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ドラえもん のび太の電脳大戦記
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1: :2012/5/2(水) 22:55:37 ID:NeNQDk43GY
ドラえもんのSSを書いていきます。
映画風なタイトルですけど、一つ問題があるとすると、俺映画のドラえもんは見たことないです。
なので、本当に映画っぽくするとかそういう作風ではないはずです。お気を付け下さい。
それでも良いという方は、最後まで頑張るつもりなので、何卒よろしくお願い致します。


320: :2012/5/27(日) 12:36:02 ID:NeNQDk43GY
(どういうことだ!?いつか戦った木の化物みたいに、弱点を攻めないと駄目なタイプなのか!?)

うろたえるのび太を魔王は待ってはくれない。今度は魔王がのび太に攻撃を仕掛けてきた。
掌を上に向けると、そこから無数の魔力の球を放出させた。
そしてそれらを、腕を横に払う動作に合わせて次々と発射させていった。
魔力の球が、凄まじい速度でのび太に襲う。
転がるようにして回避を試みたのび太だったが、結果は芳しくなく、四発ほど受けてしまって瀕死状態に陥った。
たまらず回復魔法マホベを唱えた。レベルがマックスなだけあって、攻撃は何発か耐えられるようだが、相手にダメージを与えられないなら絶望に違いはない。
321: :2012/5/27(日) 12:36:48 ID:NeNQDk43GY
のび太は、魔王に何か弱点があるのだろうと判断し、怪しい部分を探すことにした。
魔王本人はもちろんのこと、見えない壁で囲まれた戦いの舞台にも目を向けて、攻略の糸口を必死に探した。
しかし、結局怪しい部分は見つけられなかった。その間も魔王の攻撃はのび太のHPとMPをおびやかし続けた。
自棄になって乱射するも、ダメージは変わらず0のままだった。このままでは敗北まで一直線である。

(くっ……諦めるな!最後まで考えるんだ!諦めなければチャンスは訪れる!)

冒険の中で得た真理を信じて、親愛なるドラえもんが自らに向けてくれた信頼を信じて、のび太は諦めることをしない。
しかし、そんな直向きな姿勢もむなしく、魔王の激しい攻撃の前にHPとMPを減らすしかなかった。
322: :2012/5/27(日) 12:37:29 ID:NeNQDk43GY
のび太が魔王を相手に苦戦している頃、王の間の方も騒がしくなっていた。
今現在に牢屋に入ってるメンバーのほとんどがいろいろ言葉を発している。黙っているのはアインスくらいである。
その中でも特に大きな声を発していたのは、フィーアだった。

「ちょっとアインス!どうなってるのよ!?ラスボスまで辿り着いちゃったじゃない!」

クリアされれば自分達の脱獄が失敗するとあって、ずいぶんと御怒りの様子だ。
反論するでもなく、ただ笑っているだけのアインスに、フィーアのイライラはヒートアップする一方だ。
そんな時空犯罪者達の様子を見てジャイアンは調子に乗った。

「ざまあ見ろってんだ!このゲーム、俺達の勝ちだぜ!」
「それは違うな」

ジャイアンの勝利宣言を受けて、ようやくアインスが口を開いた。
323: :2012/5/27(日) 12:38:16 ID:NeNQDk43GY
勝利気分に水を差されたジャイアンは、怒鳴り気味に反論を開始した。

「ああ!?何でだよ!俺達の仲間がもうそこまで来てるんだぜ!きっとクリアして俺達を助けてくれる!」
「甘いな、太った少年よ。お前達はこのゲームを何もわかっちゃいない」
「誰がデブだ!それに、わかってようがなんだろうが、ここまできたら絶対にクリアして……」
「ドラクエ50。このゲームのラスボスは、あることをしておかないとダメージが通らない」

