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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】
[8] -25 -50 

1: ゆったりペースになりますが! ◆WEmWDvOgzo:2014/11/16(日) 20:09:52 ID:N4jwCkModw
1スレ

少年「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10

2スレ

カロル「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10

―――あらすじ―――

それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました

しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました

そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです

戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました

布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました

それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします


83: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/22(土) 21:39:04 ID:QFizjqWWJ6
カロル「おいひいへ?おはあひゃま!」モグモグ

母「食べながら喋るなんて行儀悪いわよ?」

老ホビット「こんな山奥じゃ!行儀なんぞ誰も咎めんよ!のう?」

マルク「」ガツガツ

母「クスッ…それもそうですわね?」

老ホビット「楽しいのう…。はぁ…そばに誰かがいるとこんなに楽しいんじゃな……」シミジミ

カロル「?」モグモグ

老ホビット「もう長いこと、ここで暮らしとるが…何もかもつまらんかったわい」

母「……」

老ホビット「ふるさとの畑を耕しているのも今となっては義務感でやっとるだけじゃしな…。
歳を取ると段々、体の節々が傷んで辛いのじゃ…」

マルク「」ガツガツ

老ホビット「…何よりこのだだっ広い土地に一人でボーッとしていると……凄く寂しいのじゃよ」

カロル「……」シュン

老ホビット「誰かと囲んで飯を食うなぞ何十年ぶりか……。
会話をするだけで楽しい。飯を振る舞うのにもやる気が湧く…。今日は楽しい…」

母「…もしよかったら、また坊や達と遊びに来てもいいですか?」

老ホビット「も、もちろんじゃとも!いつでも来てくれ!」

カロル「じゃあボクとマルクで毎日、おじいさまの畑を手伝おっか!」

マルク「わんっ!」

老ホビット「……!」ジワァ

老ホビット「うっ…くぅぅ…!」グスッ
84: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/22(土) 21:42:47 ID:QFizjqWWJ6
老ホビット「ボウズは小柄なのによく食うのう?」

母「そうなんですよ。坊やは昔から食べるのが好きで……」

カロル「らっへ!おいひいんひゃもの!」モグモグ

マルク「」ゲプッ

老ホビット「ほほほ!まだまだおかわりはたんとあるからのう!」

バァンッ!!

全員「」ビクッ

山賊1「おぅい!じいさん!今日も山賊税の徴収に来てやったぜ!」ズカズカ

山賊2「てめぇの畑から作物が無くなってたなぁ!俺らに黙って、なに勝手な事してんだぁ!?」ズカズカ

頭「とりあえず小屋ん中にある食料、全部かっさらうぞ?」ズカズカ

老ホビット「ま、待たんか!先日、納めたばかりじゃろうが!?」ガタッ

山賊1「知りまっしぇ〜ん!」ガサガサ

山賊2「お!なんだ、じいさんだけじゃねぇのか?」

母「」ガタガタブルブル

カロル「…お、お母さま」サスサス

マルク「ぐぅるるるるる…」フシューフシュー

頭「じいさんの娘と孫か?」

老ホビット「い、いや……」
85: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/22(土) 21:43:12 ID:QFizjqWWJ6
山賊1「うまそうなの食ってんじゃーん?えぇ?」ジロジロ

母「ひっ…!」

山賊2「メスとガキか…。メスは俺たちで頂いて…ガキはどっかに売っちまうか!?」ニヤリ

カロル「」ブルッ

山賊2「さっきから顔を附せてやがんな…。人と話す時は目を合わせるって教わらなかったか?」ガシッ グイッ

母「きゃっ!」ググッ

老ホビット「な、何をするんじゃ!乱暴はよさんか!」

カロル「お母さまになにするのさ!?」バッ

山賊2「お!このガキ…生意気だな?」

山賊1「軽くシメちゃうか!」

カロル「お母さまを離してよ!?」

頭「ん!こいつ……こないだのガキじゃねぇか!?」

山賊1「あぁ!本当だ!?」

山賊2「へへ…!あん時のかわいこちゃんか!」ジュルリ

カロル「……!」キッ

マルク「あんっ!あんっ!」

頭「おう、そうだ!間違いねぇ!犬もいるぜ!」

山賊1「へっへっ!この前は逃がしちまったが今度はそうはいかねぇぞ?」

山賊2「へへ…!親子まとめて可愛がってやるよ…!色んな意味でなぁ!」ハァハァ

老ホビット「や、やめろ!ボウズたちは関係ないじゃろ!食料ならくれてやるから帰ってくれ!」

山賊1「うるせぇ!」ドンッ

老ホビット「ぎゃっ」ガタンッ

カロル「おじいさま!?」ダッ
86: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/22(土) 21:44:22 ID:BI5nI7D34A
カロル「大丈夫ですか…?」サスサス

