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女「職業がスパイ?」
[8] -25 -50 

1:🎏 :2011/10/31(月) 13:43:13 ID:xGR/No6vHM

とある北の国の森の中。
一人の若い女が川岸に腰を降ろし、覗き込んでいた。

女「本当にツイてないなぁ」ハァ

女「朝からバナナの皮を踏んで転んじゃうし、洗濯してた服は風に吹かれて高い木に引っ掛かっちゃったし」

女「もー、えい!」

女は近くにあった小石を握り、川に向かって投げた。
そっちへと何気なく視線を向けると、川の反対側に何がが浮いているのが見えた。

女「ん?」

女「…なんだろう、あれ」

女は落ちていた少し大きめの木の枝を掴み、そのままスカートの裾を片手で束ねて膝まで捲くり上げて、浅い川の中にザブザブと入って行く。

女「つーんつーん」ツンツン

近くまで行って、木の枝でそれをツンツンと突きながら、目を凝らしてみると人間の肌らしきものが見えた。

女「きゃあああぁあ!死体ぃいいいい!!」ガクブル

女「……あれ?」

?「はぁ…はぁ…」

死んでると思った人間は微かに息をしている。

女「まだ生きてる!!」

女「早く助けなくちゃ!」ワタワタ





2:🎏 :2011/10/31(月) 17:21:28 ID:BA4ZmfDMAk


?「……ん?」パチリ

女「目、覚めました?」キラキラ

?「!?」


 川岸で女に助けられた男が目を覚ますと、視界全部に女の顔が映った。
その異様な光景に、男は驚いたように目を丸くしている。


?「近付くな、何者だ」チャキッ


男は裾から小さめな銃を取り出しながら安全装置を外して、女の眉間に当てて押して少し自分から離す。
それから目を細めて、男は威嚇するように低くそう言った。



3:🎏 :2011/10/31(月) 17:22:13 ID:BA4ZmfDMAk


女「へ?ピ、ピストル!?」アワワワ

女「う、撃たないで!」ガクブル

女「お金とかなら少ししかないですけど、あの棚の上にありますから」ガタガタ

?「…ぷっ」クスクス

女「え?」

?「銃=強盗だと思うな。安心しろ。私は金など盗る気も、君を傷つける気もない」


怯えてガタガタ震える女を見て、男はさっきとは打って変わって、目尻を下げ可笑しそうに笑った。


女「安心したいんで、銃降ろしてください」ガタガタ

?「ん?あぁ、すまない」



4:🎏 :2011/10/31(月) 17:38:42 ID:AdvBgLuYrI


?「で、私は何故ここにいるんだ?」キョロキョロ

?「見たところ家の中のようだが」

女「あなたが川岸に打ち上げられてたのをあたしが発見したんで、とりあえず家まで運んでみました!」

?「凄い行動力だな」

女「はい!一生懸命引きずりました!」キラキラ

?「どうりで全身が痛いわけだ」ヒリヒリ



5:🎏 :2011/10/31(月) 18:00:49 ID:OYJdKI4SKU

?「それと、ここまで運んで来た時に誰かに見られたりしなかったか?」

女「へ?誰か?」

女「たぶん、誰も見てないと思いますけど。ここらへん人気ないですし…」

?「そうか、ならよかった」

?「とにかくありがとう」ニコリ



6:🎏 :2011/10/31(月) 18:01:29 ID:P6NKs4j.xY


?「……だが、濡れたままの服で暖炉の前に転がしておくのはどうかと思うが」


男がそう言って視線を送ったのは、すぐ真隣にある暖炉。

パチパチと軽い音をさせて燃える火は男の濡れたままの乱れた短い髪を映した。

身に纏うYシャツはいくらかは乾いているが、ところどころ身体に引っ付いていて、グレーのスーツのズボンは色を濃くしたままだ。


女「ふ、服濡れたままだと風邪ひいちゃうから、暖炉で服乾かそうと思って!」

女「だってさすがに着替えさせられないですし……」ゴニョゴニョ

?「発想が原始時代だな」

女「それほどでも」テレテレ

?「一切、褒めてないぞ」



7:🎏 :2011/10/31(月) 18:07:28 ID:CFD0b4ypFo


女「ところで、お名前は?」

K「名前か?まぁ、Kとでも名乗っておこうか」

女「かなづちのK?」

K「うるさい」

女「だって溺れてたじゃないですか」

K「否定出来ない」

女「おじさんなのに」

K「おじさんじゃない、いい感じに熟してる。と言ってくれ」

女「それもどうかと思いますけど」



8:🎏 :2011/10/31(月) 18:23:52 ID:CFD0b4ypFo

女「じゃあKってイニシャルかなんかですか?」

K「さあな」ニヤリ

女「何ですか、それー」ムスッ

女「名前くらい教えてくれてもいいじゃないですか」

K「だからKと言っているだろう」

女「もう、馬鹿にしてるー!」

女「なら、あたしも教えないですから」フイッ

K「別に知りたくないが」

女「なんかムカつきます」ムカムカ

K「そうむくれるな」ムニムニ


怒って頬を膨らせたままそっぽを向いている女の頬を、男は指で摘みながら自分の方へと顔を向かせた。



9:🎏 :2011/10/31(月) 18:27:56 ID:UCE./nqCUc


K「仕方ないな、職業くらいなら教えてやろう」

女「わーい」キラキラ

K「スパイだ」

