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後輩「先輩、落とし物です」
[8] -25 -50 

1: 1 ◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:32:36 ID:gdR95DCXGs

本格的に寒くなってきましたが、こりずにオカルト系SSを

また支援していただけたら嬉しいです


2: 名無しさん@読者の声:2011/11/14(月) 18:33:29 ID:qSwxP77vlw
続編コター!!!
3:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:35:37 ID:BhHGk/K4Z6
このSSはhttp://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch3/1318741216/l10の続編にあたります。

しかーし、読んでなくても大丈夫です。

また、実際の都市伝説などとは一部変わる場合がありますが、どうぞよろしくお願いします。

さあ本編はじまりです。
4:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:35:46 ID:BhHGk/K4Z6

「おはようございます。今日も肩になんか憑いてますね」

寒い朝に通学路で、後輩が嫌な事を言う。…この私の後輩は、少しだけ変わっている。

「塩でいいかな」
「いいと思います」

常備するようになった塩を取り出し、肩の辺りにかける。うん、こうしてると私も十分変な人間に見えるかもしれない。

「大丈夫です、見えなくなりました」
「そりゃあ良かった」


後輩は言わば、霊感少年である。


5:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:35:55 ID:BhHGk/K4Z6

「そういえば、村田先生が亡くなったらしいですね。先輩にも、学校から連絡来ましたか?」
「うん、来た。ちょっとびっくり。」
「ほんとですよ。聞けば、自殺らしいですし」
「へえ」

朝から残念なニュースだ。先生はなにを思い、そういう結果になってしまったんだろう。よく笑う先生だったのにな。


6:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:36:07 ID:BhHGk/K4Z6

暖房の効いたぬるい教室で、うとうとしながら授業を受ける。先生の声が子守歌のように聞こえてくる。頬杖をつき、もう寝てしまおうと黒板から床に視線を下げた。

目を閉じる。

クラスメートの話す声と先生の説明する声、それと空調の音に混じり、たっ、たっ、と机と机の間を歩く音が聞こえる。先生だろうか。

たっ、たっ、と後ろから歩いてくる音が近くなる。ああ、一応起きておこうかな。うっすらと目を開ける。瞬間、教室のざわめきがサアッと遠のいていった。ただひとつ、"足音"だけを除いて。


7:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:36:19 ID:BhHGk/K4Z6

たっ

たっ

ゆっくりとしたペースで、だけど確実に近くなるその音に、顔をあげてはいけない気がした。見ては、いけない。直感のようにそう感じる。しかし開いた目を閉じることはなぜか出来なかった。冷や汗が首筋を流れる。これはきっと先生なんかじゃ、ない。

一歩、

また一歩

床に落とした視界の端に、グレーのスーツと革靴が見えた。


8:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:36:26 ID:BhHGk/K4Z6

ガタンッと大きな音を立てて椅子から立ち上がる。極度に緊張した状態から解放され、乱れた息を整える。クラス中が私に注目してるのに気づいたのはその後だった。

「山岡、居眠りも寝ぼけるのもほどほどにしとけよ」
「すいません…」
「はい、座って座って。それじゃあ授業続けるからなー」

黒いスーツを着ている先生が言う。教室から笑いが起こった。ちくしょう顔から火が出そう。私はただ寝ぼけていただけだろうか。


9:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:36:34 ID:BhHGk/K4Z6

「先輩、今日授業中やらかしたそうですね」
「…情報早いね」

後輩がニヤニヤと笑いながら、放課後の教室までやってきた。委員会があるんで、と言っていた後輩を待っていたので、すでにクラスには人がいない。

「居眠りですか?」
「そんなところ。でも、一瞬おかしかったんだよ」
「おかしかった?」
「音が誰かの足音だけになって、それでグレーのスーツと革靴が…」
「ああ、それ。寝ぼけてませんよ」
「え」


10:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:36:48 ID:BhHGk/K4Z6

後輩がぴっと私の斜め後ろを差す。朝、塩をかけろと言われたところだ。

「消えてなかったみたいです。グレーのスーツで革靴を履いた男の人」

今更ながら、ずしりと肩が重くなった気がした。病は気から、と同じものだろうか。

「先輩、今日の朝踏切通って来ましたか?昨日そこで人身事故がありましたよね。」
「ああ、あったわね」
「それ、その人です。もっと言ってしまえば、村田先生、です。」

息を飲む。だから、私は足音を先生だと思ったのだろうか。そして先生は、昨日まで歩いていた教室を、授業を、もう昔のことのように懐かしんでいたのだろか。


11:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:36:57 ID:BhHGk/K4Z6


「どうしたら、いいかな」
「もう消えかかってるんで大丈夫です。多分、最後に教室くらい…と思ったんじゃないでしょうか」
「そっか。」
「それより早く帰りましょう。もっと寒くなりますよ」
「そうだね」

頭に浮かんだ昨日の先生の笑顔を思い出し、帰りには花でも、と思う。マフラーに顔を埋め、夕日の差し込む教室を出る。コンビニにでも寄って帰ろうか。


12:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 18:37:59 ID:JP3KYIqJtA
>>2
早いですwwまたよろしくお願いします(`・ω・´)
13: 名無しさん@読者の声:2011/11/14(月) 19:16:20 ID:uoyb.8XSIM
やったあああ楽しみにしてました!!
14:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 19:39:40 ID:N0nxWG/O6Y
>>13
いやっほおおおうありがとうございます!
15: 名無しさん@読者の声:2011/11/14(月) 21:05:45 ID:emIXT3i.Lo
お待ちしてました!!
では、さっそく…
先輩についちご牛乳
後輩につ豚角煮まん
1につCCCCC
16: 名無しさん@読者の声:2011/11/14(月) 21:12:10 ID:KhYF/s3dcs
支援!!
17:
◆OFa0FInsIU:2011/11/14(月) 21:31:19 ID:emIXT3i.Lo
>>15
ただいまですー!支援ありがとうございます!
先輩「ありがとう」
後輩「………ありがとうございます」
先輩「そう落ち込むなよ」

