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ダンガンロンパ・フェイク
[8] -25 -50 

1: :2013/7/4(木) 01:04:59 ID:GdDqM49c02
モノクマ「えー、このスレを開いたオマエラ、ボクは学園長のモノクマです」

モノクマ「皆さんにボクの学園がどんなに愉快か知ってもらおうと思ってスレ立てしました!」

モノクマ「スレタイの通り、原作とは違う偽物なんだけどね!うぷぷぷぷ!」

モノクマ「そうそう、入学の際には>>2を読んでからお願いします。守れない生徒にはおしおきしちゃうぞー!クマー!」


2: :2013/7/4(木) 01:06:24 ID:GdDqM49c02
モノクマ「はい、ちゃんと読んでくれてるみたいですね。ボクは嬉しいです!」

モノクマ「ゆとりのオマエラでもこれくらいは出来るんだね!見直しちゃったよ!」

モノクマ「さてと、それじゃあ学園長のボクから重要なお知らせをするよ」

モノクマ「このSSはゲーム、ダンガンロンパの二次創作なんだよね」

モノクマ「ゆとりの素人がオリキャラなんかでやっちゃった、痛ーいSSだよ!うぷぷぷぷ!」

モノクマ「オリキャラでやっちゃうような、原作とは関係ない痛いだけの偽物だからスレタイがフェイクなんだよ」

モノクマ「それでね、このゲーム、公式で第一章より後のネタバレは禁止してるんだよ」

モノクマ「アニメがどうなるか知らないけど、とりあえずゲームの方はネタバレ厳禁なのです」

モノクマ「だからネタバレOKの第一章までの情報で作ってるから、謎なんかも最後まで解けないんです」

モノクマ「謎が解けないまま終わるとか、最低のSSだよね!誰が読むんだろうね、こんなの!」

モノクマ「あ、でもゆとりのオマエラにはこれでいいかもね!女の子でハアハアできればいいだけだもんね!白いの出したいだけだもんね!」

モノクマ「それはいいとして、そんな偽物で胸糞でグロいだけのオマエラ用SSがこのスレなのです!」

モノクマ「オマエラの中で、ボクはこんな低俗なSSで楽しめるほど安い人間じゃないぞ!と強がりたい生徒がいましたら、帰った方がいいんじゃないでしょうか?」

モノクマ「あと支援なり批判なりのレスがあっても、ボクは特に関与しません。過度な介入をしないで生徒の自立を促す、立派な学園長だね!」

モノクマ「そんな感じなんでヨロシク!ちゃんと忠告までしてあげるボクってどこまで優しいんだろうね!」

モノクマ「……残ったオマエラは入学希望ってことでいいんだね?」

モノクマ「それじゃあ学園生活を楽しむために、残ったオマエラは[#]次20を押して、本編に進んでください」

モノクマ「愉快な学園生活を楽しんでくださいね!うぷぷぷぷ!」
3: :2013/7/4(木) 01:07:42 ID:GdDqM49c02
希望ヶ峰学園って知ってるか?
あらゆる分野の超一流高校生を集めて育てようっていう超エリート校だ。
この学園を卒業すれば、人生において成功したも同然……そんなレベルのとんでも学園だ。

そんな学園に入るための条件ってのが二つある。
「現役の高校生であること」
「各分野において超一流であること」
この二つの条件がクリアできれば、入試なんかすっとばして、学園側からスカウトされるってわけだ。

希望ヶ峰学園のエリートたる所以を教えてやったわけだが、そんな学園にこの度俺の入学が決まった。
4: :2013/7/4(木) 01:08:40 ID:GdDqM49c02
そんな学園からスカウトされる俺って凄いと思うか?
凄くねえんだな、これが。
希望ヶ峰学園に間もなく仲間入りするこの俺、左雨瑞樹(ささめみずき)の超一流部分を教えてやったら皆も同意出来ると思うぜ。
俺がスカウトされた理由である超一流の部分……それは「超高校級の貧乏くじ」である。

……確かに幼少の頃から俺の人生は面倒事で成形されていた。
家族から、友達から、果てには見知らぬ誰かから、あらゆる面倒事を頼まれたり押し付けられてきた。
それに応えたところで報酬や好感度アップはなく、ただただ疲れて終わるだけ。
そんな人生を謳歌して、俺はついてないだけの一般人だと思ってきた。だが、希望ヶ峰学園からすれば、それは違うみたいだ。
何と言っても「超高校級の貧乏くじ」としてスカウトしてくるくらいだからな。

我ながら思う。そんなの育てて何になるんだ?
5: :2013/7/4(木) 01:10:01 ID:GdDqM49c02
こんな肩書きを引っ提げて入学するのも如何なものかと思うが、先ほど言った通り、この学園を卒業することは大きなステータスとなる。
だったら笑い者になっても構わねえ。この才能を存分に活かして人生をバラ色にしてやろうじゃないか。

そんな思惑の下、今の俺は噂の学園の門の前に立っているのである。
バカでけえ学園だ。エリート様の学園はでかさもエリートってか。そんなエリートに今日から俺も仲間入りするんだ。
入学生は玄関ホールに朝8時集合となっているそうだ。いつまでも門前で臆してるわけにはいかねえしな。そろそろ入るとするか。
6: :2013/7/4(木) 01:11:08 ID:GdDqM49c02
……後から思うのは、入学なんてするんじゃなかったってことだな。
人生に後出しなんてないが、俺の場合はある程度予想できるんだよ。
何せ、誰かからの誘いなんて厄介事でしかねえんだから。俺は超高校級の貧乏くじなんだぜ?
誰かの誘いごとや頼みごとに応じて良い結果になったことなんてありゃしねえ。
そんな不運な俺が、わざわざスカウトされたんだ。行先はバラ色の人生なんかではなく、めんどくせえトラブルだと疑うべきだった。
一瞬だけ浮かれて不注意になったせいで……

俺は最低な猟奇的生活に巻き込まれちまったんだ。

プロローグ
「門の向こうは、最低の檻でした」
7: :2013/7/5(金) 00:40:58 ID:GdDqM49c02
「……ん?ここは……」

気がつくと俺は机に突っ伏して寝ていた。顔を上げると黒板やらが映り込み、教室で寝ていたことを俺に把握させた。
何だこれ?俺は玄関ホールに向かったはずだが。まさかあれは全部夢か?
いや、でもこの教室自体見覚えがない。うちの学校ではないのは確かだし、もしかしたら希望ヶ峰学園の一室かもしれない。
でも、何でだ?門から入った直後からここまでの記憶がすっぽ抜けて、いきなり教室にいるとか意味がわからん。
くそ、本当にわけがわからん。誰か人はいないのか?ていうか情報はないのか?本当にここは希望ヶ峰学園でいいのか?
8: :2013/7/5(金) 00:42:40 ID:GdDqM49c02
教室を見回して思うのは、その特異な光景が不安感を煽っていい気がしねえ。
まず、監視カメラが設置されている。まあでも金持ちのエリート校としては、防犯の意識の高さとして当然なのかもしれない。俺は平凡な学校の出だから詳しく知らんけどな。
しかし、特異な光景ってのはそれだけじゃねえ。
教室の側面にある窓、それらが鉄板で打ち付けられているのだ。
開けようとしてみても、うんともすんとも言わない。叩いてみてもびくともしない。鉄板だから当然外も見えねえ。
もはや窓としては微塵も機能してなく、完全に外の光を遮っている。この部屋を照らしているのは電気照明だけだ。
なんだか外部と切り離されて閉じ込められたようで、俺の不安は増すばかりだ。
9: :2013/7/5(金) 00:43:43 ID:GdDqM49c02
「くそ!何なんだよ!」

行儀悪く机を蹴っとばした。わりいのはわかってるんだが、こっちも錯乱してるんだ。勘弁してくれ。
勢いよく机が倒れると、引き出しのとこからひらひらと一枚の紙切れが舞った。
地に落ちたそれを拾って見てみると、次のようなことが書いてあった。

入学案内
新しい学期が始まりました
心機一転、これからは、この学園内がオマエラの新しい世界となります

……なんだこれ。オマエラって……もうちょい言葉遣いどうにかならんかったのか?
10: :2013/7/5(金) 00:45:19 ID:GdDqM49c02
怪しさは拭えないが、一応ここは希望ヶ峰学園ってことでいいのだろうか。
見知らぬ教室に、入学案内。一応は断定できそうな情報が揃ったしな。両方とも異和感たっぷりだが。
気が付いたらここにいたっていう謎は謎のままだが、まあエリート校に気圧された俺が気絶して、ここに運ばれたのかもしれない。
自分で言ってて無理があるとは思うけど、そうでもしないと説明つかないしな。

時計に目をやる。二つの針が8時であると示している。

「やべ、皆もう集まってるかな?」

とりあえず俺は教室を出ることにした。じっとしてても始まらないしな。
11: :2013/7/5(金) 00:47:45 ID:GdDqM49c02
教室を出ると、豪勢な廊下が俺を出迎えた。さすがはエリート校。構造からして違うな。
だけど俺は廊下にも不安を覚えた。何でだろう……なんか不気味に感じる。配色が紫だったりなんだったり……普通の廊下の色じゃないからか?
ただ、根拠は微塵もないのだが、それが不安の原因ではないような気がした。
しかし根拠がないのだ。自分にただの気のせいだと言い聞かせながら、俺は玄関ホールを探して歩き出した。

「……ここか?」

どうにか玄関ホールと思われる場所に辿り着くと、そこには多くの人影があった。
何人かは知ってる奴もいるからわかる。彼らは希望ヶ峰学園に入学する超高校級の生徒達である。
12: :2013/7/5(金) 00:49:00 ID:GdDqM49c02
「お前も新入生か?」
坊主頭の細マッチョが俺に問いかける。雑誌か何かで見たことあるはずだけど、実物と対面するとオーラが違うなって思う。
この坊主頭に限らず、皆が皆凄いオーラを醸し出している。ぶっちゃけ圧倒されてしまいそうだ。

「ああ、そうだ。……どうやら俺が最後のようだな」
ほとんど凡人みたいなもんである俺だが、気圧されてはいけない。こういうのは最初が肝心だからな。
自分なりに大物ぶって返したわけだが、それに関して特に反応がなくって少しさびしい。
ていうか、さびしいとか思ってる場合じゃねえ。一番最後で遅れてきたわけだし、ここはちょっと謝っといた方がいいかもしれない。
13: :2013/7/5(金) 00:50:10 ID:GdDqM49c02
「俺は左雨瑞樹だ。悪い、何故だか校内で寝ていたようでな。遅れてしまったよ」と俺が言えば。
「あれ、君もそうなんだー?」とデブが言い。
「ほんまけったいな話やな。どないなっとんねん、これ!」と関西弁女が続く。

ちょっと待ってくれ。君もそうって、何がそうなんだよ?
俺がそれを問おうとしたその時、活発そうな女が割って入ってきた。

「ちょっと待ってよ!左雨くん、今来たばっかりなんだから、改めて自己紹介しよう!お互いのことがわからないと話し合いも出来ないよ!」

超高校級達はそれに応じ、かくして遅れてきた俺のために自己紹介が始まるのだった。……なんか申し訳ない。
14: :2013/7/6(土) 01:14:44 ID:GdDqM49c02
「言いだしっぺだし、私からいくね!私は本田川佑子!よろしくね!」

本田川佑子(ほんだがわゆうこ)……超高校級のサッカー選手である活発な女の子だ。
未来のなでしこ候補とかいう感じでテレビで見たことがある。何でも、ずば抜けてサッカーがうまいんだと。
ポジションは基本MFとのことだが、実際どこでも守れるそうだ。攻守に渡って活躍できる選手だそうで、日本の女子サッカー界の未来は彼女にかかってる、なんてこともよく聞く。
日本のサッカーは男女ともにレベルが上がって来てる。日本代表の世界的地位をいよいよ確固たるものにするためには重要な存在だと言えるのだろう。
俺とは違って確実に日本に貢献する逸材だろう。メダルも夢じゃないだろう。そう考えると、すごいのを前にしてるんだなって緊張してきた。

「あはは、私は単なるサッカー馬鹿だから!そんなに緊張しなくていいよ!」

……見抜かれてるし。一流のスポーツ選手は相手の心境とかもある程度読めるのかよ。
15: :2013/7/6(土) 01:15:47 ID:GdDqM49c02
「よっしゃ次はうちやな!うちは場明日虎美や!よろしゅうな」

場明日虎美(ばあすとらみ)……超高校級の阪神ファンの女子だそうだ。
こいつは知らないなって思ってたけど、知るわけねえだろ。ていうか、そんなんありかよ。
とか言いながら、俺も俺で超高校級の貧乏くじだった。人のことは言えねえな。
まあそれはともかく。とにかく野球の阪神が大好きらしい。
阪神好きが高じて、野球も詳しくなり、独特の観点で綴るブログが有名になって、野球本として発売されるまでになったそうだ。
というわけで、阪神ファンはもちろん、野球ファンの中でもけっこうな有名人らしい。何でも極めてみるもんだな。

「左雨も野球見る時は阪神の応援頼むで!」

野球はそんな興味ないし、強いて言うなら俺は楽天ファンだ。残念だったな。
16: :2013/7/6(土) 01:17:14 ID:GdDqM49c02
そんな虎美の自己紹介に割って入った男がいた。
「阪神なんて野蛮なチームなんか応援する必要はない。野球は我が読売巨人軍の試合を見ればいいんだ」

