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カロル「ボクが世界を変えてみせる」
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/24(日) 19:26:09 ID:j5u3Ryt06o
前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-50


―――あらすじ―――

人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。

母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。

しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。

幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。


928: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/29(金) 19:51:17 ID:vWnFtiNco.
宣教師「それで?十年前に見つけた癒しの力はどうしたんです?」

アントリア「君は淡々と聞くのだね!?」

宣教師「聞いてほしいのでしょう?」

アントリア「はぁ…!?」

宣教師「築き上げた物が崩落してしまった、そんなあなたが縋ろうとしているのはなけなしの自尊心。
かつての栄光と多大なる人々に影響を与えた自分の存在を『僕って凄いだろ?』と語りたいのですよね?」

アントリア「な、なんだとぉ!?僕がそんなちっぽけな人間に……」

宣教師「見えますよ。少なくとも今は?」

アントリア「…ぼ、僕は……」ガチガチ

アントリア「わぁぁ…ああああ!!?」ガクガク

宣教師「大丈夫ですか?ほら、どうぞ勝ち誇ってきた頃を思い出して語ってください?
その安い自尊心まで砕けてしまったら…とても自我を保てないでしょう?」

アントリア「ひげぇぇきのぉぉまちぃぃい……!」

カロル「ちょ、ちょっと様子が……癒してあげた方がいいかな?」

宣教師「必要ありません。この方にはもったいないですから」

アントリア「悲劇の町だ!そこで癒しの力が存在すると分かった!!」

宣教師「!?」ピクッ

アントリア「よぉく知っているだろう!?なんせあの町は……君の生まれ故郷なのだからなぁ!?」

カロル「せ、宣教師さまの…!?」

信者's「え…あの娘が悲劇の町の…少女?」ザワッ

アントリア「君たち二人はいつ出会った…?」

宣教師「はい?それはまぁ…3ヶ月程前に布教していた村で…ですよね?」

カロル「う、うん…」

アントリア「それが間違いなんだ!出会ってるんだよ…!10年前からすでに!?」

宣教師「え?わ、私とカロルくんが!?」

カロル「そ、そうだっけ?その頃はボク…まだお母さまとおじいさまと三人で旅してたけど…」
929: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/29(金) 19:54:47 ID:nDd6VU8Z3.
アントリア「あれは10年前、耄碌した老人が戦争の話を町人に語った事から始まった悲劇……それがコトの真相だぁ!?」

宣教師「…カロルくん、小さい頃に人間の町に入ったことはありますか?」

カロル「う、うん。一回だけ…おじいさまには内緒で」

宣教師「た、たとえばそこで…誰かとお話とか…しましたか?」

カロル「……」

宣教師「そ、そうですよね?会ってないですよね?」

カロル「ビスケット…」

宣教師「」ピクッ

カロル「…お母さんが焼いてくれたビスケット、おいしいよって…分けてくれた」

宣教師「(あ、あ……なにか…頭痛が…!)」ズキッ

『サクッ…わぁ!おいしいね。これ、なんていうの?』

宣教師「(あ、あれ…?あれ!?)」ズキズキ

アントリア「お花を摘みに行ってる間に町が消えてた!?ではなぜ花を摘む為だけにわざわざ町を出た!?」

『町の外にね、お花があるんだ?黄色と白のかわいいお花!』

宣教師「(あ…あ…お、朧気に…思い出せそうな……)」
930: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/29(金) 19:56:19 ID:vWnFtiNco.
『一緒に摘みに行かない?』
『ボクとお母さまは明日、また旅しなきゃいけないから……会えなくなるんだ』