>>16
支援ありがとうございます(・ω・*)
18: 名無しさん@読者の声:2011/11/15(火) 03:16:49 ID:N.fuDU/X6E
おかえり、1。待ってたぞ!
先輩も好きだが、俺は後輩が大好きだ!
とりあえず後輩へつ野菜スティック

19:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 15:38:05 ID:q5FQ2QIDbc
>>18
待ってくださりありがとうございます、ただいま!

後輩「野菜スティック…だと…?」
先輩「これは変化球だね」


20: 名無しさん@読者の声:2011/11/15(火) 16:07:20 ID:kuK8OV/lB6
SNPI
21: 名無しさん@読者の声:2011/11/15(火) 17:04:13 ID:lNbS31iwTM
カムバック……だと……!?

楽しみにしとります
22: 名無しさん@読者の声:2011/11/15(火) 19:40:12 ID:O2Dmey52w.
続編キターw
とりあえず
1に つC
先輩に つ塩
後輩に つ肉
23:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:13:53 ID:emIXT3i.Lo
>>20
せんぱい か しんぱい か…!

>>21
カムバックですリターンズです!よろしくお願いしますー!

>>22
支援ありがとうございます!
先輩「よし」
後輩「どうして僕に投げるんですか!」
先輩「いやあなんとなく」
後輩「それより僕の肉"まん"の部分は…」



楽しみにしてくれていた方が多くてすっっっごく嬉しいです!ただいまー!よければどなたか名鑑も…と言ってみる。よし、今日も投下してきますお!
24:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:14:02 ID:emIXT3i.Lo
クリスマスシーズンになるせいか、店内にはジングルベルが流れ続けている。ショーウィンドウに並べられたケーキはどれもおいしそう。カランとドアベルが鳴る。

「いらっしゃいませ」
「来ちゃいました、先輩」
「今すぐ引き返してほしい」

私は只今、バイト1週間目に突入中である。


25:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:14:10 ID:emIXT3i.Lo

「素敵な制服ですね、先輩」
「ふざけないで。ていうか男が一人でケーキ屋ってどうなの」
「割と大丈夫なんじゃないですか?」
「君の根性はたまに関心するよ」

ヒラヒラとした制服をあまり後輩に見せないように、レジからショーウィンドウの後ろに場所を移す。

叔父がやっているケーキ屋で「この時期人手が必要なんだよ!」と言われ働き始めて早一週間。お茶も出来るこの店は結構繁盛しているようだ。


26:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:14:19 ID:emIXT3i.Lo

「苺のタルトとミルクティーで」
「…食べてくんだ?」
「はい」

ずいぶん可愛らしい注文だな、とか思いながらレジを打つ。トレーにケーキとミルクティーを置き、後輩に渡す。

「あー、席空いて…ないか」
「大丈夫ですよ」

満席になっているテーブルを見て私が言えば、後輩はにやりと笑ってそう答えた。そのまま窓際にある女の人が一人で座っている席に後輩は進んでいった。…相席とはやるじゃないか。


27:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:16:12 ID:gdR95DCXGs

「先輩、ショートケーキひとつ」
「まだ食べるの?」
「いや、あの人に買ってきてって頼まれたんです」
「ふうん」

ショートケーキをトレーに出し、後輩へ。最近の若い男の人に草食系が多いとか後輩を見て、嘘だと私は確信しました。なに女の人と仲良く談笑してるんだか。まあいいや、あと1時間で閉店だし。


28:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:16:21 ID:gdR95DCXGs

「閉店ですので、そろそろご退席を」
「はい」
「あれ、女の人は?」
「帰りましたよ」

さらりと後輩が答える。帰ったのか。でも見送った覚えがないな。見落としたんだろうか。

「送りますよ、先輩」
「別に平気だけど」
「外で待ってますね」
「人の話を聞きなさい」

まあそう言わずに!と後輩が笑う。外は寒いぞ、君。


29:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:16:32 ID:gdR95DCXGs

制服から私服に着替え、事務所にいた叔父に声をかける。叔父はにこりと笑みを浮かべた。

「今日来てた子彼氏?」
「断じて違うから!」
「なんだー。男の子が"一人"で座って食べてたから、てっきりそうかと思ったのになあ」
「…一人?」
「そうだよ。勇気のある子だね!」
「いや、そうじゃなくて。席には女の人もいたじゃん。色の白い、長い茶髪のキレイな人が。」

叔父の顔が変わる。なにかに気づいたような、同時に誰かを懐かしむような。目は私をじっと見つめていた。

「おじさん…?」
「あーごめん、なんでもないよ。そっかぁ…いたかぁ…」

机に肘を付き、額のあたりで手を組む叔父の声は震えている気がした。


30:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:16:40 ID:gdR95DCXGs

「遅いんですが」
「平気だっていったのに」

鼻を赤くした後輩が、ズボンのポケットに手をいれて待っていた。

「女の人、知り合い?」
「いや、まったく。」
「…へえ」
「"ここのショートケーキ、私大好きなの"って言ってましたよ。"優しい味だから"って」
「そう」
「なんで機嫌悪いんですか」
「悪くない!」

