ハロウィンSSです。
本日中の完結を目指しますが、間に合わなかったらご愛敬……。
150: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 22:56:32 ID:c9ImGJ5RyM
狼男「ほら、こいつだ」
わんこ「わん」「わん」「わん」
男「……!」
女「もふもふ!」
狼男「あんまり手荒なことはしないでやってくれよ」
女「くぁわいい……!」
わんこ「わん」「わんっ」「ぐるるるる」
151: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 22:57:00 ID:c9ImGJ5RyM
男「あの」
狼男「なんだ?」
男「なんで、頭が3つあるんですか」
狼男「さぁ……拾った時からだからなぁ」
152: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 22:57:29 ID:c9ImGJ5RyM
女「可愛い顔が3つも! 天国! あー首回りの毛がもふもふ!」
わんこ「きゅーん」「わんわん」「わんっ」
狼男「お、随分懐いたな」
女「いい子たちですねぇ……はぁん」
男「この場合、複数形なのか単数形なのか……」
狼男「細かいことは気にすんなよ」
女「名前はあるんですか?」
狼男「あぁ。左の頭から、ケル、ベロ、スーだ」
男「投げやりですね」
狼男「……ネーミングセンスはない方なんだ」
153: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 22:58:01 ID:c9ImGJ5RyM
女「狼男だと、犬の言葉が分かったりするんですか?」
狼男「なんとなくだなぁ……狼になってもそんな感じだし」
女「犬好きにはたまらないなぁそれ……」
狼男「おい、なんで涎がたれるんだ」
女「すいません、もふもふパラダイスについて考えたらつい……」
狼男「そ、そうか……」
154: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 22:58:38 ID:c9ImGJ5RyM
女「……今日が満月だったらあなたも狼になりますか?」
狼男「そりゃあ狼男だからな」
女「しゃ、写真とかありませんっ?」
狼男「狼の手でセルフタイマー設定出来ると思うか?」
男「無理があると思います」
狼男「だろ?」
女「チクショーッ!」
ケル・ベロ・スー『……ばうっ?』
155: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 22:59:08 ID:c9ImGJ5RyM
男「ほらほら、ケル・ベロ・ス―が怖がってるよ」
女「あ、ごめん犬太朗、犬二郎、犬三朗」
狼男「人の犬に勝手な名前を付けないでくれ……」
ケル・ベロ・ス―「わんっ」「あうっ」「ばうばう」
狼男「お前らも気に入るなよ……」
ケル・ベロ・ス―「あうん」「きゅうん」「がう」
女「あっーもふもふに埋もれて……うらやましいっ!」
男「……はぁ」
156: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 22:59:33 ID:c9ImGJ5RyM
狼男「引きとめておいてなんだが、お前ら時間大丈夫なのか?」
女「もふもふ……」
男「あ、そろそろ戻った方がいいのかな」
女「……テンちゃあああああん! まだ時間大丈夫うううっ?」
狼男「うわっ!」
157: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 22:59:55 ID:c9ImGJ5RyM
テン「……そろそろお戻りくださあああああいっ!」
女「そろそろ戻れって」
男「……なにも叫び声で会話しなくても」
女「ものぐさをなめるでない!」
狼男「そうだ、ちょっと待ってろよ」
男「はい?」
158: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:00:18 ID:c9ImGJ5RyM
狼男「ほら、良かったらこれ持ってけよ、」
女「こ、これは……!」
狼男「暇な時に作ったケル・ベロ・ス―のぬいぐるみだ」
男「見かけによらず可愛らしいもの作りますね」
女「かかかか可愛いじゃないですかあああ!」
女「しかも、この首回りのもふもふ再現率っ!」
女「ありがとう! ありがとう! ありがとう!」
159: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:00:44 ID:c9ImGJ5RyM
狼男「そっちの猫にはほら、魚型クッキーやるよ」
男「ありがとうございます……可愛いですね」
狼男「普段、割と暇なんだよ」
160: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:01:15 ID:c9ImGJ5RyM
男「なんか、色々とありがとうございました」
女「バイバイ、太郎二郎三郎!」
狼男「……」
ケル・ベロ・ス―「わんっ!」「わんわんっ!」「ばうばう!」
男「あの……それじゃあ」
狼男「あぁ、じゃあな。もしよかったら来年も来いよ」
161: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:01:32 ID:c9ImGJ5RyM
女「はい! もふもふさせてもらいに来ます!」
男「……」
