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鬼「誰だ」少女「……鬼?」
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1: 名無しさん@読者の声:2012/6/18(月) 20:04:38 ID:r38V7eQ/e2

鬼「お前は俺を怖がらないのか?」

少女「どうして?」

鬼「だって、ほら……俺こんなんだし」

少女「?見た目なんてほぼ人間だよ?ちょっと頭にいらないあるけどね」

鬼「……ありがとな」

少女「ううん」




109: 名無しさん@読者の声:2012/7/26(木) 11:46:27 ID:hsxByxJUlA

またその次の日だ。
いつものように遊びに行こうとした子供を親は閉じ込めた。

「鬼に会ったらいかん!喰われちまう!」

子供もまだ幼かったわけで、鬼のことなんて、何にも知らなかった。
そして、その言葉を聞いた子供たちは泣きじゃくった。ずっと泣きながら「出して」と、何度も何度も叫んだ。

そして、一人の子供が小さな穴を見つけた。そこを抜け、外に出た子供たちは海岸へ走っていった。



海岸に辿り着いた子供が見た光景は、大人たちが鬼を捕まえている場面。

今で言ったら鬼ごっこみたいなもんだろうか。
昔は鬼かけっこと言って、人間役が鬼役を追いかけた。
しかし鬼が人間を喰うというのが、いまだに残っていて、その真逆の"鬼ごっこ"になったんだよ。

……また話が逸れたな。
110: 名無しさん@読者の声:2012/7/26(木) 18:27:08 ID:V1xdh5jVhQ

争いがない村だったもんだから、その光景に子供たちは腰を抜かし、逃げることも出来なかった。
子供たちに気付いた後をつけていた親は、子供たちを強く抱き締め、見せないようにした。

それからどれくらいの時間が経ったのだろうか、もう何も聞こえなくなり、何事もなかったかのように、子供たちの手を引いて村へと帰っていった。

鬼が出たということで、村人はその村を出ていくことにした。
まだどこにいるかもしれないからね。

子供たちは何も出来なかった自分たちを責めながらも、その村を出ていった。
……まあ村人の勘は当たっていて、何日かして鬼が海岸にやってきた。

しかし誰もいない。
鬼は殺され、村人は出ていったから。
だけども、その生き延びた鬼は何も知らなかった。
111: 名無しさん@読者の声:2012/7/26(木) 18:41:24 ID:0YbkPN9Fys

鬼は海岸を探し回った。
どこかで遊んでいるんじゃないか、と。
しかし見つけたのは波打ち際に倒れている、殺された鬼の山。

その鬼は嘆いた。
そして、泣き叫んだ。

「どうして」そう思っただろう。
しかし子供たちが言った「また明日」を信じていた。
ずっとずっと待っていたんだ。
だけど、来るはずもなく鬼はひとりぼっちで生きていった。
それでも鬼は信じていたんだ「また明日」と言った子供たちを。


そして月日は流れ、遊んだ海岸も無くなり、村も無くなった。そこは森となり、鬼はそこでひっそりと暮らし始めた。

何百年もして、鬼の前に子供が現れた。
その子供は昔の遊んだ子供と同じ「また明日」と言って、いつも去っていく。

鬼はその言葉が怖く、しかしそれとは逆に嬉しいという感情が出来た。
112: 名無しさん@読者の声:2012/7/26(木) 19:02:07 ID:.bMWHj9yPU

何百年もすれば、鬼の本来の力も薄れる。
だから、人を喰わなければならない。
しかしそれをしたくない鬼は自分が死ぬということを選択した。

馬鹿だろう?
『大切な人を殺めるくらいなら、いっそ死んでしまった方が楽だろうな』
そう言ったんだ。
昔のこと思うなら、喰ってしまうのが妥当だとは思わないか?
……恨んでるのかと思ったら、そんなことはなかった。



