ハロウィンSSです。
本日中の完結を目指しますが、間に合わなかったらご愛敬……。
2: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 00:48:12 ID:c9ImGJ5RyM
女「トリックオアトリート!」
兄「……」
女「トリックオアトリート!」
兄「あのな、今日はハロウィンだけどまだ1時前だぞ?」
女「いいの! 10月31日であればそれはもうハロウィンよ!」
兄「なんて勝手な妹なんだ」
3: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 00:48:43 ID:c9ImGJ5RyM
女「さぁ! お菓子かいたずらか!」
兄「はいはい……食いかけでいいか?」
女「やったー! 麦チョコゲット!」
女「よし、次は妹だー」
兄「……5粒で満足しおった」
4: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 00:49:23 ID:c9ImGJ5RyM
女「トリックオアトリート!」
妹「……」
女「……もーしもーし、妹さーん?」
妹「……」
女「寝てる」
女「これはいたずらだな……!」
5: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 00:49:50 ID:c9ImGJ5RyM
兄「妹は無事だろうか」
兄「……おーい妹、大丈夫か?」
兄「妹……寝てるのか?」
兄「入るぞー」
6: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 00:50:14 ID:c9ImGJ5RyM
兄「……なんだこりゃ」
兄「ぬいぐるみが顔のまわりにずらっと……」
兄「これは地味に怖いというか気持ち悪いな」
兄「……」
兄「でもおもしろいから写メっとこ」ぴろりん
7: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 01:21:48 ID:c9ImGJ5RyM
男「……あぁもうこんな時間だ」
男「明日も早いし、早く寝ないと」
男「でも、このケーキが焼けるまでは我慢我慢」
男「ハロウィンだからって女から絶対ドヤされるもんな」
ぴーぴーぴぴぴぴっぴっーぴーぴー
男「うわ、女から電話だ」
男「どうせまた意味のわからないことを言われるんだろうな」
8: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 01:22:33 ID:c9ImGJ5RyM
男「……もしもし?」
女「ましまし? 今家にいますか?」
男「いるよ。なんで」
女「今暇?」
男「まぁ、暇と言えば暇かな」
女「ふっふっふー」
男「え?」
9: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 01:22:50 ID:c9ImGJ5RyM
ピンポーン
女「トリックオアトリート!」
男「帰ってください」
10: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 01:23:38 ID:c9ImGJ5RyM
女「いーじゃんいーじゃん。いたずらしちゃうぞー?」
男「具体的に何をするのさ」
女「……バ、バターをドアノブに塗ります!」
男「地味だな、おい」
女「じゃ、10秒に一回ドアノブ回す」
男「そのぐらいなら別にいいよ。頑張ってね」
女「ひどい! なんてやつだ!」
11: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 01:24:13 ID:c9ImGJ5RyM
男「はぁ……」がちゃ
男「あ、焼けた」
男「これで学校行っても大丈夫」がちゃ
男「……」
男「……しょうがないなぁ」がちゃ
12: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 01:24:42 ID:c9ImGJ5RyM
男「まだいるの?」
女「いないよ」
男「そんな所にいたら寒いし、危ないでしょ。入りな」
女「やった! ありがと大好き愛してる!」
男「あーはいはい」
13: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 01:24:57 ID:c9ImGJ5RyM
男「ほら、ちゃっちゃと入っ……」
女「トリックオアトリート!」
男「やっぱり帰って!」
14: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 01:25:39 ID:c9ImGJ5RyM
男「どうしたのその格好」
女「ハロウィンだから!」
男「ハロウィンだからってそんな魔女っ子の格好してるの?」
女「Yes! I’m a MAJOKKO!」
男「まさか、今日のためだけにそのしましま靴下買ったの?」
女「そう! この色合い探すの大変だったんだよねー」
女「ありそうでない!」
男「馬鹿でしょ、女」
女「失礼な」
15: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 01:27:57 ID:c9ImGJ5RyM
男「ほら、このケーキ食べて迎え呼んで帰った帰った」
女「ちぇちぇー」
男「はい、まだ熱いけど」