狼男「はははっ」
女「さようならっ!」
男「さよなら!」
狼男「おう!」
ケル・ベロ・ス―『あおーんっ!』
162: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:01:58 ID:c9ImGJ5RyM
女「あーもふもふぅ……」
男「もふもふを堪能してたね」
女「まぁね」
男「さ、早く電車に戻ろうか」
163: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:36:46 ID:c9ImGJ5RyM
テン「おかえりなさいませっ、ご主人様!」
男「えー」
女「うわっ、何、どうしたの?」
テン「最近のはやりに乗ってみました」
女「ポーズまで決めちゃって……お辞儀じゃないけど」
テン「私が考えたかっこいいポーズです」
164: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:37:24 ID:c9ImGJ5RyM
男「でも……全体的に丸いから」
女「どうにも可愛くなっちゃうねぇ」
テン「……」
テン「……いつか八等身になってみせます」
男「それはそれでどうかと……」
165: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:37:38 ID:c9ImGJ5RyM
女「次は吸血鬼だったっけ?」
男「……なんか危なくない?」
テン「大丈夫ですよ。映画のように狂暴な方はそうそういませんから」
男「はぁ……」
166: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:37:58 ID:c9ImGJ5RyM
女「吸血鬼というと……やっぱりお菓子も赤いのかなぁ」
テン「血入りですか」
男「ちょ、ちょっとやめてよ」
女「大丈夫、血液は空気中で茶色くなるから」
男「それはそれでイヤだ!」
テン「はいはい、それでは行きますよー」
女「ごー!」
167: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:38:47 ID:c9ImGJ5RyM
男「……今何時なのかなぁ」
女「そうだなぁ……テンちゃーん、今何時―?」
テン「えーと……11時半過ぎでしょうか」
男「そういえば時差とかないの?」
テン「空間にズレが生じておりますから、その辺は問題ありません」
女「新たな不思議が生まれたね」
男「不思議過ぎるよ……」
テン「狼男から吸血鬼まではそんなに遠くありませんから、もうすぐ着きますよ」
168: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:39:14 ID:c9ImGJ5RyM
女「……ねぇ、男」
男「なに?」
女「そのお魚クッキー、一口頂戴?」
男「これ? 別にいいよ。ほら」
女「い、一枚くれるなんて……!」
男「えー」
169: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:39:29 ID:c9ImGJ5RyM
女「……」さくさくさくさくさくさく
男「相変わらず小動物みたいな食べ方だなぁ」
テン「小動物というか、齧歯目ですね」
女「失礼な……」さくさく
170: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:39:54 ID:c9ImGJ5RyM
『吸血鬼様宅―、吸血鬼様宅―。お出口は、左側です』
女「おお、早い早い」
男「あっという間だったね」
テン「それでは、いってらっしゃいませー」
女「いってきまーす!」
男「いってきます」
171: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:40:20 ID:c9ImGJ5RyM
男「吸血鬼というだけあって、家というよりお屋敷っぽいね」
女「掃除めんどくさそうだよねぇ」
男「こういう大きなお屋敷には、ちゃんと清掃の人とかいるんじゃないかな?」
女「それでも大変じゃん」
男「まぁ……そうだろうけど」
女「あ、だからホラー映画とかの吸血鬼屋敷ってあんな埃だらけのクモの巣だらけなのかなぁ」
男「なんか違うと思うけど」
172: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:40:46 ID:c9ImGJ5RyM
男「うん、ノックのやつもライオン頭だよ」
女「流石吸血鬼、ゴージャス」
こん、こん、こん
吸血鬼「おや、こんばんは」
女「か、かっこいい……!」
男「トリックオアトリート」
吸血鬼「あぁ、今年も来ましたか」
173: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:41:33 ID:c9ImGJ5RyM
吸血鬼「中にありますからどうぞ、お入りください」
女「おおおお邪魔しますっ!」
男「女、緊張しすぎ」
女「だだだだって、あんなかっこいいんだぜ? だぜ?」
男「はぁ……」
吸血鬼「ハハ……面白い人ですね」
女「面白いだなんて……そんな」
男「……」
174: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:42:04 ID:c9ImGJ5RyM
吸血鬼「さ、どうぞ」
女「うわぁ……広い部屋ですね」
男「綺麗なシャンデリアだなぁ」
