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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その3】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2017/4/29(土) 21:15:11 ID:.RxhzfPc96
あらすじ

永遠の命。その鍵となる救い主、カロル。
欲望に目覚めた西の国。狂気は果てしなく蠢く

遂に勃発してしまった戦争
強大な西の国に立ち向かうべく王国、東国、南国は6ヶ国同盟から成る平和協定を破り、3国連合軍を結成する

南国は多大な犠牲を払い、国王ローレンの命と引き換えに西帝国軍の主力を削った
東国は張り巡らされた罠を果敢に打破するも圧倒的な力の前に粉砕される

敵地にて孤軍となった王国軍
総指揮官フィクサーの戦略采配が功を奏し、帝都本拠地の制圧を完了した

一方で吉報を待ち、国内に留まる王国の国王ヒメ
迫り来る侵略の魔の手を退ける為、東国のホビット族と手を結ぶ
彼らによって明かされた最後の真実
アピシナの大樹の成り立ち

かつて癒しの力は破滅を導いた
人もホビットも共通する願い
永遠の命が野心をくすぐる

穢れなき無垢な愛情は火種となって注がれ、混沌とした世界を象徴するように大樹を巡る争いは止まなかった

忘れ去られた無残な過去
300年もの月日を経てなお繰り返される歴史
誰も止めることは叶わない

友情を取るか、安寧を取るか
時を追う毎に取捨選択を強いられる
捨てていいものなど一つもないのに


136: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:31:44 ID:e4mtUywSu.
―――辺境地(草原)―――

ポルカ「あぁくそっ!ムシャクシャするぜ!」

コロン「ダメだったんでしょ?残念!」パァァ

ポルカ「じゃあなんで嬉しそうなんだよ!」

コロン「だってー…争い事とかイヤだもん」

ポルカ「バカ!俺たちは狩猟民族だぞ!欲しいもんは自分の力で奪い取るんだよ!」

コロン「でもー…何も言えずに帰ってきたんでしょ?」

ポルカ「うっ…あ、あいつら口ばっか達者なんだ!だから人間は嫌いなんだよ!」

コロン「ねぇ、せっかくだから人間の町を見てこうよ」

ポルカ「な、なぁに言ってんだぁ?正気か!?」

コロン「観光ならいいんでしょ?王国はホビットにも優しいって聞くし見てみたい!」

ポルカ「どうせウソだろ。人間なんか関わってもろくなこたねーよ」

コロン「…いいもん。一人で行くから」

ポルカ「え?」

コロン「ポルカたちは先に帰ってなよ。それじゃ」タタタッ

ポルカ「ま、待てよ!あぶねぇからやめとけって!」

タタタッ………

ポルカ「はぁ…別に行かねーたぁ言ってねぇだろ!」ダッ
137: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:32:32 ID:VfV4LPRyvs
―――ミラルドの町(市場)―――

ワイワイガヤガヤ

ポルカ「な、な、なんだぁこりゃ…!?」ワナワナ

ガッガッ ザサッ ザサッ

コロン「わー!あれなぁに?大粒小粒の種や粉が色とりどりに運ばれてる!」

ンモー ヒヒーン

ポルカ「(う、馬や牛…見た事もねぇ品種だ!俺らの知ってる家畜より、よっぽどずしりとしてやがる!)」

モクモクモク

コロン「ねぇ見て!屋根に付いてる筒から煙が上がってる!」

ポルカ「け、煙!?ボヤじゃねぇのか!なんで誰も気にしねぇんだ!?」

ザカッザカッザカッ

コロン「ひゃっ!銀ぴか!あれも衣服なのかな?すごく頑丈そう!」

ゾロゾロ ゾロゾロ

ポルカ「い、いやにたくさん人間が群がってんな!こりゃひょっとすると人間の長の町なんじゃねぇか?」

コロン「わたし達と同じホビットもいるよ?」キョロキョロ

ガラガラガラ

ポルカ「わっと!あぶねぇっ!なんだ、あの馬鹿でけぇ馬が引く荷車は!?」

コロン「わたし達の里は家畜が小さいから軽い荷車をウォリードッグに引かせてるけど、あれなら一度にたくさん運べそう!」
138: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:33:17 ID:e4mtUywSu.
ミシング「およよ?」スッ