女「わーい! カップケーキじゃあ! 熱っ!」
女「美味しそうだけど熱っ、よし、この欠片を熱っ!」
女「一口を小さくすればいける」かじかじかじかじ
男「……君は小動物か」
16: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 01:35:26 ID:c9ImGJ5RyM
ぴんぽーん
男「はーい」
兄「すいません、うちの妹が」
男「いえいえ、あっちでくつろいでます」
女「おー兄上ー。お久しゅう」
兄「こら! 帰るぞ、女!」
女「あいあいさー」
17: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 01:36:11 ID:c9ImGJ5RyM
兄「お前……そんな格好でうろうろしてたのか」
女「魔女っ子だぜ、魔女っ子!」
兄「竹箒担いだ魔女っ子がいるか」
女「いるんじゃない? 一人くらい」
兄「認めねぇよ」
男「……女、竹箒なんて持ってきてたの?」
女「邪魔だろうから玄関に置いといたよ」
18: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 01:36:36 ID:c9ImGJ5RyM
女「じゃあまたあとでねー」
男「はいよー」
兄「お騒がせしました」
男「お兄さんも御苦労さまです」
19: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 01:45:28 ID:c9ImGJ5RyM
兄「ただいまー」
女「おかえりー」
兄「朝早いんだろ? さっさと寝ろ」
女「ういうい」
兄「おやすみ」
女「おやすみー。ちゃんと聖書を読んで寝るんだぞー」
兄「残念。俺は曹洞宗だー」
女「そうかー」
20: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 01:50:24 ID:c9ImGJ5RyM
少し時間を意識した感じにしたいので、昼間は隙間隙間で投下していきます。
そのため、ご感想などをいただけた時、更新はあるのにお返事がない、ということがあるかもしれません。
その時は後でまとめてお返事させていただくので、ご了承ください。すみません……。
今夜はここまでです。
次は朝頃になります。
おやすみなさい。
21: 名無しさん@読者の声:2011/10/31(月) 02:24:34 ID:Zd/dxPjreI
兄は只管打坐なのか……
支援
22: 名無しさん@読者の声:2011/10/31(月) 06:25:37 ID:5tzXfudkYk
なにこれかわええwww
今日は1日楽しみだ(´ω`*)支援
23: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 08:32:18 ID:z7kfXMUr4I
女「おはよー」
妹「おはよう姉ちゃん」
妹「ねぇ、朝起きたらぬいぐるみに包囲されてたんだけど、知らない?」
女「しーらね」
妹「姉ちゃんでしょ」
女「……ひゅーひゅひゅひゅひゅー」
妹「下手な口笛はいいよ」
24: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 08:34:18 ID:bNAxeNvqm6
女「あーそうだ兄上は?」
妹「まだ寝てるよ。お母さん達はまだ帰ってない」
女「結局ばあちゃん家泊まったんだ」
妹「ねー。きっといいもの食べて酒飲んだんだよー」
25: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 08:35:14 ID:OkHhBtA6T6
女「あ。妹、妹」
妹「なに?」
女「トリックオアトリート!」
妹「朝っぱらからお菓子要求してくんの?」
女「もうハロウィンは始まっているのさ!」
妹「あれは暗くなってからでしょ?」
女「いーの。地球の裏側なら夜だよ」
妹「日付は違うと思うんだけど」
26: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 08:42:47 ID:iLokYHTEjE
女「さぁさぁ、お菓子? いたずら?」
妹「はい、チロル。兄ちゃんのだから一個だけね」
女「兄のおやつを平然とくすねるなんて……我が妹ながら恐ろしい子!」
妹「ほら、早くしないと遅刻するよ?」
女「へーい。妹も遅れんなよー」
妹「姉ちゃんには言われたくないし」
女「いやん」
27: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 09:39:37 ID:iLokYHTEjE
女「おっはよー男。トリックオアトリート!」
男「おはよう女。昨夜ケーキあげたでしょ」
女「あれはあれ、これはこれ」
女「魔女っ子女じゃなくて、学友女としてほら! トリックオアトリート!」
男「あーもうしょうがないなぁ。あげればいいんでしょ、あげれば」
女「えーこれもう食べた……」
男「いらないならいいよ」
女「いりますっ! いただきますっ!」
男「まったく……」
女「ありがとねー。よし、次は他の人の所にも行ってくるぞ」
男「はいはい。いってらっしゃーい」
28: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 13:25:12 ID:asbF9Sqs6Y