老ホビット「うぐぅ…こ、腰が痛むわい…!」プルプル

カロル「…なんでこんな事するの?ボクたちが何をしたって言うのさ!?」

頭「あぁ?」

カロル「あぁじゃ分かんないよ!ちゃんと答えて!」

頭「こ、この…!?」イラッ

バッ ドフッ ドタッ

頭「あ!?」クルッ

山賊2「こ、このクソ犬!なにしやがる!」ジタバタ

マルク「うぉんっ!うぉんっ!」ガブッ

山賊2「いってぇ!?」

山賊1「ざけやがって!」ドカッ

マルク「ぎゃんっ!」ドタッ

母「」オロオロ

頭「お、おめぇら何遊んでんだ!」

老ホビット「おお!?」

頭「あぁ!?うるせぇぞ、じじ……」

老ホビット「すごいのう!ボウズ!」

カロル「ごめんなさい、ボクのせいで……」

老ホビット「バカ言え!悪いのはこいつらじゃ!」

頭「じ、じじい…立てんのか?」

老ホビット「ほほほ!驚いたか、山賊め!ボウズは魔法が使えるんじゃぞ!」

頭「ま、魔法だぁ…!?」
87: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/22(土) 21:47:51 ID:BI5nI7D34A
頭「魔法なんかあるわきゃねえだろ!デタラメこいてっと承知しねぇぞ!?」

カロル「…謝ってよ?突き飛ばすからおじいさまがケガしたじゃない?」

頭「あぁ!?てめぇ調子乗ってんじゃ……」

カロル「謝ってよ…!」ウルッ

頭「お、おぉ?おめぇ…泣きそうになってねぇか?」

カロル「分かんないんだもん…。誰かを傷付けてるのに……どうしてなんとも思わないの?」ウルウル

頭「はぁ…!?」

カロル「もうやめてよ…。お母さまがまた人間を嫌いになっちゃうよ…」グシッ

母「……!」ズキンッ

頭「わっけわかんねぇっ…な!!」ブンッ

カロル「うあっ!?」ガンッ

老ホビット「ボウズ!?」

カロル「いたっ…い……」ダラァ

頭「へっ!魔法だかなんだかしらねぇが…逆らうなら容赦しねぇぞ?」

山賊2「か、頭!あんまり傷付けっと、いざヤる時に萎えますぜ!?」

頭「ヤらねぇよ!?この変態野郎が!?」

母「ぼ、坊やになにする気なの…!?」ゾワァッ
88: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/22(土) 21:51:50 ID:BI5nI7D34A
カロル「はぁ…痛かった?」スクッ

頭「えっ」

カロル「急にぶたないでよ?」サスサス

山賊1「か、かしら?い、今…確かに殴りましたよね?」オロオロ

頭「あ、あぁ…しかもこん棒でな…?」オロオロ

山賊2「めっちゃ血ぃ出てますけど……」オロオロ

頭「お、おう…ピンピンしてんな…?」オロオロ

カロル「」ジッ

頭「ひぃっ!?」ビクッ

カロル「出てってよ!まだボクたちをいじめるんなら許さないからね!」

頭「(な、なんだ、こいつ…?本当になんともねぇのか!?大の男だってヘタすりゃ死ぬぐらいの威力だぞ…!?)」

カロル「おいで?マルクも蹴られて痛かったでしょ?」

マルク「クゥン……」ヨロヨロ

カロル「癒してあげるね?……はい!」ピトッ

フワッ

マルク「わんっ!!」ピョンッ

頭&山賊1、2「……!?」ビクビクビクゥッ

カロル「…謝んないなら早く出てって!」キッ

頭「ひぃっ!?こいつぜってぇおかしい!?なんかおかしい!?」ダダッ

山賊1「あ!?かしら!?置いてかないでくださいよぉ!?」ダダッ

山賊2「く、くっそぅ!?覚えてろよ!?」ダダッ

ダダダダダッ
89: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/23(日) 21:40:12 ID:UavECGF.sw
カロル「…大丈夫?痛いところないですか?」サスサス

