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カロル「ボクが世界を変えてみせる」
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/24(日) 19:26:09 ID:j5u3Ryt06o
前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-50


―――あらすじ―――

人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。

母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。

しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。

幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。


888: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/26(火) 20:18:43 ID:g/4yaawZVM
―――客席最後列―――

スパッ ドバッ バタバタッ

ヒメ「よ、よし!カロル!今だ!」ゼェゼェ

カロル「ごめんなさい。兵士さん?痛いかもしれないけど、ちょっとの辛抱だから?」ピトッ

ルーボイ「切らないで止めてやれよー?」ブーブー

ナラ「すね…ふともも…きられるの…いたそう?」ビクビク

ヒメ「うるさい!これが精一杯なんだよ!胴と頭を防具で防がれてるんだから足元狙うしかないだろ!?
おまえらなんか、なんにもしないで楽ばっかしてるくせに!」ムキー

フワッ フワッ

近衛兵26「あ、あぁ!?私はいったい!?」キョロキョロ

近衛兵27「うわっ!王子!?」ガバッ

ヒメ「いいからおまえらも手を貸せ!こいつらを殺さずに動きを止めるんだ!」

近衛兵26&27「ははっ!」

ナラ「ねぇ…あっち?」

ルーボイ「ん?あぁっ!縛られてるおっさん達がいるぞ!?」

ヒメ「高官共と母上か…」

カロル「助けに行こうよ!」

ヒメ「ほっとけよ。あんな奴ら、助ける価値なんてない?」

カロル「」ダッ

ヒメ「あ、おい!?」

ルーボイ「俺も行く!」ダッ

ナラ「わたしも!」ダッ


ヒメ「ほんっと人の話聞かないな…!」ダッ
889: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/26(火) 20:22:57 ID:g/4yaawZVM
近衛兵28「」ザッザッ

タタタッ

カロル「はい、タッチ!」ピトッ

近衛兵28「あれ……俺、なにを…」フワッ

ルーボイ「うわぁ!?こっち来んな!」

ナラ「きゃっ…」

近衛兵29「いやっさぁ!?」ブンッ

カロル「ルーボイくん!ナラ!」クルッ

ヒメ「とあっ!!」バシュッ

近衛兵29「ぎぃあああ!?」ゴロゴロ

ルーボイ「さ、サンキュー!」

ナラ「さんきゅ…?」

ヒメ「勝手に動くなって言っただろ!?」

カロル「よかった?王子さまがいてくれて?」ニコッ

ヒメ「な、なんだよ!いきなり!」

カロル「ふふ。だって頼りになるんだもん?」ニコニコ

ヒメ「……!」カァァ

カロル「ボクなんて初めて会った時からずっと頼りっぱなし?王子さまって頼もしいよね?」

ルーボイ「おう!ホント同い年とは思えないよな!」

ナラ「わたしより…いっこうえ…おにいちゃんだったら…いいなー」

ヒメ「……!お、王族たる者、頼りになって当然なのだ!アッハッハ!」テレテレッ

カロル「ヒメくん、照れてるでしょ?」クスクス

ヒメ「照れてない!?あと名前で呼ぶなって言ってるだろ!?」

ルーボイ「ヒメ?……ぷっ」

ナラ「おひめさまみたい…」クスクス

ヒメ「くっそー!おまえら、みんな死刑だ!?」ムキー
890: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/26(火) 20:24:47 ID:g/4yaawZVM
シュルシュル パッ