女「友ちゃーん、トリックオアトリート!」
友「あーあー、聞こえないー」
女「トリックオアトリートッ!」
友「……」
女「トリックアンドトリート」
友「図々しいなお前!」
29: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 13:25:37 ID:asbF9Sqs6Y
女「お菓子ちょーだい?」
友「ほら、邪魔しないでよ。休んだ時のノート写してるんだから」
女「……」
友「……」かきかき
女「……」
友「……」かきかきかき
女「……」じわっ
30: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 13:26:15 ID:asbF9Sqs6Y
友「わかったわかった! あとで何かあげるから、他のところにいってなさい!」
女「もう周れる人全部周っちゃった」
友「あぁ……そういえば学校には片手で数えられる人数しか話せる人いないんだっけね」
女「えへっ」
友「今は飴しかないよ?」
女「全然平気。むしろくれ!」
31: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 13:28:51 ID:OkHhBtA6T6
友「はい、ブドウ味」
女「やった、ブドウ味ゲットー!」
女「あーめっ、あーめっブドウ味ー」
友「……」
友「トリックオアトリート」
女「へ?」
32: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 13:32:06 ID:psNyMa9P6Y
友「だーかーら、トリックオアトリート」
女「……あげないよ。これは私の数少ない戦利品で」
友「ならば仕方ない。いたずらだなぁ……」
女「ちょ、やめ、やめやめ首はやめるんだ首はっ!」
友「さぁ、どうする女!」
女「わかりましたわかりましたわかりました!」
33: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 13:35:35 ID:MK6AB5CCBY
女「……はい、チロル」
友「ありがとう」
女「ねぇ友ちゃん」
友「どうした?」
女「これ結局トリックアンドトリートじゃね?」
友「まぁ、そうなるね」
女「この鬼! 悪魔! 人でなしー!」
友「HAHAHAHAHA! 何とでも言えー」
34: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 15:50:01 ID:vWMIileM/s
友「……女、また寝てるよ」
男「昨夜はずっと起きてたみたいだからなぁ」
友「へぇ」
男「女のツイッタ―みたら夜通しブツブツしてたよ」
友「なにそれ怖い」
男「あれは絶対徹夜でアニメ観てたね。ジャックがどうとか延々書いてあった」
友「普段テンション高いのに授業中だけ眠くなるって凄いよね」
男「だから腰が痛いっていっつも言ってるんだよ」
女「……ぐぅ」
35: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 15:50:31 ID:vWMIileM/s
女「おはよー」
男「おはよう、相変わらず予鈴直前で起きられるんだね」
女「自分でも不思議」
男「またお菓子貰いに行くの?」
女「ううん。もう貰える人からは貰っちゃった」
男「いたずらは?」
女「全然ダメです。皆お菓子持ち歩いてるんだもん」
36: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 15:51:25 ID:vWMIileM/s
男「まぁ、女のいたずらじゃたいしたことないだろうけどね」
女「失礼な。私だってやろうと思えばそれはそれはえげつないいたずらをだね……」
男「具体的には?」
女「……む、無言でひたすら背後についていくとか」
女「膝かっくんとか、肩叩いて指ぶっさすとか……」
男「本当に地味だね」
女「二次元ならあんなことやこんなことが出来るんだけどなぁ」
男「王道だよね」
女「うん、夢の世界だよ」
37: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 16:16:38 ID:bNAxeNvqm6
女「ねぇ男。今日このあと予定ある?」
男「ないよ。なんで?」
女「じゃあさ、一緒にハロウィン行かない?」
男「そういう可愛い役は子供に譲ってあげようよ」
女「何言ってんの。お化け的には私達まだまだひよっこ、生まれたての子牛レベルだよ?」
男「なぜ牛をチョイスした」
女「気分としかいいようがない」
38: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 16:17:48 ID:MK6AB5CCBY
女「ね、いこっハロウィン!」
男「行こうったって……」
女「じゃ、5時半に駅集合! 仮装の用意を忘れないでねっ。絶対遅れちゃ駄目だからね!」
男「はいはい……」
男「仮装は流石にないよなぁ、まったく」
39: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 16:24:06 ID:OkHhBtA6T6
>>21
支援ありがとうございます。
兄が曹洞宗なのは口だけです。実際はクリスマスを祝って除夜の鐘を鳴らし、そのまま元朝参りに行くような兄です。
>>22
ありがとうございます!