宣教師「(そ、そうだ…!たしかこの後……)」

『おい、なにやってんだ!そいつホビットだろ!』

宣教師「(お兄ちゃんが…来て……)」

『なんかこそこそしてておかしいと思ったんだ?』
『兵士さん、こいつが妹にちょっかい出してるんです!』

『見たとこ野良のホビットか。法律で野良ホビットは極力、教団に引き渡すようになってる。嬢ちゃん、そいつから離れなさい』

宣教師「(税の徴収に来た王国兵を呼んで…あの子を連れていこうとした…)」

『離してよ!ボクらはともだちだよ!』

『抵抗するな!』

ガッ ドカッ

『うくっ…ぐすっ……うえええん!』

『はっは!泣いても誰も同情せんよ!』
『ん?なんだ、嬢ちゃん?』
『なに?かわいそうだと?』
『はっは!かわいそうってのは……』

バキッ ガッ ドカッ

『こういうことか?はっは!』

宣教師「(結局、彼はそのまま連れていかれた……)」

『あんな奴、忘れろ。いなくていいんだ、最初から』

宣教師「(…前に見た夢はこの時の記憶?お兄ちゃんが同じように言ってた……)」

宣教師「(あの時の少年が……カロルくん?)」
931: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/29(金) 20:01:15 ID:vWnFtiNco.
宣教師「そうだ…私は彼を忘れられなくて…次の日、もしかしたらと町の外に出た……」

アントリア「思い出したか!?」

カロル「…あんまり覚えてないけど、宣教師さま…だったの?」

宣教師「き、君は町で兵士に乱暴されませんでしたか?」

カロル「え…どうだったかな。そういうこと、よくあったから…」ウーン

宣教師「私の記憶では…あの子は兵士に連れていかれて……それっきり」

アントリア「…実際は連れていかれてない」

宣教師「……」

アントリア「傷を負った子供だ。動けまいと判断し、目を離していたらあっさり逃げられたそうだ」

カロル「あ!そうだ!町を出る時、お母さまと待ち合わせしてたから、走って逃げたよ?」ピカーン

宣教師「や、やはり…君が…」

アントリア「それを聞いて癒しの力の存在を確信したノワールは自ら悲劇の町へ赴いてみたが…すでに町には君しかいなかった」

宣教師「……!」

カロル「ボクと宣教師さまってずーっと前に会ってたんだ…!嬉しい!」パァァ

アントリア「喜んでいていいのか!?」

カロル「へ?」

アントリア「彼女が君と関わったばかりに…癒しの力があると分かってしまった!
つまりだ!この女が君と関わらなければ僕もノワールも諦めていたかもしれない!?」

アントリア「なぁ、そうだろう!?こいつのせいで癒しの力が狙われ続けるんだ!こいつが君の運命を狂わせたのだよ!?」

宣教師「……」シュン

カロル「アントリアさん」

アントリア「ふっふっハハハハハハ!なんだね!?」

カロル「人のせいにしちゃダメだよ!宣教師さまは関係ないじゃない!」

アントリア「はぁ!?だ、だがね!?この女が……」

カロル「ボクは宣教師さまと出会えて幸せだもの。
癒しの力を狙われてひどい目に遭っても…宣教師さまにもらった幸せの方が大きいよ!」

宣教師「……!」ジーン
932: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/29(金) 20:07:28 ID:nDd6VU8Z3.
アントリア「ぬっ…あああ!!黙っれ!!」

カロル「……」

アントリア「はぁ…はぁ…お前らのようなお人好しに負けたのかと思うと…震えが止まらんよ!」ワナワナ

アントリア「なぜだ!なぜ僕じゃない!完璧だったじゃないか!何もかもが!?」

アントリア「計画も完璧!君らを確実に追い詰めた筈だ!?」

宣教師「…今の彼の言葉を聞けば敗因は明白ですよ」

アントリア「なにぃ!?」

宣教師「絆を大切にするか、しないかの差です」

アントリア「絆ぁ!?」

宣教師「平気で人を騙し、平気で人を裏切るあなたと…純粋に人を信じ、裏切られても絆を捨てなかったカロルくんでは大きな差があります……」

アントリア「若輩者が偉そうに…!」ギリッ

宣教師「いざとなって利害を伴わず助けてくれる仲間があなたにはいますか?」

アントリア「く…く…!?」

宣教師「あなたは長年の友人だった司祭様にすら黙って…影で悪事を働いていた」

アントリア「ノワールは!正直過ぎた!奴も所詮は愚かな戦争孤児だ!
本気で夢を叶えたいと望むなら!進んで手を汚して当然なんだよ!」

宣教師「…あの方も私に言わせれば十分、悪人でしたよ。
しかしあなたのように誰も信じず、人を手駒としか見れない程、腐ってはいませんでしたが」

アントリア「なにが悪い!?最終的には皆、幸せにしてやるつもりだった!その為に動かしてやったんだ!」

アントリア「頭の悪い正直者は誰かに使われない限り、無駄に人生を使いきるだけじゃないか!
僕はそんな愚図共を有効利用してやったまでだ!」

宣教師「結果としてこうなってしまいましたけどね?」

アントリア「……!?」
933: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/29(金) 20:09:49 ID:nDd6VU8Z3.
宣教師「彼が深めた多くの絆は今、確かな力となってあなたの前に立ちはだかっています。
この強力な絆に抗う術が今のあなたにありますか?」

