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後輩「先輩、落とし物です」
[8] -25 -50 

1: 1 ◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:32:36 ID:gdR95DCXGs

本格的に寒くなってきましたが、こりずにオカルト系SSを

また支援していただけたら嬉しいです


2: 名無しさん@読者の声:2011/11/14(月) 18:33:29 ID:qSwxP77vlw
続編コター!!!
3:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:35:37 ID:BhHGk/K4Z6
このSSはhttp://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch3/1318741216/l10の続編にあたります。

しかーし、読んでなくても大丈夫です。

また、実際の都市伝説などとは一部変わる場合がありますが、どうぞよろしくお願いします。

さあ本編はじまりです。
4:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:35:46 ID:BhHGk/K4Z6

「おはようございます。今日も肩になんか憑いてますね」

寒い朝に通学路で、後輩が嫌な事を言う。…この私の後輩は、少しだけ変わっている。

「塩でいいかな」
「いいと思います」

常備するようになった塩を取り出し、肩の辺りにかける。うん、こうしてると私も十分変な人間に見えるかもしれない。

「大丈夫です、見えなくなりました」
「そりゃあ良かった」


後輩は言わば、霊感少年である。


5:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:35:55 ID:BhHGk/K4Z6

「そういえば、村田先生が亡くなったらしいですね。先輩にも、学校から連絡来ましたか?」
「うん、来た。ちょっとびっくり。」
「ほんとですよ。聞けば、自殺らしいですし」
「へえ」

朝から残念なニュースだ。先生はなにを思い、そういう結果になってしまったんだろう。よく笑う先生だったのにな。


6:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:36:07 ID:BhHGk/K4Z6

暖房の効いたぬるい教室で、うとうとしながら授業を受ける。先生の声が子守歌のように聞こえてくる。頬杖をつき、もう寝てしまおうと黒板から床に視線を下げた。

目を閉じる。

クラスメートの話す声と先生の説明する声、それと空調の音に混じり、たっ、たっ、と机と机の間を歩く音が聞こえる。先生だろうか。

たっ、たっ、と後ろから歩いてくる音が近くなる。ああ、一応起きておこうかな。うっすらと目を開ける。瞬間、教室のざわめきがサアッと遠のいていった。ただひとつ、"足音"だけを除いて。


7:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:36:19 ID:BhHGk/K4Z6

たっ

たっ

ゆっくりとしたペースで、だけど確実に近くなるその音に、顔をあげてはいけない気がした。見ては、いけない。直感のようにそう感じる。しかし開いた目を閉じることはなぜか出来なかった。冷や汗が首筋を流れる。これはきっと先生なんかじゃ、ない。

一歩、

また一歩

床に落とした視界の端に、グレーのスーツと革靴が見えた。


8:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:36:26 ID:BhHGk/K4Z6

ガタンッと大きな音を立てて椅子から立ち上がる。極度に緊張した状態から解放され、乱れた息を整える。クラス中が私に注目してるのに気づいたのはその後だった。

「山岡、居眠りも寝ぼけるのもほどほどにしとけよ」
「すいません…」
「はい、座って座って。それじゃあ授業続けるからなー」

黒いスーツを着ている先生が言う。教室から笑いが起こった。ちくしょう顔から火が出そう。私はただ寝ぼけていただけだろうか。


9:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:36:34 ID:BhHGk/K4Z6

「先輩、今日授業中やらかしたそうですね」
「…情報早いね」

後輩がニヤニヤと笑いながら、放課後の教室までやってきた。委員会があるんで、と言っていた後輩を待っていたので、すでにクラスには人がいない。

「居眠りですか?」
「そんなところ。でも、一瞬おかしかったんだよ」
「おかしかった?」
「音が誰かの足音だけになって、それでグレーのスーツと革靴が…」
「ああ、それ。寝ぼけてませんよ」
「え」


10:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:36:48 ID:BhHGk/K4Z6

後輩がぴっと私の斜め後ろを差す。朝、塩をかけろと言われたところだ。

「消えてなかったみたいです。グレーのスーツで革靴を履いた男の人」

今更ながら、ずしりと肩が重くなった気がした。病は気から、と同じものだろうか。

「先輩、今日の朝踏切通って来ましたか?昨日そこで人身事故がありましたよね。」
「ああ、あったわね」
「それ、その人です。もっと言ってしまえば、村田先生、です。」

息を飲む。だから、私は足音を先生だと思ったのだろうか。そして先生は、昨日まで歩いていた教室を、授業を、もう昔のことのように懐かしんでいたのだろか。


11:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:36:57 ID:BhHGk/K4Z6


「どうしたら、いいかな」
「もう消えかかってるんで大丈夫です。多分、最後に教室くらい…と思ったんじゃないでしょうか」
「そっか。」
「それより早く帰りましょう。もっと寒くなりますよ」
「そうだね」

頭に浮かんだ昨日の先生の笑顔を思い出し、帰りには花でも、と思う。マフラーに顔を埋め、夕日の差し込む教室を出る。コンビニにでも寄って帰ろうか。


12:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:37:59 ID:JP3KYIqJtA
>>2
早いですwwまたよろしくお願いします(`・ω・´)
13: 名無しさん@読者の声:2011/11/14(月) 19:16:20 ID:uoyb.8XSIM
やったあああ楽しみにしてました!!
14:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 19:39:40 ID:N0nxWG/O6Y
>>13
いやっほおおおうありがとうございます!
15: 名無しさん@読者の声:2011/11/14(月) 21:05:45 ID:emIXT3i.Lo
お待ちしてました!!
では、さっそく…
先輩についちご牛乳
後輩につ豚角煮まん
1につCCCCC
16: 名無しさん@読者の声:2011/11/14(月) 21:12:10 ID:KhYF/s3dcs
支援!!
17:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 21:31:19 ID:emIXT3i.Lo
>>15
ただいまですー!支援ありがとうございます!
先輩「ありがとう」
後輩「………ありがとうございます」
先輩「そう落ち込むなよ」

>>16
支援ありがとうございます(・ω・*)
18: 名無しさん@読者の声:2011/11/15(火) 03:16:49 ID:N.fuDU/X6E
おかえり、1。待ってたぞ!
先輩も好きだが、俺は後輩が大好きだ!
とりあえず後輩へつ野菜スティック

19:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 15:38:05 ID:q5FQ2QIDbc
>>18
待ってくださりありがとうございます、ただいま!

後輩「野菜スティック…だと…?」
先輩「これは変化球だね」


20: 名無しさん@読者の声:2011/11/15(火) 16:07:20 ID:kuK8OV/lB6
SNPI
21: 名無しさん@読者の声:2011/11/15(火) 17:04:13 ID:lNbS31iwTM
カムバック……だと……!?

楽しみにしとります
22: 名無しさん@読者の声:2011/11/15(火) 19:40:12 ID:O2Dmey52w.
続編キターw
とりあえず
1に つC
先輩に つ塩
後輩に つ肉
23:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:13:53 ID:emIXT3i.Lo
>>20
せんぱい か しんぱい か…!

>>21
カムバックですリターンズです!よろしくお願いしますー!

>>22
支援ありがとうございます!
先輩「よし」
後輩「どうして僕に投げるんですか!」
先輩「いやあなんとなく」
後輩「それより僕の肉"まん"の部分は…」



楽しみにしてくれていた方が多くてすっっっごく嬉しいです!ただいまー!よければどなたか名鑑も…と言ってみる。よし、今日も投下してきますお!
24:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:14:02 ID:emIXT3i.Lo
クリスマスシーズンになるせいか、店内にはジングルベルが流れ続けている。ショーウィンドウに並べられたケーキはどれもおいしそう。カランとドアベルが鳴る。

「いらっしゃいませ」
「来ちゃいました、先輩」
「今すぐ引き返してほしい」

私は只今、バイト1週間目に突入中である。


25:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:14:10 ID:emIXT3i.Lo

「素敵な制服ですね、先輩」
「ふざけないで。ていうか男が一人でケーキ屋ってどうなの」
「割と大丈夫なんじゃないですか?」
「君の根性はたまに関心するよ」

ヒラヒラとした制服をあまり後輩に見せないように、レジからショーウィンドウの後ろに場所を移す。

叔父がやっているケーキ屋で「この時期人手が必要なんだよ!」と言われ働き始めて早一週間。お茶も出来るこの店は結構繁盛しているようだ。


26:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:14:19 ID:emIXT3i.Lo

「苺のタルトとミルクティーで」
「…食べてくんだ?」
「はい」

ずいぶん可愛らしい注文だな、とか思いながらレジを打つ。トレーにケーキとミルクティーを置き、後輩に渡す。

「あー、席空いて…ないか」
「大丈夫ですよ」

満席になっているテーブルを見て私が言えば、後輩はにやりと笑ってそう答えた。そのまま窓際にある女の人が一人で座っている席に後輩は進んでいった。…相席とはやるじゃないか。


27:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:16:12 ID:gdR95DCXGs

「先輩、ショートケーキひとつ」
「まだ食べるの?」
「いや、あの人に買ってきてって頼まれたんです」
「ふうん」

ショートケーキをトレーに出し、後輩へ。最近の若い男の人に草食系が多いとか後輩を見て、嘘だと私は確信しました。なに女の人と仲良く談笑してるんだか。まあいいや、あと1時間で閉店だし。


28:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:16:21 ID:gdR95DCXGs

「閉店ですので、そろそろご退席を」
「はい」
「あれ、女の人は?」
「帰りましたよ」

さらりと後輩が答える。帰ったのか。でも見送った覚えがないな。見落としたんだろうか。

「送りますよ、先輩」
「別に平気だけど」
「外で待ってますね」
「人の話を聞きなさい」

まあそう言わずに!と後輩が笑う。外は寒いぞ、君。


29:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:16:32 ID:gdR95DCXGs

制服から私服に着替え、事務所にいた叔父に声をかける。叔父はにこりと笑みを浮かべた。

「今日来てた子彼氏?」
「断じて違うから!」
「なんだー。男の子が"一人"で座って食べてたから、てっきりそうかと思ったのになあ」
「…一人?」
「そうだよ。勇気のある子だね!」
「いや、そうじゃなくて。席には女の人もいたじゃん。色の白い、長い茶髪のキレイな人が。」

叔父の顔が変わる。なにかに気づいたような、同時に誰かを懐かしむような。目は私をじっと見つめていた。

「おじさん…?」
「あーごめん、なんでもないよ。そっかぁ…いたかぁ…」

机に肘を付き、額のあたりで手を組む叔父の声は震えている気がした。


30:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:16:40 ID:gdR95DCXGs

「遅いんですが」
「平気だっていったのに」

鼻を赤くした後輩が、ズボンのポケットに手をいれて待っていた。

「女の人、知り合い?」
「いや、まったく。」
「…へえ」
「"ここのショートケーキ、私大好きなの"って言ってましたよ。"優しい味だから"って」
「そう」
「なんで機嫌悪いんですか」
「悪くない!」

機嫌は悪くないが、なんだか寂しいようなどこかが不安なようなそんな気分だ。冷たい夜風が私の鼻まで赤くしていった。


31:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:16:59 ID:gdR95DCXGs

「ただいま」
「おかえり」

リビングに行けば、すでに帰ってきていた父親がサッカー中継を見ながら唸っていた。

「今日おじさんなんか変だったよ」
「ん?そうなんだふーん」
「軽いね」
「いや、良い歳した弟のこととかあんま興味ないし。」
「女の人の話したらさ、なんか急に元気なくして。」
「女…?」

父親が私を振り返る。

「どんな女の話だ?」
「は?あ、見た目?色が白い長い茶髪の女の人だけど」
「あー…そりゃ多分あいつの彼女だわ」
「おじさん彼女いるの」
「ずいぶん昔に死んじまったけどなあ」

テレビに顔を戻した父親が言う。ああじゃあ、叔父の声が震えていたのはそういう理由か。そして後輩が女の人と相席をしたのも。

明日、バイトに行ったら叔父に伝えよう。"優しい味のショートケーキ、大好きだ"って彼女が言っていたと。


32: 名無しさん@読者の声:2011/11/15(火) 20:25:23 ID:BhHGk/K4Z6
切ないな…
だが、その切なさが愛おしい。

33:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:54:49 ID:ke8kDwatac
>>32
ありがとうございます。
おじさんまた出したいなあ
34: 名無しさん@読者の声:2011/11/15(火) 21:52:18 ID:1Z/UsIW8Is
後輩好きすぎて辛い(´;ω;`)

切ないけどほっこり
つC
35:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 15:59:01 ID:sMCa5523Yo
>>34
後輩「ありがとうございます」
支援ありがとうです!
36:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 18:53:26 ID:BhHGk/K4Z6

学校からの帰り道、後輩とコンビニに寄って帰る。おでんの湯気が寒い外から来た私の心を揺さぶる。

「おでん食べたい」
「コンビニのおでんおいしいですよね」
「そう言ってるそばから君は肉まんなのね」

とか言ったが、私だってトッポをレジに持っていく。いやあ、おでん惹かれるけどなんか違うじゃない。


37:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 18:53:40 ID:BhHGk/K4Z6

コンビニから出て、食べ歩きをする後輩の横を歩く。コンビニから家へ続くこの通りは人気がない。そんな通りで前から歩いてくる黒いパーカーの男の人がいた。珍しいこともあるもんだ。