こんなことを言い出したこの男の名は、黒魔帝兎(くろまてぃうさぎ)というらしい。こちらは超高校級の巨人ファンだそうで。
こちらもこちらでブログ等を通じて野球ファンの間じゃ有名人らしい。ライバル球団ということで虎美とは衝突を繰り返しているようだ。
兎の場合は男性であることを活かして実際に巨人入団を企んでいるらしい。愛するがあまり自分もそこに加わりたいと願っているそうだ。
だが、この男は超高校級の巨人ファンであって、超高校級の野球選手ではない。その実力はスカウトの御眼鏡に適うものではないみたいだ。
残念だったな兎。大人しくファンの一人でいることだ。

「なんやねん、自分!成金球団はだまっとれや!」
「そういう御宅も最近は補強に夢中のようだが?まったく若手がかわいそうだよ」

はいはいごちそうさまです。
17: :2013/7/6(土) 01:18:25 ID:GdDqM49c02
野球バカが痴話喧嘩を始めたので、無視して他の奴の自己紹介に耳を傾ける。

「俺は中村闘球っていうんだ。ラガーマンで、ポジションはスクラムハーフだ」

中村闘球(なかむらとうきゅう)……超高校級のラガーマンとのことだ。
ラグビーというスポーツは日本じゃあまりメジャーじゃないが、それでも俺はこの坊主頭の細マッチョを知っている。
何でも既に世界で戦える技術を持っており、その将来に期待されてると言うことで、雑誌か何かで特集されているのを見たことがある。
あとは成長に伴ってフィジカルをどうにかすれば、世界に羽ばたく大器だそうだ。世界で戦う力を得るために、日本のラグビー業界はこいつの成長待ちだとか何とか。

「それにしても、ラガーマンっていうくらいだから、もっと大柄なのを想像してたけどな」
「俺はバックスで、その中でも主にパスを担うポジションだからな。体型が全てじゃないから、左雨だって今からやればスター選手になれるさ!」
「いや、俺は遠慮しとくよ……」
18: :2013/7/6(土) 01:19:36 ID:GdDqM49c02
「次は僕だねー。僕は肉丸健太っていうんだよー」

肉丸健太(にくまるけんた)……超高校級の大食いとのこと。
名は体を表す、この言葉通りの存在だ。とにかくデブだ。デブ。
最近の大食いというと細見の人物が目立つように思うが、そういう最近の傾向に逆らうように、大柄な大食い野郎を地で行くような、そんな男だ。
俺はそういう番組をあまり見ないから知らないが、大食いタレントとして既にテレビ等で活躍してるらしい。

「……ああ、左雨くんはそういう顔してたんだねー」
「何だ?視力悪いんか?じゃあメガネでもしろよ」
「メガネしちゃうと熱々の料理食べる時に曇るじゃないかー」
「……じゃあコンタクトでいいだろ」
「駄目駄目、料理は目でも楽しまなくっちゃー。僕は料理は絶対に肉眼で楽しみたいんだー」
(それは裸眼っていうんじゃないのか?)
19: :2013/7/6(土) 01:21:05 ID:GdDqM49c02
「お次は自分がいきましょう!自分は中岡笑といいます!」

中岡笑(なかおかしょう)……超高校級の芸人という男だ。
こいつは俺も見たことがある。年齢制限のないアマチュアでも参加できるお笑い大会で好成績を残していたのをテレビで見た。
俺もけっこうお笑いが好きだから、こいつはテレビで見かけることが多い。雛壇とかで大物司会者に怯まず絡んで行く姿にはけっこう好感が持てる。
ちなみに衣装は決まっているらしく、いつ見ても同じ服装をしている。ていうか、今もだ。おい、制服はどうした?

「自分にとっての征服はこれですからね!三年間、この格好を貫きますよ!」

……そうかい。まあ精々頑張ってくれ。

「駄目駄目、駄目ですよ左雨くん。せいふくの漢字ちゃうやろ!ってつっこまないと。せっかく初対面だからわかりやすくボケたのに……」

生憎だが俺は笑いを取ろうって人種じゃないんでな。ていうか、普通に俺の心を読むのをやめてくれ。
20: :2013/7/6(土) 01:22:10 ID:GdDqM49c02
「次は私ですね。私は百目鬼良子っていいます」

百目鬼良子(どうめきりょうこ)……超高校級のプロレスラーである女子だ。
プロレスラーなだけあって、けっこう体は大きく筋肉質だが、それでも顔とスタイルは整ってると言っていいだろう。ぶっちゃけけっこう綺麗だ。
ていうか、待ってくれ。確かこいつ、デビル百目鬼って名前で顔にペイントいれたあくどい奴だったはずなんだが、その割に礼儀正しくないか?

「プロレスって台本のあるエンターテイメントのショーですからね。私は今は悪役であるヒールをやってるだけですから」
「うわあ、すげえぶっちゃけたな。そういうのって言っちゃっていいのか?」
「海外の団体は台本の存在や書いてる人を公表してるとこもありますから。でも、相手の攻撃が痛いのは本当ですからね」
「痛いって知っててわざと攻撃受けたりしてんのか?」
「そうして出来あがる話に魅せられるお客様がいますから。かく言う私も魅せられた一人で、レスラーにまでなっちゃいました」

……大変な職業なんだな。
21: :2013/7/6(土) 01:23:49 ID:GdDqM49c02
「あの、私も自己紹介させていただきますね。私は白鳥輝穂と申します」

良子に続いて礼儀正しく自己紹介してくれたのが、白鳥輝穂(しらとりてるほ)だ。この子は俺も普通に知っている。俺は健全な男子学生だからな。
輝穂は超高校級の癒し系として知られている。その綺麗な容姿に落ち着いた雰囲気から放たれる癒しオーラはテレビ画面越しでも神々しい。
というのも、その癒しオーラを見込まれて芸能界にスカウトされて、今やお茶の間の人気者である。俺も彼女はチェックしてた。
肩書きはタレントになるわけだが、アイドル業や俳優業の彼女も見てみたいものだ。……歌声や演技力の程は知らんが。

「あの、皆さん凄い方ばかりで、私なんかがここにいていいのかなって思うんですけど」
「希望ヶ峰学園の仲間になったからには、皆さんの仲間として恥ずかしくないように頑張りたいと思います」
「未熟な私ですが、左雨さんさえよければ仲良くしてください。お願いします」

天使だなあ、この子は。超高校級の貧乏くじでよければ喜んで仲良くするよ。
22: :2013/7/6(土) 01:24:38 ID:GdDqM49c02
「次は俺だな。俺は水留崇。俺がこの学園に来ることになった理由は……」

勝手に自分の過去を語り始めたこの男は水留崇(みずとめたかし)というらしい。
この男はマジでまったく知らなかったのだが、過去話に付き合う過程で何者かが判明した。崇は超高校級のフラグ建築士だそうだ。
要するに、確実に俺系列の人種だ。育てたところで何になるの?っていう感じの才能。
だけどフラグ建築士ってことは、うまいこと発言や行動をコントロールすれば、望む結果を生み出せるかもしれない。
そう考えると、貧乏くじよりはいい才能って言えるのかもしれないな。くそ、俺の立場がないぜ。

「……ここだけの話だけどな、俺には恋人がいるんだ。俺、ここを卒業したら結婚するんだ」

……こいつ、この学園生活で死ぬんじゃないか?
23: :2013/7/6(土) 01:25:52 ID:GdDqM49c02
「次は私が自己紹介します。私は夜桜愛梨と申します、糞野郎」

いきなり人を糞野郎呼ばわりしたこの女は夜桜愛梨(よざくらあいり)という。
メイド服なんか着ているわけだから予想も簡単にできるわけだが、予想通り超高校級のメイドだそうだ。
しかし、超高校級のメイドのくせして、あの失言はどうなんだ?普通に謝罪ものだろ。

「ボランティアじゃないんですから、私は大金はたいて雇っていただいたご主人様にだけご奉仕致します」
「だから私を雇っていない人間共は等しく糞野郎です。その辺のゴミと同じように扱っても問題ないのです」
「逆にこんなに可愛い私なんですから皆さんがご奉仕してほしいくらいです」

糞みたいな性格だなこいつ。まあ……悔しいがマジで可愛いけどな。
24: :2013/7/6(土) 01:27:15 ID:GdDqM49c02
「次は私か。私は中後小百合っていうんだ。まあよろしく頼むよ」

中後小百合(なかうしろさゆり)……超高校級のピアニストだという女子だ。
女性のピアニストと聞くと、俺はおしとやかというか上品というか、そういう性格を想像するのだが。
小百合はフランクな感じがする。なんていうか、到底ピアノなんて扱いそうにもないような、そんな印象。
嘘つく理由なんてないだろうから本当なんだろうけど、本当にピアニストかよって疑いたくなる。
未成年だから駄目なのはわかってるが、煙草吸ってた方がよっぽど映えるような、そんな容姿だぞ。

「失礼だな。これでも本物のピアニストさ。肉丸のように分かりやすい見た目じゃなくとも、ピアノは弾けるさ」

まあ確かに、見た目で全てを決めるのはよくないか。
25: :2013/7/6(土) 01:28:01 ID:GdDqM49c02
ここまでが話の通じる奴の自己紹介だ。
あとまだ三人残ってるわけだが、こいつらはマジで話が通じない。

「自己紹介ってさっきもやっただろー!話しを聞いてないのかー!?馬鹿なのかー!」
「遅れてきた者に合わせることはない。時の流れは我々を待つことなど知らないのだからな」
「……」

それぞれの台詞がこれだ。三者とも種類は違えど自己紹介する気がないのは一緒のようだ。
これでは俺が三人のことを知ることが出来ないので、彼らについては佑子から聞きだすこととなった。
26: :2013/7/6(土) 01:30:29 ID:GdDqM49c02
「まず、髪の毛が跳ねてる女の子が相田鳥子(あいだとりこ)さん。超高校級の馬鹿なんだって。……別に悪口言ってるわけじゃないよ?」

ああ、あのアホ毛がそうか。まあ確かに馬鹿そうではある。「話し」と「話」の使い分けも出来てないっぽいし。
こいつもまた俺系列の才能だな。まあでも最近はお馬鹿タレントが活躍する時代である。
けっこう可愛いし、こいつも一応将来性はある才能なのかもしれない。

「あっちの気難しいことばっかりいってるのがキングくん。超高校級の……中二病?なんだって。よくわかんないけど」

無駄に長い髪の毛で顔が隠れつつあるあの野郎がそうか。これは初めて俺が勝てるような才能なんじゃないか?
中二病と貧乏くじなら貧乏くじの方がいいんじゃないか?中二病に将来性も糞もないだろうしな。
いや、でもその妄想力を創作に使われたら、独自の良作が出来あがるかもしれねえ。糞、俺の才能はどうしたら勝つんだ。

「……ていうか、キングって何だよ?本名じゃないだろ?本名は何て言うんだ?」
「それが……頑なに教えてくれなくて。全てを司りし王だからキングと呼べって」

うん、中二病だな。
27: :2013/7/6(土) 01:31:52 ID:GdDqM49c02
最後はあの無口な女の子についてだな。佑子、よろしく頼むぜ。

「それが……私達もよくわからないの。名前はどうにか氷室エリカ(ひむろえりか)だって聞き出せたけど、才能については……」

まあ確かに、私に構うなムードがピリピリしていて近寄りがたい。俺としては名前だけでもよく聞き出せたなって思う。
才能に関してはわからないままだが、まあ今焦らなくても後々知る機会はあるだろう。案外そのまま超高校級の無口だったりしてな。

……とまあ、こんな感じでようやく全員の紹介が終わった。自己紹介だけでけっこうなレス数を使ってしまったなあ。急がねえと。
28: :2013/7/6(土) 01:33:12 ID:GdDqM49c02
相田鳥子「話しを戻すのか!?ようやくか、長かったな!で、何の話しをしてたっけ?」

左雨瑞樹「……俺が遅れた理由を言うと、健太が君もか、みたいなことを言ったんだよ」

場明日虎美「せやねん!うちら全員な、自分みたいに寝てたんや!」

左雨瑞樹「全員って……全員、玄関ホールで気を失ったのか!?」

百目鬼良子「はい。突然気を失って……気がつけば校内で寝ていました。何故、全員が揃ってそのようなことに……」

キング「これは、世界を統べし俺への攻撃!世界転覆を狙う、第三組織の仕業に違いない……」

黒魔帝兎「お前、ちょっと黙ってろ」

中岡笑「そもそも第二組織がまだ出てきてませんからね……」

本田川佑子「とにかく、何かおかしいんだよ。全員揃って気を失うなんて、普通じゃないよ」

中後小百合「普通じゃないのはそれだけじゃないさ」

相田鳥子「あれだな!あたしのお腹が異常に減ってるのがおかしいんだ!」

肉丸健太「相田さん、ちょっと静かにしててもらっていいかなー?いつかキャンディでもあげるからさー」

相田鳥子「おー!マジでかー!?デブは良い奴だなー!」
29: :2013/7/6(土) 01:34:52 ID:GdDqM49c02
中村闘球「話を戻すけど……普通じゃないのは校内の窓だろ?」

