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ドラえもん のび太の電脳大戦記
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1: :2012/5/2(水) 22:55:37 ID:NeNQDk43GY
ドラえもんのSSを書いていきます。
映画風なタイトルですけど、一つ問題があるとすると、俺映画のドラえもんは見たことないです。
なので、本当に映画っぽくするとかそういう作風ではないはずです。お気を付け下さい。
それでも良いという方は、最後まで頑張るつもりなので、何卒よろしくお願い致します。


295: :2012/5/25(金) 21:03:39 ID:NeNQDk43GY
いつまでも溺れていたいほど心地良い心境なのだが、そういうわけにもいかない。
そろそろ行動を起こすことにした僕は、ドラゴンを追って山頂を目指すことにした。

山頂にたどり着くと、そこにはもがき苦しむドラゴンの姿があった。
地面を転がり苦しそうな声を出すドラゴン。仕方ないとは言え、少しだけ罪悪感に襲われる。
ドラゴンはそのまま転がって、火口の中へと落ちていった。その瞬間、マグマの活動が活発になった。
噴火かと思って慌てたが、噴き出す様子は見られない。マグマは火口を蓋するように盛り上がると、そこで固まってしまった。
マグマの赤みも消えて、完全に岩肌と同化して、ただの山になってしまった。
そうしてできた足場の中央には、勇者の集めるべきアイテムである魔法石が置いてあった。
296: :2012/5/25(金) 21:04:24 ID:NeNQDk43GY
現実的にはまだ高温で足を踏み入れるなど到底不可能だろうが、これはゲームだ。僕は数秒前までマグマだった地面を踏み締めて中央へと歩み寄った。
身を屈めて魔法石を拾う。これで必要な六個のうち、五個を集めたことになる。

「……クリアは近いのかな」

言葉が返ってくることもないのを知りつつ、それでも僕はそう発した。
とりあえず船に戻ろう。そう思って下山を開始しようとした僕は、足元に落ちてるアイテムを見つけた。それは、

「ドラえもん……」

ドラえもんが所持していたアイテムだった。
仲間が死亡した場合、アイテムだけは残して消えてしまう。スネ夫の時だって、あいつはランプだけ残して消えただろう?
ジャイアンの場合は森の中で死亡したので、アイテムを見つけることはできなかったけども。
ドラえもんはここの上空であいつにやられたから、落っこちてここにあるってことだろう。
297: :2012/5/25(金) 21:05:16 ID:NeNQDk43GY
僕はそれを回収した。用途のわからないものがほとんどなので、拾ったところで収納袋の奥底に眠ってもらうことになるだろうけど。
ドラえもんの残したアイテムと考えると、拾わずにはいられない。
落ちてたアイテムを拾い上げて、今度こそ僕は大陸を出ることにした。

下山を終えて、今は船の中である。僕は船を海上に漂わせながら、今後について考えていた。
この世界には六つの大陸がある。僕らは……今となっては一人だけど、僕らはそれを全て攻略した。
しかし手元にある魔法石は五つだ。これは明らかに不自然だと言えよう。
そこで次なる目的地を始まりの大陸にしようというわけである。
確かにボスを倒し、各ダンジョンを攻略した始まりの大陸ではあるが、魔法石に関するイベントは、ここだけ発生してないのだ。
298: :2012/5/25(金) 21:06:06 ID:NeNQDk43GY
大陸と魔法石。両方とも六つであることを考慮すれば、一つの大陸に一つの魔法石があると考えるのが妥当だろう。
しかし始まりの大陸では魔法石関連のイベントは起こらなかった。
当時は何も起こらなかった場所だが、魔法石を五つ集めた今、新たなイベントが起こるかもしれない。
そう結論付けて、僕は船を始まりの大陸に向けて走らせた。

港町に船を置き、毒の湖の迷宮を通り、久方ぶりに王都へと足を運んだ。
本当に久し振りだ。ゲームを始めた頃、草原の綺麗さに感動し、王都の豪壮さに圧倒されたのを覚えている。
かつてそうしたように、見張りの兵士二名にチェックさせて、古風な街に再び僕は入ったのだった。
299: :2012/5/25(金) 21:07:18 ID:NeNQDk43GY
いろんな施設のある街だけど、僕は真っすぐに城を目指す。何かあるならここだと思うし。
城に行くと、予言の勇者であることを理由に、アポ無しで王との対面が許されることとなった。
……勇者は死に、残ったのは銃を扱う僧侶っていう、意味のわからん状況なんだけどね、本当は。
王の間に行くと、相変わらず王様って感じの外見の王様が豪勢な椅子に腰かけている。

