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チーム:変態収監所【家族】
[8] -25 -50 

1: 名無しですが何か?:2012/3/4(日) 12:18:34 ID:1lvOPQUkic
お題【家族】

下記の順番でお願いします。

キマラシ ◆0sHUq1EiMQ
枕 ◆t5ttWOhuII
乙潤 ◆nyan.ce4UM
寅午 ◆.eH7uaEVrQ
鬱岡 ◆CevUvUjMhQ
普乳 ◆kSd3h.IkGU
お姉様 ◆RO2jhvAC9Y
PK ◆UnV9.Bq5g.



12: 乙潤 ◆nyan.ce4UM:2012/3/5(月) 09:26:10 ID:T5oBtfpACg
「本当に覚えてないのか?」

妻の柔らかさを肌で感じつつ非難めいた口調で問う。

「え、ええ。桃の節句は過ぎましたし……メイドさんの誕生日とかですか?」

どうやら妻は本当にわかっていない様子だ。

「あのだな……」

バアアアン

「うぇっ!?」

妻が可愛らしい悲鳴を上げる。

本日二度目の、扉が激しく開け放たれる音。

今朝の光景がフラッシュバックされ、思わず身構えた。
しかしそこにいたのはあの小さな可愛らしい悪魔では無く、メイドだった。

「そんなに焦ってどうしたのだメイドよ。」

どうしてこうも静かに扉の開け閉めを出来ないものなのかと嘆く間もなくメイドが言った。
13: 寅午 ◆.eH7uaEVrQ:2012/3/5(月) 10:59:58 ID:xZgsXzpN3.
「ご主人様ァ!!」

そのあまりの気迫に私はたじろいだ。

「だ、だから、一体どうしたというのだ」
「お、落ち着いてくださいメイドさん」

おののく私の後ろで妻は少し顔を赤らめていた。
おそらく膝枕を見られたからだろう。
大胆かと思えばふとした時に恥じらいを見せる、そんなところが愛らしいと思う。

「あなた…」
「おまえ…」

「そういう展開は結構ですから!」

メイドの一喝で話を戻す。

「それで一体なんの話だ?」

私が訊ねると、メイドは息を整え満面の笑みを浮かべた。

「坊っちゃんがお帰りになりました!」
14: 鬱岡 ◆CevUvUjMhQ:2012/3/6(火) 00:33:33 ID:uMelaGOOoQ
「ちゃーっすwただ今帰ったんすけどもぉww誰もいねーの?www」

 メイドが壊したドアから聞き覚えのあるどこか間延びした声がここまで届いてきた。
 私も妻も突然のことにびっくりしたもののつい顔が緩んでいる。
 それも当然だろう、息子に会うのは数カ月ぶりなのだから。
 膝枕は名残惜しいが早く迎えに行くとしようじゃないか!

「あ、久しぶりーっすw父さん母さん相変わらずラブラブだなww」

 …ちょっと見ない間に外見がかなり変わったらしい。
 最近の流行りなのだろうか、髪を茶色に染めて伸ばし、赤い眼鏡をかけている。
 目を下に移せばよくわからないベルトの多い黒のジャケットと、何処に売っているのか和柄の龍のジーンズという不思議な組み合わせだ。

「ちょwそんなに目を丸くしてどーしたのwwこンくらいのカッコーフツーだよwww」

 ううむ、これは学校が遠いからと預けた親戚の影響だろうか?
 確かあそこには30前後くらいのウェブデザイナーをしているという子がいたはずだ…それか?
 まぁいい、詳しくはゆっくり話を聞くとしよう。

「積もる話もあるだろうが、玄関で話すのもなんだろう。まずは荷物を置いてリビングへおいで」
「あいお!」
15: 普乳 ◆kSd3h.IkGU:2012/3/6(火) 00:57:56 ID:oJgqTZyDuc

─10分後─

「親父もお袋も元気そうでよかったっす!忙しくてなかなか連絡出来なくてさぁ……」

「本当に連絡の一つぐらい寄越しなさい。心配してるんだから」

「まぁまぁ、息子が元気にやれてる証拠なんだから構わないさ。ところで訊きたいのだがその格好は何だ?」

「あ、これぇ?流行りっスよ流行り〜!俺組に入ったんで!」

 メイドが淹れてくれた紅茶を飲みながら息子の話を聴く。
 組とは暴力団やらヤクザやらの組であっているのだろうか。いやいや我が自慢の息子の事だ、きっと町内の組合員などの事だろう。

