お題【家族】
下記の順番でお願いします。
キマラシ ◆0sHUq1EiMQ
枕 ◆t5ttWOhuII
乙潤 ◆nyan.ce4UM
寅午 ◆.eH7uaEVrQ
鬱岡 ◆CevUvUjMhQ
普乳 ◆kSd3h.IkGU
お姉様 ◆RO2jhvAC9Y
PK ◆UnV9.Bq5g.
32: キマラシ ◆0sHUq1EiMQ:2012/3/11(日) 02:09:04 ID:tcRtqtvME2
「つうか、マジ一億どうすんだよwwもうwこの際www妹誘拐してw身の代金wwwでも要求すっかなwwwwwそうだwwwwそうしようwwwww」
気でも狂ったのか笑いながら仲間にそう言い放った。
33: 枕 ◆t5ttWOhuII:2012/3/11(日) 10:57:33 ID:gV4cgvBG5M
ゾクッとしたものが私の背中を走り抜けた。
「お兄様……」
私は手元の写真に目を落とした。
そこには私と下の妹と…………黒い髪のお兄様が居た。
皆、笑顔だ……。
「前みたいに、皆で笑えないのかな……」
34: 乙潤 ◆nyan.ce4UM:2012/3/11(日) 14:59:59 ID:0B9Jecr0mE
「よーぉ〜帰ってきたのか使えない詐欺師ちゃんよぉ〜。」
オドオドしつつもあいつが家に帰って来た。
そりゃ財布も携帯も置いたままじゃ何処にもいけねぇだろうなぁ〜。
「あ、あの〜。もし、もしですよ?よかったら私の考えたプランで一億を奪っt「あ〜もういいよお前。邪魔だから黙って今から俺の話し聞けや。。」
駄目だ。これは覚悟を決めたやつの目だ。
確実に異常な何かをたくらんでる。そう思った。
「俺ぁ〜決めたんだよぉ〜。ヒャハハ、妹達を拉致ってよぉ〜親父に身代金要求すんだぁ〜。どうだ?手っ取り早くて簡単だろぉ?アヒャヒャ、使えないお前にも一度だけ挽回できるチャンスやろうかぁ?アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ……」
狂気。ただ純粋な狂気。
温室育ちだったお坊ちゃまはこんなにも簡単に壊れるのかと、驚きにも感心にも取れる感情が胸の中で渦巻く。
「黙ってねぇでよぉ〜チャンスやるってんだからさぁ〜てめぇは大人しくYesかハイか言えばいいんだ、よっ!」
理不尽なテンプルーへの右フック。
今まで口だけの奴だと思っていたが、意外にも意識が飛びそうなほどの重い拳に驚愕する。
従わないと命が危ない。
「はい。」
詐欺師は自らの命を取った。
35: 寅午 ◆.eH7uaEVrQ:2012/3/12(月) 05:48:35 ID:47PMIPHl4o
メイドに手を引かれながら、ぼんやりとお店までの道を歩いた。
考えていたのは、お兄様のこと。
事故?慰謝料…払えなかったらどうなるの?…お兄様に怪我は?無事なの?相手の方の怪我はどのくらいなんだろう?もし一生治らないような怪我を負わせていたとしたら?お父様は詐欺だと仰っていたけど…どうしてそんなことがわかるの。
そんな考えがぐるぐると廻る。
「お嬢ちゃん!」
ふいに背後で大声があがり、私はビクリと体を跳ねさせた。
振り返ると、車道の脇に留めてあるバイクにまたがった男性が、大きく手招きをしていた。
「ワンピースのお嬢ちゃん、君だよ!」
ワンピース?
……あ、もしかして…私?