「えっと……王様、予言者さんの言う通りに魔法石を集めまして、それで、えっと、今五つあるんですけど……」

ゲームのキャラだとわかってても、お偉いさんと話をするのは緊張する。
よくよく考えるとドラえもんは立派に勇者してたなあ。はきはき喋って、勇者っぽいこと言って。本当に尊敬するよ。
それはともかく、その報告を受けて、王様はこのようなことを言い出した。

「そうですか……ついにこの時が来たのですね」

どうやらビンゴっぽい。何やら魔法石関連でイベントが起こりそうな雰囲気だ。
300: :2012/5/25(金) 21:08:44 ID:NeNQDk43GY
「実は我が王家は魔法石を封じていました。脅威なる魔界への門を開く石ということで、人間の世を守るためにです」
「一度魔界への門が開かれれば、今この世界に蔓延る魔物以上に凶悪な魔物が攻め入ることとなるでしょう」
「しかし、予言士は魔界の門を開けることこそ平和の道と読み、それに伴い勇者様は魔法石を集めてみせました……」
「こうなれば、我々は勇者様を信じるのみです。魔法石をお渡しください。魔法陣を完成させ、魔界への道を完成させましょうぞ」

以上が王様の御言葉である。
どうやら今まで集めた魔法石を王様にあげれば、魔界に行けるようになるらしい。
嘘か真か僕にはわからないけど、どちらにせよ手渡す他に道はない。僕は五つの魔法石を王様に渡した。
魔法陣の完成は明日になるから勇者様は宿屋でお休みください、なんてことを言われた。イベントを進めるためにも素直に従うとしよう。
301: :2012/5/25(金) 21:10:00 ID:NeNQDk43GY
王都の宿屋に行き、僕には意味がないと知りつつも一応セーブをする。そしてはした金を払って部屋へと案内された。
部屋に入ってすぐにベッドに転がる。このまま寝れたらどれだけ気持ちいいだろうか。しかしこのゲーム世界に睡眠の概念はない。
それに宿屋に泊まると、この世界の太陽は高速移動を始める。一瞬で暗くなり、再び明るくなるのだ。こうして10秒も経たぬうちに翌日になった。
HPとMPは回復しても、全然休んだ気にはならない。まあそれにも慣れてしまったけれども。僕は城に向かうことにした。

城に向かう途中、街の広場に人だかりができていた。その中央には王様と黒いローブに身を包んだ魔法使い風の老婆がいた。
王様たちと人だかりは、円形の何かを囲んでいるようだった。それをよく見てみると、魔法石を使用した六芒星な魔法陣であることがわかった。
そうか。これが魔界への扉を開ける魔法陣って奴か。
王様が僕に気付くと、人ごみをかき分けながら走り寄ってきた。
302: :2012/5/25(金) 21:11:26 ID:NeNQDk43GY
「勇者様!魔法陣は完成しました!後は呪文を唱えるだけで海面に魔界への通り道を作ることができます!」

魔界からは海面から行くことになるのか。海面の扉……っていうことは、魔界は地下的な世界ということだろうか。
よろしいですね?と確認をとってくる王様に対して、僕はGOサインを出した。王様はそれを見て老婆に合図を送り、呪文は唱えられ始めた。
すると僕の頭脳に突然海面が映し出された。何事かと思ったけど、どうやらムービーシーンを脳内に直接送り込んでる感じらしい。
六つの大陸のちょうど中央に位置する海面に、このゲーム二度目のモーゼの十戒的現象が起こっていた。
ただし、こちらは底なしの穴を作っている感じだ。底の見えないほど深い穴である。魔界に行くにはここを落ちないといけないのか?怖いなあ……。

やがて脳内で再生されるムービーは終わったみたいで、僕の視界は再び王都に戻っていた。
老婆の呪文も終わったようだ。これで僕は魔界に行けるようになったみたいだ。
303: :2012/5/25(金) 21:12:30 ID:NeNQDk43GY
「勇者様。準備は整いました。今、この世界と魔界は繋がったのです」

見てたから知ってるよ、なんて空気の読めない発言はさすがにできず、僕は黙って聞いていた。

「この判断がどのような結果を生むかわかりません……しかし我々は勇者様を信じると決めました。どうかこの世界を御救いください!」

信じる……か。最近のホットなキーワードだなあ。
僕だって信じるさ。ドラえもんを。そして、ドラえもんが信じてくれた僕を。
心の奥底では未だ疑ってる本当の自分もいるみたいだから、完全にそれが出来てるかは知らないけど。
想うことで生まれる力っていうのを、僕はドラゴン戦で知ったような気がする。
その真理を完全には理解できてないけど、あの戦いを経た今、断言できることが一つある。
僕への信頼を、今の僕は力に変えられるってことだ。

