ユクモ村
自然溢れるこの村は周囲に緑が多い
俺の名前はセネル=ボルアス
一応この村のハンターだ…新米だけど
今俺はハンターの基礎を教わるべく訓練所に訪れている。もちろん村長からのいいつけもあるが、それ以前に両親との約束で、ハンターになるなら必ず訓練所にいけと言われていた
両親は二人ともハンターだった。ただ…この世にはもういない
ヤマツカミ討伐中に飛竜に襲われて死んだらしい
その場にいたハンターの証言と、遺品が送られてきたからまず間違いないだろう。ハンターは死と隣り合わせの職業だといつも父さんが言っていたし、覚悟はしていたつもりだった
それに悲しみに暮れるよりも、ハンターとなって父さんと母さんの意思を受け継ぐ事が、俺に出来る一番の弔いなんだと思っていた
2: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 00:57:36 ID:LEiceYsiw.
そんなわけで、今は訓練所の装備を借りながらハンターの基礎を教官に教えてもらってるわけだが…
「うむ!!素晴らしい!!実にいい動きだ!!セネル!!」
「・・・そりゃどうも」
「む?少しは嬉しそうにせんか!!」
「んなこと言われても…」
教官が俺の事を睨んでくるが、アイテムや動き、ハンターとしての知恵等は両親から一通り教えてもらっていたため、はっきり言えば簡単だった
「まあ、ジュードとミラの子供だからな!!天才的な才能を持っていてもおかしくはあるまい!!」
ガッハハと笑いながら俺の頭を撫でる教官。いまだに子供扱いされるらしい
「教官、俺もう20だぜ?いい加減子供扱い止めてくれよ」
「ぬ!?高々20生きた程度のひよっこが!!その程度でハンターを名乗るとは甘ちゃんにもほどがあるぞ!!」
3: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 00:58:31 ID:T4cBKsgiVM
しみじみとした顔で語る教官。教官は父さん達が新米だった頃から教官をやっているらしいが…一体何歳なんだろうか…未だに怖くて聞けていない
「そういえばセネル。村長殿が呼んでいたぞ」
「村長が?」
「うむ。訓練が終わり次第こちらに来るように伝えておいてくれと」
「はーい」
「馬鹿者!!返事は伸ばさない!!」
「あんたは先生か!?」
「教官だ!!」
ドヤ顔をする教官を無視して俺は訓練所を出ることにした。幸い訓練は全て終了しているので、後は村長のところに向かうだけだ
「セネル!!忘れていた、これを持っていけ!!」
教官が何やら渡したいものがあるらしいので渋々とりいくことにする
4: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 00:59:35 ID:LEiceYsiw.
「これ…アサシンカリンガ?」
「ああ、ジュードがお前のためにと特別に作った物だ。お前がハンターになり、訓練所を訪れた時に渡してくれとな」
「父さんが…」
教官から受け取ったアサシンカリンガは手に馴染み、初めて持つとは思えなかった
「ありがと教官。確かに受け取ったよ」
俺はアサシンカリンガを腰に差しながら教官に礼を言う
「礼なら我輩ではなくジュードに言ってやれ」
「・・・ああ」
優しげに目を細める教官に背を向けて村長に会いに行くことにする
教官はなにも言わないが、頑張ってこいと応援してような雰囲気を出していた
相変わらず口下手だが、それすらも慕われる要因なのかなと最近は思い始めていた
5: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:00:33 ID:T4cBKsgiVM
「ほほほ、お待ちしておりましたわ。ハンター様」
「ああ…うん」
ユクモ村のちょうど中央に位置する場所にあるベンチにいつも腰かけている竜人族の女性。これがユクモ村の村長さんだ
村長さんは父さん達の顔馴染みで、俺とも親交はあるため気軽に話しかけられる
「訓練はどうでこざいました?」
「父さん達から教わった事の復習みたいなものだからね、楽だったよ」
「それはそれは、頼もしいですね」
「それで?何か用なんですか?」
「ええ、依頼をしたくお呼びしました」
依頼。その言葉を聞いただけで背筋がのび、手に力が入る。ようやく依頼を受けれるまで認められたんだということに内心は喜んでいた
「それで…相手は?」
「青熊獣 アオアシラです」
6: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:01:23 ID:T4cBKsgiVM
村長の話によると、最近までは付近の渓流で静かに暮らしていたアオアシラが近くまで来ているらしい
原因は不明だが、このままでは村に被害がでる恐れがあるため、早急に狩ってほしいとの事だ
「少々危険な子ではございますが、ハンター様なら必ずややりとげてくださると信じています」
村長から期待を込めた目で見られる。俺は深呼吸をして
「わかりました。その依頼、このセネル=ボルアスが引き受けます」
「ありがとうございます。お気をつけて」
村長に見送られながら、俺は渓流までの途についた
7: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:02:22 ID:T4cBKsgiVM
ネコタクに揺られること数時間
俺は渓流のベースキャンプに立っていた
「さて、支給品をもってとっとといくか」
青い色が目印の支給品ボックスに近づき中身を取り出す
父さんもとい訓練所で教えてもらった事だが、この中には予めクエストで役にたつアイテムが複数入っており持ち出し可能である
誰が入れているのかは定かではないが、ボックスに入れるくらいなら手渡しでいいんじゃないかと最近思い始めている
そんなことを考えつつ支給品ボックスから携帯食料、応急薬、携帯砥石、ペイントボール、地図、空ビン、毒ビンを持っていった
何故ビンを持っていくのかは後で説明させてもらうことにするとして、俺は地図を見ながらアオアシラが目撃されたエリアに歩き始めた
8: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:03:14 ID:LEiceYsiw.
「お、いたいた…」
渓流のちょうど中央に位置するその場所に、青熊獣 アオアシラはいた
熊みたいな見かけに鋭い牙と爪、そして発達した腕甲を持ち、名前の通り青い毛に包まれている
遠目から見ればモフりたい衝動に駆られるが、相手は凶悪なモンスターだということを忘れないでいただきたい
さて、当のアシラだが熱心に池を覗き込んでいる
これならもう少し近づいても気づかれないだろうと俺は慎重に歩を進めた
「ちっ、側にジャギィがいるな…騒がれたら厄介だな…」
まるでアオアシラを取り囲むように、小型の鳥竜ジャギィがいた
単体ではそれほど危険ではないが、群れで襲いかかるため判断を誤ると非常にまずいことになる。更に近くにはアシラもいるため、下手に近づいたらジャギィの群れとアオアシラを両方同時に相手をしなければならないだろう
9: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:03:57 ID:T4cBKsgiVM
だが、熱心に池を覗き込んでいるアオアシラはジャギィは眼中に無いようだった
「これは…ひょっとしていけなくもないか?」
俺はジャギィに気づかれる範囲まで近づき、空きビンを落とした
「ギャア!!ギャア!!」
一匹のジャギィが俺に気付き、威嚇の声をあげる
それに気づいた残りの二匹が近寄ってきた
肝心のアシラはというと、まだ池を覗き込んでいた
どんだけ魚が食いたいんだよ
だが、せっかくのチャンスを逃すわけにはいかないので、俺はアサシンカリンガを抜きジャギィ達と対峙する
最初に気づいたジャギィがまっすぐ俺に飛びかかってきたが、それを左に避けながらすれ違いざまに首を切りつける。アシラがいつ気づくかわからないので、あまり長引かせるのは得策ではないと判断し、首を切り落とすつもりで剣を降り下ろしたが
「何!?」
あっさりジャギィの首と胴体が別れて驚愕の声を出す。そういえば切りつけた時にわずかに違和感を感じたような気がしたが…
ともかく、一匹目を想定外の速さで倒し、残る二匹も同じ速さで首を切り落とした
10: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:04:53 ID:T4cBKsgiVM
アサシンカリンガについた血を軽く払い、アシラに目を向ける
池を覗き込んでいたアシラはようやく異変に気づいたようで、両手を上げて俺に威嚇をしてきた
「さて…準備運動も終わったし…いくか!!」
まっすぐアシラに向かって走りだし剣を降り下ろす
アシラの顔を切りつけ素早く左に回避し納刀し、距離をとる
アシラは突然の痛みにややびっくりしたようだが、俺を見つけると両手を振り上げ抱き締めるように腕を交差させてきた
「遅い!!」
動きが単調な攻撃は軌道が読みやすいという父さ…教官の教え通りにかわしてアシラの背後に回り込む
そのまま無防備な背中に連撃を与える
「ギャウ!!」
痛みに大きくのけぞるアシラ。それをチャンスだと思い俺は更に攻撃の速度を上げた
アサシンカリンガが肉を裂き、血が飛び散らせるのも構わずアシラを切り続けた
11: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:05:42 ID:T4cBKsgiVM
かなりの攻撃をアシラに食らわせ続けると、アシラの動きに精彩が無くなり始めていた
「よっし!!このまま!!」
チャンスと踏んだ俺は大きく踏み出し縦に剣をおもいっきり降り下ろす
片手剣ではやや威力に不安があるが、今のアシラには効果的な攻撃だった
「ギャウ!!」
アシラの顔を縦に切りつけそのまま回転して横に薙ぎ払う。ついにアシラは足を引きずりながら俺から逃げ始めた
「お、捕獲できそうだな」
俺は武器をしまい、ポーチから携帯シビレ罠と捕獲用麻酔玉を用意する
このまま仕掛けたら無駄なのでアシラを追いかけるようにして走り始めた
12: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:06:35 ID:T4cBKsgiVM
数分後、そこには岩壁に体を預けスピスピと寝息を立てているアシラの姿があった
「ここだけ見てれば大人しそうなのにな…」
そう呟きながらシビレ罠を足元に設置する。いくら見掛けが大人しそうだからといって、村民に被害が出れば討伐の対象になってしまう。このアシラもまだ被害は出してはいないが、この辺りに生息することを考えたらいずれ被害が出るのは避けられないだろう
「これでよし…っと」
シビレ罠を設置し終え、その場から離れる
雷光虫の発電の仕組みを利用したこの罠は大型モンスターの体重を感知して痺れ作用のある電撃を流す
この電撃を浴びたモンスターはしばらく行動ができなくなるのだ
「ギャウワ!?」
体が痺れる感覚と共に無理やり眠りから引き起こされたアシラはややびっくりしたような声をだしたが、体を自由にしようと暴れていた
「悪いな…すぐ終わらすから」
ポーチから赤いマークの麻酔玉を取りだし二つぶつける。玉から発せられる煙を吸い込み、アシラはその場で倒れ伏し、スピスピとまた寝息をたてはじめた
「捕獲完了…村に戻るか」
13: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:07:28 ID:T4cBKsgiVM
「流石でございますわハンター様。お見事な手腕惚れ惚れいたします」
村に帰り、捕獲の旨を伝えると、村長からは称賛の言葉を貰った
自分の力で初めて依頼を達成出来た事から俺はかなり浮かれていた
「ま、まあ父さん達の教えもあったし…」
「いいえ、今回は間違いなく貴方様のお力です」
村長は優しく、それでいて力強く俺を見ている。この人が嘘をつく事はないから、俺の力が認められたような気がした
「お疲れでしょうし、今日は休まれたらどうでしょう?」
「そうさせてもらいますよ」
村長の提案を受けて、俺は家で体を休める事にした
14: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:08:12 ID:T4cBKsgiVM
家で一休みした後、俺はまた村長から依頼を受けていた
「ハンター様、お疲れではないのですか?」
村長が心配そうに俺を見つめるが
「初めての依頼を成功させて、少し調子が出てきたみたいです。まあ、無理はしませんよ」
軽く笑いながら依頼を探す。俺が受けられる依頼はまだ危険が少ない方なので気持ち的に楽に選べるのだ
「村長、ただいま帰還した」
俺が依頼を吟味していると、後ろから声が聞こえた
15: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:08:53 ID:T4cBKsgiVM
振り返り声の主を見た瞬間に、俺はかなり驚いた
見たこともない金色の鎧
雌火竜と呼ばれる狂暴な飛竜 リオレイアの素材を使った防具によく似ているが、金色に光るのを見るのは初めてだった
更に背中には天を貫いてもおかしくないほどの長さの黒槍を背負っていたのである。更に一番驚いたのは、それが女性である事だった
「ルー様、よくご無事で」
「ディアブロスの狩猟、確かに完遂したが…珍しいな?私に依頼するなど」
「お忙しいかとは思いましたが、何分緊急だと言われましたので…」
「いや、構わないさ」
そのルーと呼ばれた女ハンターは村長と会話を交わすと俺の方を向いた
「・・・君は?」
「あ、ああ…俺はセネル。セネル=ボルアス」
「ボルアス…?」
俺の名前を聞いた瞬間、ルーが怪訝な顔をしたのを俺が見逃さなかった
16: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:09:57 ID:T4cBKsgiVM
「ハンター様、クエストの受注をなさいに来たんじゃありませんの?」
「あ、忘れてた」
村長さんに微笑まれながら急かされクエストを選ぶ
その間もルーという女性ハンターは俺の事を見ていた
「とりあえず、これにするよ」
村長に差し出した受注書にはざわめく森とかかれたクエストが載っていた
クエスト内容はドスファンゴ一頭の討伐
アシラの素材を使って作った防具の性能も試したかったし、一石二鳥だ
「このクエストにするよ」
「あ、この依頼は…」
「大丈夫だって、ほんの準備運動だからさ」
村長さんが何かをいいかけたが、俺は早く試したかったので聞かずにクエストに出発した
17: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:10:37 ID:T4cBKsgiVM
渓流のベースキャンプに着いて支給品を確認し、エリアに向かう
今回は千里眼の薬というのを自宅から持ってきた
もちろん父さんの物だったが、ハンターになった今は使ってもバチは当たらないだろう
「よし…ここか」
地図と照らし合わせながらドスファンゴの位置を探る
「なんか…今日変だな…何かざわつくっていうか…」
雷を発しながら飛び回る事から雷光虫と呼ばれる虫が普段より多い事が気になり、違和感を覚えながらも気のせいだろう思い、途中にいたジャギィ達を切り捨てながら目的地に向かった
18: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:11:20 ID:LEiceYsiw.
水辺に生えているキノコをフガフガと食すファンゴと呼ばれる巨大な猪
特徴としては、異様に発達した牙をもち、非常に好戦的な事である
「ファンゴがいるってことは、近くにいるはずなんだよな…」
茂みに隠れながら観察していると、奥から土埃が立ち込めてきた
土埃の中から白い毛並み混じりでどちらかといえば灰色っぽい毛並みをもち、ファンゴより一回りも二回りも大きい猪が現れた
あれが今回の狩猟対象であり、凶暴なファンゴ達の長であるドスファンゴである
19: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:12:07 ID:T4cBKsgiVM
「お出ましか…」
アサシンカリンガを掴む手に力がこもる
アオアシラの時はたまたまジャギィ達に関心が無かっただけだったが、今回は手下のように付き従う二頭のファンゴがいる
ファンゴ自体が獰猛な生き物であるがゆえにあまり相手にしたくはないが、今回はそのファンゴ達の長を倒すのだ。恐らく戦いは避けられないだろう
「ま、なるようになる…か」
あれこれ考えていてもしょうがない
俺は茂みから勢いよく飛び出した
20: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:13:03 ID:LEiceYsiw.
茂みから飛び出した俺はアサシンカリンガを勢いよく抜き放ち、手前にいたファンゴを切りつける
ファンゴ達は完全に虚を突かれたようで硬直していた
一息に手前のファンゴを倒し、振り向き様にもう一頭のファンゴを切りつけようとすると
「ブフォーーー!!」
「うわっと!?」
ドスファンゴが突進をしてくる。それをギリギリでかわして体制を立て直す
突然の事態にも混乱せずに対応してくるあたり流石は長と言うべきだろうか
「まあ、流石にそんな上手くはいかないか」
誰に言うわけでもないが、一人呟く
二頭は完全に俺を敵とみなし、戦闘体制をとっていた
21: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:13:50 ID:LEiceYsiw.
突進してきたファンゴをいなしてかわす
間髪いれずにドスファンゴの突進が襲いかかる
「一瞬も気を抜けないな…というより、なんだろ…まるで何かに怯えてるような…」
そんなことを考えている暇もなく、二匹は代わる代わる俺に襲いかかる
「悪いけど、決めさせてもらう!!」
俺はファンゴに向かって勢いよく駆け出した
ファンゴはそれを見てこちらに突進してくる
「・・・そこだ!!」
勢いよく地を蹴りファンゴの上に跳躍する
突然視界から消えた俺にびっくりし、急停止するファンゴ。そこに
「ブモォーーー!!」
ドスファンゴの躊躇いのない突進がファンゴに当たった
22: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:14:35 ID:LEiceYsiw.
ドスファンゴの突進を正面からまともに食らい目を回して倒れるファンゴ
「チャンス!!」
あの状態ならしばらくは目を覚まさないだろう
俺は剣を抜き、ドスファンゴと対峙した
今までの行動から既にドスファンゴの動きは見切っていたため、それからは楽だった
ドスファンゴに突進させ、空振りらせたら後ろ切る
それをひたすら繰り返す内に遂にドスファンゴはヨタヨタと逃走し始めた
「逃がすかよ!!」
後ろから剣を勢いよく降り下ろし、そのまま横に薙ぐ
今までひたすら切りつけていた足に限界が来たのか、ドスファンゴは横倒しになり足掻いていた
「これで…終わりだ!!」
ドスファンゴの頭に勢いよく剣を突き刺すと、二度三度痙攣してドスファンゴは動かなくなった
23: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:15:20 ID:LEiceYsiw.
「ふぅ…」
一息をついてドスファンゴの死体を剥ぎ取ろうとした瞬間
「っ!?な、なんだ!?」
辺りが一瞬で雷光虫に取り囲まれ空が暗くなる
ガーグァやケルビ達がまるで何かに怯えてるかのように喚きどこかへて逃げ去ってしまった
「なんだってんだよ…」
とにかく、ここに長くいちゃいけない気がする
俺は剥ぎ取りナイフでドスファンゴの素材を剥ぎ取り始めた
24: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:16:05 ID:T4cBKsgiVM
「持てる物はこれで全部かな…」
ドスファンゴから素材を剥ぎ取り終わり、ポーチへとしまう
残った死体は小動物が食べたりして無くなるだろう
「早く離れないとな…」
この場から離れようと歩き始めた瞬間
グォォォォォォォォ!!
「っ!?」
空に木霊すかのような咆哮が聞こえた
方角的にすぐ近くの森林エリアか…
「・・・見るだけ、見るだけだ。危なかったらすぐ逃げればいいんだ」
俺は咆哮が聞こえた方に歩き始めた
25: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:18:52 ID:T4cBKsgiVM
皆さん、夜分遅くにこんばんは
さぎしです
完全新作のモンハンSSをひっさげてきました
このコテ使うのが随分昔のように感じます…
そんなわけで、激流に身を任せ流れと同化するようにスレ立てしましたが
・・・はい、書き溜め全放出しました
次から亀更新になります
それでは、ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
26: 名無しさん@読者の声:2012/12/16(日) 01:24:42 ID:TEFXytsk9o
乙と支援
27: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 15:02:08 ID:KjLWmcL3EE
>>26
一番乗り支援感謝です♪
28: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 15:07:41 ID:KjLWmcL3EE
「な…嘘だろ…」
俺が森林エリアに踏み入れた時に真っ先に目に飛び込んで来たのはおびただしい数の雷光虫だった
普段ならこんなことは異常事態であるが、更に目を疑ったのはその雷光虫を従えてるかのように佇む姿だった
碧色の甲殻に黄色の鬣
特徴的な二本の角に僅かに体に纏う雷
狼のような巨躯がこちらを向く
「っ!!」
咄嗟に武器を構えたのは狩人の本能か、防衛本能か
何をやってるんだ!?
こんな奴に勝てるわけがない!!逃げよう!!今すぐ!!
しかし、体は言うことを聞かず、その狼と真っ正面から対峙した
29: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 15:11:36 ID:KjLWmcL3EE
「グアアアアア!!」
「うわっ!?」
空を仰ぎ空気を震わすような咆哮に思わず耳を塞いでしゃがみこむ
耳に声がこびりつきそうな咆哮だった
怖い怖い怖い怖い怖い怖い
頭の中は恐怖に満たされていた。こんなのに勝てるわけがない
だが、こいつをもしもこのまま放置したらユクモ村に来てしまうだろう
そうなれば村の人が危険な目にあう
「倒さなくていい…傷をつけて…逃がすだけだ…」
自分に言い聞かせるようにして呟く
「よし!!いくぞ!!うぉぉぉぉ!!」
俺は武器を構えて走り出した
30: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 15:18:22 ID:KjLWmcL3EE
「ぐあっ!!」
何度目か分からない突進を盾で受け止め大きくはね飛ばされる
攻撃を受け続けた盾はボロボロで、最早盾としての機能を果たしていなかった
「はぁ…はぁ…くそっ!!」
体制を立て直し剣で前足を切りつける
肉が裂け鮮血が飛び散っているのに目の前の狼はまるで意に介さない
それどころか切りつけた前足で俺を踏み潰そうと何度も踏みつけた
これまでの時間で狼の大体の動きは把握していた
体を使った突進。前足を軸にして体ごと一回転して尻尾で周囲を凪ぎ払う攻撃。自身を光らせた後、巨大な雷球を飛ばしてくる攻撃。帯電
今のところ帯電してるときが唯一の攻撃チャンスだった。帯電してるときは狼が唯一無防備になるためそこを攻撃できる
31: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 15:23:59 ID:KjLWmcL3EE
狼がまた帯電を始める
「チャンス!!」
俺は素早く走り出し狼に密着して切りつけた
帯電時は無防備、そう思っていた
刹那 肌を静電気が打ち付ける。生物としての本能が下がれと命じた時には既に遅かった
「グオオオオオオ!!」
空高く仰ぎ、狼は身体中から高電圧を放電した
「うあああああああ!!」
大きく吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。体を動かそうにも身体中がしびれて上手く動かせなかった
狼がゆっくりとこちらに近づいてくる
「駄目だ…父さん…母さん…ごめ…ん」
俺は静かに目を閉じた
目を閉じようとしたとき、金色が視界にはいった気がしたが…俺は意識を手放した
32: 名無しさん@読者の声:2012/12/16(日) 16:22:11 ID:GgKO5h6FNQ
さぎしさんのモンハンSS Ktkr
しえん
33: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 20:16:44 ID:GH7i5DEIyQ
>>32
どもども
まだ始まったばかりですからなんとも言えませんがね
支援感謝です♪
34: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 20:23:08 ID:GH7i5DEIyQ
「・・・はっ!!・・・生き・・・てる?」
次に俺が目覚めたのはベッドの上だった
しかもよく見ると俺の家だった
「気がついたか?」
声の方に顔を向けると、昼間に会ったルーという女性ハンターがいた
「あれ…ここ、確か…俺」
「君を助けてここまで運んで来たのは私だ・・・全く、そんな装備でジンオウガに挑むなんて」
「ジン…え?」
ルーに聞き返そうとした時
「ハンター様!?お目覚めになられたのですね!?」
「あ…村長さん…」
家に入ってきたのは村長さんだった。村長は俺の姿を見るなり目に涙を溜めて袖で口元を押さえている
「よかった…ジンオウガに襲われたと聞いた時は…」
「ジンオウガ?」
「君が戦ったモンスターの名前だよ。セネル」
35: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 20:28:49 ID:GH7i5DEIyQ
「ジンオウガ…私達は雷狼竜と呼んでいます」
雷狼竜、その名を聞いただけで先程の光景を思いだし身震いする
村長さんは押さえた口調で続けた
「元々あの子は霊峰と呼ばれる辺境に生息しているのですが…度々村の近くで目撃情報が寄せられるのです」
「恐らく君が戦ったのは霊峰から来たジンオウガだろう。問題はそのジンオウガが降りてきたのか、降りてこざるを得なかったのか…」
ルーが険しい顔をして考え込んでいたが、村長さんは
「それも含め、ギルドに正式に調査を依頼しました。しばらくすれば結果が出ましょう」
「ルー様、本当にありがとうございました」
「大した事はしていない。あのジンオウガも傷つけて逃がしただけだからな」
36: ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 20:33:49 ID:GH7i5DEIyQ
「逃がした!?」
ルーがあまりにもあっけらかんと言ったので思わず声を大きくしてしまう
「狩猟することも可能だったが…依頼されてない狩猟はタブーだからな」
あのジンオウガを傷つけ逃がすなんて…この人はいったい何者なんだ?
そんな俺の疑問を読んだのか、村長さんが
「ハンター様、ルー様はこの村ではHR6の凄腕ハンターなのですよ。更にG級ハンターでもあります」
「G級ハンター!?」
G級ハンターとは、ハンターなら誰しも憧れる階級のようなものである
「父さんや母さんと同じ…」
「・・・」
ルーは顔を背けた時、その表情に悲しみのようなものが現れていた
37: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 21:53:42 ID:Y26KlcU0dY
「それでは、私は仕事がありますので…お大事にしてくださいね?ハンター様」
「あ、はい…」
村長さんが家から出て暫しの沈黙が流れる
「あ、えっとありがとうございます…ルー…さん」
「ルーでいい。敬語もいらん」
「あ、うん…」
ルーは何故か俺と顔を合わそうとしない。そりゃそうだ。こんな新米にいちいち気にかける人なんて…
「セネル、君はいつからハンターをやってるんだ?」
「え?えーと…2ヶ月前からかな…」
「そうか…師匠はいるか?」
俺は腕組みをして考える 基本的な狩猟は全部教官に教えてもらっていたが、知識やその他色々は両親から教えてもらっている。教官は師匠と呼ぶにはあまりにも情けな…期間が短いので、呼べない
「うーん…いるような、いないような…」
「・・・そうか」
38: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 21:59:56 ID:Y26KlcU0dY
俺は何故ルーがこんな質問をしてくるかわからなかった。わからなかったからこそ、次のルーの言葉に驚いたのも仕方ないといえる
「君が良ければ…私が君の師匠になろうか?」
「・・・はい?」
今、この人はなんと仰いました?
師匠?ししょう?SISYOU?