大臣「ぶひぃ!助かりました〜!!」

妃「」キゼツ

政務官「まさかこんな子供4人に救われるとはな…」

カロル「ケガはありませんか?治しますから?」

大臣「はぁ〜いぃ〜?薄汚いホビットの分際でぇ?わたくしの心配なんておふざけもいい加減にしなさいよぉ?」ジロジロ

ザクッ

大臣「ヒアアアアアッ!!!!!」ピョンピョン

ルーボイ「うお!?」ビクッ

ナラ「」ビクッ

カロル「ひ、ヒメくん!なにしてるの!」アセアセ

ヒメ「手元が狂った?」ジャキッ

政務官「ふん…」

ヒメ「…おまえらを許す気はない。救われたなんて間違っても口にするな?」ジロッ

政務官「…私は利用されていたのだがな?」

ヒメ「自分の意思でな?」

政務官「ふん…可愛いげの欠片もないな」

カロル「だ、だいじょうぶ?」サスサス

大臣「ぶふぅ!し、死ぬかと思った…!?」

ルーボイ「カロル!こっちのおばちゃん、気ぃ失ってんぞ!」

カロル「うん!わかった!」

政務官「……」

ヒメ「あいつに感謝するんだな?」

政務官「フッ…」
891: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/26(火) 20:26:52 ID:36TSNFO64c
妃「まぁ…!?あたくしとしました事が式典の最中に眠りこけていたなんてはしたない………ひえっ!?」ズザザァッ

カロル「だ、だいじょうぶですよ?ボクは敵じゃないですから!」アセアセ

妃「ひぃぃ!よ、寄るな!穢らわしい!?」シッシッ

ルーボイ「助けてやったのになんだよ!」

ナラ「……!」ジロッ

妃「な、なんですか?あーた達は!?あたくしに何をなさるおつもり!?」

ヒメ「礼くらい言ってみてはいかがですか?」

妃「ヒメ?貴方、なにを考えておりますの!?こんな下品な子供とホビットに伴って!?」

ルーボイ「はぁ!?どういう意味だよ!?」

大臣「ぐふふ!そのまんまの意味でしょうなぁ?」

ヒメ「あ?」ジャキッ

大臣「…な、なんでもございません」

妃「だ、誰ぞ!誰ぞ、この下品な童を始末なさいまし!」

近衛兵30「ウッヒョー!」ブンッ

近衛兵26「くっ!」ガキンッ

妃「な、な…!?なにをしているのです!内輪揉めなどしていないで……」

ヒメ「母上!!」

妃「」ビクッ

ヒメ「彼らは命の恩人なのです!慎まれてはいかがか!」

妃「い、命の恩人!?」

ヒメ「…先ほどの発言を撤回し、謝罪を述べた上で一礼していただこう!」

妃「は、母に向かってなんたる非礼!貴方はそれでも…!」

ヒメ「黙れ!!」

妃「ひっ!?」ビクビク
892: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/26(火) 20:28:51 ID:36TSNFO64c
カロル「ぼ、ボクたちは気にしてないから…」アセアセ

ヒメ「僕が気にしてるんだ!」

ルーボイ「俺も別にいいぜ?カロルといると、こんなんばっかしだもん?」

カロル「ホントのことだけどひどいや!?」ガーン

ナラ「わたしたちが…わかってれば、いい…よね?」

カロル「うん!そうだよ!」ニコッ

ヒメ「おまえらの気持ちなんて知るか!?」

ルーボイ「じゃあ何を怒ってんだよ?」

カロル「…お母さんなんでしょ?怒鳴ったりするの良くないよ?」

ヒメ「うるさい!友人をバカにされて怒らない奴がいるか!」

妃「ゆ、友人!?貴方こんな下品な童達と友人なの!?」

ヒメ「…謝れ!?こいつらに謝れ!?」

妃「だ、誰が謝るもんですか!?」

ギャーギャー!