女「職業がスパイ?」

女「うーわ、わかりやすい嘘ついて!」

女「あたしが若いからって馬鹿にしてます?」ムスッ

K「馬鹿になどしていない」

K「本当の事を言っただけだ。私はベテランのスパイ、それが知りたかったんだろう?」

女「はいはい、かなづちのベテランのスパイなんですね。凄いすごーい」

K「信じてないな」

女「だって本当にスパイなら言わないですよ」

K「じゃあもし本当にスパイならなんて言うんだ?」

女「……ホームレスとか…?」

K「じゃあホームレスだ」

女「やっぱ馬鹿にしてますよね?」


10:🎏 :2011/10/31(月) 19:51:02 ID:NvGMdMA3eI


K「だから馬鹿になど…」ピキッ

K「ゔっ!」

身体の体制を変えようと腕に力を入れたら腕に激痛が走り、Kの顔が歪んだ。
そこへ視線をやると、右の二の腕を被う白いYシャツが真っ赤に色付いていた。


女「け、怪我してる!」アタフタ

K「今さら気付いたのか」

女「運ぶので精一杯でして」キリッ

女「そんな事より手当しないと!」つ救急箱

K「いや、たいした事はない」

K「ツバでも付けとけば治る」

女「おじさんくさいですよ」

K「今のは傷ついた」



11:🎏 :2011/10/31(月) 20:01:06 ID:CFD0b4ypFo


K「とにかく大丈夫だ」

K「いろいろ世話になったな」ガタガタ


Kはそういうと右腕を庇いながら立ち上がり、暖炉脇に掛けてあったグレーの背広を取って袖を通した。


女「え、何してるんですか?」

K「何って、外へ出て行くだけだが」キッパリ

女「そんな怪我して外って…」ワタワタ

女「それに今は夜で真っ暗だし、まだ渇き切ってないからカナリ寒いですよ?」


もう夜も更けているのだろう、女が指差す窓には真っ暗な暗闇が映し出されている。
だが、Kはそんな事もお構いなしに背広のシワを伸ばすと、乱れていた前髪を掻きあげて撫で付けた。


K「心配するな。これ以上迷惑はかけられない」ニコリ

女「でも…」


外へ出て行こうとするKを引き止めようと、女が手を伸ばすとKはいきなりその手を掴み、女に歩み寄った。



12:🎏 :2011/10/31(月) 20:50:17 ID:BA4ZmfDMAk


K「そんな事より自分の心配をしたらどうだ?」


Kは眉間にシワを寄せて、女にさらに近づいて行く。
威圧に押されて女が一歩ずつ下がるとKは一歩ずつ寄っていった。


K「若い女の子が、男なんか部屋に連れ込んで」

女「怪我してたからですよ!それにさっきから言い方がおじさ…」ドンッ


急に女の背中は壁にぶつかった。
いつの間にか追いやられていたようだ。
すると不意にKの顔が目と鼻の先にまで近づいていた。



13:🎏 :2011/10/31(月) 20:51:38 ID:BA4ZmfDMAk

女「!!」

K「私はこれでも男なんだ」クイッ


Kは女の顎に手を添えて少し上にあげると、耳元に口を近付けた。


K「いつでも君を襲える」ボソッ

女「……なっ///!」カァアッ

女「もう!早く出てってください、おじさん!」ドンッ


女は真っ赤になりながら渾身の力でKの胸板を押して玄関のドアまで押しやると、そのまま外へと出した。


「二度と来ないでください!」ベー


女はKにあっかんべーと舌を見せると、思いきりドアを閉めて鍵も閉めた。


14:🎏 :2011/10/31(月) 20:56:05 ID:NvGMdMA3eI


外へと出されたKは押されて乱れたスーツを整えると、乱暴に閉ざされたドアに視線を向けた。


K「すまなかったな、親切なお嬢さん」

K「これ以上巻き込んだら、関係のない君まで危険に曝してしまう」


Kは寂しそうに視線を落として小さくそう呟くと、その家に背を向けて歩き始めた。


K「それにしても元気の良いお嬢さんだったな」クスクス

K「………銃で脅した方が私らしかったかな」カァア



15:🎏 :2011/10/31(月) 21:25:23 ID:CFD0b4ypFo
ここまで支援ないのってこのSSだけな気がするww

記録達成www
…寂しい記録だな

とりあえず今から回想のアクションシーン行きます!


16:🎏 名無しさん@読者の声:2011/10/31(月) 21:31:14 ID:yZ2zZwQEPc
いいよいいよー

つ四円
17:🎏 名無しさん@読者の声:2011/10/31(月) 21:34:12 ID:sjbXxa5pvQ
あ、アンタの為なんかじゃないんだからっ(//∀//)つC

男だけどね…
18:🎏 :2011/10/31(月) 21:39:21 ID:oiC72V.arM
>>16
>>17

二人も支援してくださるなんて!!
感激で涙と鼻水がとまりません(・`ω・)キリッ

ツンデレwww
ナイス!!ww

19:🎏 名無しさん@読者の声:2011/10/31(月) 21:44:01 ID:04zBwiAkCA
CCCCCCCCCCCC
Cばかっ       C
Cあんたが気付いてないC
Cだけなんだからっ  C

CCCCCCCCCCCC
20:🎏 :2011/10/31(月) 21:57:02 ID:xGR/No6vHM
>>19
嬉しい(´;ω;`)ブワッ
気付いてなかったよ…!

抱 き し め て い い で す か?