老ホビット「ほほほ!ボウズのおかげでちっとも痛くないわい!」シャキッ

カロル「よかったぁ…」ホッ

マルク「わんっ!」ピョンピョン

カロル「うん、マルクも元気になってよかったね?」ダキッ

マルク「くぅーん!」スリスリ

カロル「よしよし?お母さまもケガしてない?」ナデナデ

母「ありがとう。あたしは大丈夫よ?」ニコッ

老ホビット「…すまなんだな。儂が食事になど招かなければ……」シュン

母「お爺さんのせいなんかじゃありません?」

カロル「そうだよ!ボクとマルクがあの人間たちに会っちゃったから……迷惑かけてごめんなさい」ペコリ

マルク「あぅー…」シュン

老ホビット「な、何を言うか!ボウズ達のせいではないんじゃ!」アセアセ

母「うーん…とりあえずお片付けしましょうか?あの人達が荒らすから散らかってるわ?」キョロキョロ

老ホビット「あぁ!大丈夫じゃ!儂がやるから君たちは帰りなさい!また来るやもしれん!」

母「そうもいきません?ご馳走になってタダで帰るなんて……」

カロル「それに山賊が来たらおじいさま一人だと危ないよ?」

老ホビット「…それはそうじゃが」
90: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/23(日) 21:40:38 ID:YvuzyYVhZU
母「あ、そうですわ?あたし達の小屋に来たらいいんじゃないかしら?」

カロル「そうだね!おじいさまの持ち物、一緒に運ぶからそうしようよ?」

老ホビット「だ、ダメじゃ…それは出来ん」

母「どうしてですの?ここはもう山賊に暴かれてますし……」

老ホビット「儂が残らんとこの家を守る者がおらん…」

母「…何か思い入れがあるんですか?」

老ホビット「あるとも…。この家は儂が妻と息子夫婦と5人で暮らしとった思い出深い場所じゃ」

母「……」

老ホビット「60年前に西国の防衛拠点として占拠され、皆殺しにされてしもうた忌まわしい場所でもあるが…」

カロル「……」シュン

老ホビット「少なくとも家族が眠る地はここなんじゃ。儂は生涯、ここを守り続けたい」

母「…しかたないですわね」

老ホビット「すまんの…。せっかくの好意を無下にしてしまい……」

母「いえ…でも身に危険が迫るといけませんから何かあったらいつでもあたし達に相談してください?」

カロル「ボクもお母さまもマルクもおじいさまの味方だからね!」

マルク「はっはっ!」シッポフリフリ

老ホビット「ほほほ!それは心強いのう!」
91: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/23(日) 21:43:37 ID:YvuzyYVhZU
〜〜〜夜〜〜〜

―――山小屋―――

カロル「」スヤスヤ

マルク「」スヤスヤ

母「……」

『お母さまがまた人間を嫌いになっちゃうよ…』

母「(やっぱり……坊やは今でも…)」

母「」チラッ

カロル「んぅ…むにゃむにゃ…せん…きょうしさまー…」ニヘラッ

母「(毎晩、坊やの寝言はあの人達の事ばかり……)」

母「(……なんであたし、あんなこと言っちゃったのかしら)」

母「(今思うとまともじゃなかったって…自分でも分かる)」

母「(確かにあたしは人間が嫌いだけど、宣教師様達を嫌ってた訳じゃないのに……)」

母「(目を覚ますまで、なんでこんなに時間がかかってしまったの…?
坊やを不幸にしてるって気付いていたじゃない……)」ギュゥッ

カロル「…むにゃむにゃ」スヤスヤ

母「…ごめんね、坊や?」ナデリ

カロル「うぅ…ん」スヤスヤ

母「…本当にごめん。自分勝手なお母さんで」ナデナデ
92: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/23(日) 21:47:08 ID:YvuzyYVhZU
―――山麓の町(酒場)―――

