名度を確立させた、所謂成功者だ。
最近ではタレントの何とかとかいう人とコラボレーションしたり、若者を対象にした姉妹ブランドを立ち上げて軌道に乗ってきている……というのを雑誌で見掛けた。

雑誌に載せられた両親の笑顔は、よく見知ったものだけど何処か違っていて。幼い頃からいつかは俺も、この両親と肩を並べるのだと教えられていた。

中学こそ市立校に通わせて貰えたものの、高校は進学校にと勧められ、経済学やらマーケティングやらを学べと言われた。
此処まで聞くと、ありがちな金持ち一家に生まれた者の運命とでも思われるのだろうけど、案外そういったものでもなかったりする。

父さんも母さんも、強制的に自分達のステージへ俺を立たせる事はしていない。それに気付いたのは、高校受験を控えたこの年になってからだった訳だけど。

──つまりは二人共、自分達の息子に然して興味がないんだ。


844: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 03:02:04 ID:1GI25vtbK2

「あーあ、ボクも伯母さん達の子に生まれてればよかったよ」

両足を前に投げ出して、溜め息混じりに鳴子が言う。

「……良い事なんて、何もねぇよ」

「えー?なんで?新作の服だって着れるし、鳴兄のお家広いし!」

良い事だらけだ、とキラキラした目で鳴子は笑った。

皆そうだ。周りの人間は、決まって皆そう言う。
こんなにも恵まれた環境で、一体何が不満なんだと。さぞや甘やかされて育った我儘な子供なのだろうと。

「あー、もう。面倒臭ぇなー」


845: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 03:16:01 ID:IT.GT0QV0s

 ***


「鳴くんは男の子なんだから、沢山食べないと!」

ドン、と目の前に置かれた山盛りの白米がほかほかと湯気を立たせている。
茶碗に納まり切らない米の山の向こう側で、しゃもじを持ったままの叔母さんが眉を寄せて俺を睨んだ。

「いや、俺こんなに食えねぇよ……」

「何言ってるの。そんな事だから鳴子に追い付かれるんだよ!」

其処まで言われて逃げてちゃ、男が廃るってもんだ。
意を決して茶碗に手を掛けると、叔母さんは満足気に笑みを浮かべて頷いてみせた。

口の中に広がる炊きたての甘い米の香り。火傷した上顎。おかわりを催促する鳴子の声。

叔母さん……俺、食い切れそうにないです。


846: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 03:16:34 ID:IT.GT0QV0s

叔母さんは母さんの妹という事もあって、少し雰囲気が似ている。
姉妹の癖のある柔らかい髪質は、そっくりそのまま俺と鳴子に受け継がれた。

「ん?どうしたの?」

「え、あ、何でもねっす!」

つい呆けて見つめてしまった視線の先で、母さんと同じ赤み掛かった茶色がふわふわと揺れる。
だけど母さんとは違う、優しい笑顔が其処にはあった。

『伯母さん達の子に生まれてればよかったよ』

頭の中で谺する、鳴子の憎たらしい声。

「……こっちの台詞だっての」

無理矢理飲み込んだ白米が、火傷した上顎にピリリと染みた。


847: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 03:17:56 ID:1GI25vtbK2

──叔母さんの子に生まれていたら。

何度そんな下らない思考を頭で巡らせただろう。
そんな事、叶う筈がない事なんてガキの頃から分かってた。

それでも、この炊きたてのご飯と出来たての惣菜が、俺の為に作られる事を願って止まなかった。
親というものを、母親というものを、叔母さんに重ねては鳴子に嫉妬している自分が情けなくて。


情けなくて、こんなにも居心地が悪い。


848: 名無しさん@読者の声:2012/6/12(火) 09:07:12 ID:UXpeLILNKg
おお、切ないな……

っCCCC゛ソッ
849: 名無しさん@読者の声:2012/6/13(水) 08:17:56 ID:WQMFfZqQ6o
鳴くん…(´;ω;`)
>>1さんほんとキャラ作り上手い!
支援!支援!支援!
850: 名無しさん@読者の声:2012/6/14(木) 23:26:56 ID:Bf.z1jkJr2
か、描いちゃった…
下手くそでごめんなさい!!

っCCCCC
851: 名無しさん@読者の声:2012/6/15(金) 00:53:40 ID:dmljttPSHw
し!え!ん!
852: 名無しさん@読者の声:2012/6/18(月) 15:39:06 ID:5Ki/6/nFyk
1位!1位!\(*゚∀゚*)/

おめっとーございます☆
イャッフ―――ッッッ!!
つCCC
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