私のことですか?と身ぶりで尋ねると、こくこくと大きく頷かれた。
「お嬢様、無視してしまいましょう」
メイドさんが握っていた手の力を強める。
「痛いわメイドさん…それに大切な用かもしれないから」
手を振りほどこうとしたけれど、メイドさんは頑なに離そうとしない。
そうこうするうちに、もう片側の腕を誰かに掴まれた。
「君のお兄さんが大変なんスよ、来てくれませんかね」
先ほどのバイクの男性だった。
「は、はい!」
真剣な表情に押されて、私はしっかりと返事をする。
私を止めるメイドを振り払って、彼は私をバイクに乗せた。
「大丈夫だから落ち着いてね」
「……はい」
その優しい言葉に私はほっと息をついた。
髪もお兄様と違って黒だし、男らしいし、素敵な方だと少し心惹かれた。
「…ごめんね」
呟いた彼の言葉は、エンジンに掻き消されて私の耳まではとどかなかった。
36: 鬱岡 ◆CevUvUjMhQ:2012/3/12(月) 23:26:06 ID:uMelaGOOoQ
「…ごめんね」
これは誰の何に対しての言葉だったのだろうか。
或いは父の、家族というコミュニティを守り切れなかった悔恨か。
或いは母の、息子の道を違えてしまった懺悔か。
或いは姉妹の、笑顔を保つことができなかった無念か。
或いは兄の、家族に対して残された唯一の良心か。
或いは詐欺師の、これから先が見えてしまったことに対する諦観か。
或いはメイドの、暗い笑みを携えた策謀か。
或いは義母の、恵まれない出演に対する狂気か。
或いは作者の、義父の出番があるかないかもわからない出番に対する謝罪か。
どこまでも暗く、人間の感情の一端を表すその言葉は一人の口から漏れたもの。
されどそれは、皆の行く末を束ね物語を幸せな結末へと紡ぐ一筋の光明となり得るのだろうか。
少しばかり場所を移したここは、ある意味その団結と精神性はもう一つの家族と言えるであろう所。
兄が組と呼ぶ組織の部屋の扉の前だ。
37: 普乳 ◆kSd3h.IkGU:2012/3/13(火) 00:23:46 ID:NZ0gmpkD7I
「さ、降りて。行くよ」
「あの、どこに……?」
妹さんは不安げに着いてくる。僅かに残った良心がチクリと痛むが今更気にかけていられない。
だから、……心の中で謝る。ごめんなさい……、ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさい……、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……
「失礼します。……連れてきました」
部屋の扉を開けると煙草の匂いがした。普段は嗅がないその匂いに眉間に皺を寄せる。
「おいおい、せっかくの美貌が台無しだぜェ〜?じゃ、お前はもういい、出てけ」
「……失礼しました」
私を連れてきた男性は出ていってしまった。
兄の元気な姿にほっとしたのも束の間、
「きゃっ…!?」
物凄い力で引き摺られソファに押し倒された。そして直ぐに口枷を付けられ、首輪と手錠が鎖で繋がっている物で拘束されてしまった。
「〜っ!〜っ!」
抗議の声を上げるが当然声になっていない。それでも抵抗しているとスカートの中に手を突っ込まれ下着を剥ぎ取られた。
「…!!」
実の兄に、誰にも見せたことのない秘部を舐めるように見つめられ涙が流れた。
38: お姉様 ◆RO2jhvAC9Y:2012/3/13(火) 22:42:43 ID:tmR2D2iuX.
??「何しとんじゃヴォケェー!!」
兄は叫び声と共に蹴り飛ばされ視界から消えた。
??「われは何しとるんかわかっとんのか!?手ぇ出したら交渉もやりにくくなるじゃろがクソが!!」
蹴り飛ばした男は兄の顔目掛けて何度も蹴りをいれていた。
兄「す、すいません若!つい勢いで…もうしません!勘弁しtry」
言い終わる前に若と呼ばれる男の蹴りが兄の口にめり込み、兄は口を両手で塞ぎ丸まり痙攣を起こしていた。
若「能無しが…すまねぇな嬢ちゃん、怖かったよな……ほら、下着汚しちゃったけど履いていいからね。おいお前ら、大事な客人に何してくれてんだ。はよ外せや」
「は、はい若!」
カメラや刃物を持っていた男達はすぐさま私の手錠と鎖を外してくれた。
床に投げ捨てられていた下着を拾い、私は部屋の隅に走り座り込んだ。出入口に別の男が居るため逃げ出す事は出来なかった。
若「嬢さん、もう何もしないから怖がんなくていいから、早く下着をはいた方がいい。風邪ひいちゃまずいからな。」