機嫌は悪くないが、なんだか寂しいようなどこかが不安なようなそんな気分だ。冷たい夜風が私の鼻まで赤くしていった。


31:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:16:59 ID:gdR95DCXGs

「ただいま」
「おかえり」

リビングに行けば、すでに帰ってきていた父親がサッカー中継を見ながら唸っていた。

「今日おじさんなんか変だったよ」
「ん?そうなんだふーん」
「軽いね」
「いや、良い歳した弟のこととかあんま興味ないし。」
「女の人の話したらさ、なんか急に元気なくして。」
「女…?」

父親が私を振り返る。

「どんな女の話だ?」
「は?あ、見た目?色が白い長い茶髪の女の人だけど」
「あー…そりゃ多分あいつの彼女だわ」
「おじさん彼女いるの」
「ずいぶん昔に死んじまったけどなあ」

テレビに顔を戻した父親が言う。ああじゃあ、叔父の声が震えていたのはそういう理由か。そして後輩が女の人と相席をしたのも。

明日、バイトに行ったら叔父に伝えよう。"優しい味のショートケーキ、大好きだ"って彼女が言っていたと。


32: 名無しさん@読者の声:2011/11/15(火) 20:25:23 ID:BhHGk/K4Z6
切ないな…
だが、その切なさが愛おしい。

33:
◆OFa0FInsIU:2011/11/15(火) 20:54:49 ID:ke8kDwatac
>>32
ありがとうございます。
おじさんまた出したいなあ
34: 名無しさん@読者の声:2011/11/15(火) 21:52:18 ID:1Z/UsIW8Is
後輩好きすぎて辛い(´;ω;`)

切ないけどほっこり
つC
35:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 15:59:01 ID:sMCa5523Yo
>>34
後輩「ありがとうございます」
支援ありがとうです!
36:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 18:53:26 ID:BhHGk/K4Z6

学校からの帰り道、後輩とコンビニに寄って帰る。おでんの湯気が寒い外から来た私の心を揺さぶる。

「おでん食べたい」
「コンビニのおでんおいしいですよね」
「そう言ってるそばから君は肉まんなのね」

とか言ったが、私だってトッポをレジに持っていく。いやあ、おでん惹かれるけどなんか違うじゃない。


37:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 18:53:40 ID:BhHGk/K4Z6

コンビニから出て、食べ歩きをする後輩の横を歩く。コンビニから家へ続くこの通りは人気がない。そんな通りで前から歩いてくる黒いパーカーの男の人がいた。珍しいこともあるもんだ。

「………あれって」

ぼそりと後輩が呟く。その声はかすれていた。なにかがおかしい。その原因を探るように男を見たときだった。陽の光を浴びて、きらりと凶暴に光る銀色のものを私が見たのは。

「…え、ナイ、フ?」
「いや、さすがに…鍵とかかもしれませんし」
「そ、だよね」

そう言葉を交わした直後に男が私たちへと走り出す。遠かったのがずいぶんと近くなり、目では鍵なんて言っていられないものを認識した。悠長によい子のチャイムが流れ出した。すれ違う直前にバンッと後輩に男とは逆側に押され、尻餅をつく。

次の瞬間に見えたのは、よろけた後輩と非日常すぎる赤。そして走り去っていく男の後ろ姿だった。


38:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 19:25:27 ID:KXnfP1O8Pc







「―――い、先輩。いい加減起きてくださいよ。山岡せんぱーい」
「ん…………!?」

呑気な声が聞こえ、びくりと体を起こす。目に飛び込んで来たのは見慣れた教室と後輩だった。

「…生きてる」
「そりゃあ、生きてますけど」
「…なんだ、夢かあ…」

やけにリアルな夢だった。手の汗がやばい。どうやら私は後輩を待つ間眠り込んでいたらしい。

「先輩、もしかしてその"夢"って僕が"通り魔に襲われて死ぬ"夢ですか」
「なんで知って…」
「僕も見ましたから」

後輩がにやりと笑う。彼も授業中に居眠りしている間に同じ夢を見たらしい。「とりあえず帰りましょう」と後輩に促され、バックを持ち、外に出た。


39:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 19:25:55 ID:KXnfP1O8Pc

そのまま学校から後輩とコンビニに来る。時計は4時20分を指していた。おでんがおいしそうだ。そうだ、トッポを買って帰ろう。後輩が肉まんを買っているのが見える。

ここまできて、自分が夢の通りに動いているのに気が付いた。

「行きましょうか」

すっかり買い終えた後輩が言う。私は首を振った。嫌な予感が止まらない。「ジャンプ読んできます」と後輩は笑って言った。


40:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 19:26:10 ID:KXnfP1O8Pc

雑誌コーナーでファッション誌を立ち読みする。時間を数分置きに確認していた。よい子のチャイムは今、確か4時30だったはずだ。だから、夢の中の後輩が刺されたのがきっとその時間。もし今強盗とか来たらどうしよう。負の連鎖のように悪い考えが広まる。外からよい子のチャイムが聞こえてきた。

「…そろそろ良いですかね?」
「うん、」

鳴り終わった頃に後輩が私を見て訪ねる。きっと後輩が見た夢も同じだったのだろう。去ったと思われる危機にほっと胸をなで下ろした。


41:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 19:26:32 ID:KXnfP1O8Pc

「なんだったんだろう、あの夢」
「予知夢とかですかね」
「でも、同じにならなかった」
「先輩が同じにしなかったんでしょう」
「死ななくて良かったじゃない」
「確かに」

軽口を叩きながら歩く。コンビニの前から少し遠回りだが大通りを歩く。人に紛れて、黒いパーカーを見つける。どきりと嫌な予感が胸をよぎる。いや、見間違いだろう。きっと人違いだろう。だってこれだけ変えたんだから。黒いパーカーの男とすれ違う。

