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チーム:SS板【イコール】
[8] -25 -50 

1: 名無しですが何か?:2012/3/4(日) 10:54:46 ID:1lvOPQUkic
お題【イコール】

下記の順番でお願いします。

◆rVJzEQ7fWg
◆KCXDu/KctI
◆xT/7hZrSec
◆DPehMNPNeE
◆J43/PIljHc



2: ◆rVJzEQ7fWg:2012/3/4(日) 16:31:52 ID:ZJ6sDodBaw
最初からグダついてしまってすみませんがパスします
3: ◆KCXDu/KctI:2012/3/4(日) 17:54:36 ID:LIH9xLQmeE
あるところに、それは大層仲の良い双子の姉妹がおりました。
2人はいつもどこでも一緒。

けれども、歳を重ねるにつれ、二人の間にはだんだんと距離が出来ていきました。
そうそれは、まるでどちらが上なのかを争うように。



母「二人とも〜!早く起きなさいっ!遅刻するわよ〜!」

よく晴れた朝、母親の怒声が家の中に響く。


4: ◆xT/7hZrSec:2012/3/5(月) 11:34:02 ID:prTcIyAXMM
AB「二人ともって誰よ」

母「あんた達よ」

A「Bと一緒にしないで」

B「はあ?こっちがもらい下げだわ」

母「…もう、いいから支度しなさい」

母親のうんざりとした言葉で収束がつくはずもなく、
険悪な空気もそのままに、双子はお互い視線を合わさないよう支度をはじめた。
5: ◆DPehMNPNeE:2012/3/5(月) 12:57:23 ID:UkB/ozbUu6
姉が下から服を着始めるなら妹は上から、洗顔に行くなら持ち物の確認。器用に、空気で察して素早く作業をする。朝の空気は冷たいのだ。
仲が悪くなろうとも互いのやりたい事が分かってしまうのが業腹なのは一先ず置いておく。

A「空いたわよ洗面所」

B「分かってるわよ、一々指図しないで」

昔は仲良く二人で同じ石鹸で洗っていたのも今では別々、母などには悪気なく出費が増えたと愚痴を言われたりもする。
どうしてこうなったんだろうなあ………。紫のブローチを眺めながら姉はふと考えた。
6: ◆J43/PIljHc:2012/3/5(月) 16:26:56 ID:8uKbgHD6iE

 姉は潜る。思考の海を。記憶という魚を避け、思い出という酸素で呼吸する。
 そして、見つけたのは一匹の魚。鮮やかでしかしドス黒い色をしている。

──あの事件が原因なのね……。

 辿り着いた結論を冷静に受け止める。
 姉は決意した。妹と昔のようになることを。
 遠くの方で姉を呼ぶ声が聴こえた。
7: ◆rVJzEQ7fWg:2012/3/5(月) 19:22:01 ID:.GH.QQdHf2

母「A、早くしなさい!Bはもうご飯食べ始めてるわよ!」

母親の苛ついた声に、姉ははたと我に返り、ブローチから視線を外した。
そのまま居間に行き食卓へつく。
一度だけ、姉と妹の目が合った。
今日は私の勝ちよ、と妹の冷たい目が笑うが、普段なら睨み返すはずの姉の目線は妹から逸らされ、妹のそれは行き場を失った。

A「……おはよう」

母「早く食べちゃいなさいよー、私はもう仕事だからねっ。今日の洗濯物当番はAだから、忘れちゃだめよ」

A「わかってるよ」

そして二人の母親は、ヒールの高い靴をカツカツ鳴らしながら、彼女らの住むマンションの廊下を颯爽と歩いていった。

A「母さん、格好いいよね」

B「は?」

二人の間に雑談や世間話などとっくに無くなっていたので、いきなり話しかけてきた姉を妹は訝しんだ。
8: ◆KCXDu/KctI:2012/3/5(月) 22:30:43 ID:/vrrKtI4eI
A「やり手のキャリアウーマンって感じでさ。Bもそう思わない?」