「………あれって」

ぼそりと後輩が呟く。その声はかすれていた。なにかがおかしい。その原因を探るように男を見たときだった。陽の光を浴びて、きらりと凶暴に光る銀色のものを私が見たのは。

「…え、ナイ、フ?」
「いや、さすがに…鍵とかかもしれませんし」
「そ、だよね」

そう言葉を交わした直後に男が私たちへと走り出す。遠かったのがずいぶんと近くなり、目では鍵なんて言っていられないものを認識した。悠長によい子のチャイムが流れ出した。すれ違う直前にバンッと後輩に男とは逆側に押され、尻餅をつく。

次の瞬間に見えたのは、よろけた後輩と非日常すぎる赤。そして走り去っていく男の後ろ姿だった。


38:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 19:25:27 ID:KXnfP1O8Pc







「―――い、先輩。いい加減起きてくださいよ。山岡せんぱーい」
「ん…………!?」

呑気な声が聞こえ、びくりと体を起こす。目に飛び込んで来たのは見慣れた教室と後輩だった。

「…生きてる」
「そりゃあ、生きてますけど」
「…なんだ、夢かあ…」

やけにリアルな夢だった。手の汗がやばい。どうやら私は後輩を待つ間眠り込んでいたらしい。

「先輩、もしかしてその"夢"って僕が"通り魔に襲われて死ぬ"夢ですか」
「なんで知って…」
「僕も見ましたから」

後輩がにやりと笑う。彼も授業中に居眠りしている間に同じ夢を見たらしい。「とりあえず帰りましょう」と後輩に促され、バックを持ち、外に出た。


39:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 19:25:55 ID:KXnfP1O8Pc

そのまま学校から後輩とコンビニに来る。時計は4時20分を指していた。おでんがおいしそうだ。そうだ、トッポを買って帰ろう。後輩が肉まんを買っているのが見える。

ここまできて、自分が夢の通りに動いているのに気が付いた。

「行きましょうか」

すっかり買い終えた後輩が言う。私は首を振った。嫌な予感が止まらない。「ジャンプ読んできます」と後輩は笑って言った。


40:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 19:26:10 ID:KXnfP1O8Pc

雑誌コーナーでファッション誌を立ち読みする。時間を数分置きに確認していた。よい子のチャイムは今、確か4時30だったはずだ。だから、夢の中の後輩が刺されたのがきっとその時間。もし今強盗とか来たらどうしよう。負の連鎖のように悪い考えが広まる。外からよい子のチャイムが聞こえてきた。

「…そろそろ良いですかね?」
「うん、」

鳴り終わった頃に後輩が私を見て訪ねる。きっと後輩が見た夢も同じだったのだろう。去ったと思われる危機にほっと胸をなで下ろした。


41:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 19:26:32 ID:KXnfP1O8Pc

「なんだったんだろう、あの夢」
「予知夢とかですかね」
「でも、同じにならなかった」
「先輩が同じにしなかったんでしょう」
「死ななくて良かったじゃない」
「確かに」

軽口を叩きながら歩く。コンビニの前から少し遠回りだが大通りを歩く。人に紛れて、黒いパーカーを見つける。どきりと嫌な予感が胸をよぎる。いや、見間違いだろう。きっと人違いだろう。だってこれだけ変えたんだから。黒いパーカーの男とすれ違う。

「夢と違うじゃないか」

耳元で聞こえた低い声に背筋に冷や汗が流れる。振り返ったら、男がギリとこっちを睨んでいた。


42: 名無しさん@読者の声:2011/11/16(水) 20:23:10 ID:H6mdcGME.s
怖っ
43:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 21:29:25 ID:NkcF/Q9mp6
>>42
たまにはがっつりもいいかと思いまして…!
44: 名無しさん@読者の声:2011/11/16(水) 21:41:31 ID:O2Dmey52w.
>>43
これ見たせいで寝れない・・・

怖いんじゃないよ!先が気になってなんだよ!
つC
45:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 21:47:22 ID:ke8kDwatac
>>44
支援ありがとうございますー!怖いならば1が添い寝をしにいきますお…?ww
しかし、この話はここで終わりますね!ちなみに新耳の家に強盗が入る話が元ネタです。
46: 名無しさん@読者の声:2011/11/16(水) 22:12:02 ID:N0nxWG/O6Y
あああ!!ズルい!!
私とも添い寝してください!!
47:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 22:17:04 ID:emIXT3i.Lo
>>46
ようし、ベッド半分開けといてくださいねww
後輩「1の変わりに僕が…」
先輩「やめなさい。>>46さんに迷惑がかかるでしょ!」

48: 46:2011/11/17(木) 00:02:53 ID:lNbS31iwTM
キングサイズのベッドを用意するので、1と先輩を両隣に…(´д`*)ハァハァ
後輩?いらね(゜Д゜)ペッ
49:
◆OFa0FInsIU:2011/11/17(木) 21:36:25 ID:AK.WDzviWU
>>48
添い寝と聞いて!ガラッ
後輩「なん…だと…」
先輩「君は床だって」
後輩「そんな!」

すいません、更新今日は無しです(・ω・`)
50: 名無しさん@読者の声:2011/11/17(木) 22:12:29 ID:qSwxP77vlw
明日に向けて支援!!!
51:
◆OFa0FInsIU:2011/11/17(木) 22:33:20 ID:q5FQ2QIDbc
>>50
支援ありがとうございます
明日は多分投下します!
52:
◆OFa0FInsIU:2011/11/18(金) 19:00:03 ID:AK.WDzviWU
なぜかここだけ薄暗い廊下を歩く。いや、奥に行くにつれて暗くなっていっているんだろうか。文化部部室棟、3階一番奥の部屋。オカルト研究部の部室に向かいながら私は溜め息を吐いた。

「なんかすごい嫌な雰囲気」
「明るい雰囲気じゃ面白くないじゃないですか」

前を歩く後輩から軽く言葉が返ってくる。まあ確かに、とわけのわからない納得をして、おとなしく暗がりへ突き進んだ。


53:
◆OFa0FInsIU:2011/11/18(金) 19:00:11 ID:AK.WDzviWU

「適当に座ってください。荷物はどけちゃって構いませんので」

後輩の所属する部活の部室はいろんなものでごちゃついていた。パイプ椅子と机のある場所にスペースを取り、椅子に腰掛ける。目に入った藁人形は見なかったことにしよう。

「面白いもの見つけたんですよ」
「だから、ここに連れてきたんでしょ?」
「そうなんですけど。まあ、見てください」

後輩が棚から一冊のファイルのようなものを取り出し、机に置いた。


54:
◆OFa0FInsIU:2011/11/18(金) 19:00:21 ID:AK.WDzviWU

「アル、バム…?」
「はい。それも心霊写真の」

ニヤリと後輩が笑う。パラリとそれを捲る。知らない誰かの心霊写真。テレビの特集なんかと同じ感じだ。怖いけど。

「まあ、作ったやつの方が多いと思いますけど。たまに本物もありますよ。」
「オカ研なに考えてるの…」

足が消えていたり、手が多かっり、顔が写ってたり。夜寝られなくなったらどうするつもりだコノヤロウ。もうすぐ終わりだ、と言うところで見覚えのある景色が映っていた。


55:
◆OFa0FInsIU:2011/11/18(金) 19:00:28 ID:AK.WDzviWU

それに映っているのも知り合いだ。

「去年の修学旅行の写真、ですよね?」
「…そうだね」

少しだけドキリとする。まさか、身近なものが出てくるとは。その写真から目を離し、次にいく。びくりとページを捲ろうとした手が震えた。

「私、だ」

こっちにピースをして笑っている女の子たちの中に紛れもなく私が写っていた。


56:
◆OFa0FInsIU:2011/11/18(金) 19:00:36 ID:AK.WDzviWU

「先輩です。曰く付き写真に写ってますが」
「君ねえ、そんなサラッと言わなくても…」

ガックリと肩を落とす。ちょっとそんな写真を撮られてたとはショックだなあ…。じっくりとそれを見て、可笑しな場所を探す。隅から隅まで見て気が付く。

「これ、変なところないじゃない」
「本当にそうですか?」
「?」

怪しい顔も写ってなければ、どこも消えていない。ましてや一緒に写っている友人たちは今も仲の良い子たちだ。首をかしげ後輩を見る。


57:
◆OFa0FInsIU:2011/11/18(金) 19:00:45 ID:AK.WDzviWU

「確か、右端にの先輩は修学旅行の時期に怪我をして入院してませんでしたっけ?僕の友達が、怪我をした現場にいたそうなんで間違いないはずです」
「あ…!」

そういえば、彼女は修学旅行の一週間くらい前に交通事故で入院したんじゃなかっただろうか。修学旅行の夜にも、そんな彼女に電話をした覚えがある。なら、どうしてここに写っているんだろうか。

「かなり行きたかったんだと思いますよ。生霊ってやつかと」
「…そっか」

写真の中で違和感無く笑う彼女に切なくなる。次は彼女も入ったみんなで、また旅行にでも誘ってみよう。
58:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 21:43:05 ID:NkcF/Q9mp6
昼休み、いちご牛乳を飲みながら思い出したことを後輩に言ってみた。

「占いって、信じる?」
「たしなむ程度になら」
「おっさんみたいな答えをありがとう」

興味が無さそうに後輩が言う。さすがに占いは別分野か。

「どうして急に?」
「いや、友達がさ。騙されたんだって」
「なににですか?インチキ霊媒師とか?」
「"神様からの使者"だって」


59:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 21:43:22 ID:NkcF/Q9mp6

「悪いことが起きるー、とか言って無理やりお守りを買わされたらしいよ」
「よくある話ですね」
「まあ確かに。」
「面白そうじゃないですか」
「え」
「どこでやってるんです?」
「…3A」

にやりと後輩が笑う。なんとなく次の言葉は予想できる。飲み終わったいちご牛乳のパックを潰しながら、時間を確認する。昼休みが終わるまで、後20分ある。

「行きましょうか」


60:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 21:43:30 ID:NkcF/Q9mp6

3Aの教室は他のクラスより随時賑わっていた。教室の一角に妙な人だかりが出来ているせいだろう。

「あの人ですか」
「多分」

中心の真ん中にいる長い黒髪の女の子。後輩が彼女を見て、カウプレが笑う。

「すいません、僕たちも占ってくれませんか?」

臆することなく言った後輩に、女の子はきょとんとしたあとに不敵に笑って頷いて、取り巻きは私たちを睨んだ。やだ怖い。

61:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 21:43:39 ID:NkcF/Q9mp6

「じゃあそこに座って」
「先輩どーぞ」

後輩に半分無理やり椅子に座らせられる。え、私が占って貰うの?座ったまま後輩を見上げればいつものニヤニヤ顔だったが、女の子との間に火花が見えた気がした。

「私は神からの使者よ。神様からの声をあなた達にお伝えするの。」

机の上に散らばっているタロットカードの見方は私にはよくわからない。

「なにを占ってほしいのかしら?」
「…無難に将来で」

タロットカードが切られ、ぱちりぱちりと机に並べられる。


62:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 21:43:46 ID:NkcF/Q9mp6

ジイ、とそれを女の子が見た後にこっちを見て彼女は言った。

「あまり良いカードが出ていないわ。あなた近いうちに危険な目に合うかもしれないわね。」
「危険な目…」
「交通事故とか、事件とか、命の危険になるかも」
「…………」
「あ、そうだわ。貴女にこのお守りをあげる!これできっと大丈夫よ」

うわあああぐいぐいくるパターンだああああ。ひえええと思い、後ろに立つ後輩を振り返る。肩にポンと手が乗り、後輩が口を開く。


63:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 21:44:02 ID:NkcF/Q9mp6

「危険な目…ですか」
「そうよ」
「それはまたどうして」
「それはタロットが…」
「塔のカード、逆位置ですよ?」
「………あ、」

タロットカードを一枚指差し、後輩が言う。

「それだとその解釈にはならないかと」
「ちが、えっとこれは間違いで!」
「間違いですか。それなら仕方ありませんね。あ、そういえば貴女の言う神様はどの神様ですか?」
「え?」
「いや、仏教なのかキリスト教なのか他にもいろいろ」
「…き、キリスト教よ!」
「そうですか。で、神様は?」
「イエス・キリストに決まってるじゃない!」
「キリストは預言者ですよ?神様ではありません。」
「………………」

絶句したように女の子が後輩を見る。取り巻きがざわりと騒がしくなった。


64:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 21:44:18 ID:NkcF/Q9mp6

「じゃあ行きましょうか、先輩」
「え、あ、うん」
「ありがとうございました。」

私の腕を掴み、後輩が椅子から私を立たせる。

「ああ、それと。貴女、なにか憑いてますよ。"危険な目"に合うかもしれません。そのお守りはご自分で持っておいた方がいいかと!」

そう言い切り、3Aの扉を閉める。後輩がクスクスと笑い出す。

「やー、ひどかったですね!」
「君が怖いことはよくわかった」
「だって、タロットカードまったく無視して危険な目、とか言い出すんでびっくりしちゃって」

まだ笑いが収まらない後輩が笑いながら言う。昼休みが終わるチャイム5分前の予鈴が鳴る。ささやかなお昼の休み時間は、有意義に使われたのだろう。


65: 名無しさん@読者の声:2011/11/19(土) 21:45:59 ID:O2Dmey52w.
現場にいたら噴き出すなw
俺は後輩寄りなのかなぁ・・・いやだなぁ変人。
そんな後輩に
つきん肉まん
66: 名無しさん@読者の声:2011/11/19(土) 22:32:35 ID:A2csk18jYs
なんかすっきりしてしまったw
そしてナチュラルに昼休みを一緒に過ごす先輩と後輩w
後輩うらやましす!
67:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 23:59:48 ID:emIXT3i.Lo
>>65
変人でもいいじゃない 人間だもの !私も笑うと思いますww
後輩「キン肉マン…スライム肉まんみたいな感じですかね?」
先輩「チャレンジあるのみだね」

