ある時代の、ある世界。
ここは東の国の【商いの街】。
新鮮な果実や、美しい布、珍しい宝石、異国の書物。そのような中、『商品』として人も売られておりました。
何処からか連れて来られたであろうその『商品』の前に立つ、一人の男。
先程の台詞は彼からの物でしょう。
喧騒の中、静かに放った一言は、物語とも言えぬお話しの始まりの一言でありました。
152: 1 ◆4O/QUf00mI:2011/10/22(土) 11:53:07 ID:DjOT1O.uW.
殺し屋「俺も無理にとは言わない。身の危険も及ぶかもしれないしな」
奴隷娘「そうですよね……」
殺し屋「帰る場所があるなら、そっちを優先した方がいい」
奴隷娘「……ッ」
殺し屋「故郷に帰りたいなら、金は出し……」
奴隷娘「……ありませんよ」
殺し屋「ん? どうした?」
奴隷娘「故郷なんて、ありませんよ……私には」
殺し屋「オ、オイ。いきなりどうした……?」
153: 1 ◆4O/QUf00mI:2011/10/22(土) 11:57:13 ID:f79T6dgeUQ
奴隷娘「私は」
奴隷娘「故郷も名前も捨てました」
殺し屋「……」
奴隷娘「もしかしたら私が故郷に『捨てられた』のかもしれませんけど……」
殺し屋「名前まで捨てることはないだろ……」
奴隷娘「捨てられた故郷で呼ばれていた名前なんて、いりませんでしたから」
殺し屋「……」
奴隷娘「だから、私に帰る場所なんて無いんです」
殺し屋「……つまり今のお前には居場所はないと?」
奴隷娘「はい……」
154: 1 ◆4O/QUf00mI:2011/10/22(土) 11:58:01 ID:coZ3jnnCPA
殺し屋「そうか」
奴隷娘「……」
殺し屋「じゃあ話しは早い」
奴隷娘「へ……?」
殺し屋「やっぱりお前、俺と一緒に来なさい」
奴隷娘「え、でも」
殺し屋「嫌とは言わせないぞ」
奴隷娘「私、まだ何も……」
殺し屋「大体、お前は俺が買ったんだからな。決定権は俺にある」フフン
奴隷娘「そ、それなら、『来るか?』なんて聞くだけ無駄だったじゃないですか!?」
殺し屋「嫌々連れていくのも、気が引けるからな」
奴隷娘「どちらにせよ強制的ですよ、それ!?」
155: 1 ◆4O/QUf00mI:2011/10/22(土) 12:01:48 ID:f79T6dgeUQ
殺し屋「そう言うな、落ち着けって」
奴隷娘「私は落ち着いてますよっ!!」
殺し屋「ほぉ、さっきまで怯えていた殺し屋相手に、声を荒げて抗議するなんて度胸があるな」ニヤリ
奴隷娘「え? ああ!! す、すみま……せん」シュン
殺し屋「それでいいさ。少しは俺に慣れてくれたと、受け取っていいみたいだな?」ニヤニヤ
奴隷娘「は、はい。そう言う事で……お願いします」
殺し屋「そうかそうか。まぁ、似た者同士で仲良くしようじゃないか」
奴隷娘「似た者同士……?」
156: 1 ◆4O/QUf00mI:2011/10/22(土) 12:03:20 ID:coZ3jnnCPA
殺し屋「あぁ、故郷も名前も俺には無い」
奴隷娘「そう、なんですか?」
殺し屋「お前と境遇はほぼ一緒、だから似た者同士。生い立ちは違うけどな」
奴隷娘「私と、同じ……」
殺し屋「意外だったか?」
奴隷娘「ちょっとだけですけど……」
殺し屋「居場所って意味では、あったかもしれないがな。どうした? 親近感が湧いたか?」
奴隷娘「……はい。見た目よりも優しい方みたいですし」
殺し屋「見た目って言葉が凄く引っ掛かるよ」ガーン
奴隷娘「でも、近づいた気はします。ハイ」
殺し屋「まぁ、そりゃよかった。じゃあ改めて聞くけど、一緒に来てくれるか?」
157: 1 ◆4O/QUf00mI:2011/10/22(土) 12:04:35 ID:53ZNTmD6fY
また夜に来ます
158: 名無しさん@読者の声:2011/10/22(土) 12:07:57 ID:rlDvAj2o/A
C
159: 名無しさん@読者の声:2011/10/22(土) 13:10:12 ID:Hfe7ffEMW.
ようやくキターww
待ちくたびれたよwww
これでもくらいな
∧_∧
( ・ω・)=っCつC
(っ=つCつC
`/ =っCつCつC
(ノ ̄∪ババババババ
160: 名無しさん@読者の声:2011/10/22(土) 14:19:54 ID:EVP4artuYo
いいところできるなんて・・・1さんったら!
CCCCだぜ!
161: 名無しさん@読者の声:2011/10/22(土) 17:36:37 ID:sBrVYo19lY
>>159
み、耳が!耳が!
つ∧_∧
( ・ω・)=っCつC
(っ=つCつC
`/ =っCつCつC
(ノ ̄∪ババババババ
162: 名無しさん@読者の声:2011/10/22(土) 17:36:59 ID:sBrVYo19lY
>>161
わ、逆にズレたw
163: 139:2011/10/22(土) 22:22:55 ID:cZcmqXbLIE
変なことを質問してごめんね
支援してるからね!