若「そんで、誰や。こんなくだらん芸を考えた味噌粕は」
「こ、こいつです頭…娘襲ってるディスク送りつけたら、簡単に金を払うからって…」
男の一人が丸まった兄を指差す。兄は口を塞いだまま若に視線を向ける。
呼吸も荒く、手は赤く染まり、目尻には涙を浮かせていた。
それをまるで野良犬を哀れむかの様に見下ろし、兄の前に大股を開いて座った。
若「お前はホンマに能足りんやな…せやから他からモタレや言われるんや。わしらは辺り構わず、ささらもさらやりゃえいっちゅうもんやないんや。交渉はビジネスや。どんだけ要領よく事を儲けるかを楽しみながらいかないかん。」
若「それにな、われのしよることは組を危険に晒しとんのやぞ?われがパクられんのは勝手やがな、察はここぞとばかりに親父までしょっぴこうとするやろう。そんでケツ割らないかんのはわしらや…そんなみっともない真似してみぃ、何処がわしらを引き取るんや?なあ、われはここまで考えたんか?なぁ?モタレよ、あぁん?」
若は兄の髪を掴み上げ、勢いよく地面に叩きつけた。
その瞬間、私は何が起きてるのか理解する間もなく若の腕にしがみついていた。
長女「ごめんなさい、もうやめてください!私の兄なんです!まだ何処もなにもされていません!兄も本気じゃなかったんです!だからもうやめて下さい!死んじゃいます!!もう許して下さい!!」
私は若の腕にすがり、泣いていた。
39: PK:2012/3/13(火) 23:28:10 ID:8KNNMHCSzM
「あん?じょーちゃん、こんな奴のことまだ兄貴言うんかいな。ゆーとくけどこんな屑、わし等ん中でも希少種やぞ?」
若が私がすがりつく腕とは逆の手で兄の髪の毛を引っ張り、頭を持ち上げる。
「助け……」
血まみれの鼻が曲がった顔で、命乞いをしている。きっと、鼻が折れているのだろう
その顔からはかつての優しかった兄の面影など、みじんも感じられなかった。
血まみれの兄の姿にどこか非現実なものを感じながらも、兄を助けてもらえるよう必死に言葉をつなぐ。
「お、おねがいです。兄を助けてください。なんでもします。お、お金が必要なら私が何とかします。だから……」
「……」ドサッ
若はそれまでつかんでいた兄の髪の毛を離し、少し考え込む。
「おいじょーちゃん。自分、なんでもするゆーたよな?」
嫌な予感を感じつつも、それに頷く。
「そやなぁ……とりあえず、わしの腕離し」
それまでずっと若の腕にしがみついていたことに気づき、慌てて離す。
「そんでやな。流石にじょーちゃんから金もらうわけにはいかん。かといってこっちも商売やさかい、このままじょーちゃんにお帰りいただくわけにもいかん。
まぁワシ個人としては帰ってもらってこの屑の処分したいんやけどな」
そう言って若は軽く笑う。話がなんだか変な方向に行っている気が……
「っちゅーわけで。まず、じょーちゃんが親から一億円借りてもらう。
そんで、それをそのままこっちに渡す。ここまではええか?」
なんだかわからないがとりあえず頷く。
「それと引き換えに、じょーちゃんはこの屑つれてこっから出ていく。これでどーや?」
40: 枕 ◆t5ttWOhuII:2012/3/14(水) 18:47:10 ID:qmh5YAfdUw
「わ、分かりました……。だから、兄を……お兄様を!」
私がそう言うと、彼は何の躊躇いもなく兄を放す。
「お兄様!!」
お兄様に駆け寄り、体を引き起こす。
後ろから声が聞こえた。
「お嬢ちゃんがそのまま逃げる可能性も無いことはない。だから、1人か2人、付いてこい」
「私は逃げません!!」
思わず声を荒らげてしまった。若と呼ばれた人は、頭を掻きながら困ったように言う。
「いやな、お嬢ちゃんのことが信用ならんって言ってる訳じゃないんよ? ただ、1つの可能性としてって事よ」
彼は部下の人に「車を出すぞ」と言って奥に消えていった。
41: 寅午 ◆.eH7uaEVrQ:2012/3/15(木) 22:16:50 ID:25K21tG77g
しばらくお兄様を抱き締めたその体勢のまま、身動きができなかった。
体をこわばらせて若と呼ばれた男性の出ていった後をずっと見続ける。
「ぅ、」
兄だった。
折れた鼻からしたたる血が、私のスカートを汚した。
「お兄様、大丈夫ですか…!」
そっとその肩に触れようとした、瞬間。
「あ゛っへんりゃれえろおお!」
私は突き飛ばされ押し倒される。
先ほどと同じようなことをされるのか、という考えが頭をよぎり、逃れようにも体が動かない。