アントリア「……」ガクガク

団長「……」

ミシング「あははっ!イイこと言う〜?」

信者's「」ジロジロ

教徒's「」ヒソヒソ

宣教師「私を含め、ここにいる皆があなたに踊らされてホビットを差別してきました…」

宣教師「ですが、そのホビットによって私達は目を覚まし…今こうしてあなたを追い詰めている」

宣教師「…絆なくして人は人を愛せない。絆を踏みにじってきたあなたを救おうとする人間は…ここには一人としていませんよ」

宣教師「罪を受け入れ、償いなさい!それがあなたに課せられた唯一の使命です!!」

アントリア「……し、し、し…うわあああああ!!!」ガクッ

カロル「……」

アントリア「お前なんかに…!僕の…40年を費やした計画がぁ……クソォォォォォ!!!?」ダンッ

団長「うむ!これで分かったな?ワシらはこれまで操られるがまま、憎しみに支配されてきた!
だがそれは作為的なものであってワシらの意思ではない!」

団長「これからやり直そうじゃないか!ホビットにぶつけてきた憎しみを捨て……共に歩める道を築こう!」

ミシング「はいはーい!あたしもおじさまに大さんせー!!」

オォォォォォォ!!!!

団長「…貴様だけは許さん?覚悟しておくんだな?」ガシッ

アントリア「くそっ…ぅあああああ!!!」

カロル「…宣教師さま」

宣教師「分かってますよ。まだ終わりではありません」

カロル「うん!ラムくんの憎しみもなくさなきゃ!」
934: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/29(金) 20:13:51 ID:vWnFtiNco.
ミシング「だーれだ?」ピトッ

宣教師「うわっ!え?え?」アワアワ

ミシング「惜しいっ!正解は大親友のミシングちゃんでしたー!」パッ

宣教師「ミシング!?あなたも来てたんですか!?」

ミシング「あれ?ルーボイくん達から聞かなかった?」

宣教師「あ…確かシスターのお姉さんも協力してくれてると?」

ミシング「あはは!お姉さんなんて照れるなー!ま、そゆこと!あなたが危ないって言うから心配してたんだよー?」

カロル「……」

ミシング「あ、君、君!お名前は?」

カロル「カロルって言います!はじめまして…えっと」ペコリ

ミシング「ふっふーん!美人シスターのミシングお姉さんだよん?
カロルくん、宣教師と仲良しなんだってー?」

カロル「うん!はじめてのともだちなの!」

ミシング「そっか、そっかー?お姉さん、妬けちゃうなー?」

宣教師「あのー…ミシング?積もる話もあるでしょうが……」

ミシング「っていうか、かわいい!頬っぺたツンツンしちゃお?」ツンツン

カロル「やっ!ちょっ!やめて!」プニプニ

ミシング「きゃー!嫌がり方に母性くすぐられちゃう!」ツンツンツンツン

宣教師「……!」イライラ
935: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/29(金) 20:15:45 ID:vWnFtiNco.
宣教師「……ミシング!!」ガァーッ

ミシング「あひょっ!?」ビクッ

宣教師「まったく!カロルくん、こんな痴女はほっといて行きましょう!」スタスタ

カロル「う、うん。ミシングさん、またね?」フリフリ

ミシング「あれれ?どこいくの?」

カロル「うん。ちょっとね」

団長「おい、君たち!」

宣教師「あ、団長さん。指定した通りに皆を集めてくださってありがとうございました。おかげさまでアントリア神官の悪事を暴けました」

団長「苦労したがな…。それより王子は?」

宣教師「後から来ますよ。団長さん達は神官の拘束と残りの兵の阻止に励むようにとの事でした」

団長「そうか。では王子の事は頼んだぞ!」

ミシング「おじさま!」ヒョコッ

団長「」ビクッ

ミシング「あたしもお手伝いしまーす!」

団長「あ、あぁ…よろしく頼む」

カロル「宣教師さま!」

宣教師「えぇ!」

タタタッ……

ミシング「…あの子、明るくなったなぁ」

団長「……?」

ミシング「ふふ。なんでもないです」

団長「実はな。王子もそうだった」

ミシング「王子様が?」

団長「あぁ、あの方も…よい出会いに恵まれた」

ミシング「絆…ですかね?」ニコッ

団長「うむ。かけがえのない絆だ…」ニコッ
936: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 21:46:08 ID:50l4o5eNes
――――――