「はああああああ!?」
「っ!!」
俺が驚き叫ぶと、びっくりしたのか一瞬臨戦体制を取るルー。右手は腰の剥ぎ取りナイフに伸びていた
それよりも俺はルーの意図が理解出来なかった
あのジンオウガを退け村長さんから全幅の信頼を寄せられてる凄腕ハンターが俺みたいな新米な師匠になってくれる?
「嫌なら…構わないが」
「いや!?嫌じゃないんだけど…なんでそんなことしてくれるんだ?」
「・・・」
39: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 22:05:39 ID:Y26KlcU0dY
ルーは答えなかった
いや、答えるのを躊躇っているようにも感じた
「傷が癒えたらまたくる。それまでに答えを出しておいてくれ」
そういってルーは家から出ていった。残された俺は天井を見ながらぼんやりと考えていた
ルーは凄腕ハンターだ
村長さんも信頼してるし、まず嘘はついてないだろう
なのに何故自分みたいな新米の師匠になることを申し出たのか?それに時折見せるあの悲しそうな、躊躇っているような複雑な表情は…?
「あー!!わっかんねー!!」
ベッドの上で悶々と悩む 恐らくルーの弟子になればハンターとして飛躍的に成長するだろう
しかし、どうにも腑に落ちない
「・・・とりあえず、やってみろ、か」
父さんの口癖を呟く
辛い時や苦しい時はいつもこの言葉を思い出していた
「・・・やってみるか」
俺は心の中で結論を出し、眠りについた
40: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 22:12:51 ID:Y26KlcU0dY
数日後
すっかり体が治った俺はルーを待っていた
治るまで何度もルーは足を運んでくれたが、前日にはもう治るだろうと言ってくれて、今日がその日である
体が治る日を予想出来る辺りやはりG級ハンターなのだろう
「おはよう。よく眠れたか?」
ルーが家の中に入ってくる
俺はそれを正座で迎えていた
「・・・俺は、まだ新米で、今は自分の力量もわからずに突っ込むしか出来ない馬鹿だけど、ルーが師匠なら成長出来る気がする」
「・・・」
「俺は早く一人前のハンターになりたい。それが父さんと母さんに向ける弔いだと思うから」
「・・・」
ルーは黙って俺の決意を聞いてくれていた
「だから…よろしくお願いします」
俺は頭を下げて、ルーに意思を告げた
「こちらこそ、よろしく頼む。一度弟子になった以上、容赦はしないぞ?」
顔をあげてルーを見ると、ルーは微笑んでいた
その笑顔がとても綺麗で、俺は思わず顔を赤くして俯いてしまった
こうして俺はルーの弟子になったのだ
41: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 22:15:30 ID:j7UOLnkwP.
皆さんこんばんは
さぎしです
とりあえず序章的なものが終わりました。これからドンドンセネル君が成長していくんですね
序章から結構伏線とか含みとかいれてますけど、ちゃんと回収しますので
今日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
42: 名無しさん@読者の声:2012/12/16(日) 22:40:48 ID:AXPz/dDb7M
乙狩れさまでした。
続き楽しみにしています!
っCC
43: 名無しさん@読者の声:2012/12/16(日) 23:31:21 ID:a80M3Ya6iM
おもしろし!
楽しみにしています。
やっぱり家の娘になりませんか?
つCCCCC
44: 名無しさん@読者の声:2012/12/16(日) 23:46:03 ID:TEFXytsk9o
支援
さぎしさんの過去作品を見てきてやった
45: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 15:39:04 ID:siHnvgnp82
>>42
ありがとうございます♪ 支援感謝です♪
>>43
毎日三時間以上モンハンが出来て、仲間に出会えて、薄い本が読める環境なら
支援感謝です♪
>>44
らめぇぇぇぇ!!そんなとこ(過去作品)見ちゃいやぁぁぁ!!
支援感謝です♪
46: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 15:45:41 ID:gxDSHASFOs
さて、ルーの弟子になったはいいが、やることは普段と何も変わらなかった。依頼を受けてモンスター狩猟するだけである
ただ、一つだけ違うのは…
「セネル!!ラングロトラの回転攻撃を片手剣で捌くのは厳しい!!回避に専念しろ!!」
「わかって…うわぁ!?」
ルーが俺と一緒に狩りをして、逐一俺に指示するということである
だが、ルーの指示は的確で迷いがなかった
だから俺もただルーのいう通りにして狩りに集中出来たのである
「あ!!足を引きずった!!ルー!!」
「深追いは無用だ」
ルーはランスをチェックしながら俺に告げる
「セネル。君の戦い方は悪くない。だが、もう少し相手の弱点や肉質が脆い部分を狙うといい」
「・・・」
47: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 16:01:00 ID:gxDSHASFOs
俺はルーの言うことを黙って聞く。ルーのいう通りにして失敗した事がないからだ
「片手剣なら小回りを活かして相手の体制が低くなった時を狙って頭に連続攻撃を叩き込めばいい。また、回避がしやすい武器なら腹を切ったら離脱という戦法も使える。時間はかかるが、安全にいくに越したことはない」
「わかったよ。ルー」
「君は本当に私の言う事を真に受けるな…」
「だって、ルーが正しいのは知ってるし、俺はルーに意見出来るほど強くないから」
「私が君に嘘を教えてると思わないのか?」
ルーは俺に冷たい目線を投げたが
「ルーは嘘をつかないよ。だってそんな気がする」
「・・・ぷっ、くくく」
48: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 16:05:12 ID:siHnvgnp82
突然ルーが吹き出す
なんかおかしなこと言ったかな?
「くっくく…すまない…そっくりだなって…」
そっくり?誰に?昔の狩りの仲間とかにか?
「さあ、お喋りは終わりだ。セネル。今回は一人で君が討伐してくるんだ」
「分かったよ」
「いいか、手負いとはいえ狂暴なモンスターだ。油断するなよ」
「・・・」
俺は小さく頷きラングロトラが去っていた方向に走り出した
49: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 16:10:48 ID:gxDSHASFOs
「・・・いた」
追い付いた先でラングロトラは寝息を立てていた 同じ牙獣種だから、どことなくアオアシラに寝姿が似ていたが、アオアシラの方がずっと可愛いかった
「よし…まずは…」
ラングロトラから少し離れた所にシビレ罠を設置する。本来はモンスターを捕獲するために使われるが、今回は捕獲しない
「準備はよし…いくか」
ラングロトラのすぐそばに立ち剣を構える
ラングロトラはそんなことに気づかず寝息を立てる
「はあああああ!!」
剣に力を乗せ体重と力を乗せた満身の一撃をラングロトラに降りおろす
突然の激痛に顔を押さえて大きくよろめくラングロトラ
しかし俺はラングロトラに追撃をせず、距離をおくように走った
50: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 16:16:41 ID:siHnvgnp82
怒りに我を忘れたラングロトラは俺を潰そうと転がってきたが
「ギャウ!?」
予め仕掛けてあったシビレ罠に引っ掛かり体を痙攣させる
「うぉぉぉぉ!!」
踵を返しラングロトラの頭をめちゃくちゃに切りつける
血が飛び散り肉が裂け痛みに悲鳴をあげるラングロトラ
しかし、シビレ罠の麻痺から解放されたラングロトラは両手を高々とあげて威嚇をしてきた
だが、それがラングロトラの失敗だった
両手を高々と上げた為、柔らかい腹が露出したのだ
「でやあああ!!」
露出した腹に立て続けに連続攻撃をお見舞いすると、ラングロトラは断末魔をあげ動かなくなった
51: 名無しさん@読者の声:2012/12/17(月) 17:14:03 ID:4EhYJ/N8tA
ほんまに面白い!支援!
52: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 19:38:33 ID:.UPaASQov2
>>51
ありがとうございます!! 実は正直不安だったんですよねwww
支援感謝です♪
53: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 19:44:13 ID:.UPaASQov2
ラングロトラが動かなくなるのを確認して剣をしまう。すると後ろから拍手が聞こえてきた
振り返るとルーが笑顔で拍手をしてくれていた
「よくやったセネル。相手を怒らせ注意力を散漫させた後に罠にかける。実に綺麗な戦略だ」
「そんなことないよ、ルーが教えてくれたからだよ」
「お前には才能があるな…両親に似てな」
「そ、そうかな…」
何故ルーが俺の両親がハンターだと知っているのか疑問に思ったが、村長さんから聞いたんだろうと思い何も言わなかった
「早く素材を剥いでしまえ。急がないと腐るぞ」
「わ、わかってるよ」
剥ぎ取りナイフを構えてラングロトラを剥ぎ取りにかかる。その様子を黙ってルーは見ていた
54: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 19:51:04 ID:iaGtp/4v.o
「なあ、ルー」
「ん?」
ネコタクに揺られる道すがら、俺は日頃思っている事をルーに言ってみた
「あのさ…ルーの狩りを見せてくれないかな?」
実は俺はルーの狩りを今まで一度も見たことがなかった。いつもルーが指示を出して俺がそれに従うというような感じだからだ
「・・・」
ルーは少し考えてから
「私の得意とする武器はランスだ。君の参考にはならないと思うが…いいだろう」
「ありがとう。ルー」
「いや、冷静に考えたら君の前で腕を見せていなかったな。私が本当の腕前を君が疑問に感じるのは当然だ」
「そういうわけで言った訳じゃないんだけど…」
とにかく、ルーは戻ったらすぐ狩りを見せてくれるらしい
55: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 19:55:15 ID:.UPaASQov2
ギルドに着くと騒がしい声が俺達を迎えた
「あ!!ルーさん、セネル君お帰りなさい!!」
「ただいま、コノハ」
「ラングロトラどうでした?セネル君頑張れました?」
「文句なしの出来だな」
俺達を出迎えた騒がしい存在。ギルドの正式な下位受付嬢のコノハだ
俺より年下であるが、その朗らかな笑顔と無邪気な様子から誰もに好かれている
「コノハ、世間話してないで帳簿に書く」
「忘れてた!!ごめん!!お姉ちゃん!!」
「すみません。ルーさん」
「構わないよ。カエデ」
56: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 20:00:47 ID:.UPaASQov2
ルーと会話を交わしているのは上位受付嬢のカエデさん。コノハのお姉さんなのだが、性格は正反対だ
コノハが天真爛漫なら、カエデさんは気品優雅とでも言うべきだろう。とにかく大人としての余裕みたいなのが出てる
「あの二人、絵になるよね〜」
コノハが帳簿をつけながら話しかけてくる
ルーは文句なしの美人だし、カエデさんは美人というより…なんだろう?天女?
「安心して!!セネル君も格好いいよ!!」
「別に気にしてねーよ」
年下に君付けされてるが、コノハに関しては色々と周りが甘い所があるからな
「コノハ、すまないがクエストの受注を頼めるか?」
「ふえ?いいですけど…セネル君疲れちゃいません?」
「今回は私が受注する」
57: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 20:03:24 ID:iaGtp/4v.o
「え〜〜〜っ!?ルーさんが下位クエストを!?」
「セネルに狩りが見たい言われてな、少々物足りないが我慢するしかあるまい」
「ちなみに、なんのクエストを?」
「ボルボロス辺りでいいだろう」
「うわ〜、ルーさん。弱いものイジメはよくないですよ?」
「セネルの為だ。仕方ない」
なんか物騒な会話してないか?あの二人
58: 名無しさん@読者の声:2012/12/17(月) 22:22:45 ID:.5wHn4QFp6
続きキターヾ(=^▽^=)ノ
このスレ見つけてからずっと更新楽しみにしています♪
っCCCC
59: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 00:02:26 ID:9r5HZT/Q3c
>>58
そんなこと仰られたら大量更新するしかないじゃないですか!!
まあ、相変わらずの亀更新ですけどwww
支援感謝です♪
60: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 00:08:28 ID:KjLWmcL3EE
ルーが受けたボルボロスの討伐依頼に同行した俺達はベースキャンプにいた
「よし…携帯食料に…応急薬に…」
「携帯砥石をもらっていくぞ。まあ、多分使わないだろうがな…」
ルーがボソリと呟いた言葉に思わず耳を傾ける
あのボルボロスを砥石いらずで?
「ルー、本当に大丈夫なのか?」
「私を誰だと思っている?君の師匠だぞ?」
ルーは得意気に胸を張ると早々とベースキャンプから出発した
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!!」
俺は支給品をポーチに詰め込みながらルーの後を追いかけた
61: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 00:10:46 ID:KjLWmcL3EE
皆さんこんばんは
さぎしです
今日は色々とゴタゴタがありましてあまり更新が出来ませんでした
というのもそのゴタゴタがこのSSにも関係してる事なんですがね
本日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
62: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 14:23:51 ID:52PP2t7zb2
「そういやさ、ルーのその背負ってるランスって何の素材なんだ?全然加工されてないように見えるけど…」
ボルボロスを探す道すがら、俺はルーに武器について質問していた。ランスは使わないので知らなくてもいいことだが、興味はあったのだ
「このランスはブラックテンペストと呼ばれるランスで、角竜の亜種、黒角竜の上質な角から作られた武器だ」
「角竜…ってことは、ディアブロスか?」
「ああ」
「いつか…戦うのかな」
「恐らくな」
角竜と聞けば中堅ハンターも弱腰になるという程の狂暴な飛竜である
そんな角竜に挑む日が来るなんて…
63: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 14:29:17 ID:df/De3TGVs
「心配するな。今の君はまだ未熟だが。これから大きく成長するよ」
ルーが元気づけるように俺の頭を叩く
「そうこうしてるうちに…ついたぞ」
「へ?」
ルーが指差した先には小さな泥池があった
しかし…何もいないような
「よく見ろ」
ルーに促されて目を凝らして見る…ん?なんだあれ?
ルーは俺がなにかを発見したのを確認すると、そのなにかに歩いていった。そして
「ふん!!」
おもいっきり蹴りつけた
64: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 14:37:21 ID:4xmdquRWxQ
「ガアアアアア!!」
ルーが蹴りつけると、なにかは地響きを立てて地中から姿を表した
「ボルボロス!!」
俺が武器を構えようとしたとき
「動くな!!」
ルーは俺を見ずにボルボロスを見据えて俺を制止した
「君は目立たないようにしゃがんでいろ!!」
言われた通りにしゃがみこみルー達を見る
ボルボロスは突然起こった事にびっくりしていたが、ルーを見つけると敵と判断し、威嚇の咆哮をあげた
「ルー!!」
しかしルーは盾を構え咆哮を防いだ。いや、防ぐどころかそのままカウンターで腹部に槍を突き立てた
「ボルボロスは頭部と脚部の肉質が硬い!!しかし腹部の肉質は柔らかいのでそこを狙え!!」
腹部に深々と刺さった槍を素早く引き抜くとルーは横にステップをして後ろに回り込んだ
65: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 14:43:22 ID:4xmdquRWxQ
「ガアウッ!!」
特徴的な頭部でルーを殴ろうと頭を振ったが、ルーは既にその場所にはおらず空振る。ルーはその間に無防備な尻尾に上段突きをしていた
バキンという音と共に尻尾を覆っていた泥が砕ける。ルーはステップをしながら
「ボルボロスは泥がついているのとついていないのでは弱点属性が変わる!!泥がついている場合は火が、ついていない場合は水だ!!」
ルーが槍を突き出す度に砕け剥がれる泥。泥が剥がれて露出した甲殻にルーの槍が刺さる度に血が吹き出していた
66: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 14:50:47 ID:4xmdquRWxQ
突然ボルボロスの様子が変わる
頭部から煙を噴出し、怒りの咆哮をあげた
しかしルーはそれに臆する事なく真下からボルボロスの顎を貫いた
「ガアッ!!」
ボルボロスが仰け反りルーから距離があく
ルーはそれを見逃さずに体制を低くした
「はあっ!!」
ルーはボルボロスに向かって突進を仕掛けた
見た目はファンゴのような突進だが、威力はけた違いだ
槍が肉を刺す度に血が吹き出しボルボロスが痛みにうめき声をあげる
ルーは突進を止めると槍を横に薙いだ
その勢いにたまらず横倒しになって倒れるボルボロス。最早虫の息だった
「ふっ!!」
ルー呼吸を整えると、腹部に槍を穿ちボルボロスの息の根を止めた
67: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 20:18:33 ID:LBbMXTai1k
「す…すげぇ…」
ルーは当然といったような顔でこちらに歩いてきていた
ルーが凄腕ハンターだということは疑ってはいなかった。でも、もしかしたらと…ほんのちょっと油断するかなと思っていたが…ルーはボルボロスを何の危なげもなくあっという間に狩猟してしまった
「少々時間がかかったな…手を抜きすぎたか?」
もはやこんなことまで言い出す始末。これは一生ルーに頭が上がらないな
「どうした?剥がないのか?」
神妙な顔で悩んでいる俺にルーが声をかける
「俺がやったわけじゃないし、今日はルーの狩りを見たかっただけだからいいよ」
「そうか…」
ルーはそれ以上何も言わずに剥ぎ取りナイフを構えてボルボロスを剥ぎ取り始めた
「俺も…あんな風になれるかな…」
空に向かって呟いた言葉 それはいったい誰に聞いた言葉だったんだろうか
68: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 20:36:50 ID:x.G53gS2Po
ギルドに戻ると、受付が少しざわついていた
「何かあったのかな?」
俺が疑問に思うより早くルーがコノハに聞いていた
「何があった」
「あ、ルーさん…双炎の覇者の弟子と名乗る人が騒いでて…」
「双炎の覇者だと?」
双炎の覇者とは俺の両親の通り名みたいな者だった。いつも夫婦で狩りをしてるところから織姫と彦星、剣と鞘等様々言われていたがこの双炎の覇者というのが一番有名だった
有名だからこそ、こんな風に名前にあやかろうと弟子と名乗る者が後を絶たない
ちなみに俺の両親は弟子を取ったことがない。何十という人が弟子になりたがってはいたが…
69: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 20:40:52 ID:x.G53gS2Po
「はあ…またか、いいよコノハ。言わせたいだけ言わせておけば」
「うーん、そうしたいんだけどねぇ…お姉ちゃんが対応してるのよ」
「カエデさんが?」
「うん。なんでもリオレウスに挑戦させろーだなんて言ってきてね…その人装備がヘボの極みなのよ?いかせられると思う?」
「そりゃ無理だな。ルー、少し休憩してから…っ!!」
「・・・」
ルーに休憩を提案しかけて思わず身震いをしてしまう。何故ならルーは全身から殺気を滲ませ受付で騒いでいるハンターを睨み付けていたからだ
70: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 20:46:17 ID:7yUYKTB.9o
「お、おい…ルー?」
ルーは何も言わずにゆっくりと受付で騒いでいるハンターに近づいていく とてつもなく嫌な予感しかしない
「だーかーらー、俺様は双炎の覇者の弟子だよ?リオレウスくらい余裕だっつーの」
「申し訳ありませんが、ハンター様の力量では無理だと思います」
「ハンデだよ、ハンデ」
「上位のリオレウスですよ?死ぬ気ですか?ギルドが死体を引き取る手間を考えてください?」
「あのなぁ…狩れるっていってんの、早く依頼だせよ」
「おい」
「あん?ぶぐばっ!!」
ルーがハンターに声をかけハンターが振り向いた瞬間…それは見事な右ストレートをかましていた
71: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 20:52:09 ID:7yUYKTB.9o
「何すんだよ!?」
「それはこちらのセリフだ!!」
「ひっ!!」
語気を荒げ、明確な殺意を示していた
ルーにしては珍しかった いつもなら冷静沈着で何事にも動じないのに
「あの二人は私が知る限り最高のハンターだった…貴様のような葛が弟子?自惚れにも程があるぞ!!分を弁えろ!!」
「ひぃぃぃぃ!!」
ルーの本気の殺意にあてられたハンターはすっかり怯えてしまい、転びながらギルドから出ていってしまった
ルーにはちと申し訳ないが、あのハンターには同情せざるを得ないな
72: 名無しさん@読者の声:2012/12/18(火) 21:02:23 ID:TEFXytsk9o
何装備だったのだろうか
真ユクモノとかか?
73: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 21:16:01 ID:XIAVTAtKm2
>>72
高級ユアミでアルバ狩りに行った私に謝れ
ちなみにこの可哀想なハンターさんはハンター一式です。Sもつきません
74: 名無しさん@読者の声:2012/12/18(火) 21:20:37 ID:TEFXytsk9o
>>73
申し訳ありません
でも、リオレウスくらいなら裸でも倒せる気がします
75: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 21:21:08 ID:qIymICtQKA
「お見事ですね、ルーさん」
「すまない…取り乱しました」
「貴女は本当にあの二人の事になると人が変わりますね」
「・・・まあな」
ルーとカエデさんが何やら話をしているが、この距離からじゃよく聞こえなかった
それより、ルーの俺の両親に対する尊敬がそこまで高かった事に驚きだった
「ルーは父さんと母さんを尊敬してるのか?」
「ああ」
ルーは一瞬凄く寂しそうな表情をしたが、すぐに直して
「前に一度狩りに行ったことがある…それ以来、数回な」
「ふーん」
76: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 21:26:15 ID:qIymICtQKA
「君は…なんとも思わないのか?君の両親の名を語る輩が現れて」
「いいんだよ。あんなん日常茶飯事だし」
「それに、いくら名を語った所で、本人には敵わないんだから」
「君は…強いな。過去に囚われないのか」
「前を向いて生きろ」
「!!」
「父さんの口癖だったんだよね。過去は何をやっても変えられないけど、未来は変えられるからさ」
「・・・」
話をしているとき、ルーの表情は複雑だった
悲しみと寂しさと決意を胸に秘めたような…そんな表情だった
77: 名無しさん@読者の声:2012/12/18(火) 22:09:26 ID:4fuIC8BBSA
ナルガたんの作者さんだったんですね!あれ大好きなんです!
他の過去作も少し拝見してきました♪やっぱり大好きです(ハァト
っCCCCCCCCCCCCCC
78: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 23:00:06 ID:52PP2t7zb2
>>77
おうふ…まさかその名をまた聞けるとは思いもしませんでした…
私も嫌いじゃないです
あえて好きとはいいませんが
支援感謝です♪
79: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 23:07:11 ID:52PP2t7zb2
「さってと!!とりあえず次行こうぜ」
「・・・ああ」
ルーはまだ本調子じゃなかったが、ある程度は取り戻していた。どのみち戦うのは俺なんだから関係がないんだけど
「あ、セネル君。君に緊急の依頼が来てるよ」
「俺に?」
コノハが差し出したのはリオレイアの討伐依頼だった
「次の相手はリオレイアか」
ルーが依頼書を覗き込みながら呟く
雌火竜 リオレイア
別名陸の女王と呼ばれ、火竜リオレウスの番である
陸の女王と呼ばれるだけあって、その破壊力は桁違いで、今まで戦ってきたモンスターの比ではない
「・・・」
「一応期限は無期限だからいつでも受けれるよ?どうする?」
「今のままでは返り討ちにあう可能性も高い。ここは装備を整えてからでもいいと思うぞ」
「そうだね、そうするよ。情報も集めないとだし」
80: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 23:10:06 ID:UEFq.FzFOc
「ふむ…なら次はこいつだな」
そういいながらルーが取り出したのはクルペッコの討伐依頼書だった
「風圧のいい経験になるだろう。リオレイアには片手剣で挑むつもりか?」
「まあね」
「なら、尚更こいつで慣れておくべきだな」
「そうするよ」
俺はルーから依頼書を受け取り名前を書いた
「この依頼、セネル=ボルアスが引き受けた」
81: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 23:17:27 ID:UEFq.FzFOc
ネコタクで孤島に向かってる間、俺はルーからクルペッコの対処法を教わっていた
「それではおさらいだ。クルペッコの特徴は?」
「喉にある特別な器官で他のモンスターを呼び寄せる事が可能。破壊可能部位は火打石、嘴か?」
「その通りだ」
「その他にも演奏をして自分強化をしてくるんだっけか?」
「ああ、演奏をやめさせるには大きな音。大タル爆弾か音爆弾を使えば演奏を中止させることが出来る」
「片手剣なら、抜刀したまま道具を使用できるから、臨機応変に対応すること。これを忘れるな」
「ああ」
「まあ、君なら上手くやれるさ…もうすぐ着くぞ」
82: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 23:21:01 ID:52PP2t7zb2
皆様こんばんは
さぎしです
早いものでこのSSももうちょいで100いきますね
まあ、これは安定と信頼のさぎしクオリティって事でご容赦下さい
しかし、やっぱりモンハン書くの楽しいです
自分の好きな事ですからね
他にもガン○ムとかテ○ルズとか書いてみたいですけど…まあ、いつか
本日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
83: 名無しさん@読者の声:2012/12/18(火) 23:22:20 ID:TEFXytsk9o
クルペッコ亜種にナルガ亜種呼ばれたのはいい思いで
支援
84: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:31:50 ID:g5WCmxTCbU
>>83
ペッコ亜種がイビル臨時教師召喚
↓
イビル討伐後、ナルガ亜種召喚
↓
ナルガ亜種討伐後、ドボル召喚
↓
\(^o^)/回復追い付かねぇ
支援感謝です♪
85: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:37:14 ID:g5WCmxTCbU
孤島に着き支給品ボックスを開ける。中にはこやし玉や音爆弾などのクルペッコ対策のアイテムが入っていた
「やっぱり…音爆弾とか必要なんだな…ルー、準備出来たよ」
「・・・」
「ルー?」
ルーが返事しないのを不審に思い振り返ると、ルーはベースキャンプのベッドに腰かけて虚空を見つめていた
「ルー?」
顔を覗き込み反応を確かめる。ルーはそれに気づくと慌てて立ち上がった
「す、すまない!!ぼーっとしていた、すぐ行こう」
「大丈夫か?ベースキャンプで休んでれば?」
「弟子を尻目に休む師匠がどこにいる」
ルーは兜を被り直して歩き始めた
86: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:44:04 ID:Da6WQ42Ckk
「しかし…空を飛ぶモンスターね…初めてじゃないかな」
「君が私と会う以前に狩っていたなら話は別だがな」
「出来るわけないだろ」
軽い冗談を言いながらクルペッコを探す
出会った当初はお互いぎこちなかったが、今ではすっかり冗談を言い合えるような関係になっていた。まあ、師弟なのは変わらないけど
「・・・」
「ん?どうしたセネル」
「いや、なんでも」
ルーは今さらかもしれないが、かなりの美人だ
だから恋人や将来を誓った人がいてもおかしくはなさそうだが…
だが、ハンターというのは常に死と隣り合わせの世界。未練があると腕が鈍ると言われ、基本的にはそういった関係を持つのは暗黙のルールというやつで禁止されていた
父さんと母さんみたいに夫婦で狩りに出るハンターは例外らしいが
87: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:50:58 ID:Da6WQ42Ckk
どうしても気になった俺はルーに聞いてみる事にした
「なあ、ルーってさ恋人とかいないの?」
「・・・ぷっ、くっくく」
いきなり笑いやがった
そんなにおかしい質問はしてないぞ?