カロル「……」

政務官「あー君たち…」チョイチョイ

カロル「え?」

ルーボイ「なんだよ、おっちゃん?」

ナラ「……?」

政務官「私の名はリルラだ。おっちゃんではない」

ナラ「リルラ…さん?」

政務官「今から私の言う事をしかと聞いて実践してくれ?」

カロル&ルーボイ&ナラ「……?」キョトン
893: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/26(火) 20:30:20 ID:g/4yaawZVM
妃「だいたい貴方というのは王族として自覚が足りていなさすぎます!」ガミガミ

ヒメ「母上は身分階級に拘りすぎです!庶民も貴族も同じ"人"だ!差別的な言動は控え、公平に向き合って接するべきでは!?」

妃「それでは国が成り立ちませぬことよ!
生まれや身分を区別する事で役割を決定し、それぞれの成すべき役目をまっとうしていくのが人間たる務め!」

カロル「はーい!はーい!そこまで!そこまで!」バッバッ

ヒメ「ど、どけ!邪魔するな!?」

妃「無礼者!今あたくしに触れましたね!?穢らわしいホビットの分際で!?」キー

ルーボイ「あー!おっほん!無礼者はきさまだー!」ビシィッ

ナラ「だー…!」ビシィッ

妃「な、なんですって!?下品な下々の童がこのあたくしになんて口の聞き方!?」

政務官「妃様!僭越ながら申し上げましょう!このお二方は此度の巡礼に招かれた隣国の王族にございます!」

妃「えっ」

政務官「ヒメ王子の親しいご友人でもあり、お父君は我が国で行われた時計塔、建設に出資者といった形でご参加くださいました!」

妃「えっえっ」

政務官「決して下品な下々の童などではございません!
コトが大きくなる前に撤回なされた方が身の為かと存じます!」

妃「えっえっえっ」

ヒメ「そ、そうだったの…か?」ポカン

ルーボイ「あー!おっほん!おれ…じゃなくてワガハイは隣国の王子であるぞ!」エッヘン

ナラ「わたし、おひめさま…!」エッヘン

カロル「ボクは二人のペットだよ!」エッヘン

妃「えっえっえっえっ」

ヒメ「ペット!?」

妃「…お、お召し物が教団の修道服のようだけれど?」

政務官「今日は教団主催の巡礼ですので合わせたのでしょう」

妃「……!?」
894: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/26(火) 20:37:29 ID:36TSNFO64c
妃「な、なんとお詫びしたら…!」アワアワ

ルーボイ「いいぜ!おれは…じゃなくてワガハイは心が広いのだぜ!ガハハハハ!」

ナラ「ガハハハハ!」

妃「ま、まぁなんとお優しいのかしら!ど、どうかお父上には内密になさってくださいましね?」

ルーボイ「いいのであるぜ!ガハハハハ!」

ナラ「ガハハハハ!」

妃「あ、貴方にも申し訳ないですわぁ?よく見たらなんて整ったお顔立ち?
こんなに愛らしいホビットちゃまを飼ってらっしゃるなんて王子様は趣味がよろしくていらっしゃいますのね!オーホホホ!」ベタベタスリスリ

カロル「ひゃっ!?」ゾゾー

ルーボイ「よかったな?褒められてんじゃん!」

ナラ「でもベタベタさわられてイヤそう?」

ヒメ「な、なんていう切り替えの速さ…!?」

ルーボイ「なぁ、もういいだろ?俺たちには謝ったし?」

ナラ「みんな…もどすのが…さき?」

ヒメ「そ、そうだな。あんなの見た後じゃ怒る気も失せたよ」

妃「王子様と姫様にきちんと伝えてくださいましね…?
妃様は見眼麗しく純粋でおしとやかで先の発言には悪意など一欠片も感じられなかったと?」ギヌロォ

カロル「は、はい…」ゴクッ
895: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/26(火) 20:39:43 ID:36TSNFO64c
妃「ヒメ!」