─さらに40分後─

「それでさぁ、お金を一億ほど貸してほしいなー、なンて……」

 ブチン、と何かが切れる音がした。
16: お姉様 ◆RO2jhvAC9Y:2012/3/6(火) 01:28:19 ID:omb4nJ7J3.
私「久しく帰ってきたと思ったら金を貸してくれ?ふざけるのは格好だけにしておきなさい」
息子「面白い事言うね親父www」
私「そもそも一億も何に使うつもりだ」
息子「ちょっと親父、いや親父の事じゃなくてうちの組の親父の事で親父の事じゃないからカンチしないでね」
この発言で私は確信を抱いた。息子は暴力団に入ったのだと…それにしてもカンチってなんだ?
火星と木星の軌道を公転している小惑星ではなさそうだ。

私「わかってる。で、親父がどうした」
息子「親父が新しく事業を起こすんだよ。貿易会社を設立するらしいんだけど、出資金が必要なんだよ。でも今色々かき集めてもあと一億足りなくてさー」
私「でも何でお前がその一億を出さなきゃいけないんだ」
息子「だって出したら俺支部長に慣れるらしいんだよね!大丈夫だって、お金は後で返すからさ!だから、ね?可愛い息子の為に投資してよw」
私「何が投資だ、話にならん。帰れ」
17: PK:2012/3/6(火) 01:49:09 ID:nqE4lLULaU
「おいおい親父頼むよーww可愛いかわいい息子のためだと思ってさぁww」

まったく……なぜこんな屑に育ってしまったんだ。
金持ちの息子はこうなってしまうというフラグに私もあらがえなかったか。


「……つまみ出せ。金輪際この家に近づけさせるな。……首輪を使っても構わん。離縁する」

そうメイドに命じる。
予想通り、クイクイと袖を引っ張る感触。

「あなた……それは……首輪だけは……」

泣きそうな顔をしている。
お前にこんな顔をさせたくはない。しかし、これもすべて息子のためだ。

「……では、お前があいつに一切金を渡さないと。そう誓うのなら……私に誓ってくれるのなら」

「っ……」

やはりそうだったのだろう。彼女は後でこっそりと金を渡すつもりだった。
しかし、それだけはやめさせねばならなかった。息子のためにも。
18: キマラシ ◆0sHUq1EiMQ:2012/3/6(火) 02:26:02 ID:tZu5oC2b9.

緊迫した空気が場を支配する。

「わた「ふざけんなぁー」

妻は何か言いかけたのだが義母がそれを遮り息子にキレていた
19: 枕 ◆t5ttWOhuII:2012/3/6(火) 07:27:28 ID:6xJ3UYyEi6

「こんな湿気た家なんかとは喜んで縁切ってやるさ!! 金であんたが後悔しても、俺は知らないからな!!」

 そう言って息子は出ていった。

「ねぇ、おとーさま」

 それと入れ替わりで小さい娘が部屋に顔を覗かせた。

「さっきの茶色い人、だれなの?」

 彼がこの家に居た時、小さい娘とよく遊んでいた。

 だが、そんな娘にも彼が誰だか分からなかったようだ。

 金で後悔するのはお前だぞ、息子よ。

 私は天井を仰ぎ見る。

 何で今日に限って変なことばかり起きるんだ。
20: 乙潤 ◆nyan.ce4UM:2012/3/6(火) 12:13:26 ID:BbaxKm3gIw
「ッベーよ!マジヤッベーよ!超勢いで飛び出てきたけど、一億なんて金ぜってー用意出来ねぇし!
他に一億くれる様なダチとかいるわけねえしよっ!」

焦りと、一億が用意できないまま組へ行くことへの恐怖で、ヘルメットを被ることにすらもたつく。

いつもの倍はかけて、ようやく愛車のホンダ シャドウ750に乗り込む。

昔家を出る前に父親から買ってもらったバイクだ。

あの頃は
父『バイクなんで危険だからやめなさい!』

母『まぁまぁ、未だに移動手段が一輪車だなんて可哀相ですし、車輪が増えたほうが安定するじゃないですか〜』

何て事があって渋りつつもこいつを買ってくれたんだよな…

「なのに今回は渋る所か全否定しやがって。マジありえねーよ。ふざけんなよ糞親父が!」

半ば逆ギレしつつ愛車を走らせ、俺は館を後にした。
21: 寅午 ◆.eH7uaEVrQ:2012/3/6(火) 15:38:11 ID:tZenqkdHEI

…待てよ?

