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3センチメンタル・ヤング・ピーポー
[8] -25 -50 

1: :2012/1/28(土) 22:24:39 ID:kbMCzVk3I2

高校生の馬鹿馬鹿しくて、

ちょっぴりセンチメンタルな

青春グラフィティ───開幕。



※登場人物が増える予定の為、名前を付けています。




945: 名無しさん@読者の声:2012/7/17(火) 08:48:21 ID:cYbHYCPh8g
まだかなまだかなー
しえーん
946: 名無しさん@読者の声:2012/7/17(火) 22:55:53 ID:NvUNuZVwhg
キートン山田で再生された『後半へ続く』ww


後半wktk支援なのねー!!
947: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:12:29 ID:i4fPg2J7q6
>>944
そんな嬉しい事を言って頂いていいのでしょうか。もう、私の中に住み着いている小さいおっさんが踊り過ぎて大変です。
これからも頑張ります!本当にありがとうございます!

>>945
お待たせしてしまってばかりで申し訳ございません…orz
そして、こんなマイペースなSSを待っていて下さってありがとうございます!

>>946
何というまるちゃんw脳内再生余裕でしたw
もうキートン山田さんでしか再生されなくなってしまいました…!
946さんのwktkに応えられるように頑張りますね!


支援感謝です。投下します。


948: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:13:45 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬「……お腹空いたなあ」グゥ


すっかり日も暮れた夜の森を、赤ずきんは一人歩きます。

きっと、お母さんが心配しているに違いない。

そう思って、森の奥へと。


清瀬「あれ……?」


ふと、足を止めた赤ずきんは、大変な事に気付きました。


清瀬「お家、どっちやったやろか」


真っ暗な森の中、頼りはふんわり優しい月明かりだけ。

明るい内とは景色が違って見えたのでしょう。

赤ずきんは、道に迷ってしまったのでした。


949: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:25:00 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬「ど、どないしようっ……迷子になってしもた」


一人佇む赤ずきんに手を差し伸べてくれる人は、夜の森には誰も居ません。

このまま帰れなかったらどうしよう。
もしも悪い人に襲われたりしたら。

時折聞こえる虫の囀りや、梟のほうほうといった鳴き声が、途端に赤ずきんの不安を煽りました。


清瀬「だ、誰か居ませんか?誰か……」


涙で歪む視界の中、ほんのり見える小さな灯り。

家だ!

赤ずきんは、縋るような思いで駆け出しました。



950: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:25:39 ID:i4fPg2J7q6

清瀬「あれ?なんか、あのお家……」


赤ずきんは目を凝らしながら、ゆっくりと近付いて行きました。

だけども不思議なそのお家。

近付いても近付いても、何だかとても小さいのです。


清瀬「うち、背ぇ伸びたんかな!」


嬉々として声を上げる赤ずきん。

いいえ、そうではありません。

ドアも、窓も、中を覗いて見えたテーブルも、赤ずきんの知っている物よりも随分小ぶりです。

背の低い赤ずきんでも屈まなければならない程、小さな家が建っていたのでした。


951: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:26:52 ID:i4fPg2J7q6

清瀬「わあ、可愛い!」


こんな素敵な家に住んでいるのは、一体どんな人だろう。

兎さん?アライグマさん?
もしかすると、妖精さんかしら?

小さな家を目の前にして、赤ずきんは心が踊る思いでした。


清瀬「はしゃいでる場合やなかった……道を訊かへんと!」


ふう、と一息、赤ずきんはドアをノックします。


清瀬「ご、ごめん下さーい」


返事はありません。


清瀬「あの、す、すみません、何方か居てはりますか?」


やはり返事はありません。


清瀬「道を訊ねたくて……、え?」


そっとドアノブに触れてみると、あっさりとドアは開いてしまいました。


952: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:27:53 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬「こ、今晩はー…誰か居てはりますか?」


恐る恐る中を覗いてみたけれど、其処には誰も居ませんでした。

テーブルの上には小さなティーカップが七つ。

その周りにも、小さな椅子が七つ。

奥にはベッドが七つ見えます。


清瀬「お邪魔しても、ええやろか」


此処には居ない住人に挨拶をして、赤ずきんは家に入る事にしました。

外は真っ暗な夜の森。

それに、今日は駆け回ってばかりでくたくたでした。

だからでしょうか。


清瀬(七人家族なんやろか……)