ヒメ「え?な、なにか?」

妃「貴方…いつの間にこんなに素敵な方々とお知り合いになったのですか?」

ヒメ「そ、それは…」

妃「母は常々、心配していたのですよ?
貴方はとても内向的で他人はおろか肉親であるあたくしをも避けてしまいがちでしたから…」

ヒメ「……」プイッ

妃「…陛下の愛情が足りない事や、あたくしが王の器に足るまで教育しようと熱心になりすぎていた事が貴方にとって重圧になったのでしょうね」

ヒメ「分かっていたなら…なぜ…」

妃「分かっているからこそ、貴方を思って厳しくしてしまうのですよ。そうしなければ後々になって苦労するのは貴方なのですから?」

ヒメ「は、母上……」

妃「しかし…もう心配は入りませんね?だってこんなに素敵な友人がいらっしゃるんですもの?」ニコッ

ヒメ「……母上!」バッ

妃「まさか王族を友人にしてしまうなんて流石はあたくしの子ですわ!
どうりで貴族や文化人とは接しない訳よ!
だって支配下にある自国の有力者より未だ見ぬ他国の有力者との交流の方がよほど実りがありますものねぇ!?オーホホホ!!!」オホホホホ

ヒメ「!?」ズルンッ

ルーボイ「そっちかよ!?」ガクンッ

ナラ「……」シラー

カロル「ヒメくんのお母さんっておもしろい人間だね!」ニコニコ

妃「先を見据えた国家交流!あたくしの子は大物になりますわよー!?」オホホホホ
896: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/26(火) 20:44:29 ID:g/4yaawZVM
オホホホホ オホホホホ

カロル「ヒメくん!ここは兵士さんたちに任せてボクらは遠くに逃げた人間たちを助けよう?」

ヒメ「あ、あぁ…それにしてもおまえら、よくあんな嘘を思い付いたな?」

ルーボイ「俺達じゃなくて、このおっちゃんだぞ?」

政務官「おっちゃんではない。リルラだ」

ヒメ「え?おまえが…!?」

政務官「議会を牛耳る弁舌にかけては高官随一の私だ。妃様のツボを心得て刺激する事など造作もない?」フフン

ルーボイ「自分で言うなし!」

ヒメ「なんの気まぐれだ?おまえは反王族側の人間だろ?」

政務官「フ…私は仕えるに値する人物を選んでいるだけだ」

ヒメ「……?」

政務官「先ほど、王子の考案なされた政治の形を私も耳にしていた」

カロル「みんな仲良しな国にするって言ってたよね!ボクも感動しちゃった!」キラキラ

政務官「フフ…悔しいが確かに希望が持てる?貴方に付いていきたいと思わざるを得なかった?」

ヒメ「国家間の交易推奨と称して利益優先の不健全な政策を進めていた、おまえがか?」

政務官「そう言われては返す言葉もない…。だが亡き陛下の想いは私にとっても通ずるものがある…」

ヒメ「……!おまえら高官が、さんざん父上を苦しめてきたんじゃないか!」

政務官「私もな、駆け出しの頃は本気でこの国を変えたいと思っていたんだ。
だが実際はいかに足掻こうと、ままならない事ばかりで自分の無力さに絶望していた」

ヒメ「…嘘だ!おまえは自分の欲に負けた汚い大人だ!?」

政務官「私の人生の分岐点はアントリア神官との出会いだ?
自分の力ではどうにもならないと知った私は…あの方に言われるまま動いて、ここまで登り詰めたんだ」

ヒメ「アントリア…!ここでもあいつの名前が出るのか!?」

カロル「アントリアさんって、なんでそんなにたくさんの人間を動かせるんだろう?」

ナラ「アリアスさまが…いってた、よ?アントリアしんかん…きぞくの…ひとって?」

政務官「そうだ。あの方はラーダ家のご子息だったのだ」

ヒメ「ラーダ?どこかで聞いたような…?」
897: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/26(火) 20:46:19 ID:g/4yaawZVM
大臣「ラーダですとぉ!?」