>>66
先輩「はっ…!いつの間にかそれが普通になってた!」
後輩「うらやましいですかね?毎日いちご牛乳飲んでるの見ていい加減こっちが飽きてきそうですよ」
先輩「いいじゃないか!」


68:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 20:44:24 ID:KXnfP1O8Pc

「そう言えば、先輩の家ってマンションでしたよね」
「そうだけど」
「何階立てでしたっけ」
「10階」
「あ、ピッタリです。」

なにがピッタリなんだ。学校帰り、まだ明るい帰り道で後輩がにやりと笑う。

「ちょっと異次元に行きませんか」
「はあ?」
「10階立てのエレベーターが必要なんですよ」

さあ先輩の家に!なんて楽しそうに後輩が言う。これやるまで帰らないだろうな。


69:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 20:44:31 ID:KXnfP1O8Pc

「で、なにをやるって?」

家につき、エレベーターの前で後輩に訪ねる。

「異次元に行きます」
「?」
「まあ、ちょっとやって見ましょうよ」
「危険?」
「スリルって大事ですよ」

危険なのか。うええと顔を少し歪めれば、後輩が大丈夫ですよ!と慌てて付け足した。ちょうど良くエレベーターが1階に来る。後輩はさくさくとそれに乗ると、中から私を手招きした。

70:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 20:44:43 ID:KXnfP1O8Pc

ぴ、ぴ、と後輩がいくつかの階のボタンを押していく。悪戯に入らないかな、これ。ウィンとゆっくりとエレベーターが上がる。

「先輩何階に住んでるんですか?」
「8階」

他愛もない話をしながら4階で開いたエレベーターの扉を後輩が閉める。次は2階のボタン。

71:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 20:45:00 ID:KXnfP1O8Pc

4階、2階、6階、2階、10階。法則性は無く、上がったり下がったりを繰り返す。なにしてるんだろうこれ、気持ち悪い。

「そう言えば、異次元ってどんなとこ?」
「わかりません。死後の世界を確かめられないのと同じで、ちゃんとした情報がないんです」
「そうなんだ」
「だからきっとデマですよ。なにも起こらないと思います」
「そっか」

10階で扉が開く。次は5階らしい。

「あ、次の階で女の人が乗ってくると思います。その人に喋りかけないでくださいね」
「わかった」

5階で止まる。本当に女の人がエレベーターの扉の前で待っていた。


72:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 20:45:13 ID:KXnfP1O8Pc

カツン、とヒールを履いた女の人の足音がエレベーター内に響く。瞬間、頭から水をかけられたかのような寒気が全身をかける。後輩を見れば、少し驚いた顔で女の人を見た後、何事もなかったかのようにエレベーターを操作し始めた。1階のボタン。
声も出せないような、重い空気。足が竦む。これ、本当にかなり危険なものなんじゃないだろうか。1階へエレベーターが到着する。
しかし、そのまま扉は開かず上へとエレベーターは上がり始めた。え、と言う顔を後輩がする。ボタンにはどこにもランプがついていない。じゃあ、一体このエレベーターはどこに向かっているんだろうか。


73:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 20:45:24 ID:KXnfP1O8Pc
1階、2階、3階、

階を増すごとにバクバクと心臓が大きく音を立てる。後輩がボタンを押しているのが見えるが、どれも灯りが着かなかった。

4階、5階

かつり、とまた女の人の足音がエレベーター内に響く。さっきまで扉の方に向いて立っていた女の人がこっちを向いていた。長い髪が顔にかかり、俯いているせいもあって表情が見えない。きっと、見たらいけない。

7階を通り過ぎるのがわかった。ゆっくり、ゆっくり女の人が顔をあげる。心臓がより五月蝿くなる。目を逸らせない。女の人の口元が見えた。それはニイと不気味に口角が上がっていた。息が止まるような錯覚。今すぐにでも叫ぶか気絶をしてしまいたい。

もう一度、ヒールの音が響く。女の人がこっちに足を踏み出していた。思わず目を瞑り、うずくまる。


74:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 20:45:36 ID:KXnfP1O8Pc


ウィン、と間抜けな音が聞こえ目を開けると、明るい光と外の音が入ってきた。

「………ぅえ?」
「開い、た…」

呆然となんとも呆気なく開いた扉に後輩と顔を見合わせる。エレベーターの表示は8で止まっていた。

「なにしてんの、姉ちゃん」

聞き慣れた声が鼓膜を揺らす。エレベーターを覗き込んでいたのは、弟だった。

「先輩、弟いたんですか」
「う、ん。いや、なんであんたここに」
「いや、コンビニ行こうと思って」

ありきたりな理由に思わず、安心からかため息が漏れる。ああ、そうか人が乗ろうとしたから扉が開いたのか。普通のことなのに、すごく納得してしまった。女の人はもういない。エレベーターはもう異次元には繋がらない。

「立てますか?先輩」
「ん」

差し出された手を掴み立ち上がる。そのまま外に出て、深く息を吸った。弟は入れ違いでエレベーターに乗り、1階へ降りていった。

「…普通に危ないじゃない」
「すいません」
「いちご牛乳おごりね」
「…はい」

珍しく反省した顔の後輩は、階段で帰っていった。


75: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 20:53:10 ID:E1vvQmQ3Ms
この都市伝説やったことある
怖くなって途中でやめたけどw

後輩頑張れよ!
支援CCCCCC
76: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 20:56:06 ID:X/e8SDb5uw
どきどきしたぁぁあああ
CCCC
77: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 21:07:41 ID:N.fuDU/X6E
弟vs後輩を期待してすまんw
つCCCC
78: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 21:18:50 ID:ke8kDwatac
>>77
まぁ、最終的に先輩をもらうのは俺だけどな
79:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 21:42:38 ID:ke8kDwatac
>>75
支援ありがとうございます!
勇者ですね!私もやってみたいんですが勇気が出ず…
後輩「もうちょっと頑張っていこうと思います。今回は情けなさすぎました」

>>76
支援ありがとうございますー!
もしかしてこれが…恋?ドキドキ
楽しんでもらえたみたいでなによりです!

>>77
支援ありがとうございます(´ω`*)弟くんは今後も登場予定です!しかし弟くんはなんだか後輩とは仲良くなれなそうな悪寒

>>78
仕方ないこれで勘弁してやってください
⊃いちご牛乳
80: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 22:26:45 ID:jpkDZXm8CE
>>1には支援を
っC

先輩には甘いアレを
っイチゴ牛乳

そして後輩には前々から欲しがっていたあの饅頭をプレゼントします!
っ段ボール肉まん
81: 名無しさん@読者の声:2011/11/21(月) 00:14:31 ID:emIXT3i.Lo
まったく…みんな後輩を苛めすぎだ。
かわいそうな後輩に
つ餃子まん
82:
◆OFa0FInsIU:2011/11/21(月) 20:54:30 ID:AK.WDzviWU
>>80
支援ありがとうございます!
先輩「ありがとう」
後輩「これちょっと事件になったやつじゃないですかー!」

>>81
後輩「いや、確かに同じ中華ですけど!なんか違うと思いますよ?」
83:
◆OFa0FInsIU:2011/11/21(月) 20:54:37 ID:AK.WDzviWU

「「あ」」

休日の昼下がり。図書館にでも行こうかと自転車を漕いでいたら、先輩の弟と遭遇した。エナメルにジャージ。ってことは部活帰りか。

「この前の人ですよね?姉ちゃんと居た」
「そうだよ」

上から下まで点数を付けるかのように弟くんが僕を見る。なんか嫌な感じだ。


84:
◆OFa0FInsIU:2011/11/21(月) 20:54:49 ID:AK.WDzviWU

弟くんの後ろを猫が通る。その猫が必要に追いかけているのは、多分、人間の手首かなにかだろう。視線に気づいたのか、弟くんが後ろを振り返る。

「猫!」

パタパタと弟くんが猫に駆け寄る。そう言えば先輩も猫好きだったな。弟くんの足が手首を踏み潰しそうになったので、慌てて声をかける。

「その猫の前、行かない方がいいよ」
「?どうしてです?」
「いや、まあ、ちょっと」
「…それってオカルトとかですか?」

訝しげな視線が投げられる。慣れていないわけではないが、白けた気持ちになった。


85:
◆OFa0FInsIU:2011/11/21(月) 20:55:00 ID:AK.WDzviWU

「なんでそう思うわけ?」
「姉ちゃんがたまにそういうこと言うんで」
「ふうん」
「俺、そういうの信じられないんですよね。見えないし。」

首を傾げ、少し馬鹿にしたように弟くんが僕を見る。えー、なんだこいつ。

「科学的にも証明されてませんしね。」
「その猫について行けば少しは考え変わるんじゃない?」

また手首について歩き出した猫を一瞥して言う。踏切まですぐそこだ。僕の考えていることが合っていたら、最近あそこは本当に事故が多い。なにも言わず、猫について歩き出した弟くんに、僕も猫について自転車から降りて歩き出す。


86:
◆OFa0FInsIU:2011/11/21(月) 20:55:11 ID:AK.WDzviWU

無言で少し長くなった影を後ろに付けながら歩く。パトカーの音がする。きっと僕の予想はほぼ正解だろう。この前の先生といい、そろそろ魔の踏切とでも言われる始めるんじゃないだろうか。

「………………うわ、」

角を曲がり、開けた視界に移る踏切は人だかりとパトカーで埋め尽くされていた。ブルーシートも見える。ここのすぐそばの壁にもまだ乾いていないような赤がついている。それから視線を逸らし、猫を見る。手首はブルーシートの隙間にぽつりと収まり、猫は悠々と毛繕いを初めていた。

「信じた?」
「…偶然です」

納得行かない様子の弟くんにため息を吐き、すっかり図書館へは行く気がなくなったので家に引き返すために自転車にまたがった。


87:
◆OFa0FInsIU:2011/11/21(月) 20:55:20 ID:AK.WDzviWU

「あれ、後輩もいる」

よく知った声が聞こえる。振り返ると先輩がケータイ片手に立っていた。

「…また事故?」
「うん。てか姉ちゃんなんでいるの?」
「お母さんが遅いからあんた探しに行けって。でもこっちがうるさかったから」
「見にきてみた、と」
「そういうこと」

眉間に皺を寄せ、踏切を見たあとに先輩は振り返って歩き出す。弟くんも着いていく。うわ、僕だけ逆方向。

「それじゃ、また明日ね」
「あ、はい。さよなら」

僕の方に振り返って、手を振る先輩に少しだけ弟くんより優越感を覚えた。


88: 名無しさん@読者の声:2011/11/21(月) 21:55:50 ID:TcxQr27ML2
なんで弟に対抗してるんだww
最近後輩可愛いな
弟も可愛いぞ
支援CCCCC
89:
◆OFa0FInsIU:2011/11/23(水) 12:18:50 ID:sMCa5523Yo
>>88
支援ありがとうございますー!
後輩「負けられない戦いが今ここに…!」
弟「馬鹿ですか」



体調を崩したよパトラッシュ…
90:
◆OFa0FInsIU:2011/11/23(水) 12:18:59 ID:sMCa5523Yo

「じゃじゃーん」
「何ソレ」
「双眼鏡です」

後輩のバックから出てきたのは、ちゃちい作りの双眼鏡だった。なんでそんなのを持っているんだ。

「理科の実験で使ったんですけどね」
「へえ」

文系を選択した私はやっていない授業だろうか。渡されるままに双眼鏡を覗き込み、窓から外を見る。

「校庭しか見えない」
「そりゃそっち側校庭しかありませんから。あ、廊下に出れば街が見えるんじゃないですか?」


91:
◆OFa0FInsIU:2011/11/23(水) 12:19:17 ID:sMCa5523Yo

教室から廊下に移り、さっきのように窓から外を見る。今後は街を一望できた。倍率はほどほどに高く、いろいろよく見える。

「僕にも貸してくださいよ、先輩」
「えー」
「ていうかそれ僕のですからね!」
「ん」

ぽんと後輩の手にそれを渡し、今後は肉眼で街を見る。やっぱり一番目を引くのは、中心にある一本の大きな坂道だ。

「…なんですかね、あれ」
「どれ?」
「坂道のところにいる…」

視線を向ければ、犬のような何かが走っているのが見えた。え、普通に犬じゃないの?もしくは大きい猫とか。

「あ、まずいですね」
「え?」
「見てみればわかります」

もう一度渡された双眼鏡を覗き込んだ。


92:
◆OFa0FInsIU:2011/11/23(水) 12:19:26 ID:sMCa5523Yo

「…なに、あれ」

すごい速さで走る犬のようなものにピントを合わせたら、それはもう犬とは呼べないようなものだった。四つん這いになって、駆けてくるガリガリに痩せた子供。笑顔なのが逆にぞくりと背筋を冷たくする。吐き気がするような容姿。なによりも、向こうが完全にこっちに気が付いている。異常にぎらついた目と自分の目が完璧に合っている。

