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女「職業がスパイ?」
[8] -25 -50 

1: :2011/10/31(月) 13:43:13 ID:xGR/No6vHM

とある北の国の森の中。
一人の若い女が川岸に腰を降ろし、覗き込んでいた。

女「本当にツイてないなぁ」ハァ

女「朝からバナナの皮を踏んで転んじゃうし、洗濯してた服は風に吹かれて高い木に引っ掛かっちゃったし」

女「もー、えい!」

女は近くにあった小石を握り、川に向かって投げた。
そっちへと何気なく視線を向けると、川の反対側に何がが浮いているのが見えた。

女「ん?」

女「…なんだろう、あれ」

女は落ちていた少し大きめの木の枝を掴み、そのままスカートの裾を片手で束ねて膝まで捲くり上げて、浅い川の中にザブザブと入って行く。

女「つーんつーん」ツンツン

近くまで行って、木の枝でそれをツンツンと突きながら、目を凝らしてみると人間の肌らしきものが見えた。

女「きゃあああぁあ!死体ぃいいいい!!」ガクブル

女「……あれ?」

?「はぁ…はぁ…」

死んでると思った人間は微かに息をしている。

女「まだ生きてる!!」

女「早く助けなくちゃ!」ワタワタ





53: :2011/11/3(木) 21:44:44 ID:XUvetU6So.
>>51

支援ありがとうございますヾ(*・ω・)ノ
!!

54: :2011/11/3(木) 22:10:25 ID:g/4JcTXXFc


次の日の朝。
女は鼻歌混じりに鍋を掻き交ぜていた。

女「るんるるーん♪」

女「昨日は変な事ばっただから、今日はいい日だといいなー」ニコニコ

女「さーて、味見っと」

女「ペロッこれは青酸カリ!?」

女「……一回やってみたかったんだよねー」エヘヘ

女「さーて!本当に味見を」ペロッ

女「う!!……マズっ。甘すぎー」ベー

女「塩と砂糖間違えちゃった」ガックリ

女「今日もいい事なさそう…」ショボン


女がガックリと肩を落としていると、ドアのノック音が聞こえてきた。



55: :2011/11/3(木) 22:27:01 ID:AZN8vEPq8w

女「はーい」トテトテ

女「こんな時間に誰だろう」ガチャ


女が玄関のドアを開けると、外にはネロが立っていた。


ネロ「こんにちはー」

女「こんにちは。僕、お姉さんに何か用?」


女は背の低い童顔のネロの頭を撫でながらそう言うと、ネロは怒りで顔を真っ赤にして手を振り払った。


ネロ「子供扱いすんな!」

女「元気いいねー」ニコニコ

ネロ「はぁ…」


話しを聞く耳持たずニコニコとする女に、ネロは呆れながらぶすくれていた。


女「で、今日はどうしたのかな?」

ネロ「あー、そうそう」

ネロ「グレーのスーツ着た男、知らねぇ?」

女「グレーのスーツ?」

女「あぁ、それなr」

?「あー!!」


女が昨日家にいた、と答えようと口を開いた瞬間、いきなり叫び声が聞こえた。



56: :2011/11/3(木) 22:47:40 ID:EKSJzxcqmM


?「いやー、探した探した」タハハ


叫び声を上げた男は手で髪を掻きながら、笑って女とネロのところへ歩み寄ってきた。
男はサングラスを掛けて、GパンにYシャツのラフな恰好をしている。


女「へ?」

ネロ「誰だ、てめぇ」ギロッ

?「おいおい、従兄弟の顔を忘れたのか?」


睨みを効かせているネロに視線すら向けず無視して、男は不思議そうに首を傾げている女と肩を組んだ。


?「久々にこっち来たけどすっかり迷っちゃってな」

?「とりあえず、この辺案内して欲しいんだが」


男はそう言って、さりげなくネロから女を遠ざけて歩き出した。



57: :2011/11/3(木) 23:00:00 ID:Ams6nMNmjg


女「あ、あの、人違いじゃ…」


馴れ馴れしく肩を抱く男から離れようと手で押しのけると、男の人差し指が女の口元に触れた。


K「しぃ、静かに。私だ、Kだ」

女「K?」


男がサングラスを少しズラすと、エメラルドグリーンの瞳がチラリの覗く。
それは昨日、女が助けたKと同じだが、服装も見た目も話し方も全く違うせいで、女の頭は混乱していた。
それに出て行ったKがいきなり朝になって、従兄弟のフリをして現れた意味もわからなかった。


