【プロローグ】
暑い・・・
ワイシャツを指でつまみパタパタと扇いで体に風を送り込み火照った体を冷まそうとする
クーラーの聞いた教室から一転、廊下は地獄かと錯覚するような暑さだ
級友達はそれなり休みを満喫したようで、肌の色も小麦色なのがちらほら見えた
さて、俺は今どこに向かってるかと言われれば、生徒会室である
理由はもちろん、呼び出しをくらったからだ
別に何も悪いことはしていないが、半ば自主的に生徒会室へは足を運んでいる
男「・・・暑いな」
独り言のように紡がれたそれは今の心情をそのまま表していた
八月は終わったというのに、太陽は遠慮という言葉を知らないらしい
クーラーが効いている事を願い、俺は生徒会室の戸に手を掛けた
二学期が…始まる
163: 1:2012/9/15(土) 10:12:06 ID:dCqYqrq8L6
>>162
暖かいお言葉と支援感謝です!!
はい、頑張らせていただきます!!
164: 1:2012/9/15(土) 10:17:31 ID:sKlXmE7NK2
ガラガラ
後輩「こんにちはー」
書記「・・・」
後半のラストくらいの頃に後輩と書記が来店した
幼「あ、いらっしゃ…後輩ちゃん!!書記ちゃん!!」
後輩「きゃああああ!!幼先輩可愛い過ぎますぅぅぅぅ!!」
幼「え!?わっ!!もう〜」
後輩が半ば突進するくらいの勢いで幼に抱きつく。身長にあまり差が無いのでかなりの衝撃だろうに
後輩「幼先輩も執事やってるんですか?」
幼「うーん…私は案内人かな?奥にいかないとね…人が多いと私もなんだけど、今は落ち着いてるからね…あ、そうだ」
幼「こほん…ようこそいらっしゃいました。お嬢様」
後輩「きゃああああ!!」
書記「・・・」
幼「そんなくっつかれたら動けないよ〜」
165: 1:2012/9/15(土) 10:22:43 ID:sKlXmE7NK2
女「いらっしゃ…おお、後輩に書記か、よく来たな」
後輩「・・・」
書記「会長…凛々しいです」
女「ありがとう。後輩?どうした?」
後輩「・・・」
女「こうは…」
そういいながら女が後輩の肩に手をかけた瞬間
後輩「んにゃああああ!!先輩!!先輩!!可愛い過ぎます!!凛々しすぎます!!似合い過ぎます!!ポニテが誘ってるとしかいいようがありません!!なんですか!?そのエロボイスは!?いつもの先輩はどこにいったんですか!?いや先輩は先輩なんですけどエロすぎるというか!!ていうか普通に紛れててもわからないくらいに格好いいです!!同性でも構いません!!抱いてください!!」
女「こ、後輩…」
流石の女も対応に困ってるらしい…そりゃそうだ。俺でさえドン引きだからな
166: 1:2012/9/15(土) 10:40:46 ID:sKlXmE7NK2
どう対応していいかわからずやや困惑気味の女
その女を目の前にしてご満悦を通り越してもうヘブン顔である
さらに口からは涎がうすらほんのり…
非常にエロいようなシチュエーションではあるが興奮しているのが後輩じゃ…うーん…
書記「男さんは…」
ここでこの状況を打破しようとしての一言か、単なる偶然か、書記が口を開いた
女「あ、ああ…あいつは裏方だ」
助かったとばかりに急いで書記に答える
ちなみに後輩はまだヘブンである
書記「そうなんですか…執事姿…見たかったです…」
ションボリとする書記に女がすまなそうに言う
女「・・・あいつが執事役をするのを反対したのは私なんだ」
書記「・・・」
女「私は我が儘な女でな…男の執事姿を他の女性に見せたくない…私だけが独占したいと思っているんだ…」
書記「でも…男さんは…」
女「わかっている…執事をやるなと言っておきながら私が執事をやるなんて…あいつの気持ちを踏みにじってるのと同じだ」
男「・・・」
167: 1:2012/9/15(土) 10:46:27 ID:dCqYqrq8L6
女「だから私はやらなくてはならない。皆の為に、男の為に…」
書記「・・・」
男「・・・ったく、背負いこみやがって」
ポツリと漏らした言葉
しかし、それがいけなかった
書記「声…男さんの…」
男「!!」
なんてこった
あの呟きに敏感に反応したらしい…どんだけ耳がいいんだよ。ていうか今までの会話を全部聞いている事になるから殺られる。主に後輩辺りに
俺は急いで逃げ出そうとしたが、裏方室は小さいスペースに作った仮設であり、抜け出す場所なんてない
あるのは出入口のドアが一つだけだが、開けたら確実にあの微妙な雰囲気とご対面してしまう
それだけはなんとしても避けねば
168: 1:2012/9/15(土) 10:52:40 ID:sKlXmE7NK2
何かいい方法は無いか
そんな事を考えていると
ガチャガチャ
背後でドアノブが回る音がして叫びそうになるのを堪える
そして覗き穴から覗くと、ドアの前に書記が立っていた
書記「・・・開かない」
ドアノブを握ったままぼそりと呟く
冷静に考えたら鍵をかけてるから入れるわけが無かったのだ
後輩「蹴破ってみる?」
後輩がさらりと物騒な発言をする。お前それ意味わかってんのか?