よーし更新がんばるヽ(*´∀`)ノ!!
21:🎏 :2011/10/31(月) 22:23:52 ID:xGR/No6vHM


――数時間前


とある山の奥にある大きな工場。
使われなくなった今、この工場へ足を運ぶ者などいないはずなのだが、何故かそこには数十人の人間が集まっていた。


ネロ「ルー、これで全員?」

ルー「あぁ。みんな揃ったはずだ」


数十人に囲まれている男が二人顔を見合わせた。
背が低く緑色の服を着た男がネロ、背が高く赤い服を着た男がルーらしい。

ルー「今日は急遽、集まってくれて感謝する」

ルー「いくつか報告があって、ここに集合をかけた」

ネロ「やっと、今までの努力が報われる時が来たんだ!」

皆「うぉおおお!!」


天井の高い工場の広場でネロとルーを中心にして盛り上がっている時、工場の二階に登る階段の最高段に二つの影があった。



22:🎏 :2011/11/1(火) 00:06:53 ID:vs1J6Bpbok


A「ルーとネロ、何をする気なんだろう」コソコソ

K「さぁな」コソコソ


息を懲らしながら、二人は下に広がる人間の群れに視線を向けていた。
群がる人間は誰もが汚い恰好をしていて、見るからに安い賃金で雇われている労働者のようだ。

近々、北の国の王様と南の国の王様が手を組んで二つの国を一緒にしようという同盟が組まれた。

国民はそのニュースに湧いたが、その裏で指名手配になっているルーとネロが仲間を作り、阻止しようと動いているのを関知したとの連絡が北の国と南の国のスパイの組織に入った。

そこでその任務を遂行する事になったのが、ここにいるKとAだった。


ルー「やっと出来上がったんだ」ニヤリ


ルーはそう言うと箱から赤いキラキラと光る小さな何かを出した。


23:🎏 :2011/11/1(火) 00:21:14 ID:XUvetU6So.


K「遠すぎるな…」


Kは脇に置いてあったバックからサングラスのようなモノを取り出し、目に装着した。

腰のベルトからフックの着いた紐を引っ張り、階段の手摺りに固定する。

それからもう紐の階段の反対側にある金属の骨組みのところへと投げて引っ掛けた。

工場の端から端に紐を通したのだ。


A「気をつけて」

K「あぁ」


手摺りと骨組みに引っ掛けた紐に縄を輪にして通して、腰のベルトに括りつけた。

そのまま両腕で紐を手繰るように、階段の方から骨組みの方へとゆっくりと移動する。

ちょうど人間の群れの真上になったところでKは手を紐から手を離し、宙づり状態のままサングラスのようなものの柄の部分を触った。

ズーム機能があるようで、柄を触る度にサングラスに映っているものが倍になっていく。


24:🎏 :2011/11/1(火) 00:54:14 ID:1Z/UsIW8Is


ルー「あぁ、コレさえあればこの国も終わりだ」ニヤリ

K「ルビー?」


ズームされて映ったのはルーの手に持たれている赤く光るルビーの宝石だった。

ただ美しく輝いているだけで、特に変わったところは見受けられない。


A「宝石のルビーなの?」


送信器を通してAの声がKに届いた。


K「あぁ、ただの見た目はルビーだ」

K「だが、写真は撮っておこう」

A「あ、写真なら俺やるよ」

A「今日、Tから新しい最新カメラ借りたからさ」

K「そうか、なら頼んだ」


25:🎏 :2011/11/1(火) 00:56:04 ID:1Z/UsIW8Is


Aは意気揚々と、バックから小型カメラを取り出すと、ルーが持ってルビーに向ける。

Kは写真をAに任せて、また紐を手繰って階段の方へと戻ろうとしていた。

シャッターをAが押そうとした刹那、カメラについていた付属品が一つカメラから取れて重力に従って下へと落ちていった。

Aは慌てて手を出すが一瞬遅く、部品は虚しくも集団の集まる1階へと落ちた。


カァンッ


音がすると共に、ネロとルーは上にいたAとKを目で捕らえた。


ネロ「スパイだ!」

ルー「逃がすな!!」



26:🎏 名無しさん@読者の声:2011/11/1(火) 01:05:15 ID:etb2FfO1cY
とりあえずC
期待C

27:🎏 :2011/11/1(火) 01:43:07 ID:AZN8vEPq8w
>>26

支援と期待ありがとうございます!

これからも頑張りますヽ(*´∀`)ノ



今日はこれで終わりです。
また明日の夜に来ます!

ではおやすみなさい
28:🎏 名無しさん@読者の声:2011/11/1(火) 12:48:05 ID:0Kq6ORdxFs
C
29:🎏 :2011/11/1(火) 22:53:07 ID:XUvetU6So.
>>28

支援ありがとうございますヽ(*´∀`)ノ
その素っ気ない感じの支援、きっとクールな人なんですね!
クールに見せかけて、実は気にしてくださってr

そんな妄想は置いといて

やっと帰宅したので更新していきまーす!
もう少しアクションシーン続きます!
30:🎏 :2011/11/2(水) 07:20:57 ID:.F.3lH/78g


みるみるうちに下にいた集団はKとAを捕まえるために、ネロとルーを先頭にしてわらわらと散らばり始めた。


K「二手に分かれるぞ!」

A「了解!」


Kがそう叫ぶと、Aは置いてあったカバンを持って、階段を駆け登って2階へ向かった。

Kはポケットから手乗りサイズの小さな爆弾を取り出してスイッチを押してから、素早く一階に向かって投げ込む。

ドォオン!と爆発音が鳴り響き、古い工場の壁は相当脆かったようで、すぐに崩れて一階はガレキに埋もれていった。

それに加えて、一階にはガソリンがあったのか、それに引火して炎上している。

炎の燃え上がる上で宙ぶらりんのままのKは階段へ引き戻そうと視線を向けると、すぐそこまでネロ率いる集団が迫っていた。


ネロ「やぁ、K。久しぶりだな」ニヤリ

ネロ「おとなしく降参したら?」チャキッ

ネロはそう言って、銃口をKに向けた。



31:🎏 :2011/11/2(水) 09:39:55 ID:XUvetU6So.