ワイワイガヤガヤ

頭目「」ゴブゴブ

店主「ダンナ、飲み過ぎたよ。そろそろ帰ったら?」

頭目「ぶはーっ!るっせぇんだよ!?飲まねぇでいられっか!?」ダンッ

店主「今日はいつにもまして荒れてるじゃないか。何かあったの?」

頭目「あぁん!?何かなきゃ飲んじゃいけねぇのかよ!?」

山賊1「頭はなぁ!ホビットに煮え湯を飲まされてカンカンなんだよ!」

店主「ホビット?」

頭目「そうだよ!薄汚い野良ホビットの分際で逆らいやがってよ!」

店主「…ホビットと言えば最近、憲兵団や教団から手配書が回ってきてるね」

頭目「てはいしょだぁ〜!?」

山賊2「あれじゃねぇすか?壁に貼ってある?」

頭目「んあ〜?」チラッ

店主「なんでも懸賞金が懸かってるらしいよ。しかも金貨1000枚、笑っちゃう額だよね」

山賊1「金貨1000枚ぃぃ!?」

山賊2「家が建つぜ!?」

頭目「はぁ〜?そんなんで大金が……」ジーッ
93: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/23(日) 21:48:17 ID:UavECGF.sw
頭目「」カランッ

山賊1「…ん?頭?どうかしたんすか?」

頭目「お、オヤジ…人相描きは見えんだが…飲み過ぎたのか字が分からねぇんだ。代わりに読んでくれねぇか?」

山賊2「なに見栄張ってんすか。俺たちゃ元々、字なんか読めないでしょうが?」

頭目「るせぇな!?いいから読めってんだよ!?」

店主「…下記の内容に当てはまるホビットを見つけた者には褒美として金貨1000枚与える。
名はカロル、身長140前後、年齢(捜索開始時)14歳、犬を飼っている。
母親の名はマリー、身長150前後、年齢不詳(巨乳)
発見時にはお近くの王国兵、もしくは憲兵、教団員までお知らせ下さい。
ご協力よろしくお願いいたします…だとさ」

頭目「そ、そうか?ふーん?へー?そうかそうか?」シドロモドロ

店主「狙ってんの?多分ムリだよ?王国と教団が結託して大人数を動員して探させてるけど、捜索開始から1年間、足跡も掴めてないから?」

山賊1「あん?この人相描き……」ジーッ

山賊2「これってあのガキじゃ……」

頭目「あ!?な、なぁんかアレだな!今日は星がキラキラしてんだなぁ!?」ドギマギ

山賊1「は?」

山賊2「ここカウンターっすよ?窓際じゃあるまいし、星なんか見えないっしょ?」

店主「やっぱり飲み過ぎだよ。帰んなって」

頭目「う、ううるせぇな!帰るよ!帰りゃいいんだろ!?」

山賊1、2「?」
94: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/23(日) 21:53:48 ID:UavECGF.sw
―――山道―――

頭目「へへ…まっさかなぁ…そうか、そうかぁ…?」フラッフラッ

山賊1「大丈夫すか?」

頭目「…だぁらよ?あのガキは銭、銭!んで世の中も銭だ?つまり銭なんだよぉ!?ガハハハハハ!!!」ゲラゲラ

山賊1「悪酔いしてんな」

山賊2「千鳥足だし、さっさと寝かせっか」

頭目「あぁ!?バカか!?だぁらあのガキは金貨1000枚なんだよぉ!?」

山賊1「なに言ってっか分かる?」

山賊2「知らん。枯れ井戸の底にまだ水が残ってたから酔い醒ましに飲ませんべ?」

山賊1「ぎゃはは!あんな泥まみれの水飲んだら腹下すぜ?」

頭目「ちぃっ!バカ共が…!」フラッフラッ

ドンッ

頭目「お!てめぇ誰の肩にぶつかってんだぁ!?」ギロッ

兵士「」ギョロッ

山賊1、2「っ!?」ビクッ

兵士「…会いたかったぜぇ?相棒?」

頭目「あ、あいぼ?あぁにってんだぁ!?うぅん!?」

兵士「ふふ、照れるなよ?」ポンッ

頭目「はなしゃがれ!?」バッ

山賊1「てめぇ!俺らにケンカ売ってんのか!?」

兵士「酒場で見てたんだよ。お前らが壁のチラシとにらめっこしてんのをなぁ…?」

山賊2「なぁにぃ…!?」

頭目「ふ、ふざけんない!?ありゃ俺様の獲物だ!横からしゃしゃり出んな!?」

兵士「なるほどな、予想的中ときたか?」バッ

ゾロゾロ ゾロゾロ

山賊1、2&頭目「ひっ!?」
95: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/23(日) 21:56:48 ID:YvuzyYVhZU
兵士「俺は王国に雇われた傭兵部隊の隊長、マドラスってンだ?
短い付き合いになるが、以後よろしくな?」ニヤリ