「すまない…くくく、君が、そんな質問をしてくるとは…思いもしな…ぷっ、あっはは!!」
ほっといたら腹を抱えて笑い転げそうな程に笑うルー
笑った顔も美人だなと思う反面、そこまで笑う必要があるのかと考えていた
「んじゃ、いないんだな」
「ああ…私はハンターだからな。帰る場所があり、死にたくないと思えば武器が鈍る」
「ふーん」
「何故いきなりそんな質問を?」
「気になっただけだよ」
「そうか…他に理由が…」
そこまでルーが喋ったとき、突然ルーが空を険しい顔で睨み付けた
つられて見上げると、ゆっくりと降り立つ影が見えた
88: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:55:30 ID:Da6WQ42Ckk
「来たぞ…クルペッコだ」
ルーが小声で俺に注意を促す
「分かってる」
俺はクルペッコの背後からゆっくりと近づいた
クルペッコはまだ気づいておらず、呑気に歩いている
「てやっ!!」
勢いをつけ飛びかかるように剣を降り下ろしクルペッコの尻尾を切りつける
クルペッコは突然の痛みに驚いて飛び上がったが、俺を見つけると羽を広げて威嚇をしてきた
「それが隙なんだよ!!」
素早くクルペッコの懐に飛び込み数回切る
そのまま横に回避してまた数回切りつけた
「クルゥ!!」
「うわっ!!」
クルペッコは体を回転させて尻尾を俺に叩きつけようとする。それを間一髪の所で盾でいなした
89: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:59:28 ID:Da6WQ42Ckk
「よし、もう一回!!」
クルペッコの懐に飛び込もうとするが、そうはさせまいとクルペッコも体を回転させる
「回転の隙を狙えば…そこだっ!!うわ!!」
クルペッコの回転の隙をついたはずが、突風で前に進めない
「これが風圧か…厄介だな」
ルーの話によれば、大剣や太刀、スラッシュアックス等重量がある武器は武器の重さで風圧をあまり受けないらしいが、今の俺は小回りを重視した片手剣だ
「焦っちゃ駄目だな。ゆっくり、確実に攻撃を重ねよう」
90: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 21:11:26 ID:g5WCmxTCbU
武器を構え直し、クルペッコに突っ込む
クルペッコは俺を見据えて両翼にある火打石を打ち付けて突進してきた
「そら!!」
俺は前転しながらクルペッコの足の間に入り股を切りつけて脱出する
クルペッコは視界から俺が消えたと共に起きた痛みに仰け反った
「てやあああ!!」
剣を振りかざし連続で切りつける
クルペッコは既に足をよろめかせその最後が近い事が分かった
クルペッコが飛び立とうとした瞬間、ペイントボールをつけクルペッコを見送る
これで場所はいつでも把握出来る
91: 名無しさん@読者の声:2012/12/19(水) 21:50:32 ID:7.4O1GfmJI
う〜ん面白い
支援支援
92: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:18:52 ID:B6HkiMrp42
>>91
ありがとうございます
支援感謝です♪
93: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:24:00 ID:LG1gFhOOtk
「よし、後は倒すだけだよな?ルー」
「・・・」
振り返ると、ルーは厳しい表情で俺を見ていた
「前から思っていたが、君は少々突っ込み過ぎじゃないか?見ていて危なっかしいぞ?」
ルーは心配してくれているのか、いつもより厳しい口調だった
「ご、ごめん…」
「動き自体は悪くはないからな。もう少し慎重にいけ」
ルーは励ますように俺の頭を軽く叩く
「さあ、最後の大仕事だ。抜かるなよ?」
「分かってる」
俺達地図を見ながらクルペッコを追いかける事にした
94: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:29:34 ID:B6HkiMrp42
「クルルル」
ペイントが教えてくれた場所に辿り着くと、クルペッコはスヤスヤと寝息を立てていた
「寝てるだけなら本当に問題ないのにな」
俺が呟いた言葉にルーが反応する
「モンスターも好きで人間を襲ってるわけではない。他のモンスターとの縄張り争いに負けたりして、土地を移らざるを得なかった種もいる」
「つまり、人間が悪いってこと?」
「どうだかな…私達はただ依頼されたモンスターを狩るだけだ」
そう語ったルーの目はやるせないような雰囲気だった
「やっぱり、ルーはモンスター狩るのはあんま好きじゃないのか?」
「・・・狩らなきゃ生きていけないからな」
ルーから紡がれた言葉
その一言がハンターの過酷さを物語っていた
95: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:34:12 ID:LG1gFhOOtk
「・・・」
俺は改めて寝ているクルペッコを見る
人間を襲うようにはとても見えない寝顔だった
クルペッコに近づき剣を引き抜く。そのまま剣を勢いよくクルペッコの首に突き立てた
「グアッ!!」
首の骨を貫通し、息の根を止める
ルーはただそれを黙って見ていた
「・・・ごめんな。でも、無駄にはしないからさ」
剥ぎ取りナイフを構えてクルペッコを剥ぎ取る
まだ暖かい体がさっきまで生きていた事を語っていた
「帰ろう。セネル」
剥ぎ取りが終わった頃を見計らってルーが帰還を提案する
俺はそれに黙って頷いた
96: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:37:57 ID:B6HkiMrp42
帰りのネコタクは静かだった
お互いがお互いとも話さないからだ
改めて感じたハンターという職業の辛さ
「ルー、もしもこの世界からハンターが無くなったらどうなると思う?」
「・・・人類が滅亡するな」
「・・・そうか」
答えたルーの言葉はひどく重かった
ハンターは皆このような思いを背負っているのだろうか
父さんや母さんはどんな気持ちでハンターをしていたのか
ルーはどんな気持ちでハンターを続けていたのか
そして、俺はどういう気持ちでハンターをやればいいのか…
97: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:42:53 ID:LG1gFhOOtk
「お帰りなさ〜って、暗っ!!」
笑顔で迎えてくれたコノハに手を上げて答える
今は返事を返す気分ではなかった
「何!?どうしたの!?ルーさんと喧嘩した!?痴話喧嘩!?」
「そんなんじゃねーよ…」
最早答えるのも億劫だった俺はギルドに設置されてる浴場に浸かって汗を流した
とにかく、今は早く眠りたかったのだ
家につくと、何やら物が多い気がしたが、アイルーが勝手に持ってきたのだろうと思って気にも止めなかった
俺はベッドに寝転がり、そのままゆっくりと眠りの世界に入った
98: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:46:45 ID:B6HkiMrp42
皆さんこんばんは
さぎしです
今回はリアルな視点で描いてみました
何故ハンターはモンスターを狩らなければならないか
ハンターが存在する意味とは
その答えをセネル君は見つける事が出来るでしょうか?
今日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々
ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
99: 名無しさん@読者の声:2012/12/20(木) 00:26:02 ID:gUbNZUcfAw
んん〜深い!
乙狩れさまでした。
っCCC
100: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/20(木) 20:09:54 ID:2k.durce8E
>>99
ありがとうございます
正直、なにいってんだこいつみたいな反応されてもおかしくはありませんでしたからね
支援感謝です♪
100ゲトー
101: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/20(木) 20:14:06 ID:g38IDIgMhs
「お父さん、お父さん!!」
「どうした?セネル」
「お父さん、またかりにいくのー?」
「うん。行ってくるよ」
「お母さんもー?」
「そうだねー、セネルは寂しいかい?」
「だいじょうぶだよー!!ぼく強いから!!」
「そうかそうか、セネルは立派なハンターになれるな」
「お父さん…お父さんとお母さんはどうしてはんたぁなの?」
「・・・それはね」
102: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/20(木) 20:22:23 ID:2k.durce8E
目を覚ますと自宅のベッドの上だった
うたた寝をしていたつもりが随分を深く眠っていたらしい…窓から見える外はすっかり暗くなっていた
「また…昔の夢を…はは」
体を起こして頭を覚醒させる。体にかけられていた布団がずり落ちた
ん?俺はベッドに倒れ込んだはずなのに、なんで布団かけられてんだ?
「起きたのか」
声の方向に振り向くと、ルーが座っていた
「布団、ルーがかけてくれたのか?ありがとう」
「風邪を引かれては困るからな」
そう言いながらルーが立ち上がる
「っ!?ル、ルー!?なんだよその格好!!」
「部屋着だが?」
ルーはインナーにシャツを羽織っただけの姿だった
思わず顔を逸らす
色々と目のやり場に困ったからだ
103: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/20(木) 20:25:57 ID:g38IDIgMhs
「何故顔を逸らす」
「格好見てから言え!!」
「・・・ああ、なるほど」
ルーは納得したのか、そのまま俺のベッドに入り込み…
「って、何してんだー!?」
「見ればわかるだろう。布団に入ってるんだ」
「なんで入ってくるんだよ!!自分の家で寝ろよ!!」
「君は…まだ気づかないのか?」
ルーに言われて部屋を見回す
ようやく俺は眠りにつく前の違和感に気づいた
104: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/20(木) 20:32:39 ID:2k.durce8E
「物が多い?」
「そうだ」
ルーは俺にくっつきながら話を続ける
「私の装備や私物、道具が全てここに運び込まれた。つまり君の家にご厄介になるということだ」
「せ、狭いだろ!!」
「改築は既に終わってるらしい。どうやったかは知らんがな」
ルーの体温が肌着越しに伝わってくる
正直これは色々とまずい
「君に迷惑はかけないようにするが…嫌なら言ってくれ。私は外で寝るから」
「は?」
ルーのあり得ない提案に即座に反応する
「なに言ってんだよ、ルーを、ていうか師匠を、そもそも女性を外で寝かせられるわけないだろ」
「だが家主は君だ。君に迷惑はかけられない」
「いや、ルーが使えよ!!俺は床とかで寝るし!!」
105: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/20(木) 20:37:10 ID:2k.durce8E
「それこそ駄目だ家主を床には…」
「ああもう!!じゃあどうしろって言うんだよ!?」
「・・・今の状態がベストだと思うんだが」
「へ?」
思わず固まってしまう
ルーは上目遣いのまま俺を見つめて動かない
えーと、今のままということは…所謂一緒に寝るという奴で…
「でも…君は私と寝るのは嫌そうだし…」
「嫌!?嫌じゃないけど…」
「・・・」
ルーがじっと見つめてくる
わかったよ。結論出すよ だから急かさないでくれよ
「じゃあ…一緒に寝る…で、いいんだな?」
「ああ」
106: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/20(木) 20:44:02 ID:2k.durce8E
ルーは俺に背を向ける
本当に分かってるのか? 俺も一応男なんだし、ルーは魅力的な女性で、ランスを振るってる時は格好いいって思うし、今のように意外と丸い背中とかは可愛いと思うし…って、なに考えてんだ俺!?
「セネル、明日の事だが」
ルーが背を向けたまま俺に話しかける
「明日はリオレイアに挑む」
「・・・」
リオレイア その名前を聞いた途端さっきまでの慌てようが嘘みたいに静まる
明日はいよいよ、飛竜と戦うんだ…
「私は君なら出来ると信じてる…だから、君も自分の力を信じてくれ」
ルーは振り向き俺と視線を合わす
その時だけ、酷くルーが幼く見えた
107: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/20(木) 20:48:13 ID:g38IDIgMhs
「俺さ…勝てるよな」
「・・・勝てるよ」
ルーはまた俺に背を向ける
俺は立ち上がり家を出た
「あら、ハンター様。こんばんは」
村長さんが俺に挨拶をしてくれる
「村長さん。悪いんだけど依頼受けれる?」
「こんな夜中にですか?まあ、構いませんが…ルーさんは?」
「いいんだ。あいつは休んでるから」
「そうでございましたか。こちらが依頼になります」
「これでいいよ」
俺は依頼書を受け取り村に出た
108: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/20(木) 20:52:20 ID:2k.durce8E
クエストを終えて村に戻った時にはすっかり朝になっていた
依頼内容は特産キノコの納品
途中ドスファンゴに襲われたが撃退しながらキノコを採取した
家に入るとルーはすっかり準備万端という格好だった
「準備運動は済ませたか?」
「もちろん」
「いくぞ、今日は長い戦いになる」
「・・・ああ」
109: さぎし(誤字多発) ◆CmqzxPj4w6:2012/12/20(木) 21:02:07 ID:2k.durce8E
「おはよう!!セネル君!!歯は磨いたかね?勉強したかね?」
相変わらず騒がしいコノハだが、この時ばかりは少しだけ気分が解れたような気がした
「リオレイアのクエスト、受けたいんだけど」
「・・・うん」
コノハもこの言葉の意味が分かったのだろう
やや不安気な表情で依頼書を渡す
「ここに…参加者の名前を書いてね」
コノハからペンを受け取り自分とルーの名前を記入する
「確かに受け取りました…それでは、お気をつけて…」
コノハに背を向けてギルドを出ようとする
「セネル君!!死なないで!!帰ってきて!!」
俺はコノハには向き直らずただ片手をあげて答えた
110: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/20(木) 21:07:48 ID:2k.durce8E
ネコタクに揺られて到着したのは渓流
ベースキャンプで支給品を取ってる間、ずっと無言だった
「セネル…」
ルーも、今回ばかりは不安を隠せないのだろう
声にいつもの覇気がない
「・・・」
俺だって不安だった
もしかしたら死ぬかもしれないのだ
もしも俺が死んだらルーは悲しんでくれるだろうか?
いつものらしくない考えに俺は自嘲気味にため息を漏らす
ルーと出会ってからハンターとしては成長した
でも、俺自身も変わってしまったのかもしれない
「やるだけやってみるよ」
ルーにはそれだけしか告げなかった
しかし、ルーはそれで理解してくれたのか何も言わなかった
111: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/20(木) 22:23:44 ID:5VSlvvt1jc
リオレイアが目撃された場所にルーと辿り着く
そこには既にジャギィ達がいた
「ジャギィがいるな…倒しておくか…」
俺は剣を抜き、ジャギィ達に斬りかかろうとした瞬間
巨大な気配を上空から感じとり見上げると
「グオオオオオ!!」
緑色の甲殻に大きな翼
尻尾に棘がありその体はまさに飛竜
リオレイアが姿を表したのだ
リオレイアは地面に降り立つと、尻尾を振り回し一撃でジャギィ達を蹴散らした
勇敢な一匹がリオレイアの足に噛みつくも、巨大な足で蹴られ絶命した
残された一匹は逃げようとリオレイアから背中を向けた瞬間
「ピギャアアア!!」
リオレイアの口から巨大な火球が吐かれジャギィに直撃した
ジャギィは断末魔をあげ、黒こげになって命を落とした
112: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/20(木) 22:28:34 ID:5VSlvvt1jc
「あれが、リオレイアだ」
岩場の影から見ていた俺達はリオレイアに気づかれていなかった
ルーの言葉が重くのし掛かる
「無理そうならクエストリタイアをしろ」
再度ルーが問いかける
「しないよ…クエストリタイアはしない」
「父さんと母さんの仕事だから…俺は諦めない。こんなところで諦めてたまるか!!」
岩場から飛び出してリオレイアの背後を取る
そのまま足に切りつける
「グアアア!!」
血が飛び散り、肉を切ったのに、リオレイアは全く意に介さない
それどころか俺を蹴ろうとこちらに突進してきた
「くっ!!」
なんとか回避するも、またこちらに向かって突進をしてくる
113: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/20(木) 22:35:09 ID:5VSlvvt1jc
「遠ざかったら突進で距離を詰められる…だったら接近すれば!!」
俺は駆け出しリオレイアの足元に潜り込み数回切りつけて離脱する
いつもの戦法でいこうとしたが…
「グアアッ!!」
「何!?ぐはっ!!」
リオレイアは体を勢いよく回転させ、棘のついた尻尾をぶつけてきた
遠心力が加わり凄まじい破壊力のそれを無防備な俺を襲う
大きく吹き飛ばされ地面を転がる
「はぁ…はぁ…なんて威力だ…」
急いで立ち上がるも先程の衝撃が体に残っており上手く立てない
「グアッ!?」
いきなりリオレイアが大きくよろめいた
見るとルーがリオレイアの足を貫いていたのだ
「早くしろセネル!!モンスターは待ってはくれないぞ!!」
ルーに叱咤され、ようやく体が動き始める
「分かってる!!これからだ!!」
俺は剣を抜き放ち、リオレイアに向かって駆け出した
114: 名無しさん@読者の声:2012/12/20(木) 23:03:23 ID:AJxqyGrjXk
だがリオレイアの尻尾には・・・
115: 114:2012/12/20(木) 23:04:12 ID:AJxqyGrjXk
大事なもの忘れてた
支援
116: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/21(金) 00:15:22 ID:LEiceYsiw.
>>114
ファンタグレープにはお世話になってます
支援感謝です♪
すいません!!ちょっと色々諸事情で今日は投下ここまでとなります!!
明日はかなり大量にするのでご容赦下さい!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
117: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/21(金) 17:16:38 ID:x.G53gS2Po
戦い始めてから数分後
俺はある異変に気づく
「体が…上手く動かせない…?」
先程の回転攻撃を食らってから妙に体が重い
「セネル!?君は解毒したか!?」
「解毒…?」
「リオレイアの尻尾には毒が含まれているんだ!!」
ルーが叫ぶと同時にリオレイアが一歩後ろに下がりまたあの回転攻撃をルーに仕掛けた
「っ!!ルー!!」
だが、ルーは寸での所で盾で受け止めていた
ルーが気を引いている間に俺はポーチから解毒薬を取りだし飲む
先程までの異変は収まり、体も動かせるようになった
118: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/21(金) 17:23:07 ID:7yUYKTB.9o
リオレイアが俺に標的を変える
リオレイアと視線が交差した瞬間、俺は言い様のない気持ちになった
リオレイアがまっすぐこちらに突っ込んでくる
俺はそれをギリギリまで引き付け右に飛び退いた
「グギャウ!!」
リオレイアは急停止を出来るわけもなく、俺の後ろにあった石柱に頭から突っ込んだ
リオレイアの突進により石柱はガラガラと崩れ落ちる
その音に紛れて俺はリオレイアに近づき足を切りつけた
「でやぁぁぁぁ!!」
己の全体重を込めた斬撃はさしものリオレイアでもひとたまりもないだろう
思った通りにリオレイアは大きくのけぞった
119: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/21(金) 17:29:33 ID:x.G53gS2Po
「いい調子だセネル!!このまま押すぞ!!」
「ああ!!」
ルーと息を合わせリオレイアに攻撃をしようとしたとき
「ガアアアアアア!!」
リオレイアは口に炎を溜めて怒りの咆哮をした
「うわっ!!」
思わず耳を押さえてしゃがみこむ
だが、それと同時にこの咆哮に少しだけ違和感を感じた
まるで、何かに必死なように…
そして俺はしゃがみこんだ時に見てしまった
リオレイアの足元にある卵を
「っ!!」
リオレイアがこちらに振り向き口に炎を溜める
だが、俺は卵を凝視したまま動けなかった
「何してる!!セネル!!避けろ!!」
ルーが何かを叫んでるが上手く聞き取れない
リオレイアの放った火球が俺に襲いかかった
「っ!?セネル!!」
120: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/21(金) 22:44:43 ID:FHkqZRTKjo
「ん…んあ?」
目が覚めた時、ベースキャンプのベッドに寝ていた
体を起こそうとして全身に激痛が走る
・・・そうだ、確かリオレイアのブレスが直撃して
体が焼かれる感覚を思い出して身震いしてると、ベッドの外に人の気配がした
顔を出して覗いて見ると、ルーが肉を焼いていた
「ルー…」
俺の呟きに反応してルーが即座に振り向く
俺を見た途端驚愕と安堵の表情をしたが、すぐに険しい顔に戻る
「ルー…俺…ごめ」
パァン!!
121: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/21(金) 22:51:34 ID:SNQKZX.xas
ベースキャンプに乾いた音が響き渡る
最初は何をされたかわからなかったが、左頬の痛みと振り上げれられたルーの右手から、叩かれた事がわかった
「君は何をしたかわかっているのか!?怒れる飛竜の前で立ち尽くすなど馬鹿でもやらん行動だぞ!!」
「ごめん…俺」
「謝って済む問題ではない!!君は死にたいのか!?」
ルーはワナワナと震えていた
それだけルーが怒っていると思い、俺は頭を下げる
「・・・君が、君が火に包まれた時…私は心臓が止まる思いだった…」
ルーの声は震えていた
「リオレイアの猛攻を掻い潜りながら君の息を確かめた、もしも死んでたら…」
俺はルー見て驚いた
ルーは泣いていた、俺のために
「心配…してくれたのか?」
「当たり…前だ!!」
122: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/21(金) 22:57:01 ID:SNQKZX.xas
ルーは手甲で涙を拭う
よく見るとルーの金色の鎧は煤だらけでボロボロだった
「あの時…何故止まった?」
「あのリオレイア…母親だったんだ」
「・・・」
「足元に卵があった。多分リオレイアのだと思う。ジャギィ達も卵を狙ってたんだよ…返り討ちにあったけど…」
ルーは黙って聞いていた 俺は狩りの時に感じた違和感を全て話した
「あのリオレイアは俺達から卵を守る為に戦ってたんだ…だから、卵を見たとき…体が動かなかった」
123: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/21(金) 23:05:27 ID:SNQKZX.xas
「君は…あのリオレイアに情けをかけるつもりか?」
「わからないよ…でも、もし俺達があのリオレイアを狩ったら…卵はどうなるんだ?」
「・・・飛竜の卵は栄養価が高い。他の飛竜の餌になるな」
「俺達、どうしてもあのリオレイアを狩らなくちゃ駄目なのかな?」
「狩らなければ私達が殺られる。あのリオレイアを野放しにして置けば無関係な罪もない何十の人が死ぬ」
「親子を…引き離すとしても?」
「じゃあどうしろと言うんだ!!」
124: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 00:21:53 ID:FHkqZRTKjo
「・・・」
「相手はモンスターなんだ!!話し合いで解決できるわけないだろう!!私だって狩りたくはない!!でも、仕方のない事なんだ!!私達はハンターだから!!そういう生き方しかできないのだから!!」
ルーは声を荒げる
分かってる。理屈では分かってるつもりなんだ
「君はここにいろ」
兜を被り直し、槍を背負いルーが歩き始める
「君は十分戦った。それに今の状態では戦わせたくても戦わせられん」
「・・・」
「・・・すまない」
ルーはそのまま歩いて行ってしまった
残された俺は途方にくれるしかなかった
125: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 00:26:08 ID:FHkqZRTKjo
「そういう生き方しか出来ない…ハンターだから…か」
ルーの言葉を復唱する
ハンターとしては至極真っ当な意見なのだろう
それに反発する権利も理由も俺にはない
なのに…なんで、あんなに辛そうに言うんだろうか…
「父さん…母さん…俺、どうしたらいいんだよ…」
ベッドに寝転がり剣を見つめる
剣が喋るわけでもない
誰かが答えをくれるわけでもない
何故、ハンターは存在してるのか…
「・・・狩り、しなくちゃ」
俺はノロノロと立ち上がりベースキャンプを後にした
126: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 00:30:36 ID:SNQKZX.xas
歩き出して数分後、ガーグァの群れを見つけた
「生肉…は、足りてるか」
抜きかけた剣をしまいガーグァ達を観察する
普段あまりじっくり見ないが、意外にものんびりとしていた
「最初の頃は…ガーグァも狩ってたっけ」
ガーグァを必死に追いかけて、ようやく一匹倒した時を思い出す
あの頃はハンターが気高い仕事だと信じていた
純粋に、真っ直ぐに、強いハンターになりたいっていう情熱があった
「ハンターって…なんなんだ」
俺は岩場に腰掛け、ガーグァ達をぼーっと観察していた
127: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 00:35:09 ID:SNQKZX.xas
突然ガーグァの群れが騒がしくなる。どうやら複数のジャギィがガーグァの群れに襲いかかったらしい
ガーグァに襲いかかるジャギィ。逃げ惑うガーグァ
普段ならガーグァを助けるために剣を振るうのに…今は何も出来ないでいる
ああ、俺は何も出来ない 何故ならガーグァの命を奪う権利も、ましてやジャギィの命を奪う権利も無いからだ
「ガーグァは草を食べる…ジャギィ達はガーグァを食べる…飛竜は…」
そこまで考えた時、俺はまるで雷に打たれたような感覚だった
なんでこんな簡単な事に気づかなかったんだろう
「ルー…今いく!!」
俺はルーが戦ってるであろう場所に向かって駆け出した
128: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 00:37:42 ID:SNQKZX.xas
皆様こんばんは
さぎしです
セネル君は何かを導きだしたようですね…
果たしてこの答えが納得できるような答えなのか…
今日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
129: 名無しさん@読者の声:2012/12/22(土) 00:59:53 ID:hEBD84bf2Y
乙狩れ様
⊃砥石
130: 名無しさん@読者の声:2012/12/22(土) 01:07:31 ID:/3MIJ0S1EM
乙狩れさまでした。
っこんがり肉
131: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 11:29:17 ID:KjLWmcL3EE
>>129
なるほど、これはつまりこの砥石を使ってこのSSを研げと、それだけつまらないと…
>>130
なるほど、これはつまりこのこんがり肉のようにふっくらとした身のある内容を書けと…
まあ、冗談ですが
支援感謝です♪
132: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 11:40:59 ID:KjLWmcL3EE
レイアのブレスが壁に当たり爆音が響き渡る
決して広くないこの洞窟で相手の攻撃をかわしつづけるのは至難だった
相手は下位のレイアだというのに…なんという醜態だ
飛んできた火球を盾で防ぎ顔に槍を突き立てる
しかし直前で首を捻られかわされてしまう
先程のセネルの言葉が胸に突き刺さっていた
あいつは親を失う悲しみを知っている…だからこそ卵を自分に置き換えたのだろうと
「ちぃっ!!」
レイアのサマーソルトをギリギリでかわす
思いは武器を鈍らせるのに…セネルのあの悲しい表情が頭から離れなかった
「グルァッ!!」
「っ!?しまった!!」
気をとられていたせいで、レイアに武器を弾き飛ばされしまった
レイアと睨み合いながら思考を巡らす
盾で防ぎながら槍を取りに行くか?