「夢と違うじゃないか」

耳元で聞こえた低い声に背筋に冷や汗が流れる。振り返ったら、男がギリとこっちを睨んでいた。


42: 名無しさん@読者の声:2011/11/16(水) 20:23:10 ID:H6mdcGME.s
怖っ
43:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 21:29:25 ID:NkcF/Q9mp6
>>42
たまにはがっつりもいいかと思いまして…!
44: 名無しさん@読者の声:2011/11/16(水) 21:41:31 ID:O2Dmey52w.
>>43
これ見たせいで寝れない・・・

怖いんじゃないよ!先が気になってなんだよ!
つC
45:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 21:47:22 ID:ke8kDwatac
>>44
支援ありがとうございますー!怖いならば1が添い寝をしにいきますお…?ww
しかし、この話はここで終わりますね!ちなみに新耳の家に強盗が入る話が元ネタです。
46: 名無しさん@読者の声:2011/11/16(水) 22:12:02 ID:N0nxWG/O6Y
あああ!!ズルい!!
私とも添い寝してください!!
47:
◆OFa0FInsIU:2011/11/16(水) 22:17:04 ID:emIXT3i.Lo
>>46
ようし、ベッド半分開けといてくださいねww
後輩「1の変わりに僕が…」
先輩「やめなさい。>>46さんに迷惑がかかるでしょ!」

48: 46:2011/11/17(木) 00:02:53 ID:lNbS31iwTM
キングサイズのベッドを用意するので、1と先輩を両隣に…(´д`*)ハァハァ
後輩?いらね(゜Д゜)ペッ
49:
◆OFa0FInsIU:2011/11/17(木) 21:36:25 ID:AK.WDzviWU
>>48
添い寝と聞いて!ガラッ
後輩「なん…だと…」
先輩「君は床だって」
後輩「そんな!」

すいません、更新今日は無しです(・ω・`)
50: 名無しさん@読者の声:2011/11/17(木) 22:12:29 ID:qSwxP77vlw
明日に向けて支援!!!
51:
◆OFa0FInsIU:2011/11/17(木) 22:33:20 ID:q5FQ2QIDbc
>>50
支援ありがとうございます
明日は多分投下します!
52:
◆OFa0FInsIU:2011/11/18(金) 19:00:03 ID:AK.WDzviWU
なぜかここだけ薄暗い廊下を歩く。いや、奥に行くにつれて暗くなっていっているんだろうか。文化部部室棟、3階一番奥の部屋。オカルト研究部の部室に向かいながら私は溜め息を吐いた。

「なんかすごい嫌な雰囲気」
「明るい雰囲気じゃ面白くないじゃないですか」

前を歩く後輩から軽く言葉が返ってくる。まあ確かに、とわけのわからない納得をして、おとなしく暗がりへ突き進んだ。


53:
◆OFa0FInsIU:2011/11/18(金) 19:00:11 ID:AK.WDzviWU

「適当に座ってください。荷物はどけちゃって構いませんので」

後輩の所属する部活の部室はいろんなものでごちゃついていた。パイプ椅子と机のある場所にスペースを取り、椅子に腰掛ける。目に入った藁人形は見なかったことにしよう。

「面白いもの見つけたんですよ」
「だから、ここに連れてきたんでしょ?」
「そうなんですけど。まあ、見てください」

後輩が棚から一冊のファイルのようなものを取り出し、机に置いた。


54:
◆OFa0FInsIU:2011/11/18(金) 19:00:21 ID:AK.WDzviWU

「アル、バム…?」
「はい。それも心霊写真の」

ニヤリと後輩が笑う。パラリとそれを捲る。知らない誰かの心霊写真。テレビの特集なんかと同じ感じだ。怖いけど。

「まあ、作ったやつの方が多いと思いますけど。たまに本物もありますよ。」
「オカ研なに考えてるの…」

足が消えていたり、手が多かっり、顔が写ってたり。夜寝られなくなったらどうするつもりだコノヤロウ。もうすぐ終わりだ、と言うところで見覚えのある景色が映っていた。


55:
◆OFa0FInsIU:2011/11/18(金) 19:00:28 ID:AK.WDzviWU

それに映っているのも知り合いだ。

「去年の修学旅行の写真、ですよね?」
「…そうだね」

少しだけドキリとする。まさか、身近なものが出てくるとは。その写真から目を離し、次にいく。びくりとページを捲ろうとした手が震えた。

「私、だ」

こっちにピースをして笑っている女の子たちの中に紛れもなく私が写っていた。


56:
◆OFa0FInsIU:2011/11/18(金) 19:00:36 ID:AK.WDzviWU

「先輩です。曰く付き写真に写ってますが」
「君ねえ、そんなサラッと言わなくても…」

ガックリと肩を落とす。ちょっとそんな写真を撮られてたとはショックだなあ…。じっくりとそれを見て、可笑しな場所を探す。隅から隅まで見て気が付く。

「これ、変なところないじゃない」
「本当にそうですか?」
「?」

怪しい顔も写ってなければ、どこも消えていない。ましてや一緒に写っている友人たちは今も仲の良い子たちだ。首をかしげ後輩を見る。


57:
◆OFa0FInsIU:2011/11/18(金) 19:00:45 ID:AK.WDzviWU

「確か、右端にの先輩は修学旅行の時期に怪我をして入院してませんでしたっけ?僕の友達が、怪我をした現場にいたそうなんで間違いないはずです」
「あ…!」

そういえば、彼女は修学旅行の一週間くらい前に交通事故で入院したんじゃなかっただろうか。修学旅行の夜にも、そんな彼女に電話をした覚えがある。なら、どうしてここに写っているんだろうか。