「ぅお、おまへのへいれ……」
違った。
兄は、私を殴る。殴る。
すぐさま周りの人々が止めに入ってくれたけれど、
それでも私は兄に手荒なことだけはしないよう頼んだ。
42: 普乳 ◆kSd3h.IkGU:2012/3/17(土) 21:55:04 ID:8uKbgHD6iE
若と呼ばれていた人の部下を数人連れ、自分の家への道を辿る。携帯を見るとメイドから大量の着信とメールが着ていた。
「助けを読んでも無駄だからな」
男たちにそう言われ、メイドに返事をする事を諦める。だがメイドは諦めていなかったようでメールが着た。マナーモードではないため、着メロであるマジンガーZが流れる。
「いいか、返信するんじゃねーぞ?」
男たちは少々唖然としていたが、助けを呼ばない様釘を刺した。
少女はそれに頷きまた歩き出す。
10分ほど歩いたところで背後から激しいバイク音が聞こえてきた。一人の男が何事かと振り返ると
「ぶげらっ!?」
いきなり顔面を蹴られた。
「何事だっ!?」
「貴様ぁ…!」
「お嬢様は返して頂きますっ!」
バイクに乗っていたのはメイドだった。
43: お姉様 ◆RO2jhvAC9Y:2012/3/17(土) 22:51:04 ID:GriouPw.r6
メイドは合気道と薙刀の有段者、そしてキックボクシングのアマチュアチャンピオンだった。
そして茶道に華道、舞踏に着付けの心得もあり、有名女子大学を主席で卒業し、大型二輪の免許を持つ才色兼備。
瞬く間に部下を一掃し、私を抱えてバイクを走らせた。
少女マンガの主人公になった気分だ…脇に強く抱かれ腕にメイドのDカップのマシュマロが当たって暖かいし柔らかいし格好いいし惚れてまうやろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉry
メイド「お嬢様!お怪我はありませんか!?」
ハッと我に還る。
長女「あっ……大丈夫」
メイド「嗚呼お嬢様…良かった本当に無事で良かった…メイドはお嬢様に何かあったらと心配で心配で…私がもっと強くお嬢様を掴んでいれば怖い思いもさせなかったのに。帰ったらどんな罰でも受けます。」
メイドは目尻に涙を浮かべていた。
現場から随分離れたショッピングモールの駐車場で止まり、メイドは私を下ろした。
長女「そんな、助けてくれたのに罰なんて…でもどうして場所が?」
メイド「それは携帯のGPSと、お嬢様の髪留めとお召し物につけた発信機と盗聴kry」
長女「えっ」
メイド「えっ……」
髪留めを外し、よく見るとビーズに紛れて発信機、ワンピースのリボンの中に盗聴器と発信機が着いていた。
長女「知らなかった…これ、いつから着けてたの?」
メイド「誤解されませんようにお嬢様、これは今回外に出られて何かあってはいけないと念には念をとry」
長女「これ今朝自分で選んで着たワンピース…」
メイド「それはいついかなる場合にも対処できる様に全てのお召し物に着けさせてはいただいてるもので決して趣味で盗聴いや貞操を護るためいやあんな声やこんな音をとかそんなつもりはふじこふじこ」
長女「もういい…黙って」
メイド「すいませんでしたお嬢様!!お嬢様の事がどうしても気掛かりでつい…どうか、どうか私をお嫌いにならないで下さい」
深々と頭を下げ謝罪するメイド。
まさかメイドがこんな趣味を持っていたなんて…じゃあ今まで私が自室で籠もってしてたアイドルの真似やネットを見てうふふとかそこからさらにうふふとかうふふとかうふふふふわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
メイド「お嬢様、お気を確かに!此処は安全とは限りません、ひとまず邸へ戻りませんと」
長女「あっ、は、はい。そうですね」
我に還った私はメイドの後ろに乗り、バイクは走り出した。
早く戻って、兄を救わなくては。
44: 乙潤 ◆nyan.ce4UM:2012/3/19(月) 21:40:03 ID:0B9Jecr0mE
メイドに乗せられ、ひとまず無事に自宅に帰ることができた。
「かくかくしかじかと言う訳でして〜」
メイドが、私に付けていた違法グッズ諸々を駆使して得た情報を全てお父様に話している。
「ふむ。メイドよ。普通ならお前は解雇相当のことをしていた訳なのだが、とりあえず今のところは役に立ったからお咎め無しということにしておこう。」
え、お父様。一応私にとっては私生活が一変するほどの一大事なんですけど……。