ご期待に添えるよう、頑張ります。
40: 名無しさん@読者の声:2011/10/31(月) 17:25:07 ID:yDVBYpkKr.
お疲れさまっす
41: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 17:29:02 ID:c9ImGJ5RyM
>>40
ありがとうございます。
42: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 17:29:58 ID:c9ImGJ5RyM
女「おーい男っこっちだよ!」
男「よかった……普通の格好してる」
男「籠持ってるってことはお菓子せびる気満々だな」
女「よーし、じゃあ行こうか!」
43: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 17:30:45 ID:c9ImGJ5RyM
男「どこまで行くのさ」
女「まずはケーキ屋さんだっ」
男「え、なんで」
女「いいからいーから。これが一番手っ取り早いの!」
男「ちょ、どういうことなんだよ」
44: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 17:31:31 ID:c9ImGJ5RyM
女「んーこれにしようかな?」
男「これワンホールだよ?」
女「うん。見ればわかるね」
男「どうするのさ、こんなの買って」
女「だって必要なんだもん」
女「あ、割り勘で宜しく」
男「えっ、なんで!」
女「男もこれのお世話になるんだよー。ね?」
男「……しょうがないなぁ」
45: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 17:32:31 ID:c9ImGJ5RyM
女「さぁ行こうか、男よ!」
男「どこまで行くのさ。どっかでハロウィンパーティーでもやってるの?」
女「パーティーなんてもんじゃないよ。ハロウィンはお祭りなんだから」
男「日本じゃそこまで広まってないよ。え、何、教会?」
女「違う違う! 日本だろうがイギリスだろうがアメリカだろうがウズベキスタンだろうがハロウィンに参加したいと思えばいいんだよ!」
男「……女の言ってることって偶に、いや、いつもよくわからないや」
女「失礼な」
46: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 17:33:30 ID:c9ImGJ5RyM
女「ほら、もう時間が押してるんだから。電車に乗り遅れたら参加できないんだよ!」
男「電車? どこまで行くのさホントに」
女「△×駅」
男「△×駅? あそこは田んぼの真ん中にある無人駅だよ?」
女「何にもないからちょうどいいの!」
女「ほら行くよっ。 電車なくなっちゃう!」
男「……もう、わっかんないなぁ!」
47: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 17:57:44 ID:c9ImGJ5RyM
プァーン……
男「……」
女「ふぅ、間に合った!」
男「もう暗いし、本当に何にもない駅だなぁ。電灯もオレンジ電球だし」
女「いかにもって感じだよね。まさにハロウィン!」
男「こんな所でなにするつもり……何脱いでんのさ女っ?」
女「あー大丈夫だ、問題ない。ちゃんと先にスカート履いたから」
48: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 17:58:18 ID:c9ImGJ5RyM
男「よく見たらその上着昨夜のだし……ズボンの下もあの靴下だし」
女「帽子もちゃんとあるよ!」
男「そのバックやたら大きいと思ってたら」
女「流石に箒は持って来れなかったんだよね……」
男「こんな所で着替えなくてもいいじゃないか」
女「今のうちにしか着替えられないからね」
男「どういうこと?」
49: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 17:59:15 ID:c9ImGJ5RyM
女「ほら、男も早く着替えて着替えて」
男「何も持ってきてないよ」
女「え」
男「仮装なんてするつもりないし……」
女「困る! それは困る!」
男「なんでさ。別にいいじゃないか」
50: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 18:00:01 ID:c9ImGJ5RyM
女「でもご心配なく」
男「えっ」
女「そんなこともあろうかと、ちゃんと用意しておいたよ」
男「えええええ」
51: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 18:01:38 ID:c9ImGJ5RyM
女「もし仮装してなかったら大変だもん。はい、これ」
男「大変って……しかもこれ猫耳だし」
女「魔女の御供といったらやっぱり黒猫でしょ」
女「尻尾と首輪。鈴付きだよ」
男「うわぁ……」
女「そんな顔しないでよ。仮装は大事なんだから」
52: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 18:04:02 ID:c9ImGJ5RyM
男「別に普通の格好でもハロウィンは楽しめるでしょ」
女「駄目」
男「え、どうして」
女「ハロウィンの仮装はやってくる化け物に扮して身を守るためのものなんだから」
男「は?」
53: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 18:08:23 ID:c9ImGJ5RyM
女「ほら、来たよ!」
ぷぁーん
男「な、なんでこんなに早く電車が……」
女「さぁ男! ハロウィンが始まるんだよ!」