中後小百合「そうだ。分厚い鉄板が頑丈に打ち付けられてる。これじゃまるで閉じ込められたみたいじゃないか」

夜桜愛梨「いい気はしませんね。これではご主人様に頼まれたおつかいもできません」

白鳥輝穂「それに、荷物もなくなってます。どこでなくしちゃったんでしょう?」

水留崇「おかしいのはそれだけじゃない!見ろよ、この玄関ホールを!」

水留崇「入口は窓と同様に鉄で塞がれ、天井からはガトリングのような物が設置されてるじゃないか!」

水留崇「おかしいじゃないか!何でこんなことになってるんだ!誰か助けてくれよ!」

場明日虎美「やめや!あんたが錯乱したらマジで死亡フラグやないかい!」

中村闘球「まあでも、おかしいのは本当だよな。本当に何らかの事件に巻き込まれた可能性はあるだろう」

キング「だからこれは第四組織がこの俺を狙った蛮行であり……」

場明日虎美「黙っとれや、もずくヘア!」

中岡笑「組織も新しいのになってるよ!回転率高いな!」

黒魔帝兎「……とにかく、俺達は事件に巻き込まれ、閉じ込められてる可能性がある。各々、警戒しておくことだな」

相田鳥子「ふむふむ……要するにどういうことだー!?」

左雨瑞樹「今まとめたところだろ……」
30: :2013/7/6(土) 01:36:14 ID:GdDqM49c02
それぞれが異常な状況に気を引き締め直した、その時だった。
キーンコーンカーンコーンと、学校定番のチャイムが鳴ったかと思うと、玄関ホールに設置されているテレビが突然映り出した。
画面には砂嵐が映るだけで、他の映像は流れない。わずかに何かのシルエットがあるようにもみえるが、ぶっちゃけよくわからん。
しかし音声の方はしっかりとしており、次のような言葉が耳に届いた。

「あーあー、マイクテスッ、マイクテスッ!校内放送、校内放送……」
「聞こえてるよね?えー、では新入生の皆さん、これから入学式を行います」
「至急、体育館までお集まりくださーい!ってことで、ヨロシク!」

それは、この異常な状況には不釣り合いな、飛びぬけて明るい声だった。
普通に聞いたら安心感すら抱くような声なのだが、こんな状況では逆に不安を募るような、そんな明るさを秘める声だった。
入学式を行うことを知らせて、テレビはぷつんと切れてしまった。
31: :2013/7/6(土) 01:37:20 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹「……どう思う?」

中村闘球「この状況の説明も無しに呼び出しだけか。怪しいが、従うより他はないだろう」

本田川佑子「そうだね。ちょっと怖いけど、それしかできなさそうだよ」

中後小百合「それに体育館で状況説明する可能性もあるしな。新入生への質の悪いジョークであると信じたいよ」

夜桜愛梨「そうですね。事件でも何でもない、糞野郎の糞みたいな冗談であると願いたいものです」

水留崇「何でもいい!いつまでもこんなところにいられるか!俺は体育館に行かせてもらうぞ!」

肉丸健太「素直に行くことで決定みたいだねー。じゃあ皆で行こー」

こうして不安は拭えぬまま、校内放送に則って俺達は体育館へと向かうのだった。
小百合や愛梨の言うように、センスのないジョークで迎え入れただけであると願いたいところだ。
32: :2013/7/7(日) 01:06:46 ID:GdDqM49c02
体育館に入ると、新入生の人数分だけパイプ椅子が置かれていた。

百目鬼良子「……これで殴りあえってことでしょうか?」

中岡笑「何でだよ!?普通に座るんでしょ!」

百目鬼良子「あ、そっか。すみません、職業病ってやつですね、あははは……」

という、心底どうでもいいやりとりはほっといて、だ。
入学式と考えると、至って普通の光景である。これに座って入学式をやり過ごせって、そういうことだろう。
だが俺達は、ようやく出会えたこの普通と即座に別れることになるのであった。

「ようやく集まったみたいだね。それじゃ始めるとしようか!」
校内放送の時と同じ声がした。不気味さを十二分に秘めた明るいあの声。思わず身構える。
33: :2013/7/7(日) 01:07:39 ID:GdDqM49c02
壇上の床から突然何かが発射された。それで俺は更に身構えるわけだが、その何かが襲う気配はなくて身構え損である。
上空に投げ出されたそれは、最高点まで到達すると重力に従って落下を開始し、そのまま壇上の机に着地した。
ようやく止まったそれの姿を確認して俺はこう呟いたのだった。

「……熊のぬいぐるみ?」
「ぬいぐるみじゃないよ、モノクマだよ!この学園の学園長なのだ!」

熊のぬいぐるみと思われたそれが一人で喋って、モノクマと名乗って、更には学園長なのだ。
……どういうことだ、これ?
34: :2013/7/7(日) 01:08:53 ID:GdDqM49c02
場明日虎美「な、何でぬいぐるみが喋っとんねん!?」

モノクマ「だからぬいぐるみじゃないって言ってるでしょ!モノクマなのです!学園長なのです!」

場明日虎美「な、何でぬいぐるみが動いとんねん!?」

キング「これは、邪悪なるものがぬいぐるみに宿った結果だ!ということは、あの組織が動き出している……!?」

モノクマ「組織っていうか、ボクは無所属だよ!だからって、今時政治犯として二年投獄もされてないよ!」

モノクマ「プリティなクマで、オマエラの学園長!それ以上でも以下でもない、ボクはモノクマなのです!」

本田川佑子「自分でプリティと言いきっちゃうんだ……」

中後小百合「体の中心を境に左右でデザインが違ってて……何だか不気味だぞ」

モノクマ「不気味とか言うなー!ボクはせんとくん路線で売り出してるんじゃないんだぞ!失礼だクマー!」

モノクマ「まあいいや、許してあげるよ。ではでは、学園長のボクがオマエラのために入学式を始めてやります!」

黒魔帝兎「……結局お前は何者なんだよ?」

モノクマ「もー、ボクのことなんかどうでもいいじゃない!大切なのはオマエラのこれからの生活だよ!」

モノクマ「今の台詞、よくなかった?金曜八時の先生も真っ青の良い先生っぷりだよね!」

中岡笑「いいから入学式始めろよ!どんだけ脱線させんだよ!」
35: :2013/7/7(日) 01:10:02 ID:GdDqM49c02
モノクマ「えー、オマエラはその才能を見込まれてこの学園にやってきました」

モノクマ「優れた才能を誇るオマエラは世界の希望と言い切っても過言ではありません!それを預かるんだから、ボクも大切に扱わないとね!」

モノクマ「というわけで、オマエラを大切に保護するために、一生この学園内で過ごしてもらうことにしました!」

左雨瑞樹「……は?」

モノクマ「オマエラには、この学園で終わりのない共同生活をしてもらいます」

モノクマ「危険な世界からオマエラを守るには、そんな世界と切り離してしまえばいいのです!さっすがボク!あったまい〜!」

本田川佑子「ふ、ふざけないでよ!一生ここで過ごせなんて、そんな無茶が通ると思ってるの!?」

モノクマ「それが通っちゃうのです。大丈夫、予算はあるからオマエラは不自由なく過ごせるよ。安心して!」

中岡笑「……駄目ですよ学園長。そんな冗談は笑えもしませんよ」

モノクマ「冗談じゃない!ボクはいつだって正直に生きてるんだぞ!」

モノクマ「オマエラだって見たでしょ?窓とか玄関ホールとか」

モノクマ「オマエラを一生ここで生活させる準備は整っています。汚れた世界とは決別して、皆で仲良く生きていこうではないですか!」
36: :2013/7/7(日) 01:11:37 ID:GdDqM49c02
水留崇「ふざけるなよ熊野郎!誰がそんなのに従うかよ!」

水留崇「確かに窓等は鉄板で頑丈に打ち付けられてたが……そんなもん、ぶっ壊してやるよ!」

水留崇「こんなところで一生を終わらせるつもりはねえんだよ!絶対に帰ってやるからな!」

モノクマ「君は実に馬鹿だなあ。出ていくことなんて出来るわけないのに」

モノクマ「少なくとも、オマエラの力だけじゃ出ていくことはできないよ。ボクの力があればお家に帰れるけどね」

白鳥輝穂「お家に帰れるのですか?学園長はそれを許可してくれるのですか?」

モノクマ「ボクは鬼じゃなくてクマだからね。帰りたいとか出たいとか言う奴がいると思って、こんなルールをつくってあげたのです」

モノクマ「それは卒業というルールなのだ!オマエラも学生だもんね、やっぱり卒業は目指さないとね」

モノクマ「じゃあこの学園で一生を過ごさないといけないオマエラが卒業して帰るにはどうすればいいのでしょう?」

相田鳥子「どうすればいいんだー!?」

モノクマ「誰かを殺せばいいんだよ」

肉丸健太「……こ、殺す?」

モノクマ「殴殺刺殺撲殺斬殺焼殺圧殺絞殺惨殺呪殺……殺し方は問いません」

モノクマ「誰かを殺した生徒が卒業して外に出られる、単純にして明快なルールなのです!」

モノクマ「オマエラも学生なんだから卒業目指して精々努力してくださいね!」
37: :2013/7/7(日) 01:12:37 ID:GdDqM49c02
中村闘球「……なあ、そろそろふざけるのはやめないか?」

モノクマ「だからふざけてなんかないよ!これだけ真面目なクマは今時珍しいよ!」

中後小百合「馬鹿馬鹿しい。何で私達がそんな殺し合いをしなければならないんだ?」

モノクマ「何でって、強いて言うなら楽しいからかな?」

本田川佑子「た、楽しい?」

モノクマ「世界の希望と言っても過言じゃないオマエラが、殺し合って未来を奪うような絶望的シチュエーションなんて……」

モノクマ「想像だけでも興奮しちゃうよ!楽しすぎて笑いが止まらないね!うぷぷぷぷ!」

夜桜愛梨「あなただけはお金をもらってもご主人様には成り得ませんね」

夜桜愛梨「ふざけたことばかり言ってないで、さっさと私達を帰しなさい、糞野郎!」

モノクマ「……ふざけてるのはどっちだよ。出たいって言うから出れるルールをつくってあげたのにさ」

モノクマ「オマエラゆとりはちょっと現実にぶつかれば嫌だ嫌だと我儘言っちゃってさ」

モノクマ「少しは現実と戦う勇気を持てよ!人を殺せば出られる、簡単なことじゃないか!」

モノクマ「邪魔者は消してしまえばいいのです。住み心地の良い世界にしようではありませんか!」
38: :2013/7/7(日) 01:13:59 ID:GdDqM49c02
水留崇「殺せば出られるんだな?わかった」

モノクマ「おお、君は物分かりがいいね!そうです、遠慮なんて必要ない……」

モノクマ「って、ギャー!可愛い学園長の首を握りしめないでー!」

水留崇「殺せばいいんだろ?今ここで、お前を殺して外に出るっていうんだよ!」

モノクマ「人を殺せばいいんだよ!ボクはクマだし、そもそも中身は機械だし……って、何言わせるのさ!」

モノクマ「とにかく、学園長に危害を加えるのは校則違反だよ!放してー!」

水留崇「人を殺すのは法律違反だろ!犯罪に手を染める気はねえんだよ!」

モノクマ「……」ピッ・・・ピッ・・・

水留崇「急に黙ってどうした!?それとも死んだか!?機械がこれくらいで壊れることはないよなあ!」

モノクマ「……」ピッ・・・ピッ・・・

水留崇「俺は帰って彼女と結婚するんだ!今ここで、お前をぶっ殺してなあ!」

モノクマ「……」ピッピッピッ

左雨瑞樹「おい……崇、何か変な音がモノクマからしてるぞ」

水留崇「関係ない!ここで確実に仕留めるんだ!やったか!?……あっ?」
39: :2013/7/7(日) 01:15:06 ID:GdDqM49c02
崇がモノクマの首を絞め、モノクマが黙る代わりに妙な機械音を発し始めてから数秒後のことである。
モノクマから眩い光が放たれたかと思うと、次の瞬間には爆発を起こした。
崇の両手は、激しい爆発で消し飛ばされ、全身は間もなく爆炎が包み込んだ。
凄まじい光景を見せつけおいてから、それらは一旦爆発の煙で姿を消した。
煙も晴れる頃には、俺達はまた違う衝撃映像を目撃することとなった。
肘から先が消失した、人の形をして焦げてるそれ。今の流れを見てるのだから、それが何かは考えるまでもない。
……横たわる水留崇の遺体。俺達はモノクマが、崇を殺すところをしっかりと見届けてしまったのだ。
40: :2013/7/7(日) 01:16:23 ID:GdDqM49c02
本田川佑子「水留くん!?いやああああ!」

中村闘球「嘘だ……嘘だよな、これ……」

モノクマ「ところがどっこい、現実なのです!」

場明日虎美「ひっ!?じ、自分、爆発したんとちゃうんか!?」

モノクマ「したよ。たぶんボクは二頭目だと思うから……」

モノクマ「モノクマは何度でも蘇るのです!だから殺そうとしたって無駄だからね!」

黒魔帝兎「校内に何体も設置されてるということか……」

中後小百合「それよりも……お前は今人を殺したんだぞ?法に触れる犯罪だ。気は確かか?」

モノクマ「確かに決まってんじゃん。それにここ希望ヶ峰学園ですから。法とか関係ありません!」

モノクマ「この学園生活では校則こそが全てです。水留くんみたいに校則違反をすると、今みたいにきっついおしおきしちゃうから気を付けてね」

モノクマ「学園内の至る所に監視カメラがあるでしょ?さらにボクも至る所に出てくるから!」

モノクマ「万全の態勢で、皆が行儀よく過ごしてくれるか見てるから、安心してね!」

夜桜愛梨「……滅茶苦茶ですね、この糞野郎は」
41: :2013/7/7(日) 01:18:29 ID:GdDqM49c02
モノクマ「入学早々に水留くんが死んじゃいましたけど、それはそれってことで」