「かなり行きたかったんだと思いますよ。生霊ってやつかと」
「…そっか」

写真の中で違和感無く笑う彼女に切なくなる。次は彼女も入ったみんなで、また旅行にでも誘ってみよう。
58:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 21:43:05 ID:NkcF/Q9mp6
昼休み、いちご牛乳を飲みながら思い出したことを後輩に言ってみた。

「占いって、信じる?」
「たしなむ程度になら」
「おっさんみたいな答えをありがとう」

興味が無さそうに後輩が言う。さすがに占いは別分野か。

「どうして急に?」
「いや、友達がさ。騙されたんだって」
「なににですか?インチキ霊媒師とか?」
「"神様からの使者"だって」


59:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 21:43:22 ID:NkcF/Q9mp6

「悪いことが起きるー、とか言って無理やりお守りを買わされたらしいよ」
「よくある話ですね」
「まあ確かに。」
「面白そうじゃないですか」
「え」
「どこでやってるんです?」
「…3A」

にやりと後輩が笑う。なんとなく次の言葉は予想できる。飲み終わったいちご牛乳のパックを潰しながら、時間を確認する。昼休みが終わるまで、後20分ある。

「行きましょうか」


60:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 21:43:30 ID:NkcF/Q9mp6

3Aの教室は他のクラスより随時賑わっていた。教室の一角に妙な人だかりが出来ているせいだろう。

「あの人ですか」
「多分」

中心の真ん中にいる長い黒髪の女の子。後輩が彼女を見て、カウプレが笑う。

「すいません、僕たちも占ってくれませんか?」

臆することなく言った後輩に、女の子はきょとんとしたあとに不敵に笑って頷いて、取り巻きは私たちを睨んだ。やだ怖い。

61:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 21:43:39 ID:NkcF/Q9mp6

「じゃあそこに座って」
「先輩どーぞ」

後輩に半分無理やり椅子に座らせられる。え、私が占って貰うの?座ったまま後輩を見上げればいつものニヤニヤ顔だったが、女の子との間に火花が見えた気がした。

「私は神からの使者よ。神様からの声をあなた達にお伝えするの。」

机の上に散らばっているタロットカードの見方は私にはよくわからない。

「なにを占ってほしいのかしら?」
「…無難に将来で」

タロットカードが切られ、ぱちりぱちりと机に並べられる。


62:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 21:43:46 ID:NkcF/Q9mp6

ジイ、とそれを女の子が見た後にこっちを見て彼女は言った。

「あまり良いカードが出ていないわ。あなた近いうちに危険な目に合うかもしれないわね。」
「危険な目…」
「交通事故とか、事件とか、命の危険になるかも」
「…………」
「あ、そうだわ。貴女にこのお守りをあげる!これできっと大丈夫よ」

うわあああぐいぐいくるパターンだああああ。ひえええと思い、後ろに立つ後輩を振り返る。肩にポンと手が乗り、後輩が口を開く。


63:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 21:44:02 ID:NkcF/Q9mp6

「危険な目…ですか」
「そうよ」
「それはまたどうして」
「それはタロットが…」
「塔のカード、逆位置ですよ?」
「………あ、」

タロットカードを一枚指差し、後輩が言う。

「それだとその解釈にはならないかと」
「ちが、えっとこれは間違いで!」
「間違いですか。それなら仕方ありませんね。あ、そういえば貴女の言う神様はどの神様ですか?」
「え?」
「いや、仏教なのかキリスト教なのか他にもいろいろ」
「…き、キリスト教よ!」
「そうですか。で、神様は?」
「イエス・キリストに決まってるじゃない!」
「キリストは預言者ですよ?神様ではありません。」
「………………」

絶句したように女の子が後輩を見る。取り巻きがざわりと騒がしくなった。


64:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 21:44:18 ID:NkcF/Q9mp6

「じゃあ行きましょうか、先輩」
「え、あ、うん」
「ありがとうございました。」

私の腕を掴み、後輩が椅子から私を立たせる。

「ああ、それと。貴女、なにか憑いてますよ。"危険な目"に合うかもしれません。そのお守りはご自分で持っておいた方がいいかと!」

そう言い切り、3Aの扉を閉める。後輩がクスクスと笑い出す。

「やー、ひどかったですね!」
「君が怖いことはよくわかった」
「だって、タロットカードまったく無視して危険な目、とか言い出すんでびっくりしちゃって」

まだ笑いが収まらない後輩が笑いながら言う。昼休みが終わるチャイム5分前の予鈴が鳴る。ささやかなお昼の休み時間は、有意義に使われたのだろう。


65: 名無しさん@読者の声:2011/11/19(土) 21:45:59 ID:O2Dmey52w.
現場にいたら噴き出すなw
俺は後輩寄りなのかなぁ・・・いやだなぁ変人。
そんな後輩に
つきん肉まん
66: 名無しさん@読者の声:2011/11/19(土) 22:32:35 ID:A2csk18jYs
なんかすっきりしてしまったw
そしてナチュラルに昼休みを一緒に過ごす先輩と後輩w
後輩うらやましす!
67:
◆OFa0FInsIU:2011/11/19(土) 23:59:48 ID:emIXT3i.Lo
>>65
変人でもいいじゃない 人間だもの !私も笑うと思いますww
後輩「キン肉マン…スライム肉まんみたいな感じですかね?」
先輩「チャレンジあるのみだね」