ラム「しつこいなぁ…。なんでそんなにがんばるワケ?」

ヒメ「お前を助けてやる為さ!」

ラム「…はぁ?」

ルーボイ「…あいつらが助ける助けるって聞かねぇんだよ!だからアントリアを先にしたんだ!」

ラム「助けるって…邪魔しないでくれた方が助かるんだけど?」

ナラ「しんかん…とめたら、さべつ…ほんとに、なくなる!」

ラム「あぁ、そう…」シラー

マルク「わんっ!わうん!」

ラム「ごめん、全然分かんない」

マルク「あうん」ガーン

ヒメ「おい!おまえらは下がってろ!ケガしてるだろ?」ザッ

ルーボイ「へへっ!お前だって腕、血ぃ出てんじゃねーか!」

ナラ「やくそくしたんだもん…。さんにんで、ひきとめるの!」

マルク「はうっ!?」ガガーン

ラム「もうどうでもいいんだけどなぁ…。差別とか」ボソッ

ラム「(あれ?そういえば…なんの為に…こんなこと……)」

ラム「うーん…どうでもいいや」ボーッ
937: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 21:48:39 ID:50l4o5eNes
ラム「剣、抜かないの?」ブラブラ

ヒメ「…オレたちの役目は時間稼ぎだ。攻撃はしない!」

ラム「ふーん…」シュッ

ヒメ「おっと」サッ

ラム「……うまく避けるね?なんかやってんの?」

ヒメ「簡単な護身術さ。おまえにも今度、教えてやろうか?」

ラム「…馴れ馴れしいなぁ」スッ

ラム「(んー…いつもだったら…イラつくんだけどなぁ)」ボーッ

ヒメ「おい、下がったぞ?」

ルーボイ「逃がさねぇかんな!」バッ

ナラ「うしろは…まかせて?」バッ

マルク「くぅーん」イジイジ

ラム「(いい子ぶってる奴らが変にヤル気出して邪魔する…。こういうの…イラつくのになぁ)」ダッ

ナラ「」ビクッ

ルーボイ「ナラ!」ダッ

バッ ガシッ
938: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 21:49:36 ID:zCiLP5rgZc
ナラ「…なに!するの!」ジタバタ

ラム「時間稼ぎでも構わないよ。僕には時間があるんだから」グイッ

ルーボイ「ナラの髪引っ張んな!」ガシッ

ラム「邪魔」ビュバッ

ルーボイ「うあっ!」ザシュッ

ラム「髪の毛、切られたら悲しい?女の子だもんね?」ガシッ グイッ

ナラ「あぃぃ…ったい!」ブチブチ

ヒメ「この…!」ダッ

マルク「わんっ!」バッ

ラム「邪魔だってば」ヒュッ シャッ

ザシュッ スパッ

ヒメ「いっ!」ピシュッ

マルク「キャンッ!」ブシュッ

ラム「…攻撃してみる?」グイッ

ヒメ「…しない!手を離せ!」キッ

ラム「あっそ」バッ ズバッ

バサッ バサバサ

ナラ「……!」ハラリ

ルーボイ「あぁー!?」

ヒメ「お、おまえ…!最低だぞ!?」
939: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 21:51:51 ID:zCiLP5rgZc
ラム「前髪パッツンパッツンになっちゃったね。悲しい?」