K「いや、遠慮させてもらう」


Kは階段側に括り付けてあった紐をナイフで素早く切り、一つ支えを失った紐はそのままもう片方の支えがある骨組みの方へとスイングする。

炎の上を通過して、反対側の壁に当たる前に下に出っ張っている違う骨組みの上に着地した。

しかし少しバランスを崩したのか、骨組みから片足がズルりと滑る。

身体は宙に投げ出され、炎の渦へと落ちかけた時、なんとか骨組みのところを掴んだ。



32:🎏 :2011/11/2(水) 22:52:54 ID:AZN8vEPq8w


だが、すぐ下では炎が燃え盛り、火の粉が舞い上がっている。

Kは骨組みに攀じ登ろうと腕に力を入れた刹那、キュインッと嫌な音が聞こえ、頬に痛みが走った。


K「ちっ…」


一筋の血が頬から流れる。
弾が流れて来た方に目を向けると、眉間にシワを深く刻み不機嫌そうに顔を歪めるネロが銃を向けて立っていた。


ネロ「チョロチョロとうぜぇんだよ」


パンッ!



33:🎏 :2011/11/3(木) 12:04:37 ID:1Z/UsIW8Is


K「!!」

ネロ「くそっ!」


銃声が鳴ったかと思うと、ネロが持っていた銃を手から落とし、痛みに堪えて歯を噛み締めていた。


A「大丈夫!?」


Aはそう言うと、骨組みに捕まっていたKを引き上げた。
ネロの手を撃ったのはAのようだ。


K「A、すまない。ありがとう。だが……」


Kは素早く立ち上がるとおもむろに銃を引き抜き、Aの背後へと数発撃った。


敵1「ぐはっ」ドサッ

敵2「うっ」ドサッ


K「他人にばかり構ってはいけないな」

A「ゴメン…」

K「ほら、行くぞ!」


AとKの目線の先には階段から、二人がいるところへと向かってくるネロ達が映った。


A「おっと。こっちはダメそうだね」


二人はそのまま走って、違う通路から二階へと登る。
それに続くように敵達も二階へ続いて行った。



34:🎏 :2011/11/3(木) 15:16:27 ID:SFi0c66N7.


ネロ「逃がすな!」


AとKは2階3階へと階段を駆け登っていった。
ネロ率いる団体はAとKを銃で撃ちながら、しつこく追い回していく。


A「もー、しつこいな!」

K「そうだな」


Kは4階まで上るとくるりと後ろを向いて、いきなり柱を銃で数発撃った。
穴が開いた脆い柱は崩れ、3階から4階へ繋がる階段の天井が大きな音をたてて落ちた。


A「K、ナイス!これでしばらくは大丈夫だね」

K「だからって気を抜くな。今回の相手はいつもと違うんだ」

A「はーい」


KとAは4階から屋上へと出た。
屋上はヘリポートとして使っていたらしく、広いだけで閑散としている。



35:🎏 :2011/11/3(木) 15:48:27 ID:AZN8vEPq8w


A「よし、早く逃げよう」ガシッ

A「!?」

ネロ「残念だったな」カチャッ

A「ちっ」


ネロはAの腕を掴み、こめかみに銃口を向けた。


ネロ「逃げられるとでも思ったのかよ」ニヤリ


いつの間にか屋上にはネロと集団が集まり、Kを囲んでいた。
背後は柵があり、そこからは空が広がっている。


ネロ「大人しく銃を捨てろ。Aがどうなってもいいのか?」

ネロ「ベテランスパイさんよ」ニヤリ

K「…わかった」


Kは言われるがまま、手に持っていた銃を地面に落とした。
そうすると同時に後ろへ数歩下がり、素早く柵に手をかけて飛び越えた。
そのまま空へと身体を落とす。
5階から飛び降りたのだ。


ネロ「!?」


ネロや敵が急いで、柵から身体を乗り出して下を覗くと、一つのパラグライダーが暗闇に一つ浮かんでいた。


ネロ「ふざけやがって!!」


ネロたちはそのキャノピーを銃で何発も繰り返し撃った。



36:🎏 :2011/11/3(木) 16:34:04 ID:cSpAHp.McE


その頃、工場の下に流れる川に一台の小さなボートと一人の影があった。
黒い大きな布を被り、周りの暗闇に溶け込むように存在している。


K「こちら、K」


Kはトランスミッターを口元にやり、小さく囁いた。
キャノピーで飛んでいたのは囮だったのだ。


本部「何か情報は掴めたか?」

K「はい。一応は」


Kが耳に寄せるレシーバーから、低い声が響いた。


K「ただ、Aが捕まったので救助に行きます」

本部「そんな奴は放っておけ」

K「しかし…」

本部「そんな事をしてお前まで捕まったらどうする気だ」

本部「心得を忘れたのか」


キュインッ

K「!?」


突然、レシーバーが弾で弾かれた。
手から滑り落ちてポッシャンと音を立てて川に落ちる。
目を見開いてKが視線を向けると、そこには銃を向けたルーが立っていた。



37:🎏 名無しさん@読者の声:2011/11/3(木) 16:46:37 ID:AZN8vEPq8w


ルー「やぁ。こんばんは。K」

K「ルー…!」

ルー「今日は良い月が出ていますね」

ルー「なのに黒い雲が邪魔です」

ルー「……あなたのように」


ルーはそう言うとKに向かって弾を何発か撃ち込んだ。


K「うぐっ!」ボシャンッ


Kは撃たれた衝撃でボートから転落し、川へと沈んで行った。


ルー「コレで作戦通り」ニヤリ


38:🎏 :2011/11/3(木) 16:47:43 ID:AZN8vEPq8w
上のは自分です!