「……任せてください!かならずこの世界を平和にしてみせます!」

僕は力強く王様に答えた。
304: :2012/5/25(金) 21:13:26 ID:NeNQDk43GY
王都を出て、毒の湖を突破し、僕はまた港町にやってきた。
もちろん船に乗り込んで、海面の穴へと向かうためだ。
すっかり乗りなれた愛船を自由に操り、僕は穴の前へと到着した。

「ここを落ちていくのか……」

ムービーでもそうだったように、覗きこんでも底が見えない。相当に深い穴だ。
今からこれを落ちるのか……正直、気が進まない。
気が進まなくても、ここを進まなければ魔界には行けない。
半ば自棄になって、僕は船を進ませて自分ごと穴へと落とした。
305: :2012/5/25(金) 21:14:10 ID:NeNQDk43GY
「うああああああ!!」

ジェットコースターなんて比じゃない恐怖だ。これ、死ぬんじゃないか?って不安すら頭をよぎる。
永遠と思うほど長らく落下を続けた船は、ようやく船のあるべき場所へと帰ってきた。そう、下に海面が見えたのである。
赤い海面に強烈に叩きこまれ、高らかに波しぶきをあげた。
それはもう高く厚い波しぶきだ。一瞬、滝かと勘違いするほどである。
しかしそれも長くは続かず、赤い波の壁が消えた時、僕の目には魔界の光景が飛び込んできたのである。
306: 今回はここまで:2012/5/25(金) 21:14:53 ID:NeNQDk43GY
空は黒く濁り、海は赤く染まっていた。遠くに見える大陸も全体的に暗い色で構成されており、人の考え得る負の世界がそこには展開されていた。
わかりやすいほどに魔界の風貌だった。とにかく僕は生きて魔界に降り立った。

「そろそろラストなのかな……」

誰も答えてくれないと知りつつ、そんなことを呟きながら、とりあえず遠くに見える大陸を目指して船を進めたのだった。
307: :2012/5/26(土) 23:17:07 ID:NeNQDk43GY
結論から言えば、まだラストではなかった。
人間の方の世界とは違って、魔界は大陸が複数あることはなくて一つきりだった。
そして船が泊められるような場所は一カ所しかなく、そこは魔王城から遠い場所だった。
目を閉じてステータス画面を表示し、マップを確認してみると、さりげなく魔界仕様になっていた。
それで地理を確認すると、魔王城はまだまだ先だったっていう話である。
道中にはいくつかダンジョンっぽい場所も確認できる。あーあ、また頑張らなくちゃならないのか。
愚痴ったところで何も進展しない。気を取り直して、僕は魔界を進んで行くことにした。
308: :2012/5/26(土) 23:17:47 ID:NeNQDk43GY
それからのことを少し駆け足気味に語ろうと思う。

魔界は魔界でいくつかのダンジョンがあり、その都度攻略していかないと進めない仕組みになっていた。
ダンジョンの数だけ足止めをくらい、その度に僕のレベルは時間と気力を犠牲にして上がっていった。
そしてボスを倒す。気のせいかもしれないけど、どのボスも火山のドラゴンより強いようには感じなかった。
そういうわけで、六つの大陸編よりは苦戦しなかったと思う。
しかし、襲い来る不安が払拭されたかって、そんなことはなく、いつでも僕は不安と隣合わせだった。
頑張ることが辛くて、自分で自分に諦めることを勧めるようなことも多々あった。
それでも僕は、見苦しかろうと形振り構わず、どうにかこうにか頑張って成功を収め続けた。
309: :2012/5/26(土) 23:18:57 ID:NeNQDk43GY
本当に、時間だけは嫌と言うほどに有り余っていた。
そのため、レベル上げのような単調な作業の時に、考え事をすることも多くなった。
考えることはいつも一緒。僕の可能性についてだ。

僕は無能な人間だと自覚している。
勉強も出来ない、運動もできない、容姿も良くない。
そして、そんなだから努力をしても成功しないと考えてて、徹底的に努力から遠ざかって生きてきた。
このゲームを始める前は完全にドラえもんに甘えていたし、ゲーム中は絶望のあまり激昂して迷惑をかけた時もあった。
とにかく、努力から逃げて逃げて、でもとうとう一人になって、自分がやらなきゃどうしようもなくなった。
その時も僕は努力したところで成功しない、どうせ死ぬしかないと考えていた。いつだったかドラえもんが僕にかけてくれた言葉のおかげで頑張ろうと思えるようになったが。
結局頑張ったところで、僕はドラえもんのように完璧にはなれず、無様な姿を晒した結果になったと言えるだろう。