アインスの発した言葉に、ようやくジャイアンの怒号が鳴りを潜めた。
それを機に、ここからは俺の番だと言わんばかりにアインスは捲し立てたのだった。
324: :2012/5/27(日) 12:38:54 ID:NeNQDk43GY
「未来じゃこのドラクエ50はクソゲーとかガッカリゲー等とプレイヤーから評価されている」
「何故かわかるか?このゲームはいろんな部分が理不尽に難しいんだよ」
「異常に高いボスのステータスに、初見殺しな行動パターンもそうなのだが……」
「何より理不尽なのは、ラスボス相手には事前にあることをしてないと絶対に倒せないってことだ」
「しかも、それに関してはノーヒントだ。ゲーム世界の隅々まで探しても、その情報を得られることはない」
「故に、初見プレイヤーで自力クリアした猛者はいないとされてるような、そんなゲームなんだ。皆無とまではいかなくても、本当に数えるくらいしかいなんだろうよ」
「さて……お前らの頼もしいお仲間さんは、初見プレイでその頂に辿り着けるのかな?」

アインスの言葉にジャイアン達は黙り込んでしまった。
自分達も少なからずゲームをやるからわかる。それがどれほど理不尽で、プレイヤーにとって絶望的な状況なのかを。
325: :2012/5/27(日) 12:39:36 ID:NeNQDk43GY
ただ、ひとり。それでも信じている仲間がいた。静香だ。

「それでも私達はこのゲームをクリアするわ!私達五人は、いつだって皆で困難を乗り越えてきたもの!」
「魔王を倒す条件があっても、きっとそんなの既に達成してるわ!」
「あとは倒すだけなんだから!私は諦めない!私はここから応援して力になる!」

そうして静香は牢獄から声を張り上げた。壁の向こう側で魔王と戦っているのび太に向かって、頑張れ!頑張れ!……と。
それに引っ張られるように、残りのメンバーも応援を始めた。
その様子を小馬鹿にするように見ているアインスに、フィーアが耳打ちしてきた。

「アインス……本当に大丈夫なの?クリアされないよね?」
「出来るもんか。無敵の魔王にやられるだけさ」
326: :2012/5/27(日) 12:40:11 ID:NeNQDk43GY
その壁の向こう側、のび太は一体どうなっているだろうか。

「く、くそっ!何だ?どうすればダメージは通るんだ?」

未だ魔王にダメージを与えることに成功しておらず、少しずつゲームオーバーに近付いていた。

「MPがそろそろなくなる……!」

回復魔法も連発し、そのエネルギー源は底を突こうとしていた。
強いられる苦境に、見出せない活路。その状況がのび太の精神を追いやっていく。
そんな混乱状態の中にあるのび太は、壁の向こう側から聞こえる仲間の声に気付けなかった。

「〜〜〜!!」
「〜〜〜〜〜!!」
「〜〜〜〜〜!!」
(なんだ?何か聞こえるけど……何かわからない……)
327: :2012/5/27(日) 12:40:45 ID:NeNQDk43GY
魔王に追い詰められたのび太の脳裏には、とうとうあの言葉が浮かぶようになっていた。
そう、諦めるという言葉である。

(……ここまで頑張ったんだけどな。どうにかならないのか……)

考えても考えても、現状で出来ることはやりつくしたという結論に至り、のび太としてはもはや選択肢はないと考えていた。

(ここまでかもしれない……ごめん、皆……)



「のび太くん!!」



「ドラえもん!?」
328: :2012/5/27(日) 12:42:04 ID:NeNQDk43GY
のび太は確かにドラえもんの声を聞いた。
思い出の中のドラえもんが心に呼びかける等ではなく、ハッキリとドラえもんの声を耳にしたのだ。
懐かしい声に少しだけ気力を取り戻したのび太は、意識を戦闘に戻すことに成功した。
そして気付いた。さきほどから聞こえるのは、静香の、スネ夫の、ジャイアンの、皆の声だと。

「皆……皆この向こう側にいるのか!」

のび太はこの世界で死んだことがない。故にその仕組みを知っておらず、死んだ仲間がこの世界に残っていることを知らなかった。
でも、たった今、直接声を聞いたことで、仲間が向こうにいることを知った。
ずっと、ずっと望んでいた仲間の存在。それを確認できたことで、のび太の中に元気が溢れかえった。

ただ、元気になったところで、魔王の攻略法がわかってないのに変わりはない。
気持ちは前向きになっても、このままではやられるしかない。
329: :2012/5/27(日) 12:42:54 ID:NeNQDk43GY
……どうにかならないのかな。
でも僕はもうやれることは全部試した。
攻略法がわからないんだ。どうしようもないんだ。
ごめんね、ドラえもん。せっかく僕に言葉をかけてくれたのに。

……ドラえもん?