吸血鬼「どうせ今夜はお菓子しか食べていないのでしょう?」
吸血鬼「軽食を用意しておきましたから、よかったらどうぞ」
女「ありがとうございますっ」
男「サンドウィッチまで完璧な形……!」
吸血鬼「少し待っていてください。今お菓子をとってきますから」
175: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:42:42 ID:c9ImGJ5RyM
男「なんか、すごく良い人というか、良い吸血鬼さんだね」
女「……いや、まだわからないよ」
男「え?」
女「実はこの食事には薬が入っていて、私たちの血をあとでじっくり……」
男「ちょ……」
176: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:43:47 ID:c9ImGJ5RyM
女「あの棚には血液のパックが保管され、ほら、あの物陰には血を吸われ尽くされた哀れな人が……」
吸血鬼「棚に入っているのはただのワインで、物陰にあるのはただの置物ですよ」
女「うひゃあああああああっ!」
男「あ、あのすすすすいませんっ」
吸血鬼「いえ、吸血鬼のイメージなんてそんなもんですよ」
177: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:44:55 ID:c9ImGJ5RyM
吸血鬼「外にでたら、そういうキャラを通して遊べるんでなかなかおもしろいですよ?」
男「へ、へぇ……」
女「血、吸ったりしないんですか?」
吸血鬼「そりゃまぁ、二、三日に一回は飲んでますけど……」
吸血鬼「そんな干からびるまで飲むようなことはしませんよ?」
女「あはっ、あはは、そうですよねー」
178: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:45:31 ID:c9ImGJ5RyM
吸血鬼「あぁ、これ。お菓子です」
吸血鬼「これで、悪戯されなくて済みますよね?」
女「うおおおお! なんかすんごく豪華なつつみなんですけど!」
男「これ、本当に貰っちゃっていいんですか?」
吸血鬼「勿論です。それとも、悪戯したいんですか?」
女「個人的にはいたずらを……」
男「女、黙って」
女「……」
179: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:46:12 ID:c9ImGJ5RyM
吸血鬼「さぁ、そろそろ時間ですよ」
女「あらら」
男「ありがとうございました」
吸血鬼「外まで送りましょう」
女「そんなわざわざっ……ありがとうございます!」
男「女の態度が心なしかおかしいようだ」
180: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:46:32 ID:c9ImGJ5RyM
吸血鬼「それでは、お気をつけて」
女「ありがとうございました!」
男「さようなら」
吸血鬼「はい、さようなら」
181: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:54:11 ID:c9ImGJ5RyM
テン「なにやら女様の様子がおかしいようですね」
男「吸血鬼がものすごくイケメンだったんですよ」
女「……」
テン「あぁ、あの人はなかなかの美形ですからねぇ」
テン「まぁ私には及びませんが」
女「え」
男「えっ?」
182: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:54:52 ID:c9ImGJ5RyM
テン「……なんですか、その目は」
女「いやーうん。自信があるのはいいんじゃないかな、うん」
男「テンちゃんて案外ナルシストだったりする?」
テン「……」
183: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:56:12 ID:c9ImGJ5RyM
女「さ、次で最後だねぇ」
男「最後は、確か魔女だっけ?」
テン「えぇ」
女「良い人かなぁ?」
男「ハロウィンに参加してるんだから、良い人なんだとは思うけど」
女「楽しみだなぁ……」
184: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:56:47 ID:c9ImGJ5RyM
男「そういえば女は魔女っ子だったね」
テン「だいぶ妄想のつまった格好ですが」
女「悪かったわね」
テン「いえいえ、よくお似合いですよ」
男「テンちゃん冷や汗、冷や汗」
185: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:57:09 ID:c9ImGJ5RyM
女「ふーんだ、ふーんだっ」
女「いーもんいもーん。私にはわんことお菓子があるしー」
男「なんか、ヤケ起こしちゃったね」
テン「そのようですね」
186: 南瓜おばけ:2011/10/31(月) 23:57:30 ID:c9ImGJ5RyM
男「魔女の所は遠いの?」
テン「まぁ少し時間がかかりそうですね。日付は越えてしまいそうです……」
女「今年はちょっと遠出したからね」
女「これ、延滞料金とかかからないよね?」
テン「ご心配なく」
男「ふぅ、よかった」
187: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 00:25:57 ID:/DFOW59Kv.