女「後輩、流石に蹴破るのはまずい。そこは裏方室だから関係者以外は立ち入り禁止というやつだ」
後輩「むー」
書記「じゃあ…せめて顔だけでも…」
書記が頼むように呟く
まあ…顔見せるくらいなら
169: 1:2012/9/15(土) 10:57:16 ID:sKlXmE7NK2
書記「・・・」
男「・・・」
出てきたはいいが、なんともいえない空気が流れる
書記「・・・引きこもり?」
男「違う。断じて違う」
書記の問いに高速で答える引きこもりの称号はまだ得たくない
男「えっと…何か用か?」
とりあえず書記に要件を聞く。こいつが顔を見たいと言い出したんだから
書記「・・・」
すると書記はにっこりと笑い抱きついてきた
男「書記!?」
女「・・・」
書記「さあ…会長も」
女「ククク、なるほど…そういうことか…」
女が書記の意図を察したらしい
俺?ちんぷんかんぷん
170: 1:2012/9/15(土) 20:03:55 ID:IzR5kuzlS.
女は書記の背後に回り、書記ごと俺に抱きついてきた
男「は!?」
書記を挟み込むようにして抱きついてくる女
間に挟まれてる書記は実に満足気である。こいつ、こんな顔出来たんだな…って、そうじゃない
書記がやりたかった事がこれかどうかはわからんが、このままでは業務に支障が出てしまう
男「なあ書記。これ以上は俺も仕事ができないんだが…」
書記「わかってます…」
書記は俺に抱きついたまま
書記「格好はそのままで…男さんが…サービスしてください」
まさかの無茶ぶりである
171: 1:2012/9/15(土) 20:28:52 ID:IzR5kuzlS.
男「あのなあ…俺は裏方で本来サービスは…」
書記「・・・決算」
男「ぐっ!!」
書記が呟いた言葉に思わず動揺する
書記が言った決算とは、所謂文化祭含めた学校収入支出の事である
この決算に貢献したクラスは表彰されるとか
ちなみにこの計算は生徒会が担当しており、会計が計算したのを書記がまとめるのだ
つまり、書記は数値をいじり放題というわけだ
男「お前…ゆする気か?」
書記「私は…本気です」
男「・・・女を敵に回してもか?」
書記はちらりと女を見たが
書記「サービスを…受けるためです」
ああ…どうやら本気みたいだ
172: 1:2012/9/15(土) 20:57:24 ID:iRtMbtAEYo
女「ふふ、面白いな」
今度は女が口を開く
頼むからこれ以上ややこしくするなよ?
女「物事を達成するが為に圧力を恐れない…実にいい素晴らしい…」
女「いいだろう…書記、望み通り私達がサービスをしよう」
書記「妹設定で…頼みます」
やたら輝く目でさらに注文してくる書記
こいつは将来大物になりそうな予感がする
173: 1:2012/9/15(土) 21:08:11 ID:iRtMbtAEYo
かくして、俺も執事の真似事をしなくてはならなくなったのだが…
男「妹設定って、どういう風に接すればいいんだ?」
女「妹みたいに接すればいいのではないか?」
男「妹って…」
正直言ってしまえば、妹なんて出来た事なんて無いのだからどうしていいかわからない
とりあえず名前を呼びながら優しく頭を撫でてやる
男「お帰り、書記」
書記「・・・♪」
密かにご満悦である
女「ふふふ、相変わらず甘えん坊だな、書記は」
さりげなくメニューを書記の前に置く
書記はメニューを開き
書記「お兄ちゃん…書記、執事特製オムライスが食べたいな…」
174: 1:2012/9/15(土) 21:24:53 ID:iRtMbtAEYo
男「オムライスか、ちょっと待ってろ」
オーダーをしに席を離れようとすると、書記に裾を捕まれた
書記「側に…いて?」
男「・・・」
上目遣いで懇願される
正直、クラッときた
女「わかったわかった。私達は離れないよ」
女がその手を握り包み込むようにして自分の胸に持っていく
書記「・・・うれしい」
本当に楽しいのか?これ
175: 1:2012/9/15(土) 23:19:46 ID:v03vdgiwxg
その後、30分くらい書記の相手をした(女は後輩の相手も含む)
書記「満足…です」
後輩「はぁぁん…私、もう今日は二度と忘れません…もちろん先輩との思い出を忘れるつもりありませんけど」
男「そいつは良かった」
女「む、そろそろ閉会式ではないか?」
後輩「あ、本当だ」
友「片付けをして、体育館に集合だね」
女「参ったな…何も言うことを考えていなかった…」
男「アドリブでいいだろ」
女「皆にはすまないが、そうさせてもらうか」