「まさかあのバカが自分の妹にまで手を掛けるようなやつだったとはな……」
「お父様!それでもお兄様が!お兄様がぁ!うぅっ……」
ボロボロと涙を流す娘。
「ねぇさまを泣かせるやつは、私がキャメルクラッチでしとめるから大丈夫だよっ!」
自分の兄がこの事件の中心だとも知らずに私を慰めてくれる妹。
落ち着かせようとしてくれることはとても嬉しい。思わず微笑みがこぼれる。
「ふふっ、ありがと。それでお父様。お兄様を助け出してはくれませんか?」
45: 寅午 ◆.eH7uaEVrQ:2012/3/20(火) 15:27:58 ID:G5S6hvVP/2
「……それはならん」
父の厳しい声色に、一瞬緩んだ空気が再びはりつめた。
「お兄様がしてらっしゃることは……私も薄々わかっています」
「ならばわかるだろう、金を払うことは私達のためにも、あの阿呆のためにもならん」
すすり泣く母が、あなた、と呟いて頭を振った。
妹は、父が母を泣かせたのだと判断し、キャメルクラッチを仕掛けようとする。
無言で妹を制止し、父と向き合う私。
普段はほのぼの仲良し家族である私達の思わぬ修羅場に居合わせた使用人達は、ひどく居心地が悪そうだった。
46: 普乳 ◆kSd3h.IkGU:2012/3/22(木) 19:10:54 ID:8uKbgHD6iE
「なぜお兄様を助けて下さらないのですか!」
「なぜか?ふ、その答えは簡単だ。アレはこの家の格に相応しくないレベルにまで堕ち、更には一億円を貸せとまで言ったのだぞ」
「ではお貸しなされれば…!!」
「馬鹿者っ!!」
珍しい父の怒声に食堂にいたみなは一瞬身をすくませた。
「いいか!アイツのことは放っておけ!今はまだ子どもだから分からんだろうがな、将来母親になった時我が子に同じ事を言われたらお前は必ず私と同じ行動を取る!絶対にな!」
それだけ言うと父は食堂から出ていった。乱暴に閉められたドアは悲鳴の様にキィキィと鳴っていた。
47: お姉様 ◆RO2jhvAC9Y:2012/3/23(金) 01:34:56 ID:MvZ84buXJc
「相応しくないレベルって何…お兄様をおじ様に預けたのはお父様でしょ…会いにも行かず、仕事だからって言い訳ばかりして放っておいたのは誰よ」
すすり泣く母は何度も、ごめんね、ごめんねと呟いている。
妹は母の背中をさすっていた。
「会社の経営をすることが成功なの?良い子で成績優秀なら誉められるの?髪を染めたり、オシャレな格好しなかったら優秀なの?失敗したり道を踏み外したら見捨てられるの?家族って何なの?子供より体裁が大事なの?家柄ってそんなに大切なの?お金ってそんなに惜しいの?もうお兄様は家族じゃないの?」
傍に立つ使用人が声を掛けてくる。
「お嬢様…旦那様は家族を見捨てるような人では…」
「じゃあなんで放っておけなんて言えるの!?お兄様がどんなお仕事に就いているか、これからどうなるのか私は知らないとd……ごめんなさい」
興奮のあまり使用人に当たってしまった事を反省する。
わかっている、兄がどれだけ不誠実な申し出をしているのか、我が家の財産で何をしようとしているのか、それに対する父の反応は世間一般で考えると、恐らく正しいのかもしれない。
だけど、自身の息子の危機に何もしないで放っておく決断をした父に遺憾と憤りを覚えるのは正直な気持ちだ。
このままでは恐らく兄の命は無いだろう。人の命を何とも思っていない人ばかりの世界だ。使いものにならなければ弾かれ、ただのチンピラとなりやがて警察に捕まる。それだけならまだいい、組の顔に泥を塗ったと思われ最悪……
不安は重なり最悪の結末が頭をよぎり、気付いたら私の目から涙が零れていた。
もう兄は帰ってこないかもしれない。昔は優しくて聡明で面倒見の良い兄だった。
遊び心も盛んで、一緒に悪さもした。妹にプロレス技を教えて、父に仕向けるように仕組み怒られもした。
でも今ではそれが生活の一部になっている。
それはきっと妹は兄を思っているから。
家族みんなが兄の事忘れていないと言う意思表示だったんだと思う。
今の生活に兄が加わり、お前が教えるから妹が野蛮になったんあだと叱る父、それを笑いながらすまんと謝る兄。それを見て笑う私たち。きっとそんな生活がこれから待ってるはずだった…
その未来はもう叶わないの?もう兄に会えないの?帰ってくるって約束してたんだよ?いつもみたいに謝ってお小遣い没収じゃだめなの?もう兄は家族じゃないの?