ポルカ「!?」ビクッ

ミシング「あれー?あなた達、見ない顔だね?最近、越してきたの?」

ポルカ「な、なんだ、てめぇ!?」ズザザッ

コロン「わ、どうしよ!人間に声掛けられちゃった!」コショコショ

ポルカ「お、おたつくな!こっちだって天下のホビッツ部族だ!」

ミシング「?」キョトン

コロン「やっぱり大きいね…!」コショコショ

ポルカ「ば、バカヤロウ!心の広さなら負けてねーよ!(?)」アタフタ

ミシング「あ、分かった!ちょっとおいで!」グイッ

コロン「きゃっ!」アセアセ

ポルカ「なにしやがる!?」アセアセ

ミシング「まだ慣れてないんでしょー?親切な美人お姉さんがいろいろ教えたげる?」ニカッ

コロン「……?」

ポルカ「じ、自分で美人って図々しいにも程があんだろ…」シラー
139: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:34:42 ID:e4mtUywSu.
ミシング「まずここでしょー!」

コロン「わぁ、野菜に果物がいっぱい!」

ポルカ「隣にゃ鳥や豚、羊の干し肉なんかが吊るされてるな?こんだけのもんをいっぺんに並べるなんて…どうなってやがんだ?」

ミシング「他にも魚、お菓子、ハーブとかスパイスもあるよん!食材とかはこういう市場のお店から買うの!」

コロン「買う…?」

ポルカ「交換じゃねーのか?」

ミシング「ノンノンノン!ヒューマニズムの理はキャッシュなのです!」チッチッチッ

コロン&ポルカ「???」

ミシング「それじゃまお手本を見せちゃいましょう!おじさん!山羊肉の薄切り一箱くださいな!」

肉屋「あいよ、銀貨2枚ね」

ミシング「あはーん!ミシングちゃんのお色気スペシャルに免じて〜?免じて〜?」チラッチラッ

肉屋「駄目。今日という今日はしっかり払ってもらうよ!」

ミシング「ぷくー!ケチー!いいもん!マリーさんにあっちの店のがいいって言い付けちゃうから!」

肉屋「え?ま、マリーちゃんに!?そりゃ困る!」アセアセ

ミシング「えー?どうしよっかなー?」

肉屋「あ、あんな可愛い見た目して貞淑な人妻だってんだから男としてはゴニョゴニョゴニョ…」モジモジ

ミシング「(どっちにしろ店は変えてもらお)」

肉屋「分かったよ!一箱おまけする!それでいいだろ!」

ミシング「サンキューおじさま!だーいすき!」チュッチュッ

肉屋「別にあんたの為じゃなく俺は一人のロリコ……紳士としてだな」

ミシング「じゃあお代は置いてくねー!(マリーさんに出入り禁止って言っとこ)」チャリッ
140: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:39:53 ID:VfV4LPRyvs
ミシング「とまぁこういうことなんです!」

コロン「んー…分かったような、分からないような…」

ポルカ「なんであの親父は糞の役にも立たねぇ鉄屑と貴重な肉を交換するんだ?」

ミシング「うん、糞の役にもは言い過ぎだけど、まぁそうだよねー」

コロン「もしかしてあれがコイン…?」

ポルカ「なんか知ってんのか?」

コロン「うん。ルイさんに聞いたんだけど人間はコインっていう金属の欠片を集めてるんだって?」

ポルカ「んなもん集めてどうすんだ?」

コロン「コインをたくさん持ってる人が一番偉いみたい。それが人間の掟って言ってた」

ポルカ「な、なにぃ!?じゃあ俺らもコインを集めれば人間共を従えられるってのか!?」

ミシング「ぶっぶー!惜しいけど不正解!」

コロン「え?」

ミシング「コインっていうのは通貨以外にもギャンブルとか彫刻品に使われる物で用途は様々なのです!が!今あたしが出したのは純粋な貨幣!つまりはお金です!」

ポルカ「お、おかね?」

ミシング「お金というのは今みたいに欲しい物、必要な物の受け渡しを円滑に交渉する為に用いられます!」

ミシング「たとえば物々交換ではお互いが品物に納得しないと交渉不成立になるし、低価値、高価値の区別が付かないので不平等な結果になる事もしばしば!
しかも力関係を利用して立場でごり押しされるケースも少なくありません!」

ミシング「だけどもだっけぇど〜!お金という全く別種の物に付加価値を備わせる事で!
スムーズかつピースフルな交渉が出来る!イコール誰でも平等にお買い物が楽しめちゃうっていう寸法ですねぇ!」