山賊1「な、なんだよぉ!なんなんだよぉ!?大勢で囲んでどうする気だぁ!?」

マドラス「決まってんだろう?懸賞金の居場所を教えてもらうのさ?」

頭目「……お、俺様が先に見つけたんだぞぉ!!てめぇらになんか教えるかよぉ!?」

山賊1「え!?懸賞金知ってんすか!?」

山賊2「どこ!?どこ!?」

頭目「うるっせぇな!おめぇらはなんで分かってねんだよ!?」

マドラス「選ばせてやるよ?」

山賊1「は?何を?」

マドラス「」クイッ

ヒュオンッ ザシュッ

山賊2「ぐばむはぁっ!?」ズシャッ

頭目「……うお!?」ザッ

兵士2「クックク!」ジャリッ

兵士3「」シャキンッ

山賊1「な、な〜!?」

マドラス「懸賞金の居場所を吐くか、死ぬか…だ?」ニタァァ
96: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/23(日) 21:59:53 ID:YvuzyYVhZU
兵士2「」チャッ

兵士3「」ヒュンッヒュンッ

兵士4「」ジロジロ

頭目「っ…!」ゴクリ

山賊1「か、かしらぁ〜…」ブルブル

マドラス「3秒以内に答えろ。3、2……」

頭目「わ、わかった!言う!言うからよ!」アセアセ

マドラス「1、0…時間切れだ?」

兵士4「ぬんっ!」ヒュオンッ

山賊1「げはぁっ!?」ザシュッ

ズシャッ

頭目「い、言うって!?」

マドラス「3、2……」

頭目「〜〜!?」

マドラス「いぃち〜…ぜぇ〜…?」

頭目「あ、案内する!その方が分かりやすいだろ!?」

マドラス「よし、案内しろ?」

頭目「(た、助かったぁ……)」ホッ
97: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/24(月) 21:52:53 ID:j5u3Ryt06o
〜〜〜朝〜〜〜

―――老ホビットの家―――

カロル「おじいさまー!遊びに来ましたー!」コンコン

シーン

カロル「おじいさまー?」コンコン

母「…留守なのかしら?」

マルク「」クンクン

カロル「でも…畑にいなかったよ?」

母「きっと水鳥を狩りに出かけてるのよ?
あたし達に振る舞って無くなっちゃったから?」

マルク「わんっ!わんっ!」

カロル「……?どうしたの?」

マルク「」クンクン

カロル「…おじいさまの匂いがするの?」

マルク「あんっ!」

母「え?じゃあ寝てるのかしら…?」

カロル「そっちの小窓から声かけてみよっか?」

母「なに言ってるの!そんなことしたら失礼よ?」

カロル「そうなの?」シュン

母「畑仕事で疲れてるでしょうから、そっとしといてあげましょ?」

カロル「じゃあちょこっと覗いてみるだけ!それならいいでしょ?」

母「…起こさないようになさいね?」

カロル「はーい」ソーッ

カロル「」ピョンッピョンッ

カロル「…ん!」ガッ ググッ

カロル「(…届かないや)」ガーン
98: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/24(月) 21:54:59 ID:ss79KI2Bic
カロル「マルク、背中に乗っていい?」

マルク「わんっ!」スッ

カロル「ごめんね!よいしょっ」ヨジヨジ

母「覗くだけにしてね?勝手に入ったらダメよ?」

カロル「……うわぁっ!?」ズルンッ

マルク「あぅん?」

母「きゃっ!?」

カロル「あつっ!」ドタッ

母「だ、大丈夫?頭打たなかった?」ハラハラ

カロル「……!ま、マルク!もう一回!」スクッ

マルク「わんっ!」スッ

カロル「ありがとう!」ヨジヨジ

母「あ、危ないわよ!落っこちたばっかりでしょう!?」ハラハラ

カロル「」ガバッ ググッ

母「あっ!ちょっ…!?ぼ、坊や!?入ったらダメって……」アセアセ

シュタンッ タタタッ

母「な、なにかあったの?」

マルク「わんっ!」コクッ
99: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/24(月) 21:56:33 ID:ss79KI2Bic
ガチャッ