泣きだしてしまった私に気付き、妹も泣いている。
家族ってなんなの……
食堂に家族の泣き声だけが響いていた…
そしてメイドが口を開いた。
「奥様、お嬢様……今までお世話になりました。本日付で私はメイドを辞職したしますので、退職金として一億いただきたいと思います」
それはメイドがわが身を犠牲にする選択だった。
48: PK:2012/3/23(金) 09:12:41 ID:nUB3/LZQ6U
一瞬、部屋の空気が凍りつく。
「「「「「……………………」」」」」
まずはじめに口を開いたのは、まだ泣き顔の妹だった。……私も泣き顔だけど。
「いやだよ!めーもいなくなっちゃうなんて……そんなのいやだ!」
めーというのは妹が昔メイドを呼ぶときに使っていた呼び名だ。
めー、めー と子羊のようにメイドを呼び慕っていたことを思い出す。
「ねぇ、めー、いやだよ!でていかないでよ!」
「……」
妹の必死の懇願に耐えかねたのか、メイドが目線を下に落とす。
「いやだぁ!」
メイドのスカートにすがりつき、また激しく泣き出す妹。
それを見かねたのか、母が父の袖をクイクイと引っ張る。
ふぅ。父は軽く嘆息すると、メイドに向かって口を開いた。
「その決心、心からか?」
「はい」
いままでにない強い意志を持った目。少しだけ、かっこいいと思ってしまった。
「退職金は渡せる。しかし、次の職が見つかるまでの保証金はお前から言い出した退職なので出せない。それでもかまわないな?」
「……は、はい」
一瞬目の光が消えた。しかしさっきより弱弱しいながらもまた意思の光が灯る。父がにやりと笑った、気がした。
「ついでに言うとおまえの退職金は規定に少しおまけしても5000万だ。それでもかまわないか?」
「いいえ」
はっきりと言い切った。
「なら、辞めない、ということで良いのか?」「はい」
彼女の黄金の澄んだ精神は何処へか消え去り、後には、底に泥のたまった鈍色(にびいろ)の淀んだ魂が残っていた。
「……しかし旦那様」 メイドがあきれたような顔で口を開く。
「なんだ?」
「『空気』これ、なんて読むか知ってます?」
メイドは大きく『空気』と書いた看板を頭の上に掲げる。……どこから出したんだろう。
「atmosphere」
完璧な発音(多分)で父が答える。なんて言ったのかはわからないが、何となくそれっぽい気はする。
「普通、Airじゃありません?」
「こっちの方が意味的には近い」メイドの問いかけに父が返す。
「まぁそうですけど……」
「そんなことはどうでもいい。作戦会議だ」父が言う。
「いや、それが……」
メイドがいまだ服に縋り付いている妹を指し困った顔をする。
……妹は立ったまま眠っていた。泣き疲れたのだろう。それにしても……器用なやつ。道理で静かなわけだ。
納得しながら妹をメイドの服から引きはがし、ソファにねかせる。
涙とよだれでメイドの服がひどいことになっていたが……見ていないことにしよう。
「さて、今度こそ本当の作戦会議だな」
父が、会議の始まりを宣言した。
49: 枕 ◆t5ttWOhuII:2012/3/24(土) 13:56:51 ID:c6LdN8AlDo
「あの馬鹿は腐ったとは言え、私の息子だ」
父は苦虫を潰した顔で言った。
「私が何処で間違えたかも分かっているつもりだ。それを知らん顔で放ってしまった結果だ。だから──」
まるで懺悔のように父は呟いていた。しかし、その言葉は途中で止まる。いや、止められる。
「でりゃあぁぁ!!」
「ぷげらっ!?」
お婆様のドロップキックによって……。
「お義母さん!? 何をするん──」
「ごちゃごちゃ言ってないでシャキッと言ったらどうだい!!」
珍しく真剣なお婆様がお父様に言った。
「あんた、折角の格好付ける機会じゃ! 家族にナヨナヨした姿見せて先延ばしする気かい!? 『今日の残り時間』は少ない!! さっさと言いなぁ! 息子を助けたい、力を貸せって!!」
お父様はよろけながらも立ち上がる。その目には固い決意があった。
「皆、馬鹿息子を一緒に助けたいから…………
力を貸してくれ!!」
50: 乙潤 ◆nyan.ce4UM:2012/3/24(土) 16:42:30 ID:0JZBd7ZYdQ
「ふふふ、あなたならそういうと思っていましたよ。」
ずっと深刻な顔でいたお母様がようやく笑顔になった。
「まぁ私もまだこの屋敷のメイドな訳ですし、お嬢様とムフフなことをするためにも尽力しますかね!」
「……頼む。一億払うから今すぐにでも辞めてくれないか?」
苦い顔をしながらお父様は、冗談まじりに(だと思いたい)そういった。
「HAHAHA〜ジョウダンデスヨ〜」アセアセ
「私も当然、お兄様のためならなんでもしますわ!」
「ふむ。では作戦なのだが、メイドよ。お前のことだから蹴散らした部下にも何やら怪しい機械を付けて来たのであろう?」
「あ、よくわかりましたね。とりあえず一瞬しか無かったので、盗聴器とGPSの発信機くらいしか付けられませんでしたけど。」
えっあの間にまだそんなことしてたのね!?メイド……恐ろしい子っ!