コロン「え、えー…と」オロオロ

ポルカ「さっぱり分からん」

ミシング「詳しくは教団で無料配布してる"人とホビットの暮らし方"を参照!」ババッ

コロン「あ、どうも…」パシッ

ポルカ「人間の文字なんか読めねーよ」パシッ

ミシング「そんなあなたもご安心!ちゃんとホビット用にクレオール語で直したページも記載済み!イェイッ!」ピース

コロン「わぁ、ほんとだ」ペラッ

ポルカ「これなら読めるぞ!」スラスラ
141: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:41:04 ID:e4mtUywSu.
コロン「へー…お金ってそういう物なんだ」ペラッ

ポルカ「ふんふん、為になるな……って、なんで人間の本なんか読まされてんだ!?」バサッ

ミシング「あ!路上に捨てちゃダメ!ちゃんと塵紙入れに捨てるか、紙屋さんに寄付しなきゃ!」

ポルカ「うるせぇ!人間に洗脳されてたまるか!あぶねぇとこだった!帰るぞ、コロン!?」

コロン「ねえ、これなぁに?」

ミシング「んー?これはねー」

ポルカ「おぉい!?」
142: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:42:02 ID:VfV4LPRyvs
ミシング「こちらがミラルド名物!職人さんによる飴細工でござーい!」

コロン「わぁ、可愛い!本物そっくりの蝶々さん!」パァァ

ポルカ「かってぇな…。どうやって食うんだ、これ…」ツンツン

ミシング「口の中で転がしてみ!舌が踊っちゃうよ!」

コロン「ふわぁ!あまーい!」コロコロ

ポルカ「う、おぉ!なんだこれ、砂糖をまぶした小石か!?」コロコロ


ミシング「この町は畜産業が発展してるから他所との商いも充実してて、いろんな地域の物が売られてるんだよー!」

コロン「へー…どれも見たことない物ばっかり!」キョロキョロ

ポルカ「見てて飽きねぇなぁ」キョロキョロ


ミシング「最近ではホビットの皆さんもヤル気満々で店を構えてまーす!」

コロン「あ、これうちの里にもある素材の帽子!」

ポルカ「お!この部族のミサンガかっこいいな!」


ミシング「本も読めて勉強も出来ちゃう修道院!今は布教の代わりにホビットや人間の子供に道徳を教える学舎になってるよん!」

コロン「同族と人間が混ぜこぜに座って書き物してる…」

ポルカ「こ、ここはあんまり好きじゃねーな。雰囲気が…なんか」
143: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:43:00 ID:VfV4LPRyvs
ミシング「と、いう訳で!ミシングちゃんによる超絶ウキウキ町案内はこれにておしまい!」

コロン「ありがとうございました!」

ポルカ「いやー楽しかったなぁ」

ミシング「それじゃ!楽しんでいってね!ばいびー!」スタスタ

コロン「さよならー」フリフリ

ポルカ「じゃあなー」フリフリ
144: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:43:40 ID:VfV4LPRyvs
コロン「楽しかったね!」

ポルカ「おう、楽しかった楽しかった!いやぁ楽しかった!」

コロン「また来ようね!」

ポルカ「そうだな。また来よう。楽しかったしな。いやー」

ポルカ「ってそうじゃねーだろ!?」バンッ

コロン「あ、お土産が!なんで投げるの!?」ササッ

ポルカ「なに普通に楽しんでんだよ!俺たちはホビットだぞ!」

コロン「? うん」

ポルカ「人間はホビットを見下した敵だ!仲良くしちゃダメだろ!」

コロン「なんで?」

ポルカ「なんでじゃねーよ!じっちゃんにも言われたろ!」

コロン「でもー…ルイさんは人間と仲良くしたいって言ってたよ?」

ポルカ「あ、あいつは…酋長の孫だから、なんだって言えんだよ」

コロン「そう?わたしは今日、もっと人間を好きになったよ?」

ポルカ「うぐ…!」

コロン「ポルカも素直になったら?」

ポルカ「……!」ググッ
145: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:44:20 ID:VfV4LPRyvs
ポルカ「…人間のせいで移住生活を強いられたのにか?」ボソッ