モノクマ「最後に入学祝としてこれをオマエラにあげちゃいます」

肉丸健太「これって、生徒手帳ー?」

モノクマ「その通りです。カッコイイでしょ?」

モノクマ「電子化された生徒手帳なので、名前は電子生徒手帳なのです!」

中岡笑「まんまじゃないですか!」

モノクマ「こういうのは捻らない方がシンプルにカッコイイんだよ!」

モノクマ「この電子生徒手帳はこの学園生活において大切な物だから、大事に持っててね!モノクマからのお願いだよ!」

モノクマ「起動すると自分の名前やデータが詳しく表示されますので、確認しといてください」

モノクマ「あと、水に浸けても衝撃与えても壊れない、超高性能なのです。いわゆる秘密道具、みたいな」

モノクマ「そして何より、この学園生活の校則が載ってますので、清く正しく生活できるよう目を通しておいてください!」

中後小百合「なるほど……確かにそれは重要だ。お前から身を守るためにも、後で校則は一応見ておくとするよ」

モノクマ「むっ、嫌な言い方してくれるね。いい?共通のルールを守るから皆平和に生きていけるんだよ」

モノクマ「そんなルールを無視して、秩序を乱す者には当然罰が執行されます!そんなの常識だよね!」

中後小百合「学園長に刃向かうのが死刑であることに常識などないと思うが……」
42: :2013/7/7(日) 01:19:58 ID:GdDqM49c02
「まあとにかく、入学式は以上でおしまい!ではでは、有意義な学園生活できるように頑張ってねー!」

そう言ってモノクマは消えてしまった。
入学したら閉じ込められてて殺し合いを強要される。
まさしく意味のわからない展開ではあったが、それが嘘でも何でもなく、現実であるのはわかる。
何故かって、実際にもう死人が出ちまったんだからな。
水留崇……間違いなく俺達と一緒に生きていた彼が、目の前で命を散らした。
モノクマは本気なのだとわかる。つまり俺達は本気で選ばなければならないんだ。
殺すことなく皆とここで一生過ごすか、生きて出るために誰かを殺すか。
二つに一つだ。
最低の檻の中で腐った学園生活を強いられた俺達の絶望的な物語はこうして始まったわけだ。

プロローグ
「門の向こうは、最低の檻でした」
おしまい

生き残りメンバー:14人
43: :2013/7/9(火) 01:09:03 ID:GdDqM49c02
チャプター1
「仲間の価値は」

モノクマが消えてからしばらく経つが、俺達はその間ずっと呆然としていた。
目の前で人が死んだショック。そしてこれから自分も死ぬかもしれない不安。誰が殺してくるのかって疑心暗鬼。
理由は様々だが、あまりの恐怖に支配されて、行動するのも何だか怖くなっていた。
だが、いつまでも死体の転がる体育館で突っ立ってるわけにもいかないのも事実で、佑子が次のように切り出した。

「……み、皆!えっと、水留くんが殺されちゃって、怖いのはわかるけど……でも、私達がじっとしてるわけにもいかないよ!」
「皆で協力して、脱出できるところを探そう!皆で協力すればきっと見つかるよ!」
「全員で生きて外に出て、警察に知らせて、あの殺人犯を逮捕しないと!皆で水留くんの仇を取ろう!」

……確かにそうだ。突きつけられた異常に気圧されて失念してたが、選択肢は二つに一つではなかった。
協力して、脱出の術を探す。そういう選択肢だって確かにあるのだ。絶望の中で煌めいた希望あふれる選択肢に俺達の心は躍る。
44: :2013/7/9(火) 01:11:09 ID:GdDqM49c02
「そうだな。ここでくよくよしてても始まらない。俺達で協力して脱出してやろうぜ!」

こう叫んだのは闘球である。超高校級のラガーマンがいると何とも頼もしい限りだ。
それだけじゃない。超高校級のサッカー選手にプロレスラーだっている。
正直、俺も含めて役立たずっぽい才能の奴もいるが、ここには超高校級のエリート達が揃っているんだ。
そんなエリート達が協力すれば、あの窓や玄関ホールだってどうにかできるような気がする。
それに他の脱出口も見つかるような気がする。そうだ、あのくそったれ学園長に強いられるからって、俺達が殺し合いをする必要はないんだ。
こんな糞みたいなルールに従ってられるか!俺達は俺達のやり方で外に出るんだ!

「行動するのはいいが、校則とやらは確認しておいた方がいい。勝手に行動して、知らぬ間に校則違反を犯し、モノクマに殺されてもいいなら止めはしないが」

と、小百合が唐突に発言した。
……。
ま、まあ確かにルールはね、守らないとね。崇みたいになっちゃったら、崇の仇も取れなくなるし。
45: :2013/7/9(火) 01:12:46 ID:GdDqM49c02
わけのわからないクマに従うのもムカつくが、自分の身を守らなければならないのも事実だ。
モノクマから身を守るためにも、校則はチェックしておいた方がいいと思う。というわけで電子生徒手帳を起動。
最初に俺の名前が表示されて、その後メニューが細かく表示された。
その中から校則のアイコンを選ぶ。すると、画面上に文章が表示された。こいつが校則で間違いないだろう。
俺は表示された校則を正確に把握するため、入念に目を通すことにした。
46: :2013/7/9(火) 01:15:56 ID:GdDqM49c02
1:生徒達はこの学園内だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。
2:夜10時から朝7時までを夜時間とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。
3:就寝は寄宿舎エリアに設けられた個室のみで可能です。他の部屋での故意の就寝は居眠りとみなし罰します。
4:希望ヶ峰学園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。
5:学園長ことモノクマへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊を禁じます。
6:仲間の誰かを殺したクロは卒業となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはなりません。
7:なお、校則は順次増えていく可能性があります。

以上がこの学園のくそったれ校則である。
……原作から丸々文章をお借りしたけど、ネタバレOKの部分だし大丈夫だよな?こういう時はメタフィクション的発言に限る。
それは置いといて、校則の実態を知った面々は、それぞれの反応を示していた。
47: :2013/7/9(火) 01:18:14 ID:GdDqM49c02
相田鳥子「なるほどー!つまりどういうことだー!?」

肉丸健太「どういうことって……今見たでしょー?」

相田鳥子「漢字が読めねえ!変わりに読め、デブ!」

肉丸健太「代わりに、だねー。仕方ないなー、読んであげるよー」

中後小百合「……あの二人はほっといて、だ。とりあえず校則はわかったな」

場明日虎美「脱出口を探すのは問題なさそうやな。調べることに関して制限は無しっちゅう話やしな」

黒魔帝兎「立ち入り禁止区域も気になるが、まあそれは夜になってから考えればいいか」

本田川佑子「とにかく、これで問題なく探索できるよ!」

中村闘球「校則さえ守れば、逆にモノクマは手出しができないしな」

本田川佑子「そういうこと!皆で協力して、ここから脱出しよう!」

白鳥輝穂「おー!」

左雨瑞樹(天使だなあ)
48: :2013/7/9(火) 01:19:31 ID:GdDqM49c02
かくして俺達14人による希望ヶ峰学園探索が始まった。
……正直に言うと、俺は怖かったんだ。この中の誰かが、自分だけが出るために、モノクマの話に乗っかるんじゃないかと思って。
でも、今の展開から察するに、誰もが皆一緒の脱出を望んでいるみたいである。
恐らく、崇がモノクマに殺されたのが大きかったのだろう。
確かに出会って間もない俺達ではあるが、希望ヶ峰学園の新入生同士であり、今回の事件の被害者でもある。
そういう共通部分が、仲間意識を生み出したのだろう。そして、そんな仲間が無情理に殺されたのだ。
仲間を殺した奴に乗っかって自分だけが助かるよりも、そいつに対抗して全員で生きて帰りたい気持ちが勝ったのだろう。
それが佑子の「水留くんの仇を取ろう」発言に表れている。
モノクマは俺達が仲間同士で殺し合うのを期待して、この監禁事件を起こしたみたいだが。
残念だなあ。お前の思惑通りにはいかないぜ、クマ野郎。
49: :2013/7/10(水) 00:30:27 ID:GdDqM49c02
そういうわけで、俺達はまとまって校内を探索したわけだが……結果から先に言ってしまおうか。
探索の結果、俺達が行動できる範囲は大きく分けて二つだと判明した。
まずは……学校エリアとでも言おうか。俺が寝てた教室や異質な玄関ホールに体育館等々、如何にも学校な施設が揃ってるのがこっちだ。
お次は寄宿舎エリアだ。電子生徒手帳の校則のとこでも書いてあったな。詳しくは後述とするが、俺達の寝泊まりする部屋や、食堂などがある、日常生活を支えるエリアだ。
探索を決意して体育館を発った俺達は、必然的にまず学校エリアから探すこととなったのである。それじゃ探索の詳しい内容でも話すとしようか。
50: :2013/7/10(水) 00:31:34 ID:GdDqM49c02
本田川佑子「よし!それじゃ探索を開始しよう!」

夜桜愛梨「探索は個々に行いますか?それとも、皆でまとまって行いますか?」

黒魔帝兎「……皆でやろうか。俺達は知り合って間もない。一丸となってモノクマに対抗するには交流も必要だろう」

場明日虎美「何勝手に仕切っとんねん!成り金球団の手先が!」

黒魔帝兎「今そんなことを言ってる場合じゃないだろう。これだから関西の野蛮で馬鹿なチームのファンは困るんだ」

場明日虎美「何やとぉ!やるんか、自分!?」

白鳥輝穂「お、落ち着いてください。喧嘩はよくないですよ」

本田川佑子「そうだよ!それこそモノクマの思う壺だよ!仲良く協力してモノクマに抗うんだよ!」

場明日虎美「せやかてこいつが……!」

百目鬼良子「仲良くしてくれないのなら、私が仲裁して技をかけます!」

場明日虎美「わ、わかった!わかったから、超高校級のプロレスラーの技とか、ほんま勘忍してーな!」

百目鬼良子「よかった、仲良くしてくれるんですね」

左雨瑞樹「……これは仲良くなったとまとめていいのか?」
51: :2013/7/10(水) 00:32:59 ID:GdDqM49c02
本田川佑子「もう、話が脱線しすぎだよ!とにかく学校を調べてみよう!」

中村闘球「この辺となると……やはり玄関ホールや教室を調べるのが主になるだろうな」

肉丸健太「他にも調べてない部屋もあるからねー。そこも調べる必要があると思うよー」

キング「更には時空の歪みによる隠し部屋が出現する可能性も……」

中岡笑「ないよ!ハリーポッターじゃないんだから!」

中後小百合「ハリーポッターと絶望の学園ってわけか」

本田川佑子「……なんか本当にありそうなタイトルだね」

相田鳥子「それで結局あたし達はどこに行くんだー!?」

黒魔帝兎「まずは玄関ホールに向かおうか」

場明日虎美「だから何で自分が仕切んねん!」

百目鬼良子「……」

場明日虎美「わかったから、良い笑顔でこっち見んといてーな……怖いでほんま」
52: :2013/7/10(水) 00:34:30 ID:GdDqM49c02
夜桜愛梨「玄関ホールに到着しましたね、糞野郎」

中後小百合「相変わらず天井にはガトリング設置か。校則違反者をあれで殺す気なんだろうな」

本田川佑子「こ、怖いこと言わないでよ、中後さん……」

中村闘球「ここで試すのは一つだ。入口を塞ぐこの鉄の扉……これをどうにか突破できないか」

中岡笑「出来ないんじゃないですか?こんな大事件起こすような奴が、そんなへまするとは思えないんですけど」

中村闘球「だが、今の俺達には超高校級のプロレスラーがいる。彼女の力なら壊すことも可能かもしれない」

相田鳥子「こわしていいのかー?デブが呼んだルールにはそういうのダメっぽいこと書いてたぞー」

中村闘球「呼んだじゃなくて読んだ、だ。校則違反に当たるのは学園長への暴力と監視カメラの破壊だ。それ以外なら問題ないだろう」

百目鬼良子「なら私の出番ですね!今はヒールレスラーやってるんで、ラフファイト、パワーファイトはお任せください!」

左雨瑞樹「頼りになるな。それじゃいっちょ頼むよ」

百目鬼良子「いきますよ!はああ!」

場明日虎美「はー、すごい打撃やなあ。技かけられんでほんまよかったわ……」

黒魔帝兎「打撃は確かに凄いが……問題の鉄の扉はびくともしてないな」

百目鬼良子「……ごめんなさい。これ、どうしようもなさそうです……」

白鳥輝穂「ど、ドンマイです、百目鬼さん……」
53: :2013/7/10(水) 00:36:59 ID:GdDqM49c02
百目鬼良子「し、しかしこれではプロレスラーとして面目が立ちません!見ててください、廊下や教室の窓を塞ぐ鉄板くらいはどうにかしてみせます!」