「こっち見てますよね、あれ」
「…うん」

双眼鏡を外し、後輩と目を合わせて頷く。次の瞬間には教室に向かって走り出していた。


93:
◆OFa0FInsIU:2011/11/23(水) 12:19:41 ID:sMCa5523Yo

扉を閉め、鍵をかける。大きく一回深呼吸をし、バクバクと騒がしい心臓を落ち着かせる。

「ど、どうする?」
「どうしましょうか」

こんなときでもどこか楽しそうにニヤニヤと笑っている後輩の思考が羨ましい。階段を駆け上がるような音が聞こえる。足音は2つ、いや、1つは手の音だろうか。

「カッターって武器になるかな?」
「ハサミはどうですかね」

臨時体制とばかりに、鞄からカッターを取り出して扉に向かい構える。後輩はハサミ。いや、役に立たない気もするけど!バンッと扉が叩かれて揺れる。びくりとそれに反応すれば、続けてダダダダダと連打するように叩かれる。気持ち悪い唸り声のようなのもセットだ。

「扉って壊れないよね?」
「…そうだといいんですけど」

頼りない扉を見ながら、数十秒間その音に耐える。ぱったりと音が途切れた。


94:
◆OFa0FInsIU:2011/11/23(水) 12:19:51 ID:sMCa5523Yo

「止みましたね」
「いなくなったかな」

ほっと胸をなで下ろし、カッターをバックにしまう。磨り硝子越しなので扉の外は見えない。ガチャリ、と扉の鍵がいきなり回る。うそでしょ。ゆっくりと開く扉に絶望する。これはまずい。






「君たち、まだ残ってたのかい?下校時間だよ、早く帰りなさい」
「あ、はい」

顔を覗かせたのは警備員さんで、手に握った汗に無駄を感じた。
95: 名無しさん@読者の声:2011/11/23(水) 17:14:57 ID:A2csk18jYs
1大丈夫か?日に日に寒くなってるから、あったかくして寝てくれ。
1へつ肉まん

後輩。先輩は俺がもらっていくな。
96: 名無しさん@読者の声:2011/11/23(水) 18:05:54 ID:O2Dmey52w.
あんま無理して更新して、それで体調崩したら大変だから休んだほうが。
1へ つC&愛情

先輩へ つ肉まん
97: 名無しさん@読者の声:2011/11/23(水) 19:57:33 ID:JY6V4dC4Js
しっかり休んでね
1へ っ薬とC

先輩へ っいちご牛乳

後輩へ っ肉まんの材料
98:
◆OFa0FInsIU:2011/11/23(水) 21:15:41 ID:q5FQ2QIDbc
>>95
ありがとうございます。
半袖着て寝てた結果がこれですよorz今日からはあったかくして寝ます>>95さんも気をつけてくださいねー
後輩「だ、だめですよ!?」

>>96
支援あんど愛情ありがとうございます。気をつけます、優しさをありがとうです(´∀`*)
先輩「私にか!」

>>97
ありがとうございます!しっかり休みます!支援は半分以上優しさでできている薬ですね!
先輩「ありがとう」
後輩「作れというんですか」


一日中寝てたらずいぶんよくなりました。優しいお言葉、ありがとうございます(;ω;`)
99: 名無しさん@読者の声:2011/11/23(水) 23:12:57 ID:FM94wc4.O6
最近の怖くてgkbr((((;゜Д゜)))

冷えるから気をつけてね
無理すんな!

100:
◆OFa0FInsIU:2011/11/24(木) 23:31:49 ID:BhHGk/K4Z6
>>99
夜中に読むのはおすすめできないものになってきましたw元ネタもかなり怖いですよ!
ありがとうございますあったくしていきますお!



明日は更新できると思います。体調は完全復活しましたー!(*`・ω・´*)そして100レス目ですありがとうございます!
101:
◆OFa0FInsIU:2011/11/25(金) 18:37:08 ID:lNbS31iwTM
用事があるという後輩とは、今日は別々に帰る。いつも通る団地の一角に引っ越しの車が止まっている。きっと誰か新しい場所に行くんだろう。
一人で歩く帰り道、ウォークマンから流れるのは古い映画の曲が流れていた。ひゅうと勢いよく吹いてきた風に目を瞑る。冷たい風が頬を撫でる。

うっすらと目を開けた先に、引っ越しの車は見当たらなかった。



102:
◆OFa0FInsIU:2011/11/25(金) 18:37:18 ID:lNbS31iwTM

「…………あれ?」

どこか違う。なにかが違う。さっきの引っ越しの車がそんな一瞬でいなくなるわけがないし、それよりあそこの空き地には去年、家が立ったんじゃなかっただろうか。

「早く帰らないと遊ぶ時間無くなっちゃうよ!」
「今日まいちゃんの家ー?」
「うんー!」

ぱたぱたと私の後ろから前へ小学生が駆けて行く。赤いランドセル。ひらりと靡いた髪。ああ、見覚えがあるなんて話じゃないぞ。

「…小学生の、私?」



103:
◆OFa0FInsIU:2011/11/25(金) 18:37:26 ID:lNbS31iwTM

一瞬息が止まり、どくどくと心臓が激しく脈を打つ。タイムスリップ?いやいや、そんな馬鹿な。じゃあ夢だ。きっとまだバスの中なんだ。うん、そうに違いない。

「結城の嘘つきー!」

聞こえた言葉に思わずバッと振り返る。黒いランドセル。パーカー。ムッとした顔。面影は十分にある。後輩、だ。あれはきっと、何年か前の彼だ。後輩とは別に二人の男の子(例えるならジャイアンとスネ夫のような)がいる。暗い表情の後輩とは真逆にゲラゲラと笑っているのがなんとも言えない。


104:
◆OFa0FInsIU:2011/11/25(金) 18:37:37 ID:lNbS31iwTM

「嘘つきじゃないもん」
「嘘ついたんだから嘘つきだろー!」
「嘘じゃない!あそこにいるだろ!男の人!」
「なにもいねえよばーか!」

後輩が指差した場所には確かに男の人が見えて、男の子たちに見えないということはきっとそういうモノなんだろう。冷静に考えている場合じゃないけど。

「じゃあな嘘つき結城ー!」
「だから嘘つきじゃないってば、あ!!」

ドサッと痛そうな音がして、男の子に押された後輩が尻餅をつく。気づいたときには体が動いていた。


105:
◆OFa0FInsIU:2011/11/25(金) 18:37:45 ID:lNbS31iwTM

「大丈夫?」

ぱしぱしと汚れた手を払う後輩に向かって、手を伸ばす。後輩は私の手を掴むことなく、一瞥して立ち上がった。

「平気です」
「…手、擦りむいてるよ。絆創膏あげる」

ポーチから絆創膏を取り出し、擦り傷のついた後輩の手に張る。不思議そうに、こちらを見る後輩にへらりと笑う。

「はい、これで大丈夫」
「…ありがとう、ございます」
「いえいえ」

ぺこりと頭を下げて、歩き出そうとする後輩の腕を掴む。驚いた顔。私いま、誘拐犯にでも見えるんじゃないだろうか。だけどきっと、言わなきゃ、後悔する。


106:
◆OFa0FInsIU:2011/11/25(金) 18:37:54 ID:lNbS31iwTM

「君が嘘つきじゃないって知ってるよ」
「…え?」
「だって私にも見えるから。見てきたから、」

(君と、一緒に。)

泣きそうな顔をする後輩の頭を撫でる。大丈夫だよ、私は君を信じてるよ。ひゅうとまた、大きな風が吹き、私のマフラーを揺らす。目をつむり、ウォークマンの音がゆっくりと耳に帰ってくる。再び目を開ければ、引っ越しのトラックはもとの場所に止まっていた。

(怖くないさ)
(君がそばにいてくれさえすれば)



107: 名無しさん@読者の声:2011/11/25(金) 19:47:12 ID:N.fuDU/X6E
オカルトながら、切なくて良い話だった。
後輩、いいこいいこ(p_;)\(^^ )

108: 名無しさん@読者の声:2011/11/25(金) 21:43:05 ID:ke8kDwatac
本当なのに嘘つき扱いされるのはキツいよな…
先輩がいてよかったな後輩
先輩についちご牛乳
後輩につ肉抜き肉まん
1につC
109: 名無しさん@読者の声:2011/11/25(金) 22:27:38 ID:O2Dmey52w.
後輩よしよし
後輩についちご牛乳
先輩につC
1につ肉まん
110: 名無しさん@読者の声:2011/11/26(土) 13:33:15 ID:AZN8vEPq8w
後輩(´;ω;`)
こっちおいで(ナデナデ

支援支援C
111:
◆OFa0FInsIU:2011/11/26(土) 18:56:42 ID:emIXT3i.Lo
>>107
後輩「ちょ、照れるんでやめてくださいー!」

>>108
支援ありがとうございます。
彼は今でこそ楽しそうですけどねえ…。
先輩「ありがとう」
後輩「野菜マン?野菜マンですかこれ」

>>109
後輩「シャッフル…だと…?いちご牛乳ウマー」
先輩「支援?ありがとう」
肉まんウマー

>>110
支援ありがとうございます!
後輩「今日みんな優しい…!」
112:
◆OFa0FInsIU:2011/11/26(土) 18:56:51 ID:emIXT3i.Lo

「とおりゃんせーとおりゃんせー」
「いきなりどうしたの」
「いや、思い出したんでつい」

いきなり童謡を思い出すのってどんな思考回路だ。夕日に染まる帰宅道に、なんとなく似合わないような似合うようなよくわからない歌が響く。

「その歌、なんか好きじゃないんだよね」
「不気味ですもんね」

こくりと頷く。童謡にしてはやけに怖いから好きじゃないのだ。メロディーといい、歌詞といい、重く不気味な気がしてしまう。


113:
◆OFa0FInsIU:2011/11/26(土) 18:57:01 ID:emIXT3i.Lo

「一番は割と明るい歌詞なんだけどね。天神様の細道を、7つのお詣りに来るってことだから。」
「問題は2番ですよね。鬼神様になって、7つの弔いになって。子ども泣くレベルですよ」
「確かに」

そういえば神隠しの歌とか言う話もあったっけか。ああでも、昔「こわい」は方言で「疲れた」って意味ってのも誰かが言っていたか。

「かごめより話に上がらないよね」
「あれは都市伝説化してますからね。半分降霊術みたいに使ってるような」

ニヤリと笑いながら後輩が言う。


114:
◆OFa0FInsIU:2011/11/26(土) 18:57:11 ID:emIXT3i.Lo

カツンと足音を鳴らす。後輩と合わせて2つ、のはずだ。

「行きはよいよい帰りはこわいって、ことですかね」
「帰り道だしね」

まあ、行く道も眠たすぎてよいよいじゃないけど。気づかないわけがない、ぴったりとくっついてくる足音に。それが、普通の足音じゃないなら尚更だ。カランカランと、下駄を鳴らすような。


115:
◆OFa0FInsIU:2011/11/26(土) 18:57:26 ID:emIXT3i.Lo

「振り返りますか」
「…ほんとに?」
「はい、当たり前じゃないですか」

まじでか。まあきっとなんとかなるかと、諦めに似た気持ちで頷く。

「じゃあ…せーの」

合わせたタイミングで後輩と同時に振り返る。長い黒い髪、鮮やかな赤い着物、夕日に照らされた顔はにこりと人懐こい笑顔を浮かべていた。7つ、6つくらいだろうか。


「云ったはずでしょ、帰りが怖い」


鼓膜を揺らす綺麗な声は、私の背筋を凍り付かせるのに十分なものだった。


116:
◆OFa0FInsIU:2011/11/26(土) 18:57:37 ID:emIXT3i.Lo

す、と夕日に同化するように女の子が消える。

「…なん、え、え?」
「うーん、ちょっと驚かせたかっただけじゃないですかね」
「可愛らしい理由だなあ、ずいぶん!」



117:
◆OFa0FInsIU:2011/11/27(日) 15:57:52 ID:sMCa5523Yo

「肝試し?」
「はい。部の方でやるんですけど、先輩も来ませんか」
「それ私が行っていいものなの?」
「良くなかったら誘いません」

それもそうだ。人数少なくて盛り上がらなそうなんで、と後輩が笑う。少しでも人数増やしたいのか。

「いいよ、行く」
「ほんとですか」
「こんなとこで嘘つく理由が無いよ」
「ありがとうございます。場所は駅の裏の廃墟で、9時に駅集合だそうです」
「了解」


118:
◆OFa0FInsIU:2011/11/27(日) 15:58:37 ID:sMCa5523Yo

すっかり真っ暗な中、駅に向かえば後輩が待っていた。他にも結構な数、人が集まってる。他の部員も友達とかを呼んだ結果なんだろう。

「先輩で最後ですか、部長」
「ああ、そうだと思うが」

後輩に声を掛けられた長身の男の人が頷く。確か、同じ学年の人じゃないだろうか。クラスが同じになったことがないから名前は知らないけど。

「じゃあ出発ですね」


119:
◆OFa0FInsIU:2011/11/27(日) 15:58:45 ID:sMCa5523Yo

「思ったより怖そうなんだけど」
「夜だと余計雰囲気出ますからね」
「おどろおどろしいよね」
「蔦が巻いてるあたりなんて特にです」

異様な雰囲気を醸し出す廃墟を前に少し腰が引ける。こんなお化け屋敷あったよなあ…とかいらないことまで思い出した。あれは後楽園だったかな。ギイと嫌な音がして、さっきの部長が家の門を開ける。そういえばこれって不法侵入かな。