133: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 11:47:49 ID:9r5HZT/Q3c
「でやああああっ!!」
リオレイアの首に勢いよく剣を突き立てる
完全に虚を突かれたリオレイアは大きく仰け反った
「セネル!?」
ルーが驚愕に目を見開く でも今は話している時間はない
「ルー!!モンスターは待ってくれない、だろ!?」
引き抜いた剣をそのまま横に薙ぎ体ごと回転しながらリオレイアを斬りつける
リオレイアは痛みに悶絶しながらも俺に火球を飛ばそうとする
「遅い!!」
火球を飛ばそうと大きくあけた口を盾で殴り付ける
リオレイアは痛みに悲鳴をあげ飛び立った
「逃げたか…」
納刀してペイントボールの匂いを嗅ぐ
そんなに遠くには行ってないみたいだ
134: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 11:52:54 ID:KjLWmcL3EE
「セネル…君は…」
ルーが声をかけようとして躊躇う。明らかに言いにくそうにしていた
「ルー、やっぱりハンターはモンスターを狩る事しか出来ないんだ…」
「・・・」
ルーがやはりという顔で眉を潜める
「でも、俺達がモンスターを狩る事に意味が無いわけじゃないんだ」
「・・・セネル」
俺は真っ直ぐルーを見つめながら続ける
「簡単な事だったんだよ。俺達がしていた事はただの破壊じゃなくて、意味のある破壊だったんだよ」
「食物連鎖、たったこれだけの事なんだ」
135: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 12:00:21 ID:9r5HZT/Q3c
「草食竜は草木を食べる。肉食竜は草食竜を食べる。でも、草食竜が草木を食べ過ぎたら、草木が消えてなくなっちゃうよね?そしたら草食竜は生きていけない」
「肉食竜も同じ。草食竜を食べ過ぎたら、草食竜がいなくなって肉食竜は生きていけない」
「だから…だから俺達ハンターがいるんだよ。ルー」
俺の話を黙って聞いていたルー。その目はほんの少しだけ潤んでいた
「草食竜が草木を食べ過ぎないように草食竜を、肉食竜が草食竜を食べ過ぎないように肉食を、そうやって循環していく大きな輪の中に、確かに俺達は存在しているんだ」
「俺達は守る為に狩っている。世界のバランスを守る為に狩ってるんだ」
「セネ…ル」
ルーは泣いていた。俺も泣きそうだったけど、なんとかこらえた
「だから、俺達がやっている事は無駄なんかじゃないんだ。そういう生き方しか出来ないんじゃない。この生き方に誇りを持つんだよ。それが、ハンターなんだ」
136: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 16:42:08 ID:0Ipfh8jXB2
「いこう、ルー。まだ狩りは終わってないから」
「・・・ああ」
ゆっくりと歩き始める俺達
さっきと違うのは狩る意味を見出だせた事か
「すまない、セネル」
「ん?」
ルーが立ち止まり槍を見ながら
「どうやら先程の衝撃で傷がついたらしい。修復するので先に行っててくれ」
「分かった」
「いいか、くれぐれも無理はするな。あくまで足止めでいいのだからな」
ルーの言葉に手を振って答える
俺はルーに背を向けて歩きだした
「・・・何も守れなかった私を、守れる存在だと言うのだな、君は」
137: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 16:50:25 ID:jh5/TJ2ymM
ペイントボールが教えてくれる場所に辿り着くと、リオレイアは疲弊しているのか口からだらしなく涎を垂らしていた
「よし…チャンスだな」
俺はリオレイアに静かに近づくと大タル爆弾を置いた
リオレイアは余程疲れてるのか足元に置かれたのにまるで気づかない
俺は十分距離を取ると、ポーチから石ころ取りだし投擲した
「グギャアアアア!!」
突如として起こった爆発にリオレイアはなんの対応も出来るはずもない
甲殻が吹き飛び翼が破れ、血が吹き出す
「グルルルルル」
目に怒りの炎を燃やして俺を睨み付けるリオレイア
「おしまいにしようぜ」
俺は剣を抜いて地面を蹴った
138: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 16:58:42 ID:0Ipfh8jXB2
「・・・生きてるか?」
「はは…なんとか」
「足止めだけだということを忘れたのか?」
「ルーが来るのが遅いせいじゃんかよ」
体を起こそうとして手を宙に振る。まいった、立てない
「やれやれ」
それを見ていたルーは仕方ないという風な表情をして俺の手を掴み立たせる
「ありが…うわっ!!」
足がよろけてルーに抱きつく形となってしまった
「ご、ごめ…!!」
急いで離れようとしたが、ルーが俺の背中に手を伸ばし抱き締めた
「っ!?///」
「よくやった、セネル」
「・・・うん」
顔が真っ赤になってしまったが、ルーが心から俺を誉めてくれたのが嬉しくて、暫く抱きついたままでいた
139: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 17:08:48 ID:E7unVwV4mg
「あ…帰ってきた!!」
ギルドに帰ると、コノハがうるさ…元気に迎えてくれた
「ただいま…コノ…」
「お帰りぃぃ!!心配したんだからね!?」
「おま!?苦し!!」
「バカバカ!!セネル君のバカぁ!!」
「痛い!!痛い!!」
コノハにのし掛かられ抱き締められる
普段ならご褒美物だが、コノハも一応ハンターでハンマーを使っている
手の力は尋常じゃ無いわけで…
「コノハ、仕事を放棄するのはよくないと思うが?」
「あ、そっか…」
コノハは俺から離れると急いで受付に戻る
「改めまして…お帰りなさい!!」
「・・・ただいま」
140: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 17:16:12 ID:E7unVwV4mg
受付で小難しい書類を書いた後、俺は自宅のベッドに寝転がっていた
他にも色々やるべき事はあったが、全部ルーが引き受けてくれた
ルーも疲れてるのに…こんどゆっくりマッサージでもしてやろうかな…
いや、決して変な意味ではないからな?ていうかその意味のマッサージやったら確実に俺が返り討ちにあうからな?
「・・・ルーは、師匠だしな」
あくまでルーと俺は師弟関係でありそれ以上でも以下でもない。なのに、ルーが暮らすようになってから気がついたらルーの事を目で追うようになっていた
「はあ…恋煩いってか?柄じゃねぇのに…」
「君は誰か意中の人がいるのか?」
「のわあああああ!?」
突然聞こえた声と突然現れた気配に俺を飛び上がって驚いた
141: 名無しさん@読者の声:2012/12/22(土) 19:36:40 ID:CA0eW9E7MM
wktkwktk
っCCC
142: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 20:58:29 ID:x.G53gS2Po
>>141
そのwktkがいったいなんのwktkはあえて聞かないでおきます
支援感謝です♪
143: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 21:03:51 ID:7yUYKTB.9o
「君は陸にあがったガノトトスか?そんなに跳ねなくてもいいだろう」
俺のすぐ脇に腰掛け俺に背中を預けるルー
ルーの体温がインナー越しに伝わってきて凄くドキドキしていた
「それで?君には意中の人がいるのか?」
「な、なんでそんなこと聞くんだよ!!」
「純粋に君に興味があるだけだ」
「だとしても、か、関係ないだろ!?」
「やれやれ。狩りの時はあんなに勇ましいのに…今はまるで別人だな」
「仕方ないだろ」
言えるかよ…ルーを守る為に必死だったなんて…
「そうだ。コノハから今後の君のハンターとしての行動を聞いてきた」
144: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 21:10:35 ID:7yUYKTB.9o
「リオレイアを討伐した事により、ギルド内での君の評価はうなぎ登りだ」
「ふーん」
「村長も君の事を強く推薦してたからな」
ハンターとして名を覚えられるということは地位や名誉と同時に期待をかけられる。時にその期待は熟練ハンターを疲弊させ廃人にしてしまうほどだ
「君は弟子としては申し分無い。私が師匠になるのも限界があるかもな」
「え!?」
「どうした?」
「あ…いや…」
ルーが師匠じゃなくなるというのは考えていなかった。もちろんこの関係もいつかは終わると分かってはいたが、なんだかんだで一緒に狩りを続けると思っていたからだった
「ルーは…俺の師匠を辞めたらどうするんだ?」
「フリーのハンターだな」
「・・・そっか」
「君は…このユクモ村のハンターとして居続けるのだろう?」
「・・・うん」
145: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 21:15:11 ID:7yUYKTB.9o
「一つの村に居続けるのは悪いことではない。寧ろ村の人々に必要とされてる事を誇りに思うべきだ」
「・・・」
「まあ、そんなに心配するな。君がこの村で一人でやっていけるようになるまでは私は君の師匠だ」
「ありがとう…ルー」
ルーは優しく微笑み俺の頭を撫でる
「俺、もう20だぜ?子供扱いすんなよな」
「誰かさんに甘えてるのは子供とは言わないのか?」
「・・・」
どうやらルーには全てお見通しらしい…本当に怖い師匠だ
146: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 21:20:24 ID:7yUYKTB.9o
「だがセネル。これだけは覚えておいてくれ」
「ハンターとして名があがるということは、それだけ危険な依頼も受けることになる」
「場合によっては…人の身では勝てないようなモンスターと戦うかもしれん」
「・・・」
「頼む…君だけは…死ぬな。死んでくれるな。死なないでくれ…」
最後の方はルーの本心のように聞こえた
多分、狩り仲間が死んだんだろう
「大丈夫だよ…ルー。俺は死なないから…絶対に」
「・・・」
147: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/22(土) 21:29:14 ID:x.G53gS2Po
ルーは俺の隣にゆっくり寝転がった
ルーとしばし見つめあうと、ルーが口を開く
「君ならわかるだろう?大切な者を失う辛さが」
恐らく俺の両親の事を言っているのだろう
そういえばいつかの時の名を騙ったハンターには殺意をみなぎらせるほどだったし、ルーにとって親交が深かったんだろう
「ルー、大丈夫だよ」
俺はルーを抱き締め、背中を安心させるよいに擦る。ルーも俺の背中に手を回してくれた
「俺は死なないからさ…ルーが師匠なんだから、死ぬわけがないだろ?」
「・・・」
ルーが背中に回した手の力を強める。ルーの体は震えていた
「お願い…死なないで…死なないで…」
うわごとのように呟き続けるルーをあやすようにトントンと叩く
ルーは静かに寝息をたて、それにつられるように俺も眠りの世界に入った
148: 名無しさん@読者の声:2012/12/22(土) 21:41:25 ID:h1.oEs1TJo
ルーのスペックはよ
149: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/23(日) 00:18:17 ID:FFkWuh2UB2
>>148
ルーのスペックですか?
Gルナ一式にブラックテンペスト
面良しスタイル良し
部屋着はTシャツみたいなものにインナー
こんな感じですか?
というよりルーのスペックを知っていったい何を…
150: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/23(日) 00:20:56 ID:wjrKSK2k82
朝起きると、既にルーの姿は無かった
恐らくギルドに向かったんだろう
俺は顔を洗って寝ぼけている頭を覚醒させる
手元には昨日渡されたHR3を照明するギルドカードがある
そのカードを見てると、HRが3になったんだと改めて実感した
「依頼受けなきゃな」
装備を整えて俺もギルドに向かった
151: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/23(日) 00:24:54 ID:wjrKSK2k82
「あら、ハンター様。おはようございます」
「あ、村長さん」
ギルドにつくと、カエデさんと村長さんとルーが何やら話し合っていた
「HR3への昇格、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「あなた様なら、必ず辿り着くと信じていましたわ」
「そんなことないですよ」
「ハンター様。いつまでもこの村にいてくださいね。それではご機嫌よう」
152: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/23(日) 00:29:07 ID:wjrKSK2k82
「セネル。早速だが依頼が来ている」
「早速過ぎるだろ…あれ?コノハは?」
「あの子は寝坊です」
カエデさんが口元を袖で押さえながら教えてくれる
多分ひきつってるんだろうな
「詳しい説明はコノハから聞くとして、今回の相手は迅竜 ナルガクルガだ」
「ナルガクルガ…」
「近辺の渓流で目撃されたらしい。大至急狩ってくれとの依頼だ」
「なるほどな…飛竜が近いんじゃおちおちゆっくりも出来ないしな」
「そういう事だ。リオレイアに負けず劣らずの強敵だから、気を引き締めていけよ」
「ああ」
153: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/23(日) 00:31:57 ID:FFkWuh2UB2
皆様こんばんは
さぎしです
まあ、なんやかんや壮大な話持ち出しましたけど、結局はただの食物連鎖ですよって事です
あ〜、次ナルガたんを敵として書かにゃならんのか…嫌だなぁ…
本日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
154: 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 00:34:51 ID:hEBD84bf2Y
乙狩れさまです!!
⊃強力麻酔だま
155: 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 02:22:11 ID:f9j5Nb11/6
>>149
二十歳のセネルを子供扱いするルーのスペックが知りたかったのだよ。何歳くらいのお姉さんなんだろうか?
別に詳しく知って妄想したりする訳じゃないからね///
ふぅ。
乙狩れさまCCCC
156: 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 10:05:10 ID:AJxqyGrjXk
体を聞いたなら絵を書くんだよな
157: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/23(日) 10:32:11 ID:FFkWuh2UB2
>>154
なるほど。それは捕獲せよとのご指示ですね
支援感謝です♪
>>155
あー、なるほど
ルーは27です。意外に年が近いんですけど、セネル君がチビでルーさんが身長高いだけです
セネル君は168pで
ルーは170pですから
妄想するんですね分かります
支援感謝です♪
>>156
言い出しっぺの法則という言葉がありましてな…
158: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/23(日) 10:45:59 ID:wjrKSK2k82
渓流に着いた俺はベースキャンプのベッドに腰かけてルーからナルガクルガに関しての情報を聞いていた
「まず、ナルガクルガに関してだが…やはり一番の脅威はその圧倒的なスピードだろう。迅竜の名に偽りはないくらいのスピードだ」
「動きが早い相手に対してはこちらも身軽でいくのがセオリーだが…」
ルーがちらりと俺の持ってきた武器を見る
今回俺が持ってきたのは隠し刃がある大剣 ブレイズブレイドだった
「君は大剣でいくのか?」
「ああ…何か問題があるのか?」
「いや…慣れてない武器だといざというときにだな…」
「それなら大丈夫だよ」
「は?」
「今は言えないけど、俺を信じて」
ルーは少し不安そうな顔をしていたが、俺は支給品を持って出発した
159: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/23(日) 10:55:41 ID:FFkWuh2UB2
数分後、俺達は岩場に隠れて身を潜めていた
視線の先には漆黒の毛並みに鋭利な翼のブレードを持ち、尻尾が細長く他の飛竜と一線を画した丸っこいフォルムは愛らしく…
・・・なんで俺ナルガクルガにこんな詳しいの?
「セネル、わかるとは思うが、あれがナルガクルガだ」
「わかってるよ」
もう少し近づこうとして足を踏み出す。川に足が浸かりチャポンと音がした
「!!」
「なっ!?」
突然ナルガクルガがこちらに向き、尻尾を回転させたかと思うと棘を飛ばしてきた
「うわっ!!」
とっさに剣を盾がわりにして防ぐ
「なんでこっちに気づいたんだ!?」
「ナルガクルガは頼りない視覚を補うために聴覚が発達している!!微かな音も聞き分ける事が出来る!!」
ルーは槍を構えながらナルガクルガと対峙する
「セネル!!もう隠れても無駄だ!!来るぞ!!」
160: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/23(日) 11:07:32 ID:FGq0e0WmdU
「ああもう!!不意を突こうと思ったのに!!」
俺も岩場から飛び出しナルガクルガと対峙する
ナルガクルガは俺達を敵とみなし臨戦体制を取っていた
「せいやぁ!!」
抜刀しながら剣を豪快にナルガクルガに降り下ろす
「ガァッ!!」
しかしナルガクルガは素早く横に飛び退き回避した
「マジかよ!?」
「はあっ!!」
いつの間に接近していたのか、ルーが着地した瞬間の右足を狙い槍を突き出す
ナルガクルガの注意がルーに向いた一瞬を狙って翼に向かって横に切り払う
「っ!!」
ガン!!という鈍い音ともに剣が弾かれ思わずよろけてしまう。その隙を突かれナルガクルガは尻尾を大きく薙いだ
「ぐっ!!」
なんとか体を捻り急所は避けたが、尻尾の直撃を受けた俺は大きく吹き飛ばされた
161: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/23(日) 11:14:50 ID:FGq0e0WmdU
受け身をとって地面に着地する
ルーはナルガクルガの足の間を縫うようにしながらステップをして槍を突き出していた
「ったく、格好悪すぎだろ」
俺はナルガクルガに走り出しながら呟く
しょうがないと言えばしょうがないのだが、リオレイアの時からルーが積極的に戦ってるように感じられた
「だぁりゃああ!!」
俺の接近に気づいたナルガクルガがこちらを振り向く
しかし、向いた顔に全力で降り下ろした大剣が当たると、ナルガクルガ大きくのけ反った
162: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/23(日) 11:34:45 ID:FGq0e0WmdU
「よし!!このまま決め…!?」
突如、ナルガクルガが空中に飛び上がり、少し離れた所に着地した
目は紅く光っており、尻尾の先端には棘が露出している
「ガアアアアアアア!!」
「っ!!」
剣を盾がわりに咆哮を受け止める
ナルガクルガの近くにいたルーは防御からのカウンターを食らわせていた
「なんか…凶悪になってないか…?」
その俺の疑問はすぐに現実となった
ナルガクルガは短く鳴いたかと思うと突然後ろを振り向き尻尾を勢いよく叩きつけた
叩きつけた衝撃で水飛沫が俺に降りかかる
地面はひび割れており、もしもあれが直撃したらと思うと迂闊に近よれなかった
163: 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 21:41:24 ID:4xmdquRWxQ
168でチビなんて、、、
オイラは、どーすれば、、、
つ私怨、、、
164: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/23(日) 22:33:17 ID:2k.durce8E
>>163
笑えばいいと思うよ
支援感謝です♪
165: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/23(日) 22:45:21 ID:g38IDIgMhs
「近づかなければあたる攻撃も当たらないぞ!!セネル!!」
ルーは全く恐れずナルガクルガに密着し槍を繰り出していた
そうだ、俺は一人前のハンターになるって決めたんじゃないか。それをこんなところで、立ち止まってなんかいられない!!
「うおおおおおお!!」
俺はナルガクルガに向かって駆け出した
ナルガクルガが棘を飛ばしてくるが、それをかわしながら近づく
「だありゃああああ!!」
ナルガクルガと一歩離れた位置まで近づき、大剣を降り下ろした
166: さぎし(投下終了) ◆CmqzxPj4w6:2012/12/23(日) 22:51:13 ID:g38IDIgMhs
「ギャオオオオ!!」
降り下ろした大剣は鈍い音と共にナルガクルガの肉を裂いた
隠し刃が肉を抉り削り取る
痛みに思わず上空に逃げようとするナルガ
「させるか!!」
「させん!!」
大剣を振り上げてナルガクルガの腹を切りつける それと同時にルーの槍がナルガクルガの右足に深く突き刺さった
167: 名無しさん@読者の声:2012/12/24(月) 00:36:25 ID:ho0tLARCO.
ナルガたーーーーん!!
っ私怨
168: 名無しさん@読者の声:2012/12/24(月) 01:48:10 ID:hEBD84bf2Y
ナルガたん可哀想……
ナルガたん⊃いにしえの秘薬
169: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/24(月) 11:16:47 ID:eYD73NC1eI
>>167
やめてください!!そんな悲痛な叫びをしないでください!!
うう…素直に支援感謝と言えない…
>>168
やめてください!!そんな施しをしないでください!!ていうかそんなのじゃ足りません!!ケルビ肉といにしえ1ダースくらい持ってこんかーい!!
170: 名無しさん@読者の声:2012/12/24(月) 11:18:25 ID:AJxqyGrjXk
支援
つ 回復薬グレート、生命の粉塵、秘薬、いにしえの秘薬、俺の愛
171: 名無しさん@読者の声:2012/12/24(月) 11:19:51 ID:ga3EvxxhO6
せめてひと思いに…
っ眠り投げナイフ
っ大タル爆弾G×2
っ大タル爆弾×3
っ小タル爆弾×10
172: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/24(月) 11:25:20 ID:awL1.A7dcc
>>170
涙で前が見えないよ
ここにはバフ○リンを2で割った成分の人しかいないのか!?
支援感謝です
>>171
・・・やめたげてよぉ!!
173: 名無しさん@読者の声:2012/12/24(月) 11:27:02 ID:8p876osaNo
ちょwww
174: 名無しさん@読者の声:2012/12/24(月) 11:28:32 ID:aEthEcDw3Y
ルーが年下の私より身長低くてdkdkした(・ω・〃)質問ですが、ルーの髪の色&髪型はどのようなものでしょうか?あと、ネブラたんの出番はあるんでしょうか…。
支援つ生肉×99
175: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/24(月) 11:30:47 ID:9hcHD347TQ
「グガァッ!!」
痛みにナルガクルガは地上に落下しバランスを崩した
「セネル!!」
「わかってる!!」
俺は素早く剣を構えると呼吸を整える
「はああああ!!」
手に力がみなぎり大剣に力が籠る
「決める!!」
俺は大剣を勢いよく降り下ろし、ナルガクルガの首に叩きつけた
176: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/24(月) 12:03:31 ID:eVkVJ.l3wU
>>174
ネブラの出番は…前向きに検討します
ルーは髪の色は金ですぬ 髪型は、私の脳内ルーとモンハンの髪型を照らし合わせてみたところ一番近いのはケルビテールになります
支援生肉感謝です♪
177: 名無しさん@読者の声:2012/12/24(月) 12:05:19 ID:hEBD84bf2Y
ナルガたーーーーーん
⊃1upキノコx100
シェンモーラン
178: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/24(月) 12:12:05 ID:eVkVJ.l3wU
しかし、渾身の一撃もナルガクルガの首を断ち切るには及ばなかったらしい
ナルガクルガは素早く起き上がり尻尾で俺達を薙ぎはらった
「うわっ!!」
「くっ!!」
あまりに突然だったので俺とルーはなにもできず吹き飛ばされる
「ガアァ…」
ヨロヨロと頼りなく俺達から背を向けて逃げ始めるナルガクルガ
俺は咄嗟にペイントボールを投げつける
ナルガクルガの尻尾にあたり独特な匂いと色をつけた
「逃がすか!!」
ルーが追いかけるが、距離が離れてるため追い付けない
ナルガクルガは翼を広げて飛び立ってしまった
179: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/24(月) 12:22:44 ID:eVkVJ.l3wU
「逃げられたか…」
「ペイントはつけたから、これで追跡は出来るよ」
情けなく地面に座り込む俺
危機が去ったと実感して色々な力が抜ける
「君もモンスターが逃げるときにペイントをつかうのだな」
ルーが槍を見ながら俺に聞いてくる
「ああ、父さんに教わったんだ」
狩りの最中に道具を使うということは危険が伴う 安全を確保してから道具を使うのが生き残る知恵だと
「・・・そうか」
話を聞いたルーは懐かしんでるような顔をしていた
・・・ん?君も?
「ナルガクルガを追跡する。動けるか?」
「あ、うん」
ルーの言葉にほんのすこし何かが引っ掛かったが、今は狩りの最中だと思いだし、気のせいということにしておいた
180: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/24(月) 12:31:44 ID:MvVpHIxlN.
ペイントを頼りに場所にたどり着くと、ナルガクルガはすっかり憔悴しきっていた
「セネル。後は止めを刺すだけだ」
「・・・ルー、捕獲道具持ってる?」
「シビレ罠は携帯しているぞ」
「わかった!!」
俺はナルガクルガに向かって駆け出す
ナルガクルガは俺に気づいて飛びかかってきたがそれをかわしてナルガクルガの背後に回る
「ガアッ!!」
ナルガクルガはその場で体ごと回転させ周囲を尻尾で薙ぎ払う
しかし俺はそれを軸の中心に入るようにしてかわす
「セネル!!仕掛けたぞ!!」
ルーの設置完了を聞いて俺はナルガクルガに背を向けて駆け出した
狙い通りナルガクルガは俺を追いかけてくる
「ギャウっ!?」
ナルガクルガがシビレ罠を踏み罠が作動する
俺は素早く振り向き捕獲用麻酔玉を投げつけた
181: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/24(月) 12:47:03 ID:gUlMLlO5yg
ぶつけた玉から麻酔作用の煙が立ち込める
驚いたナルガクルガはその煙を吸って徐々に動かなくなった
「捕獲…完了」
ナルガクルガに近づき眠っている事を確認する
後はクエスト達成の狼煙をあげるだけだ
「やったなセネル…しかし何故急に捕獲を?」
「なんとなくかな」
そう本当になんとなくだ ・・・いや、なんとなくじゃないかもしれない
自分では偉そうな事を言っていたくせに、実際はこの手でモンスターを殺すのが嫌だっただけだ
俺は、自分の手を汚したくないだけだったんだ
「セネル?怖い顔をしてるぞ?どうした?」
ルーが心配して聞いてくれた
「なんでもないよ。帰ろう」
182: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/24(月) 12:49:06 ID:gUlMLlO5yg
>>177
私は!!君が!!諦めるまで!!書くのを!!やめない!!