>>66
先輩「はっ…!いつの間にかそれが普通になってた!」
後輩「うらやましいですかね?毎日いちご牛乳飲んでるの見ていい加減こっちが飽きてきそうですよ」
先輩「いいじゃないか!」


68:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 20:44:24 ID:KXnfP1O8Pc

「そう言えば、先輩の家ってマンションでしたよね」
「そうだけど」
「何階立てでしたっけ」
「10階」
「あ、ピッタリです。」

なにがピッタリなんだ。学校帰り、まだ明るい帰り道で後輩がにやりと笑う。

「ちょっと異次元に行きませんか」
「はあ?」
「10階立てのエレベーターが必要なんですよ」

さあ先輩の家に!なんて楽しそうに後輩が言う。これやるまで帰らないだろうな。


69:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 20:44:31 ID:KXnfP1O8Pc

「で、なにをやるって?」

家につき、エレベーターの前で後輩に訪ねる。

「異次元に行きます」
「?」
「まあ、ちょっとやって見ましょうよ」
「危険?」
「スリルって大事ですよ」

危険なのか。うええと顔を少し歪めれば、後輩が大丈夫ですよ!と慌てて付け足した。ちょうど良くエレベーターが1階に来る。後輩はさくさくとそれに乗ると、中から私を手招きした。

70:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 20:44:43 ID:KXnfP1O8Pc

ぴ、ぴ、と後輩がいくつかの階のボタンを押していく。悪戯に入らないかな、これ。ウィンとゆっくりとエレベーターが上がる。

「先輩何階に住んでるんですか?」
「8階」

他愛もない話をしながら4階で開いたエレベーターの扉を後輩が閉める。次は2階のボタン。

71:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 20:45:00 ID:KXnfP1O8Pc

4階、2階、6階、2階、10階。法則性は無く、上がったり下がったりを繰り返す。なにしてるんだろうこれ、気持ち悪い。

「そう言えば、異次元ってどんなとこ?」
「わかりません。死後の世界を確かめられないのと同じで、ちゃんとした情報がないんです」
「そうなんだ」
「だからきっとデマですよ。なにも起こらないと思います」
「そっか」

10階で扉が開く。次は5階らしい。

「あ、次の階で女の人が乗ってくると思います。その人に喋りかけないでくださいね」
「わかった」

5階で止まる。本当に女の人がエレベーターの扉の前で待っていた。


72:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 20:45:13 ID:KXnfP1O8Pc

カツン、とヒールを履いた女の人の足音がエレベーター内に響く。瞬間、頭から水をかけられたかのような寒気が全身をかける。後輩を見れば、少し驚いた顔で女の人を見た後、何事もなかったかのようにエレベーターを操作し始めた。1階のボタン。
声も出せないような、重い空気。足が竦む。これ、本当にかなり危険なものなんじゃないだろうか。1階へエレベーターが到着する。
しかし、そのまま扉は開かず上へとエレベーターは上がり始めた。え、と言う顔を後輩がする。ボタンにはどこにもランプがついていない。じゃあ、一体このエレベーターはどこに向かっているんだろうか。


73:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 20:45:24 ID:KXnfP1O8Pc
1階、2階、3階、

階を増すごとにバクバクと心臓が大きく音を立てる。後輩がボタンを押しているのが見えるが、どれも灯りが着かなかった。

4階、5階

かつり、とまた女の人の足音がエレベーター内に響く。さっきまで扉の方に向いて立っていた女の人がこっちを向いていた。長い髪が顔にかかり、俯いているせいもあって表情が見えない。きっと、見たらいけない。

7階を通り過ぎるのがわかった。ゆっくり、ゆっくり女の人が顔をあげる。心臓がより五月蝿くなる。目を逸らせない。女の人の口元が見えた。それはニイと不気味に口角が上がっていた。息が止まるような錯覚。今すぐにでも叫ぶか気絶をしてしまいたい。

もう一度、ヒールの音が響く。女の人がこっちに足を踏み出していた。思わず目を瞑り、うずくまる。


74:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 20:45:36 ID:KXnfP1O8Pc


ウィン、と間抜けな音が聞こえ目を開けると、明るい光と外の音が入ってきた。

「………ぅえ?」
「開い、た…」

呆然となんとも呆気なく開いた扉に後輩と顔を見合わせる。エレベーターの表示は8で止まっていた。

「なにしてんの、姉ちゃん」

聞き慣れた声が鼓膜を揺らす。エレベーターを覗き込んでいたのは、弟だった。

「先輩、弟いたんですか」
「う、ん。いや、なんであんたここに」
「いや、コンビニ行こうと思って」

ありきたりな理由に思わず、安心からかため息が漏れる。ああ、そうか人が乗ろうとしたから扉が開いたのか。普通のことなのに、すごく納得してしまった。女の人はもういない。エレベーターはもう異次元には繋がらない。

「立てますか?先輩」
「ん」

差し出された手を掴み立ち上がる。そのまま外に出て、深く息を吸った。弟は入れ違いでエレベーターに乗り、1階へ降りていった。

「…普通に危ないじゃない」
「すいません」
「いちご牛乳おごりね」
「…はい」

珍しく反省した顔の後輩は、階段で帰っていった。


75: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 20:53:10 ID:E1vvQmQ3Ms
この都市伝説やったことある
怖くなって途中でやめたけどw

後輩頑張れよ!
支援CCCCCC
76: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 20:56:06 ID:X/e8SDb5uw
どきどきしたぁぁあああ
CCCC
77: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 21:07:41 ID:N.fuDU/X6E
弟vs後輩を期待してすまんw
つCCCC
78: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 21:18:50 ID:ke8kDwatac
>>77
まぁ、最終的に先輩をもらうのは俺だけどな
79:
◆OFa0FInsIU:2011/11/20(日) 21:42:38 ID:ke8kDwatac
>>75
支援ありがとうございます!
勇者ですね!私もやってみたいんですが勇気が出ず…
後輩「もうちょっと頑張っていこうと思います。今回は情けなさすぎました」

>>76
支援ありがとうございますー!
もしかしてこれが…恋?ドキドキ
楽しんでもらえたみたいでなによりです!