K「じゃあ行こうか」

ネロ「おい、待てよ」


Kがそのまま女を連れて行こうとすると、不機嫌そうに青筋を浮かばせるネロがKの腕を掴んだ。



58: :2011/11/3(木) 23:12:36 ID:aFLpXIlUeE


K「ん?なんだ?」

ネロ「俺はこの女に用があるんだよ、邪魔すんな」

K「じゃあすぐ帰ってくるから、ここで待っててくれ」

ネロ「今、用があんだけど」

K「じゃあ仕方ないな」プシュー

ネロ「うっ!!」


Kはそういうと、素早くポケットからスプレーを出してネロの顔に吹き掛けた。


K「行くぞ!」

女「えぇ!?」


ネロが目を真っ赤にして擦っている間に、Kは女の腕を引いて走り出した。



59: :2011/11/4(金) 00:33:41 ID:vs1J6Bpbok


ネロ「ふざけやがって!」


ネロは目を真っ赤にしながらすぐにKと女のあとを追った。

Kは女を腕を引いて、木々が鬱蒼と茂る森の中へと入った。
そのままスピードを緩める事なく、木々の間を走る。


ネロ「ぶっ殺す!」バン!


ネロは背後から走るKの足元を狙って銃を向けて何発か撃った。


女「え?銃声!?」

K「気にせず、走れ」

女「いやいやいや!無理です無理!怖いです!」ガクブル


その刹那、焦ったのか女の足が縺れてコントロールが効かなくなり、女の身体は前につんのめった。



60: :2011/11/4(金) 20:35:38 ID:cSpAHp.McE


女「きゃっ…!」


女が前へと倒れそうになった時、Kが腕を滑り込ませて抱えたかと思うと、そのまま持ち上げた。


女「へ?」

K「全く、世話がやけるな」


Kは止まる事なく女をお姫様抱っこしたまま、木々の間を走り抜ける。


女「いやいや!あの…!降ろしてください!!」ジタバタ

K「降ろしてもいいが、撃たれるぞ?」

女「……」ギュッ



61: :2011/11/4(金) 22:32:11 ID:FM94wc4.O6


ネロ「おとなしく止まれ!」


ネロはKと女と少し離れた後方から走りながら銃を構えた。


女「後ろ!後ろ!狙われてます!」アワアワ

K「あぁ、わかってる」


Kはそう言うと走っていた方向をいきなり右に変えた。

そのまま数メートル走っていると木々ばかりだった景色が一転して、急に視界が開けて目の前には山の麓にある街を見下ろすように全体に広がった。
だが、その足元は急斜面の下り坂だ。


女「行き止まり!?」

K「大丈夫だ。しっかり捕まってろ」ギュッ


Kは腕に抱えている女を自分の身体にグッと引き寄せて、急斜面の下り坂に飛び出した。


62: 名無しさん@読者の声:2011/11/4(金) 22:35:25 ID:h4F3elAXVw
ひゅうぅぅぅぅぅぅ

こわっ(;゚д゚;)
支援
63: :2011/11/5(土) 03:54:06 ID:SFi0c66N7.
>>62
支援ありがとうございます!
高いとこって怖いですよねww
高層ビルとか落ちないってわかってても窓には近付けません。キリッ
観覧車に乗る事は自殺行為だと思います