ルーボイ「うわっ!なんだよ、ブタのおっちゃん!いきなりビックリすんだろ!?」

大臣「ブヒィィ!?失敬な!わたくしは豚などでは……ではなくラーダ家と言えば全国王陛下の側近だったバンガラン・ラーダですか!?」

政務官「あぁ、私の前任だ」

ヒメ「それがどうしたんだ?貴族から役人が出ても不思議じゃないだろ?」

大臣「どうしたもこうしたもない!ラーダは今の反王族体制を造り上げた高官ですよ!」

ヒメ「なに…!?」

政務官「偽の伝承を広めて当時の戦争を治め、王族を痛烈に糾弾し、民意を煽って現在の体制に作り替えた人物だ?」

ヒメ「……!?じゃあなんでアントリアは神官なんかやってるんだ!?」

政務官「それは分からない。元は学者をしていたと言うしな」

ヒメ「学者!?」

大臣「そういえば司祭も学者だったとか聞きましたぞぉ?」

ヒメ「い、意味が分からない!話がなんにも繋がらない!」

政務官「ま、それはいいにしても…ラーダの末裔とあって人脈が豊富でな。
あの方に手解きいただくだけで容易に政務官になれた」

大臣「で、利用された訳ですな?」ブヒヒ

政務官「ま、そういうことだ?だが王子なら…今からでも歪んだこの国を修正できる?」

ヒメ「…!?」

政務官「私達の事は正気に戻った兵士が守るだろう?
気にせずアントリアを探せ。本当に止めなくてはならないのは奴だ!」

大臣「ぶっふぅ〜!まぁアントリアがいる限り、民の八割を占める信者が奴を国王に担ぐでしょうしねぇ?
そうなれば元王国勢の我々は民の前で晒し者になり、いくいくは処刑……ああ考えたくもない!」ブルッ
898: 大臣のセリフ、全国王ではなく前国王です。すみません! ◆WEmWDvOgzo:2014/8/26(火) 20:50:18 ID:g/4yaawZVM
ヒメ「……」

カロル「行こっ!ヒメくん!」

ルーボイ「なんかスッゲーことになってきたな!おもしれぇ!」

ナラ「みんなで…ちから、あわせよ?」

ヒメ「…おまえら」

カロル「ヒメくんが王さまになったら、みんな仲良しな国、作ってくれるんでしょ?」ニコッ

ヒメ「あぁ!ホビットも人間も関係ない!争いも差別もない国にしてやる!」ニッ

ルーボイ「おー!スッゲー!」

ナラ「そのくに、すてき!」

ヒメ「改めて頼む!協力してくれるか!?」

カロル「するよ!ね?二人とも?」

ルーボイ「あったりめーだろ!やってやろうぜ!」

ナラ「がんばる!」グッ

ヒメ「よーし!アントリアを探すぞ!」

カロル&ルーボイ&ナラ「おーー!!!」
899: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/27(水) 21:33:41 ID:4uUio4emvs
――――――

宣教師「はい、完全にはぐれました。カロルくんも団長さんも見失いましたよ…」ボソッ

ガキンッ ギャリンッ

ワアアアアアア ギャアアアアアアア

宣教師「そして気付けば戦禍の最中に取り残され……」タタタッ

近衛兵31「がぎぐぐ!」ダッ

宣教師「なぜか追われる身にぃぃ!?」ダーッ

近衛兵32「あばばばば!」ザッ

宣教師「挟み撃ち!?」ピタッ

近衛兵33「げっげっ!」バッ

宣教師「包囲!?」

ジリジリ…… ジリジリ……

宣教師「…天国のお父さんとお母さんとお兄さん、10年越しの再会が待ち遠しいですね?」ウフフアハハ

ダッ ダッ ダッ

宣教師「き、来た!?」ビクッ

ヒメ「はぁぁぁ!!」ザシュッ

近衛兵31「ギゴゴ!?」ズダァンッ

ルーボイ&ナラ「ターックル!!」ダーッ

近衛兵32「ばばばっ!?」ドンッ

カロル「癒しの力よ!汝の魂を清めたまへ!」ピトッ

近衛兵33「ゲゲゲ……私はなにを?」フワッ

カロル「宣教師さま!お待たせ!」

ルーボイ「キマッたぜ!」シャキーン

ナラ「せんきょうしさま!ナラだよ!おぼえ、てる?」ドキドキ

ヒメ「なんだ、宣教師っておまえだったのか?」ジロジロ

宣教師「み、皆さん!」パァァ
900: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/27(水) 21:36:28 ID:rORptvKkmE
宣教師「カロルくん!ルーボイくん!ナラちゃん!……とはしたない王子様!無事でしたか!?」