確かに、一億出すバカなんかダチにはいねえが。


俺は道路脇に愛車を寄せると、携帯を開きリダイヤルの先頭にきていた番号に発信した。

つ、つ、つ……という音に次ぎ、五回目のコールの途中で相手は出た。

「チッス、どうかしたんスか?」
「よお、例の一億の話だけどよォ」

相手の声色が、露骨に嫌そうなものへと変化した。

「マジでカンベンしてくださいよぅ、そんな金用意できませんて」

話を聞かない男に若干イライラしながら、俺は文句を遮り計画を話しだした。

「まあ聞けよ、カモは決まってんだ」
「…一億も出すようなバカがいるんですか?」

今度は相手の声色が怪訝そうなものへと変わった。


…確かに一億出すバカなんかダチにはいねえが。

「おう、サギの得意なお前に頼みてえんだ」

バカに一億出させるダチならいるわけだ。


「一体どんなヤツなんすか?」

俺はにたりと笑うとその質問に答えた。


「俺の親だよ」


22: 鬱岡 ◆CevUvUjMhQ:2012/3/7(水) 01:20:01 ID:uMelaGOOoQ
「メイド、ブランデーを濃いめで頼む。気付けでもせんとやってられんよ…」

 かしこまりました、と言いリビングを出て行くメイドを横目で確認した後つい心の内を零してしまう。

「本当に…どうしてこんなことになってしまったのだろうな、やんちゃではあったが素直な心を持った息子だったのに…人を疑うということを教えずに育てたのが良くなかったのか」

「おとうさま?よくわかりませんがかなしそうです、げんきだして!」

 そういえば、下の娘が今は隣にいたのだったな。
 この程度のことも頭からすっかり抜け落ちている当たり、私も自分が思うほどに心に余裕はないようだ。
 ところで義母は何故部屋の角でびっくりするほどユートピア!などと言っているのだろう?
 気でも触れたのだろうか。

 そんなことをぼんやりと霧がかかったような頭で考えていると、いつのまにかメイドが横へと控えていた。

 「ご主人様、ブランデーをお持ちしました」
23: 普乳 ◆kSd3h.IkGU:2012/3/7(水) 06:59:08 ID:8uKbgHD6iE

「あぁ、ありが……ブラン、デー…?」
「はい。ブランデーで御座います」

 メイドはにこやかに答えたが明らかにブランデーの色をしていない。何ゆえ緑色をしている。

「私、メイドオリジナルの抹茶ブランデーで御座います。なかなかいけますよ」
「そうか。ならウィスキーに変えてくれ」
「畏まりました」

 相も変わらずメイドのボケにはついていけない。
 訪れた問題とボケに腹立たしさと疲れを覚え、こめかみに指を当ててため息をついた。
24: お姉様 ◆RO2jhvAC9Y:2012/3/8(木) 00:14:42 ID:GriouPw.r6
すいませんパスでお願いします…
25: PK:2012/3/8(木) 00:29:34 ID:70VA5bn/Ag
ブランデーを受け取り、メイドを下がらせる。
これで部屋には私と妻と下の娘と、ユートピア中の義母。

「涼子、おばあちゃんとどこかで遊んできなさい」
下の娘に言いつける。はーいと元気よく返事をし、義母をパンツ一丁で部屋から連れ出していった。

これで部屋の中には私と妻と、義母のスカートのみ。

「なぁ……どこで、私は間違えてしまったのだろうな?」
妻に尋ねる。
「さぁ……?わかりません。あなたはずっと、結婚の時約束したままの、良き父でしたよ。
ずっとそばで見ていた私が言うんですから、間違いありません。きっと責任は」

「その先は言うな」

言葉が強くなる。その先は聞きたくない。間違いなく自分にも責任があるのだ。
それを彼女一人に背負い込ませてたまるか。

「これは、二人の問題だ。責任は二人にある。なに、いつも何とかなってきたんだ。私たちならできるさ」
根拠のない言葉だが、これがふさわしいような気がした。

涙をためながら、それでも笑顔で彼女が頷いてくれる。
ありがとう。

「さて、それならそうと決まったところで……作戦会議と行こうか?」

彼女が頷くと同時に、扉が大きな音を立てて開いた。
26: 枕 ◆t5ttWOhuII:2012/3/8(木) 17:46:19 ID:J77dTcstGk

「あ、ご主人様。結局、私特製のブランデーをお飲みになられたのですか」

 ウイスキーを持ってきたメイドが言う。

「どうですか、お味は」

 取り合えず、私は率直に言った。

「不味い」

 その言葉に衝撃を受けたメイドは部屋を猛スピードで飛び出していった。

「人払いはできたな」

 私は妻に向き直った。
27: 乙潤 ◆nyan.ce4UM:2012/3/8(木) 21:23:44 ID:IZEwmfHPwo
今日は何と扉の扱いが雑な日なのだろうか。

いっそのことドアを取っ払おうかとも考えたのだが、今はそんな場合ではない。

「で、だ。作戦というほどでも無いのだが、きっとあのバカ息子は再び何らかの形で私達にアプローチをかけてくると思う。」
「えっ、でもさっき、『喜んで縁何て切ってやる!』って……」