また夜に更新しにきまーすヽ(*´∀`)ノ

女の子も読んでねーww
39:🎏 名無しさん@読者の声:2011/11/3(木) 17:49:11 ID:ktUt9u0AiY
心は女の子がよんでるよw
40:🎏 :2011/11/3(木) 19:14:34 ID:Ams6nMNmjg
>>39
やったー!女の子が読んでくれて……
なに!?心だなって事は男だな!?
ちくしょー騙された!
でも、それでも凄い嬉しい、ありがとうヽ(*´∀`)ノww

41:🎏 :2011/11/3(木) 19:19:07 ID:.F.3lH/78g







Kを家から出した後、女は暖炉の前でグルグルと周りながらぶつぶつと何か呟いていた。


女「おじさんを追い出したのはいいけど、やっぱ可哀相だったかな」グルグル

女「いや、そんな事ない!せっかく助けてあげたのに変態だったし、自業自得よね!」グルグル

女「……でも寒いよね、こんな中外にいたら風邪ひいちゃうかも…」グルグル

女「ううん、あんな人心配する必要なんかない!」グルグル

女「……けど怪我もしてたし……」グルグル

女「あー、もうどうしよう!!」ポカポカ

T「面白いなー、お前」

女「へ?」



42:🎏 :2011/11/3(木) 19:19:54 ID:.F.3lH/78g


女は声がした方に目線を向けると、色眼鏡を掛けた背の高い男が椅子に腰掛けていた。


女「きゃああああああ!!!」

?「ちょ!!なに!?」

女「だ、だ、だ、誰ですか!?」

?「いや!怪しいもんじゃないよ!ただ人探ししてて…」

女「勝手に入って来ないでくださいよ!」

?「ノックしても返事がなかったから開けたんだけど」

女「あ、ゴメンなさい!でも鍵したはず…」

?「あぁ、ここのドアは簡単な鍵だね」

女「ピッキングですか、最低」

?「そんなにハッキリ言わなくても」



43:🎏 :2011/11/3(木) 19:21:16 ID:Ams6nMNmjg
ああああ!!
>>41の名前を?にするの忘れたあああ!!