しえん感謝です♪
キノコ…こんなに大量に…
あ、ちなみに今のキノコという単語で卑猥な妄想をした人は帰っていいです
帰ります
183: 名無しさん@読者の声:2012/12/24(月) 13:14:14 ID:hEBD84bf2Y
ナルガたん捕獲完了!!ヨッシャー
⊃俺の感謝の気持ち
シエンモーランです♪
184: 名無しさん@読者の声:2012/12/24(月) 17:01:05 ID:9r5HZT/Q3c
ナルガたん無事だったかヨカタ
これからのために
っシビレ罠×999
っ落とし穴×999
っ捕獲用麻酔玉×999
185: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/24(月) 22:49:36 ID:XIAVTAtKm2
>>183
やはりナルガたんを狩るのは忍びないです
>>184
おまそれ、私のアイテムボックスの中身…
貴様!!見ているな!?
186: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/24(月) 23:31:15 ID:qIymICtQKA
「あ、お帰り!!セネル君!!」
ギルドに到着し、ナルガクルガの捕獲を報告していると、コノハが慌ただしく入ってきた
「ナルガクルガの狩猟、終わったの?」
「あ、ああ…まあ」
「やったね!!これで更にセネル君の名前が広まるよ!!」
自分の事のようにはしゃぐコノハ
こういう明るい所に惹かれるハンターが後を絶たないらしい
「あっと…次は何にいくか決めてる?」
「ん、まだかな…ルーと相談して決めるし」
「そっか…じゃあさ、次の狩りには私も連れていってくれない!?」
187: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/24(月) 23:34:04 ID:qIymICtQKA
「・・・は?」
何を言ってるんだこいつ ルーでさえ唖然としている
カエデさんはにこやかに微笑んでいたが
「よし、落ち着こうぜコノハ」
「うん!!」
「お前の仕事は?」
「下位受付嬢!!」
「ハンターでは?」
「ない!!」
「アホかてめぇー!!」
「きゃふーー!!」
俺はコノハに拳骨をお見舞いした
188: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/24(月) 23:39:17 ID:qIymICtQKA
「な、何すんのよぉ〜」
コノハは涙目になりながら殴られた箇所を抑え俺を睨む
「それはこっちのセリフだ!!お前受付嬢だろ!?狩りになんか出ちゃ駄目だろ!!」
「だ、だって有給もらったし〜好きなように使いたいんだもん!!」
なんで受付嬢に有給があるんだ。そしてこいつに有給をあげた奴出てこい
「とにかく!!私は数日暇なの!!だからセネル君の狩りに付き合いたいの!!」
無茶苦茶な論理である
189: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/24(月) 23:42:44 ID:XIAVTAtKm2
「セネル、私からもお願いしていいですか?」
「カエデさん」
珍しく、本当に珍しくカエデさんがコノハの肩を持つ
「私は別にこの役職で満足していますが、コノハは体を動かしたいようで…」
「じゃあ狩りじゃなくてもいいじゃないですか。それこそ素振りでも…」
「狩りをしないと腕が鈍っちゃうんだよ!!」
「ふむ、それは一理あるな」
「ちょ、ルーまで…」
「いいだろう。コノハ、次回の狩りは君に同行してもらう」
「やた!!ありがとうルーさん!!」
190: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/24(月) 23:45:02 ID:XIAVTAtKm2
皆様こんばんは
さぎしです
・・・なんも言うことありません
強いて言うなら今日はやけにナルガ関連のレスが多かったですね
まあ、ナルガを愛する物として嬉しい限りですが…
本日の投下はこれで終了となります。見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
191: 名無しさん@読者の声:2012/12/25(火) 00:03:01 ID:ho0tLARCO.
モンハンしたことないのにナルガたんのSS読んで、
ナルガたんのファンになって、
モンハン3G買っちゃって、
ナルガたん装備で今日もナルガたんと遊ぶ
C⊂(・ω・)っC
鬼人化乱舞支援!
192: 名無しさん@読者の声:2012/12/25(火) 00:10:49 ID:5VSlvvt1jc
誰かコノハやカエデやルーやセネルを上手に可愛くかっこよく描ける人いないだろうか…
乙狩れさまでした。
っCCCC
193: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/25(火) 19:37:39 ID:PHb2NYku.U
>>191
ほう?中級者クラスですな
初級者はガチ装備でナルガたんと遊ぶ
中級者はナルガたん装備でナルガたんと遊ぶ
上級者は裸で武器はガチでナルガたんと遊ぶ
超上級者は裸でさびたシリーズでナルガたんと遊ぶ
廃人は裸でさびたシリーズを持ち二乙してからナルガたんと遊ぶ
鬼人化支援感謝です♪
>>192
うーん…とりあえずメインキャラは少なくとも後二人は増え…
描いてもらいですね…
支援感謝です♪
194: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/25(火) 19:44:52 ID:wJajIDVNMY
「本当によかったのか?コノハを連れてきて」
装備を整えながらルーに訪ねる。ルーは槍の調整をしながら
「次に戦う相手は少しでも戦力が欲しいからな」
「ヤバイ相手なのか?」
「厄介な相手、だな」
ルーは武器を背負いながら
「次に戦うモンスターは飛竜の一種である毒怪竜 ギギネブラだ」
「ギギネブラ?」
「ああ、毒怪竜の名の通り体内に毒を持つ飛竜だ」
「毒って事は…解毒薬か?」
「ガードをすれば毒を受けないが…まあ、持っておいて損はないだろう」
195: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/25(火) 19:54:08 ID:wJajIDVNMY
「毒ねぇ…当たらなければどうということはないんじゃないのか?」
「有限実行出来るなら、君は私の弟子を卒業だな」
「なんだよそれ…」
ルーが俺をからかいながら
「さあ、モンスターは待ってはくれないぞ」
「分かってるよ」
ルーの後に続いてギルドに向かう
HRが3になってからやけに飛竜と戦う事が増えてきたが、これも名前が広まった証なのだろう
そう考えると自然と誇らしい気持ちになった
196: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/25(火) 20:05:07 ID:wJajIDVNMY
「あ、二人ともおそーい!!」
ギルドに着くと、ウルク装備でプリントポウクを腰につけているコノハが待っていた
「お前…ウルクかよ…」
「ちゃんと寒さ対策してるから大丈夫!!それに見た目も可愛いし!!」
「見た目で選ぶなよ…」
「誰のために着たと思ってるのよ…」
「ん?」
「なんでもない!!」
コノハがむくれてそっぽを向いてしまう
いったいなんだってんだ?
そうこうしてるうちにルーがカエデさんとクエスト契約をしている
ん?クエスト契約?
197: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/25(火) 20:11:15 ID:wJajIDVNMY
「あれ?カエデさんって上位受付じゃないの?下位受付出来るの?」
当然の疑問をカエデさんにぶつけると
「はい、元々ここの受付は私が一人でやっていたのですが、人手が足りないのでコノハに手伝いを頼んだのです」
「正確には強制だけどね〜」
「コノハ」
カエデさんが凄まじく低いトーンでコノハを呼ぶ
「ひっ!!」
コノハは目で分かるくらいに震えていた
そりゃそうだ
俺だって逃げ出したい
ちなみにルーは平然としていた。なんであの重圧で平然としているんだよ
198: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/25(火) 20:20:08 ID:wJajIDVNMY
「それでは、三人でギギネブラの狩猟をお願いします」
ルーがカエデさんから依頼書を受けとる
「コノハ、危なくなったら俺の後ろにいろよ?」
「大丈夫ですー」
あっかんべーしながら言い返すコノハ
お前俺とHR大差ないだろ
「セネル。コノハの心配はいりませんよ」
「カエデさん?でも…」
カエデさんとコノハは確か姉妹のはずだが…カエデさんはコノハが心配じゃないのだろうか
「セネル、コノハに関しての心配は杞憂だ」
ルーまで賛同する
いや、だから心配じゃないのか?
199: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/25(火) 20:36:25 ID:PHb2NYku.U
「セネル。コノハのHRは知っていますか?」
「3じゃないの?」
受付嬢とはいえ、緊急の時に人手が足りなくならないようにハンターから受付嬢になったと言うのは少なくない
現に本人から聞いているし、カエデさんもHR6だとギルドカードを見せてもらった
「受付嬢は基本的にはそのクエストを斡旋するにあたり、そのクエストをギリギリこなせる力量でなければ駄目なのです」
「なんで?」
「HR6の人が下位を斡旋したら嫌味に見えません?」
カエデさんの言うことには一理ある
「つまり、コノハは表面上はHR3ですが、実力はHR6と変わりません」
「!?」
驚いてコノハを見ると、コノハは胸を張っている
「コノハはHRを上がれないんじゃないんです上げないんですよ」
「ちなみに、カエデは上位受付嬢だが、実力はHR9と大差ない」
ルーの補足に更に驚く
「恥ずかしいですわ…」
カエデさんは困ったように口元を押さえているが、まるで恥ずかしいようには見えないのは俺だけか?
200: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/25(火) 20:57:05 ID:PHb2NYku.U
「そういうわけで!!私は全然大丈夫だからね!!」
「まあ…いいか」
「ひょっとして…心配してくれてる?セネル君」
「当たり前だろ、強くても女の子なんだから」
「//////」
コノハは顔を赤くして俯いてしまった
ウルク装備って見た目と同じように暑いんだな
「・・・いくぞ、セネル」
「ちょ!?ルー!?」
ルーが俺の手を掴み引きずって出口に連れていく
「あ、待ってよー」
コノハが遅れて着いてくる
「お気をつけていってらっしゃいませ」
カエデさんに見送られながら俺達はクエストに出発した
201: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/26(水) 01:40:17 ID:KZJhspEXg.
ネコタクに揺られる事数十分
俺達は凍土にいた
「うあ〜、寒い〜」
「セネル君、ホットドリンクはちゃんと飲もうね?」
「分かってるよ」
支給品からホットドリンクを取り出し飲む
体がじんわりとあたたまっていくのを感じた
「ギギネブラは洞窟などの暗い場所を好む。手分けして探すぞ」
「わかった」
「りょーかい!!」
「見つけたらペイントをつけるのを忘れるな。では、いくぞ」
202: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/26(水) 01:45:24 ID:KZJhspEXg.
「うは〜寒い〜」
ルー達と別れ、洞窟を探索し始めたが、やはり寒いものは寒い
ホットドリンクを飲んでるから、マシといえばマシだが…あまり長居はしたくないな…
「はぁ…勘弁してくれよ…」
遠くの方では凍土に住む鳥竜種のバギィがギャイギャイ言っている
バギィは唾液に睡眠作用の毒を眠っており、唾液にかかると眠ってしまう
「今は放置が安定だけど…やっぱりギギネブラとの戦いに備えて狩っとくか?」
背中にある剣に手を伸ばした時
「これは…ペイントの匂い!?」
地図を見るとそう遠くはない。恐らくコノハかルーが発見したのだろう
「助けに行かないと!!」
バギィには目もくれず、俺はペイントの方に向かって走り出した
203: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/26(水) 01:50:56 ID:RSlzNtxCyE
目的地に辿り着くと、コノハがギギネブラと交戦していた
「コノハ!!」
剣を引き抜きながらコノハに加勢する
「おお!!セネル君グットタイミングー!!」
コノハは手慣れた動きでギギネブラの攻撃をかわしながら
「このギギネブラ、しこたま頭殴ってるから、そろそろスタンするよ!!」
「わかった!!」
ギギネブラから距離を取りつつ状況を確認する
現在コノハはかなり優勢で、ギギネブラの頭を殴らんとハンマーを振りかざしている、ならば俺は
俺はギギネブラから大回りをしてコノハの背後に回る。思った通りギギネブラは俺のは動きを感知して首を俺の方向に向けた
「ナイス!!セネル君!!」
コノハは勢いよくハンマーを振りかぶり
「いっくよー!!愛と!!勇気と!!悲しみのー!!」
「ダイナマイトスターンプ!!」
204: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/26(水) 01:53:52 ID:KZJhspEXg.
相変わらず訳のわからないネーミングだが、コノハの降り下ろしたハンマーはギギネブラの頭に直撃し、ギギネブラは体ごとひっくり返ってのたうち回る
「よっし!!総攻撃チャンス!!」
「決めるぜ!!コノハ!!」
コノハはハンマーで
俺は剣で
それぞれが違う部分を同時に攻撃する
「グギャアアアアア!!」
ギギネブラはのたうち回り苦痛を訴えていた
205: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/26(水) 01:56:04 ID:RSlzNtxCyE
皆様こんばんは
さぎしです
えーと、何故こんな深夜に更新したのか…それにはとっっっっても、深い訳があったんです…
私…今までずっと…
眠り姫、してました
・・・痛い!!痛い!!殴らないで!!だって眠かったんだもん!!
本日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々ありがとうございました
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
206: 名無しさん@読者の声:2012/12/26(水) 01:59:25 ID:AJxqyGrjXk
支援弾撃ってやんよ
207: 名無しさん@読者の声:2012/12/26(水) 01:59:47 ID:hEBD84bf2Y
乙狩れさまでしたー
つふとん+まくら
208: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/26(水) 10:12:05 ID:Z5wDWglJyY
>>216
ありがたき幸せ
支援弾感謝です♪
>>217
こ、この柔らかさ!!
これはぁ!!おっ…お布団!!
これで…ゆっくり眠れる…更新?やってらんな…zzz
冗談です
209: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/26(水) 10:16:34 ID:Z5wDWglJyY
突然、ギギネブラが勢いよく跳ねる
「うわっ!!」
「きゃっ!!」
俺とコノハは驚いて尻餅をついてしまう
ギギネブラは少し離れた場所に降り立ち
「グギャアアアアア!!」
体を真っ黒に変色させ怒りの咆哮をした
「今さら怖じ気づいていられるかっての!!」
俺は剣を引き抜きギギネブラの頭を切りつける
「何!?」
しかし、ガキンという鈍い音がして弾かれてしまう
剣を弾かれ体制を崩した俺を鞭のようにしなったギギネブラの首が襲いかかる
「セネル君!!」
コノハが駆け出してくると同時に俺が影で覆われる
見上げるとギギネブラの腹が迫っていた
210: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/26(水) 10:22:23 ID:mWNMm1VxPM
「はああああ!!」
「うわっ!!」
黒い切っ先を視界の端に捉えた瞬間、俺はコノハの所まで勢いよく転がされる
ギギネブラは突然消えた俺に困惑し、キョロキョロしている
「こちらだ!!」
黒槍がギギネブラの腹に繰り出される
ギギネブラは驚き激痛にのたうちまわった
「ルー!!」
俺を突き飛ばした張本人であるルーが、険しい表情で槍を引き抜く
「二人とも無事か!?」
ギギネブラから視線を外さずルーが安否を聞いてくる
「当たり前だ!!」
俺は立ち上がり剣を構える
コノハもハンマーを構え臨戦体制を取った
211: 名無しさん@読者の声:2012/12/26(水) 11:57:32 ID:AJxqyGrjXk
本当に疲れてます?
10大きいですよ
つ 支援弾、回復弾
212: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/26(水) 13:07:54 ID:XTxAXRquCI
>>211
あらら…疲れてる…んですかね…
ちょいと今日は休む事に専念します
支援、回復感謝
早く治します
213: さぎし(少しだけ頑張る) ◆CmqzxPj4w6:2012/12/26(水) 14:59:36 ID:E7unVwV4mg
「二人とも!!気をつ…!?」
突然ルーの動きが止まる
「ルーさん!?」
コノハが驚いて声をかけるが、ルーは一点を見つめたまま動かない
ギギネブラが動かないルーを捉えてその口を大きく開けた
「ルー!!うおおお!!」
俺は素早く駆け出し思いっきり跳躍してギギネブラの上に飛び上がる
そのまま剣を下に向け全体重をかけて剣を突き刺した
「ギャウ!!」
ギギネブラがのたうち俺を振り落とそうとする
俺は素早くギギネブラを蹴り、その衝撃で剣を引き抜いて着地した
「てやぁぁぁ!!」
コノハがハンマーを振りかぶりギギネブラの頭を横殴る
ギギネブラは分が悪いと感じたのか、壁をつたいどこかに行ってしまった
214: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/26(水) 15:05:47 ID:bpxgVUgziY
「何やってんだよルー!!いきなり止まるなんてらしくないぞ?」
「そうですよ!!大怪我でもしたら…」
しかし、ルーは何も答えない
ルーは一点を、いや正確には俺を目を見開きながら驚愕の表情で見ていた
「その構え…やはり…お前も…」
ルーは自分を抱き締めるようにして俯き何かを呟いた
「・・・いこう、ギギネブラはもう弱っている」
ルーは俺達に背を向けギギネブラを追う
俺はコノハと顔を見合わせながら訳がわからないという風に肩をすくめ、手にしていた双剣 真ユクモノ双剣を腰に戻した
215: 名無しさん@読者の声:2012/12/26(水) 15:42:31 ID:hEBD84bf2Y
がんばって!応援してるから!
つナルガたんのフサフサの毛
216: 名無しさん@読者の声:2012/12/26(水) 17:26:48 ID:wjrKSK2k82
っこんがり肉
217: さぎし(夜中sage) ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 01:11:04 ID:8/nGqSGCYE
>>215
応援されたら頑張ざるをえませんね
も、もふもふ!!もふもふ!!
>>216
わーい、お肉だー
218: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 01:16:20 ID:8/nGqSGCYE
ギギネブラを追いかけると、ギギネブラはヨタヨタと力なく歩いていた
「もうすぐだな…一気にいくぜ、コノハ、ルー」
「がってん承知!!」
「・・・」
「いくぞ!!」
俺とコノハが同時に走り出す
やや遅れてルーが俺達の後ろから
ギギネブラがこちらを見やり口から毒霧を吐き出す
「今だ!!」
毒霧でギギネブラの視界が遮られたの同時に俺は右、コノハは左から回り込む
一呼吸置いて毒霧の効果が消えてからルーが突進をする
「「「はあああ!!」」」
コノハが左から打ち付け、俺は右から切りつける
大きく開いた口にルーの槍が突き刺さりギギネブラは息絶えた
219: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 01:19:35 ID:sncVD5iPtQ
「うっわー!!すごいね!?今の連携!!」
「ああ」
上手くいくか不安だったが、これも二人が一瞬で俺の考えを読み取ってくれたからだろう
「ありがとな、コノハ、ルー」
「なんのなんの!!」
コノハはにっこりと笑ってピースをしている
ルーは黙ってギギネブラの剥ぎ取りをしていた
なんなんだルーの奴
さっきから妙におかしいが
ルーの不自然さに気になりながらも俺達はギルドへと戻った
220: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 01:22:47 ID:sncVD5iPtQ
皆様こんばんは
さぎしです
まずは夜中に失礼
なにぶん謎の体調不良と急な用事でたてこんでいましてね
明日まで体調不良が長引かなければ、いつも通りに更新いたしますが…
本日の投下はこれで終了となります。見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
221: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 19:35:22 ID:dqvzbTqV8Y
「お帰りなさい。皆さん」
「たっだいまー♪」
笑顔で出迎えてくれたカエデさんにコノハが手を振って答える…しかし
「コノハ、あなた勝手に私のユクモ饅頭食べたでしょ?」
「あはは、ごめん。お腹空いちゃ…」
コノハの笑顔が徐々にひきつっていく
だって、笑顔なのに目が笑ってないんだよ
「あなたには後でゆっくりお話があります。皆さんはお疲れ様でした」
「あ、いえ…」
「・・・」
ルーは相変わらず暗いままである。狩りの時からどうにも変だ
「ルーさん?どうかなさいました?」
「・・・なんでもない」
カエデさんの心配にも素っ気なく返す
やっぱり何かおかしい
222: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 19:43:42 ID:GH7i5DEIyQ
家に帰り装備を外して寛ぐ
ルーもラフな格好をしてはいるが、その表情は暗かった
「ルー、いったいどうしたんだよ?さっきから変だぞ?」
思いきってルーに聞いてみると、ルーは視線だけこちらに向けて
「・・・君にはまだ関係ない」
そう言ったきりまた視線を落とした
「・・・そうかよ」
俺はベッドに寝転がりルーに背を向ける
前々から自分の事を話さない奴だから、今回もその類いだろう
俺は時間に解決するのを任せた
223: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 19:50:39 ID:dqvzbTqV8Y
どうやら俺は寝ていたらしい
気がついたらルーはいなくなっていて、机の上に
「出掛けてくる」
とだけ書かれたメモが書かれていた
「どうすっかな…」
ルーとの約束で、原則一人で狩りには行ってはいけないことになっている
「簡単なクエストなら…いいかな」
俺は装備を整え、ギルドに向かった
224: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 19:54:30 ID:GH7i5DEIyQ
ギルドにつくと、カエデさんと見知らぬハンターが会話していた
「う〜ん、困りましたねぇ…」
「ルーク様、別の依頼を探されたらどうです?」
「すぐにでも雌火竜の逆鱗が欲しいんですが…」
会話から聞くに男だろう 爽やかな声から人当たりが良さそうにも見える
「あ、セネル君!!」
コノハが俺に気づいて手を振る
男性ハンターがそれにつられてこちらを見る
なんだあのイケメン
爆発しやがれ
225: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 19:59:23 ID:dqvzbTqV8Y
「一人?珍しいね、ルーさんは?」
男性ハンターに会釈をしながらコノハの前に立つ
「家出中、それよりなんかない?」
「喧嘩したの!?なんで!?」
「お前には関係ないだろ」
コノハは不満そうな顔をしているが、依頼書を探す
「今のところ、セネル君が受けれそうなのは、リオレイア、ウルククス、クルペッコくらいかな」
「少ないな…」
「だって目撃証言が少ないんだもーん」
俺は依頼書の中からリオレイアを選ぶ
「リオレイアに行くよ」
「大丈夫?前はルーさんと一緒だったけど…」
「一人で勝てるようにしとかないとな」
226: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 20:04:52 ID:GH7i5DEIyQ
コノハから依頼書を受け取り名前を書く
「あの…よろしいですか?」
隣にいた男性ハンターが話しかけてきた
「リオレイアのクエストをお受けに?」
「ん?まあね」
「もしよろしければ、私もご一緒してもよろしいでしょうか?」
「・・・」
改めて男性ハンターを見る
男性ハンターはクイーンブラスターと呼ばれるリオレイアの素材から作られる弓を背負っていた
形状が微妙に違うから、恐らく強化したのだろう 防具はロワーガと呼ばれる虫を使った防具だ
「ガンナーとの連携は初めてだから少し不安だけど、いいよ」
「ありがとうございます。私はルーク。シュバルツという者です」
「俺はセネル=ボルアス。よろしくルーク」
227: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 20:12:54 ID:A8xJN2pJRk
ルークに握手を求めるとルークは笑顔で応えてくれた
「失礼ですが…ボルアスとは双炎の覇者の?」
「うん。そうだよ」
「やはり…面影があります」
ルークは懐かしそうに俺を見ながら
「顔はジュードさんよりですね…目元はミラさんそっくりだ…」
「ルーク、両親に会ったことあるのか?」
「恥ずかしながら、少々面識がありまして、狩りに同行させてもらったこともあります」
「そうなんだ…ルークも…ん?ルーク?」
俺の頭の隅でなにかが引っ掛かる…ルーク・シュバルツ…
「ルーク・シュバルツ!?ひょっとして残影の射手の!?」
「昔の名前ですよ」
ルークは恥ずかしそうな頭を掻いている
228: 名無しさん@読者の声:2012/12/27(木) 21:04:18 ID:E7unVwV4mg
体調大丈夫ですか?
っいにしえの秘薬
229: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 21:07:49 ID:p9j21mNoUI
>>228
・・・あー、やっぱり気づいちゃいます?