不思議そうな顔で妻が言う。

「あの状況だ。感情に任せてああは言ったが、息子にとって、今このタイミングで勘当されたのは大打撃だろう。しかしこれでお互い他人だ。家族でなくなったからこそ、冷酷に、卑怯な手段をとってでも何かをしてくる。そう思ったんだ。」

「なるほど。でもその何かって何をしてくるんですか?」

「すまんがそれはわからん。だが、蛇の道は蛇というからには、良からぬ側の人間の手を借りて行動を起こす可能性は高いだろう。とりあえずしばらくは来客、外出などに細心の注意を払う必要があるな。家にいるみんなにもこれを伝えねば。」

「わかりました。では私が伝えてきますね〜!」

妻が伝えに行こうしたところで今度はゆっくりと扉が開く。
28: 寅午 ◆.eH7uaEVrQ:2012/3/9(金) 09:27:24 ID:sdOKoiAXn.
「お、お父様……」

久々に見た「きちんと」開かれる扉に感動すら覚えたが、娘の様子が異常だったため褒めるのは後にしておくことにした。

「どうした?」
「う、うぅ……っ」

上の娘が珍しく見せる取り乱した姿に妻が駆け寄る。

「どうしたの?泣かないで頂戴」
29: 普乳 ◆kSd3h.IkGU:2012/3/10(土) 16:05:11 ID:oJgqTZyDuc

「お、お兄様が……、ぅ、うああああ……!!」
「落ち着いて。兄がどうしたの?」
「バ、バイクで……、事故に遭われて……っく、ぅう」
「それで?」
「相手の方が慰謝料等で一億寄越せと……」

 部屋にいた全員に衝撃が走った。
30: お姉様 ◆RO2jhvAC9Y:2012/3/10(土) 20:51:13 ID:doDuHsc89U
私「振り込め詐欺か。まったく…あの馬鹿の考えそうなことだ」
私は肩を落とし、残ったウイスキーを飲みほす。
長女「お父様…でもお兄様が事故を…」
妻「心配することないわよ、お兄様は大丈夫だから」
長女「うぅ…本当…?」
私「ああ、心配することはない。怖かったな…気分転換に散歩に出かけるといい。メイド、娘を買い物に連れて行ってあげてくれ」
メイド「畏まりました。さぁお嬢様、こちらへ」
メイドに連れられ、長女は部屋を出て行った。
ドアは静かに閉められた。
妻「あなたの言ったとおりになりましたね…」
私「まさかこれで一億出すとでも思ったのかあいつは…浅はかなものだ。預けた親戚はいったいどういう教育をしてくれたんだ」
妻「まあ……あの人ですからね」
私「それで納得できてしまうのが痛いところだな」
まだ昼前だと言うのに、今日と言う日に限ってなぜこんなに問題が起きるんだ。
私「なんで今日なんだ……」
31: PK:2012/3/10(土) 21:32:57 ID:90CFbYzMvA
「おー、どーだった?」
ソファの上に寝転がりながら、電話を終えたあいつに声をかける。
もともと乗り気じゃなかったみたいだが、シナリオをこっちが用意し、なおかつ借金までチャラにしてやると言ったら
簡単に乗ってきやがった。これだからバカは扱いやすい。

「あー、なんか女の子が出ました。しかし『お兄さんがバイクで事故』まで言った瞬間に泣きだしまして……
話最後まで聞いてくれてるかはわかんねーっす。一応慰謝料として一億必要、とは言っときましたが……」

「が、なんだ?」

「いや、その……」

「良いから言え。怒らねーから。むしろいわねーと殴る」
そう言って拳をちらつかせる。

「わ、わかったっすよ。あのっすねその、正直言って……さすがにこれは無理っすわ。
タイミング良すぎますし、なによりあんたが書いたシナリオがしょぼすぎます。
『電話で事故の医者料に一億円必要という』って……中学生でも無理だってわかりますよ。字間違えてますし」

「……」
笑顔で立ち上がり、笑顔で近づいていく。

「……あー、おーけー、カームダウンっす。落ちつけっす。
いいですか、いくらあんたが馬鹿でもきっとなにかひとつくらいは俺を殴らずにすむ方法を」

「いや、殴ろうなんて考えてねーよ」
笑顔のまま相手の言葉を遮り、そして続ける。
「ちょっと(ピー)そうかなーとか(オイー)を切り落とそうかなーって思ってるだけだし。
あ、よかったな。殴られはしないかもしんねーぞ?」
ここでもうちょっと笑ってみる。元仲間は泣きそうな顔になっている。

「す、すいませんっしたー!!!」
そして、そう言い捨ててどこへともなく逃げて行った。

……まぁいつか戻ってくるだろ。ここ、あいつんちだし。
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