女「かぼちゃロードのビスケット月は食べられないのかなぁ」
男「あれ、本物?」
女「さぁ……」
男「ホント、不思議なところだなぁ」
女「なんだかんだで男、今めちゃくちゃ楽しんでるでしょ」
男「実をいうとそう」
188: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 00:26:18 ID:/DFOW59Kv.
女「ふっふっふっー」
女「楽しいことはいいことさぁ」
男「女はいつでも楽しそうだよね」
女「……そう、見える?」
男「うん」
女「そうかぁー、そう見えるのかぁ」
男「……女?」
189: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 00:26:44 ID:/DFOW59Kv.
女「まぁ、実際そうなんだけどね!」
男「なんだか心配して損した気分!」
テン「盛り上がっているようですね。いいですねぇ、若いというものは」
女「テンちゃんっていくつなの?」
テン「私ですか? 私は今年で死後232年です」
男「うわぉ」
女「なかなかのミドルだね」
190: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 00:27:09 ID:/DFOW59Kv.
テン「いえいえ、私はまだまだですよ」
テン「まずは300を越えなきゃです!」
男「おばけってよくわかんないなぁ……」
女「二十歳と三十路みたいなもんじゃないかぁ?」
テン「ふふふふふ」
191: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:05:48 ID:/DFOW59Kv.
『魔女様宅―、魔女様宅―。お出口は左側です』
テン「さぁ、行ってらっしゃいませ! これが最後でございます!」
女「よーし! ラストパーティーだ男!」
男「そのテンションはよくわからないけど、とりあえず行こうか!」
女「せーのっ」
女「待ってて! 私のお菓子様っ!」
男「正直、今魔女のこと考えていないでしょ」
女「うんっ!」
192: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:06:11 ID:/DFOW59Kv.
女「小ぢんまりとしたいいお宅ですね」
男「良い魔女の家って感じがするね」
女「さ、行くぞ……」
男「……ゴクリ」
魔女「あら、どちら様ですか?」
女「ぴゃあああっ!」
男「うわっ!」
193: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:06:40 ID:/DFOW59Kv.
魔女「あらら、驚かせちゃってごめんなさいっ」
魔女「ハロウィンの人ですよね? あっちに電車が停まってましたから」
女「えぇ、そうですよ!」
魔女「えーと、それじゃあ」
魔女「トリックオアトリート! ですよね?」
男「え、え、えとその?」
魔女「ふふふ……冗談ですよ。それはあなた達が言うべき言葉です」
194: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:06:55 ID:/DFOW59Kv.
女「それでは仕切り直しまして……」
女「トリックオアトリート!」
魔女「はいっ、ちゃんと用意してありますよ」
195: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:07:46 ID:/DFOW59Kv.
男「どうしてこんな時間に外へ?」
魔女「それはねぇ、こんな綺麗な夜に空を飛んだら気持ちよさそうだなぁって」
魔女「そしたら電車がくるのが見えたから、慌てて降りてきたってわけ!」
女「おー、それが魔女の箒ですね!」
男「女の竹箒とは大違い」
魔女「あなたは、見たところ魔女見習いみたいだけど……まだ箒には乗れないの?」
女「駆け出しなので、まだ魔力もへったくれもありません!」
男「女、それ自慢にならないよ」
魔女「あははっ、面白い子!」
196: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:08:07 ID:/DFOW59Kv.