そんな事を考えている内に、赤ずきんは眠ってしまったのでした。



953: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:30:37 ID:i4fPg2J7q6

─────‐‥


誰かの声が聞こえます。

誰だこいつ。寝ているぞ。

少女を囲む七つの影、その中の一人が言いました。


鳴海「こいつ知ってる!白雪姫だ!」

清瀬「うひゃあ!?」


その声に驚いて飛び起きた少女。

彼女の名前は、白雪姫。

白い肌が若々しい、普通の女の子です。


清瀬「すすす、すみません!うち、寝てしもていつの間にか朝に……って、鳴海くん、が七人!?」

鳴海2「あ?鳴海?誰だそれ」

清瀬「しかも、なんかちっこい……」プププ

鳴海3「何だこいつ!失礼な奴だな!」

鳴海4「本当に白雪姫なのかよ」


954: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:31:47 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬「へ?し、白雪姫?うちは赤ずきん──…」

鳴海5「何言ってんだよ、お前白雪姫だろ。んで、俺達は七人の小人」

鳴海6「意地悪なババアから逃げて来たんだろ?」

鳴海7「心配すんなって、俺達が匿ってやるから」

清瀬「そうやったっけ……」


そうでした。

恐ろしい継母から逃れる為、白雪姫は森の中をを彷徨っていたのです。

嗚呼、可哀想な白雪姫。


鳴海1「んじゃ、オモテナシしなきゃな」

鳴海2「よっしゃー!狩りだー!」


955: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:36:15 ID:RKZRGBLt.Q

鳴海3「留守番頼んだぞ、白雪姫さーん?」

鳴海4「材料は揃えるから、後で料理宜しくな!」

清瀬「あ、はい。分かりました」


小人達は意気揚々と家を後にしました。


鳴海5「あ、そうだ」

鳴海6「誰か来ても絶対に開けちゃ駄目だぞ?」

鳴海7「約束だからな」


そう、言い残して。


清瀬「開けたアカンて……なんでやろ?」キョト


956: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:41:18 ID:i4fPg2J7q6

小人達が狩りに出掛けている間、白雪姫は掃除に取り掛かる事にしました。

お世話になっているお礼にと、ピカピカになるまで床を磨きます。


清瀬「ふう、大分綺麗になったかな」


白雪姫が一息吐いた頃、誰かがドアをノックしました。

\ トントン /


清瀬「は、はいっ、どちら様でしょうか!」


扉の向こうで声がします。

こんにちは、林檎は如何?

少し太い、何処かで聞いた事のある男性のような声でした。


957: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:46:31 ID:i4fPg2J7q6

清瀬「えっと、でも、その……」


白雪姫は迷いました。

林檎は食べたいが、小人との約束がある。

このドアを開けていいものか、と。


桃山「あら、恐がらなくていいのよ?アタシはただの林檎売りなんだから」

清瀬「桃さん!?」バタン!

桃山「ぎゃっ!いきなり過ぎるわよ!」


林檎売りの声に反応した白雪姫は、約束も忘れてドアを開けてしまいました。

驚いた様子の林檎売りは、いつぞやの魔法使いによく似た黒いローブを身に纏ったオカマでした。


958: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:52:28 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬「やっぱり桃さんや!」

桃山「桃さんって誰よ、ちょっと可愛いじゃないの」

清瀬「も、桃さんまでそんな事言わはるんですか」

桃山「何処のプリティーボーイと間違えてるか知らないけれど、アタシはただの林檎売りですぅー」

清瀬(どう考えても桃さんやねんけどなあ……)

桃山「そんな事より、これ!アンタ可愛いから特別にタダであげちゃう!」


ずい、とオカマの林檎売りが差し出したのは、赤く光った一つの林檎。

ピカピカと太陽の光を反射して、とても甘くて美味しそう。



959: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:55:28 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬「これ、うちに…?」