54: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 18:30:43 ID:c9ImGJ5RyM
『△×―△×―お出口は左側です』
男「……乗るの?」
女「もちろん!」
男「こんなよく分からない電車になんて乗りたく……!」
おばけ「こんばんは、ようこそいらっしゃいました」
男「……」
55: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 18:32:15 ID:c9ImGJ5RyM
女「こんばんは、トリックオアトリート!」
おばけ「ははは、いきなりですか」
おばけ「その前に運賃はありますか? トリックオアトリート!」
女「もちろんっ。はい、ケーキ。ちゃんとハロウィン仕様だよ」
おばけ「ケーキ! 今年は豪華なのが来ましたね」
女「2人で買ったから、これ1つでもいいでしょう?」
おばけ「あぁ、そっちの黒猫の方ですね。いいですよ、さぁご乗車ください!」
56: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 18:33:34 ID:c9ImGJ5RyM
女「ほらほら男、そんなところに突っ立ってないでほら!」
男「な、なんという典型的なおばけ……」
女「男ー? どうしたの、ほら乗るよ」
男「ちょっと……何なんだよこれ!」
女「ずべこべ言わない。はい、乗った!」
男「うわっ」
57: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 18:34:12 ID:c9ImGJ5RyM
『ドア閉まります。閉まるドアにご注意ください』
ガタン……ゴトンガタンゴトン、ガタンゴトン……
58: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:02:58 ID:c9ImGJ5RyM
男「ね、ねぇ女。この電車どこに行くの?」
女「さぁ。この電車型が古いからまだ行き先案内のヤツがないんだよねぇ」
男「確かに……ずいぶんレトロな感じの電車だけど」
女「まぁいいよ。いつかはどこかに着くんだから!」
男「そんな……」
59: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:03:17 ID:c9ImGJ5RyM
女「ほら、昼間貰ったケーキ食べよう?」
男「これ、俺があげたやつじゃんか」
女「気にしなーい、気にしなーい」
男「あ、女の荷物駅に置きっぱなしじゃないか! どうするんだよ」
女「いいのいいの。あの駅で降りる人、私今まで2人しか見たことないもん」
男「まぁあそこ誰もいないけど……」
女「後でまた戻ってくるんだから大丈夫―」
男「うーん……」
60: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:04:06 ID:c9ImGJ5RyM
男「ところでさ」
女「何?」
男「なんで運賃がケーキなのさ」
女「別にケーキじゃなくてもいいんだけどねぇ」
女「車掌おばけはお菓子を貰いにも、人を驚かせにもいけないから」
女「脅かされるよりは、ケーキあげた方が良かったでしょ?」
男「……まぁね」
61: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:05:33 ID:c9ImGJ5RyM
女「あ、そろそろ着くみたいだよ」
男「どこに向かってるのさ」
『次は、おばけ谷―、おばけ谷―。お出口は、左側でございます』
女「おばけ谷だってさ!」
男「どこだよそれ!」
女「おばけ谷はおばけ市南部の町で、昔おばけヶ原の戦いの戦場となった歴史のある……」
男「もういい、もういい! これ以上俺の頭の中をごちゃごちゃにしないで!」
女「……楽しいのに」
男「わけがわかんないよ、もう……」
女「さー降りるよ! 戦利品をがっぽり手に入れるんだから!」
62: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:05:58 ID:c9ImGJ5RyM
『いってらっしゃいませー』
63: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:06:41 ID:c9ImGJ5RyM
女「はい、これ男の分のカゴね」
男「……これもわざわざ買ってきたの?」
女「当たり前でしょ」
男「なんでそんなに全力なのさ」
女「だってタダでお菓子が食べられるんだよ? 気合入って当然でしょ!」
男「お菓子代より、その衣装とかカゴ代の方が高くついてるんじゃないかな」
64: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:06:56 ID:c9ImGJ5RyM
女「……」
男「……もしかして、気付いてなかったの?」
女「……け、計算済みだし」
男「嘘付け」
女「なぜばれたし」
65: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:07:15 ID:c9ImGJ5RyM
男「おばけ谷っていっても、誰もいないね」
女「ゴーストタウンだからね」
男「うまいこと言ったつもりか」
女「いえす」
66: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:07:57 ID:c9ImGJ5RyM
男「……なんか霧がかってるし、どうなってるのこれ」
女「そろそろだよー。ほらあった」
男「電灯だね。これがどうかしたの?」
女「手頃な石を探して」
男「……?」
女「打つべしっ、打つべしっ!」
カンカンカンカンカンカンカンカンッ!