120:
◆OFa0FInsIU:2011/11/27(日) 15:58:54 ID:sMCa5523Yo

埃っぽい部屋に足を踏み入れる。異臭こそしないものの、綺麗とは言い難い。ただそこにありありと生活の風景が残っているのが嫌だった。

「夜逃げあったらしいですよ」
「…へえ」
「ああでも、正確には一家心中ですかね。夜逃げしたはいいけど、そのまま生活を苦にして車で出かけた先で練炭自殺をしたらしいんで。」
「それ噂聞いたな。確か小さい子どもも居たらしいね」
「はい。赤ちゃんと3歳の男の子が」

重く苦しい話だ。そんな結果になるまでその両親を追い詰めたものはなんだったんだろうか。

121:
◆OFa0FInsIU:2011/11/27(日) 15:59:02 ID:sMCa5523Yo

ガタンッと大きな音がして、場にいた全員がそっちの方向を見た。

「椅子が倒れただけだ。老朽化でもしてるんじゃないか」
「なんだ、つまらないですね」

ざわつく中、後輩がニヤニヤと笑う。私はすでに嫌な予感が止まらない。ゆっくりと奥に向かって歩きながら溜め息を吐き出した。


122:
◆OFa0FInsIU:2011/11/27(日) 15:59:10 ID:sMCa5523Yo

「ウアアアアアアアンッ!!」

なにかの泣き声が耳をつんざく。小さい子ども、いや赤ちゃんの泣き声だろうか。奥の部屋からだ。

「行きますか」
「勇者か君は」
「僕ちょっと見てきます部長ー。先輩はどうしますか?」
「……待ってる」

ニヤリと後輩が笑って、そのままパタパタと奥の部屋へ。泣き声は止まない。


123:
◆OFa0FInsIU:2011/11/27(日) 15:59:18 ID:sMCa5523Yo

ぴたりと泣き声が止まった。少しして、奥の部屋から後輩が出てきた。つまらなそうな顔をして。

「ボイスレコーダーがありましたよ。誰かが悪戯で仕掛けたんじゃないですか?」
「つまらないな。」
「ほんと面白くないですね」
「今日はもう帰るか」

後輩と部長が頷き、廃墟から撤退とばかりに引き返す。


124:
◆OFa0FInsIU:2011/11/27(日) 15:59:27 ID:sMCa5523Yo

店の照明や看板なんかで、明るい駅まで戻ってくる。そこからはバラバラに解散だった。

「ボイスレコーダーか…手の凝った悪戯するもんだね」
「ありませんでしたよ、そんなの」
「え?」

後輩がニヤニヤと答える。

「あそこでそんなこと言ったらみんなパニックになるかなって思って。それにあんなタイミングよく鳴らすのも無理ですしね。」
「…じゃあ、あの部屋にはなにがあったの?」
「半透明の赤ちゃんが居ただけですよ」

聞かなければ良かったと後悔した。寒いのに寒くなっても意味がないと思う。


125: 名無しさん@読者の声:2011/11/27(日) 16:14:51 ID:sMCa5523Yo
後輩はニヤニヤ顔がデフォなのか?
先輩を怖がらせやがって…!!
これでも食ってろつ冷めきって固い肉まん
先輩ついちご牛乳
1つCと温かい肉まん
126:
◆OFa0FInsIU:2011/11/27(日) 19:29:45 ID:KXnfP1O8Pc
>>125
デフォですね!支援ありがとうございます肉まんうめー
後輩「この肉まんは虚しくなりますね」
先輩「ありがとう」
127:
◆OFa0FInsIU:2011/11/27(日) 19:36:14 ID:emIXT3i.Lo
そういえば霊感のことあんまり書いてなかったなあ…と思うのでちょっと補足。ていうか蛇足を。
これの霊感の強い人と一緒にいると、霊感が高くなっていきます。先輩が見えない→見えるようになったみたいな感じです。
128:
◆OFa0FInsIU:2011/11/28(月) 22:08:31 ID:sMCa5523Yo
12月24日だ。

「クリスマスですね」
「クリスマスだね」
「リア充爆発しませんかね」
「ほんとだよね」

すさんだ目で街ゆくカップルを見る。バイト帰り、遊びに来てた後輩とイルミネーションの街を帰る方向に足を進める。


129:
◆OFa0FInsIU:2011/11/28(月) 22:08:40 ID:sMCa5523Yo

「余ったケーキ2箱貰ったから1箱あげる」
「ありがとうございます」
「あ、サンタが居る」
「トナカイも居ますね」
「着ぐるみあったかいかな」
「服よりあったかいでしょうね」

ため息を吐き出したら、白く夜空に消えた。キラキラ光る大きなツリーは、なにかを寂しくさせた。しかし、さっきっからイルミネーションの中でぼやける場所があるのはなんでだろう。


130:
◆OFa0FInsIU:2011/11/28(月) 22:08:48 ID:sMCa5523Yo

「あーあ、霊もリア充を憎らしげに見てますね」
「あのぼやけた場所か!」
「嫌なオーラが出てますよ、悪霊になったりして」
「クリスマス憎みすぎでしょ」

なんか生暖かい気持ちになってしまったじゃないか。カップルの笑顔が痛いよこのやろう。


131:
◆OFa0FInsIU:2011/11/28(月) 22:08:56 ID:sMCa5523Yo

「…寒い」
「仕方ないですね」
「ちょ」

ひょいと右手が後輩の左手にとられ、そのまま後輩のコートのポケットに入れられる。手は繋がったままだ。

「…クリスマスですし」

見える後輩の横顔は耳が真っ赤だった。今周りからはリア充に見えたりしてるんだろうか。
132: 名無しさん@読者の声:2011/11/28(月) 22:14:18 ID:emIXT3i.Lo
リア充は爆発しろ…
だが、先輩が幸せならゆる…ゆ、ゆる…許しますん
どちらにせよ、後輩はちょっと体育館裏に来い
133: 名無しさん@読者の声:2011/11/28(月) 22:20:27 ID:NJj.6Hm5WM
どこからどうみてもカップル
…と言うか一期が終わった時点で二人は付き合ってんのかと思ってたわ
支援CCCC
134: 名無しさん@読者の声:2011/11/28(月) 22:33:45 ID:XUvetU6So.
やだ…後輩がイケメン……

C
135: 名無しさん@読者の声:2011/11/29(火) 00:10:56 ID:BLweTTbNbQ
びゅよわぁぁぁわあ!!!!!もうお前ら結婚しろぉぉぉお!!!!ついでに二人共私のところに嫁にこい
っCCCCC
136: 名無しさん@読者の声:2011/11/29(火) 02:04:24 ID:xuRbI0Znno
1毎日更新おつかれ。
そして後輩よくやった!!
いいこいいこ(*`´*)\(^^ )
CCCC
137:
◆OFa0FInsIU:2011/11/29(火) 21:46:55 ID:KXnfP1O8Pc
>>133
後輩「呼び出し…告白ですか?」
先輩「違うだろう」

>>134
支援ありがとうございますー!

>>135
支援ありがとうございます!
後輩「ですって」
先輩「なんてこった」

>>136
ありがとうございます(´∀`)

すいませんが今日は更新無しです…
138:
◆OFa0FInsIU:2011/11/30(水) 19:09:29 ID:emIXT3i.Lo
がたんがたんと心地よいテンポで揺れる電車にうとうとしかける。隣に座る後輩も小さい欠伸をひとつ零した。話題になっている心霊スポットに出かけた帰りだった。まあ結局なにもでなかったのだけど。

乗客のまばらな車内にゆっくりと目を閉じた。


139:
◆OFa0FInsIU:2011/11/30(水) 19:09:36 ID:emIXT3i.Lo

「……あれ、ここどこだ」

次に目が覚めた時、車内の表示は知らない地名を言っていた。乗り過ごした!?眠りこけている後輩の肩を揺らす。

「ね、起きて」
「……はい?」
「乗り過ごした」

眠たげに目をこする後輩も驚いたのか表示を見てから、溜め息を吐いた。乗客もいつの間にか私たちだけになっている。ただそんなに遠い場所にまで行っていないはずなのに、まったく知らない駅名だった。"辿"と書かれている。タドル?読み方さえ良く知らない。

「とりあえず、降りてみますか。で、逆の電車に乗りましょう」
「そうだね」


140:
◆OFa0FInsIU:2011/11/30(水) 19:09:44 ID:emIXT3i.Lo

着いた駅は無人駅らしかった。屋根もない駅にベンチと小さな改札。これじゃあ逆方向に行く電車がすぐ来るのは絶望的だろう。

「うーん、失敗しましたね」
「ね。ほんとに」

人気の無いホームに途方に暮れる。それにさっきからお腹の下辺りに響く重低音が気になっていた。和太鼓?の音だろうか。


141:
◆OFa0FInsIU:2011/11/30(水) 19:09:52 ID:emIXT3i.Lo

「なにやってるのおにいちゃんたち」

高い声がして、私と後輩は振り返る。男の子がぽつりと笑みを浮かべて立っていた。どこかに違和感を感じる。

「君、地元の子?」
「じもと?」
「ここらへんに住んでいるの?」
「うん。だけどおにいちゃんたちはここにいちゃいけないひとたちだ」

すうと子供の目が開く。瞬間ぞわりと背筋が凍った。アーモンド型をしたその瞳には白い部分がなく、すべて真っ黒だった。宇宙人、のような。


142:
◆OFa0FInsIU:2011/11/30(水) 19:10:00 ID:emIXT3i.Lo

後輩と目配せをし、異変を確認し合う。子供はぱしりと後輩と私の手をつかみ、ぐいぐいと改札の方へ歩き出した。体温を感じないひどく冷たい手だ。

「ちょっ、あの、どこ行くの?」
「あっちー」
「あっち?僕電車待たないと行けないから遊べないよ」
「電車なんて来ないよ」

振り向きもせず、やけに冷たく低い声で子供が言った。

「たいこのおとにおいつかれちゃったら、もうかえれないんだ」

次は振り返り子供は無邪気に笑う。太鼓の音は、もうすぐ後ろに聞こえていた。


143:
◆OFa0FInsIU:2011/11/30(水) 19:10:10 ID:emIXT3i.Lo

改札を抜け、太鼓の音とは反対の方向に手を引かれ、歩く。本当は、この子を信じていいのか迷っていた。後輩も同じらしい。踏み出す度に、近づいてくるような太鼓の音に焦りを感じる。どうして離れないのだろう。やけに冷たい手も、私をもっと困惑させる。ただ駅にいたなら、きっともう太鼓の音に呑まれていただろう。

「ここからでばいばい。まっすぐだよ」

パッと手が離れ、子供が私と後輩に言う。後輩と顔を見合わて、頷き、走り出す。太鼓の音はもう足元に届きそうだ。


144:
◆OFa0FInsIU:2011/11/30(水) 19:10:18 ID:emIXT3i.Lo

「…ッはあ、げほっ」
「大丈夫ですか、先輩」
「つ、つかれた…!」

ゼーゼーと肩で息をし、歩き出す。太鼓の音はもう聞こえて来なかった。そして徐々に、街の喧騒の音が溢れ出す。

「…あ」

路地を抜け視界が開けたそこは、いつものコンビニの前だった。安心感から、どっと体の力が抜ける。


145:
◆OFa0FInsIU:2011/11/30(水) 19:10:30 ID:emIXT3i.Lo

「やっぱり」
「なにが?」
「見てくださいよ、これ」

ケータイをいじっていた後輩が私にその画面を見せる。そこには"辿 駅名"についてのヒット件数、0。と嘘を付くことのない検索エンジンが私を嘲笑っていた。


146:
◆OFa0FInsIU:2011/11/30(水) 19:11:09 ID:emIXT3i.Lo
とりあえず今週中には完結させたいです。
147: 名無しさん@読者の声:2011/11/30(水) 19:15:51 ID:O2Dmey52w.
今更だが>>137ちょっとだけ安価ズレてる…w
つCC
148: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 20:57:51 ID:TGVSMZXQN2
1どうしたのかな
149: 名無しさん@読者の声:2011/12/9(金) 18:40:08 ID:zTNCLrUT72
コソーリ支援
つCC

……>>148のID地味に凄いな
150:
◆OFa0FInsIU:2011/12/15(木) 23:04:03 ID:0Mq15kpv1c
>>147
うわあ、ほんとだ!ありがとうございます。
支援もありがとうございますー!