コロン「え…?」

ポルカ「迫害と逃亡の繰り返しだ。穏やかに隠れ棲む部族だって奴らの侵略を受けてきた」

コロン「昔の話でしょ…」

ポルカ「あぁ、とうの昔だよ。先代が若い世代を守る為に身を呈して人間から親父たちを遠ざけた。古い古い逸話さ」

コロン「……」シュン

ポルカ「いくつもの森が焼き払われて人間の住み処になった。行き場をなくした俺たちをそれでも狭めようと虐殺した」

コロン「うん…」

ポルカ「そんな話を聞いて育ったんだ…。ガキの頃から、ずっと…今さらなんだよ。優しくされたってよ」

コロン「だけど酋長さんは人間と一緒に戦ったよ…?」

ポルカ「じっちゃんは賢いから、うまく利用してるだけだ。腹の底じゃ人間なんざ毛嫌いしてるさ」

コロン「…昔より今じゃないの?」

ポルカ「あ?」

コロン「ルイさんは…今を必死に生きて未来に進もうとする人間に憧れてるって…」

ポルカ「…じゃあ何か?昔のこたぁ綺麗さっぱり忘れて人間と仲良くしろってか?」

コロン「そうだよ…」

ポルカ「おめぇは本当に優しいなぁ」

コロン「……?」
146: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:45:24 ID:VfV4LPRyvs
ポルカ「このまま共存したって人間の掟に従わされる!」

ポルカ「人間の文字を覚えさせられて、人間の言葉を喋らされて、人間の一員になるだけだぜ!」

コロン「それがどうしたの…?」

ポルカ「どうしたの…?どうしたのってこたぁねーだろ!!」

コロン「」ビクッ

ポルカ「ホビットの培ってきた文化はどうなる…?暮らしは?尊厳は?先人達の記憶は!?」

コロン「あ……」

ポルカ「俺は人間として生きてくなんてまっぴらだ!誇りを持ってホビットの一生を終えてぇ!」

コロン「……」

ポルカ「憧れんなぁ勝手だがよ…。あんまりうつつ抜かしてっと自分がなんなのかも分からなくなっちまうぞ」

コロン「…それでも、争い事は嫌い」

ポルカ「そうかよ」スタスタ

コロン「どこ行くの!」

ポルカ「帰るんだよ!もう十分だろが!」スタスタ

コロン「ま、待ってよ…!」ダッ

ドンッ

コロン「わ!」ズサッ

ごろつき1「ってぇなぁ…」ジロッ

コロン「」ビクッ
147: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:46:18 ID:e4mtUywSu.
ごろつき1「あぁ?なんだ、お嬢ちゃん、見かけねぇ顔だなぁ?」ジロジロ

コロン「ひっ…!」タジッ

ごろつき1「けっ!野良が紛れ込んだか。まぁいいや。ホビットの分際で俺様に肩ぁぶつけたんだ!詫び入れてもらおうか!」ガッ

コロン「やっ!」ジタバタ

ポルカ「てんめぇえ!!何してやがる!?」

ごろつき1「あぁ!?」

ポルカ「くっせぇ手を離しやがれ!バイ菌が移るだろうが!?」

ごろつき1「な、なんだとぉ!ナメやがって!ぶっ殺してやる!」

ポルカ「おぉやってやらぁ!?」

ゾロゾロ ゾロゾロ

ポルカ「!?」

コロン「っ……!」ブルッ

ごろつき1「ひひひ!タダじゃおかねぇぞ?袋にしてやらぁ!?」コキッコキッ

ポルカ「こんの卑怯者が!」

コロン「や、やめて!誰か!」

憲兵1「何事だぁ!?」ザッ

ごろつき1「ちっ!たれ込みやがったな!ずらかっぞ!」ダッ

憲兵1「待てぃ!!」ダッ

ダダダッ…………

コロン&ポルカ「」ポカーン
148: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:47:47 ID:e4mtUywSu.
憲兵2「やあ、災難でしたね。この町もまだまだ物騒でして」

コロン「え、あ、はい…」オドオド

憲兵3「二人ともお怪我はありませんか?」

ポルカ「だ、誰なんだ、あんたら?」ジトッ

憲兵2「誰って…見ての通り憲兵ですが?」

ポルカ「けんぺー?」

憲兵3「あぁ、そうか。まだ人里に降りて日が浅いんだろう」

憲兵2「なるほど…えー…つまり我々は町民や人里に住むホビット族の皆様を犯罪から守る仕事をしておりまして」

コロン「わたし達を…」

ポルカ「守る…?」

憲兵3「はい。国王様の名声と共に信頼も高まり、新たな方針を受け入れられてきてはいるのですが…それでも先ほどのようにホビット族を邪険にする者もおります」

憲兵2「そういった危険を回避していただく為にも日夜、我々が見回りを務めているという訳です」

コロン「へぇ…!」パァァ

憲兵3「しかし…それとは逆に人間社会に慣れず適応出来なかったホビット族が盗みや暴行等の犯罪を重ねる例も少なくありません」

憲兵2「どうか安穏に満ちた生活を維持する意味でも同族の皆様に寄り添い、助け合ってください。
不明瞭な点や困る場面があれば教会や役場に相談していただければ良い助言を貰える筈ですので」