ナラ「……!か、かなしくない!」キッ

ラム「うーん」ズシッ

クシャッ クシャクシャ

ナラ「」ズキッ

ラム「どう?悲しい?」ジッ

ナラ「かなじく…ない」ウルウル

ヒメ「女の子の毛を刈って踏みにじるなんて…おまえ最低だ!」カッ

ルーボイ「くっそー!やっぱりぶん殴ってやる!」

ナラ「まって!」

ルーボイ「ナラ…?」

ナラ「いいよ。わたしのかみ…じかんかせぎになってるから、いい」

ヒメ「じ、時間稼ぎって……」

ナラ「わたしがかみをのばしても、よろこんでくれる、おとこのこ…いないもん。だから、いいよ?」ニコッ

ヒメ「…な、ナラ」

ラム「へぇ…悲しくないんだ。君も…」ピタッ

ナラ「……?」

ルーボイ「そんなことねぇよ!お前が女の子らしくした方が喜ぶ男だっているんだぞ!」

ナラ「え…?」ドキンッ

ヒメ「な、なんだよ?急に愛の告白するのか?」アセアセ

ルーボイ「は、はぁ!?ちげーよ!そういうんじゃねーし!?」アタフタ

ラム「?」チラッ

ルーボイ「いや、ちげーから!ぜんぜん好きとかねーから!」アタフタ

ラム「この子がいなくなったら悲しい?」ギランッ

ナラ「」ビクッ

ルーボイ「!?」ビクッ
940: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 21:54:11 ID:50l4o5eNes
ルーボイ「うおおお!」ガバッ

ナラ「きゃっ!」ドサッ

ヒメ「て、手も繋がない内から押し倒すなんてはしたない!み、淫らだ!爛れた関係だ!」カァァ

ルーボイ「うるせぇ!見てわかんねーのかよ!ナラが攻撃されないようにしてんだよ!」ギュッ

ナラ「る、ルーボイ…おもい…よ?」ドキドキ

ヒメ「だ、だからって…そういうのはちゃんと順序を守って…こ、告白…して…その…。
徐々に手を繋いだり、広場で一緒にイチゴのアイスキャンディー食べたり…お、お揃いの飾り物を贈ったり…うわあ!なに言ってるんだ、オレ……」モジモジ

ルーボイ「ウブかよ……」シラー

ナラ「」ドキドキ

ラム「…君らって感情が豊富だね?なんだか……見ていてふしぎだよ」

ルーボイ「はぁ!?お前だっていきなりキレたりすんじゃねーか!?」

ラム「うーん…それがさ。ないんだ、今のところ」

ルーボイ「ないって…?」

ラム「つまんないって言うのかな。さっきバラバラにされて再生した時なんかは…すごく苦しくて…たくさんの感情が沸いて…」

ルーボイ「バラバラ?」

ラム「なんだろ。どうでもよくなってきた…」ボーッ

ルーボイ「じゃ、じゃあ!」パッ

ナラ「やっと…どいて、くれた」ポッ

ラム「」シュッ スパッ

ルーボイ「ぎゃ!な、なに…すんだよ?」プシュッ

ラム「復讐はやめないよ。やることはやっておきたいから」ペロッ

ルーボイ「いっ…てぇな〜!どうでもいいんならいいじゃんか?」タラァー

ラム「うえ〜…まっず」ペッペッ

ルーボイ「じゃあ血なんか舐めるなよ!?」ズキズキ

ラム「味は感じる…。でもイヤじゃない。まずいんだけどなぁ」

ルーボイ「(なんだ、こいつ)」
941: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 21:56:10 ID:50l4o5eNes
ナラ「…ルーボイ、へいき?」オロオロ

ルーボイ「ぜんぜん平気だし!
変態のおっさんに殴られたり大火傷したりして何度も死にかけてっから、こんぐらいへっちゃらだよ!」エッヘン

ラム「…感情なんてなくても目的があれば生きていける。時間は永遠で達成できるまでの道のりは膨大だ」ブツブツ

ラム「仲間なんていない。誰の為でもないけど、これを続けないと…目的がないと…」ブツブツ

ナラ「…ねぇ、ラムくん、へん…」

ルーボイ「…どうしたんだろうな」

ヒメ「や、やっぱりお付き合いするからにはお互いを大事にしないといけないし!
なんかこう…簡単に触れ合うのはふしだらだ…。まずは文通から始めるのが……」ブツブツ

ルーボイ「まだ言ってるのかよ!?目ぇ覚ませ!バカ王子!」

ヒメ「えあっ!?」ビクッ
942: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 21:57:35 ID:zCiLP5rgZc
宣教師「」タタタッ