>>148
すいません、テストと体調不良で死んでおりました。

>>149
支援ありがとうございますー!
IDwwほんとですねwww



ずいぶん間が開いてしまいました、申し訳ありません。今日からまた、ぼそぼそと更新していこうと思っています。それと、名鑑ありがとうございました!!
151:
◆OFa0FInsIU:2011/12/15(木) 23:04:12 ID:0Mq15kpv1c

「テストどうだった?」
「山がバッチリ」
「それは良かった」

ニヤリと笑う後輩は、こういう要領が常々良いと思う。机の上に広げられたポテチとかじゃがりこだかに手を伸ばす。テスト明けのささやかな打ち上げだ。
「乾杯しますか」
「しようか」

と言っても、普通のパックジュースだけど。ていうかいつものいちご牛乳だけど。

「じゃあ、テストお疲れ様ー!」
「お疲れ様でしたー」

軽く後輩のもつフルーツ牛乳にあて、その流れで口を付ける。柔らかな甘味に頬が緩んだ。


152:
◆OFa0FInsIU:2011/12/15(木) 23:04:20 ID:0Mq15kpv1c

「じゃあ僕がクラスで10番以内入ったら肉まん奢ってくださいね」
「それ可能性どのくらい?」
「今回は出来が良いんで、50%くらいです」
「うわ、結構可能性高い」
「出来の良い後輩で良かったじゃないですか」
「ああ、うん、すごく良いことだね」

これは肉まんの可能性が高いぞ。まあいいけどさ、別に。新しい味のじゃがりこがおいしい。手元を見ずに、ポテチに手を伸ばしていたらなにかふにゃりとしたものに触れた。


153:
◆OFa0FInsIU:2011/12/15(木) 23:04:27 ID:0Mq15kpv1c

「!?」

驚いて手を引っ込めると、今まで手があった場所になにかが居た。

「…………なに、この子」
「この子って感じじゃないんですけど」
「うん、確かに」

後輩がニヤニヤ笑いながらそれに顔を近づける。そこには小さな人の形をした、いや男の人をそのまま小さくしたようなものがこちらを凝視していた。


154:
◆OFa0FInsIU:2011/12/15(木) 23:04:37 ID:0Mq15kpv1c

「あれですよ、これきっと。世の中で話題の小さいおじさんってやつです」
「ああ、これが噂の」

あれは酔っている人が言っているのかと思ってたけど、本当にいるのか。確か、見たら幸せになれるとかなんとかだったっけ?なんだか座敷わらしみたいな話だ。

「あ、向こうからもう一人」
「ほんとだ」

パタリと小さな足音で、机に乗っていた小さいおじさんがやってきたもう一人がいる方へ走り出す。小さな足が可愛い。そのままぴょんと机から飛び降り、もう一人と扉の向こうへ消えた。後輩と私はそれぽかんと見つめていた。


155:
◆OFa0FInsIU:2011/12/15(木) 23:04:48 ID:0Mq15kpv1c

「………」
「………」
「……帰ろうか」
「……そうですね」

しばらくそこを眺めたあと、思い出したかのように席を立った。お菓子はいつの間にか空になっていたようだ。飲み干したパックをゴミ箱に向かって少し遠くから投げれば、きれいに放物線を描いて収まった。


156: 名無しさん@読者の声:2011/12/16(金) 16:00:44 ID:3R25jpF2So
なにこれおもしろい

先輩に つスライム肉まん&高級いちご牛乳&トッポ
1に  つスライム肉まん&C&愛情
後輩に つう○こ型う○こ
157:
◆OFa0FInsIU:2011/12/17(土) 20:14:16 ID:kHGiBv2CBo
>>156
支援+愛情ありがとうございます!スライム肉まん、気になります!!
先輩「すごいおいしいのきた!」
後輩「先輩との落差がひどい」
158:
◆OFa0FInsIU:2011/12/17(土) 20:14:36 ID:kHGiBv2CBo
夢の中の私は遊園地にあるような小さい電車の後ろから3番目に乗っていて、後ろから順に駅につく度に悲惨なことになっていく。"活け作り"だとか"えぐり出し"だとか。順番的に自分の番になったときに、駅に着く瞬間にバッと起きた。冬場だと言うのに、ぐっしょりと汗をかいていた。


「それ、猿夢じゃないですか?」
「さる…?」
「はい、猿夢です。3回目で後ろの乗客と同じになりますよ」

今朝見た酷い夢を後輩に伝えたらケロリと彼はとんでもないことを言った。ちくしょう泣くぞ。


159:
◆OFa0FInsIU:2011/12/17(土) 20:14:44 ID:kHGiBv2CBo

「まあ大丈夫じゃないですか?2回以上見る人は少ないって言いますし」
「なら良いんだけど」
「それで先輩話ってなんですか?まさか夢の話するためだけに僕に電話かけて来たなんてこと無いですよね」

ケータイの向こうで怪訝そうな後輩が見えるようだ。違うよ、と言いながら手帳を広げる。

「今週末ていうか、日曜から月曜まで空いてない?」
「空いてますけど」
「田舎は好き?」
「嫌いじゃないです」
「泊まり平気?」
「大丈夫です」
「よし、一緒に私の祖父の家に行かないかな」


160:
◆OFa0FInsIU:2011/12/17(土) 20:14:53 ID:kHGiBv2CBo

一瞬の沈黙の後、後輩が笑う。

「どうして急に?」
「いや、親も弟も行けないんだ。一人で行くのもなんだからさ」
「いいですよ。やることもないですし」
「ありがと。じゃあ詳細はまた連絡する」
「了解です」

それじゃあ、とぷつりと電話が切れる。手帳に印をつけて、リビングに降りる。


161:
◆OFa0FInsIU:2011/12/17(土) 20:15:03 ID:kHGiBv2CBo

「お父さん、おばあちゃん家友達と行くから」
「わかった。連絡しとけよ」
「うん」

本を読んでいた父に告げる。ソファーに座ってゲームをやっていた弟が顔を上げた。

「姉ちゃん、誰と行くの?」
「後輩」

ええーとでも言いたげな顔の弟に、首を傾げる。なぜそんな反応をするんだ。

「やっぱ俺も行こうかな」
「あんた補修なんでしょ」
「なんとかなるし」

またゲームに顔を戻した弟が言った。これは賑やかになるかもしれないな。


162:
◆OFa0FInsIU:2011/12/17(土) 20:22:32 ID:qCpz/yw98w
そんなわけで田舎編スタートです。今日はここまでー
163: 名無しさん@読者の声:2011/12/17(土) 22:32:02 ID:SSY42d09lU
二人で旅行ktkr!
と思ったけど、弟ナイスディフェンス〜

164: 名無しさん@読者の声:2011/12/18(日) 21:48:33 ID:adi9mYDq.Y
きっと後輩は待ち合わせ場所にきた弟見て嫌な顔するな(笑

後輩vs弟期待←
つC
165: 名無しさん@読者の声:2011/12/18(日) 22:16:25 ID:zTNCLrUT72
弟へ
っ肉まん
これがあれば後輩は思うがままよ

っC
166:
◆OFa0FInsIU:2011/12/18(日) 22:52:14 ID:CKcIWALllQ
>>163
弟「俺は!断固阻止して!いこうと!思う!」

>>164
支援ありがとうございます(・ω・*)彼らの仲の悪さが何故だか微笑ましく思える今日この頃ww

>>165
支援ありがとうございますー!!
弟「ありがとう!よしこれで、ちょっと罠仕掛けて来る!」
先輩「なにしでかす気なの」


167:
◆OFa0FInsIU:2011/12/18(日) 22:52:32 ID:CKcIWALllQ
良く晴れたにしては寒い午前中。リュック一つに収めた荷物を持って待ち合わせ場所に向かう。エナメルに荷物を詰めた弟も当然のようについてきた。補修はいいのか補修は。待ち合わせに指定した最寄りの駅で良く見知った後ろ姿がケータイをいじっていた。

「おはよ」
「おはようございます先輩…って、弟さん行けないんじゃなかったんですか?」
「どうもおはようございます!」

顔をしかめた後輩と半ば挑戦的に言葉を投げた弟の間になにか火花的なものが見えた気がした。先が思いやられるな。互いにそっぽを向いた二人の間を歩きながら、そう考えため息を吐いた。


168:
◆OFa0FInsIU:2011/12/18(日) 22:52:41 ID:CKcIWALllQ

「姉ちゃんポッキーあげる」
「先輩トッポどうぞ」
「……ありがとう」

不安は現実味を持って来たようだ。よく似た味の2本を食べながら、ぼんやりと窓の外を見る。ボックス席の向かいに座った後輩も窓の枠に頬杖をついて外を眺めていた。隣に座る弟は2袋目のポッキーを開けた。

「たった1時間くらいで景色って変わるんですね」
「どんどん田舎になるからねえ」

緑の多くなった景色に思いを馳せる。雪はあまり降らない地域だから、その緑の多さがずいぶんと際立っていた。


169:
◆OFa0FInsIU:2011/12/18(日) 22:52:49 ID:CKcIWALllQ

「よく来たねえ!」

明るい第一声と共に、祖母がニコニコと笑いながら玄関を開けた。

「久しぶりばあちゃん」
「これ、お父さんとお母さんから。あとこの子が一緒に来るって言ってた後輩の結城君」
「お世話になります」

両親から預かった荷物を渡し、簡単に後輩の紹介を済ませる。昼は電車で食べたがらいらない、と伝えるとそれじゃあ来てすぐで悪いが畑まで祖父を呼びに行ってくれと頼まれた。最低限の荷物だけを持ち、もう一度外に出た。


170:
◆OFa0FInsIU:2011/12/18(日) 22:52:57 ID:CKcIWALllQ

「畑ってどこにあるんですか?」
「ずっとまっすぐいったところ。ちょっと遠いんだよね」
「そうなんですか。というか僕は今、家が想像以上に大きくてびっくりしてるんですが」
「広いけどボロいんですけどね」
「味があって良いと思うよ」

他愛もない話をしながら、緩やかに舗装された道を歩く。見渡す限りは田んぼか畑で、遠くには山も見える。のどかで平和だ。


171:
◆OFa0FInsIU:2011/12/18(日) 22:53:12 ID:CKcIWALllQ

「クネクネでも出そうですね」
「さすがに見たこと無いな」


後輩がニヤリと笑う。ああ、都市伝説だと思ってきたものもずいぶん見てきたから、クネクネが出ても可笑しくない気がする。ただ、と前置きをし少し背伸びして後輩に耳打ちする。

「後ろから名前を呼ばれても、足音が聞こえても振り返らなくて良いよ。どうせなにもいないから」

後輩が私を見つめ、それに返すように私はへらりと笑う。いつもと立場が逆転したみたいだ。私に聞こえるのだから後輩にも聞こえているのだろう。一つとは言わず、いくつか増えた足音も、遠くから名前を呼ぶ声もずいぶん昔からこの道で聞いてきた。
だけど、誰?と聞いても答えは帰ってこないのだ。振り返らずに、歩きながら見えてきた畑にいる祖父に手を振った。


172: 名無しさん@読者の声:2011/12/21(水) 01:49:33 ID:3R25jpF2So
立場逆転で謎解きはディナーの後で思い出したw
173:
◆OFa0FInsIU:2011/12/24(土) 20:12:32 ID:CKcIWALllQ
>>172
謎解きw影山も麗子ちゃんも可愛いですよね!

みなさんメリークリスマス!リア充?なにそれ食べれるの?

174:
◆OFa0FInsIU:2011/12/24(土) 20:12:41 ID:CKcIWALllQ
晩御飯を食べ終え、一息吐く。思ったより疲れた1日だったな。お風呂入っておいで、と祖母に言われた。

「よし、順番じゃんけんしよう」
「さいしょはグー!じゃんけんっ」

ポン、と出された手の形は私の一人勝ちで、よしっとガッツポーズ。後輩と弟は2番目を決めるために白熱している。寝間着を持ち、風呂場へ向かおうとしたら後輩に肩を叩かれた。


175:
◆OFa0FInsIU:2011/12/24(土) 20:12:49 ID:CKcIWALllQ

「先輩確かここのお風呂、窓がありましたよね?」
「ああ、うん。あるね」
「そっちから見られてる気がしても、振り向いちゃいけませんよ」
「え?」
「水場の窓辺には霊が寄るんですよ。あ、でも、背後に視線を感じたら上にいますよ」
「ちょ、」
「あと、だるまさんがころんだ、なんて考えちゃいけませんよ」
「ねえ、なんでそんな話、」
「それじゃあ、行ってらっしゃい」

どうやら後輩は弟にじゃんけんで負けたらしい。


176:
◆OFa0FInsIU:2011/12/24(土) 20:12:56 ID:CKcIWALllQ
些かいつもより温度が低い気がするお風呂場からなんとか無事にあがり、上の荷物が置いてある部屋に行くと布団が敷いてあった。

「この部屋姉ちゃんだけだって」
「二人はどこで寝るの?」
「隣の部屋ー。つうか俺、あいつと二人かよ」

それじゃ、俺風呂行ってくると弟が服を持って出て行った。なるほど、さすがに男2女1は部屋別になるなのか。ばたりと布団に倒れ込むと急激な睡魔に襲われた。いいや、少し眠ってしまえ。


177:
◆OFa0FInsIU:2011/12/24(土) 20:13:03 ID:CKcIWALllQ
ガタンガタンとちゃちな電車の音が聞こえる。鼻につく臭いは血のような、よくわからない気分が悪くなりそうな臭いだった。私が乗っているのは小さな電車。この光景を、私は、知っている。

「次は挽き肉」

不気味な声が聞こえる。この前の続きからか。ウインと聞こえた不吉な電子音に、意識がはっきりする。そういえば次は、私の番だったじゃないか!起きろ起きろと念じながら、ぎゅうと目を瞑る。運転手の不気味な声が私に問う。