一回吊ってきます

44:🎏 :2011/11/3(木) 20:20:03 ID:FM94wc4.O6


?「まぁまぁ落ち着いて」

女「知らない人がいきなりピッキングして家に入ってきて、落ち着けるわけないじゃないですか」

?「じゃあノックするとこから始める?」

女「今からじゃ完璧遅いですから」

女「で、用ってなんですか?」

?「あぁ、人探し」

?「んで、さっきぶつぶつ言ってたおじさんって、この人?」


色眼鏡を掛けた男がポケットから取り出した写真には、グレーのスーツを着たKが写っていた。


女「あ!そう!この人!」

?「おっ、ビンゴ」

?「で、今この人どこかわかる?」

女「追い出しちゃったからなー」

?「え」


45:🎏 :2011/11/3(木) 20:41:36 ID:g/4JcTXXFc


?「追い出したって?」

女「さっきまでKを家で寝かせてたんですけど、途中で起きて変態発言するから追い出しちゃいました」

?「寝かせてた?」

女「川で溺れてたから」

?「川で?Kが?」ブハッ


男はそう言うと、腹を抱えて声高々に笑い始めた。


女「だって本当に溺れてたんですもん!」ムスッ

?「あー悪い悪い、つい面白くて」


男は目頭に溜まった涙を人差し指で拭ってから、眼鏡をかけ直すと椅子から立ち上がり、玄関の方へ向かった。



46:🎏 :2011/11/3(木) 20:44:19 ID:g/4JcTXXFc

?「とりあえずありがとう。ココに来てたなら、まだこの辺にいるだろうし」

?「Kが世話になったな」ニコリ

女「あ、いえいえ。そういえばあなたはKの友人なんですか?」

?「んー、友人っていうか……なんだろう。恋人かな?」

女「へ!?」

?「おいおい、冗談だよ」ブハッ


男は女の驚いた顔を見ると吹き出して、手を横に振った。


?「俺とKはただの仕事仲間。お前、やっぱ面白いな」

?「じゃーな」


男が出て行こうとドアに手をかけると、女は何か思い出したように、あ!と声をあげた。


女「そういえばK、怪我してました!」

?「怪我…?」


そう聞く男の目が眼鏡の奥で細くなる。


女「はい。カナリ深手の…」

?「……」


男は眉を寄せて険しい表情になったあと、首を横に振って、女から顔を背けた。


?「あー、いろいろありがとうな!」


男はそう行って、真剣な顔をして外へ走って出て行った。



47:🎏 :2011/11/3(木) 21:11:17 ID:EKSJzxcqmM

K「本部に連絡をとりたいが」トボトボ

K「無線もない、携帯もない、着替えもない」トボトボ

K「工場も場所がわからないし」トボトボ

K「どうするか…」トボトボ


Kが腕を押さえながら山道を歩いていると、背後から車のエンジン音が聞こえてきた。

Kは反射的に近くの木の裏へと息を潜めて身体を隠す。

だが、その走ってきた車を見るとKは微笑みを浮かべて、車の前へ飛び出した。


K「T!」


車はKの姿を見つけると急ブレーキをかけて止まって、中から色眼鏡を掛けた男が救急箱を持って出てきた。


K「よかった、今どうしようかと…」ホッ

T「おい、腕見せろ」


安心して頬を緩ませるKとは反対に、Tは眉間にシワを寄せたままKの腕を掴んだ。

Kの腕には自分で止血したのかハンカチが巻かれているが、そのハンカチも真っ赤に染まっていた。



48:🎏 :2011/11/3(木) 21:14:06 ID:EKSJzxcqmM


K「あぁ、この傷か?この程度なら大丈夫だ」

T「はいはい、強がりね」


Tはそう言うと救急箱からピンセットと、ガーゼと包帯、消毒液を取り出す。
ハンカチを取り、消毒液を掛けて血を流すと、傷口を何方向かに向けて眺めた。

T「中に弾入ったままだから、取るからな」

K「い、いや!大丈夫だ!」

T「痛くない痛くない」


Kが顔を歪めて拒否するも、Tはピンセットを消毒し始めた。


T「そういや、Kって泳げないの?」

K「は?」

T「さっき女の子がKは溺れてたって言ってたから!」グイッ

K「うっ!」


TはKの気を反らせてから一気にピンセットで傷口から弾を取り出した。


49:🎏 :2011/11/3(木) 21:20:09 ID:EKSJzxcqmM


T「はい、取れた」

K「あ、ありがとう」

K「だが、溺れてはいないからな」

T「はいはい」ギュッ

K「っつ!!」


Tは包帯を強くまくと、終わり、というように腕をポンポンと叩いた。


K「ちょっとキツ過ぎはしないか?」

T「止血も兼ねてだからいいの。文句言わない」

T「つーか、本部から連絡途絶えたから周辺探して来いって頼まれたのにいないから心配したんだからな!」

K「すまなかった。連絡を取る手段がなくてな」

T「あ、あと一応持ってきておいた。Kの服」

K「助かる」


Kが濡れたままのYシャツのボタンを外していると、Tは何か探すようにキョロキョロと辺りを見渡した。


T「あれ?そういえばAは?」

K「……その事で頼みがある」

T「頼み?」

K「工場へ行ってくれ」



50:🎏 :2011/11/3(木) 21:29:28 ID:cSpAHp.McE

T「工場?なんで?」

K「Aがあいつらに捕まったままなんだ」

T「助けに行くつもりかよ」

K「ああ」

T「他のスパイを助けに行くのはスパイとしてルール違反だろ?」

K「わかってる。だが…」

T「そんな怪我して、ルーやネロに勝てるとでも?」

T「それにAが捕まったのは何時間も前なんだろ?」

K「わかってる!」

K「言いたい事はわかってる。ただ、あいつは俺のパートナーだったんだ。工場へ車を走らせてくれ」

T「……了解。ほら、助手席乗って」

K「あぁ」
51:🎏 名無しさん@読者の声:2011/11/3(木) 21:30:10 ID:CmdQzk9Fwc
面白いな

っCCCCC
52:🎏 :2011/11/3(木) 21:42:18 ID:1Z/UsIW8Is


KとTが着いた工場は数時間前とは違い、ボロボロに崩壊していた。


T「派手に暴れたなー」

K「ちょっとな」

T「とりあえず、もうネロとルーは居なさそうだな」

K「……」


TとKは車から降りると、工場の周りをぐるりと歩き、中に入れそうなところを探した。


T「こっちから入れそうだ」

K「わかった」


二人は瓦礫を倒したり、退けながら中へと歩いて行くと、一つのぽっかりあいた空間に見慣れた人間が瓦礫に背を預けるように横たわっていた。


K「A!!」


Kはすぐさま近寄って身体を抱き起こすが、力はだらりと抜けて、手足の末端は冷たく固くなっていた。
Aの瞼は固く閉ざされ、顔青白い。
ところどころに殴られたような跡と、切り傷があり、身体はボコボコといびつな形をしていた。


Kは一度Aの身体を抱きしめると、ゆっくり離してAに向かって手を合わせた。


K「……T、本部に連絡を」

T「あぁ」



53:🎏 :2011/11/3(木) 21:44:44 ID:XUvetU6So.
>>51

支援ありがとうございますヾ(*・ω・)ノ
!!