男「体育館にいこうぜ」
176: 1:2012/9/15(土) 23:25:48 ID:v03vdgiwxg
放課後
男「なんか…準備してるときは長く感じたけど…終わってみたら一瞬だったな…」
女「そんな物さ。でも、後悔はしてないだろう?」
男「まあな」
この数週間はすごく楽しかったと、今なら胸を張って言える
友「お疲れ様」
幼「お疲れ〜」
男「お疲れさん」
友と幼が揃って労いの言葉をかけてくる
心なしか、友は疲れてるみたいだった
男「ご苦労様」
友「まあね…」
男「悪かったな。大変な役押し付けて」
友「大丈夫だよ」
男「全部終わったんだから、もう気張らなくてもいいんだからな?」
友「・・・そうだね」
177: 1:2012/9/15(土) 23:31:26 ID:v03vdgiwxg
男「さてと…さっさと片付けてとっとと帰ろうぜ」
友「うん」
友と協力して机を動かしかけた時、視界の端に女が電話をしているのが見えた
女『ああ…何?今からか?しかし…そうだな…明日…ああ、頼む』
男「誰からだ?」
女「父からだ」
男「女父さんからか、なんて?」
女「明日、文化祭の慰労会をお前の家族を招待してするらしい」
男「ふーん。いいんじゃない?」
女「そうか、両親には話が通ってるらしい」
男「何故俺を通さないのか甚だ疑問に思うな」
178: 1:2012/9/15(土) 23:37:30 ID:v03vdgiwxg
そんな会話をしていたら、いつの間にか教室は片付いていて、教室には俺と女しか残っていなかった
女「む…いつの間に」
全くだな。あいつら、トランザムでもしたのか?
そして俺はこの状況をもう一度思い出す
人気のない教室。二人っきり。校舎には生徒はほとんど残っていなかった
女「・・・」
女の目が怪しく光ったが、すぐに疲れたような表情になり
女「折角の機会だが…私もお前も疲れているだろうし、これで済ますとしよう」
そういいながらゆっくりと近づき唇を重ねた
179: 1:2012/9/15(土) 23:40:10 ID:rDlYHUoi0s
触れるだけのキス
それを終えると女は鞄を持ち
女「ではな、また明日会おう」
そういって教室から出ていった
男「また明日…ね」
いくら疲れていようと、女ならいかなる状況でも俺を押し倒していただろう。キスだけで済ませたのは俺に対する気遣いなのかもしれない
男「やれやれ、また気を遣わせちまったかな」
そう呟きながら、教室を出た
180: 1:2012/9/15(土) 23:42:45 ID:rDlYHUoi0s
皆様こんばんは
1でございます
文化祭編はこれで終わりとなります…長いですよね、すみません
後は小ネタを挟み次の演劇編(?)と続いていきます
それでは、今日の投下を終了します
見てくださった方々
ありがとうございました!!
181: 1:2012/9/16(日) 08:55:47 ID:9jgT1v9PDc
翌日
俺は叩き起こされるようにしてベッドから起きた
男「・・・なんだよ」
母「なんだじゃないでしょ!!朝よ?起きなさい!!」
男「・・・今日休みなんだが」
母「朝は起きなきゃ駄目なんです」
そりゃどういう理屈だと言いたかったが、屁理屈捏ねさせたら母さんには勝てないので素直に従う事にした
母「朝ごはんはもうできてるからね」
そういいながら部屋を出ていく母さん
俺は横目で時計を見ると、時計は7時を指していた
男「・・・早すぎだろ」
折角の休日なのに…
そんなことを思いながらフラフラと居間にリビングに向かった
182: 1:2012/9/16(日) 09:04:03 ID:D8/zNlLNVQ
男「・・・家には居間とリビング二つもねーよ」
母「何一人で突っ込んでんのよ」
男「・・・ほっとけ」
リビングに入るて、味噌汁のいい匂いがしてきた
父「おはよう。早起きだね男君」
男「起こされたんだよ」
女「それはいかんな。朝には自然と起きられるようにしておかねば段々と辛くなるぞ」
男「たまの休日くらいゆっくりさせてくれ」
母「休日だからこそちゃんとしないと」
女「流石お母様。素晴らしいです」
母「えへへ〜♪あ、女ちゃん。お醤油とって」
女「どうぞ」
母「大丈夫かな?まずくない?」
女「まさか、お母様の料理が食べれて私は幸せです」
母「もう〜上手なんだから〜」
・・・突っ込まん
俺は絶対に突っ込まんぞ
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