>>77
支援ありがとうございます(´ω`*)弟くんは今後も登場予定です!しかし弟くんはなんだか後輩とは仲良くなれなそうな悪寒

>>78
仕方ないこれで勘弁してやってください
⊃いちご牛乳
80: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 22:26:45 ID:jpkDZXm8CE
>>1には支援を
っC

先輩には甘いアレを
っイチゴ牛乳

そして後輩には前々から欲しがっていたあの饅頭をプレゼントします!
っ段ボール肉まん
81: 名無しさん@読者の声:2011/11/21(月) 00:14:31 ID:emIXT3i.Lo
まったく…みんな後輩を苛めすぎだ。
かわいそうな後輩に
つ餃子まん
82:
◆OFa0FInsIU:2011/11/21(月) 20:54:30 ID:AK.WDzviWU
>>80
支援ありがとうございます!
先輩「ありがとう」
後輩「これちょっと事件になったやつじゃないですかー!」

>>81
後輩「いや、確かに同じ中華ですけど!なんか違うと思いますよ?」
83:
◆OFa0FInsIU:2011/11/21(月) 20:54:37 ID:AK.WDzviWU

「「あ」」

休日の昼下がり。図書館にでも行こうかと自転車を漕いでいたら、先輩の弟と遭遇した。エナメルにジャージ。ってことは部活帰りか。

「この前の人ですよね?姉ちゃんと居た」
「そうだよ」

上から下まで点数を付けるかのように弟くんが僕を見る。なんか嫌な感じだ。


84:
◆OFa0FInsIU:2011/11/21(月) 20:54:49 ID:AK.WDzviWU

弟くんの後ろを猫が通る。その猫が必要に追いかけているのは、多分、人間の手首かなにかだろう。視線に気づいたのか、弟くんが後ろを振り返る。

「猫!」

パタパタと弟くんが猫に駆け寄る。そう言えば先輩も猫好きだったな。弟くんの足が手首を踏み潰しそうになったので、慌てて声をかける。

「その猫の前、行かない方がいいよ」
「?どうしてです?」
「いや、まあ、ちょっと」
「…それってオカルトとかですか?」

訝しげな視線が投げられる。慣れていないわけではないが、白けた気持ちになった。


85:
◆OFa0FInsIU:2011/11/21(月) 20:55:00 ID:AK.WDzviWU

「なんでそう思うわけ?」
「姉ちゃんがたまにそういうこと言うんで」
「ふうん」
「俺、そういうの信じられないんですよね。見えないし。」

首を傾げ、少し馬鹿にしたように弟くんが僕を見る。えー、なんだこいつ。

「科学的にも証明されてませんしね。」
「その猫について行けば少しは考え変わるんじゃない?」

また手首について歩き出した猫を一瞥して言う。踏切まですぐそこだ。僕の考えていることが合っていたら、最近あそこは本当に事故が多い。なにも言わず、猫について歩き出した弟くんに、僕も猫について自転車から降りて歩き出す。


86:
◆OFa0FInsIU:2011/11/21(月) 20:55:11 ID:AK.WDzviWU

無言で少し長くなった影を後ろに付けながら歩く。パトカーの音がする。きっと僕の予想はほぼ正解だろう。この前の先生といい、そろそろ魔の踏切とでも言われる始めるんじゃないだろうか。

「………………うわ、」

角を曲がり、開けた視界に移る踏切は人だかりとパトカーで埋め尽くされていた。ブルーシートも見える。ここのすぐそばの壁にもまだ乾いていないような赤がついている。それから視線を逸らし、猫を見る。手首はブルーシートの隙間にぽつりと収まり、猫は悠々と毛繕いを初めていた。

「信じた?」
「…偶然です」

納得行かない様子の弟くんにため息を吐き、すっかり図書館へは行く気がなくなったので家に引き返すために自転車にまたがった。


87:
◆OFa0FInsIU:2011/11/21(月) 20:55:20 ID:AK.WDzviWU

「あれ、後輩もいる」

よく知った声が聞こえる。振り返ると先輩がケータイ片手に立っていた。

「…また事故?」
「うん。てか姉ちゃんなんでいるの?」
「お母さんが遅いからあんた探しに行けって。でもこっちがうるさかったから」
「見にきてみた、と」
「そういうこと」

眉間に皺を寄せ、踏切を見たあとに先輩は振り返って歩き出す。弟くんも着いていく。うわ、僕だけ逆方向。

「それじゃ、また明日ね」
「あ、はい。さよなら」

僕の方に振り返って、手を振る先輩に少しだけ弟くんより優越感を覚えた。


88: 名無しさん@読者の声:2011/11/21(月) 21:55:50 ID:TcxQr27ML2
なんで弟に対抗してるんだww
最近後輩可愛いな
弟も可愛いぞ
支援CCCCC
89:
◆OFa0FInsIU:2011/11/23(水) 12:18:50 ID:sMCa5523Yo
>>88
支援ありがとうございますー!
後輩「負けられない戦いが今ここに…!」
弟「馬鹿ですか」