164: 1 ◆4O/QUf00mI:2011/10/23(日) 22:14:31 ID:.yw9LayCwY
どうも、昨日寝落ちした1です。すみません。
>>158
支援ありがとうございます
>>159>>161
ズレに愛を感じますね。
ありがとうございます。
>>160
焦らしプレイですよ。
フフフ……
>>163
気にしないでください。
詳細も書いてなかったのもありますし、自分の表現的にも至らなかった所が多々ありましたので。
支援ありがとうございます。
では、投下したいと思います。
165: 1 ◆4O/QUf00mI:2011/10/23(日) 22:16:26 ID:coZ3jnnCPA
奴隷娘「……」
殺し屋「……」
奴隷娘「……わかりました。私も、北に行きます」
殺し屋「おぉ、来てくれるか」
奴隷娘「で、でも……少し聞いてもいいですか?」
殺し屋「? あぁ。いいぞ」
奴隷娘「もし、私が付いて行いったら、ずっと必要としてくれますか?」
殺し屋「それは……」
奴隷娘「何があっても、見捨てないでいてくれますか?」
166: 1 ◆4O/QUf00mI:2011/10/23(日) 22:16:46 ID:coZ3jnnCPA
殺し屋「……」
奴隷娘「そうすれば、私はどこまでも付いて行きます」
殺し屋「なんで……そんな事を聞く?」
奴隷娘「……深くは、聞かないでください」
殺し屋「……」
奴隷娘「……」
殺し屋「……わかった」
奴隷娘「……」
殺し屋「何があっても、見捨てない。お前を必要とする」
奴隷娘「ほ、本当ですか?」
殺し屋「あぁ、約束するよ」
167: 1 ◆4O/QUf00mI:2011/10/23(日) 22:31:02 ID:WM.6ZBGSjg
奴隷娘「えっと……」
殺し屋「うん、ちょっとクサ過ぎて恥ずかしいよ。自分」
奴隷娘「はい、まぁ」ソワソワ
殺し屋「穴があったら入りたい」
奴隷娘「……」
殺し屋「けど、信じてくれるなら来て欲しい。約束は守る」
奴隷娘「約束……ですね」
殺し屋「うん、約束だな」
168: 名無しさん@読者の声:2011/10/23(日) 22:33:37 ID:6BkTiQ0rv.
娘の穴に入るのですね、わかります
C
169: 1 ◆4O/QUf00mI:2011/10/23(日) 22:37:25 ID:.yw9LayCwY
奴隷娘「……よしっ」
殺し屋「……」
奴隷娘「わ、わかりました。もう……大丈夫です」
殺し屋「それじゃあ……」ゴクリッ
奴隷娘「はい、これからよろしくお願いします」ペコリ
殺し屋「そうか……」ホッ
奴隷娘「足手纏いになるかもしれませんけど」ニコッ
殺し屋「いや、それでもいいんだ。こちらこそ、よろしく」ニヤッ
奴隷娘(やっぱりまだ、笑顔が怖いなぁ……)ドキドキ
殺し屋(ホント良かった……。恥ずかしい台詞言って正解だったな……)ドキドキ
170: 1 ◆4O/QUf00mI:2011/10/23(日) 22:51:34 ID:DjOT1O.uW.
奴隷娘「あの。それと、すみません……我が儘を言ってしまって」
殺し屋「気にしなくていい。これからは二人で長い道のりを歩くんだ。二人とも対等に接し合う様にしよう」
奴隷娘「そんな……!! できませんよ、失礼です(と言うか、怖いです)」ブンブン
殺し屋「いいさ。お前はもう、今までの様な立場じゃなんだ」
奴隷娘「ぇ……」
殺し屋「怯える必要も、無理する必要もない。頼ってくれても構わん」
奴隷娘「……」ジワッ
殺し屋「なにしろ、ちゃんと居場所もあるしな」
奴隷娘「……」ポロッ
殺し屋「どうした?」
奴隷娘「……あ、ありがとう、ごさいます」ゴシゴシ
殺し屋「なんだよ、オイ。泣く事はないだろうに」アワアワ
奴隷娘「い、いえ、なんとなく安心してしまって……」ポロポロッ
殺し屋「それは嬉し泣きか?」
奴隷娘「嬉し泣きです……」ポロポロ
殺し屋「そうか……そりゃ、良かった」ガシガシ
奴隷娘「はい」
171: 1 ◆4O/QUf00mI:2011/10/23(日) 23:05:15 ID:.yw9LayCwY
殺し屋「……」
奴隷娘「……」ゴシゴシ
殺し屋(涙目だと、気まずいな)
奴隷娘「……」ソワソワ
殺し屋「あ、そう言えば」
奴隷娘「どうかしましたか?」ゴシゴシ
殺し屋「これから、お前は何て呼べばいい? 『お前』とかじゃ嫌だよな」
奴隷娘「そうですね。名前ないんですよね、私達」グズッ
殺し屋「そこが困った所だよな。ハイ、鼻紙」
奴隷娘「困りましたね。あ、すみません」チーン
殺し屋「そうだな……じゃあ、今から考えるか?」
奴隷娘「い、いきなりですね」
殺し屋「やはり困るからな、早めに考えといた方がいい」
奴隷娘「それもそうですね。わかりました。考えてください」
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