「また逃げるんですか?」
「な、にを」
「今夜、またお会いしましょう」


178:
◆OFa0FInsIU:2011/12/24(土) 20:13:11 ID:CKcIWALllQ

「先輩、大丈夫ですか?」

飛び起きて、視界に入ったのは後輩だった。眉を寄せて私の顔を覗き込む後輩の瞳には心配の色が写っていた。

「うなされてましたけど…」
「また、あの夢を見た」
「猿夢の続きですか」

こくりと頷けば、後輩は眉を下げ困ったような顔になった。

「2回目ですか」
「しかも今夜また、って言われた」
「やばいですね」
「だよね」


179:
◆OFa0FInsIU:2011/12/24(土) 20:13:30 ID:CKcIWALllQ
「なにしてんの」

がちゃりとドアが開き、弟が濡れた髪を吹きながら入ってきた。顔を見合わせる私たちを見て、怪訝そうに首を傾げる。

「あ、ねえ。今日君こっちで寝てよ」
「はあ?なに言ってるんですか?」
「ちょっと、緊急事態なんだ」

後輩が弟をなんとか頷かせ、私の手を引き隣の部屋へ移る。

「僕がいれば平気ですよ」
「そんな自信満々な」
「先輩には昔、借りがあるので。」

猿夢なんかに負けさせません、と後輩が笑う。

「僕が嘘つきじゃないって、信じてくれるでしょう?」
「…うん。」

大丈夫だと根拠なんてなくても思ってしまえるのは、彼の瞳に涙は無く、強く私を見つめていたからだろうか。


180: 名無しさん@読者の声:2011/12/24(土) 21:39:24 ID:yuq3.6YHeE
C
先輩にはついちご牛乳
後輩にはつあんまん
181: 名無しさん@読者の声:2011/12/25(日) 00:58:17 ID:fTO77Z9Njg
あれあれなんかドキドキしてきたぞ。

182: 名無しさん@読者の声:2011/12/25(日) 20:32:59 ID:zTNCLrUT72
後輩に っ朝の余りの肉まん
先輩に っトッポ&いちご牛乳
183:
◆OFa0FInsIU:2011/12/25(日) 21:32:06 ID:ML6LWqC7eY
>>180
支援ありがとうございますー!
先輩「ありがとう」
後輩「おしい!甘い!」

>>181
それが…恋です…(ドキドキ

>>182
後輩「パサパサだ…だけどやっと肉まんですよ!」
先輩「ああ、良かったね?」


さあ、次で最後です。
184:
◆OFa0FInsIU:2011/12/25(日) 21:32:15 ID:ML6LWqC7eY

「先輩、僕があげた御守り持ってますか?」
「うん」

お風呂から上がって来た後輩に言われ、鞄を探りいつか貰った御守りを取り出す。

「とりあえずそれ、身につけておいてください」
「了解」

言われた通り寝間着のポケットにそれを入れる。ガチャッと扉が開き、弟が顔をのぞかせた。

「UNOやんない?」

トランプでもいいけど、とどこかから引っ張り出してきたUNOとトランプを見せる弟に、後輩と二人で顔を見合わせてから頷いた。


185:
◆OFa0FInsIU:2011/12/25(日) 21:32:26 ID:ML6LWqC7eY

「ウノ!」
「ドロー4。で、ウノ」
「ここに来て4枚…」
「ドンマイ。私あがりー」
「俺もあがり」
「また負けた!」

だあああと頭を抱える後輩とそれを見て指を指して笑う弟。私もクスクスと笑いながらそんな光景を見る。ちらりと時計を見れば、すでに12時を回っていた。このまま朝になってしまえばいいのに、そう思った矢先に弟が立ち上がった。

「じゃ、俺そろそろ寝るから」
「あ、おやすみ」

ヒラヒラと手を振る後輩に、私も釣られて手を振る。小さく押さえていた不安が、泣き出してしまいそうなくらい大きく膨れ上がっていく気がした。


186:
◆OFa0FInsIU:2011/12/25(日) 21:32:34 ID:ML6LWqC7eY

布団の上で、ぼんやりとしていたら急激に意識が睡魔に襲われる。他愛のない話をしていた後輩の声が遠くに、耳鳴りに飲み込まれていく。

「おやすみなさい、先輩」

やけにそれだけはっきり響いた後輩の声を聞いて、意識はすっかり闇に落ちていった。


187:
◆OFa0FInsIU:2011/12/25(日) 21:32:42 ID:ML6LWqC7eY

ゆっくりと夢の中で目を開けば、さっき見た電車が見える。背筋に冷や汗が伝った。

「お待ちしておりました。では、続きを」

ウィンとまた機械音が響く。チェーンソーがちらりと視界の端にうつる。ああ、本格的にまずいんじゃないか?ポケットを探り御守りを握る。ピリピリと空気の振動を感じるくらいチェーンソーが近づいている。息を呑み、ぎゅうと目をつむる。

「先輩!」

鼓膜に届いた声と、引かれた腕に反射的に目を開けた。


188:
◆OFa0FInsIU:2011/12/25(日) 21:32:55 ID:ML6LWqC7eY

引かれたことに寄って体が大きく後ろに逸れる。もとあった場所にはチェーンソーが宙を切った。ひとつ後ろの席に後輩がニヤニヤと笑いながら座っていた。

「飛び降りますよ!」
「は、え?」
「先輩、これはおもちゃの電車なんですよ。遊園地で子供が乗るような。速度も速くありません」
「あ、」

今まで、起こっていることにしか注目していなかったせいか、速度など考えてもいなかった。

「いっせーのー、」

手を繋ぎ直し、せ、のかけ声で電車から飛び降りる。真っ暗だった世界の地面に足を着ける。車掌は怒ったように声をあげていたが、なんて言ったかは聞き取れなかった。


189:
◆OFa0FInsIU:2011/12/25(日) 21:33:08 ID:ML6LWqC7eY

明るい方へ、暗闇を走り抜ける。光は次第に大きくなり、少し前を走る後輩の髪をキラキラと照らしていた。






「おはようございます、先輩」

ぱっちりと起き上がると、後輩が笑っていた。数分しか寝ていないようなずっと寝ていたような。とりあえず、窓の外には朝日が溢れていた。

「えーと、」
「夢じゃないですよ。いや、夢ですけど」
「そんなトトロみたいな」

夢だけど夢じゃなかった!なんて笑えない。ただ手は繋がれたままだった。

「二度寝しますか?」
「そうしようか」

額を突き合わせ、二人して笑い合う。ごろりと布団にもう一度寝転がれば、やわらかな微睡みに落ちていく。

繋いだ手は、あたたかい。


190:
◆OFa0FInsIU:2011/12/25(日) 21:36:01 ID:NJQCaBM7CM
これにて第二期終了です。
最後までお付き合いありがとうございましたー!!後半戦ぐだぐだになってしまって申し訳ありませんでした…。なにがともあれ、コメントや支援、絵を描いたりしてくださった皆様、ありがとうございました!

そしてそして、1のときみたいに需要があればリクエストか番外をやろうと思ってます(・ω・*)リクエストがあればドゾー!

191: 181:2011/12/25(日) 21:55:55 ID:qg1eb06PPw
どうやらあのドキドキは1に恋をしていたかららしいぞー!
毎回楽しませてもらった!
本当にありがとう!
番外編、動物霊とかどうだろう。

192: 名無しさん@読者の声:2011/12/25(日) 21:57:56 ID:7ZF8K9v94o
お疲れ様でした!先輩と後輩の微妙な距離感がもどかしくて堪りませんでしたw

リクエストになるかは分かりませんが、お互いがどう思っているのかもう少し知りたいです。ほら、バレンタインとか…(*´・ω・`*)
193: 名無しさん@読者の声:2011/12/25(日) 22:18:06 ID:tY8D9ZB9XA
面白かった!
先輩も後輩も弟もまとめてなでなでしたい
194:
◆OFa0FInsIU:2011/12/25(日) 23:14:32 ID:NJQCaBM7CM
>>191
私にですか!こ、これがクリスマスの奇跡ですかね…///
こちらこそ、お付き合いありがとうございました!嬉しいです(´ワ`*)
動物霊!面白そうですね!そういえば人間ばっかりで動物霊は少なかったですな!ありがとうございます!

>>192
最後までありがとうございました!いやあ、微妙な距離感が取っ払えない二人になりました。どっちかの背中を押せば、どうにかなりそうなんですが…!
これまた素敵なリクエストが…!二人の思いの話はやりたいと思ってたので頑張ります(´ω`*)

>>193
そう言ってもらえて嬉しいです!ありがとうございます!
先輩「わわ…!そんなわしゃわしゃくるか」
後輩「くすぐったいですよ!」
弟「まったく髪ちゃんと直してくれよな!」
※みんな顔デレデレです


195: 番外編1
◆OFa0FInsIU:2011/12/27(火) 14:41:35 ID:NJQCaBM7CM

――こっくりさん、こっくりさん、来てください。

――いらっしゃいましたら「はい」の方へ動いてください。


50音と鳥居が書かれた紙の上、ひとつの十円玉に人差し指が二本。教室は暗く、閉められたカーテンからは薄暗い光が洩れていた。

「あ、動きました」
「本当だ」

ゆっくりとはいの方へ動いた十円玉をぼんやりと眺める。なんとなく危機感を覚えられないのは、何度もやり尽くした遊びだからだろうか。十円玉なんて簡単に動くものだ。もし私か後輩が少しでも力を込めれば、そうでなくてもちょっとした催眠術のように集団心理が働き、その十円玉が人差し指の微妙な揺れを感じてなんとなく動いてしまう。よくできた肝試しである。

196: 番外編1
◆OFa0FInsIU:2011/12/27(火) 14:41:57 ID:NJQCaBM7CM

「なにから聞きましょうか?」
「明日の天気とか?」
「現実的ですね」
「当たっても外れても損がないからね」

好きな人とか、そういうのは当たっても外れてもどことなく気まずいものだし。

「こっくりさんこっくりさん、明日の天気はなんですか?」

ゆるやかに十円玉が50音の上を歩き出す。か、さ、その2文字を差して十円玉はぴたりと止まった。

「かさ、傘かな?雨みたいだね」
「雪かもしれませんよ」
「雹かもしれないね」

二人してクスクス笑う。どうやら後輩もあまり信じていないようだ。その後もいくつか重要性のない質問をし終えればいつの間にかカーテンの隙間から漏れる光は無くなっていた。

「そろそろやめようか」
「そうですね」

――こっくりさん、こっくりさん、帰っていただけますか?

「…あれ?」

すんなりと「はい」に行くはずだった十円玉がぐるぐると紙の上で円を書く。まるで帰るのを嫌がるように。


197: 番外編1
◆OFa0FInsIU:2011/12/27(火) 14:42:06 ID:NJQCaBM7CM

「君、こういう風に動かすのはどうかと思うよ」
「僕じゃないですよ。ほら」

す、と後輩が人差し指を持ち上げ十円玉に器用に爪だけを立ててみせる。その手には動かせるほど力が入っているとは思えない。先輩じゃないんですか?と言われた自分も後輩と同じようなことをしてみせた。

「本物さんでしたか」
「そうみたい」
「こんなこともあろうかと」

後輩が片手だけで鞄から水かなにかの入ったペットボトルを取り出す。バシリと何かが手に当たる感覚と、その水が紙の上にまかれたのはほぼ同時だった。

198: 番外編1
◆OFa0FInsIU:2011/12/27(火) 14:43:34 ID:NJQCaBM7CM

「止まった」
「いなくなったんだと思いますよ。強制退場です」
「塩水?」
「はい」

そのまま十円玉から指を離し、ビリビリと紙を破る。なにかが当たった手の甲には薄くなにかに引っかかれたような後が残っていた。こっくりさん…狐狗狸さん、か。






―――――――
動物霊…?
199: 名無しさん@読者の声:2011/12/28(水) 00:29:07 ID:ku2zoqU2iE
うおおおお!!
久しぶりに掲示板来たら再開してた!!
もう番外編だけど楽しみにしてます!!

先輩 ついちご牛乳
1 つC+愛
後輩に私の一番好きな肉まん、蓬莱の豚まんをあげようかと思ったけど、やっぱお預けw
200:
◆OFa0FInsIU:2011/12/28(水) 00:38:49 ID:uEIuKqEs0A
>>199
うあああお!あと少しですが、お付き合いお願いします!支援と愛をありがとうございますー!
先輩「ありがとう」
後輩「おいしそうなのに…!」
201: 番外編2
◆OFa0FInsIU:2011/12/28(水) 00:39:15 ID:uEIuKqEs0A
2月14日?明日だね。うん、わかってるよあれでしょう?卒業アルバムの撮影日。え、違うって?ああ、あれだわかった、佐々木先生の誕生日だったね。いい加減認めろって?はいはい、

「バレンタイン、か…」

小声でぽつりとチョコレート売り場の前で呟いた。母に頼まれて買い物に来ただけだというのに私はなにに悩んでいるんだろうか。手軽なチョコの箱をなんとなく手に取る。いや、誰に渡すんだ。

(……なんでそこで後輩の顔が浮かぶ)

思いを消すように頭を振った。


202: 番外編2
◆OFa0FInsIU:2011/12/28(水) 00:39:29 ID:uEIuKqEs0A

2月14日。バレンタインだ。といってもただの平日だし、いつも通りの日。3年は確か卒業アルバムの撮影だし、佐々木先生の誕生日だ。ほら普通。だから僕は下駄箱に小さな箱が入ってることなんて期待してないし、机の中に綺麗にラッピングされたお菓子が入ってることなんて…

「期待してた?」
「してない!」

友人が聞いてくるのにしっかりとした口調で答える。変わらずにニヤニヤ笑う友達のスネを一度蹴れば、友人は小さく呻いた。

「貰う当てはないのかね?結城」
「うるさいな、お前こそどうなんだよ」

そう言ってる間に、ぼんやりと先輩の顔が浮かんだ。いやいやいや、期待なんてしない方がいいんじゃないかと思うわけですよ僕は!