本田川佑子「あ、行っちゃった。どうする?追いかける?」

中村闘球「本人がせっかくやる気になってるんだし、廊下や教室の窓の調査は任せてみようか」

中岡笑「調査っていうか、破壊ですけどね」

中後小百合「それじゃ私達はまだ行ってない部屋の調査をするとしようか」

白鳥輝穂「そうですね。百目鬼さんが頑張ってくれてるんですから、私達も頑張らないと!」

キング「……待て」

場明日虎美「……何やねん?」

キング「この玄関ホールを封じる鉄の扉……俺の中に眠りし黒龍の力を以てすれば、あるいは……」

相田鳥子「マジでか!?すげーな、ロン毛!」

中後小百合「それじゃ私達はまだ行ってない部屋の調査をするとしようか」

中岡笑「しれっと流してテイク2!?」

中後小百合「キングの愉快な世界観に付き合ってる暇はないと思うんでね」
54: :2013/7/10(水) 00:38:07 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹「ここは……」

中村闘球「購買部だな」

本田川佑子「購買部!?やった、プロテインとか売ってるかな!?」

中岡笑「学校の購買部で売ってるようなものじゃなくないですか!?」

中後小百合「スポーツ系の超高校級生徒は意識が根本から違うな」

白鳥輝穂「購買部……でも、私達、学園長に荷物を取り上げられてるので、お金持ってませんよ?」

左雨瑞樹「お金だけは返してもらわないとどうしようもないな……」

肉丸健太「それに、ここから出られないんじゃ、返してもらってもお金がすぐなくなっちゃうよー」

場明日虎美「購買部があるっちゅうて、あんま期待しすぎん方がええいうわけやな」

本田川佑子「それじゃ効率的なトレーニングが出来ないよ……」
55: :2013/7/10(水) 00:39:37 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹「ここは……視聴覚室か」

黒魔帝兎「視聴覚室があるということは、何か映像が見られるということか?」

場明日虎美「ほんまか!?ほんなら阪神戦見ようやないか!」

黒魔帝兎「馬鹿か貴様は?野球を見るなら巨人戦に決まっているだろう!」

肉丸健太「アツアツだね、二人ともー」

場明日虎美「そっ!そんなんちゃうわ、アホ!」

本田川佑子「……ちょっと気になってたけど、二人って前々からの知り合いなの?」

場明日虎美「せやね。お互いネット上ですごい野球ファンがおるで、いうて有名やったさかい」

黒魔帝兎「だからネット上で交流を図ってみたんだ。確かに野球知識は凄い物があったが、応援する球団が阪神ではな……」

場明日虎美「こっちの台詞や、アホ!何が巨人や!」

肉丸健太「アツアツだね、二人ともー」

場明日虎美「せやからそんなんちゃう言うとるやろが!アホか、この豚まんは!」

中後小百合「……話を戻してまとめるが、DVDか何かがないと、この部屋は無意味と言っていいだろうな」

中岡笑「購買部でそういうの売ってないんでしょうか?お笑いのDVDが見たいですよ、自分は」

夜桜愛梨「とにかく、脱出に関しては関係なさそうですね。他を探しましょう」
56: :2013/7/10(水) 00:40:48 ID:GdDqM49c02
白鳥輝穂「他にも部屋が二つありましたが、そこは入れませんでした……」

中村闘球「入れない部屋の一つは何かの教室として、もう一方は明らかに他の部屋のドアとは違う雰囲気だったな」

本田川佑子「並々ならぬ雰囲気だったよね。扉の色も赤くて、いかにもただ者じゃない!って感じで」

中村闘球「俺が肩からぶつかって、びくともしないんだ。壊して入るのは諦めた方がいいな」

黒魔帝兎「一応後で百目鬼にも攻撃してもらおうか」

左雨瑞樹「その前に、破壊を頼まなきゃいけない代物が他にあるっぽいけどな」

夜桜愛梨「そうですね。上階へと続く階段。これは無視できません」

肉丸健太「だけどさー、この階段、シャッターがあるから進めないよー」

中村闘球「これは俺と百目鬼で破壊を試みるしかないな。誰か窓の破壊を試みてるであろう百目鬼を呼び戻してくれ」

白鳥輝穂「わかりました。それでは私が呼んできますね」

相田鳥子「呼ぶじゃなくて読ぶじゃないのかー?」

肉丸健太「相田さん、今のは呼ぶ、でいいんだよー」
57: :2013/7/10(水) 00:42:31 ID:GdDqM49c02
百目鬼良子「はあ……はあ……」

黒魔帝兎「……一応聞いといてやる。窓の鉄板はどうにかできたか?」

百目鬼良子「駄目でした……タイトル戦のように気合いを入れて技をかけましたが……」

中村闘球「お疲れのところ申し訳ないが、もう一仕事だ」

百目鬼良子「え?あっ……もしかしてこのシャッターですか?」

中村闘球「そうだ。上階へと探索範囲を広げられると、脱出の糸口も見えるかもしれない。やるぞ!」

百目鬼良子「わかりました。プロレスラーの誇りにかけて、このシャッターを破壊してみせます!」

本田川佑子「始まったね。中村くんと百目鬼さんのダブル攻撃」

左雨瑞樹「さすが超高校級のラガーマンとプロレスラーだな。迫力満点だ」

中後小百合「だが、シャッターの方もさすがに頑丈だ。正直なところ、破壊できそうにはないな」

相田鳥子「なあなあ、ロン毛のふしぎパワー使えばどうにかなるんじゃねーのか?」

肉丸健太「相田さん、それは忘れようかー。そっとしておいた方がいいこともあるんだよー」
58: :2013/7/10(水) 00:43:17 ID:GdDqM49c02
夜桜愛梨「やっぱりと言うべきでしょうか。破壊はできませんでしたね」

百目鬼良子「私はプロレスラーを名乗っていいのでしょうか……」

左雨瑞樹「そんな落ち込むなよ、良子。プロレスラーらしい、見事な暴れっぷりだったぜ」

百目鬼良子「そうですか?ありがとうございます!」

中岡笑「普通の女の子なら怒る台詞でしょうけどね……」

黒魔帝兎「彼女は超高校級のプロレスラーだからな」

白鳥輝穂「いろいろ調べましたけど……脱出の糸口は掴めませんでしたね」

中後小百合「ふむ。では、そろそろこっちは切り上げて、未知なるエリアを探すとしようか」

左雨瑞樹「未知なるエリア?」
59: :2013/7/10(水) 00:45:28 ID:GdDqM49c02
中後小百合「教室や玄関ホールのある校舎は調べて何も出なかった。となると、調べる校舎を変えるべきだ」

黒魔帝兎「……電子生徒手帳にも書いてあった寄宿舎エリアとやらか」

中後小百合「その通りだ。教室前の廊下、その向こう側を我々はまだ調べていない。恐らくそっちが寄宿舎エリアとなってるのだろう」

中後小百合「今日中の脱出ができない場合、我々は寝泊まりする必要がある。しかし、そこは校則にかかわる部分だ」

中後小百合「校則違反にならないで就寝できる個室とやらを確認しておいた方がいいだろう」

黒魔帝兎「……そうだな。モノクマ自身が校内を自由に調べていいと言うほどだ。俺達をこの学校に閉じ込めておく自信が大きいと見える」

黒魔帝兎「故に脱出は困難を極めるだろう。一日でどうこうできる問題ではないと容易に想像できる」

黒魔帝兎「ならば休める個室は早急に確認すべきかもな。意図的に個室以外で寝るのは校則違反となり、モノクマに殺されてしまう」

本田川佑子「は〜……何だか頭良い感じの会話してるねえ」

中村闘球「とにかく、やることは決まったな。それじゃ、そっち方面を調べるとするか」
60: :2013/7/11(木) 01:46:46 ID:GdDqM49c02
本田川佑子「寄宿舎エリアとやらに来てみたけど……」

中岡笑「個室、即座に見つかりましたね」

中後小百合「ははは、いらぬ心配だったな」

白鳥輝穂「部屋の前にそれぞれプレートが貼ってあります。可愛らしいイラスト付きですよ」

夜桜愛梨「私達のイラストですね。よく描けてると思いますよ」

場明日虎美「ほんならイラスト通りに部屋分けしていったらええんか」

黒魔帝兎「そうなるな。よし、全員分の個室の確認も出来たし、寄宿舎エリアの本格的な探索を始めてみようか」

白鳥輝穂「こっちで脱出の糸口がつかめるといいですね!」
61: :2013/7/11(木) 01:48:05 ID:GdDqM49c02
中村闘球「……調査結果だけパッとまとめると」

中村闘球「寄宿舎エリアには個室の他に食堂・厨房・ランドリールーム・トラッシュルームがあるわけだな」

本田川佑子「いろいろ入れない部屋もあったけどね。とりあえず調べられたのはそれらの部屋だよね」

肉丸健太「食堂があるのは嬉しいなー!僕、いっぱい食べちゃうよー!」

場明日虎美「やめんかい!確かに厨房にアホほど食料はあったけど、それでも限りはあんねんで!」

中岡笑「場明日さん、ツッコミチャンス奪うのやめてくれません?」

場明日虎美「じゃかあしいわ!お笑いやっとんなら自力でどないかせえ!」

黒魔帝兎「野蛮人め……」

中後小百合「今の愉快なやり取りの通りだ。食料に限りはある。各自、脱出が遅れての長期滞在に備えて、暴飲暴食は控えてほしい」

肉丸健太「……僕に死ねって言うのー?」

中岡笑「いや、言ってないよ!普通になら食べていいんだから!」

場明日虎美「普通なツッコミやの。自分、あんまセンスないんとちゃうか?」

中岡笑「ひいいい!」
62: :2013/7/11(木) 01:49:18 ID:GdDqM49c02
夜桜愛梨「ランドリールームでは、その名の通り、洗濯が可能ですね」

白鳥輝穂「何日か寝泊まりするようになった時、衣服の洗濯ができないと辛いですもんね。よかったです」

本田川佑子「日常生活に必要なことはある程度できるんだね。でも、これらに世話になることなくさっさと脱出したいよね!」

黒魔帝兎「そうは言っても、ランドリールームに脱出の手がかりはなかったけどな」

相田鳥子「この洗濯機のけたら秘密基地の入り口があるとか?」

黒魔帝兎「ない。そもそも秘密基地みつけてどうするんだ?」

キング「この洗濯機の中に次元の歪みが発生してて、秘密の部屋に繋がってるとか?」

黒魔帝兎「歪んでいるのはお前の頭だ」

中岡笑「夫婦一緒になって自分の仕事を取らんといてくださいよー」

黒魔帝兎「場明日とはそのような関係ではない!」

中岡笑「ひいいい!」
63: :2013/7/11(木) 01:59:35 ID:GdDqM49c02
本田川佑子「最後に、トラッシュルームだね!」

中村闘球「入ってすぐにシャッターがしてあって調べられなかった。以上だな」

本田川佑子「……そんな簡単にまとめなくても」

中村闘球「事実だろ。無駄に長く引き伸ばしても無駄だしな」

肉丸健太「ゴミ捨て場となるこの部屋が、シャッターで閉まってあったら、僕らが出すゴミとかどうすればいいのかなー?」

夜桜愛梨「食べればいいのではないでしょうか、糞野郎」

肉丸健太「いや……さすがの僕もゴミは食べないよー」

黒魔帝兎「シャッターで思い出したが……階段前のシャッターはどうなった?」

本田川佑子「ああ、寄宿舎エリアでも上へと続く階段があって、シャッターで通れなかったんだよね。百目鬼さんが破壊を試みてるんだっけ?」

百目鬼良子「……」

場明日虎美「噂をすればっちゅうやつやな。どやった?」

百目鬼良子「私、もうプロレスラーを引退します……」

場明日虎美「ちょっ!?」

本田川佑子「……駄目だったみたいだね」
64: :2013/7/11(木) 02:05:53 ID:GdDqM49c02
……以上が探索結果である。
脱出の糸口を探すという名目ではあったが、結局それは見つからなかった。
わかったのはモノクマの用意周到さだけである。一生ここで過ごさせるという狂気染みたことを言い出すだけあって、日常生活の備えはバッチリみたいだ。
そして俺達を閉じ込めるというのも本気なのが探索でひしひしと伝わってきた。超高校級のプロレスラーに引退を決意させるほどの強固な鉄板で封じこんでいるんだから。
つまり、一通り調べて判明したのは、限りなく脱出不可能に近いレベルで俺達を監禁しているということだけだ。
一生という果てしなく長い時間の学園生活を強いるつもりでいるのでそれなりの設備は整っているものの、小百合が先にも言ったように食糧問題もある。
脱出可能なのか、食糧問題はどうなるのか、不安だけが募るような結果に終わったわけだ。
絶望の中で見つけた煌めく希望も、たった一日で曇ってしまった。

一日をかけて虚しい結果に辿り着いた俺達は、今後のことを話し合うという名目で食堂に集まったものの、正直話す空気にはならなかった。
65: :2013/7/12(金) 00:36:31 ID:GdDqM49c02
夜桜愛梨「……結局、脱出はできそうもないですね」