男「ちょっと何してるの! 公共物にむやみやたら傷を付けたら……」
67: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:08:20 ID:c9ImGJ5RyM
『やぁやぁ、今年も来たんだねお嬢さん』
『おや、そっちの人ははじめてみるなぁ』
『多目にお菓子を用意しておいてよかったねぇ』
68: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:08:41 ID:c9ImGJ5RyM
男「おおお女! この人たち一体……」
女「こんばんは! トリックオアトリート!」
男「女っ、いきなり何言ってんのさ!」
『おやおや、そっちの子は随分控え目だね』
『……いたずらしちゃうぞぉ?』
69: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:09:14 ID:c9ImGJ5RyM
男「ううう、うわぁああ」
女「あはははははっ、がんばれー男!」
『はっはっは! 冗談だよ』
『なんだかもう十分いたずらした気分だよ』
女「私の事忘れてない? いたずらしちゃうよぉ?」
『あぁ、ごめんごめん。忘れていないよ』
『はい、お菓子』
『今年は君達が一番乗りだよ』
女「わーい! ぐるぐる飴だ!」
70: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:09:58 ID:c9ImGJ5RyM
『君はこれが好きだからねぇ』
『はい、黒猫の坊やもどうぞ』
男「あ、ありがとうございま……ひゃっこい!」
『そりゃあ僕ら死んでるからね』
男「あの、それってつまり幽霊……」
女「ここはおばけ谷なんだから、あたり前でしょ?」
男「だって! だって幽霊って! 幽霊だって!」
71: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:10:47 ID:c9ImGJ5RyM
『君ねぇ。魔女の友達のくせに幽霊をそんなに怖がらなくてもいいじゃないか』
『なんだか失礼な子だねぇ』
『君だって面と向かって、猫だ! 猫だ! って騒がれたらイヤだろう?』
『……連れて行ってしまおうか』
72: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:11:38 ID:c9ImGJ5RyM
女「……ごめんなさい。この子、昔幽霊のいたずらでヒドイ目にあって」
『ヒドイ目だって?』
女「本人の前じゃ言えないけど、あれから立ち直るのに一年以上……」
女「すっかり幽霊がトラウマになってしまって」
『そうだったのか……』
『全く、酷い奴がいたもんだ』
『そうとは知らずすまなかったね』
男「いえ、その……」
73: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:12:06 ID:c9ImGJ5RyM
『ほら、お菓子だよ。いっぱい持っておいき』
男「あ、ありがとうございます」
『あぁ、そしたらあまり長居しないほうがいいね』
『そうそう。まだ早いから大丈夫だけど、そのうちいたずら好きな奴がいっぱいやってくるだろうから』
女「そうだなぁ……うん、そうする。いこっ、男」
男「えっ、もういいの?」
74: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:13:06 ID:c9ImGJ5RyM
女「あんまり怖がられても困るしねー」
女「それじゃあ!」
『さようなら』
『気を付けてねー』
『よいハロウィンを!』
女「ありがとね! また来年くるからー!」
75: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:13:44 ID:c9ImGJ5RyM
男「聞いてないぞ。あんなのがいるなんて!」
女「車掌おばけは平気だったじゃん」
男「それは……こう典型的というか、可愛げがあったからというか」
女「まぁ、あの人は可愛いよねぇ。丸いし」
76: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 19:14:31 ID:c9ImGJ5RyM
男「ねぇ、まだかかるの? もう帰ろうよ……」
女「ダーメッ。まだぜんぜん収穫ないじゃないか!」
女「ハロウィンはこれからが本番さね男!」
男「……もう、なんなんだよ」
女「ほら、急ぐ急ぐ! 完全貸し切りとはいえ、あんまり待たせちゃ悪いしね!」
男「はぁ……帰りたい」
77: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:00:31 ID:c9ImGJ5RyM
女「ほら、駅が見えた!」
男「車掌さん手振ってるし」
女「待ってる間退屈だからねぇ」
女「退屈は人を殺しかねないから」
女「まぁ、あの人もう死んでるけど」