B「いきなりなんなの?」

A「ちょっと思っただけ。気にしないで」

そう言って妹に背を向け、食器をシンクに持って行く姉。
そんな姉の背中に、予想外にも言葉が返ってくる。

B「Aと同じなのは癪だけど、格好いいと思うよ」

A「そっか」

久しぶりのまともな会話。
目標への第一歩を踏み出したことが嬉しく、それを隠すためについ素っ気ない返事をしてしまう。

B「?……じゃあ私行くから」

怪訝そうに姉を眺め、そして学校へ向かう妹。


9: ◆xT/7hZrSec:2012/3/5(月) 23:28:11 ID:pwigjYDRck
その背中が見えなくなると、姉も家を出る準備を始めた。

A(口をききたくないわけではない)

今さっきの事実を再確認する。

A(でも、分からない)

好みも、行動パターンも分かってしまう片割れ。
なのに、自分に対してはー。
すべきことを済まし、家を出て戸締まりをする。

A(どう思ってるのかが、見えない…)

ガチャリと鍵の閉まる音が、やけに大きく聞こえた。
10: ◆DPehMNPNeE:2012/3/6(火) 00:18:11 ID:Vkgj5Od56s
山は色付き、風が心地好い。
少し外れた。他の人には内緒で歩く、川のせせらぎが聞こえるけもの道。

B「………………」

A「昔さあ、こうやって空を見たよね」

視線だけ向けた妹の前で親指と人差し指でわっかを作る。

B「黄昏の空に風船からす」

A「二人だけに見える不思議な景色」

子供染みたお遊び。年を取るにつれてなかった事になっていったもの。それでも、引っ張ってみればそれなりに楽しい。

妹も同じ気持ちなのか、わっかを作って空に掲げていた。
11: ◆J43/PIljHc:2012/3/6(火) 00:34:48 ID:VSIEAiIj2g

B「あんたさぁ……今日ちょっと変じゃない」

 せっかく懐かしい気分に浸っていたのに……。そう思い指でわっかを作ったまま妹を一瞥した。
 妹もまた指でわっかを作ったままだった。夕日が逆光になってその表情は見えない。

A「別に、そんなことないよ」

 無駄だと分かっていても適当にはぐらかす。だが妹はそれを許さなかった。

B「双子の私に誤魔化しなんて通用すると思ってんの?バカにしないで!」

12: ◆rVJzEQ7fWg:2012/3/6(火) 11:09:00 ID:WkdRlq7aYo

A「そんなに、変?」

B「朝からずっと変!学校でだってわざわざ声かけてきたりさ、何考えてんの?だいたいさあ……」

A「変じゃないよ」

まくしたてる妹に姉が呟いた。

A「そんなの別に、変じゃないよ」

姉はわっかの向こうを睨みつける。

A「双子だもん」

姉の言葉を聞いて、妹は立ち止まった。

B「……意味わかんない」

早足で歩き出した妹は、姉を追い抜かしてそのまま進んでいく。
わっかは既に崩れて、妹の両手はスクールバッグしっかりと握り締めていた。
姉のわっかにも、もう、何も見えなかった。
13: ◆KCXDu/KctI:2012/3/6(火) 13:05:27 ID:X5cK0ceI9k
その夜、姉は夢を見た。懐かしい夢。
妹と仲良く遊んでいた頃の記憶。
あの頃の二人に戻りたい、その意識が見せたものだろうか。

翌日の朝起きた時には、すでに姉は夢の内容は忘れていた。
しかしその夢は、無意識下での姉の気持ちに、より強く、強く働きかけた。

「また、仲の良い姉妹の戻ろう」と。
14: ◆xT/7hZrSec:2012/3/6(火) 14:06:47 ID:EP08C/NP8w
姉はそれから歩み寄る努力を重ねた。
あれほどタイミングをずらしていた行動パターンも徐々に重ねていった。
妹は最初は訝っていたが、今ではそういうものだと思うようにしたようだ。
拒否をしない妹の姿勢もまた嬉しいものだった。
だが、それは見えない壁の存在を浮き彫りになることでもあった。


15: ◆DPehMNPNeE:2012/3/6(火) 15:46:44 ID:y0La/lnEkw
壁が教えてくれる。双子で容姿が似ていても二人は違う人間だということ。
わっかの中の景色も、夢の中の記憶も。姉と妹の現実も全て違う。

A(私のわがままなのかな)