本田川佑子「で、でも!まだ一日目だしさ!これからまた探していけば、どうにかなるよ!」

黒魔帝兎「探せるところは細かく探した。入れない部屋はドアを攻撃しても入れない。階段のシャッターも、窓の鉄板も同じだ」

黒魔帝兎「現状で探せる部分は全て探して、それで駄目だったんだ。どうにかなるなら根拠も教えてもらわないとな」

本田川佑子「……」

白鳥輝穂「これから探索を続けていくにしても、食料に限りはあります。私達、どうなっちゃうんでしょう……」

モノクマ「どうしたの?なんかすごいしょぼくれてるじゃん」

中岡笑「そりゃしょぼくれもしますよ。一日探して脱出口が見つからないんですから」

中岡笑「って、何であんたがここにいるんですか!?」

中村闘球「モノクマ!お前、どこから現れた!?」

モノクマ「どこからでも現れます。モノクマを一頭見つけたらあと三十頭はいると思った方がいいよ」

モノクマ「って、こんなに可愛いクマをゴキブリ扱いしないでよ!」

中岡笑「自分で言い出したんでしょうが!」
66: :2013/7/12(金) 00:37:51 ID:GdDqM49c02
モノクマ「ボクが何頭いるかとか、そんなのはどうでもいいんだよ!」

白鳥輝穂「どうでもいい話ではないような気がしますけど……」

モノクマ「それよりどうだった?今日一日探してみて、脱出できそうだと思った?」

本田川佑子「……」

モノクマ「無言の肯定ってやつだね!だから言ったでしょ?ここを出るには殺すしかないんだよ!」

モノクマ「そのルールに則らない限り、脱出なんて無理無理!パーッと殺っちゃって、パーッと出ちゃえばいいんだよ!」

中後小百合「だからそれをすれば殺人だ。法に則って、そんな誘いに乗るわけにはいかない」

モノクマ「君は実に馬鹿だなー。ここでは校則が全てだって、何でわかんないかなー」

モノクマ「あと何回言えば理解するの?十回?百回?千回?」

中後小百合「何度言われても乗らんぞ。犯罪者はお前一人で十分だからな」

モノクマ「ボクはクマだから数え方は一頭だよ!中後さんは頭が悪いなー」
67: :2013/7/12(金) 00:39:04 ID:GdDqM49c02
場明日虎美「それよりモノクマ!自分、うちらを一生閉じ込めるつもりちゃうんかい!」

モノクマ「オマエラが殺しをしないならそうなるね」

キング「しかし、厨房の食材はとても人の一生を補えるほどの量ではなかった。貴様、それはどう説明するつもりだ?」

百目鬼良子「……キングさんがまともなこと言ってると、何だか不安になりますね」

中岡笑「気持ちは分かりますけど、今はスルーしましょう」

モノクマ「何?飢え死にするとでも思ったの?この日本で?うぷぷ、いつ時代の話をしてるんだよ!」

黒魔帝兎「しかし、言い分としては間違えてないだろう!」

モノクマ「もー、皆もちゃんとボクのことを信用してよ!予算はあるからオマエラは不自由なく過ごせるって言ったでしょ!」

モノクマ「食料はきちんと補充していきます。そこのふざけたくらいに太ったおデブちゃんが狂ったように食べたって、なくなることはないんです!」

肉丸健太「本当!?僕はいっぱい食べても大丈夫なのー!?」

場明日虎美「どんだけ食いつくねん!」

モノクマ「とにかく、ごはんに関しては心配しなくていいよ!オマエラは清く正しくコロシアイ学園生活のことだけ心配してればいいんです!」

本田川佑子「私達は殺し合いなんてしないよ!」

モノクマ「言うだけならタダだからね。守れないマニュフェストほど無価値な物はないよ!うぷぷぷぷ!」
68: :2013/7/12(金) 00:40:38 ID:GdDqM49c02
モノクマ「この際だから日常生活で気になることがあったら聞いとくよ。さあ、学園長に遠慮なく質問してください!」

中村闘球「そんな長い間ここの世話になるつもりはないけどな」

モノクマ「強がらなくていいのにね。素直になれなきゃ愛しいあの子も振り返ってくれないぞ!」

中村闘球「……その心配は俺には不要だと思うが」

黒魔帝兎「何故そこで俺を見る!?」

白鳥輝穂「……一つよろしいでしょうか?学園長」

モノクマ「おー、キミの態度は生徒の鑑だね!何だかボク興奮してきちゃうよ!」

中後小百合「今のどこに興奮する要素があるんだ?」

モノクマ「興奮する要素しかないじゃない!何だか下半身の一部が固くなってきちゃいました!」

中岡笑「そういう意味で興奮してるんだ!?確かに可愛いけども!」

相田鳥子「お前ら一体何語で話してんだー?」

中岡笑「言語からわかんないんだ!?とりあえず知らないなら知らないままでいいから!」

白鳥輝穂「……」

左雨瑞樹「おい……そろそろ輝穂の話を聞いてやれよ」
69: :2013/7/12(金) 00:42:04 ID:GdDqM49c02
モノクマ「それじゃ話を戻しましょう。話って何なのさ?」

白鳥輝穂「えっと、トラッシュルームのシャッターが閉まってあって、使用できないんです」

白鳥輝穂「ゴミの処理ができないのでは、日常生活に支障が出てしまいます。どうすればいいのでしょう?」

モノクマ「何だ、そんなことか。テレレレッテレー!さて、これは何でしょう?」

中後小百合「……鍵か?」

モノクマ「そう、トラッシュルームのシャッターを開ける鍵です!オマエラの中で掃除当番をちゃちゃっと決めちゃってよ!」

モノクマ「そしたらそいつに鍵を渡しとくからさ。今後はその人にまかせっきりでもいいし、オマエラで交代しながらでもいいよ」

中後小百合「掃除当番を決めて、ゴミの処理は私達に押し付けるってわけか」

モノクマ「押し付けるとは何だよ!自分達が出したゴミは自分達で片づける、常識だろ!」

左雨瑞樹(あーあ……超高校級の貧乏くじの出番かなあ)

白鳥輝穂「えっと……掃除当番、私が頑張ります」

左雨瑞樹(おっ?)

モノクマ「ありゃ、やる気じゃん。誰の使用済みティッシュが目的なの?それともトラッシュルーム絡みの殺害トリックでも思いついた?」

白鳥輝穂「そ、そんなのじゃありません!……私、脱出の役には立てそうもありませんから、こういう部分で皆さんを支えていきたいんです」

左雨瑞樹(……天使だなあ)
70: :2013/7/12(金) 00:43:35 ID:GdDqM49c02
本田川佑子「ついでだから聞いとくよ。モノクマ、購買部あったけど、あれは意味あるの?」

百目鬼良子「可能ならばプロテインを購入したいと思ってるんですけど」

中村闘球「確かにプロテイン無しでトレーニングするのは勘弁願いたい」

中岡笑「スポーツ組、必死ですな……」

肉丸健太「ファンからプロに移りたがってる黒魔帝くんも加わった方がいいんじゃないのー?」

黒魔帝兎「ふざけるな!読売巨人軍は紳士であるべきだ!だから俺はそんな物に手出しはしない!」

左雨瑞樹(ドーピングとプロテインを混同してんのかな……)

モノクマ「あの購買部は原作以上に品揃え豊富にするつもりだから、たぶんプロテインもあると思うよ」

夜桜愛梨「原作って、何を仰ってるのですか、糞野郎」

モノクマ「気にしない気にしない!とにかく、いろいろ揃えとくよ!中には殺害に役立つ物も売っちゃうかもね!うぷぷぷ!」

本田川佑子「後半は聞かなかったことにして……私達、お金持ってないんだよ?どうやって買えばいいの?」

モノクマ「それはね、じゃじゃーん!このコインを使えばいいのです!」

中村闘球「……何だ、そのコインは?」

モノクマ「これはね、モノクマメダルと言います!この学園内でお金となるコインなのです!」

モノクマ「このコインを学園の至る所に隠しておりますので、暇だったら探して、殺害道具でも買ってってね!」

場明日虎美「んなもん誰が買うかい!ドアホが!」
71: :2013/7/12(金) 00:47:37 ID:GdDqM49c02
モノクマ「質問はこれくらいかな?」

場明日虎美「うちからも一つあるで」

場明日虎美「寄宿舎エリアで入られへん部屋ん中に、大浴場っぽいのあったんやけど、浴場入られへんとかどういうことやねん!風呂どないしろ言うねん!」

モノクマ「ありゃりゃ?オマエラ、まだ個室も調べてないの?」

本田川佑子「え?個室?」

黒魔帝兎「俺達は脱出方法を探して校内を探索していた。まだ各々の個室には入っていない」

モノクマ「なんと、ゆとりのくせに馬鹿真面目だね!それともゆとりだから指示を馬鹿みたいに守ることしかできないのかな?」

相田鳥子「何だとー!馬鹿にするなよー!」

中岡笑「いや、あなたは馬鹿ですからね」

モノクマ「ともかく、脱出はできないんだから校内探索なんて無駄だよ。それよりボクは部屋で休んでほしいと思います」

モノクマ「大丈夫、トイレとシャワー付きの部屋だから!女子のシャワー室はちゃんと鍵までついてます!」

キング「男子には付いてないのか?念力で封じろということか?」

モノクマ「ふざけるのは髪型だけにしてよ!男子のシャワーシーンを覗いたって何の意味もないでしょ!」

モノクマ「ああ、でも白鳥さんは使用済みティッシュが欲しいほどの男子がいるみたいだから、少しは需要あるのかもね」

白鳥輝穂「だ、だからそういう意味で掃除当番やるんじゃないですよ!」
72: :2013/7/12(金) 00:49:22 ID:GdDqM49c02
モノクマ「とにかく、質問は以上でいいかな?それじゃボクはこの辺で失礼します!ではでは!」

白鳥輝穂「あっ……消えちゃいました。神出鬼没って感じですね」

中村闘球「殺しに関する発言は流すとして……確かに今日はもう探索はやめにするべきかもな」

本田川佑子「一日中探索してすっかり遅くなったからね。外と切り離されてるから、あんまり実感ないけど」

相田鳥子「おい、お前。今何時何分だー?」

左雨瑞樹「俺か?この部屋、時計あるんだから見ればいいだろ」

相田鳥子「だから見てくれって言ってんだー!馬鹿かー!?」

左雨瑞樹「……もしかして時計の見方、わからんのか?」

相田鳥子「馬鹿にするなよー!それぐらい知ってんぞー!ただ、針が三つあるからどれがどれかわかんねーんだ!」

左雨瑞樹(超高校級の馬鹿……恐るべし!)

中後小百合「今は夜中の七時だ。確かにそろそろ探索を切り上げるべきだな」

夜桜愛梨「それでは部屋に戻りましょうか。部屋に脱出の手がかりがないとも限りませんしね」

百目鬼良子「あまりそれは考えられないですけどね……」
73: :2013/7/12(金) 00:50:41 ID:GdDqM49c02
こうして探索を切り上げた俺達は、その後を自由行動とした。
そのまま食堂に残って食事をしようとする者、さっさと部屋に戻って明日に備える者、行動は様々だ。
俺はと言うと、部屋に戻る方のグループである。何て言うか、食欲がなかった。
今日一日でいろんなことが起こりすぎた。監禁事件の被害に始まり、水留崇の殺害事件に一日かけての校内探索。
非現実的な現実を突きつけられ、更には行動しっぱなしで心身ともに疲れていた。正直、すぐにでも寝たい気分だ。
そういうわけで、俺のイラスト付きネームプレートがある部屋に到着。そのドアノブを捻った。
74: :2013/7/12(金) 00:52:56 ID:GdDqM49c02
部屋の中も十分異質な光景だった。
やはり窓には鉄板が打ち付けられている。良子の攻撃でびくともしないんだから、俺が何をしたって結果は見えてるだろう。
そしてやはりというか、ここにも監視カメラが設置してある。
自室であっても、校則違反者がいないかどうかモノクマが見張ってるわけだろう。プライベートも糞もあったもんじゃない。
テレビっぽいものもあるにはあるが、当然のように公共の電波はキャッチしない。入学式を呼び掛けた忌々しいあの校内放送、それのためだけのテレビと思って間違いないだろう。
こんな何もない部屋でやることもないだろう。俺はさっさとベッドに横になって目を瞑った。
……が、寝られない。十二分に疲れてるはずだし、気分的には寝たいわけだが、眠れる気配がしない。
突拍子もなく巻き込まれてしまった異常な事件を前にして、平常でいられなくなってるのだろうか。仕方ないので体を起こした。
75: :2013/7/12(金) 00:54:39 ID:GdDqM49c02
部屋を改めて見回して気付いたのは、二つ。
まず、テーブルの上に置いてあった鍵のことだ。ホテルの鍵みたいにキーホルダーのついてる鍵。そこには俺の名前が書いてある。
まあ難しく考えずに、俺の部屋の鍵ってことだろう。
もう一つのことは、部屋の壁に貼られてた紙のことだ。そこには、次のように書かれていた。