ヒメ「死刑だ!」

カロル「まぁまぁ!」

宣教師「よかったです…!てっきり私、皆さんを置いて逝ってしまうのかと…!」

カロル「ごめんなさい…!団長さんと夢中で走ってたら、すごい騒ぎになってたから…」

宣教師「そうですね…。いったい何が起こっているのですか?」

ルーボイ「ラムがやったんだよ!あいつが兵隊をおかしくしちゃったんだ!」

宣教師「…ラムくんが?」

ナラ「あのこ…へん。きられた、ゆび…もとどおり?」

宣教師「やはり…そうですか」

ヒメ「やはり?」

宣教師「あの子は食べてしまったんですよ。禁断の実を……」

ルーボイ「永遠の命なのか!?」

宣教師「…分かりません」

カロル「でもアリアスさんは永遠の命なんてないって言ってたよ?」

宣教師「…アントリア神官なら真実を知っているのではないでしょうか?」

ヒメ「オレたちも奴を探してるが聞き出す方法なんてあるのか?」

ルーボイ「もうラムのヤツがやっつけてんじゃねーの?」

宣教師「それはいけません!」

ルーボイ「な、なんでだよ!?」

宣教師「あの方には全てを打ち明ける責任があります!罪を告白し、信者たちの目を覚ましてもらわなければ!」

ナラ「わたしも…そうおもう。みんな…おしえられたことしか、しんじてないから…」

ヒメ「今さらだけど…何十年も教団を信じてきた奴らにしてみれば…どうなんだろうな。それって…」

宣教師「私は一度経験してますが…そこを越えていただかないと差別はなくなりません」

ヒメ「まぁな…」

ルーボイ「じゃあラムがやっつける前にアントリアを見つけようぜ!」
901: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/27(水) 21:39:02 ID:4uUio4emvs
ギンッ キキンッ ガッ キンッ

宣教師「あの…カロルくん、さっきの詠唱みたいなのは自分で考えたんですか?」スタスタ

カロル「ううん?ボクじゃなくってヒメくん!その方がかっこいいからって?」スタスタ

宣教師「あぁ〜…どうりで?」チラッ

ヒメ「な、なんだよ?」スタスタ

宣教師「王子って意外と微笑ましいですよね」ヒソヒソ

ルーボイ「あれ3回も練習させてたんだぜ?」ヒソヒソ

ナラ「なにもいわなくても、つかえるのに……となえる…ひつよう、ある?」ヒソヒソ

ヒメ「なんか分からないけど、おまえら死刑だ!」ジャキッ

カロル「あのセリフ、ボクは好きだよ!」ニコニコ

ヒメ「……そ、そうか!気に入ったなら良かった!アッハッハ!」スチャッ

宣教師「」ヒソヒソ

ルーボイ「」ヒソヒソ

ナラ「」ヒソヒソ

ヒメ「そこ!ヒソヒソするな!?」
902: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/27(水) 21:40:40 ID:rORptvKkmE
―――平原―――

ラム「ふはぁっ…ふふふ?」ダラダラ

アントリア「ま、参ったな?」

ラム「ふ、ふふふ…ふふ…?」ドチャッドチャッ

アントリア「腕を切っても足を切っても頭を割っても這い上がる…。その執念はどこから来るのだね?」トットッ

ラム「し……ね…しね…しね!しねぇ!?」バッ

ズドッ!