――どうして、鬼に生まれて来たんだろうな。
113: 名無しさん@読者の声:2012/7/26(木) 20:55:52 ID:odDgfJ6YoQ
なんか切なくなってきた。
つCCCCC
114: 名無しさん@読者の声:2012/7/27(金) 10:11:50 ID:/B3b3dmmu6

話終わった巫女の表情は、悲しそうに、眉を下げて微笑んだ。
目に涙を浮かべ、じっと凝視する少女に巫女は「この話は、これで終わり」と立ち上がり、背を向ける。

まだ納得のいかない少女は、その背に言葉を掛けた。

「……その鬼は、今どうしてるの?」

どうやら、察した少女に巫女は首を横に振り「教えられない」と繰り返すばかり。
少女は背中に飛び掛かり、抱きついてわんわん泣いた。

「ヒントだけあげるよ」

ようやく観念したかのように、巫女静かに「上に向かって走れ」と呟き、少女の手に触れる。

「早く行け」



その手が離されたと、同時に少女は走り出した。


115: 名無しさん@読者の声:2012/7/27(金) 10:34:27 ID:wEeg6djuqA

少女の走る背中を見ながら、巫女はため息。
「なんだかなー」と何度も呟いて、その場に座り込む。

「……鬼もずるいよな、あんな可愛い少女に懐かれちゃって」

「僕と交換してくれないかなー……なんて、」

「本当に死ぬのかな?そしたら、僕はもうオムライスとか何にも作んなくて、楽になるや」

あはは、と笑った巫女の目から温かい雫が溢れた。口ではなんとでも言えるけど、やっぱり嘘はつけないのか、そう自身に語りかける。


……お願い、お願いだから、


「――っ、鬼、死なないでくれ……」

顔を両手で覆い、嘆いた。約束を守れなかったあの日と同じように。


116: 名無しさん@読者の声:2012/7/27(金) 10:46:50 ID:wEeg6djuqA


ただ上に向かい、ひたすら走る少女。途中葉や枝に肌を引っ掻け、痛々しい傷が出来ても足を止めることはなかった。

目的地なんてわからないけど、だけどただ走るだけ。それしか出来ることがない。

でももしかしたら、鬼さんを守れるかもしれないと、どこか自信のある自分もいた。


ようやく森を抜ける、ここは、どこだろう?
足を止めた。
神社……?一瞬思考が停止したが、すぐに動き出す。

鬼さんはここにいるかもしれない。
確証はなかったけれど、なんとなくいる気がした少女は、止めた足を再び動かして走り出した。


117: 名無しさん@読者の声:2012/7/27(金) 11:10:20 ID:w6dNu/OzNI

もうそろそろ終わりが見えてきました!
一旦更新は止めて、夜また再開させますので今日から明日までで完結させたいとおもいます。
支援くれた方々!ありがとうごさいます!
118: 名無しさん@読者の声:2012/7/27(金) 21:52:43 ID:mp/oc/co2M

目の前に見覚えのある姿が見える。良かった、と一安心して、無意識に名前を呼ぶが返事がない。

「鬼、さん?」

「!!なんでここに……」

さっき名前を呼んだのは全く聞こえてなかったらしく、驚きを隠せない顔をしていた。

そして、その手には鋭く光を放つ刃物が握られている。少女は思わず飛び付いた。

「やめてやめてやめてやめて!!!」

顔を背中に顔を埋めて、精一杯叫ぶ。
黙ったままの鬼に、再び大声で言葉を投げ掛ける。

「死なないで……、お願い!」

まだ鬼は黙ったままだった。


119: 名無しさん@読者の声:2012/7/27(金) 23:07:25 ID:PLwJoUXEi.