男「……やっぱりアレも死んでるんだ」
78: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:02:20 ID:c9ImGJ5RyM
おばけ「おかえりなさいませ」
女「ただいまー」
おばけ「次の行き先は例年通りランダムでよろしいですか?」
女「そうだなー。男ーどっか行きたい所ある?」
男「出来ることなら今すぐ帰りたいよ」
79: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:03:14 ID:c9ImGJ5RyM
女「会いたい妖怪とかいないの? 最近じゃ国際化の影響で日本の妖怪もハロウィンで大騒ぎしてるから!」
男「……多文化に寛容過ぎるよ日本の妖怪」
女「八百万の国ですから」
男「そういうものでいいの……?」
女「いいの、いいの」
80: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:04:15 ID:c9ImGJ5RyM
女「……あれ、なんか聞こえない?」
男「え?」
おばけ「これは……バイクのエンジン音ですね」
パラリラパラリラ―
男(え、これまだ現役なの?)
おばけ「まずいですね。早く出発しましょう」
女「男っ早く乗って!」
男「え、今度は何っ?」
81: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:05:12 ID:c9ImGJ5RyM
『おらおらー!』
『菓子よこしやがれ!』
82: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:05:38 ID:c9ImGJ5RyM
男「何あの人達!」
女「車掌さん! 早く!」
おばけ「……つり革や、御手近の手すりにしっかりお掴まりください!」
83: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:09:25 ID:c9ImGJ5RyM
パラリラパラリラー
『まてゴラァ!』
『あり菓子全部おいてきなぁ!』
『ひゃっほおおおおおおい!』
おばけ「貴様らのポンコツバイクがこの電車に勝てると思ってんのかああああっ!」
84: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:10:53 ID:c9ImGJ5RyM
男「あーびっくりした。寿命が縮んだかと思った」
女「このぐらいでそんなになるんじゃ、今年は大人しめの所巡りにしておこっか」
『お客様にご連絡いたします。当車両は、無事おばけ谷ヤンキーズを引き離しました』
女「さっすがー! ヒュー!」
男「なんだったんだ……さっきの暴走族みたいなの」
女「おばけ谷のやんちゃな人達」
85: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:11:22 ID:c9ImGJ5RyM
女「お菓子といたずらを要求してくるから、みんな迷惑してるんだよねぇ」
男「お菓子といたずらって……あぁ両方か」
女「結構いるんだよねぇ、ああいう人たち」
女「略奪兵とか、盗賊とか」
男「コスプレの領域じゃないか」
女「ううん。本物」
男「え」
86: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:12:30 ID:c9ImGJ5RyM
女「さぁ、次の到着まで戦利品を味わおうではないか男よ!」
男「いっぱい貰っちゃったね」
女「ちょっとうそついちゃったけど、まぁ男はなんか怪談苦手っぽいし」
女「あながち全部嘘って訳でもないよね!」
男「女だって着信ナシで一カ月寝れなくなったくせに」
87: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:15:01 ID:c9ImGJ5RyM
女「何故それを……まさか男、エスパー?」
男「友に聞いたよ。修学旅行の夜の話とか」
女「ぐわぁっ……友ちゃんの裏切り者―っ!」
男「ほら、飴でも食べて落ち着きなよ」
女「うむ……」
88: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:15:29 ID:c9ImGJ5RyM
女「飴ちゃんうまうま」
男「ねぇ、女」
女「何? ぐるぐるキャンディー様ならあげないよ?」
男「貰ってるからいいよ……」
男「色々あってなんか慣れちゃってるけどさ」
女「うん」
男「なにコレ。どうなってるの」
89: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:16:35 ID:c9ImGJ5RyM
女「あぁ、そういえば聞かれてなかったね」
女「男ならもっと食いついてくるかと思ってたのに」
男「ありえないでしょ、こんなの」
女「でも起こってるじゃん?」
男「……夢?」