実はまだ本調子じゃなくてちらほら誤字が目立ってますね
いにしえの秘薬ありがとうございます
230: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 21:14:40 ID:p9j21mNoUI
残影の射手とは凄腕のハンターで、弓を持たせたら彼の右に出る者はいないとまで言われた程である
とにかく弓を射る速度が早く、射られた矢の残像が見える事からこの呼び名がついたらしい
ただ早いだけでなく、しっかりと目標に矢を当てるという腕前も持っている
「残影の射手と狩りに出れるなんて!!」
「それほどでもありませんよ」
凄腕ハンターと一緒に狩れることが出来るとあって、俺の気分は高揚していた
ルークは謙遜こそしているものの、立ち振舞いや、体から滲み出るオーラはがそれを物語っていた
231: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 21:21:07 ID:CA0eW9E7MM
「セネル、ここにいたのか」
呼ばれたので振り返ると、ルーが装備を整えてギルドの入り口に立っていた
「全く…一人で狩りにいくなと言ってるだろう」
「ルー!!見てくれよ!!残影の射手だよ!!」
俺はおおはしゃぎでルーにルークを紹介する
「残影の…?お前が?」
「初めまして。ルーク・シュバルツと申します」
「ルーだ」
ルーが握手をしようと手を伸ばした瞬間
「ひぃっ!!」
ルークは跳ねるようにして俺の背中に隠れてしまった
その素早さには驚愕だが、なぜ俺の背中に隠れたのかまるでわからなかった
ルーも怪訝な顔をしている
「も、申し訳ありません…実は、私は極度の女性恐怖症でして…」
ルークがゴニョゴニョと話す
「決してルーさんの事が嫌いな訳ではないんです。むしろあなたのような美しい人は初めて見ましたので…」
「わかった。ルーク、すまなかった」
232: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 21:27:49 ID:CA0eW9E7MM
ルーが手を降ろすとルークは安心したような表情をしていた
英雄とまで言われたハンターにこんな弱味があるなんて…
「それゆえの弓か…しかし、狩りの最中もそれだと迷惑がかかるのではないか?」
「大丈夫です。私は基本一人なので…あなたと同じように」
ルークが意味ありげにルーに笑いかける
しかしルーはルークを睨み付けた。まるで喋るなという風に
「なるほど…これは失礼しました」
ルークもルーの視線に気づいたのか素直に頭を下げる
「それではセネル君。行きましょうか」
「あ、うん…」
ルークに言われ出口に行こうとすると
「待て。私も行く」
ルーが依頼書に名前を書き始めた
「頼もしいですね」
ルークは笑顔でルーを見る
「私はセネルの師匠だからな」
ルーはペンを置いて俺達の側にいく
もちろんルークからは距離を取って
「では、参りましょう」
233: 名無しさん@読者の声:2012/12/27(木) 21:58:54 ID:AJxqyGrjXk
嫌がらせしていいかな
ギギネブラは熱を察知してこうげうわなにをするやめ
・・・支援
234: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 22:15:36 ID:lvsJdXSM9o
>>233
・・・いぢめないでくださいよ
でもギギネブラの熱感知いいですよね〜
どこに熱持ってるか一発でわかりますし…
変な妄想してませんからね
支援感謝です♪
235: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 22:21:59 ID:apUuk9iOiY
ネコタクに揺られている間ルークはずっと笑顔だった
「ルーク、嬉しそうだな」
「いやぁ、一人で狩りをしていた事が多くて、皆さんと狩れる事が嬉しいんですよ」
ルークは爽やかな笑顔を振り撒いている
それと正反対でルーはそっぽを向いている
「ルー、どうしたんだよ」
「・・・別に」
ルーは相変わらず素っ気ない
いったい何があったのだろうか
「セネル君、セネル君」
ルークが声を潜めて俺に話しかける
「ルーさんは私にセネル君が取られるのが嫌なんですよ。焼きもちというやつ…」
ルークがそこまで言いかけた時、ルークに向かって投げナイフが飛んでくる
ルークはそれを危なげなくキャッチした
「余計な事を言うな」
ルーはそっぽを向きながら低い声で注意する
ルークの方を見ずに正確にルークに投擲したルーもすごいが、それをキャッチしたルークも凄かった
ルークはやれやれという風に肩をすくめ、投げナイフをポーチにしまった
236: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 22:29:29 ID:apUuk9iOiY
結果から言えば、狩りはあっという間に終わってしまった
リオレイアは文字通りなすすべもなく地に倒れ伏した時、俺の体内時計が正しければ五分も経っていなかった
それだけ、ルーとルークが強かったのである
「流石残影の射手。名前通りの腕前だな」
「いえいえ、ガンナーは単体では非力な存在です。ルーさんみたいに敵の攻撃を受けてくれるから安心して射てるのですよ」
ルークは謙遜しているが ルークだってかなりリオレイアに接近していた
母さんから聞いた話だが 弓にはクリティカル距離なるものが存在し、その場所から射つと通常より威力が上がるらしい
ルークは多分クリティカル距離から射っていた
いや、クリティカル距離からしか射っていなかった
改めてルークの凄さを実感し、こんな凄腕ハンターがこの村に来たのか疑問が深まった
237: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/27(木) 22:33:13 ID:apUuk9iOiY
どうも皆さんこんばんは
さぎしです
ついに爽やかイケメンの新キャラが登場しました 名前がついているということは当然主要キャラになってきますが、彼が活躍するのは当分後になります…
というわけで少し早いですが本日の投下はこれで終了となります。見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
238: 名無しさん@読者の声:2012/12/27(木) 23:06:19 ID:hEBD84bf2Y
乙狩れさまですー
体調ちゃんと治してくださいね♪
239: 名無しさん@読者の声:2012/12/28(金) 00:48:46 ID:v0Dv45XUEc
こういう文体のさぎしさんも好きだ
ギャグもシリアスも書けるなんてすごいっ
つこんがり肉
240: 名無しさん@読者の声:2012/12/28(金) 09:04:29 ID:mRSQ8F2yG.
さぎしさん愛してる
っクリスマスプレゼント
っお年玉
っCCCCC
241: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/28(金) 09:30:28 ID:FGq0e0WmdU
>>238
・・・はい、頑張りまーす
>>239
地の文は初めてというわけではないですが、やはりSS風の方が書きやすいですし、気が楽ですね
ギャグ?シリアス?
褒めても何も出ませんよ こんがり感謝です♪
>>240
・・・何故私は求愛されるのだろうか
クリスマス…は、ちと遅いですね
お年玉…は、ちと早いですね
支援…は、ありがたくもらいます
242: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/28(金) 09:52:57 ID:FGq0e0WmdU
「お二人とも、本日はありがとうございました」
ギルドにつくとルークは俺達に一礼をした
「そんなかしこまんなくていいよ!!俺、なんもしてなかったし…」
「いえいえ、セネル君が私達に知らない所でフォローしてくれてたからですよ」
参った…ルークにはすっかりバレていたらしい
ルーは相変わらず無表情で会話に加わろうとしない
「でも、なんでルークみたいな凄腕のハンターがこんな村に?」
「そうですね…セネル君は今はHRはいくつですか?」
ルークが俺に問いかけてくる
「・・・HR3だよ」
正直…惨めだな。自分のHRを晒すのがここまでだなんて
243: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/28(金) 13:20:58 ID:lvsJdXSM9o
「ふむ…3ですか…ハンター歴はどれくらい?」
「・・・二ヶ月」
もういいよ、絶対ルーク笑ってるって
「二ヶ月!?それでHR3ですか!?」
しかし、ルークは驚愕の声を出していた
びっくりするくらいなのか?
「しかし…あの二人のお子さんですからね…あり得ない話ではありませんか…」
ルークはなにやらブツブツと呟いている
俺がばつの悪そうな顔をしていると
「わかりました。いずれセネル君にも関係が…なんて顔をしてるんですか?」
「へ?」
244: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/28(金) 13:31:01 ID:lvsJdXSM9o
ルークは心配そうな顔をしていたが、すぐに表情を戻し
「話を戻しましょう。まだ噂の段階ではありますが、このユクモ村にある危機が迫っているとの情報がありましてね」
「危機!?ユクモ村に!?」
そんなのは初耳だった
というより村のハンターである俺が知らないなんて
「セネル君が知らないのも無理はありません。これはギルドナイトが非公式に発表しましたから」
ギルドナイトとは、ハンターを束ねるギルド。そのギルドを束ねるいわばハンターの親の親みたいな地位だ。ギルドナイトに所属しているハンターは英雄と言われ、その地位に就きたがる者は多く、数々の誉や武勲を獲得しようと躍起になっている者もいる
「それで、私がこの村に来たわけですよ」
「ギルドナイトに派遣されたのか?」
「いえ、自分の意志です」
ルークは俺を優しく見ながら
「双炎の覇者にはいっぱいお世話になりましたが…お二方にはついに恩返しすること叶いませんでした。ですから、これが私に出来る恩返しだと考えています」
245: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/28(金) 13:34:11 ID:lvsJdXSM9o
「ルークは、義理堅いんだな」
「そうでもありません。ただ、あのお二方が私にそうさせるほど素晴らしい人達なだけです」
ルークはにこやかに笑いながら
「それでは私はこれで失礼しますが…セネル君。今度狩りに出るときはよろしければ私に声をかけてください。喜んでお供いたしますよ」
「ありがとうルーク」
俺はルークと握手をかわしてギルドを後にした
246: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/28(金) 13:57:00 ID:kwLgI0/6TA
家に着き装備を外す
重い鎧から解放されて安堵のため息と共にベッドに寝そべった
「しっかし、凄かったよな。ルーク」
「・・・」
いつの間に装備を外したのかシャツに短パンというラフな格好で椅子に座っているルーに話しかける
「こうさ、射つ時に躊躇いがないっていうの?かっこいいよな…ああいうの」
「っ!!」
「ルー!?」
突然ルーが俺に覆い被さってきた
俺は何が起こったのかわからずルーの下でアタフタとしていた
「ちょ!?ルー!!どうしたんだよ!!ルー!!」
「・・・」
ルーは何も答えなかった ただ俺の事を黙って抱き締めているだけだった
247: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/28(金) 14:01:49 ID:7RJL/fdGxQ
「・・・もしかして、焼きもち?」
「っ!?」
抱き締める力が強くなる
「痛!?痛い!!ルー痛い!!」
俺はルーの下で相変わらずジタバタとしてるだけだったが、なんとなく今のルーが凄く可愛く見えてきた
「心配すんなよ。ルー」
俺はルーを抱き締めつつ頭を撫でながら
「ルークは確かにかっこいいけど、俺の師匠はルーなんだからさ」
ルーがゆっくりと顔をあげる。その瞳は少しだけ潤んでいた
「泣くなよ、ルー」
俺がルーを抱き締めようとしたその時
「セネル君!!いる!?」
248: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/28(金) 14:07:16 ID:7RJL/fdGxQ
けたたましい音と共に扉が開かれコノハが入ってきた
瞬間、俺は硬直してしまう
「え…あ?な、何してる…の?」
コノハがわなわな震えてる
コノハの位置からだと恐らく俺達が抱き合ってキスしてるように見えるだろう
「ちょ!!コノハ!!これには訳が!!」
「訳って…何?」
コノハがゆらりとアイアンストライクを構える
ていうか今どっから出した?
「なんでもない。コノハ、しまえ」
ルーが立ち上がりいつものようにコノハを諭す
コノハは納得がいかないような顔をしていたが慌てて俺に向き直り
「そうだ!!セネル君!!大変だよ!!」
「だから、何が大変なんだよ」
「セネル君に緊急の依頼だよ!!ジンオウガの討伐だって!!」
「!!」
249: 名無しさん@読者の声:2012/12/28(金) 20:22:31 ID:O.M8pmHLw6
ルー・・・いい
250: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/28(金) 21:38:00 ID:siHnvgnp82
ジンオウガ
その名前を聞いた瞬間体が震えが止まらずあの恐怖が甦る
碧色の甲殻に黄色の二本角
そして…碧に輝く電気
「・・・」
震えが体に現れていたのか、ルーが支えてくれた
「そ、村長さんも来てるから…準備が出来たら来て」
コノハはそれだけ伝えると家から出ていった
残された俺はただボーッと空を見ていた
そんな俺をルーは黙って支えてくれていた
251: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/28(金) 21:48:30 ID:gxDSHASFOs
「・・・いらっしゃいましたか、ハンター様」
ギルドに着いた俺を真っ先に出迎えたくれたのは村長さんだった
カエデさんやコノハも真剣な顔をしている
「先程、ギルドの観測隊から情報が入りました。現在ジンオウガがこのユクモ村に真っ直ぐ向かってきてるそうです。このままだと30分後にはユクモ村に到着するでしょう…ハンター様には渓流にてジンオウガを迎撃していただきます」
「・・・」
村長さんは悲痛な面持ちだった
無理もない…あのジンオウガがユクモ村を狙っているのだから
「尚、今回は撃退ではなく討伐でございます」
カエデさんが依頼書を読み上げる
コノハがそれを受け取り ペンを俺に差し出す
「・・・署名を」
ペンと依頼書を差し出すコノハの声は震えていて、顔は今にも泣きそうだった
252: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/28(金) 22:04:44 ID:5SMOo2RLI.
俺は黙って依頼書に名前を書く
「確認…しました…気をつ…けて…う、うあああ!!」
「泣くなよ、コノハ」
コノハを頭を撫でてやる 受付にコノハの涙が染み込んでいくが、誰も何も言わなかった
「ルー、行ってくるよ」
「・・・ああ」
ルーは何も言わなかった いや、今は何も言ってくれない方が良かったかもしれない
「セネル君!!」
ギルドの入り口から俺を呼ぶ声がする
振り返るとルークが息を切って飛び込んできていた
「村の…皆さんから…君がジンオウガを狩りにいくと聞きまして…」
肩で息をしているルーク 多分急いだんだろう
「そうだよ…ルーク」
俺は努めて冷静に言う
そうでもしなければ、この場から逃げ出したくなるくらいの恐怖だったからだ
「いいですか、何があっても命を粗末にしてはいけませんよ?君はまだ未来があるんです」
「・・・」
ルークの言葉が重くのし掛かる
「・・・無茶をするなとは言いません。ですが、これだけは言わせて下さい」
「またお会いしましょう。今度一杯奢りますよ」
「・・・ああ」
皆に見送られて俺はギルドを出発した
253: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/28(金) 22:12:04 ID:5SMOo2RLI.
渓流に着き支給品を取り出す
今回は家からたくさんの物を持ってきた
「・・・さて、いくか」
俺は歩き出そうとして
足が動かなかった
なんて様だ、あんなに覚悟を決めたのに足が言うことを聞かない
くそっ!!足、動いてくれよ
首を動かして今まできた道を見る
あの道を引き返せば、村に帰れる。村にジンオウガがやって来ても、村にはルーやルーク、カエデさんやコノハ等、俺よりも強くて腕の立つハンターがいっぱいいる。だからユクモ村は大丈夫さ
でも、帰ってきた俺を皆はどんな風に見るだろう
臆病者?負け犬?ヘタレ?弱虫?親の七光り?
「そんなの…嫌だ」
俺は死ぬことよりも、皆に軽蔑される事を恐れた
「・・・いこう」
足はもう動く。歩ける
俺は歩き出す。後ろは振り返れない。いや、振り返らない
254: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/28(金) 22:19:24 ID:CrrmOLoToc
始めに見えたのは碧
次に見えたのは黄色
最後に見えたのは碧
碧の電気を身に纏い、大地を踏みしめるその姿はさながら狩人のようだった
雷狼竜 ジンオウガ
奴はじっと待っていた
まるで俺が来ることがわかってたみたいに
「・・・」
ジンオウガと視線がぶつかる
奴は言っている
「かかってこい」と
俺は双剣を抜き、構える ただし、逆手で、だ
分かりやすく言えば忍者がクナイを持つような持ち方だろうか
この持ち方は双剣を愛用していた父さんの真似だ
ジンオウガはゆっくりとこちらに近づいてくる
俺もゆっくりと歩き始める
ブナハブラが逃げようと羽音を鳴らしながら飛び回る
一匹がジンオウガに触れた時、バチッという音と共に絶命する
「うおおおおおお!!」
「ガアアアアアア!!」
その音を合図に俺達は同時に飛び出す
最早迷いはない。あるのは目の前のジンオウガを倒すことだけだった
255: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/28(金) 22:29:21 ID:mWNMm1VxPM
皆様こんばんは
さぎしです
ついに因縁の対決
VSジンオウガですね
まあ、私はバトル描写が壊滅的なんで過度な期待をしないで下さい
では、少し早いですが本日の投下を終了します
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
256: 名無しさん@読者の声:2012/12/28(金) 22:33:29 ID:kwLgI0/6TA
うわぁぁぁさぎしたんが焦らすぅぅぅぅ・゜・(つД`)・゜・
乙狩れさま
っ超電雷光虫
257: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/29(土) 10:03:52 ID:Hp5XrjPulc
>>256
実は私凄いドSで情事の時も
「ほら、イきたいんでしょ?イっちゃいなさいよ」
とか
「ねえ、どうしたいの?このいやらしい穴(以下自主規制)」
とか言ってみたい妄想はしてます
超電雷光虫?
らめぇぇぇぇ!!ビリビリしちゃうのぉ!!
・・・朝っぱらからなに言ってんだ私?
258: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/29(土) 10:09:51 ID:Hp5XrjPulc
剣を前に突きだしジンオウガの前足に突き立てる それをそのまま手首をひねり上に切り裂きもうひとつの剣で上から下に引き裂く
さながら爪のように剣を振るいジンオウガを攻撃する
「うおおおおおお!!」
横に薙ぎ、そのままジンオウガに回転蹴りを食らわせそのままバク転しながら切りつける
何故こんな曲芸じみた戦いが出来るかわからなかったが、今はジンオウガに集中をしていた
「ガアアア!!」
ジンオウガも黙って見ているわけではない
左前足で俺を殴り付け尻尾で叩きつける
俺が少しでも隙をつくろうものならすぐに突進で距離を詰めてくる
一進一退の攻防
気を抜いた方が先に負ける
259: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/29(土) 10:17:59 ID:X7On2BumCY
度重なる斬撃により、ジンオウガの両前足はボロボロになっていた
「決める!!はああああ!!」
手に力を込め呼吸を整える
剣が赤く光り力がみなぎる
双剣の最大の武器 鬼人化
活力を消費して力を爆発的に高める呼吸を使い相手を攻撃する
「だりゃああああ!!」
気合いの声と共に剣を振りかざし切りつける
右に左に流すように切りつけ蹴りを挟み絶え間なく上下左右に切りつける
舞うような動きから乱舞と呼ばれる剣技だが、俺の乱舞は大きく違っていた
260: 名無しさん@読者の声:2012/12/29(土) 11:18:18 ID:7ulrnFqknA
>>257
是非僕に言ってください←
なんなら足(特に素足)がすきなんで足コ…おっと誰か来たようだ
今日も更新楽しみにしてます♪
っ高級ユアミ
261: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/29(土) 11:26:35 ID:MvVpHIxlN.
しかし、散々に切りつけたジンオウガの足にも限界が訪れたらしく、横倒しになりじたばたともがいていた
「うあああああ!!」
背中に回り込み帯電殻を滅茶苦茶に切り続ける
甲殻が剥がれ肉が裂け血が吹き出しても攻撃を止めなかった
「ガルゥ!!」
「っ!?うわぁ!!」
突然ジンオウガが立ち上がったかと思うと、右足を主軸にして一回転した なんの対応もしてない俺はまともにくらい吹き飛ばされる
「がはっ!!」
地べたに叩きつけられ視界が朦朧とする
「こんな…ところで…諦めてたまるかぁ!!」
己を叱咤し奮い立たせる 鬼人化は解けてしまったが、長くしているとこちらが動けなくなってしまうため切り替えが大事なのだ
262: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/29(土) 11:35:05 ID:gUlMLlO5yg
気持ちを切り替え、今度はあまり攻めすぎないように立ち回った
剣で切りつけ、離脱
剣を突き刺し、離脱
そのかいあってか、ジンオウガの動きは徐々に精彩が欠けてきていた
「よし!!このまま!!」
俺が追撃しようとすると ジンオウガは俺に背を向けてどこかにいってしまった
「ふぅ…」
ようやく緊張から解放されて腰を降ろす
腰を降ろした瞬間、先程受けた衝撃の痛みが襲いかかってきた
「つぅっ!!」
鎧越しに打った所を擦る どうやら骨は折れてないらしいが、あまり長時間は戦えそうにない
「次で…決めなきゃな」
俺は一人呟く
応急薬や携帯砥石、食料等で体調を万全にしてから俺はジンオウガを追いかけた
263: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/29(土) 11:49:17 ID:lpXKIBKjK.
「グルルルル」
次のエリアでジンオウガが待ち構えていた
かなりの攻撃を与えた筈だが、ジンオウガの闘志は全く衰えない。それどころかより一層強まった気がする
「ああ…これで終わりだよ」
俺も剣を抜く
恐らく、次の一撃ですべてが決まる
俺も体をあまり動かせないし、ジンオウガも限界に近いだろう
なのに、あいつはああして俺の前に立ち、戦おうとしている
ジンオウガは四肢を踏ん張り天に向かい咆哮した すると、青白く光る電気を纏った
正真正銘、あれが全力というわけだろう
俺は剣を高く掲げ、それを逆手に持ち変える
「はああああああ!!」
鬼人化を発動し、ジンオウガとにらみあった
264: 名無しさん@読者の声:2012/12/29(土) 16:01:11 ID:hEBD84bf2Y
いけ!!セネル!!
つ強走薬G
265: 名無しさん@読者の声:2012/12/29(土) 17:32:05 ID:eFSS/rVBkk
ネブラたんの出番を願ってた者です。忙しくて見れなかった間にネブラたんが出て来てて嬉しかったです!ネブラたんが出ないかと呟いてみて良かったです…。ちなみに自分もハンマー使いなので読んでいてwktkしました^^*さぎしさん、ありがとうございました!!
うぉぉぉ…
【ハンマー】━o(=ω=´) C
そぉぉぉぉぉぉぉい!!!
(`ω´)o━【ハンマー】Σ≡≡≡≡C
266: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/29(土) 18:13:34 ID:JjbL7qVj/A
ジンオウガと俺はほぼ同時に地を蹴る
ジンオウガは左前足で俺を踏み潰そうと左前足をつきだす
それを回避してもまた右足、左足と
ジンオウガが超帯電状態になるとどうやらほとんど全ての攻撃に雷が付着するらしい
だが、今はもうそんなことどうでも良かった
お互いに限界が近い事はわかってるんだから
殺らなきゃ、殺られる
「せいっ!!はあっ!!」
剣を素早く上下に動かしジンオウガの腹を数回切りつける
帯電状態で剣から静電気が伝わるがそんなことお構いなしだ
「グルアアアア!!」
ジンオウガは小さな俺にひたすら突進とジャンププレスを繰り返していた 恐らく尻尾や前足では当たらないと判断したのだろう
その判断はジンオウガには良く俺には悪かった
度重なる鬼人化により俺のスタミナは最早無いと言ってもいいだろう
大振りの攻撃にはそれだけ回避にスタミナを使う
俺にはもう攻撃するしか他に方法は無かった
267: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/29(土) 18:23:23 ID:hN22NeG0qs
腕が重い、どれだけ剣を振り回しただろう
足が痛い、どれだけ走り回っただろう
視界が歪む、もうまともに息をしていない
なのに…なのに、俺は視界にジンオウガを入れて離さなかった
ジンオウガも俺を近づけまいとひたすらに電気を発し続けてる
後ちょっと、後ちょっとなのに…
そんな俺の焦りが致命的になった
ジンオウガに攻撃しようとして前に踏み出す
「っ!?」
しかし、体が反応せず無様に転んでしまった
まずい!!早く起きないと!!
しかし、そんな命令に反するように体は動かない それどころか瞼がドンドン重くなってくる
もし、ここで目を閉じれば、楽になれるのかな
そんな誘惑が俺に囁く
もう…俺は頑張ったじゃないか…そうだよ…頑張った
ジンオウガをここまで追い詰めたのだ…皆に拍手喝采で迎えられてもいいだろう
俺は、静かに目を伏せた
268: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/29(土) 18:29:57 ID:hN22NeG0qs
『いいかい?セネル。狩りは追い詰めるだけじゃ駄目なんだよ。ちゃんと倒さなきゃ駄目なんだ』
「っ!!」
突然頭の中に父さんの声が響く
沈みかけていた意識が覚醒し目の前の出来事が良く見えた
ジンオウガが俺を潰そうと前足を上げて…
「ふっ!!」
俺は素早く横に転がり回避する
ジンオウガはいきなり動いた俺に驚愕していた
「追い詰めるだけじゃ…駄目」
幼い頃に父さんに聞いたことがある…父さんはなんて言ったっけ?
『例えば、お互いボロボロで、限界ってまで戦ったとするね?そうしたら、相手に敬意を示すんだ』
「敬意…?」
『そう。敬意』
『こんないい勝負をしてくれてありがとう…って』
269: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/29(土) 18:35:37 ID:JjbL7qVj/A
「っ!!うおおおおおお!!」
俺は跳ね上がり、つきだしていたジンオウガの前足をかけ上がる
そのまま背中に乗り跳躍する
ジンオウガは咄嗟に放電して俺を攻撃したが、俺はもういない
完全に虚を突かれたジンオウガは一瞬俺を見失う その一瞬が、命取りだ
「終わりだ!!」
ジンオウガのほぼ真上から剣をつきだし、落下の衝撃に体重を加えてジンオウガを脳天から突き刺す
ジンオウガは突然の事に理解が出来ずそのまま倒れ付した
「ガゥ…アアァ…」
虚ろな瞳で俺を見るジンオウガ
俺はその瞳を見ながら
「・・・ありがとう」
ジンオウガの首に剣を突き刺した
270: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/29(土) 18:40:02 ID:JjbL7qVj/A
>>260
見下しながら
「こんなのが気持ちいいの?」
と、呆れた風に言うんですねわかります
>>264
セネル君は殺りましたよ
>>265
どのみちネブラは倒さなきゃいけない相手でしたからね…
か、勘違いしないでぐさいね!?べ、別に>>265さんの為に登場させたわけじゃないんですからね!!
支援感謝…
C)~O~)オブァ!!
271: 名無しさん@読者の声:2012/12/29(土) 19:13:46 ID:.UPaASQov2
>>270
はぅぅ///
272: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/29(土) 23:50:38 ID:JjbL7qVj/A
剥ぎ取りが終わったジンオウガに背を向けて歩きだす
剥げる所は全て剥いだし、一つの素材も無駄にしたくなかった
「帰るか・・・」
依頼達成の狼煙を上げてベースキャンプに戻る
ネコタクのアイルーは俺を見るなり幽霊をみたような顔をしたが、すぐに事情を察してくれて素早くギルドまで運んでくれた
これで…終わった…
273: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/29(土) 23:58:42 ID:hN22NeG0qs
ギルドに着いた俺を真っ先に迎えてくれたのはコノハだった
涙で顔をグシャグシャにして俺を抱きしめている
ルークもカエデさんも村長も安堵の顔で俺を見ていた
ただ一人…ルーがいなかったが
「ルーは?」
「ご自宅で待っているとの事です。今は体をお休めになってください」
カエデさんが微笑み薬を手渡してくれた
その薬を飲むと、不思議な事に体の痛みが無くなった
「ハンター様、ジンオウガ討伐お疲れ様でした」
「村長さん…」
「今回の働きはギルドとしても、私個人としても本当に感謝しています」
「その功を讃えて、セネル=ボルアスをHR4に認定いたします」
「詳しい説明はまた明日に…今日はお休みになってください」
「はい」
274: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 00:05:05 ID:hN22NeG0qs
家に着くと、ルーがラフな格好でベッドに腰かけていた
「・・・セネルか」
ルーは俺の気配に気付きこちらに振り向く
その顔は重く沈んでいた
「村長からHR4の認定を貰ったか?」
俺はコクリと頷く
「そうか…ならお前はもう上位ハンター。これから先は一人でもやっていけるだろう」
「ルー?」
「お前に話しておきたい事がある」
ルーは俺を真剣に見つめた
「お前は両親がどのように死んだか聞いたか?」
「・・・ヤマツカミ討伐後に、飛竜に襲われて、死んだって」
「やはりそう伝わっているか…」
「ルー?」
「結論から言おう。お前の両親、ジュード=ボルアスとミラ=ボルアスを殺したのは…私だ」
275: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 00:06:58 ID:hN22NeG0qs
皆様こんばんは
さぎしです
本日の投下はこれで終了となります。見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした
276: 名無しさん@読者の声:2012/12/30(日) 00:12:54 ID:hEBD84bf2Y
乙狩れさまでした。
つドS魂
277: 名無しさん@読者の声:2012/12/30(日) 00:57:23 ID:mRSQ8F2yG.