「……少女」

優しく囁く初めての名に、そっと頭に乗せられた暖かい手。
少女が声を殺しながら、泣いた。鬼は見切ったように小さく笑い、そのままの優しい声で続ける。

「相変わらず泣き虫なんだなぁ……」

「でも、俺なんかに泣かないでくれよ」

「泣いて、なっ、い」

「嘘も下手なんだな」

体が離され、向き合う形になると、片手で強く抱き締められ「ありがとう」と言われ少女はどんな顔をして良いかわからず、ただ頷く。


120: 名無しさん@読者の声:2012/7/28(土) 01:16:55 ID:ecnXYtqA6E

額に柔らかい感触。
少女はすぐにわかった。
口付けされたのだと。


そして、引き離される。
「待っ…!」

手を伸ばす。

「さようなら」

伸ばした手を掴んでくれることはなかった。

全然届かない。

目の前で見た光景は、鬼が少女に向けた優しい微笑みのまま、自身に刃を深く突き刺し、力尽きる鬼の姿。



――また明日、

その言葉は叶わぬものになってしまった。


121: 名無しさん@読者の声:2012/7/28(土) 13:43:44 ID:FTpf6Dw/sU


目が覚める。

一番に瞳に映るのは、少女の手を握り眠っている母親の姿。
そして、見慣れない真っ白な天井。

何があったんだろう?

考えてみるものの、答えに辿り着くことはなかった。

「お母さん」

「……起きたのね?良かった、心配したわ、森の近くの道で倒れてたのを救急車を呼んで、」

「知らない……」

「え?」

「何も思い出せない」

弱々しく首を横に振り、少女は頭を抱える。
何か大切なことを忘れているような、モヤモヤとした気持ちが取れない。


何だっけ……?


122: 名無しさん@読者の声:2012/7/28(土) 16:20:44 ID:NGZrpq51p6
え…?
123: 名無しさん@読者の声:2012/7/28(土) 16:25:21 ID:NIj.eYohms
ざわ…ざわ…
124: 名無しさん@読者の声:2012/7/28(土) 16:40:57 ID:.7VlUS1Pgg

「失礼します」

若いスラッとした、白衣を身に纏う男性は椅子に座り、話始めた。

どうやら「一部の記憶だけが消えている」らしいが、日常に支障はない、というものだ。

帰宅の許可も出て支度しながら、少女はぼんやりと考える。
何を忘れたんだろう。

だが、やはり思いだすことは出来なかった。

「少女支度終わった?」

「うん」

「じゃあ帰りましょう」


125: 名無しさん@読者の声:2012/7/28(土) 16:44:45 ID:.7VlUS1Pgg

――――
―――
――

少女「おはよう!」

少年「おはよう、クラス一緒だね」

男友「しょ、しょ、少女さんおはよ!」

少女「おはよ」ニコ

男友「俺死ねる」

少女「え!?」

少年「去年は色々あったけど、よろしくね」


126: 名無しさん@読者の声:2012/7/28(土) 16:50:23 ID:sUngrJedTY

女友「少女おはよー!」ギュウ

女友2「同じクラスが良かったあああ!」

少女「でも隣のクラスなんでしょ?」

女友2「毎日行くからね!来ちゃうからね!」

女友「土日も来るの?」ニヤニヤ

女友2「休日や祝日は来るわけないじゃん、馬鹿なの?ねえ馬鹿なの?」

女友「うわ殴りたい」


127: 名無しさん@読者の声:2012/7/28(土) 16:54:18 ID:sUngrJedTY

少年「朝から賑やかだね」

男友「うるせーくらいだけどな」

少年「男友には負けるよ」ニッコリ

男友「何で俺に敵意剥き出しなんだよ、泣くぞ」

女友2「少女聞いてよ!」

女友「いやいやおかしいから!」

少女「……」オロオロ


128: 名無しさん@読者の声:2012/7/28(土) 18:08:42 ID:Sc.9qk/mn.


少女「明日からもう授業だねー…」トコトコ

少年「だね」トコトコ

男友「ずっと授業なしでいいのにな」トコトコ

少女「じゃあ私はこっちだから、また明日!」

男友「またな」

少年「ばいばーい」




少女「……そういえば私ってここで倒れてたんだっけ?」

少女「ちょっとだけ行ってみようかな」


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