女「さぁ。ほっぺつねる?」
男「お願い」
女「おりゃ」
90: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:17:39 ID:c9ImGJ5RyM
男「いたたたたたたたたっ!」
女「でもさ、夢でもたまに痛い時ってあるよねー」
男「……もうわけわかんない」
女「いーんじゃない? 夢でも現実でも楽しければ」
男「もうどうにでもなれ!」
91: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:18:25 ID:c9ImGJ5RyM
女「どうでもよくなったついでに、本日の説明を致します」
男「お願いします」
女「電車に乗っていろんな人からお菓子を貰いに行きます。以上!」
男「アバウト過ぎるよ!」
92: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:19:17 ID:c9ImGJ5RyM
女「だって特別言うことないんだもーん」
男「いや、あるでしょ。運転手が半透明な時点でなんかあるでしょ」
おばけ「お呼びでしょうか?」
男「うわっ! 壁から急に出て来ないでください!」
おばけ「これは、失礼いたしました」
93: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:19:55 ID:c9ImGJ5RyM
女「運転はいいの?」
おばけ「現在オート運転となっております」
女「レトロなわりにシステムは最先端だね」
男「だね……」
おばけ「レトロイメージで統一する方針となっております」
男「それは言っちゃ駄目でしょう……」
94: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:20:48 ID:c9ImGJ5RyM
女「そういえば。今年は運転手も車掌さんも一緒なんだね」
おばけ「本日はハロウィン特別運行をしておりますので」
おばけ「オート付き車両の担当は一人となっております」
男「この電車、そんなに走ってるの?」
おばけ「えぇ、全世界で運行中です」
95: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:21:11 ID:c9ImGJ5RyM
おばけ「私の事は添乗員だとでも思ってください」
女「じゃあ添乗員のテンちゃんで」
男「ちょっと女……それは流石に失礼じゃ」
おばけ「……いいですねぇテンちゃん」
テン「では今後はお気軽にテンちゃんとお呼びください」
男「いいのかよ」
96: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:22:12 ID:c9ImGJ5RyM
女「テンちゃんも食べる?」
テン「あ、ではお茶を用意しましょう」
男「なんで電車にそんな用意が……」
テン「待っている間大変暇ですので」
女「タクシーとかにも付けたいよね。修学旅行とかの」
テン「少々お待ちください」
女「テンちゃん張り切ってるねー」
97: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:23:01 ID:c9ImGJ5RyM
男「……でさ、何なのこの電車」
女「だーかーらー、ハロウィン特急だって」
男「その時点でわけわからないじゃん」
女「グローバル化のおかげでハロウィンも世界規模になったでしょ?」
男「まぁ、日本には来たね」
女「で、誰にでも本格的なハロウィンを楽しんでもらおうと出来たのが、このハロウィン特別特急ってわけ」
98: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:24:15 ID:c9ImGJ5RyM
女「おばけ同士の交流にもなってるとか、観光的な効果もあるとかないとか」
男「あーもう全然わかんないっ」
女「わからなくても、電車は止まらないのだよ」
女「まぁ、素敵なマンデーナイトを楽しめばいいのさー」
99: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:25:08 ID:c9ImGJ5RyM
テン「お茶が入りましたー」
女「ありがとー!」
テン「今夜は特別にいい茶葉をだしちゃいましたよ」
男「テンちゃんだいぶくだけちゃってるね」
女「仲良きことは良いことかな」
100: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 20:54:25 ID:c9ImGJ5RyM
男「次はどこに行くんですか?」
女「おや、男もついに乗り気になったか」
男「さっきみたいに何も知らないよりはまし」
テン「えーとですね、次は特別参加のキョンシーイベント会場ですね」
男「もろ中国じゃん」
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