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チーム:夜会【騙す】
[8] -25 -50 

1:🎏 名無しですが何か?:2012/3/4(日) 12:58:12 ID:1lvOPQUkic
お題【騙す】

下記の順番でお願いします。

ガッチャピン ◆njsK9r1FDk
ゲソ ◆9nEkyiWUj6
トニー ◆zDv4YdgCF6
名無しくん ◆eRDUfXaGp2
鍵山 ◆OOv0QE0xGM



38:🎏 ゲソ:2012/3/14(水) 05:51:15 ID:3ZN46PwZVU
岡崎はどこにいるのだろうか?呼び出し音はなく、繋がらない理由を機械的に繰り返す音声しか聞こえなかった。探偵は先ほどの通話に雑音が入っていたことを思い出した。
39:🎏 トニー ◆zDv4YdgCF6:2012/3/14(水) 07:19:53 ID:HTBgGj87.M
あれはまさか――
探偵の手は震えていた。いよいよ探偵ごときが扱う領域を超えてきたからである。
痛みの走る頭を使い、探偵はこれから己どうすべきかを考えた。警察を頼るには証拠が少なすぎる。かと言って、このまま放置しておくわけにはいかないだろう。しかし、一探偵に何ができると言うのか……。
痛む頭ではうまく考えがまとまらなず、探偵は一先ず心を落ち着かせるためにテレビをつけた。
40:🎏 名無しくん:2012/3/14(水) 13:03:05 ID:FWV/2K4l82
うぅ〜ゼロぉ〜

間に合った…探偵はここ最近毎日このニュース番組のOPを見ていたので、変な愛着と言うか意地のようなものでずっと欠かさず見てきたのだっ!
41:🎏 鍵 ◆OOv0QE0xGM:2012/3/15(木) 11:33:04 ID:iVakDA.HWg
流れるニュースはいつもと変わらないものだった。ただ一つ違うのは自分が当事者である事件があったことだ。ニュースによると女の状態はかなり悪いようだ。
42:🎏 ゲソ:2012/3/16(金) 21:30:46 ID:jXjtQP5wys
探偵にとってこの番組は二つの意味がある。一つは情報収集のためであり、一つはOPがはじまる定刻に自宅にいることで一日の疲れをリセットし、考えをまとめるためだ。男は自分がおかれている状況の整理をニュースを見つつはじめた。
43:🎏 トニー:2012/3/16(金) 21:48:56 ID:i7etF7UDUg
まず、岡崎のこと。彼はいつの間に女の怪我を知ったのだろうか。調査対象の、女の夫である男ならばなんらおかしくはない。しかし、岡崎は少なくとも、女の変事を早いタイミングで知ることのできる立場ではないだろう。
女も女で、あのおぞましい量の血は確実に一人のものではない。そこまで医学に詳しいわけでもない探偵にだって、それくらいは理解できる。あれは何の――否、誰の血なのだろうか。
そこまで考えて、探偵は、ふとあることに気付いた。
――女の顔が、写真とまるで違う……?
44:🎏 名無しくん:2012/3/17(土) 02:33:32 ID:nBizvRjA3M
改めてよく見返してみると依頼された夫婦と夫婦の家から出てきた血塗れの女はまるで別人のように見える。
もし仮に調査を依頼された女ではない違う誰かだとしよう、だとしたらあの血塗れの女は一体…言われてみれば病院で「あの女の旦那」には会っていない。
考えれば考えるほど事件の臭いしかしない、ここは警察である遠井に一度連絡をとるべきだろうか…それとも探偵の仕事を全うし、学芸員の彼を調査するべきか…

頭の中をなにか別の生き物が暴れまわるような感覚にいてもたってもいられなくなった探偵は………
45:🎏 鍵 ◆OOv0QE0xGM:2012/3/17(土) 17:52:12 ID:ygqcoXGp5k
探偵の出した結論はとにかく遠井に連絡をとることだった。自分だけで解決するには荷が重すぎると判断したからだ。……しかし遠井へ何度電話をかけても繋がらなかった。
46:🎏 ガッチャピン ◆njsK9r1FDk:2012/3/17(土) 19:42:01 ID:/FojNki4uo
……………
………


テレビの音で目が覚めた。

結局昨日はそのまま寝てしまったらしい。スーツが皺だらけだ。体全体が痛い。頭も痛い。喉が物凄く渇く。


取り敢えず水を飲もう。そう思い、探偵は痛む頭を押さえつけながら台所へコップを取りに歩いた。
47:🎏 ゲソ ◆9nEkyiWUj6:2012/3/17(土) 20:14:47 ID:CYOwNol3Qc
水道水をコップに満たしながら、それを何の気なしに探偵は観察する。コップの水嵩はどんどん上がり、コップの容量をこえてしまった水はコップから溢れた。流れ落ちる水は何故か昨日の血液を思い出させた。