じらさないでー(;o;)
278: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 12:25:49 ID:yRBWOWYvVI
>>276
・・・なんか、素直に受け取れない魂ですね
ていうか、ドS認定されてる気が…
>>277
いや、なんかキリが悪くて
えっと、すみません
279: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 12:30:06 ID:9v4P6Xr0tU
「・・・は?」
ルーが何を言っているのかわからなかった
両親を殺した?ルーが? だって俺の両親はヤマツカミ討伐後に飛竜に…
ルーは何も言わない
険しい顔をしてるだけ
なあ…いつものようにからかう口調で冗談言ってくれよ、なんでそんなに悲しそうな顔をしてんだよ
何で?なんで?ナンデ?
「・・・あれは今から二年前くらいの話だ」
ルーがポツリポツリ語り始めた
280: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 12:34:26 ID:9v4P6Xr0tU
「ふぅ…やはり何もないな…」
カウンターにある依頼書を一枚一枚吟味しながら呟く
「ルーさん。決まりました?」
「まだだ…すまないな」
受付嬢が困ったような顔をしている。それもそうだ
何故なら、先程から一時間近く依頼書とにらめっこしてるのだからな
「ミラ!!ミラ!!こっち!!」
「ジュード、あまりはしゃがないで下さい」
騒がしかったので、チラリとその方を見ると、若い男ハンターが女性ハンターを呼んでいた。姉弟だろうか?似てないが
まあ、私には関係ないだろうと依頼書に目をもどしたが
「・・・」
背後から覗き込まれている気配に振り向く
先程騒いでいた男ハンターが私の依頼書を見ていた
281: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 12:39:32 ID:IHQ0bs/URY
「・・・何か?」
「ショウグン亜種行くの?」
男ハンターが問いかけてくる
確かに私はショウグンギザミ亜種の討伐依頼書で手を止めていたが…
「まあな…」
「良かったら僕たちも参加していい?」
馴れ馴れしい奴だ
そんな言葉を飲み込み了承の意を伝えると
「ありがとう!!あ、ミラー!!こっち!!」
ミラと呼ばれた女性ハンターがこちらに歩いてくる
この男とは違い物腰柔らかで静かなハンターだった
「すみません。ジュードが迷惑かけて」
「構わない。賑やかでいいだろう」
「注意してくれても構いませんよ?というより殴っちゃっても」
ミラはニッコリしながら拳を作る
なんか、殺気を感じるんだが…
282: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 12:43:26 ID:IHQ0bs/URY
「じゃあ、改めまして!!ジュード=ボルアスって言うんだ!!こっちはミラ=ボルアス!!」
「よろしくお願いいたします」
「・・・ルー・シフォンだ」
「ルー…あ、ひょっとして黄金郷の豪槍?」
「・・・」
黄金郷の豪槍というのは私の呼び名みたいな物だった
金の鎧に槍を携えて戦ってたらいつの間にかつけられていた名前だったが…私はあまり好きではない
「とりあえず、いこっか」
ジュードが先行していこうとするが
「ジュード、そっちは入口ですよ」
ミラに言われて慌てて戻ってくるジュード
本当に大丈夫か?
283: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 12:47:03 ID:IHQ0bs/URY
クエストが始まると、私とジュードは同じ場所にいた
「あ、ルー」
上位やG級のクエストは危険なのでベースキャンプからのスタートはまずありえないから、慣れっこだった
「ルーってさ、ソロ?」
「ああ、それが?」
「そっか…うん。まあいいや、いつも通りに動いてくれる?」
「わかった」
「さてと…ミラを探さないとな〜」
ミラは私の記憶が正しければヘビィボウガンを持っていた筈だが…
「ガンナーだから、早く救援に向かわなくては」
「違うよ」
「?」
「ミラがいるところにモンスターがいるからね」
284: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 12:50:32 ID:IHQ0bs/URY
ジュードの言ってる事がわからず、思わず怪訝な顔をしてしまう
「んーとね、ミラの家系は代々モンスターに狙われやすいっていう呪い?っていうのかな…を持っているんだ」
「僕も結婚したときに詳しく聞かせてもらったんだけど…ミラが最後の代らしいんだ」
この二人は夫婦だったのか
いや、それより
「何故そんな危ない家系と」
「僕がミラを好きで、ミラを守るって誓ったから」
強く、はっきりとした口調だった
「・・・ミラが戦ってる」
「え?」
「いこう!!こっち!!」
285: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 12:55:17 ID:9v4P6Xr0tU
ジュードを追ってたどり着いた先にはミラがいた 数匹のガミザミに取り囲まれながら朱の甲殻をもった鎌蟹 ショウグンギザミ亜種と戦っていた
「まずい、囲まれてる」
「ルー!!ガミザミを頼める?」
「わかった」
私とジュードは同時に駆け出した…だが
「な!?」
ジュードは抜刀し、剣を逆手に構え走り出していた
驚くべきはそのスピードであっという間に鎌蟹の元にたどり着くと、大きく跳躍して鎌蟹に蹴りを食らわした
「っ!!この!!」
一匹のガミザミがこちらに気付き威嚇をしてくるが、構わず甲羅ごと貫いた
「ミラ!!大丈夫か!?」
ミラに声をかけると、ミラは余裕といった表情で散弾を撃っている
286: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 13:01:18 ID:9v4P6Xr0tU
「はぁっ!!」
最後のガミザミを貫き
ジュードに加勢しようとしたが
「せいっ!!ふっ!!遅い!!」
ジュードは鮮やかな動きで鎌蟹の攻撃をかわしつつ脚を切り裂いていた
ミラも水冷弾を惜しみ無く甲羅に向かい発射している
鎌蟹は怒りに泡を吹き出し鋏を振り回すが、ジュードはそれを全て避けていた
「やばっ!?」
ジュードが沼地のぬかるみに足を取られバランスを崩す
それを好機とよんだ鎌蟹は鋭利な鋏をジュードの首に振りかざした
「っ!?はああああ!!」
私はジュードに鋏が振りかざされる瞬前に甲殻の隙間に槍を突き刺した
鎌蟹が一瞬動きを止めたのを見て、ジュードは双剣を口に突き刺しそのまま左右に薙いだ
287: 名無しさん@読者の声:2012/12/30(日) 13:18:11 ID:AJxqyGrjXk
これ見てたらやることあるのにしたくなったぞどうしてくれる
支援
288: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 13:23:16 ID:9v4P6Xr0tU
痛みに大きくのけ反る鎌蟹
しかし、次の瞬間甲羅を遠くにいたミラに向け水ブレスを発射した
ミラは弾を装填している最中で避けれる訳がない
「ミラ!?」
ブレスがミラを貫く
・・・いや、貫いたはずだった
「・・・こんなものですの?こんなのじゃ、ジュードは殺せませんわよ?」
ミラは笑っていた
ミラの目の前にさっきまで鎌蟹の懐にいたはずのジュードがいて、剣でブレスを切っている
「ミラ!!今だよ!!」
「もちろん」
ジュードの肩から銃口を突きだし鎌蟹に向ける
ブレスをだしている鎌蟹は完全に無防備だった
289: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 14:14:41 ID:dM41ziAA.s
ミラが引き金を引き弾が鎌蟹を貫く
鎌蟹は音を立ててその場に崩れ落ちた
「討伐完了。ですね」
ミラとジュードがそれぞれ武器をしまう
私はようやく思い出した この二人の呼び名
双炎の覇者を
「ルー!!さっきはありがとね」
「え?」
「さっき僕の事助けてくれたでしょ?」
「あ、ああ…」
先程の事を言っているのか
「ルーさんはお強いですね。それに比べてジュードは…突撃バカ?」
「あう」
ミラの冷ややかな言葉がジュードに突き刺さる
私はそれがおかしくてつい笑みをこぼしてしまった
290: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 14:17:32 ID:dM41ziAA.s
「あ、ようやく笑った」
「え?」
ジュードが私を見ながら笑顔で
「ルーってば、さっきからずぅっと険しい顔してたからさ…やっぱり笑ってた方がいいよ」
「・・・」
笑えなんて真正面から言われたのは初めての事だったからどうしていいかわからなかった
「とりあえず。ギルドに戻りましょうか」
ミラの提案にジュードは答える
「賛成!!お腹空いちゃったよ〜」
子供かというツッコミを抑えて、私達はギルドへと戻った
291: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 14:22:08 ID:dM41ziAA.s
「それ以来、二人とはよく狩りをするようになってな。お前の事もその時聞いた」
ルーの話を黙って聞く
ルーは昔から父さん達と仲が良かったなんて…
「私はあの二人といて本当に楽しかった。呼び名や肩書きなど気にせず、一緒に狩りをすることが凄く幸せだった…あの日が来るまでは」
ルーが瞳を閉じて思い出すように語り始めた
「あの日の事は今でも覚えてる…忘れられない…いや、忘れてはいけないことだ」
292: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 14:28:21 ID:dM41ziAA.s
ジュード達と狩りをするようになってからかなり経った頃、私はあることに頭を悩ませていた
「・・・」
「あの…ルーさん?」
受付嬢が心配な表情で私を呼ぶ
それだけ険しい顔をしていたのだろう
「なんでもないさ」
私は笑って返すが、ぎこちない笑いだったのは本人が一番よくわかってる
私が握っている依頼書にはこう書かれていた
ヤマツカミ討伐依頼
依頼というなの指令だというのは明白だ
町を滅ぼしかねない災いを狩りに行けと命じられてるのだから
この依頼書が届いたのは昨日だった
なので今日のジュード達との狩りはキャンセルしたのだ
「・・・いくか」
依頼書に名前を書きギルド出ようとした時だった
「ルー!!」
293: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 14:34:01 ID:dM41ziAA.s
驚いて振り返ると、ジュードとミラが立っていた ジュードは少し怒ってるような様子だった
「なんで一人で狩りにいっちゃうんだよ!!僕達が邪魔なら邪魔って言えばいいじゃないか!!」
ジュードが私に詰め寄り厳しい口調で問い詰める
「いや…邪魔なわけが…」
ジュードに見られないようにさりげなく依頼書を隠したが
「ルーさん、その手に持ってるの…なんですか?」
ミラがそれを見つけると同時に、ジュードが依頼書を手にしていた
「ヤマツカミ討伐依頼…」
「・・・昨日届いた、おまえたちに迷惑はかけられな…」
「っ!!なに言ってるんだよ!!僕達仲間だろ!?言ってくれない事の方が迷惑だよ!!」
294: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 14:39:38 ID:dM41ziAA.s
ジュードは目に涙を浮かべていた
「ジュード…泣いているのか?」
「そうだよ!!ルーが何も言ってくれなくて!!ルーに何か言ってもらえる程僕が強くなくて不甲斐なくて!!」
「ルーさん」
ミラが私の手を握り微笑みながら
「あなたは本当にお強い人です…でも、あなたは本当の強さを知りません…」
「強いというのは、必ずしも実力や、力で決まるわけではないのです。あなたは、それを知るべきです」
「・・・」
ミラの言いたい事は理解できているつもりだったが、改めて言われるとせっかくの決心が鈍りそうだった
「もちろん。私とジュードはあなたに着いていきます。嫌だと言われても着いていきますからね」
ミラは微笑んで私を見つめる
私は知らない間に涙を流していた
「あり…がと…う」
「いきましょう。ルーさん」
「いこう。ルー」
「・・・ああ」
295: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 14:46:46 ID:dM41ziAA.s
私達はヤマツカミの討伐に向かった…だが、相手はただのヤマツカミではなかった
G級の更に上、滅多に姿を現さず、その数も少なく把握出来ていない剛種と呼ばれる存在
私達の討伐依頼のヤマツカミは剛種だった
私達は苦戦を強いられたが、なんとかヤマツカミを討伐することに成功した
道具を惜しみ無く使い、刃はボロボロで、立っているのもやっとというような状態だった
私達はギルドに帰還要請をしたが、剛種がいるような地域に救助隊が到着するのは時間がかかるとの事だったので、ベースキャンプで合流する事になった
そして…塔を降り始めた時
奴は…現れた…
296: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 22:10:00 ID:dqvzbTqV8Y
最初に異変に気づいたのはミラだった
指で私達に止まれと命じた直後にミラに向かって火球が飛ばされる
「ミラ!!」
ジュードが咄嗟に火球を剣で弾き落とす
「ぐっ!!」
だが、衝撃をいなしきれず吹き飛ばされてしまう
火球が飛んできた方を睨み付けると、銀色の甲殻を持った飛竜が私達の上空にいた
「リオレウス希少種!!」
私が叫ぶのと同時にミラが弾を銀火竜に向かい発射する
しかし、残っていたのは通常弾しかなく、硬い甲殻に阻まれ攻撃が通らなかった
銀火竜はミラに火球を飛ばす
「ぐうっ!!」
咄嗟にミラの前に飛び出し盾で火球を防ぐ
腕が痺れて尻餅をついてしまう
銀火竜が地に降り立つ私達と向き合う
「はああああ!!」
間髪を入れずにジュードが飛び込み足を切りつけたが、リオレウスは全く意に介さないどころか、尻尾でジュードを吹き飛ばす
297: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 22:14:42 ID:GH7i5DEIyQ
「ジュード!!」
ミラが残り少ない弾丸を発射して牽制する
その隙にジュードは回復をして私達に合流をした
「どうする?」
槍を構えながらジュードに問いかける
「ギルドに救援要請を出そう」
ジュードは剣を構えて私を見ずに言う
「それが懸命ですわね。こんな状態じゃ無駄死にが落ちですわ…それに、あの銀火竜…」
ミラの言葉をジュードが続ける
「間違いない…剛種だ」
「グオオオオオ!!」
空に響くような轟音で咆哮をする銀火竜
容易には撤退させてくれないらしい
298: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 22:19:43 ID:GH7i5DEIyQ
「ルー、ミラ、二人はベースキャンプでギルドに救援要請を」
「ジュードはどうするんだ?」
「僕はこいつを食い止める」
「無茶だ!!一人でこいつを止められる訳がない!!二人で止めよう!!そうすればミラが安全に…」
「それじゃダメだ」
ジュードは冷静に話す
「ヤマツカミがいなくなった事で、この塔のモンスターは凶暴になってる。更にミラはモンスターに狙われやすい」
「ルーしか、ミラを守れないんだ」
「・・・」
「わかりました。ルーさん。行きましょう」
「ミラ!?でも…」
「ジュードが行けといったなら、私は行きます」
「・・・くっ!!ジュード!!死ぬなよ!!」
ジュードは片腕をあげ答える
それと同時に私達は駆け出した
299: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 22:25:16 ID:dqvzbTqV8Y
「グオオオオオ!!」
私達が駆け出した瞬間、銀火竜は逃さないと言わんばかりにこちらに向かってくる
「させるかよぉ!!」
ジュードはそれに鬼人化をして迎え撃つ
「うおおおおあ!!」
「グオオオオオ!!」
ジュードと銀火竜は真っ正面からぶつかり鈍い音がした
「くっ!!走れ!!ミラ!!」
私はミラを先にいくように指示し後ろを振り向く ジュードは剣を目の前で交差させて盾のように構え銀火竜の突進を受け止めていた
その時に私は見た
ジュードの鬼人化は、ただの鬼人化じゃ…
「ルーさん!!急いで!!」
ミラに叫びに反応して走り出す
けたたましい轟音を背にしながら私達は階段をかけ降りた
300: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 22:33:33 ID:dqvzbTqV8Y
「よし…ここまで来れば…」
ある程度走った私達はスタミナ回復のために止まっていた
「ゆっくりしていられないな…早くベースキャンプにいこう」
私は歩き出すが、ミラが動かない
「ミラ?」
「ルーさんは先に」
「は?」
ミラが何を言っているか分からなかった
「ふふ、ルーさん。あなた一人でギルドに救援要請をしてください」
「な、何を言ってるんだ!?ジュードが!!」
「ジュードも、初めから二人で救援要請を呼びに行けるなんて思ってませんよ」
「!!」
「何故なら私が足手まといだからです」
ミラが話してる間にも周りを鳥竜種が徐々に取り囲んでいた
「私はこのままジュードの所にいきます。恐らくここのモンスターのほとんどが私を追うでしょう。ですからその間にルーさんは」
「で、できるわけないだろ!!仲間を…置いてくなんて」
「ルーさん、仲間を信じて…ね?」
「っ!!」
ミラが私に背を向けもと来た道を引き返す
その背中は、私に救援を託すような感じがした
「くぅっ!!」
私はミラに背を向け走り出した
301: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 22:44:07 ID:dqvzbTqV8Y
やっと塔を降り終えた時はスタミナが限界だった
「もうすぐ…もうすぐだ…」
私がまた走りだそうとした時
「グオオオオオ!!」
「っ!?」
私の背後からあの咆哮が聞こえた
馬鹿な!?何でここに!?
私が素早く振り向くと、そこには切り傷が無数にある銀火竜が立っていた 足や羽に弾が刺さっているままで
「嘘…だろ…そんな」
私は目の前の光景が信じられなかった
あの二人が、あんなに強いあの二人が…
「グルルルルル」
銀火竜が低い唸りをあげる。それはまるでお前も逃がさないと言われてる気がして、私の中で何かが弾けた
「よくも…よくもミラとジュードをぉぉ!!」
私は槍を抜刀に銀火竜に突進する
銀火竜はそれに合わせて私にブレスを飛ばしてきたが
「うあああああ!!」
そのブレスを耐え銀火竜の左目に槍を突き刺した
「グギャアアア!!」
痛みに悶絶し、銀火竜は悶える
私はさらに追撃しようとして槍を突き出すが
「グルアアア!!」
「くっ!!ああああ!!」
まともに銀火竜のブレスを受けて吹き飛んでしまい壁に叩きつけられる
「く…くそ…」
痛みに意識が朦朧とし、私はそのまま意識を失った
最後に見たのは、ゆっくりとこちらに歩いてくる銀火竜だった
302: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 22:56:50 ID:GH7i5DEIyQ
ルーが話を終えて布で溜まった涙を拭う
俺はそれをただ黙って見ていることしか出来なかった
「それで…どうなったの…?」
「私が意識を失った直後、ギルドの救援が到着した。だが、剛種の銀火竜に対して討伐は至難の技でな…撃退をしたらしい」
「・・・」
「その後、ギルドからミラとジュードの死亡通知が出された…死体もみた」
「二人とも…手を繋ぎあって…最期を迎えてたよ…」
ルーの瞳にまた涙が溜まる
「私が…あの時二人を見捨てなければ…もしかしたら…二人は生きていたかもしれないんだ…」
「・・・」
「私は…君に償いをしなければならない…君の両親を殺した事、それを今まで黙っていた事」
ルーはナイフを取り出して俺に手渡した
「君は…私に復讐する権利がある…君になら…私は殺されても構わない…」
ルーは俺にナイフを押し付け両手を広げた
「さあ!!刺せ!!君の両親の仇だ!!殺れ!!」
俺は受け取ったナイフを持ち変えてルーに向ける ルーは目を閉じて待っていた
303: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/30(日) 22:59:06 ID:dqvzbTqV8Y
皆様こんばんは
さぎしです
焦らします ええ焦らします 焦らします
本日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々
ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
304: 名無しさん@読者の声:2012/12/30(日) 23:49:07 ID:5SMOo2RLI.
えぇぇぇー(つω;)焦らすのぉぉ
305: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 14:09:57 ID:gUlMLlO5yg
>>304
実はこの場面。スレ立て当時からこんな風に切ろうと思ってたんですよ
306: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 14:15:34 ID:MvVpHIxlN.
「俺は…殺さない」
受け取ったナイフを床に投げ捨てる
カランという音ともにナイフが床に落ちた
「っ!!君は!!私に生きろと言うのか!?君は私が憎くないのか!?」
ルーが目を見開き掴みかかってくる
「ルーは、悪くない」
「!!」
呟いた言葉はルーの動きを止めるのに十分だった
「父さんも母さんも、ハンターとして死んだんだ…ルーを守る為に」
「ち、違う…私は…私はあの二人を見殺しに…」
「あの二人は本物ハンターだった。だから、俺は二人の決断を責めないよ。もちろん。ルーも」
「私があの時戻っていれば!!死んだのは私だけだったかもしれないんだ!!だから…私は…」
「俺に殺されるの?」
「・・・ああ、私は、裁かれる義務がある。君は、私を殺す権利がある」
307: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 14:20:56 ID:MvVpHIxlN.
「なんで二人が、ルーを逃がしたか、まだ分からないの?」
「・・・」
ルーは俯き黙ってしまう 俺はルーを真っ直ぐ見ながら
「父さんも母さんも、ルーに生きて欲しかったから、ルーを守ったんだよ。それなのに、今ルーは二人に助けられた命を捨てようとしてる」
「私は…あの二人に…詫びをしなければ…」
「あの二人はルーが俺に殺される事を望んでるの?」
「・・・死者の思いなど、分からない」
「俺はルーの事が好きだからルーを殺さない」
「!?」
ルーは驚いて俺の事を見る
「ルーは責任から、俺の師匠になってくれたんだよな?でも、もういいんだ…師匠じゃなくて、ルーとして、俺の側にいてほしい」
308: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 14:26:46 ID:gUlMLlO5yg
「君は…私を好いてくれるのか?こんな…私を…」
「過去はどうやったって変えられない。でも、未来はいくらでも変えられるよ。ルー」
俺はルーの手を握りながら
「ルーが父さんと母さんに償いたいなら。俺の側にいて。それがルーに出来る一番の償いだから」
「私…の…」
ルーの瞳に涙が溜まっていく
「ルー…」
俺はルーをゆっくり抱き締めた
「セネ…ル…セネル…セネル!!う、うあああ…」
ルーは幼子のように泣きながら俺に抱きついた
俺はそれを黙って支えた
「いい…のかなぁ…私、私が…許されても…」
ルーは泣きながら俺に問いかける
「いいんだよ。ルーはもう許されるんだ」
「う、うああああ!!」
ルーの涙を拭いながら俺はいつまでもルーを抱き締め続けていた
309: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 14:33:58 ID:MvVpHIxlN.
泣きつかれて眠ってしまったルーをベッドに寝かしつける
ルーの目尻にはまだ涙が残っていたが、安らかな顔をしていた
「さて…ルーク、いるんだろ?」
俺は後ろを見ずにルークを呼ぶ
「セネル君も中々鋭くなりましたね…」
入口から気配がして、ルークが入ってきたのが分かった
「どこまで知ってた?」
「ルーさんの素性しか知りませんでした。これは本当です」
ルークは俺の隣に立ち一緒にルーを見下ろす
「彼女が黄金郷の豪槍だというのは一目でわかりました。ですが、彼女の過去については何も」
「・・・」
「ルーさんは、許されたかったのですね。他でもないあなたに」
「わからないよ」
「あなたは、本当にルーさんが憎くないんですか?」
「俺の言った事に嘘はないよ」
「俺はルーの事が好きだ」
「・・・やはり、君は本当にあの二人の子供ですね」
「さて、邪魔者は退散するとしましょう…あ、そうそう」
出ようとしたルークが振り返り顔を面白そうに歪めながら
「式には招待してくださいね」
捨て台詞を残して去ってしまった
310: 名無しさん@読者の声:2012/12/31(月) 14:36:12 ID:4v/ZcLE.qY
(つД`)っ持続珠
311: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 15:18:42 ID:gUlMLlO5yg
>>310
その持続珠はどういう意味なのか、kwsk聞かせてもらいましょうか
312: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 15:26:01 ID:gUlMLlO5yg
翌朝、俺はルーと一緒に起きた
ルーはずっと無言で、まだ昨日の事を引きずっているらしく俺と目を合わせようとしなかった
まあ…死にたがってたのを止めたんだからな…
俺はルーに頭を下げながら
「ごめん…あんなタイミングで言うのもどうかとおもったんだけど…でも、俺本気だから…」
「・・・」
ルーは何も言わない
「俺のこと…嫌いになってもいいよ…でも、お願いだから側にいてほしいんだ」
「・・・わけないだろ」
「ルー?」
「嫌いに…なるわけないだろ」
俺は顔を上げてルーを見る
ルーはほんのり頬を赤くさせていた
「ルー、ひょっとして照れてる?」
「・・・知らん///」
ルーは顔をますます赤くしてそっぽを向く
その姿が可愛くて、気がついたら俺はルーに飛び付くように抱きついていた
「こ、こら!!セネル!!」
「好きだよ…ルー。大好き」
「っ!!///…ああ」
313: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 15:35:27 ID:MvVpHIxlN.
ひとしきりルーと抱き合った後、ルーと手を繋いでギルドに向かう
ギルドにはルークや村長さんが待っていた
「おはようございます。ハンター様、昨日はお眠りになられましたか?」
「うん」
「それでは、カエデさん。説明を」
「わかりました」
カエデさんが俺のギルドカードを差し出しながら
「改めまして。セネル=ボルアス様、HR4認定おめでとうございます。これであなたは名実共に上位ハンターとなりました」
「上位依頼の斡旋。受付は私がやらせていただきます」
「・・・」
チラリとコノハを見るとあからさまに不満そうな顔をしていた
314: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 15:45:05 ID:gUlMLlO5yg
「それでは上位クエストについての説明をさせていただきます」
「上位クエストと下位クエストの違いは大きく三つあります」
「一つ目、開始地点」
「下位クエストではベースキャンプからスタートしていただき、支給品もございましたが、上位では開始地点がランダムで、支給品も後から届くようになっております」
「理由は二つ目に関連しているので深くは申し上げませんが、いきなり大型モンスターの目の前から開始というのもあり得ますのでご注意くださいませ」
「二つ目、個体の強さ」
「上位モンスターは総じて厳しい環境を生き抜いてきた個体が非常に多いです。また、そのぶん知恵も働きます」
「下位と同じように戦うと死にますのでご注意を」
「三つ目は、素材」
「下位と違い、更に上質な素材をてにいれる事が出来ます。武具防具の強化、作成に役立つでしょう」
「上位クエストについての説明は以上です。他に質問はございますか?」
「もうないよ。ありがとう」
315: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 18:48:51 ID:eVkVJ.l3wU
「ちょ!?ちょちょ!!本当に何もないの!?」
コノハが凄く慌てた様子で聞いてくる
「な、なんだよ…特に何にも…」
「あーるーのー!!」
「・・・何かあるの?」
「なんと!!上位ハンターでも下位のクエストは受けれるんだよ!!知ってた!?」
「・・・いや、知ってる」
コノハはあからさまに落胆して項垂れた
本当になんなんだこいつ
316: 名無しさん@読者の声:2012/12/31(月) 18:52:51 ID:PJdZ8M5cv6
コノハかわいいな〜
モンハンも好感度機能とかつかないかな←
支援
317: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 18:57:01 ID:eVkVJ.l3wU
「ハンター様。ここからは少々真剣なお話になります」
村長さんが真剣な表情で俺に話始める
「最近になり、ジンオウガが渓流付近にまで降りてきた理由が出てきましたの」
「ジンオウガは元々霊峰にすむ子なんですが…その霊峰に最近何かが住み着いたのです」
「ジンオウガが降りてくる程の何かです。以前ユクモ村に危機が訪れていると言いましたね?」
ルークが言葉を繋ぐ
「その後、ギルドの詳しい調査の結果、巨大な影が霊峰に住み着いている事がわかったのです」
「巨大な…影」
ルークの言葉を繰り返す ルークの表情は重かった
318: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 22:10:43 ID:7ulrnFqknA
>>316
キリンとベリオとアズール装備の女の子とにゃんにゃん出来るんですねわかります
皆様こんばんは
さぎしです
ついに残す所数時間で2013年になりますね
この一年色々ありましたが、他の作品含め私がここでSSを書けるのも皆様の応援ご支援のおかげでございます
本当に感謝です!!