ポルカ「……」

憲兵2「我々に出来る事は目先の犯罪を抑制する。それだけです」

憲兵3「人間もホビットも共存する上では、どう接するか。自分で考えて生活の知恵を見つけなければなりません」

憲兵2「人を恨む気持ちや不慣れでままならない苛立たしさも度々あると思われますが、ここで生きていくのなら自分の感覚を改める覚悟も必要です」

憲兵3「説教がましくて申し訳ないが新生活を送るホビット族の皆様の励みになればと」

ポルカ「けっ!今度こそ帰るぞ!」スタスタ

コロン「あ、ありがとうございました!さよなら!」

憲兵2「お気をつけて。またいつでもお越しください」ペコッ

コロン「」ペコッ

ポルカ「ちっ…善良ぶりやがって」フンスッ
149: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:50:08 ID:VfV4LPRyvs
コロン「いい人たちだったね?」スタスタ

ポルカ「そうか?」スタスタ

コロン「うん」スタスタ

ポルカ「……」ピタッ

コロン「?」ピタッ

ポルカ「じゃあ住んじまえよ」

コロン「え…?」

ポルカ「好きにすりゃいいじゃねーか。いちいち俺に言わなくてもよ」

コロン「そんなつもりじゃ…」

ポルカ「土産に森でも狩って回るかぁ!手ぶらじゃ帰れねぇしなぁ!」スタスタ

コロン「…王国の救い主」

ポルカ「あ?」

コロン「アピシナ様の生まれ変わりって言われてる…」

ポルカ「それがなんだよ?」

コロン「あの森は救い主が棲んでたんだって…さっき貰った紙に書いてある」パサッ

ポルカ「ちっ!まだ持ってんのか?」

コロン「今の司祭と救い主が出会い、心を通わせた始まりの地。人とホビットを繋ぐ大切な場所なんだって」

ポルカ「そりゃよかったな」

コロン「すごいよね。だって少し前はあんなに嫌い合ってた種族が一つになろうとしてるんだよ?」

コロン「打ち解けてるのが伝わる。町の活気にわたし達の声が溶け込んで混ざり合ってる…」

ポルカ「だからよ!そんな言うなら人間の町に……」

コロン「行かないよ」

ポルカ「!?」

コロン「わたしはホビッツの里が大好き。同胞のみんなも、豊かな自然も、だから…」

コロン「たまに遊びに来るにはいいかも。ルイさん達を誘って」ニコッ

ポルカ「ふん……好きにしろっての」プイッ
150: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:51:39 ID:e4mtUywSu.
〜〜〜夜〜〜〜

―――大聖堂(司祭の間)―――

ミシング「やっほーい!ミシングちゃんが遊びに来たよー!」ガチャッ

教徒「あ、ミシングさん!こんばんは!」

修道女「こんばんは!こんな遅くにどうされたんですか?」

ミシング「あれ?宣教師は?」

教徒「宣教師…あぁ、司祭様ですか!」

修道女「司祭様でしたら夕方に発たれましたよ。また王都に戻られるそうで」

ミシング「もう!?せっかく久々に会えると思ったのにぃ!?」ガーン

教徒「ははは…僕らもゆっくりお話したかったんですけど、やっぱりお忙しいみたいです」

ミシング「はー…子供たちに内緒でサプライズしてあげたかったんだけどにゃー」ガックリ

修道女「あ!それより聞いてくださいよ!」

ミシング「ん?」

修道女「東側の山脈から大勢のホビットが押し寄せてきたんですけどね!なんと司祭様の説得であっさり帰っていったんですよ!」

ミシング「東のホビット?」
151: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:52:00 ID:e4mtUywSu.
教徒「どうやら以前の戦いに加わってくれた部族のようなんですが…急に押し掛けて一帯の領地を寄越せと迫ってきましてね」