54:🎏 :2011/11/3(木) 22:10:25 ID:g/4JcTXXFc


次の日の朝。
女は鼻歌混じりに鍋を掻き交ぜていた。

女「るんるるーん♪」

女「昨日は変な事ばっただから、今日はいい日だといいなー」ニコニコ

女「さーて、味見っと」

女「ペロッこれは青酸カリ!?」

女「……一回やってみたかったんだよねー」エヘヘ

女「さーて!本当に味見を」ペロッ

女「う!!……マズっ。甘すぎー」ベー

女「塩と砂糖間違えちゃった」ガックリ

女「今日もいい事なさそう…」ショボン


女がガックリと肩を落としていると、ドアのノック音が聞こえてきた。



55:🎏 :2011/11/3(木) 22:27:01 ID:AZN8vEPq8w

女「はーい」トテトテ

女「こんな時間に誰だろう」ガチャ


女が玄関のドアを開けると、外にはネロが立っていた。


ネロ「こんにちはー」

女「こんにちは。僕、お姉さんに何か用?」


女は背の低い童顔のネロの頭を撫でながらそう言うと、ネロは怒りで顔を真っ赤にして手を振り払った。


ネロ「子供扱いすんな!」

女「元気いいねー」ニコニコ

ネロ「はぁ…」


話しを聞く耳持たずニコニコとする女に、ネロは呆れながらぶすくれていた。


女「で、今日はどうしたのかな?」

ネロ「あー、そうそう」

ネロ「グレーのスーツ着た男、知らねぇ?」

女「グレーのスーツ?」

女「あぁ、それなr」

?「あー!!」


女が昨日家にいた、と答えようと口を開いた瞬間、いきなり叫び声が聞こえた。



56:🎏 :2011/11/3(木) 22:47:40 ID:EKSJzxcqmM


?「いやー、探した探した」タハハ


叫び声を上げた男は手で髪を掻きながら、笑って女とネロのところへ歩み寄ってきた。
男はサングラスを掛けて、GパンにYシャツのラフな恰好をしている。


女「へ?」

ネロ「誰だ、てめぇ」ギロッ

?「おいおい、従兄弟の顔を忘れたのか?」


睨みを効かせているネロに視線すら向けず無視して、男は不思議そうに首を傾げている女と肩を組んだ。


?「久々にこっち来たけどすっかり迷っちゃってな」

?「とりあえず、この辺案内して欲しいんだが」


男はそう言って、さりげなくネロから女を遠ざけて歩き出した。



57:🎏 :2011/11/3(木) 23:00:00 ID:Ams6nMNmjg


女「あ、あの、人違いじゃ…」


馴れ馴れしく肩を抱く男から離れようと手で押しのけると、男の人差し指が女の口元に触れた。


K「しぃ、静かに。私だ、Kだ」

女「K?」


男がサングラスを少しズラすと、エメラルドグリーンの瞳がチラリの覗く。
それは昨日、女が助けたKと同じだが、服装も見た目も話し方も全く違うせいで、女の頭は混乱していた。
それに出て行ったKがいきなり朝になって、従兄弟のフリをして現れた意味もわからなかった。


K「じゃあ行こうか」

ネロ「おい、待てよ」


Kがそのまま女を連れて行こうとすると、不機嫌そうに青筋を浮かばせるネロがKの腕を掴んだ。



58:🎏 :2011/11/3(木) 23:12:36 ID:aFLpXIlUeE


K「ん?なんだ?」

ネロ「俺はこの女に用があるんだよ、邪魔すんな」

K「じゃあすぐ帰ってくるから、ここで待っててくれ」

ネロ「今、用があんだけど」

K「じゃあ仕方ないな」プシュー

ネロ「うっ!!」


Kはそういうと、素早くポケットからスプレーを出してネロの顔に吹き掛けた。


K「行くぞ!」

女「えぇ!?」


ネロが目を真っ赤にして擦っている間に、Kは女の腕を引いて走り出した。



59:🎏 :2011/11/4(金) 00:33:41 ID:vs1J6Bpbok


ネロ「ふざけやがって!」


ネロは目を真っ赤にしながらすぐにKと女のあとを追った。

Kは女を腕を引いて、木々が鬱蒼と茂る森の中へと入った。
そのままスピードを緩める事なく、木々の間を走る。


ネロ「ぶっ殺す!」バン!


ネロは背後から走るKの足元を狙って銃を向けて何発か撃った。


女「え?銃声!?」

K「気にせず、走れ」

女「いやいやいや!無理です無理!怖いです!」ガクブル


その刹那、焦ったのか女の足が縺れてコントロールが効かなくなり、女の身体は前につんのめった。



60:🎏 :2011/11/4(金) 20:35:38 ID:cSpAHp.McE


女「きゃっ…!」


女が前へと倒れそうになった時、Kが腕を滑り込ませて抱えたかと思うと、そのまま持ち上げた。


女「へ?」

K「全く、世話がやけるな」


Kは止まる事なく女をお姫様抱っこしたまま、木々の間を走り抜ける。


女「いやいや!あの…!降ろしてください!!」ジタバタ

K「降ろしてもいいが、撃たれるぞ?」

女「……」ギュッ



61:🎏 :2011/11/4(金) 22:32:11 ID:FM94wc4.O6


ネロ「おとなしく止まれ!」


ネロはKと女と少し離れた後方から走りながら銃を構えた。


女「後ろ!後ろ!狙われてます!」アワアワ

K「あぁ、わかってる」


Kはそう言うと走っていた方向をいきなり右に変えた。

そのまま数メートル走っていると木々ばかりだった景色が一転して、急に視界が開けて目の前には山の麓にある街を見下ろすように全体に広がった。
だが、その足元は急斜面の下り坂だ。


女「行き止まり!?」

K「大丈夫だ。しっかり捕まってろ」ギュッ


Kは腕に抱えている女を自分の身体にグッと引き寄せて、急斜面の下り坂に飛び出した。


62:🎏 名無しさん@読者の声:2011/11/4(金) 22:35:25 ID:h4F3elAXVw
ひゅうぅぅぅぅぅぅ

こわっ(;゚д゚;)
支援
63:🎏 :2011/11/5(土) 03:54:06 ID:SFi0c66N7.
>>62
支援ありがとうございます!
高いとこって怖いですよねww
高層ビルとか落ちないってわかってても窓には近付けません。キリッ
観覧車に乗る事は自殺行為だと思います