アントリア「……!」グッ

ラム「ごぼっ…!」ビチャビチャ

アントリア「…心臓を貫かれては成す術もない。そうだろう?」

ラム「ぇ…あぁ…!」パクパク

アントリア「はぁっ!!」ズブブッ

ラム「べぼぼぼぼぼ!!?むばぁっ!?」ガクガク

アントリア「僕は紳士だ…痛くないように優しく抜いてあげよう?」グッ

ラム「ざ…ぜい!」ブバァッ

アントリア「」ズボッ

ラム「ざぜ…!ざぜい!ぱぁっ!?」ゴッパァ

アントリア「ざぜい…?」

ラム「ざぜい!ざぜい!ざぜい!ざぜい!ざぜい!」ハッハッ

アントリア「……?」

ラム「ざぜい!ざいぜい!さいぜい!さいせい!さいせい!」シュウウウウウ

アントリア「なぜ…死なない…?」

ラム「ざいぜっ!いぃっ!?」シュウウウウウ

アントリア「実を食べたとは言え、ありえない…」ブルッ

ラム「ハァァァァ……」シュウウウウウ

アントリア「僕とノワールは…こんなおぞましい力に手を出そうとしていたのか…!?」ガクガク
903: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/27(水) 21:43:18 ID:4uUio4emvs
ラム「あははっ!再生完了!」グッパッ

アントリア「……」フルフル

ラム「震えてるね?どうかしたの?」

アントリア「は、初めてでね…。実際に目にしたのは…?」

ラム「……?」

アントリア「痛みは感じないのかね…?」

ラム「痛いに決まってる」

アントリア「ど、どんな感覚なのだね?徐々に失われた部分が再生されていくのは…?」

ラム「身体中の肉を無理やり引き伸ばされてる感じかな?傷が塞がった瞬間は物凄く快感だけど?」

アントリア「そ、それは…耐えられるものなのかい…?」

ラム「無理だと思うよ?普通の奴なら精神がもたないんじゃない?」

アントリア「」ゾクッ

ラム「僕はとにかく声を出してみたけど?気が紛れると思ってさ?」

アントリア「ほ、ほう?」

ラム「まぁ復讐したくて永遠の命を手にいれたんだから…こんなことくらいで精神ヤられる訳にはいかないんだよね?」

アントリア「き、君は…生き物が踏み込んでいい範囲を越えている…」

ラム「なんならおじいさんも試してみる?」

アントリア「い、いや…」

ラム「なぜ怖がるの?こんなに素敵な力を見て?」

アントリア「素敵な力?とんでもない?」カタカタ

ラム「は?」

アントリア「君は呪われたんだよ…!アピシナの呪縛に…!」

ラム「アピシナ?誰それ?」

アントリア「あ…あ…わあぁぁぁあああ!!!」クルッ

アントリア「あぁぁぁぁぁあああ!!!」ダッ

ラム「…逃がさないってば?」ダッ
904: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/27(水) 21:45:40 ID:4uUio4emvs
ガキンッ キンッ ギィンッ