修道女「そうそう!領主様まで出張って突っぱねるものだから、もう聖堂中が大騒ぎでしたよ!」

ミシング「???」

教徒「あ、まだ公にはされてないそうなんですが、なんでも南の山脈を一部、ホビット族に明け渡すんですって」

修道女「それをよく理解してなかった若いホビットの集団が勝手に領地を奪おうと乗り込んできたらしいですよ!」

ミシング「へー…それは大変だねぇ」

教徒「まぁでも何事もなくてよかったですよ。西の国との戦いが済んで間もないですからね」

修道女「やっぱり司祭様ってすごいよねー!憧れちゃう!」

ミシング「…そっか!ところでお二人さん、こんな密室で…もしかしてお邪魔だった?」ニマー

教徒「え!?ち、違いますよ!?」ボンッ

修道女「そ、そうですよ!私達はただ日課の清掃を!」アタフタ

ミシング「にゃはは!お熱いねー!」

教徒「違いますってば!?」アセアセ

修道女「も、もう!ミシングさんったら!」カァァ

ミシング「じゃあ宣教師が帰ってきたら、またよろしく言っといて!チャオ!」ガチャッ

教徒「うぅ…本当に違いますからね!妙な噂流さないでくださいよ!?」

修道女「く、暗いのでお気をつけて…」モジモジ
152: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:53:24 ID:VfV4LPRyvs
―――王国辺境地(町外れの橋)―――

サァァァ

ミシング「……」ピンッ

ポチャンッ

ミシング「」ジーッ

パシャン パシャン

ミシング「さざ波しか立たない川も餌を落としたら飛沫を散らして魚の群れが跳ね回る…」ポツリ

『ラム兄ちゃん帰ってきたのにどうしてカロル兄ちゃんはいないの?』

ミシング「どうして…そういえば深く考えなかったっけ」

『あの子とこんなに長い期間、離れたのは初めてなので…』

ミシング「(……)」

ミシング「(マリーさんがそう感じるくらいだから…母親想いのカロルくんなら、なおさらだよねー)」

ミシング「(親友の王様が一緒だから安心だと思ってたけど…)」

ミシング「(親友だからこそカロルくんの気持ちも分かってる筈で…それでも城に留まらせてるとなると)」

ミシング「なーんか…あたしって、いっつも変な方向に考えちゃうなぁ。考えすぎかしら?」

サァァァ

ミシング「…あらま。あんなに群がってた魚さん達が」

ミシング「はぁ…なんにもないといいんだけど?」
153: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 22:54:09 ID:e4mtUywSu.
―――王国・北の領土(国境関門)―――

ガラガラガラ

プチョリスフ「さーて、商売を始めるとするか」

部下1「本当に大丈夫っすかねー」

部下2「憲兵に張られてんじゃ…」

カランカラン

部下1「」ビクッ

部下2「鈴…?」ドキドキ

ゴゴゴゴゴ

プチョリスフ「」ニヤリ

門番1「お待ちしておりました。我が主より話は伺っています」ペコッ

門番2「どうぞお通りくださいませ」ペコッ

プチョリスフ「おう」ザスッザスッ

部下1「ま、マジかよ…。関門って、こんな堂々と通れるもんなのか?」オロオロ

部下2「荷を改めもしねぇなんて…いったい主ってなぁ何者なんだ?」ドキドキ

門番1、2「」フカブカ

部下1「あそこまでザルじゃ逆にこえーな…」ビクビク

部下2「後ろから刺されんじゃねぇかって気になるぜ…」ビクビク

プチョリスフ「だから言ったろ。俺らが考えるこっちゃねぇとよ」ザスッザスッ

パラパラ パラパラ

プチョリスフ「はー…雪がシンシンと降りやがる。今夜は一段と冷えるぜ」

部下1「へーくしょい!」ブシッ

部下2「この雪道の向こうが北の国か…。もう後戻りはできねぇな」ザスッザスッ
154: ◆WEmWDvOgzo:2017/6/28(水) 23:05:44 ID:e4mtUywSu.
>>115-116
お待たせして申し訳ありません!
なかなかやりたい事が文字に起こせないですが頑張って更新していきたいです!
支援ありがとうございました!


東の騎士のようなモブに毛の生えた程度のキャラにご配慮くださるなんて…!
苦労が吹き飛びそうなくらいキャラも報われてると思います!
むしろこちらの方が全然進められなくてすみません!orz
155: ◆WEmWDvOgzo:2017/7/4(火) 14:46:32 ID:eonOpBEMpo
ヤバいヤバいヤバい
なんかおかしいなと思ったら間に投稿する筈だった部分をまるごと抜かしてた…
どうしましょう…スレ立てし直した方がいいですかね…
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sage:


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