体調を崩したよパトラッシュ…
90:
◆OFa0FInsIU:2011/11/23(水) 12:18:59 ID:sMCa5523Yo

「じゃじゃーん」
「何ソレ」
「双眼鏡です」

後輩のバックから出てきたのは、ちゃちい作りの双眼鏡だった。なんでそんなのを持っているんだ。

「理科の実験で使ったんですけどね」
「へえ」

文系を選択した私はやっていない授業だろうか。渡されるままに双眼鏡を覗き込み、窓から外を見る。

「校庭しか見えない」
「そりゃそっち側校庭しかありませんから。あ、廊下に出れば街が見えるんじゃないですか?」


91:
◆OFa0FInsIU:2011/11/23(水) 12:19:17 ID:sMCa5523Yo

教室から廊下に移り、さっきのように窓から外を見る。今後は街を一望できた。倍率はほどほどに高く、いろいろよく見える。

「僕にも貸してくださいよ、先輩」
「えー」
「ていうかそれ僕のですからね!」
「ん」

ぽんと後輩の手にそれを渡し、今後は肉眼で街を見る。やっぱり一番目を引くのは、中心にある一本の大きな坂道だ。

「…なんですかね、あれ」
「どれ?」
「坂道のところにいる…」

視線を向ければ、犬のような何かが走っているのが見えた。え、普通に犬じゃないの?もしくは大きい猫とか。

「あ、まずいですね」
「え?」
「見てみればわかります」

もう一度渡された双眼鏡を覗き込んだ。


92:
◆OFa0FInsIU:2011/11/23(水) 12:19:26 ID:sMCa5523Yo

「…なに、あれ」

すごい速さで走る犬のようなものにピントを合わせたら、それはもう犬とは呼べないようなものだった。四つん這いになって、駆けてくるガリガリに痩せた子供。笑顔なのが逆にぞくりと背筋を冷たくする。吐き気がするような容姿。なによりも、向こうが完全にこっちに気が付いている。異常にぎらついた目と自分の目が完璧に合っている。

「こっち見てますよね、あれ」
「…うん」

双眼鏡を外し、後輩と目を合わせて頷く。次の瞬間には教室に向かって走り出していた。


93:
◆OFa0FInsIU:2011/11/23(水) 12:19:41 ID:sMCa5523Yo

扉を閉め、鍵をかける。大きく一回深呼吸をし、バクバクと騒がしい心臓を落ち着かせる。

「ど、どうする?」
「どうしましょうか」

こんなときでもどこか楽しそうにニヤニヤと笑っている後輩の思考が羨ましい。階段を駆け上がるような音が聞こえる。足音は2つ、いや、1つは手の音だろうか。

「カッターって武器になるかな?」
「ハサミはどうですかね」

臨時体制とばかりに、鞄からカッターを取り出して扉に向かい構える。後輩はハサミ。いや、役に立たない気もするけど!バンッと扉が叩かれて揺れる。びくりとそれに反応すれば、続けてダダダダダと連打するように叩かれる。気持ち悪い唸り声のようなのもセットだ。

「扉って壊れないよね?」
「…そうだといいんですけど」

頼りない扉を見ながら、数十秒間その音に耐える。ぱったりと音が途切れた。


94:
◆OFa0FInsIU:2011/11/23(水) 12:19:51 ID:sMCa5523Yo

「止みましたね」
「いなくなったかな」

ほっと胸をなで下ろし、カッターをバックにしまう。磨り硝子越しなので扉の外は見えない。ガチャリ、と扉の鍵がいきなり回る。うそでしょ。ゆっくりと開く扉に絶望する。これはまずい。






「君たち、まだ残ってたのかい?下校時間だよ、早く帰りなさい」
「あ、はい」

顔を覗かせたのは警備員さんで、手に握った汗に無駄を感じた。
95: 名無しさん@読者の声:2011/11/23(水) 17:14:57 ID:A2csk18jYs
1大丈夫か?日に日に寒くなってるから、あったかくして寝てくれ。
1へつ肉まん

後輩。先輩は俺がもらっていくな。
96: 名無しさん@読者の声:2011/11/23(水) 18:05:54 ID:O2Dmey52w.
あんま無理して更新して、それで体調崩したら大変だから休んだほうが。
1へ つC&愛情

先輩へ つ肉まん
97: 名無しさん@読者の声:2011/11/23(水) 19:57:33 ID:JY6V4dC4Js
しっかり休んでね
1へ っ薬とC

先輩へ っいちご牛乳

後輩へ っ肉まんの材料
98:
◆OFa0FInsIU:2011/11/23(水) 21:15:41 ID:q5FQ2QIDbc
>>95
ありがとうございます。
半袖着て寝てた結果がこれですよorz今日からはあったかくして寝ます>>95さんも気をつけてくださいねー
後輩「だ、だめですよ!?」

>>96
支援あんど愛情ありがとうございます。気をつけます、優しさをありがとうです(´∀`*)
先輩「私にか!」

>>97
ありがとうございます!しっかり休みます!支援は半分以上優しさでできている薬ですね!
先輩「ありがとう」
後輩「作れというんですか」


一日中寝てたらずいぶんよくなりました。優しいお言葉、ありがとうございます(;ω;`)
99: 名無しさん@読者の声:2011/11/23(水) 23:12:57 ID:FM94wc4.O6
最近の怖くてgkbr((((;゜Д゜)))

冷えるから気をつけてね
無理すんな!

100:
◆OFa0FInsIU:2011/11/24(木) 23:31:49 ID:BhHGk/K4Z6
>>99
夜中に読むのはおすすめできないものになってきましたw元ネタもかなり怖いですよ!
ありがとうございますあったくしていきますお!



明日は更新できると思います。体調は完全復活しましたー!(*`・ω・´*)そして100レス目ですありがとうございます!
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