団長「……」ジーッ

ミシング「あぁーん…戦うお仲間の背中に熱い視線を送るお姿も…す・て・き!」ウットリ

近衛兵34「ヒィィィィハァァァァァアアアア!!!!!」ザウッ

ミシング「はい来ましたよー!おじさま、どうぞ!」

団長「むん!」ビシッ

近衛兵34「あああ……っ」ガクッ ドサッ

ミシング「きゃー!手刀だー!首トンってした!?初めて見たけど本当に気絶するんだー!?」キャーキャー

団長「…うむ。やはりそうか」フムフム

ミシング「やはりそうかって顎に手を当てるの渋すぎー!」キャーキャー

信者5「…この人さっきから、うるさいな」シラー

教徒2「そうですね…」シラー

団長「すまんが君らに一つ頼みがある?」

ミシング「はーい!なんでもどうぞ!」

信者5「は、はい!」

教徒2「な、なんでしょう?」

団長「脱いでくれないか?」

ミシング「えっ」ピシィッ

団長「悪いが急いでほしい。試したい事があってな?」

信者5「た、試したいったって…」タジタジ

教徒2「こんな状況じゃ布一枚でも身を守る物がないと…」タジタジ

ミシング「もー!おじさまったら気が早いんだからー!でもそんな大胆なところも魅力的ー!?」ヌギヌギ

団長「上着だけでいい。教団の紋章を外せばおそらくは……」

ミシング「え?全部じゃなかったの?」ピタッ

信者5「す、すごいな。この人…?」

教徒2「よくこんなとこで脱ごうと思えますよね」
905: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/27(水) 21:47:07 ID:rORptvKkmE
ガキンッ ギャリィッ ガチィッ

ミシング「あ、あれ?なんか…?」ドキドキ

信者5「襲ってこない…?」キョトン

教徒2「というより、見向きもしなくなったんじゃ…?」キョロキョロ

団長「…これでよし!」スタスタ

ミシング「あ、おじさま!?」

団長「奴らは修道服を着た人間にしか襲いかからんようだ。もうワシの背に隠れる必要はない?」

信者5「そ、そうだったのか!」

教徒2「でもなんで修道服?」

団長「奴らを動かしている黒幕がそう暗示させたのだろう」

ミシング「け、けど!けど!おじさまがいないとミシングちゃん、こっわーい?」キャピキャピ

団長「君らはなるべく危険を回避しながら他の修道服を着た人に呼び掛けてくれ。ワシは引き続き、狂った兵士の鎮圧に尽力しよう」スタスタ

ミシング「そ、そんな〜!?」ガビーン

信者5「すごっ!よく気付いたな?」

教徒2「でも確かに向こうの兵士様たちも戦ってますが…切られてる人は少ないですよね」

ミシング「失恋かにゃー…」シクシク

信者5「そうと決まれば俺達も!」スタスタ

教徒2「はい!呼び掛けに励みましょう!」スタスタ

ミシング「あれれ?誰も慰めてくれない感じ?」

スタスタ スタスタ………

ミシング「ま、いいや!あたしも協力しなくちゃ!」タタタッ
906: 名無しさん@読者の声:2014/8/27(水) 22:31:08 ID:hr96cHLUoI
ミシングたんを嫁にください

支援
907: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/28(木) 20:14:30 ID:H.kvyPRca6
―――平原―――

宣教師「…結構歩いてみましたが神官の姿が見当たりませんね」キョロキョロ

ヒメ「相変わらず追っかけっこが絶えないけどな。近衛だけで200はいるから、キリがない」スタスタ

近衛兵35「あああええん!!」ブンッ

近衛兵36「うぉー!!」シュバッ

ワァァァ ヒィィィィ

ルーボイ「うわ!まただぞ?」

カロル「止めなくちゃ!」

ナラ「…うん!」

ヒメ「じゃあ動きを止めてくるから待ってろ」スタスタ

宣教師「物怖じしないんですね…。私なんて足がすくみかけているのですが」

カロル「怖いけど、ボクたちがやらないといけないもの!」

宣教師「それはそうかもしれませんが…子供たちが勇ましく戦ってるのに不甲斐ない気持ちでいっぱいです」

ルーボイ「でもよ!宣教師様がいると楽しいよな!」

ナラ「うん!こわいのより、たのしいがいっぱい!」

宣教師「おお…神よ!どうかこの天使たちの純粋な心が褪せないまますくすくと育ってくださいますように…!」ジーン

ルーボイ「プッ…大げさだし!」ニヤニヤ

ナラ「やっぱり…おもしろい!」クスッ

カロル「宣教師さまの方が純粋だね?」ニコニコ
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sage:


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うpろだ
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