どうも考えがまとまらない。シャワーも早々に探偵はあの馴染みの喫茶店で考えをまとめることにした。しかし喫茶店でも、やはり探偵は考えをまとめることができなかった。喫茶店の扉を開けた際に視界に捉えたコーヒーを飲んでいる女が、昨日探偵に道を尋ねてきた女だと気付いてしまったからだ。
48:🎏 トニー:2012/3/17(土) 20:29:10 ID:i7etF7UDUg
しかし、特徴的な薄紫とほくろがなければ気づかなかった、と思うほど、彼女は憔悴していた。
目の下には遠目にもわかる濃い隈。頬は骸骨のように痩せこけていて、探偵が男であるということを引いても、あの薄紫以外に化粧っ気が感じられない。
そして、何よりも目を引く生気がまるでない顔色は、まさに病人のそれである。
49:🎏 鍵 ◆OOv0QE0xGM:2012/3/18(日) 14:22:01 ID:8GaeMZJMP6

「昨日は失礼しました。なにぶん急いでいたもので…」
気が付くと探偵は女に話し掛けていた。自分でも何故そうしたのかわからなかった、がそうしなければならない気がしたのは確かだった。
50:🎏 トニー @飛ばしました:2012/3/19(月) 12:22:42 ID:dG2jpSBg82
ぎょろりと虚ろな瞳が探偵を向いた。近くでみるとより病人に見える。
「あなたは……?」
女はゆっくりかさついた唇を動かした。探偵がそれに答えるも、完全に忘れてしまっているようで、女は首を傾げるだけである。昨日道を聞かれただけの関係のうえ、女のこの有様だ。無理もないだろう、と探偵は結論づけた。
「重ね重ね失礼いたしました」
そう行って探偵は薄く微笑む。
いいえ、と力無く首を横に振る女を見、探偵はふと血まみれの女を思い出した。
51:🎏 鍵 ◆OOv0QE0xGM:2012/3/20(火) 16:11:05 ID:Bfj0tx5aEw
血まみれの女はどうなったのか遠井に連絡するも繋がらない。気になって病院に行ってみることにした。
52:🎏 ゲソ ◆9nEkyiWUj6:2012/3/21(水) 19:07:57 ID:CYOwNol3Qc
あれから5時間。時刻は14時をまわろうとしている。探偵はそんな昼下がりに警察で困惑をしていた。

探偵は不可解な今回の事件の犯人に気づき、遠井にそれを話す為警察に来たのだが、遠井は不在。しかも犯人が自首してきたとのことだ。探偵が困惑した原因は、それだ。犯人は自首など到底できない人物であるはずだったからだ。
53:🎏 トニー:2012/3/21(水) 20:02:24 ID:Hpqtx0m7GM
やんわりと警察を追い出され困った探偵は、後ろにいる女を振り返る。
「もう良いんです……あの人が私を思っていてくれた、と知れただけで十分なんです……」
女は枝のような手を目元へともっていき、はらはらと静かに泣きはじめた。
女、もとい吉沢明美。岡崎から依頼された調査対象の一人であり――かつ、この事件の犯人である。
54:🎏 名無しくん:2012/3/22(木) 02:03:17 ID:zJRVB2X7Ec
明美と言ってもマラソンの松野明美とは全くの別人である、ちなみに明美という名前であるがスナックやパブのママもしていない。
55:🎏 鍵 ◆OOv0QE0xGM:2012/3/22(木) 23:28:30 ID:XwPswQ0f5w
「私は長いことこの仕事をしてきましたが……」

探偵はここ数日の夢のような出来事を思い出しながら語る。

「こんなに頭を使ったのは初めてでしたよ…」

56:🎏 ガッチャピン ◆njsK9r1FDk:2012/3/23(金) 00:28:38 ID:C5bp2SIbZ.
「さて…ここで立ち話も難ですから、取り敢えず喫茶店にでも行きませんか?」