桃山「ふふ、そうよ。可愛子ちゃんにプレゼント」

清瀬「えへへ、可愛子ちゃんやなんて」テレテレ


そう言って、白雪姫は林檎を受け取りました。


桃山「とっても甘くて美味しいのよ!食べてみて頂戴!」

清瀬「あの、ホンマに貰てもええんやろか……」

桃山「勿論よ。お友達のしるしに」ニコ

清瀬(友達…)

清瀬「ありがとうございます!」


白雪姫は涙を目に浮かべながら、貰った林檎を噛りました。

涙で歪んだ視界の先の、不適な笑みには気付かずに。



960: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:57:51 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬「うっ……!?」


林檎を飲み込んだその直後、白雪姫は喉を押さえて苦しみました。

苦しい、息が出来ない。

縋る思いでオカマの林檎売りに手を伸ばします。


清瀬「桃、さ……助けて……」

桃山「何度言ったら分かるのかしら。アタシは桃さんじゃないわよ、このちんちくりん!」

桃山「アタシは魔女。林檎売りでも何でもない、世界一美しい魔女様よ!」


何という事でしょう。

オカマの林檎売りは魔女だったのです。

真実を知らされ、ちんちくりんと罵られた白雪姫は、ぱたりと倒れてしまいました。



961: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 19:00:32 ID:RKZRGBLt.Q

桃山「……ふふ、うふふふ、やったー!これでアタシが世界一の──…」

鳴海1「何してやがるこのオカマー!」


魔女の後ろから飛び蹴りを食らわせたのは、狩りから戻った小人達でした。


鳴海2「あー、やっべー…間に合わなかった」

鳴海3「マジで!?白雪姫死んだのかよ!」

鳴海4「嘘だろ、おい……」

鳴海5「だから開けるなって言ったのに」


白雪姫を取り囲み、悲しみに暮れる小人達。

皆が何を言っても、白雪姫からの返事はありません。

その時、小人達の背後から魔女の叫び声が聞こえてきました。



962: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 19:01:28 ID:RKZRGBLt.Q

桃山「きゃー!イケメン!イケメンよー!」


魔女が指差す方に目をやると、其処にはイケメンと噂の王子様の姿がありました。


篠原「あはは、なんか楽しそうだねー」

鳴海6「王子じゃん!ナイスタイミング!」

鳴海7「あのさ、こいつ助けてやってくんね?」

篠原「ん?ちっこくて可愛い子だねー」ヘラッ


王子様が覗き込むと、白雪姫の指がぴくりと動きました。

だけど、誰もそれに気付いていません。

皆、白雪姫は死んでしまったと思い込んでいるのです。



963: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 19:02:13 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬(この声は、しし、し、篠原くん!?)

清瀬(どないしよう、林檎が喉に詰まって気絶してしもただけやなんて、今更……)


そんな白雪姫の事など露知らず、小人達は一斉に言いました。


鳴海1「王子が白雪姫にする事って言ったら、何か分かるよな?」

鳴海2「キース!キース!」

篠原「えぇー…でも、それはちょっと、白雪さんにも悪いし」

鳴海3「何言ってんだよ」

鳴海4「白雪姫といえば王子のキスだろ」

篠原「そっか、それもそうだね!」


小人達に囃し立てられながら、王子様は白雪姫に覆い被さってゆきました。

ゆっくり、ゆっくりと、吐息を感じる程、近く。


篠原「白雪姫……」




964: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 19:05:25 ID:i4fPg2J7q6

──────‐‥


鈴木「そして白雪姫は──…」

清瀬「わーわーわー!ごめんなさいごめんなさいもう止めてー!」カァァ

鈴木「何をそんなに慌ててるの、清瀬」

清瀬「だだ、だってだってだって、そ、そんな事、うち……」

鈴木「単なる私の夢の話なのに」

一年女子「ていうか、なんであたし意地悪な姉役なのー?」

一年女子「しかもちょい役wwクッソちょい役ww」

鈴木「ごめんね、二人共モブだから」

一年女子「クッソwwクッソww」


めでたし、めでたし。


 おとぎの国の清瀬さん‐fin.



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