ドラえもんの名をきっかけに、僕は二つほど思い出した。
330: :2012/5/27(日) 12:43:42 ID:NeNQDk43GY
一つは、ドラえもんが残してくれたアイテムのこと。
用途不明で、ドラえもんが持ち続けていたアイテム。
仲直りのきっかけを探すために、ドラえもんが超難易度の洞窟からどうにか取ってきたアイテムの中の一つ。
ドラえもんが死んでから、それからは僕がずっと持っていたアイテム。
もしかして……袋の奥底に仕舞っておいた謎のアミュレットを僕は取りだした。
そして魔王に向けてみた。すると……
331: :2012/5/27(日) 12:44:43 ID:NeNQDk43GY
思い出したもう一つのことは、かつてドラえもんが僕に言ってくれた言葉に続きがあったこと。
僕が努力を続けられるようになるきっかけとなった、ありがたい言葉。

『のび太くんが努力を続ければ、最後には絶対にうまくいくよ』
そしてこれは、こう続くんだ。
『努力しても駄目だったら、その時は僕だって力になるよ』
……ありがとう、ドラえもん。本当に君はいつでも僕のことを思って優しくしてくれるね。
君の力のおかげで、僕は努力を無駄にしないで済むよ。僕は皆を助けられるよ。
ありがとう……。
332: :2012/5/27(日) 12:45:32 ID:NeNQDk43GY
……すると、そのアミュレットは、魔王に向かって飛んでいき、無理やり魔王に装着してしまった。
それと同時に魔王が苦しみ出した。

「ぐああああ!!ば、馬鹿な!!これは……魔封じのアミュレット!我が力を封じる忌々しい装飾品!」
「我が脅威と成り得るこれは、辺境なる洞窟の奥底に封じ込めたはずなのに……どうして貴様が!?」

僕の考えは正しかった。ドラえもんの残してくれたこれは、魔王攻略の鍵だったんだ。
間違いない。この状況なら、僕の攻撃も奴に届く。確信と共に、僕は引き金を引いた。
当たりだ。レベルマックスの僕の攻撃は効くらしく、けっこうなダメージを与えることに成功した。
これなら……勝てる!僕の努力に、ドラえもんの力を重ねて、僕らはこいつに勝つんだ!
333: :2012/5/27(日) 12:46:43 ID:NeNQDk43GY
『魔封じのアミュレット』
のび太が今使ったこのアイテムは、ドラクエ50のラスボスを倒すのに必須なアイテムである。
アインスが言っていたように、作中ではこのアイテムの存在や魔王攻略のヒントを得ることは出来ない。
しかし、実はヒントはこのゲームのキャッチコピーに隠されているのだ。

『僕達は今、始まりを思い出す』
これが今作のキャッチコピーだ。前に説明した通り、原点回帰として初期のRPGを意識して作られたことを意味する。
最近のRPGにやり込み要素や2週目要素などが組み込まれるのは自然だが、最初期にはそのような概念はなかった。
つまり、最初期をイメージして作られた今作にやり込み要素などはないのだ。
334: :2012/5/27(日) 12:47:27 ID:NeNQDk43GY
そしてそこから、あの鬼畜とも言える難易度の洞窟はやり込み要素でも何でもなく、本編攻略に必要なダンジョンだと捉えなければならないというわけだ。
最近のRPGに慣れている多くのプレイヤーは、その圧倒的に高い難易度から、洞窟をやり込み要素かなんかだと判断し、スルーしてしまうのだ。
そしてラスボス戦で詰むという流れだ。これには多くのプレイヤーも不満を訴えたし、実際のび太達も最初は洞窟を見逃そうとしていた。
しかし、紆余曲折を経てのび太達は……ドラえもんはそれを手にした。
そしてそれが、五人の運命を救いだす結果に繋がったのだった。