マルク「あんっ!」タタタッ

母「坊や!なにしてるの?勝手によそのお家に上がり込むなんて…!」スタスタ

カロル「……!」ピトッ

母「え?きゃああああ!?」ガクンッ

老ホビット「」

母「し、死んで…る?」ブルブル

マルク「クゥゥン……」シュン

母「…な、なんなの……なんで……」ガクガク

カロル「…もっと早く来てたら…助けられたかも……」スッ

母「…と、とにかく一旦帰りましょ!ここは危ないわ!」

カロル「……」グッ

母「坊や?どうしたの?早く……」

カロル「…ダメ。このままにしたらかわいそうだよ」

母「で、でも…!?」

カロル「お世話になったのに…まだちゃんとお礼してないもん。そんなのダメだよ」

母「……そ、そうね。ごめんなさい、あたし…気が動転して……」

カロル「…マルク、おじいさまをおぶって歩ける?」

マルク「うぉんっ!」コクッ
100: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/24(月) 21:59:50 ID:ss79KI2Bic
―――山林(畑)―――

パッパッ タシタシ

カロル「…おやすみなさい、おじいさま」ギュッ

母「……」ギュッ

カロル「…」ボソッ

母「え…?」

カロル「…なんでもないよ」

母「……」

カロル「……」

母「帰りましょうか」スクッ

カロル「……」

母「坊や……」

マルク「クゥン…」ペロッ

カロル「……」

母「辛いけど…初めてじゃないでしょう?」

カロル「…初めてじゃないね。たくさんあった」

母「……」

カロル「ボクに関わった人がたくさんいなくなったよね」

母「なっ…なに言ってるの?それはあなたのせいじゃ……」

カロル「…ホントにそうなの?」

母「当たり前じゃない。坊やが何をしたって言うの?」

カロル「何もしないよ…。何もしないけど…」

母「そうよ。自分を責めてどうするの?」

カロル「…ボクがホビットで癒しの力を持ってるから……」グッ

母「っ…!」
101: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/24(月) 22:06:00 ID:j5u3Ryt06o
カロル「…だから、みんな……っ!」ブワァッ

母「違う…?」ダキッ

カロル「ひっ…!うっ…!えぅっ…」ポロポロ

母「…ホビットでも癒しの力があっても関係ないわ?」サスサス

カロル「けどっ…おじいさまとは…ぇっ…会ったばっかり、なんだよ…?
ひんっ…それなのに…こんなにすぐ……おかしいよ!?」ポロポロ

母「山賊の仕業かもしれないでしょ?」ポンポン

カロル「…こわいよぉ!こわい…!」ギュッ

母「なんで怖いの?何も怖がらなくていいのよ?」

カロル「だって…!おか…さま、いなくなったら…やだもん!」グズグズ

母「…いなくなる訳ないじゃない?お母さんはずーっと坊やと一緒よ?」クスッ

カロル「じゃあ…なんで?なんで…こんなの…こんな…いつも…そうじゃない?」グシッ

母「……」

カロル「もうやだ!やだ!やだ!」カッ

母「」ビクッ

カロル「ボクがいなくなればよかったんだよ…!ボクなんかが…いるからっ!」ポロポロ

パシンッ!
102: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/24(月) 22:08:41 ID:j5u3Ryt06o
カロル「っ…」ヒリヒリ

母「……」ジッ

カロル「……?」ポカーン

母「そんな悲しいこと言わないでちょうだい…?」ギュゥッ

カロル「ふあっ…」ポフッ

母「…あなたまでいなくなったら、あたしは何を支えに生きたらいいの?」スッ

カロル「!」ピクンッ

母「…あなたから大切なお友達を引き離したあたしが……言っていい事じゃないでしょうけど」プイッ

カロル「…ごめ……なさい」シュン

母「…あたしこそごめんなさい。また…ぶったりして」

カロル「ちが…よ。ボクが…いけないの」グズグズ

母「……」

カロル「そういうつもりじゃ…なかったんだよ?お母さまに…言ったんじゃないよ?ホントだよ…?」グシッ

母「…分かってる?」ナデリ

カロル「ホントに…ちがうからね?」ウルッ

母「…帰りましょう?」ニコッ

カロル「はい…」グズッ

マルク「くぅぅ……」ションボリ
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名前:
sage:


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うpろだ
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