魔女「そうだ、一回乗ってみる?」
女「本当っ?」
魔女「いいよー。はい、どうぞ」
男「……女、飛べるの?」
女「わかんないよ、案外イケるかもしれないじゃないか!」
女「さぁ、行くよホーキさん!」
女「……とりゃっ!」
197: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:08:33 ID:/DFOW59Kv.
男「え、えええ、えええええええっ?」
女「男! 私魔女の才能あるみたいだよ! ほらほら!」
魔女「ふふふっ」
男「……あれ?」
女「それーっいけーっ!」
198: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:08:57 ID:/DFOW59Kv.
魔女「そろそろお菓子にしませんかぁ?」
男「女―降りてきなよ!」
女「はーいっ」
女「さ、降りようかホーキ!」
魔女「おかえりなさいっ」
199: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:09:25 ID:/DFOW59Kv.
女「ありがとうございました」
魔女「いえいえ、あなたはきっと良い魔女になれるよ」
女「えへへ……聞いた、男?」
男「よかったね」
男「……ねぇ、魔女さん?」
魔女「気付いても、時にはしらんぷりした方がいいこともあるよ?」
男「そうですね」
魔女「さ、早くお菓子を渡さないといたずらされちゃうね」
女「やったー!」
200: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:09:45 ID:/DFOW59Kv.
魔女「はい。どうぞ」
女「ありがとうっ」
男「ありがとうございます……これ、もしかして全部手作りですか?」
魔女「えぇ」
女「いいなぁー。魔法でちゃちゃっと作れたら楽しいだろうなぁ」
201: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:10:09 ID:/DFOW59Kv.
魔女「あら? そんなことないですよ」
男「そうなんですか?」
魔女「なんでも魔法で簡単に済ませてしまったら、それはそれで味気ないから」
男「なるほど……」
202: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:10:26 ID:/DFOW59Kv.
魔女「さ、車掌おばけさんが待ちくたびれちゃいますから」
女「そうですね、ありがとう!」
男「ありがとうございましたっ」
魔女「こちらこそ、楽しかった!」
女「さようならっ」
203: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:11:12 ID:/DFOW59Kv.
女「今日一番良い人だったかもね」
男「そうだね」
女「……これで、今年のハロウィンも終わりかぁ」
男「まだまだ、百鬼夜行が見れるかもなんでしょ?」
女「そうだねぇ……うん。まだまだ!」
女「ほら! 早く電車に戻ろう!」
男「あぁ!」
204: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:19:59 ID:/DFOW59Kv.
テン「おかえりなさいませ」
女「ただーいま」
男「ただいま、テンちゃん」
テン「どうでしたか、楽しめました?」
女「うんっ」
男「良い人だったよ」
205: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:20:17 ID:/DFOW59Kv.
テン「それでは、ハロウィン特別特急はこれより帰路へと参ります」
テン「それでは、出発進行!」
206: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:20:36 ID:/DFOW59Kv.
女「……」
男「……」
女「……男を誘ってよかったな」
男「なんで?」
男「……まさかおどかしがいがあるから?」
女「えへへっ……それもあるね」
207: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:21:09 ID:/DFOW59Kv.
女「でもね、楽しんでくれたみたいでよかったよ、ホント」
男「女……」
女「お菓子もいっぱい貰えたし、有名所ってあんまり行かないからさ。私もいつもより楽しかった」
男「女さ、本当は一人で来るのが淋しかったんじゃない?」
女「淋しいってことはないなぁ……待ってる間とかすごく退屈だけど」
男「……そう」
208: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:21:27 ID:/DFOW59Kv.