「うああああああ!!」

絶叫しながら、最後となる弾丸をのび太は放った。
335: :2012/5/27(日) 12:48:04 ID:NeNQDk43GY
それによって、魔王のHPは0となった。

「馬鹿な!この我が!この我があああ!!」

絶叫しながら、魔王の体は消滅していった。
それを見届けて、のび太は座り込んでしまった。今までの緊張が抜けてしまったからだろうか。
目の前で起こったことをうまく受け入れられず、しばらく呆然としていた。しかし、頭が展開に追いついた時、彼は言い表せない喜びに支配された。

「勝った……終わった……僕が勝ったんだ……!」

そしてのび太は喜びを爆発させた。
才能も何もない自分が努力を重ねたことで皆を助けられたという事実が、のび太にとって嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
336: :2012/5/27(日) 12:49:13 ID:NeNQDk43GY
魔王が消えてからちょっとして、王の間への扉は開かれた。
のび太がそこに足を踏み入れた瞬間、上空から叫び声が聞こえてきた。それはアインスのものだった。

「嘘だ!このゲームのクリアなんて出来るはずがないんだ!俺の脱獄が失敗するはずないんだ!!」

アインスにとっては予想外の結果に、半狂乱になって叫ぶしかできなかった。
他の時空犯罪者達も、この結果に対してそれぞれの反応をしている。

「失敗するなんて聞いてないわよ!!絶対に成功するって言うから乗ったのに……!!」

これはフィーアによるものだ。
それをなだめるようにツヴァイがこう言った。

「だ、大丈夫だよ……他のプレイヤーがやった時に、そいつらの体を貰えば……」

それを即座にジャイアンが遮る。

「バーカ!俺達がこのゲームを、お前たちを見逃すと思うか?ゲーム機ごとタイムパトロールに突き出してやるぜ!」

今のジャイアンの発言が全てである。クリアしたのび太達は現実世界に戻れる。アインス達はゲーム世界に残る。
あとはこの凶悪に改造されたゲームを誰にもやらせることなく、通報して御用にさせればいいだけだ。
337: :2012/5/27(日) 12:49:52 ID:NeNQDk43GY
つまり、ゲームをクリアされてしまったアインス達の脱獄の機会は永久に閉ざされたということだ。

「あああああああああああああああああああ!!」

光を失った自らの人生を前に、アインスはもはや叫ぶことしかできなかった。
そんな時空犯罪者達は置いといて、のび太達にとって待望の瞬間が訪れた。
そう、エンディングのイベントが始まったのだ。
338: 今回はここまで:2012/5/27(日) 12:50:55 ID:NeNQDk43GY
「よく頑張りましたね、異世界の勇者達よ」

どこからともなく聞こえた女性の声を聞いた次の瞬間に、牢獄からジャイアン達の姿が消えた。
アインスが言っていた、ゲーム内のプレイヤーを強制的に集めるイベントである。
それによってのび太の仲間たちは牢屋から脱出し、いつの間にか王の間の床を踏み締めていた。
感動の再会……のはずだったが、囚われていた仲間と世界を救った勇者はお互いに困惑した表情を見せていた。
やがてのび太とジャイアンが、声を揃えて疑問を発した。

「「ドラえもんは?」」

そう、そこにはドラえもんの姿がなかったのだ。
339: :2012/5/27(日) 20:57:16 ID:NeNQDk43GY
「のび太、ドラえもんはどこにいるんだ?何でここにいないんだ?」
「そ……そんなのこっちの台詞だよ!何で皆とドラえもんは一緒じゃないんだ!?」
「こっちは俺が牢獄に来たのが最後で……ドラえもんと二人でクリアしたんだろ?」
「ドラえもんはやられたよ!僕は、僕はその瞬間を目撃してるんだぞ!」

両者の発言はただただ食い違うだけで、四人は状況が掴めないままだった。
特にのび太は、アインス達が何者で、上空の牢屋は何なのか等々、そこからわからない。
静香から説明を受けることで、ようやくのび太も恐るべき脱獄計画の全貌を知るところとなった。
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