ただ、それでも僕はドラゴンに勝つことが出来た。
310: :2012/5/26(土) 23:19:36 ID:NeNQDk43GY
頑張ったところで無能に違いなく、しかしそれでも僕は成功を収めた。

僕は、前々から成功を収めるには完璧にならなくてはいけないんだと思っていた。
賢くなるには、出木杉みたいにならないといけない。強くなるには、ジャイアンみたいにならないといけない。
そして、人として完成するには、ドラえもんのように優しくならないといけないって思っていた。
でも、僕が頑張ったところで出木杉にはなれないし、ジャイアンにもなれない。
そして何より、大好きで尊敬してて憧れてるドラえもんにはなれるわけがないと知っていた。
頑張ったところで彼らのような能力は得られない。能力を得られないなら成功することもないだろうと思って、堕落の中に溺れる日常を選んできた。
でも、このゲームにおいて、無能に変わりないまま僕はドラゴンに勝った。
311: :2012/5/26(土) 23:20:19 ID:NeNQDk43GY
それから、魔界を駆けてきた。
不安を拭えず、相変わらず無能で、弱音もたくさん吐いて、戦闘は無様で、それでも僕は勝ち続けた。
それを重ねたことで、ようやく僕は真理を見つけた気がする。
このゲーム内で、僕の考えはころころ変わっていたと思う。それは、僕の心に弱い部分があり、それを排除できないことが原因だったと思う。
でも、排除しなくていいんだ。
変わることも、力を得ることも大切だけど、何より大切なのは頑張り続けることだ。
人間は平等じゃない。人種や環境で能力はだいぶ左右されるだろう。
そして僕は弱い人間だ。頭もよくない。運動もできない。容姿もよくない。
でも、そんな僕でも、頑張り続けることでチャンスは生まれるんだ。僕はこのゲームでチャンスをずっと掴んできた。
312: :2012/5/26(土) 23:21:15 ID:NeNQDk43GY
自分の無能を言い訳にして、努力から逃げて、成功を諦めていた。
それらはドラえもんみたいに完璧な存在にだけ許された頂だと思っていた。
でも、そうじゃない。成功の規模などに差は出るかもしれないが、僕でも努力すれば道は開けるんだ。

僕はドラえもんに憧れていた。
僕はドラえもんのようになりたかった。
でも、僕はドラえもんにはなれない。
なる必要はない。
僕は僕だ。
野比のび太だ。
のろまで馬鹿で、心に弱さをかかえているけども、それを含めて僕だ。
そんな僕にも道は開ける。僕だからこそできることもある。
僕が僕でありながら、僕にできることを確実にやっていくことこそが大切なんだ。
313: :2012/5/26(土) 23:28:28 ID:NeNQDk43GY
今となっては、このゲームに巡り合えてよかったと思ってる。
いつだったか、買ってきたドラえもんに逆切れした時もあったけど。
このゲームで努力を覚え、成功を知り、人間として成長出来た気がする。
知力や体力といった、能力的な変化はなくても、僕は確かに進化したんだと断言できる。
ドラえもんにだって、胸を張って今の僕を見せてあげられる。ドラえもんもきっと喜んでくれるはずだ。
僕は、自分の無能さを言い訳にして、努力を怠ってきたことをドラえもんに謝りたい。
自分を犠牲にして、僕に努力と成功を知るきっかけを作ってくれたことに感謝したい。
これらを「したい」から「する」に変えるために、僕はゲームをクリアして皆を救うんだ。
314: :2012/5/26(土) 23:29:26 ID:NeNQDk43GY
一刻も早くその瞬間を迎えたい。だから……。

「お前はとっとと消えろ!」

そう叫びながら、ボスである悪魔に向けて発砲した。
それでHPを0にされた悪魔は何やら叫んだ後に消滅してしまった。断末魔の叫びと言う奴だな。
その悪魔はアイテムを落としていた。駆け足説明のために省略していたが、魔王城に行くために必要な魔力石だ。
魔界には四天王なる魔物がいるらしい。
そいつらを仕留めると落とす魔力石を四つ全て集めると、空中に浮かぶ魔王城と大地を結ぶ階段が出現するという話らしい。
で、今倒したのが四匹目だったりする。
ボスを圧倒するほどになった今の僕のレベルは200だ。どうやらこれが上限らしくて、これ以上は上がらなかった。
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