フォイフォイフォイフォ♪フォイフォイフォぴー♪

A「え……目覚まし!?ってなによ、時間まだじゃない」

フォイフォイフォイフォ♪フォイフォイフォぴー♪

フォイフォイフォイフォ♪フォイフォイフォぴー♪

A「ああもう、うるさい!!!考え事ぐらいさせてよ!もう」

何故か明後日の方向にある目覚まし時計を足で乱暴に止めた。
16: ◆J43/PIljHc:2012/3/6(火) 19:51:24 ID:BbaxKm3gIw

 再び沈思に陥る。結局私の行動は私だけの我が侭なのか。
 そうではないと信じたい。しかし妹もまた同じ考えであるなんてことはない。
 頭では分かっていても期待してしまっている自分がいる。

「……フォイ……」

 小さくため息を吐き……ん?今私フォイって言った……?勘違いか?
 いや、勘違いなどではない。確実に言った。何か、恥ずかしい。
 昨日男がフォイフォイ言いながら中二なラノベを書いていく小説を読んだ影響か……。

「もっかい寝よ……」

 幸い今日は三連休の一日目だ。いつもより寝ても大丈夫だろう。
17: ◆rVJzEQ7fWg:2012/3/6(火) 20:43:22 ID:lXkAgHmQqs
━・━・━・━

「AちゃんとBちゃんってちょっとさ、へんだよね」

『え?』

「だっていっつも、いっしょだもん」

『べつにへんじゃないもん。ふたごだから』

「でもへんだよ。はなすときだって、ふたりでおんなじこというし」

『そんなことない!』

「ほら、またさあ」

「ちがうもん」「ちがうもん」

「へんだよ。ぼくもおにいちゃんいるけど、ふたりっきりであそんだりなんかしないし」

「それはふたごじゃないからよ」

「あたしたちふたごだもん」

「へんだよー、ばーかばーか」

『ばかっていったほうがバカだし!』

「じゃあ、りゅうさんのようにばーか」「すかしっぺ大明神」

『りゅうさんはばかじゃないし、変態だし!』

「誰だ今の」

━・━・━・━
18: ◆KCXDu/KctI:2012/3/6(火) 21:48:01 ID:ElXyDhEUa6
「夢……か……」

二度寝から目を覚ます。
額に手を当てると、掌に水分が付着する。

嫌な夢だった。昔の記憶。
だけど、この前見たような楽しい記憶ではなかった。
嫌な思い出、思い出したくない記憶。
何故か、実際に無かった事も混ざってたけど。
た、たぶん寝る前に見てた掲示板の影響だろう、うん。

「はぁ……、ちょっとネットに影響され過ぎね……」

自嘲気味にそう呟く。

19: ◆xT/7hZrSec:2012/3/6(火) 23:17:40 ID:pujcQVYvg2
呟いたことで現実が確かなものとなり、姉は冷静さを取り戻した。

A「変じゃないもん…」

呟く。
だが、既に冷静さを取り戻した頭では、虚しいものとなった。
その虚しさはじわりと広がり、姉は飲み込まれるかのような感覚に陥る。
まるで、吸い込む空気が固体のように感じる。

A(…たすけて)

自然に浮かぶ言葉。

B「…何?気分悪いの?」

その瞬間、空気は気体へと戻った。
20: ◆DPehMNPNeE:2012/3/6(火) 23:46:52 ID:OHNAmGN8GQ
A「見ての通りです」

汗を吸って重たくなったパジャマを扇いでアピールする。姉としてのちょっとした見栄。

大丈夫。まだ平気。弱った姿なんて見せたくないもん。

B「涙」

素っ気なさを装った言葉の後、私の頬に手が伸びて来た。

A(ああ、拭い切れてなかったか)

考えている間に指先が頬を掠め、また戻る。本能的に指を目で追い掛けると、薄く朱い唇にたどり着いた。

B「しょっぱいね」

B「この意地っ張り」

私は妹を真っ直ぐ見られなかった。
21: ◆J43/PIljHc:2012/3/7(水) 06:50:27 ID:67CEghovMM

 妹から視線を逸らす。蹴飛ばした目覚まし時計が見えた。可哀想なことをしたな、なんてぼんやり思った。
 妹が動く気配がした。部屋に帰るのだとばかり考えていると、目元に柔らかさと温かさを感じた。

A「B……?」
B「何」

 若干不機嫌そうに答えるも目元を舐めるのは止めない。
 それは不器用な妹の、妹なりの慰め方だった。
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