モノクマ学園長からのお知らせ
部屋の鍵には、ピッキング防止加工が施されています
鍵の複製は困難な為、紛失しないようにしてください
部屋には、シャワールームが完備されていますが、夜時間は水が出ないので注意してください
また、女子の部屋のみ、シャワールームが施錠出来るようになっています
最後に、ささやかなプレゼントを用意してあります
女子生徒には女子らしく裁縫セットを
男子生徒には男子らしく工具セットをご用意しました
裁縫セットには人体急所マップも付いているので、女子のみなさんは、針で一突きするのが効果的です
男子の工具セットを使用する場合は、頭部への殴打が有効的かと思われます
ドントシンクだ!フィールだ!レッツエンジョイだ!
76: :2013/7/12(金) 00:56:28 ID:GdDqM49c02
……俺はもうその紙に書かれた文章を二度と読まないと心に誓った。
校則内容と同じく原作から丸々文章を使ってるが、公開OKのところだからと自分に言い聞かせる。
まあそれはいいとして、だ。一応その工具セットとやらを探してみた。そしたらベッド付近にある机の引き出しにそれらはあった。
新品である。うん、感想はそれだけだ。誰がこんなものを使うのかって話だよ。俺は即座に引き出しの奥底にそれを封印した。
以上の二点に気付いたわけだが、ぶっちゃけるとそれだけである。それを見つけて楽しいとか、そんなわけもなく、なんつーか暇だ。
娯楽も何もない部屋で、世界で俺だけ取り残されたように静かなんだ。何て言うか、気持ちがおかしくなってしまう。
ていうか、静かすぎだろ。隣の音とか聞こえてもいいんじゃねえのか?何か本当に不安になってくるから、俺以外が発する音を聞きたい。
精神的に不安定になってきた俺は、とりあえず落ち着くためにシャワーを浴びることにした。
77: :2013/7/12(金) 00:57:54 ID:GdDqM49c02
ふいー。気持ち良かったー。
シャワーを浴びて少しは身も心も洗われただろうか。これで寝れるようになってればいいけど。
とりあえずシャワー室には監視カメラはなかった。輝穂にセクハラするクマだから、しっかりとそこも監視してると思ってたのだが。
変なところで常識はあるらしい。……よし、性欲処理はどうにかなりそうだな。
体を洗って温めた俺は、改めてベッドに横になる。それと同時に、突然チャイムが鳴った
それに合わせるようにテレビが点く。そこにはワイングラスを持つモノクマの姿があった。

「校内放送でーす。午後10時になりました」
「ただいまより夜時間になります」
「間もなく食堂はドアをロックされますので、立ち入り禁止となりまーす」
「ではでは良い夢を。おやすみなさい……」

それだけ告げてテレビは消え、部屋には再び静寂が戻った。
78: :2013/7/12(金) 00:59:09 ID:GdDqM49c02
何て言うか、今日はもう本当に疲れた。非日常的生活に巻き込まれて不安になってた俺の心も、シャワー効果で少しは和らいだ。
今なら寝れる気がする。さっさと夢の中に入っちまおう。
……夢、ねえ。寝て起きたら愛しい我が家、なんてオチはないかなあ。
だって、非現実的すぎるだろ。監禁されて、出るためには殺しが必要で、おまけに超高校級の貧乏くじが掃除当番を免れたんだ。
こんなわけわからん出来事、夢として片付けたくもなるだろ。
水留崇も死んでなくて、俺はまだ希望ヶ峰学園に入る前で、皆と普通の生徒として仲良くなれるような。
目が覚めたら、そういう普通に戻ってないかなあ。
そんなことを思いながら、横になって目を瞑ってる俺の意識はだんだんと遠のいていくのだった。
79: :2013/7/12(金) 01:00:29 ID:GdDqM49c02
〜モノクマ劇場〜

無駄に長い説明が終わって、いよいよ学園生活がスタートしました。
ボクが素晴らしい学園生活を用意してあげたというのに、新入生はそれを拒もうとします。
何と悲しいことでしょう。これが反抗期というやつでしょうか。
しかしボクは諦めません。ボクには学園長として、彼らを立派な生徒に育て上げる義務がありますから。
清く正しく殺し合う。某少年ジャンプ漫画のような生徒を育て上げてみせると誓います!
まあ殺害対象はボクじゃないんですけどね。うぷぷぷぷ!
80: :2013/7/13(土) 01:28:24 ID:GdDqM49c02
キーンコーンカーンコーン……
「オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!起床時間ですよー!」
「さて、今日も張り切っていきましょー!」

……という校内放送で目が覚めた。糞、やっぱり現実かよ。
太陽の光が遮断された校内なので実感は湧かないが、朝になったらしい。
しかし、俺の体はだるいままである。無視して寝続けてやろうかと思ってた、その時だった。

ピンポーン、とチャイムが鳴った。それは校内放送のそれとは異なるチャイム音。間もなくドアの方からノックの音がするのを確認した。
どうやらこの部屋、インターホン付きのようだ。超高校級同級生達の中の誰かだろうか。俺は気だるい体を無理やり起こして、のそのそとドアの方へ向かった。
81: :2013/7/13(土) 01:30:09 ID:GdDqM49c02
「おはよー、左雨くん!良い天気……なのかは知らないけど、とりあえず朝だよ!」

俺を迎えてくれたのは、超高校級のサッカー選手である本田川佑子だった。
輝穂や愛梨には劣ってるとは思うが、基本的には皆美少女であり、それは佑子も例外ではなく、そんな美少女が迎えに来たことで少し心が躍る。

「朝っぱらから何だよ……こっちはまだ眠たいんだよ」

と、俺別に美少女来たからって動じてねえしアピールをかましておいたが、そんなことは関係なく佑子は続けた。

「いいからいいから!皆で朝ごはん食べようよ!」
「いいよ……俺、朝は食べないんだよ」
「駄目だよ!朝からしっかりエネルギーを取っとかないと一日を元気よく活動できないよ!」
「それに、昨日の晩に何も食べてない人だっているんだし。左雨くん、さっさと部屋に戻ってたし、左雨くんもきっとそうでしょ?」
「それは……まあ確かにそうだけど」
「食べないのは体に毒だよ!それに、食べるのもトレーニングだよ!しっかり食べないと体は作れないよ!」
「俺はスポーツやってないからどうでもいいのに……」
82: :2013/7/13(土) 01:31:11 ID:GdDqM49c02
こんな感じで押し込まれ、朝食を食べる運びとなった。
佑子は皆一緒に朝食を食べるつもりのようで、他のメンバーを起こしに行く作業を手伝わされた。
こうして佑子は全員を叩き起こし、そのまま全員を引き連れて食堂へと向かった。
食堂の時計を確認すると7時30分頃だった。14人もいると起こすだけでも時間がかかって一苦労である。

キング「俺達を集めて何をするつもりだ?まさか禁忌の呪文を唱えるつもりか?」

中岡笑「どういう考え方をすればその結論に辿り着くんですか?」

本田川佑子「さっきも言ったけど、皆で朝ごはん食べようって思って。食べなきゃ体も音を上げるからね」

本田川佑子「それに、触れ合いの時間も必要かなって。モノクマに対抗するには、私達が一丸となって挑まなきゃ!」
83: :2013/7/13(土) 01:32:43 ID:GdDqM49c02
黒魔帝兎「つまり食事を通じてコミュニケーションを図り、仲良くなろうって話か」

本田川佑子「まあそういうことだね」

場明日虎美「無理やな。うちは成り金球団とだけは仲良くなるつもりはないで」

黒魔帝兎「それはこちらの話だ。紳士たる読売巨人軍と言えど、我慢の限界はある」

中後小百合「夫婦喧嘩は犬も食わないってね」

黒魔帝兎「……中後、何か言ったか?」

中後小百合「いいや。気のせいじゃないか?」

肉丸健太「どうでもいいけど早く食べよう!食べ物は僕達を待ってはくれないんだよ!」

中岡笑「いや、いくらでも待ちますよ!」

白鳥輝穂「あ、あの、私が何か作りましょうか?簡単なのしか作れませんけど」

百目鬼良子「私も手伝います。白鳥さんだけに押し付けるわけにはいかないです」

本田川佑子「私も手伝うよ!よーし、皆でさっさと作っちゃおう!」
84: :2013/7/13(土) 01:34:35 ID:GdDqM49c02
中村闘球「……皆で作るとは言っても、やはり三人では時間がかかるな」

キング「他の女共も手伝ってやったらどうだ?」

場明日虎美「うちは駄目やな。たこ焼き作るんでも焦がすような女やで?あかんやろ」

中後小百合「私もパスだ。家事の出来る夫を捕まえないと将来が危ういような女でね」

夜桜愛梨「私は私を雇ってくれるご主人様のためだけに働きます。タダ働きは御免です」

相田鳥子「料理は食べるものだろー!作るの手伝うって、何言ってんだー!馬鹿かー!?」

中岡笑「……うん、これは諦めた方がよさそうですね」

中後小百合「女にだけ任すんじゃなくて男共も手伝ってやったらどうだ?」

黒魔帝兎「あの三人と一緒に料理作れるんだから、男の中で料理出来る奴がいたらとっくに名乗りを上げてるだろう」

左雨瑞樹「そういうことだ。俺達は大人しく待つとしよう」

中村闘球「ただ待つのも時間が勿体無い。本田川の言うように交流を図るとしようぜ」
85: :2013/7/13(土) 01:36:29 ID:GdDqM49c02
中後小百合「一応確認しておこうか。部屋の中で何かあったか?」

黒魔帝兎「殺害に使えって道具以外は何も」

中後小百合「同じか。どうやら誰の部屋にも脱出の糸口はなかったみたいだな」

夜桜愛梨「脱出には関係ないですが、気になることはありましたよ、糞共」

中岡笑「すごいナチュラルに毒舌ぶっこんできますね……」

夜桜愛梨「室内が凄い静かだとは思いませんでしたか?」

左雨瑞樹「あっ、それ俺も思った。隣の音も聞こえないで、けっこう不安を覚えたよ」

場明日虎美「防音加工がしてるんかもしれんな。うち、六甲おろし歌ったのに、誰も気づかんかってん」

中岡笑「何でそんなの歌ってんですか、あなたは?」

場明日虎美「うちにとっての聖歌やからや、アホ」

キング「つまり俺が呪文を唱えても、誰にもばれることはないということだな」

中村闘球「そんなのを聞かなくて済むなら防音加工に感謝だな……」

本田川佑子「お待たせ!簡単なのだけど朝ごはんできたよ!」

肉丸健太「待ってましたー!」

中後小百合「とりあえず飯をつつくとするかね……」
86: :2013/7/13(土) 01:38:31 ID:GdDqM49c02
佑子達が作ったのは、トーストに目玉焼きの乗ってるいわゆるラピュタパンと、たっぷり野菜が使われたコンソメスープだった。
適当でごめんね、と天使な輝穂は謝ってたが、朝食を抜くのが当たり前な俺にとっては十二分に立派なメニューである。ありがたく食べさせてもらおう。
料理は言うまでもなくうまかった。冴えない俺が女子から料理作ってもらえる機会は今までなく、そんなだから輝穂達が作ってるって事実だけでごちそうなのさ。
それに、皆でワイワイ食べるのは本当に楽しかった。食事の僅かな時間でも、狂気的事件に巻き込まれている事実を忘れることが出来た。
勝手な憶測だが、それは皆も一緒ではなかろうか。
皆と一緒にいると楽しい。ひと癖ふた癖ある連中だが、皆根っこの部分では優しくて、その優しさに触れてると、この狂った環境の中、救われたような感覚になる。
俺、皆と知り合えて、仲間になれてよかったなって思う。死亡フラグみたいだけど、マジで思ってる。
だから俺は本当の学園生活を皆と一緒に送っていきたい。
そのためには、まずは脱出だ。これから皆と協力して、脱出方法を探していくんだ。
皆との和やかな朝の食事会で、俺はシリアスにそのようなことを考えていたのだった。
87: :2013/7/13(土) 01:40:11 ID:GdDqM49c02
食事が終わると、自然と今日一日はどうするかという話になった。

本田川佑子「ごはんをしっかり食べれたね!さて、今日はどうしよっか?」

黒魔帝兎「昨日は結局脱出の糸口を掴めなかった。今日も今日で探索をする必要があるだろう」

黒魔帝兎「ただ、今日からは個々の探索でいいだろう。各自が気になることを調べてみるといい」

中村闘球「そうだな。個々で調べた方が効率良いと思うし、交流は十分果たせたと思うからな」

黒魔帝兎「そういうことだ。それに、朝の食事会は続けていくつもりだろ?」

本田川佑子「うん!体にもいいし、皆の心も一つになるからね!」

中後小百合「モノクマに対抗すべく一丸にはなれたようだな。さあ、脱出といこうかね」

中村闘球「今日の探索結果は明日の朝にでも報告してくれればいいよな。それじゃ探索に移るか!」

こんな感じでそれぞれ自由に探索することとなった。
88: :2013/7/14(日) 00:29:50 ID:GdDqM49c02
兎や愛梨のように一人で行動する奴もいれば、佑子・良子・輝穂のように組む奴もいた。この三人は料理同盟として深い友情でも芽生えたのかね。
さて俺はどうしようか、なんて考えてると、佑子が俺の方へ駆け寄ってきた。ハーレム結成の御誘いが来たのかと思って期待半分に身構える。

「ねえねえ、左雨くん」
「何だよ?」
「ちょっとお願いがあるんだよね」
「っ!……何だよ、そのお願いって?」
「今日これからさ……氷室さんと付き合ってくれないかな?」
89: :2013/7/14(日) 00:30:55 ID:GdDqM49c02
氷室。フルネームは氷室エリカ。読んでる人がいたとして、その中でマジで忘れてる人もいるんじゃなかろうか。とりあえず俺は忘れてた。
エリカは名前以外名乗らなかった、才能も謎のままの無口少女である>>27