203: 番外編2
◆OFa0FInsIU:2011/12/28(水) 00:39:38 ID:uEIuKqEs0A

「ごめん待った?」
「10分くらいですかね」
「うーん微妙に待たせたか」

ちょっとした用事を済ませ、下駄箱で待ってくれていた後輩に声をかける。靴を履き替え、外に出るとまだ風が冷たい。

204: 番外編2
◆OFa0FInsIU:2011/12/28(水) 00:39:46 ID:uEIuKqEs0A

寒いなと制服のポケットに手を突っ込む。まあいつも通りの日だったなと考える。チョコ?なにそれお菓子会社の陰謀でしょう?

「あ、そうだ」

先輩が思い出したように鞄を覗く。首を傾げその様子を見ていると、鞄から綺麗にラッピングされた箱が先輩の白い手に握られていた。


205: 番外編2
◆OFa0FInsIU:2011/12/28(水) 00:40:15 ID:uEIuKqEs0A

「本命とか義理とかじゃなくて、あーうん、なんというか、なんとなくというか」

自分で渡しておいて恥ずかしくなった。差し出したそれを後輩は半分理解したような半分分かっていないような顔をして受け取った。

「…僕に?」
「君に。」
「バレンタイン?」
「…一応」

そう言えば、後輩は驚くほど柔らかく笑った。ポケットから出てきた後輩の手に、私の手が繋がる。

「帰りましょう」
「うん、帰ろう」







――――――
さてはリア充ってやつだな…?
206: 名無しさん@読者の声:2011/12/28(水) 01:01:36 ID:HfwcIy.z6A
友人の前では年相応な後輩、新鮮だ…!
支援!
207: 名無しさん@読者の声:2011/12/28(水) 13:57:28 ID:CA0eW9E7MM
リア充末永く爆発しろ…!!もう大好き!
先輩にビスコ
後輩にチョコまん
2人とも大好きだよ!
1さんに支援CCCC


番外編リクエストまだ受け付けてますかね…
ひとりかくれんぼ…とか|ω・)チラ
208:
◆OFa0FInsIU:2011/12/28(水) 21:48:07 ID:kHGiBv2CBo
>>206
支援ありがとうございますー!
後輩「新鮮?そうかな」
友人「敬語じゃないからだな」
ちなみに友人はかくれんぼのときの彼です

>>207
支援ありがとうございます(・ω・´*)もうほんと爆発!
先輩「最近はチョコ味のビスコもあるらしい」
後輩「そうなんですか。あ、これウマー」
リクエスト大丈夫ですよ!ほう、ひとりかくれんぼですか!面白そうですね!ありがとうございます!
209: 名無しさん@読者の声:2011/12/29(木) 00:17:13 ID:gIYkN3gmmM
付き合ってないはずなのにこのすさまじいリア充っぷり…俺はもう…だめだ…
後輩よ、そのチョコ寄越せ…!
210: 名無しさん@読者の声:2011/12/29(木) 18:10:22 ID:zTNCLrUT72
まとめのひとりかくれんぼ見て寝れなくなった覚えが…
このSSならほほえましい話に変えてくれるはず
1に っC
後輩に っ憎まん
先輩に っいちご牛乳
211:
◆OFa0FInsIU:2011/12/29(木) 22:11:58 ID:Rb8azzb4QA
>>209
私ももうダメです…。くそっリア充め…。
後輩「だめですあげません」
先輩「じゃあこれを」⊃チロルきな粉餅

>>210
支援ありがとうございます!
ここのまとめのは確か初代のですよね!あれはもうハラハラしっぱなしで…(・ω・`)
後輩「に、憎…?なにが入ってるんですか!?」
先輩「闇鍋感覚で頑張って」


212: 名無しさん@読者の声:2011/12/29(木) 22:31:31 ID:3R25jpF2So
しばらく見ないうちに先輩と親密な関係になりおって・・・
この前のう○こ型う○こ投げつけるぞ・・・

先輩につ高級いちご牛乳
後輩につ肉まん入りガラス製ふたのない箱&ボーリングの玉
213:
◆OFa0FInsIU:2011/12/30(金) 22:03:09 ID:wqIKr5Pn1c
>>212
ちょwwwwあなたでしたかwwww
後輩「やっぱり先輩との格差が…!!ていうかコレは割と辛いプレゼント!」
先輩「いちご牛乳ありがとう!ウマー」
214:
◆OFa0FInsIU:2011/12/30(金) 22:51:01 ID:aakFEk0YHQ

【安価】ひとりかくれんぼする【実行】

:1 ◆K0high:2011/12/30
学校の先輩とひとりかくれんぼします。安価行動しますんで、よろしくお願いします。
とりあえず準備、完了。あとは始めるだけ。
ちなみに人形はテディベアです。

安価>>215


―――――――――
風呂場に立ち、ケータイを打つ後輩を見る。

「なにしてるの」
「いや、ちょっと」

私に向かってニヤリと笑った顔はなにか楽しいことをやっているときの顔だった。無残に置かれたクマを見て、溜め息を吐く。ああ、少し嫌な予感。

「そろそろ始めましょうか」






―――――――
人いますかね?参加お願いします!なかったら泣く泣く勝手に進みますw
215: 名無しさん@読者の声:2011/12/31(土) 04:37:33 ID:u0ZPxjdKcQ
塩水を忘れて霊が複数でる
216:
◆OFa0FInsIU:2011/12/31(土) 11:28:24 ID:ML6LWqC7eY
:1 ◆K0high:2011/12/30
始めました。安価鬼畜www


――――――――

暗く狭い押し入れの中に隠れる。付けっぱなしにしてあるテレビの音がざわざわと聞こえてくる。冬場やるのはこれ寒くて辛いかも。


217:
◆OFa0FInsIU:2011/12/31(土) 11:34:32 ID:kHGiBv2CBo

息を潜め、暗い視覚の中研ぎ澄まされるのは聴覚だった。付けていたバラエティーが砂嵐に変わった。後輩はまだ楽しそうだ。足音が聞こえる。成功してるじゃないか、泣くぞ。

「あー、一体じゃないですね」
「わかんないよ四つん這いで歩いてるかも」
「覗いて見てみたらどうですか?」
「君がやりなよ」


――――――――
:1 ◆K0high:2011/12/30
成功してるっぽいですw
さあ、どうしますかね
安価>>218
218: 名無しさん@読者の声:2011/12/31(土) 11:36:59 ID:zfaQV.HN9M
先輩が覗いて!C
219:
◆OFa0FInsIU:2011/12/31(土) 11:44:40 ID:kHGiBv2CBo
:1 ◆K0high:2011/12/31
支援ありがとうございます。
ちょっとやらせて来ますね!


――――――――――

「てことで先輩、覗いて来てください」
「どういうわけでだ」
「大丈夫ですよ、行って行って」

後輩に背中押され、薄く開けた扉の隙間から覗き見る。

「!?」

勢いよく身を引き、扉をバタンと閉める。

「?どうしたんです?」
「目が!なんかと目が合った!」

向こうもこっちを見ていたということだろうか。バンバンバンッと扉がたたかれたように揺れ出した。


――――――――――
:1 ◆K0high:2011/12/31
バレたみたいです。まずいかな。安価>>220
220: 名無しさん@読者の声:2011/12/31(土) 11:45:58 ID:z9jgObZ0eU
とりあえずまだ隠れておくつC
221:
◆OFa0FInsIU:2011/12/31(土) 11:57:38 ID:Rb8azzb4QA
:1 ◆K0high:2011/12/31
わかりました。まだ身を潜めています。支援ありがとうございます!

――――――――

「うわ、これどうするの!」
「どうもこうも」

ガシャンと何かが落とされる音がした。ああ、部屋が荒れていく。とりあえず突破されないように扉を押さえ、息を殺す。扉が突破されるのも時間の問題みたいだ。


―――――――――
:1 ◆K0high:2011/12/31
そういえば塩水無いから出るに出れませんでした。出方、>>222


222: 名無しさん@読者の声:2011/12/31(土) 12:02:34 ID:Pdoapkk7vQ
御守りに塩が入ってたことを思い出す
223:
◆OFa0FInsIU:2011/12/31(土) 12:10:45 ID:kHGiBv2CBo
:1 ◆K0high:2011/12/31
そういえばそうでしたねw
ありがとうございます。

――――――――

「先輩、御守り御守り」
「?ああ!塩!」

ポケットを探り、随分役に立ってきてくれた御守りを引っ張り出す。

「これどうする?開けてまく?」
「持ってるだけで平気ですよ。…多分。」

少し不安ながら、扉を開け放つ。ああほら目の前にいるじゃないか!

「風呂場まで走りますよ」
「了、解!」


224:
◆OFa0FInsIU:2011/12/31(土) 12:16:14 ID:NJQCaBM7CM
お風呂場に付き、おきっぱなしになっていた塩水を人形にかけ終わらせる。足音はぱったりと止み、砂嵐がバラエティーに戻った音がする。

「こっくりさんより随分怖い」
「結構本格的な降霊術ですしねえ。それより僕はびっくりするほどユートピアとかやらなくてすんで良かったですよ」
「?」
「こっちの話です」

笑いながら後輩が言う。明かりを付け、ソファーに腰を下ろした。さっき落ちたであろう本棚の本が散らばっていた。


――――――――
:1 ◆K0high:2011/12/31
終わらせました。ご協力してくださったみなさんありがとうございました!


225:
◆OFa0FInsIU:2011/12/31(土) 12:17:23 ID:CKcIWALllQ

お付き合いありがとうございました!2011年はお世話になりました、2012年もよろしくお願いします(・ω・*)
先輩後輩「みなさんよいお年を!」


226: 名無しさん@読者の声:2011/12/31(土) 12:24:51 ID:fyGj/ZWG8Y
今年はもう終わり?
案外さらりと終わってしまった
227:
◆OFa0FInsIU:2011/12/31(土) 12:32:54 ID:ML6LWqC7eY
>>226
はい、終わりのつもりです。
番外編も全部書けましたし!そろそろ保管庫依頼も出す予定ですよ。
あ、質問等々は受け付けております\(^o^)/


228: 名無しさん@読者の声:2011/12/31(土) 12:38:40 ID:zTNCLrUT72
後輩のユートピア想像してシュール過ぎわろたww
229: 名無しさん@読者の声:2011/12/31(土) 12:39:03 ID:T3AF21QCso
>>
続編の予定は?
230:
◆OFa0FInsIU:2011/12/31(土) 12:42:43 ID:Ma9QevyP1Y
>>228
むしろ一回見てみたい←
先輩のいる前じゃしない気もしますが…

>>229
うーん新作を考えていますが、続編はまだ考えていませんね。多分また書きたくなると思いますが。


231: 名無しさん@読者の声:2011/12/31(土) 12:49:38 ID:qTDFqEjyZ2
続編でなくてもオカルト系が見てみたいです
232:
◆OFa0FInsIU:2011/12/31(土) 12:53:26 ID:qCpz/yw98w
>>231
オカルト私もまだまだ書きたいです!まだちゃんとやってない都市伝説とかたくさんありますしおすし!


233: 名無しさん@読者の声:2011/12/31(土) 13:00:30 ID:v4zazYCrug
ですよね

でも結構有名どころはやってくれたんで
234:
◆OFa0FInsIU:2011/12/31(土) 13:03:30 ID:NJQCaBM7CM
>>233
ありがとうございます。
くねくねとか田舎系のと学校の怪談系が少なかったかなあと思ってます。次はその辺も!
235: 名無しさん@読者の声:2011/12/31(土) 13:03:32 ID:zTNCLrUT72
とりあえず次作はいつかそのときまで待つとして

新作期待wktk
236:
◆OFa0FInsIU:2011/12/31(土) 13:06:23 ID:wqIKr5Pn1c
>>235
wktkありがとうございます(´ω`*)ご期待に添えるよう、頑張りたいです!
237: 名無しさん@読者の声:2011/12/31(土) 14:36:56 ID:M5gRc9VZHs
続編wktk
CCCCC
238:
◆OFa0FInsIU:2011/12/31(土) 15:31:00 ID:aakFEk0YHQ
>>237
支援&wktkありがとうございます!!
239: 名無しさん@読者の声:2012/1/1(日) 20:35:13 ID:i3uQ8i8VqE
新作待ちどお私怨
240:
◆OFa0FInsIU:2012/1/1(日) 20:40:51 ID:2Sat2g3ehg
>>239
ありがとうございますかんく!
241: 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
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名前:
sage:


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うpろだ
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