カロル「」タタタッ


マルク「…わんっ!」

カロル「マルク!平気だった?ケガしてない?」ダキッ

マルク「クゥン!」スリスリ

宣教師「ま、間に合いましたね!」

ルーボイ「宣教師様!」パァァ

ナラ「よかった…!」

ヒメ「遅かったな!そっちはうまくいったのか?」

宣教師「えぇ!皆さん、目を覚ましてくれました!」

カロル「みんなの傷も癒してあげるね?」スッ

フワッ フワッ フワッ

ラム「あ〜あ…また弱らせなきゃ」ボーッ

カロル「ラムくん!もう大丈夫だよ!みんなで帰ろう?」ニコッ

ラム「……」ボーッ

宣教師「様子がおかしいですね…」

ルーボイ「なんか途中からおかしいんだよ?」

ナラ「かんじょうが…ないって」

宣教師「感情が?」

ラム「」シュッ

ズンッ

カロル「っ…!」ブシュッ
943: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 22:02:44 ID:zCiLP5rgZc
ルーボイ「あぁ!?なにしてんだよ、お前!?」ダッ

カロル「みんなは先に戻ってて!!」

ナラ「か、カロル…」

宣教師「そうですね…。これはホビットの二人の問題です」

ルーボイ「…こいつらの?」

ナラ「…わたしたち、なんにもできないの?」

宣教師「…立ち入ってはならない領域という物もあるのです。私達は先に戻りましょう」

ルーボイ「どうすんだよ!カロルが殺されたらどうすんだよ!?」ガシッ

宣教師「…大丈夫。彼は友達を残して死んだりしません」

ナラ「……ルーボイ、もどろ?」

ルーボイ「ナラまで何言ってんだよ!」

ナラ「ラムくん…わたしにかなしい?ってきいた」

宣教師「そ、その髪はどうしたんですか…!」ハッ

ヒメ「ラムがやったんだよ。しかも落ちた髪を踏みつけた。最低な奴だ」

ナラ「ちが…うよ。さいていじゃないの…。ラムくんはきっと…わからなくなってるだけ」

ヒメ「……?」

ナラ「かんじょうがうすくなって…きもちをおもいだせないんだよ」

宣教師「だからキミを悲しませて…感情を確かめようとした、と?」

ナラ「わかんない…。でも…このままだと、おもいだせなくなるのかも」

宣教師「(先ほどの腕や足の残骸を見る限り…力を使いすぎた為に無気力になっているのかもしれませんね)」

ヒメ「だが現に刺されてるんだ。あのまま二人きりにしておくと……」

宣教師「いざとなれば彼は傷を癒せます。むしろ私達がいて刺激してしまう方が悪影響かもしれません」

ルーボイ「…ちぇっ!俺たち、なんにもしてねーじゃん」

宣教師「そんなことはありません。キミたちが時間を作ってくれたからこそ、二人で話し合う時間が出来たのですから」

マルク「クゥン…」タッタッ

宣教師「さ、行きましょう。団長さん達のお手伝いもしなくてはいけませんから」スタスタ
944: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 22:04:45 ID:zCiLP5rgZc
カロル「あ、はは……い、痛いよ、ラムくん?」ダラァー

ラム「そう…」ボーッ

カロル「どうし…ちゃったの?元気…ないよ?」プルプル

ラム「疲れないんだ。走っても動いても」グリィッ

カロル「そう…なのっ…?うっ…!」グチュッ

ラム「……」グリグリ

カロル「あぐっ…つあっ!い、いた…!ちょ、ちょっとだけ…抜いてくれない?」

ラム「やだ。治すから」グリグリ

カロル「あうっ!じゃ、じゃあグリグリだけ!おねがい!グリグリだけやめて!?」グチュッグチュッ

ラム「やめないよ」グリグリ

カロル「い、いったいよぉ〜!おねがい!」グチュッ

ラム「…イヤなら怒れば?」ピタッ

カロル「はぁぁ…痛いや…。でもちょっぴり楽になったよ…?えへへ?」ニコッ

ラム「……」グリィッ

カロル「いあっ!いたぁ!?」ビクンッ

ラム「…君も感情がないのかい?」ピタッ

カロル「か、感情…?」ヒクヒク

ラム「……」

カロル「感情はあるよ?笑ったり泣いたり、怒ったり悲しんだりするよ?」ニコニコ

ラム「お腹刺されても怒らない」ズボッ

カロル「うっ…うあ!や、やっと…抜いてくれた?」ブシュッ
945: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 22:06:13 ID:50l4o5eNes
ラム「僕は君の顔を見るだけでイラつく…んだけどなぁ?なんでかなぁ?」ウーン