64:🎏 :2011/11/5(土) 13:30:21 ID:.F.3lH/78g

女「きゃあああああああ!!」

女「落ちてる!落ちてる!落ちてる!」ガクブル


Kは女を抱えたまま下へ下へと速度を増しながら落下して行く。
女は恐怖に目を固く閉じると、突然ぶわっと風の音が耳元で聞こえた。

恐る恐る女が目を開けてみると、Kに抱えられた身体はゆっくりと地上に向かっていた。

Kが小さなパラシュートを地上近くで開いていたからだ。

ゆっくり地面に着地すると、Kは女を降ろして素早くパラシュートをしまい込む。

そこに一台の車が走ってきて、二人の前で急停止した。


T「早く乗れ!」


二人は車に乗り込み、そのまま街の方へと向かって行った。




ネロはその車を急斜面の上から見送りながら、マイクロフォンを口元に近付ける。

何かボソボソと小さくつぶやき、ニヤリと口角を上げた。



65:🎏 :2011/11/5(土) 17:31:11 ID:AZN8vEPq8w


車の中では助手席でKがホッと息をついた。


K「助かった、T。ありがとう」

T「街で待ってろとか言うくせに、KのGPSが山ん中にあったから気になってな」


TはそうKに笑いかけるとバックミラーを手で傾け、後ろに座って身を縮めている女が映るようにした。


T「で、お嬢ちゃんは大丈夫なの?震えてるけど」

女「……」ガタガタ

K「いきなり飛んだからな」

女「凄い怖かったんですからね!」


悪気もなく笑うKに向かって目頭に涙を溜めて女は叫んだ。



66:🎏 :2011/11/5(土) 17:42:46 ID:vs1J6Bpbok


K「お嬢さんを救うためだったんだ。許してくれ」


Kはそう言うと掛けていたサングラスを外した。


女「そういえばなんで昨日と全然違う格好で従兄弟のフリなんかしてたんですか?」

女「ヒゲもないし」

K「私だとバレないようにだよ」

T「Kの変装は凄いだろ?俺だってたまに見破れないんだから」

女「全然わかんなかったです」ホヘー



67:🎏 名無しさん@読者の声:2011/11/5(土) 17:48:20 ID:vs1J6Bpbok


Kはダッシュボードからポーチのような物を取り出すと、中から昨日ついていたようなヒゲを取り出した。


K「ヒゲがないと落ち着かないな」ピト

女「えー。付けちゃうんですか?ない方が全然若いのに」

女「付けたらおじさんに見えますよ!」

T「そうそう。せっかくだし、今はとっといたら?」

K「だが、スースーするからな…」

T「スカート着た時にいう事意見だよ、それ」



68:🎏 :2011/11/5(土) 18:02:36 ID:.F.3lH/78g
ここからアクションは一回おやすみして
ほのぼの入りますヽ(*´∀`)ノ

|柱|∀)チラッ{イラスト描いてもらえたら嬉しいなー…

69:🎏 :2011/11/6(日) 21:59:38 ID:Ams6nMNmjg
遅くなってすいません
今日から更新しますヽ(*´∀`)ノ
70:🎏 名無しさん@読者の声:2011/11/6(日) 22:01:35 ID:0SZjb8GrIA
まってた…!
わくてか(*´∀`*)キューン
71:🎏 :2011/11/6(日) 22:04:36 ID:g/4JcTXXFc
>>70

待っててくれた方がいたとか、

い ま な ら 飛 べ る 気 が す る

頑張りますヽ(*´∀`)ノ!
72:🎏 :2011/11/6(日) 22:56:21 ID:EKSJzxcqmM

T「はい、街。とうちゃーく」

K「いい街だな」

T「じゃあ女ちゃんも降りてね」

女「あ、はい」アセアセ

K「じゃあT、あとは任せた」

K「私は新しいスーツを探してくる」テクテク

T「りょーかい!」

T「じゃあ、行くか!」ニコリ

女「へ?どこにですか?」

T「女ちゃんの変身大作戦」

T「今のままじゃさっきの奴らにバレるからな」

女「バレる?」

T「まぁいいからいいから」



73:🎏 :2011/11/7(月) 12:02:38 ID:EKSJzxcqmM

女「あの、Kは?」

T「あー、あいつはスーツ適当に買ったら喫茶店かなんかで時間潰してると思う」

女「一緒に行動しないんですか?」

T「Kは人付き合い苦手だから」

T「それにセンスないし」

T「だから俺に任せて」

女「そういえばTさん…でしたよね?あたしより若くないですか?」

T「あー、そうかも。俺まだ21歳だし」

女「若っ!」

T「そうかな。まぁとりあえず服の上下から揃えにレッツゴー!」グイッ

女「えっ!ちょっと…!」


74:🎏 :2011/11/7(月) 12:21:16 ID:EKSJzxcqmM

T「女ちゃん白似合うから白で」

T「それからスニーカーは論外っと」

女「あわわわ」アタフタ

T「そういえば俺が若いなら女ちゃんいくつ?」

女「最近19になったばっかです」

T「俺より若いじゃん!」

女「でも車だって運転してるし、あたしより全然しっかりしてそうだから、もっと上かなーって」

T「あー、なるほどなー」

T「よし、服はこれで良し。次はヘアーサロン!」

女「もう頭がくらくらします」グルグル


75:🎏 名無しさん@読者の声:2011/11/10(木) 11:37:57 ID:fUOS.dk1OY
C
76:🎏 :2011/11/20(日) 00:50:46 ID:g/4JcTXXFc
長らく更新しなくてすいません!!
ちゃんと完結させるので、もう少しお待ちください
申し訳ありません
77:🎏 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
37.18 KBytes

名前:
sage:


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