「お前はメイドを辞めても充分違う仕事で働けるのではないか……。だが、それがあるなら話は早い。その部下の会話を聞けば敵勢力もバカ息子の居場所も分かるだろう。仮に移動していたとしても発信機の電波で居場所は確実に分かる。すぐにでも救出に向かうぞ。」
「お父様私もっ」
「お前はダメだ。さっき何をされそうになったか分かっているのか!」
「でもっ!」
「旦那様。娘さんは私が守ります。ですから共に連れていっては下さいませんか?」
メイドが真剣な目でお父様に頼み込む。
「……何かあったら退職金は無しだぞ?」
「お嬢様、大人しく家にいてください。」
「め、メイドっ!」
「冗談ですよ。」
お父様に頼み込んだのと同じ顔で言われると流石に冗談とは思えないよ……
「あなた、私は?」
「あのバカ息子の親は私達だろう?一緒に行こう。お義母様、小さい娘は頼みましたよ。」
「あらほらさっさー!」
……帰ってきたら家に髑髏型のキノコ雲が上がってるんじゃないかしら。
こうしてお父様、お母様、メイド、私の4人でお兄様救出作戦、オペレーションゲットバッカーズ(命名メイド)が始まった。
51: 寅午 ◆.eH7uaEVrQ:2012/3/24(土) 19:37:03 ID:LIH9xLQmeE
『──…くっそ、なんだあのメイド…強ぇ…』
『うっ…』
『おい、こいつ気失ってるんじゃないか…──』
移動中の車の中、メイドが部屋から持ってきた大仰な機械で、盗聴した内容を録音したものを聞いていた。
そのあまりに鮮明な音声に、おそらくそれまでこの機械の被害者だったであろう私が戦慄したのは言うまでもない。
『──とりあえずボスに連絡だろ』
『うぅ、怖ぇ…』
『おい、いいからこいつ運ぶのを手伝ってくれ──』
私たちがその録音を聞いているうちに、運転をしてくれている執事長がGPSで場所を確認しながら訪ねる。
「旦那様方、何やら四つあった反応のうち、二つだけ移動し始めましたぞ」
それは録音された音声の内容とも一致していた。
「移動し始めた方を追ってください。坊っちゃんの元へ向かうようです」
メイドさんが答える。
というかメイドさん、四人ともに発信器をつけていたの…。
一つしかつけられなかったらしい盗聴機の方は、幸いにも移動し始めた二人のどちらかにつけられたらしい。
お兄様を助け出す際のことを考えると、心強く感じる。
「了解しました。少し運転が乱暴になるやもしれませぬ、お気をつけくだされ」
執事長さんはそう言うと、アクセルを深く踏み込む。
乱暴さなど感じないが、周りの景色だけが移り行く速度を増した。
…お父様がぼそりと、運命とやらを感じさせられる、と呟いたことに、私は気づかなかった。
──この特別な日に、私たちは、再び『家族』として全員揃うのだな。
52: 鬱岡 ◆CevUvUjMhQ:2012/3/24(土) 20:35:21 ID:upUyOZQyEI
――怖い恐いコワイ
「さて、逃げません。と言っていたお嬢ちゃんがどういうことかいなくなってしまったんだが…どんな気持ちだい、お兄様?まぁまともに喋られるとは思っていないワケだが」
――なんでこんなことになったんだ
声がでない
「ま、バカやったくらいならちょっと指詰めて許してやらないでも無かったんだが」
――兄貴がなにか俺に話しかけてくる
体が動かない
「少しばかりハメを外しすぎちまったな。家族には迷惑かけちゃいけませんて習わなかったか」
――家族。この言葉だけは耳に残るけど兄貴の俺を見る目はゴミかなにかを見ているようで
アンモニアの臭いがする
「これからも親に迷惑かけ続けそうな子を養うと思うか?ま、そういうわけだ短い付き合いだったな………おい!このナマモノいつもんとこに捨てておけ」
――兄貴…いや若はあっさり俺を、家族を見捨てた
全ての繋がりを自分で切ってしまった。
関係を捨てたつもりはなかったんだけど…な、切れてしまってちゅうぶらりんだ。
俺の手には糸くずが握られてるだけで本当に大切なモノは何一つ素手で掴んじゃいなかった。
もうどうしようもないほどに手遅れになって今更気付いた関係。
そういえば今日はあの日だったな………
遠くから車の音がする――
53: 普乳 ◆kSd3h.IkGU:2012/3/24(土) 21:51:35 ID:sy4TdTqfb6
「お兄様!!ご無事ですか!?」
バン!っと扉が開くと共にメイドを先頭に父親、そして屋敷の警備員が入ってきた。突然のことに部屋の中にいた者は大した反応が出来なかった。
その隙に何人かは拘束されていった。
「てめぇ!!」
一人がメイドに銃を向ける。しかしメイドは臆する事なくその身体にタックルをかました。
「ふごぉっ!?」
タックルした勢いのまま兄の元に辿り着いたメイドは、兄を俵持ちにした。
「兄は確保した!全員撤退!」
父のその言葉と共に一斉に人が出ていく。時間にしてほんの二、三分の出来事であった。
─車内─
メイドは運転する車内は静かだった。因みに警備員は休暇を取っていた者だったので作戦が終わった段階で解散していた。
「……」
兄は妹達に治療を受けていた。父は誰かに電話をかけていた。
「分かった、では。……兄よ、お前は明日から私の下に戻ることになった」
その言葉に兄以外のみなは顔を輝かせた。
「何でだよ……」
「お前がもう道を踏み外さない様にだ」
「んなの余計なお世話だっ!!」
兄は吠えるが誰も意に介さない。
「こんな特別な日に家族全員揃うなんて、私は幸せ者だな……」
父のその言葉に誰も返事は出来なかった……。
その後兄は改心し、妹達の想いは叶えられた。家族とは、きっと、どんな時でも、どんな事があっても見捨てない、強い絆を持った人たちの事なのだろう──。
54: お姉様 ◆RO2jhvAC9Y:2012/3/24(土) 23:04:37 ID:tmR2D2iuX.