女「でも、今年は男がいたしテンちゃんもいたから退屈なんてちっともしなかったよ」
男「……もしよかったら、来年も付き合おうか?」
女「そうだなぁ……まぁ気が向いたら誘ってあげる」
男「女の気が向いたらはあてにならないからなぁ……」
女「ふっふっふっー!」
209: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:22:06 ID:/DFOW59Kv.
テン「お二人とも! 窓の外をご覧ください!」
女「え、何、何?」
男「うわぁ……!」
テン「当列車はただいま百鬼夜行と並走いたしております」
女「すっげー! これが百鬼夜行なんだよ男!」
男「なんか、すごい迫力だね」
テン「この先コースを大きく外れていくようですから、あと少しの間しか並走できませんよ」
210: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:22:34 ID:/DFOW59Kv.
女「あ、すごいすごい! わんこがいるよわんこ!」
男「え、あれ犬なの? えっ?」
テン「いえいえ、あれは猫でしょう」
女「いーやっ! あれは絶対犬だった!」
テン「猫です!」
211: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:22:55 ID:/DFOW59Kv.
男「イタチに見えたけど……」
女「それは絶対ない」
テン「それは絶対ありえません」
男「……」
212: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:23:13 ID:/DFOW59Kv.
『まもなく、終点。△×―、△×―。お出口は、右側です』
213: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:23:33 ID:/DFOW59Kv.
女「お菓子の忘れものない、男?」
男「うん。大丈夫。女は?」
女「私も大丈夫」
テン「では、これでお別れですね」
214: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:23:59 ID:/DFOW59Kv.
女「ありがとう、テンちゃんがいて楽しかったよ!」
男「色々あったけど、ありがとう。紅茶、美味しかった」
テン「いえいえ、お客様に楽しんでいただけたようで、車掌おばけ冥利につきますよ」
女「……それじゃあ」
男「うん」
215: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:24:32 ID:/DFOW59Kv.
テン「本日は、ハロウィン特別特急にご乗車いただきまして、真にありがとうございます」
テン「当車両はまもなく、終点、△×駅に到着致します」
テン「皆さま、お忘れ物のございませんよう、お気を付けくださいませ」
テン「またのご乗車をお待ちしております!」
216: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:24:53 ID:/DFOW59Kv.
女「ばいばーいっ!」
男「またいつかーっ!」
ぷぁーん
217: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:25:10 ID:/DFOW59Kv.
男「いっちゃったね」
女「ね」
男「これでハロウィンはお終い」
女「……毎年だけどさ、終わっちゃったあとって寂しいよね」
男「……そうだね」
女「……」
218: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:25:28 ID:/DFOW59Kv.
男「……お菓子の山に、猫耳猫尻尾」
男「夢じゃないんだね、これ」
男「……夢でも楽しかったから別にいいや」
女「でしょでしょ?」
219: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:25:42 ID:/DFOW59Kv.
男「さ、帰ろう。女」
女「うん」
男「その前にちゃんと着替えるんだぞ!」
女「あいあいさーっ!」
220: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:27:13 ID:/DFOW59Kv.
ハロウィンをお楽しみいただけたました皆さま、本日はご乗車いただき、真にありがとうございました。
ただいまの時刻をもちまして、ハロウィン特別特急はすべて回送となります。
どこかへ迷い込まないよう、くれぐれもお気を付けくださいませ。
皆様のまたのご乗車を、おばけ一同、心よりお待ちしております。
221: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 01:34:37 ID:/DFOW59Kv.
若干突貫気味でしたが、なんとか終わらせることができました。
途中ミスがあったり、話の長さにムラがあったりと、申し訳ありません……。
一日で完結させるのは初めての試みだったのですが、お楽しみいただけたでしょうか。
拙い文章ではありますが、誰かに楽しんでいただければ幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
今更ながら、もう少しタイトルを捻りたかった!
222: 名無しさん@読者の声:2011/11/1(火) 02:00:34 ID:AZN8vEPq8w
楽しかったよー!!
223: 南瓜おばけ:2011/11/1(火) 02:09:11 ID:EuWByENO26
>>222
ありがとうございます!
そう言っていただけてなによりです。
224: 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
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【うpろだ】
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