そう言いながら、探偵は未だ泣き止まぬ吉沢に手を差し伸べた。
57:🎏 ゲソ ◆9nEkyiWUj6:2012/3/23(金) 07:03:59 ID:mjiyMOsgto
気付いてしまえばある意味単純な事件だった。意識さえ失わなければ、血まみれの女は事を荒立てることを拒んだだろう。
探偵はコーヒーをすすりながら、吉沢が落ち着いたことを確認して語り始めた。
58:🎏 トニー ◆zDv4YdgCF6:2012/3/23(金) 08:46:45 ID:dQogQk0cu.
「さっそくで申し訳ありませんが……まず、ご主人はあなたのその傷をご存知でないのですね」
そう言って探偵が明美の腹のあたりに視線を向けると、明美は複雑な顔をしてうなずく。探偵は困ったような顔をし、そして、と話を続けた。
「あなたにその傷を負わせたのは、遠井という、警察官」
探偵と明美の視線があわさる。明美は探偵の問いに対し、あきらめた風に全てご存知なのですね、とだけ言って、その枯れた紅葉のような手で腹をさすった。
事件の原因は、岡崎の妻・岡崎由紀江である。由紀江は夫を持つ身でありながら、探偵がわかっているだけでも他に二人と同時に交際していた。それが遠井と、明美の夫の吉沢尚行である。
「……あなたにご主人の浮気を教えたのは岡崎由紀江で、その時に由紀江を殴った」
明美がことさら暗い顔でうなずいた。
明美は夫の浮気を知らなかったのだが、妙な見栄に駆り立てられたらしい由紀江が、わざわざ明美の家に来てまで浮気のことを自慢した。それにカッとなった明美は由紀江を鈍器か何かで殴り、由紀江はからがら逃げ出し……そこで探偵とぶつかった。血まみれの女は、由紀江だったのである。「血まみれの女」と「調査対象の女」のが違うのは当たり前だろう。
「二つほど、訃報を。遠井さんと、由紀江の夫の岡崎さんは亡くなられたそうです」
探偵はあえて淡々と話した。明美は何かを堪えるように顔を歪ませ、そうですか、と呟いた。
重傷を負わされたことを恨んだ由紀江は、もう一人の浮気相手である遠井をそそのかし、明美を襲うよう仕向けた。遠井が玄関から駆け付けてきたのは警察官だからではなく、由紀江に呼ばれたからであったらしい。
由紀江の思惑通り明美に傷を負わせた遠井だったが、何かのきっかけで一連のあらましを知った岡崎に襲われ、返り討ちにして殺しまう。そのことと、逆恨みとも言える明美のことで、元々正義感の強かった遠井は悩み抜いた末――自殺。このことは探偵が警察を訪ねた際に、とある婦警がこっそりと探偵に漏らしたものである。
「吉沢明美さん、あなたはどうされますか?」
思ったよりも冷たい声が出たことに探偵は驚いた。
「自首するのか、罪を肩代わりしてくれる人に全てを任せるのか。私は、後者をとっても悪くないと思いますが」
「……私は」
明美が口をゆっくり開く。明美の言葉を待つように、探偵が明美の伏された目を見た。
59:🎏 名無しくん:2012/3/23(金) 18:16:39 ID:dV.9SstoOY
わたしは……たわし…

探偵「え?」

吉沢「えっ?」
60:🎏 ゲソ@とばしました:2012/3/24(土) 09:43:33 ID:M3Wkvy33qg
イライラする。先ほどから聞こえる声。不可解。理解できない、不愉快。誰だ、だれが言ってるんだ。頭の中がぐちゃぐちゃする。目の前の女が言っているのか?何を考えているんだ。イライラする。この声はどうやったら止まる…?原因を止めなければずっと聞こえ続けるのか?少なくとも松野明美など知らない。たわし?意味が分からない。やはり別の生き物が頭の中にいるのだろうか?殺さなければ!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す、私は私の頭をテーブルに打ち付けたが、止まらない。何故止まらない。殺さなければ。私の中にはいない。殺さなければ。目の前の女の頭の中にいるのでは?殺さなければ。はやく殺さなければ。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すモウハヤクコロサナクテハイケナイ

「あの…」
吉沢の声で探偵は気がついた。どうやら意識がとんでいたのかもしれない。
「すみません、どうなさいますか?」
気を取り直し、改めて探偵が尋ねると吉沢から帰ってきた返答は意外なものだった。
61:🎏 トニー@もうどうにでもな〜れ:2012/3/24(土) 14:11:37 ID:i7etF7UDUg
「あなたは、間違いなく探偵の山門さんですよね」
明美がそう尋ねる。探偵はとっさにそうです、と言ったことをすぐさま後悔した。
明美の眉は八の字で、いかにも不安だと言わんばかりである。しかし、目は生き生きと――否、ギラギラと輝いていた。枯れ木のようなこの女には相応しくない、捕食者の瞳である。
「そうですか」
女の声と不気味な男の声が重なった。探偵はふと、女の後ろに誰かがいることに気付く。他の客が遠巻きに探偵たちを見つめていた。
「山門鷹雄。殺人、強姦、詐欺、その他諸々の罪で逮捕する。大人しくお縄につきやがれ」
一人の男が手帳と紙を取り出した。どんなものかは、読まなくともわかるだろう。
探偵、もとい山門鷹雄は警察を振り切り、喫茶店のガラス張りの壁から外に出る。転んだ際にガラスの破片が抜けないくらいに食い込んだが、鷹雄は気にならなかった。それどころか、笑いさえ込み上げている。
後ろからあのサイレンの音が聞こえ――探偵だった男は、頭の何かがいなくなるのを感じた。



―The End―
62:🎏 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
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名前:
sage:


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