兄を奪回後、家族は無事屋敷に到着した。
帰り着くとすぐさま兄は屋敷専属の医師団に迎えられ、検査と治療の為リビングに案内される。帰りの車内で医師団を集めるようにも指示していたからだ。
私たちも後に続く。
幸い尿検査も陰性、外傷も娘たちの手当てが的確だったため、経過観察となった。
―23:02―
激動の1日を終え、私は疲れでソファーに座り込む。
「メイド…キツいバーボンを一杯頼む」
「かしこまりました旦那様」
メイドはリビングを後にする。
医師達も治療を終え退室した。リビングには私達5人だけとなった。
徐に兄が口を開く。
「…迷惑かけて、ごめん……その…父さん…」
父さん…永らく聞いていない言葉…悪ガキだった息子も、こう見るとまだまだ幼い。
「…お前が無事だった。それだけでいいさ……家族だろう」
家族…その言葉に兄は涙した。
ただの言葉なのに、何故こうまで胸に温かさがこみ上げてくるのか…冷え切ったグラスに温かい飲み物を注がれた様に、止められない汗が涙として溢れ出した。多くの言葉はいらない。
これから離れていた距離はかならず縮められる。
私は、いい子供を持った…
「ねぇねぇ、そういえば今日ってry」
二女が口を開くと同時にメイドがバーボンとグラスを二個持って来た。
「お待たせしました、旦那様、お坊ちゃま」
「おいおい、息子はまだ18で…」
「堅いこと言うなよ親父wwwもう飲み慣れてるってのw」
「まずはその言葉遣いから再教育しなくてはな。」
クスリと娘たちが笑った。
メイドに渡されたバーボンを二人が受け取り、息子とグラスを当て合いバーボンを一口喉に流し込んだ。一日の疲れが消化されていく気持ちだ。
私「……こうして、また家族みんなで暮らせる日を願っていた。それが今日と言う日に叶った。まったく…因果なものだな。」
息子「うるせぇやいwww」
私「今日はみんな、もう何の日かわかっているな?」
息子「しつこく惚気話聞かされて耳だこだってぇのw」
長女「お母様も歳を考えなさいよ」
妻「あら、私はまだまだ若いし現役よ?」
二女「お父様もだからね!」
私「お前はもう少しお淑やかにならんとなw」
ばつの悪そうな顔をする二女にみんなが笑い声をあげた。
私「……今日は、妻と出会って20年目の記念日、そして結婚記念日でもある、つまり…」
私「私達が、家族になった日だ」
55: PK:2012/3/24(土) 23:46:38 ID:gE8pwd8Sek
「あー、はいはい。またおっさんが臭いこと言ってるよww」
兄が文句を言う。しかしその顔は本当にうれしそうに笑っている。
「お兄様、その言葉遣い、妹に移さないでくださいね?」
おねーちゃんがおにーちゃんにちゅーいしてる。
でもえがおだからきっとおこってないんだ。
「おとーさま、おっさんくさいー」
あの、お嬢様、それはちょっと違うような?
……でもまぁ、面白そうだから乗っかっておきましょうか。
「旦那さま。とりあえずこれ、体臭が取れる石鹸と、話題の毛生え薬でございます」
あらあら、メイドさんってばあんなものどこから取り出したんでしょう?
……いえ、女には秘密の一つや二つ位あるものですわね。
「あなた、遠慮なく受け取っておきなさいな。この前、抜け毛で悩んでいたでしょう?」
くっくっく、うちの娘も図太くなったもんだね。昔はあんなに泣き虫だったのがさ。
ま、多少頼りないとこもあるけどあの旦那様のおかげかな?
ちょっとくらいはみとめてやってもいいかもねぇ。
「おや、そーなのかい?昔うちのじーさんが使ってた毛生え薬、後で届けさせようか?」
……まったく、なぜ私がこんな目に合っているのだろう。
そんなに楽しそうな目を全員から向けられたら、怒るに怒れないじゃないか。
「まったく……しょうがない家族だよ、お前たちは」
親父が、笑いながらあきれながら、楽しそうにつぶやいた。
〜Fin〜
56: 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
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