「氷室さんとも仲良くしなきゃとは思うんだけど、何故か忘れてしまうというか。雰囲気も何か近寄りがたいし……だから左雨くんにお願いしたいの!」

って感じのことを佑子は言った。あー……ここで俺の貧乏くじ体質が来るのかね。
いや、女子と一緒にいれるのは嬉しいかもだけど、エリカって本当に私に関わるなムードを発してて、どう接すればいいのかわからん。
かといって、エリカとだけ仲良くなれないのは問題だし、佑子の頼みを断るのも嫌だし。
そんなわけで、貧乏くじな俺は謎のミステリアス少女と絡むことにしたのだ。
90: :2013/7/14(日) 00:32:16 ID:GdDqM49c02
「あー、エリカ。今日さ……俺と一緒に探索しないか?」
「……」
「ほら、俺達、エリカのことよく知らないままだしさ。一丸となってモノクマに挑むためには交流が必要だと思うぜ?」
「……」
「えーっと……俺、何かエリカを怒らすようなことしたか?」
「……」
「ごめんなさい。何か……もう本当にごめんなさい」

絡んだ結果がこれである。もう惨敗以外の適切な言葉が見つからないほど悲惨なことになってる。
これはあかんて。この調子で一日一緒にいたら俺の精神が死んでまう。というわけで、ギブアップの意思を込めて佑子の方を見る。
しかし佑子は「頑張って!」的なファイティングポーズを返してきた。こうなると何かもう断れないんだよなあ。

こうして俺は無言の少女を引き連れて気まずい探索を開始したのだ。
91: :2013/7/14(日) 00:33:43 ID:GdDqM49c02
探索と言っても、きちんとした探索は昨日皆で済ましてしまった。なので俺が今後出来ることはあまりないと思う。
新発見は、俺達の中で言えば兎や小百合みたいな賢そうなオーラを醸し出してる奴がするような気もするし。
破壊活動は闘球や良子の出番であって、俺の出る幕はないだろう。
更には、主人公に適してそうな前向きで諦めない姿勢の佑子が脱出の糸口を掴んだりしそうな、そういう根拠のない考えまで浮かぶ始末で。
そういうわけで、俺は探索というの名のただの散歩をしている。
その間ずっとエリカに話しかけていたのだが、オール無視で、俺の心は既に数回折れていた。
だから散歩中は気まずいし、モノクマメダルが順調に集まるだけで、もう今すぐ終わらせたい気持ちに駆られてた。

というわけで、何か知らんがけっこう集まってしまったモノクマメダルを処理しようと、俺はエリカと購買部に向かった。
92: :2013/7/14(日) 00:34:33 ID:GdDqM49c02
購買部に辿り着くと、
「いらっしゃーい!殴殺から呪殺まで、殺しを見つめるモノクマです!ガオー!」
忌々しい監禁殺戮学園の学園長が出迎えてくれやがった。

モノクマ「あれあれ?左雨くん、デート中ですか!?青春真っ最中だね!」

左雨瑞樹「うるせえ、殺すぞ」

モノクマ「何と!学園長に手を出そうというのですか!これは水留くんのようにおしおきが必要だね!」

左雨瑞樹「言っただけだ、軽く流せよ。それよりあのコイン持ってきたから、購買部の物を何か売ってくれよ」

モノクマ「承りました!原作じゃモノモノマシーンで運頼みだけど、今回は普通に売ってあげますから安心してくださいね!」

左雨瑞樹「原作?お前、一体何を言ってんだ?」

モノクマ「メッタメタな発言だよ!ワクワクドキドキしちゃうよね!」

モノクマ「それで結局何買うの?どんな殺しのアイテム買っちゃう?あ、それともコンドーム?」

左雨瑞樹「本当に殺すぞ、この野郎」
93: :2013/7/14(日) 00:35:39 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹「お前の計画には乗らんから、殺しのアイテムなんぞ買わねえよ」

モノクマ「しょぼーん……優しい学園長がこんなに環境を整えてるのにまだ殺し合いしないとか言ってるんですか。これがゆとりか……」

左雨瑞樹「言ってろ。普通の日常生活で役立ったり楽しめる道具は何があるんだ?」

モノクマ「各種コスプレ衣装とかどうよ?金髪ツインテや黒髪ロング等のカツラとかもあるし、氷室さんを好みにコーディネートしちゃいますか!?」

左雨瑞樹「もういい、お前に聞いた俺が間違いだった。自分で見て選ぶから黙ってろ」

モノクマ「しょぼーん……」

左雨瑞樹(……でも、正直あんまり欲しいのがないな)

左雨瑞樹「エリカ、何か欲しいのあるか?」

氷室エリカ「……」

左雨瑞樹「いや、何かもう本当にすみません……」

モノクマ「あれれー?お二人は倦怠期なのかな?それじゃやっぱりコンドームで情熱的な夜を過ごす必要があるよね!」

モノクマ「そしてボクは監視カメラでしっかりと見ちゃうのです!覗きはいけない、でも若さゆえの一夜の過ちを防ぐためにも監視は必要だよね!はあはあ!」

左雨瑞樹「脱出したらお前は必ず死刑台に送ってやるからな」

モノクマ「しょぼーん……」
94: :2013/7/14(日) 00:37:04 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹(結局皆が喜びそうなのばっか買っちまった……)

左雨瑞樹(後でそれぞれプレゼントでもしてやるかな)

左雨瑞樹「……もう昼か。食堂に行って飯にするか?」

氷室エリカ「……」

左雨瑞樹「……食堂に行って飯にするからな」



左雨瑞樹「……健太、お前探索してねえだろ?」

肉丸健太「違うよ!僕は食堂と厨房をメインに探索してるだけだよ!」

左雨瑞樹「ひたすら食ってるだけじゃねえか、馬鹿野郎」

場明日虎美「まあええんとちゃう?」

左雨瑞樹「虎美か。いいのかよ?」

場明日虎美「ぶっちゃけ、こういうのの手がかりは中村や本田川、中後あたりがどうにかしそうやんか。自分、相田やキングに期待できるか?」

左雨瑞樹「あー、あの二人はまあ厳しいだろうなあ」

場明日虎美「そういうことや。うちもあんたもあのデブもたぶん同類やろうから、うちらの探索は気楽にやってええやろ」

左雨瑞樹「これを話にしても俺達は主人公になれそうもないしな」
95: :2013/7/14(日) 00:39:12 ID:GdDqM49c02
場明日虎美「さて、昼やから食堂に来たけど、料理トリオがおらんがな。うちはどないしたらええねん?」

肉丸健太「僕のように素材のまま食べればいいんだよー。素材そのものの味を共に楽しもうよー」

場明日虎美「じゃかしいわ。ちゃんとしたもん食いたいねん、こっちは」

左雨瑞樹「ちゃんとしたもんかは知らんが、よければこれやろうか?」

場明日虎美「ん?おお、カップ麺やん!あれ、厨房にそんなんあったかいな?」

左雨瑞樹「俺が購買部で買っといたんだよ。俺とエリカの分もあるから気にせず貰っとけよ」

場明日虎美「貰う貰う!何や自分ええやっちゃなあ!あの成り金糞球団も見習えいう話やで!」

肉丸健太「よければ僕も欲しいな!」

左雨瑞樹「お前は食材を素材のまま食べるんじゃなかったのか?」

肉丸健太「正直に言うと、食べる専門だから調理出来ないだけだよ!」

左雨瑞樹「食べるの好きなら調理も出来るようになっとけよ……」
96: :2013/7/14(日) 00:40:17 ID:GdDqM49c02
場明日虎美「うまいわあ!この安っぽい味がええねんなあ!」

肉丸健太「どれだけ高級なうまいものを食べても、最後は食べなれた味に行きつくと僕は思うよー」

左雨瑞樹「好評なようでよかったよ。やっぱカップ麺の安い感じは何かいいよな」

場明日虎美「しかし自分、よう金見つけたな。うちも単独で探索しとるんやけど見つからんねん。どこにあんの?」

左雨瑞樹「いや、そう言われても何となく調べてみたら見つけたって感じだしなあ」

場明日虎美「超高校級のモノクマメダル見つけやな」

左雨瑞樹「嫌な才能だな、それ。ていうか、モノクマメダル見つけって何だよ?語呂悪いな」

左雨瑞樹「……なあ、虎美」

場明日虎美「ん?何や?」

左雨瑞樹「お前ってさ、何で阪神が好きになったの?」

場明日虎美「何や、藪から棒に」

左雨瑞樹「いや……こうして才能として自他共に認められるほどのめり込んだ理由って何なんだろうなって気になって」

場明日虎美「ふうん……まあええわ。カップ麺のお礼に話したるわ。そんな隠すような話でもないしな」
97: :2013/7/14(日) 00:41:37 ID:GdDqM49c02
場明日虎美「話し方でわかる思うけど、うち生まれは大阪やねん」

肉丸健太「余裕で想像できるねー」

場明日虎美「せやから地元はもう阪神狂いや。そりゃうちも阪神に染まるわな」

左雨瑞樹「そうだな。……えっ、それだけ!?」

場明日虎美「それだけって何やねん!うちにとっては大事なことなんやで!」

場明日虎美「……スポーツってな、勝負の一瞬に選手一人一人のドラマが垣間見えんねん」

場明日虎美「血のにじむような努力でプロの世界に入り、そこで真剣勝負をするわけやろ」

場明日虎美「そうなると絶対に勝者と敗者にわかれるわけや」

場明日虎美「努力が実って勝てた時の喜び、涙……」

場明日虎美「努力も空しく負けた時の悲しみ、涙……」

場明日虎美「それらによって出来あがる物語は、全ての観戦者に大いなる感動を与えるもんや」

場明日虎美「スポーツには、それを見るうちらに感動と活力を与えるような、そういう力が隠されてるんや」

場明日虎美「そしてそのプロスポーツで、うちにとって一番身近な存在やったのがプロ野球の阪神や」

場明日虎美「せやからうちは、うちに感動と活力を与えてくれる阪神が大好きなんや」

場明日虎美「そんな阪神を応援することで、うちだって阪神の選手の活力になりたいんや。以上が好きな理由や。文句あるか?」

左雨瑞樹「……いいや、ねえよ。しっかりとした理由があったんだな」
98: :2013/7/14(日) 00:42:47 ID:GdDqM49c02
左雨瑞樹「ありがとな。いい話聞かせてもらったよ」

場明日虎美「ほんまか?うちの阪神好きのきっかけ話しただけやんか」

左雨瑞樹「俺は本当にいい話だったと思ってるぜ」

左雨瑞樹「そんで健太は何かいいエピソードねえの?」

肉丸健太「ないよー。場明日さんの話の後で振らないでよー」

肉丸健太「僕はもう、ただ単に食べるのが好きなだけだよー」

場明日虎美「しょうもなっ!何やねん、自分!ええ話ないんかい!」

肉丸健太「面目ないよー……」

左雨瑞樹「……食ったな。それじゃそろそろ探索再開としますか」

場明日虎美「よっしゃ、腹も膨れたことやし、こっから脱出する方法を適度に探すとしよか!」

肉丸健太「僕は引き続き食堂を調べておくよ」

場明日虎美「ええから校内幅広く探さんかい、このデブ!」

左雨瑞樹「お前ただ単に飯食ってたいだけだろ!」

肉丸健太「面目ないよー……」
99: :2013/7/14(日) 00:44:04 ID:GdDqM49c02
肉丸健太「仕方ないなー、口惜しいけど、食堂を発つとするよー」

場明日虎美「おう、それがええ。捜査の基本は足やで!」

肉丸健太「だから左雨くん、一枚モノクマメダルくれないかなー?」

左雨瑞樹「何がどうなって「だから」なんだよ?」

肉丸健太「購買部でキャンディでも買おうかなって思ってさー」

場明日虎美「食堂を後にするから、移動しながらでも食えるもん買おういう魂胆かい?」

肉丸健太「いや、僕、相田さんにキャンディあげる約束してるからさー」

左雨瑞樹「……ああ、してたな。確かに」

肉丸健太「相田さん覚えてないかもしれないけど、それを理由に約束破りたくもないからねー」

肉丸健太「だからお願いだよー。僕がコイン見つけたら返すからさー」

左雨瑞樹「……いや、いいよ。やるよ、これ」

肉丸健太「え、いいのー?」

左雨瑞樹「女のためにって聞かされちゃ、コイン一枚を女々しく引きずる気にもならんわな。これで鳥子を喜ばせてやれよ」

肉丸健太「ありがとー!恩に着るよー!」
100: :2013/7/14(日) 00:45:47 ID:GdDqM49c02
場明日虎美「……行ったな、あのデブ」

左雨瑞樹「なあ、健太と鳥子ってどう思う?」

場明日虎美「どう思うって?」

左雨瑞樹「けっこうあの二人、絡んでる印象あるんだけど、恋愛感情なのかなって」

場明日虎美「それはないんちゃう?仲ええっぽいけど、愛情やなくて友情いう奴やで、あれは」

左雨瑞樹「男女の友情って成り立つか?」

場明日虎美「成り立つやろ。うちだって……友情やないけど、あの糞成り金と腐れ縁やっとんやから」

左雨瑞樹「お前らだって恋愛感情だろうに。何を謙遜してんだ」

場明日虎美「お前を殺してこっから出てもええねんで?」

左雨瑞樹「すみません。……まあでも素直になることも覚えたらいいよ」

場明日虎美「せやからそんなんちゃう言うとるやろが……まあええわ。一応覚えとくわ」

場明日虎美「……うちもそろそろ行くわ。さっさと脱出して、一緒に阪神戦でも観戦しに行こうや!」

左雨瑞樹「それはデートのお誘いか?夢が広がるな」

場明日虎美「この場明日虎美様と一緒に居れる幸せを噛みしめるんやな。ほななー!」

左雨瑞樹(……虎美、健太と少しは仲良くなれたかな?)
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