64: :2011/11/5(土) 13:30:21 ID:.F.3lH/78g

女「きゃあああああああ!!」

女「落ちてる!落ちてる!落ちてる!」ガクブル


Kは女を抱えたまま下へ下へと速度を増しながら落下して行く。
女は恐怖に目を固く閉じると、突然ぶわっと風の音が耳元で聞こえた。

恐る恐る女が目を開けてみると、Kに抱えられた身体はゆっくりと地上に向かっていた。

Kが小さなパラシュートを地上近くで開いていたからだ。

ゆっくり地面に着地すると、Kは女を降ろして素早くパラシュートをしまい込む。

そこに一台の車が走ってきて、二人の前で急停止した。


T「早く乗れ!」


二人は車に乗り込み、そのまま街の方へと向かって行った。




ネロはその車を急斜面の上から見送りながら、マイクロフォンを口元に近付ける。

何かボソボソと小さくつぶやき、ニヤリと口角を上げた。



65: :2011/11/5(土) 17:31:11 ID:AZN8vEPq8w


車の中では助手席でKがホッと息をついた。


K「助かった、T。ありがとう」

T「街で待ってろとか言うくせに、KのGPSが山ん中にあったから気になってな」


TはそうKに笑いかけるとバックミラーを手で傾け、後ろに座って身を縮めている女が映るようにした。


T「で、お嬢ちゃんは大丈夫なの?震えてるけど」

女「……」ガタガタ

K「いきなり飛んだからな」

女「凄い怖かったんですからね!」


悪気もなく笑うKに向かって目頭に涙を溜めて女は叫んだ。



66: :2011/11/5(土) 17:42:46 ID:vs1J6Bpbok


K「お嬢さんを救うためだったんだ。許してくれ」


Kはそう言うと掛けていたサングラスを外した。


女「そういえばなんで昨日と全然違う格好で従兄弟のフリなんかしてたんですか?」

女「ヒゲもないし」

K「私だとバレないようにだよ」

T「Kの変装は凄いだろ?俺だってたまに見破れないんだから」

女「全然わかんなかったです」ホヘー



67: 名無しさん@読者の声:2011/11/5(土) 17:48:20 ID:vs1J6Bpbok


Kはダッシュボードからポーチのような物を取り出すと、中から昨日ついていたようなヒゲを取り出した。


K「ヒゲがないと落ち着かないな」ピト

女「えー。付けちゃうんですか?ない方が全然若いのに」

女「付けたらおじさんに見えますよ!」

T「そうそう。せっかくだし、今はとっといたら?」

K「だが、スースーするからな…」

T「スカート着た時にいう事意見だよ、それ」



68: :2011/11/5(土) 18:02:36 ID:.F.3lH/78g
ここからアクションは一回おやすみして
ほのぼの入りますヽ(*´∀`)ノ

|柱|∀)チラッ{イラスト描いてもらえたら嬉しいなー…

69: :2011/11/6(日) 21:59:38 ID:Ams6nMNmjg
遅くなってすいません
今日から更新しますヽ(*´∀`)ノ
70: 名無しさん@読者の声:2011/11/6(日) 22:01:35 ID:0SZjb8GrIA
まってた…!
わくてか(*´∀`*)キューン
71: :2011/11/6(日) 22:04:36 ID:g/4JcTXXFc
>>70

待っててくれた方がいたとか、

い ま な ら 飛 べ る 気 が す る

頑張りますヽ(*´∀`)ノ!
72: :2011/11/6(日) 22:56:21 ID:EKSJzxcqmM

T「はい、街。とうちゃーく」

K「いい街だな」

T「じゃあ女ちゃんも降りてね」

女「あ、はい」アセアセ

K「じゃあT、あとは任せた」

K「私は新しいスーツを探してくる」テクテク

T「りょーかい!」

T「じゃあ、行くか!」ニコリ

女「へ?どこにですか?」

T「女ちゃんの変身大作戦」

T「今のままじゃさっきの奴らにバレるからな」

女「バレる?」

T「まぁいいからいいから」



73: :2011/11/7(月) 12:02:38 ID:EKSJzxcqmM

女「あの、Kは?」

T「あー、あいつはスーツ適当に買ったら喫茶店かなんかで時間潰してると思う」

女「一緒に行動しないんですか?」

T「Kは人付き合い苦手だから」

T「それにセンスないし」

T「だから俺に任せて」

女「そういえばTさん…でしたよね?あたしより若くないですか?」

T「あー、そうかも。俺まだ21歳だし」

女「若っ!」

T「そうかな。まぁとりあえず服の上下から揃えにレッツゴー!」グイッ

女「えっ!ちょっと…!」


74: :2011/11/7(月) 12:21:16 ID:EKSJzxcqmM

T「女ちゃん白似合うから白で」

T「それからスニーカーは論外っと」

女「あわわわ」アタフタ

T「そういえば俺が若いなら女ちゃんいくつ?」

女「最近19になったばっかです」

T「俺より若いじゃん!」

女「でも車だって運転してるし、あたしより全然しっかりしてそうだから、もっと上かなーって」

T「あー、なるほどなー」

T「よし、服はこれで良し。次はヘアーサロン!」

女「もう頭がくらくらします」グルグル


75: 名無しさん@読者の声:2011/11/10(木) 11:37:57 ID:fUOS.dk1OY
C
76: :2011/11/20(日) 00:50:46 ID:g/4JcTXXFc
長らく更新しなくてすいません!!
ちゃんと完結させるので、もう少しお待ちください
申し訳ありません
77: 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
37.18 KBytes

名前:
sage:


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