カロル「ふふ…なんでだろうね?」フワッ

ラム「あ、治した」

カロル「うん、治したよ。痛いもの?」ニコニコ

ラム「刺さないと」グッ

カロル「刺さなくていいよ!?」アタフタ

ラム「ダメだよ。君にも復讐するんだから」ジッ

カロル「ふ、復讐?」

ラム「だって君は僕から仲間を奪ったじゃないか」

カロル「う、奪ったんじゃなくて…みんなで仲直りしようって言ったんだよ?」

ラム「そうだったっけ。どうでもいいや」シュッ

カロル「あぐぅ!ま、また…!?」ズンッ

ラム「死ねばいいよ。君が死んでくれたら、一つ復讐が終わるから」

カロル「ら、ラムくんが…落ち着くなら、それでも…いいよ?このまま…話そう?」ニコッ

ラム「…話す必要ある?喋ってるだけだよ?」

カロル「え…?そう…なの?」ズキズキ

ラム「ただなんとなく喋ってる。なんにも思ってない。君が死んでも…たぶん、なんにも感じない」グリィッ

カロル「いっ…た…!」ビクンッ
946: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 22:07:44 ID:50l4o5eNes
ラム「…君は感じる?」ジーッ

カロル「うっく…か、感じるよ?」ダラァ

ラム「……」

カロル「ラムくんが笑ってくれたら嬉しい。怒ってたら怖い…。
悲しんでたらツラいし、悩んでたらボクも一緒に悩みたい?」

ラム「……」

カロル「キミは大切なともだちだから…ボクはキミを大切にしたいんだ?」

ラム「イラつかないなぁ…。おかしいなぁ…」

カロル「ラムくんは感情を無くしたりしてないよ?」

ラム「?」

カロル「たくさん動いたから疲れてるんだよ?ゆっくり休んで疲れを取ろう?」

ラム「…疲れてない。疲れない。生きてる心地がしない」

カロル「……」

ラム「体が疲れないのは便利だよ。でも違和感だらけなんだ。なにも思わないのに…何かがムズムズするんだ」

カロル「それはラムくんが感じてる不安じゃないかな?
なんで?なんで?って思うのも…感情が動いてるからでしょ?」

ラム「……」

カロル「体の傷を治しても…心が弱っていくんだよ。キミの心は不安でたまらないはずだよ?」

ラム「」グリィッ

カロル「んきゃっ!?い、いたいってば!?」ガクッ

ラム「あ、今イラッときた」ハッ

カロル「よ、よかったね…?」ヒクヒク
947: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 22:09:52 ID:50l4o5eNes
ラム「君にはどうしたって伝わらないさ。僕は苦しかったんだ」

カロル「うん…。分かるよ?苦しかったよね?」

ラム「裏切られたら、お腹がキュッてして…息苦しいくらい胸が締め付けられる」

カロル「そうだね…」

ラム「君が誰よりも僕に近い筈なのに…君が誰よりも僕の邪魔をする」

カロル「うん。ごめんなさい」

ラム「でもいいんだ。なんにもいらない。なんにもない僕には裏切られる相手もいない」

カロル「…シープくんもバンパさんもキミを裏切ったりしないよ?」

ラム「あの二人は死んだ」

カロル「……」

ラム「バンパが切られたってシープが言ってた」

カロル「会ったの…?」

ラム「会ったよ。シープは…僕が殺したから」

カロル「……!」

ラム「裏切ったクセに助けてとか都合よく言うから…イライラしたんだ」

カロル「シープくんもバンパさんも…ずっとラムくんを心配してたよ?
話し合いが終わったら、みんなで探しに行こうって言ってたんだよ?」

ラム「そう。どうでもいいや」

カロル「ラムくん…!」ガシッ

ラム「…なんにも思わない。やっぱり僕は……」

カロル「あるよ!感情ある!ラムくんは感情が無くなったって思い込んで逃げてるだけだよ!」ユサユサ
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うpろだ
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