さて、少し早いですが今年の投下を終了致します
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでご回覧乙狩れ様でした♪
来年も、一狩りいこうぜ!!
319: 名無しさん@読者の声:2012/12/31(月) 22:24:44 ID:.5wHn4QFp6
0:00回った途端に更新ですね?
わかります
来年もよろしくお願いしまステンバーイ
良いお年をm(__)m
320: 名無しさん@読者の声:2012/12/31(月) 23:26:19 ID:1lXnxp3vvo
今年最後の支援
321: 名無しさん@読者の声:2013/1/1(火) 00:09:31 ID:r2FnmB6dc2
最初の支援
322: 名無しさん@読者の声:2013/1/1(火) 00:15:59 ID:CtXxZyuyE.
あけおめですヾ(≧∪≦)
323: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 14:06:38 ID:VUV.UHoanE
>>319
ところがどっこい
寝落ちです
>>320
>>321
支援感謝です♪
>>322
明けましておめでとうございます。今年もよろしくこのSSをご回覧くださるようお願い致します
324: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 14:15:28 ID:VUV.UHoanE
「ですから、ギルドではその巨大な影の対策として、ハンター様にジンオウガ討伐を依頼したのです」
「俺が?」
村長さんは微笑みながら
「あなたならやりとげられます…あなたのご両親は偉大な方でしたが、あなたはあなたですから」
「私はユクモ村村長として、セネル=ボルアスに期待していますよ」
「・・・」
言葉が出なかった
もちろん恐怖からではない
村長さんが、ここにいる皆が俺の事を一人のハンターとして認めてくれた事が何よりも嬉しかった
「さあ、立ち話もなんですし。セネル君。一狩りいきませんか?」
ルークが依頼書を差し出しながら俺に話しかける 俺がその依頼書を受け取ろうとした瞬間、ルーが横から取ってしまった
「っ!?ひぃっ!!」
ルークが大幅に後ろに下がる
「ルー…あまりルークをからかうなよ…」
「からかってなどいないさ。私はセネルと狩りにいきたい。ただそれだけだよ」
ルーは笑いながら依頼書に名前を書く
やれやれ、拒否権は無しか
325: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 14:25:19 ID:iAQ67aKMvk
「ルーさん…少し積極的になってません?」
ルークがルーをジトーっと見る
「好きな人と一緒にいたいと思うのは普通の事だろ」
ルーはその視線をものともせずに軽く受け流す
・・・って、え?
「ん?どうした?セネル」
ルーが俺の顔を覗き込む
いやいや、おま、いま…
「だ、駄目ですよルーさん!!」
「コノハ?」
コノハがバン!!と受付を叩きながら
「せ、セネル君はスッゴいマザコンで、年上好きで、めんどくさがりやで愛想無くて細かいところに気づいて、周りよく見てて…」
それ、誉めてんのか?けなしてんのか?
「言いたい事がいまいちわからないが、コノハはよくセネルを見てるのだな」
「いや…それはな…」
何故か急に口ごもるコノハ
「と、とにかく!!セネル君はルーさんみたいな人とは釣り合わ…」
「それは私が決める。それに昨夜セネルも私の事が好きだと言ってくれた。つまり相思相愛というやつだ。問題はない」
「なっ!?」
おいばか、なんて爆弾発言してるんだ
コノハも顔面蒼白になってんじゃねーか
326: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 14:33:01 ID:VUV.UHoanE
「これはこれは…私は赤飯を炊く準備をした方がいいでしょうか?」
ルークがニヤニヤしながら俺とルーを見比べる
「近いうちに頼むかもな」
そんなルークのからかいをまたしても軽く受け流す
「皆さん」
全員がビクッと跳ねる
声の主がカエデさんなんだけどカエデさんじゃなかった
「クエスト、いくんですか?いかないんですか?」
「・・・行きます」
俺はルーから依頼書を半ば奪うように取り、自分の名前とルークの名前を書いてカエデさんに出した
何故かって?顔は笑ってるのに目が笑ってないんだよ
「それでは、クエスト アオアシラが大変です×2気をつけてください」
いつもの営業スマイルで送り出すカエデさん
でもいまはそれも怖かった
327: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 22:56:08 ID:IGFgpVzJso
ネコタクに揺られ渓流に向かう俺達
背中ではなく腰に差したリュウノツガイをいじりながらぼやく
「しかし…アオアシラね…随分と手ぬるい感じがするんだけど」
「あまりなめない方がいいぞ。セネル」
ルーが厳しい口調で俺を諭す。ルークも頷きながら
「上位のアオアシラ二頭を甘く見てはいけませんよセネル君。私も苦戦したものです」
「マジかよ…」
信じられなかったが、この二人が口を揃えて言うのだから、警戒はしといた方がいいだろう
「そろそろつくぞ」
ルーが注意をそちらに向けた瞬間、二人の気配が消え、俺は渓流に立っていた
これか、バラバラの場所から始まるというのは
328: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 23:01:17 ID:D9txi/yolg
改めて周りを見回す
一見なんの変哲のない渓流の風景だが、遠くの方にこちらを発見したアオアシラ。近くにこちらに背を向けたアオアシラがいた
アオアシラはこちらに気づくと、お馴染みの両手をあげる威嚇をする
「いきなり目の前かよ…」
俺は剣を抜き走り出す
ルーの話を聞いていて思ったが、父さんのこの持ち方はどうも走りやすい 何か特別な持ち方なんだろうか
そうこうしてる内にアオアシラが目前まで迫る
俺は体を捻りながら切りつけ右に回避する
思った通りアオアシラは俺がいた場所にまっすぐ突っ込んでいった
「はっ!!ざまぁ!!」
俺は勢いよくアオアシラに走り出そうとしたが
「ガァ!!」
「うわっと!?」
もう一匹のアオアシラがこちらに気付き鋭利な爪を振り回してきた
329: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 23:13:01 ID:IGFgpVzJso
「あっぶねー、でも!!当たらなければければどうということは!!」
俺は後ろに向かって走り出す
爪を振るったアオアシラはそれを追いかける
先程突っ込んできたアオアシラがこちらに向き直ると同時にアオアシラの背中に飛び乗り跳躍する
「いっけぇ!!」
俺は上空から爪アシラに向かって飛び蹴りを食らわせる
武器に比べれば随分と威力が低いが、爪アシラを驚かせるには十分だった
「ふっ!でやっ!!」
爪アシラが驚き硬直したところに無防備な腹を切りつける。左右から素早く数回切りつけ、回し蹴りで止めという随分変わった攻撃だが、俺はこの攻撃は好きだった
突進アシラが後ろから迫ってくる
「はっ!!」
怯んだ爪アシラにサマーソルトキックをしてその反動で後ろから迫ってきていた突進アシラの背中に飛び乗る
「でぇいやぁ!!」
右手の剣を掌で回転させながら突き刺す
こうする事により、回転の力で突き刺す力が上がるらしい
「ギャウ!!」
痛みにのけ反った突進アシラから飛び降り改めて対峙する
二匹のアシラは完璧にこちらを敵として見ていたが、こちらは一つ問題があった
「・・・あれ、どっちがどっちだっけ?」
俺は先程までの攻防で、どっちがどっちのアシラかわからなくなっていた
330: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 23:19:16 ID:D9txi/yolg
「ふふ、セネル君も同じ道を歩んだみたいですねぇ」
私から少し離れたら距離から微笑ましそうにセネルを観察するルーク
全く、セネルが怪我でもしたらどうするつもりなんだ
「ああ、ご心配なく。セネル君にもしもの事があればすぐにお助けにはいります」
親指を立て爽やかな笑顔と共にウインクをかますルーク
大半の女ならこれで惚れてしまうらしいが、私は大半の女に括られる存在ではないし、ルークが女性恐怖症なのだから意味がないだろう
「しかし…セネル君のあの戦いかた…曲芸じみてるといいますか…特殊ですね」
「あれはセネルの父親、ジュードの戦いかたにそっくりだ」
「ああ…言われてみれば。彼もよく蹴りを使いましたね。確かに不意を突くには有効ですが…何か意味があるんでしょうか?」
「本人曰く、カッコいいから、らしい」
「・・・」
ジュード達と狩りをしたときに聞いたことがあった
その時は子供っぽいと内心呆れたものだが…
「さぁて、セネル君はこれからどうするんですかねぇ…」
ルークが面白そうにセネルに視線を戻す
私もまた、いつでも助けれるように構えながらセネルを見守った
331: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 23:21:47 ID:D9txi/yolg
皆様こんばんは
さぎしです
セネル君in上位の回でしたが、アオアシラ二頭は皆様もさぞ苦戦したと思われます
ちなみに私はこやして一頭ずつハメハメしました
本日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
332: 名無しさん@読者の声:2013/1/2(水) 00:50:05 ID:7FwZM..EWU
どちらとも関係なくダメージも省みず太刀振り回して切り殺していたあの頃が懐かしい…
っCCCCC
333: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/2(水) 17:05:36 ID:TWKB/Ff3qI
>>332
あれ…?こんなところに鏡置いたっけ…?
支援感謝です♪
334: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/2(水) 17:21:09 ID:TWKB/Ff3qI
「っと、焦っちゃ駄目だ」
俺は剣を構え直し、二頭のアオアシラを見る
幸いにもこの二頭のアオアシラは大きさが違うため判別はしやすかった
「とりあえず…小さい方から!!」
俺は小アシラに駆け出し 数回切りつける
リュウノツガイの炎がアシラの肉を焼き焦がす
「ガウッ!!」
大アシラが爪を振るい俺を切り裂こうとする
「っと、当たらな…」
身を捻ってかわそうとした瞬間、小アシラがいきなり尻餅をついた
「なっ!?ぐあっ!!」
驚いて動けなかった俺はまともにその尻餅に当たる
「な、なんて威力だ…」
直撃して目の前が霞む
これが…上位の威力…
335: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/2(水) 17:28:01 ID:TWKB/Ff3qI
「ガァ!!」
「グァ!!」
「なっ!?う、うわぁ!!」
俺の疲弊を読み取ったのか、突然息のあった連携を見せて俺に攻撃してきたアシラ達
駄目だ…このままじゃ…やられ…
「はああああ!!」
突然大アシラの腹から黒いものがつき出す
それと同時にアオアシラが激痛に悶えた
「8分ですか…まあ、初見にしては大健闘ですね」
涼しい声に振り向くと
ルークが弓をつがえて立っていた
「よく頑張りましたねセネル君。後は私達にお任せください」
そう言いながらルークが小アシラに矢を射つ
だが、小アシラは体を捻りその矢をかわした
「かわした!?」
俺が驚いたが、ルークは笑っていた。なぜなら
「ふんっ!!」
小アシラが体をひねって向いた方向に、ルーが槍を構えて立っていたからだ
ルーの後ろには心臓を貫かれ絶命している大アシラが横たわっていた
小アシラの頭から深々と槍が突き刺さる
小アシラは断末魔をあげる暇もなく絶命した
336: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/2(水) 17:33:12 ID:TWKB/Ff3qI
「す、凄い…」
二人の息のあった連携に俺はゾクゾクしていた
これが…上位ハンター
「セネル!!」
ルーが駆け寄り俺を抱き締める
「うわっと!!ルー!?」
「大丈夫か!?怪我はないか!?」
「お、俺は大丈夫だよ!!」
そんな様子を微笑ましく見守りながらルークは
「セネル君自体の動きは悪くありません。後は防具の新調と…油断しないことですかね」
ルークがチラリと俺を見る
リオレウスの素材で作られた鎧は大きく切り裂かれていた
「セネル君。まずは上位のアシラ装備を作りましょう」
「わかったよ」
ルークの提案を素直に頷く
この二人を疑うつもりはないし、これだけ強かったなら防具も期待が出来そうだ
337: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/2(水) 17:38:29 ID:TWKB/Ff3qI
「・・・なあ、ルー。いつまでこうしてんの?」
「・・・」
先程から抱き締めたまま離れようとしないルーに呼び掛ける
「あの…もしもーし?」
「ルーさんは貴方の事が心配だったんですよ」
ニヤニヤしながらルークが話す
「様子を伺っている間もずっと君の事を心配していましたからね」
「そうなんだ…ルー、ありがとう」
ルーの頭を撫でると、ルーはもぞもぞと動いた
「・・・ん?様子を伺ってた?」
「あ」
「ってことは、ルーもルークも最初から俺の事見てたのか!?」
ルークは目を泳がせながら
「あ、あはは…君がどういう戦い方をするか、今後の参考に…」
「こいつはずっと楽しんでたぞ」
ようやく俺から離れたルーが冷ややかにルークを見る
「あ、あはは…あははは…」
ルークはクルっと振り向き
「さあ、帰りましょうか!!狩りはもう終わりましたしね」
そう言いながら歩き去ってしまった
338: 名無しさん@読者の声:2013/1/2(水) 20:51:10 ID:AsP1X.jGbI
懐かしいなぁー
俺は倒す方にペイント付けて判別してたが…
339: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 14:07:21 ID:whq.aZ6wWc
「お帰りなさいませ皆様。初めての上位はどうでした?」
「うーん…なんか…ちょっとやばかったかな…」
ギルドに戻った俺達を迎えてくれたのはカエデさんだった
コノハは少し出掛けているらしい
「それでは、確かにアオアシラ二頭の討伐を確認いたしました」
「あ…うん」
毎回思うんだが、ギルドはどうやって討伐を確認しているのだろうか
あんな危険な所に調査員がわざわざ行っているとは思えないし…下位はともけ上位クエストなら細心の注意を払うはずだ
俺は頭の中で目立たない格好で俺達につきまとうギルド調査員を想像してしまった
「私はこのあと用事があるので、少し失礼いたします」
ルークが一礼してギルドから去っていく
「俺達も戻ろうか、ルー」
「そうだな」
俺達は自宅に向かって歩き出した
340: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 14:17:00 ID:1rWYGP2MtE
「しっかし…いくらアオアシラとはいえ、やっぱ上位なんだなー」
装備を外し楽な格好になった俺はベッドに寝転んだ
「上位になればそのぶんモンスターはより凶暴に、より知恵をつけている。苦戦するのは当然だ」
「ルーもあるのか?」
ルーは何かを書いていたペンを置いてこちらに振り返り
「あるよ。何度も…時には死にかけた事もあった」
ルーは何かを思い出すように目を閉じる
「セネル。死ぬのは怖いか?」
「は?」
突然ルーが口を開いたかと思えば訳のわからない質問をしてきた
「私は、つい最近まで死ぬのが怖くなかった…」
「・・・」
ルーが顔を伏せて呟く
「だが、今は死ぬのが恐ろしく怖い。君の目の前からいなくなるのが…とても怖い」
「ルー…」
ルーは瞳に優しい光を宿らせながら
「私は前まで罪悪と懺悔の板挟みだった…でも、君が私を救ってくれた」
「・・・」
341: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 14:21:56 ID:1rWYGP2MtE
「私がこうやって前を向き生きて歩いていけるのは、君のお陰なんだよ。セネル」
「ルー…俺…」
「ありがとう」
ルーの言葉は俺の胸を締め付けるようだった
ただ、悪い意味なんじゃなくて、俺にある決意をさせるような感じだった
「ルー…俺も死ぬのは怖いよ」
俺を顔を上げてルーを見つめながら
「でも…俺はルーを守るよ。ルーの為にこの命をかけてみせる…」
「俺はまだまだ半人前で、知識も経験も乏しいけど…ルーを守れるくらい強くなるか…」
342: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 18:20:05 ID:vie1bqmG1I
「・・・」
俺は二の句が告げなかった
何故ならルーが俺を押し倒し唇を重ねていたからである
「ん…んむ…」
「んー!?んー!?」
「ぷはぁ…セネル…」
「ちょ!?ルー!?」
ルーは惚けた目で俺を見つめる
俺は動揺してあたふたするだけだった
「セネル…ん…」
ルーがまた唇を重ねる
舌を口内に入れられ軟体動物のようにまさぐられた
「んー!!んむ!!」
俺は舌を絡め取られひたすらにルーの良いようにされていた
だが、残った理性を総動員してなんとかルーの両肩に手を置き押し離す
「な、何するんだよ!?」
恐らく俺は顔が真っ赤なのだろう。顔が痛いくらいに熱い
「君が…君がいけないんだ…君が、私を…」
ルーはうわ言のようにブツブツと呟きまたググッと距離を縮めようとする
「うわわ!?」
俺は慌てて押す力を強めたが
「・・・邪魔だな」
ルーは俺の両手首片手でを掴むと上に持ち上げた
343: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 18:28:18 ID:s1SFH9qbQY
「っ!?」
手を上にあげ万歳のような格好で手首を掴まれる 振りほどこうとしたが、体格や普段ランスを扱っているルーの力は凄い物なわけで
「ルー!!落ち着けって!!」
「私は十分に落ち着いている」
「落ち着いてるならこんなことしねーよ!!」
ルーは聞こえないとばかりにまた俺に唇を重ねる 口内を舌で蹂躙しながら片手を俺のインナーの中に滑り混ませる
「んーっ!?」
やわやわと胸板を触られ体を跳ねさせてしまう
「ぷはっ…ふふ、敏感なのだな…セネル…ふふ」
妖艶に微笑みルーはインナーを脱がしにかかる
「な、なんでこんなこと…」
「お前が好きだからに決まってるだろう?」
遂にインナーを脱がされ乳首に舌を這わされる
「ふっ!!くぁっ!!」
ルーは俺の乳首を舌で弾きながら片手で時折力を強くして摘まむ
「ルー…やめ…あっ!!」
「セネル…可愛い…」
俺はだらしなく口の端から涎を垂らしてよがっていた
344: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 18:32:25 ID:s1SFH9qbQY
「ルー…やめてぇ…頼むからぁ…」
俺は子供みたいに泣きじゃくりながらルーに懇願するが
「断る。君が悪い」
ルーはやめるどころか更に愛撫の手を強める
「だ、駄目だって…これ以上は…ホントに!!」
「どこが駄目なのか…言ってくれなければわからんなぁ?」
ルーは意地悪く笑う
ああ、ちくしょう。俺は初めてだってのに
悔しさや快感やら色々が混じって俺はただ泣くことしか出来なかった
「セーネル君!!いますかー!!」
「!?」
345: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 18:38:01 ID:vie1bqmG1I
そこに間が悪く
いや、俺にとっては間が良くコノハが家に入ってきた
「上位ハンターになったんならやっぱりモンスターリストをとう…ろ…く」
コノハが俺達を見て絶句する
そりゃそうだ。だって異様な光景なんだから
「ル、ルルルルル、ルーさん!?な、ななな、なにしてんですか!?」
コノハが口をあわあわとさせながら聞いてくる
「決まっているだろう。捕食だ」
ルー俺への愛撫を止めずにコノハに返す
だが愛撫の手は弱まっていた
「コノハぁ…助け…」
俺は神にすがる思いでコノハに助けを求める
「た、助けてって言われても…」
コノハはモジモジして動こうとしない。まて、顔が赤く見えるのは俺の見間違いか?
「お前もどうだ?一緒に」
346: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 18:46:43 ID:vie1bqmG1I
「ふぇっ!?」
どちらのかわからない声を出す
「で、でも…」
チラリとコノハが俺を見る
迷うな、断れ。ていうか、止めさせろ
ルーがわざとらしく片方の乳首をあける
コノハはゆっくりと俺に近づき乳首に舌を這わそうとした瞬間だった
「はい、そこまで」
コノハとルーがひょいと持ち上がる
見ると、カエデさんが二人の襟首を掴んで持ち上げていた
「お、お姉ちゃん!!」
コノハが暴れるが、まるで意に介さない。それどころか
「お二人はじっっくり、お話いたしましょう」
例の笑ってるのに目が笑ってない笑顔をする
コノハは凄い勢いで首を縦に振るが、ルーはボーッとしたままだった
「それではセネル様。また後で」
俺には普通に笑顔を見せてギルドへと消えていった
347: 名無しさん@読者の声:2013/1/3(木) 21:57:40 ID:cZtublxc9Q
こ・・・これは・・・
348: 名無しさん@読者の声:2013/1/3(木) 22:02:14 ID:xOIWPnjO/6
俺もこんな感じに攻められてみt…ゴホンゴホン
少し遅いですが明けましておめでとうございます。 今年も粘っこく支援し続けます。
349: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 22:26:41 ID:RAo/q.JuHo
>>347
どうされましたかな?ん?
>>348
まあ、その気持ちはわからんでもありませ…ゴホン
明けましたおめでとうございます。本年もよろしくお願いします
粘つき支援感謝です♪
ふえぇ…ベタベタだよ////
・・・吊ってきます
350: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 22:32:32 ID:RAo/q.JuHo
一人残された俺は火照った体をを冷まそうとコップに水を注いで喉を潤していた
色んな意味で水分を失った為か、水が喉を伝うのが心地いい
「・・・ルーの奴、どうしたんだろ」
改めてルーの様子を思い出す
明らかに様子が変だった。まるで薬でも盛られたかのように…
そこまで考え、ふとテーブルを見る
ルーが何かを書くのに使っていた手帳と、ペンと…コップ?
俺はそのコップを手に取り臭いを嗅ぐ
「っ!!これ、黄金芋酒じゃん!!」
コップの中に注がれていた金色の液体は珍酒の黄金芋酒だった
何故黄金芋酒が注がれているのか…いや、それより
「まさか…さっきの…酔っ払ってたの?」
351: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 22:37:17 ID:2BBUCgR206
「どうやらそのようですね」
「うわあああああ!?」
突然声がして驚き振り返る
そこにはルークが爽やかな笑顔で立っていた
「どうも、セネル君」
「ルーク…お前いつからいたんだよ…」
「そうですねぇ…」
ルークが顎に手を置き考え込む素振りをし、ややあって
「ルー、俺も死ぬのは怖いよ…の、辺りからですね」
ご丁寧に声真似までしやがった。しかも妙に上手い
「・・・って、最初から見てたのかよ!?」
「ええ、それはもうセネル君が悶える姿を何から何まで」
「うわああああああ!!」
俺は本日二度目の絶叫をした
352: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 22:41:50 ID:2BBUCgR206
「み、見てたんなら助けろよ!!」
羞恥で顔を真っ赤に染めながらルークを怒鳴り付ける
「申し訳ありません。私は女性恐怖症ですし…それに」
ルークは、やや顔を伏せて
「私が…女性恐怖症になった時の事を思い出しまして…」
「ルークが…」
「ええ…」
ルークは少しだけ震えていた
俺はビックリした
あの冷静沈着なルークが震える程の経験をしたなんて…
「何が…あったんだ?」
俺はルークに真剣に聞いてみる
「・・・辛い話ですよ」
ルークは近くの椅子に座り語り始めた
353: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 22:43:34 ID:RAo/q.JuHo
皆様こんばんは
さぎしです
エロ?書くわけないだろ?
本日の投下を終了いたします
見てくださった方々ありがたうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
354: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 16:54:33 ID:REyqDbJZgQ
「あれは、私がG級にあがってまもなくの事でした…その日はガノトトスの討伐クエストを受けてましてね…」
ルークの語る口調は鬼気迫る物があり、思わず俺は姿勢を正していた
「そんなときに狩りに同行したいと申し出たハンター達がいましてね…忘れもしませんよ…」
「キリンXにザザミZ、ザザミXの姉妹…」
「・・・ん?全員女?」
「はい…そしてキリンXはヘビィボウガンで、後はライトボウガンでした」
「バランス悪いな…」
「その時は私も思いましたが、G級ハンターだったので問題ないと思ってたんです…」
「悔やんでも悔やみきれませんよ…あの時断って一人で行っていれば…」
355: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 17:03:37 ID:7Z2YiUeokA
「話を戻しましょう。狩り自体はとても上手くいきました。彼女達も息の合った連携でガノトトスを追い詰めたのです」
「しかし、あと一歩というところで、ガノトトスが逃げてしまい、ペイントと消えていたので場所がわからなくなったのです」
「キリンXさんの判断で、二手に別れる事になり、私はキリンXさんに同行しました」
「私が前を歩いていると、後ろで微かな装填音と同時に弾が飛んできたのです」
「私は急いでかわすと、キリンXさんは申し訳なさそうに謝ってきたんですよ」
「装填してしまおうとしたら誤射してしまった。許してほしいと」
「ガンナーには希にあることなので、私は構いませんと言いましたが…次の瞬間私の背中に何かが刺さり、私は麻痺で動けなくなっていました」
「必死に首だけを動かし後ろを見ると、別れた筈のザザミ姉妹が私にライトボウガンを構えてにんまりしてたんです」
「忘れもしませんよ…あの獲物を手に入れた時の獣のような目…」
356: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 17:12:22 ID:7Z2YiUeokA
ルークがカタカタと震え始めた
「それで…どうなったんだ?」
「私は、ベースキャンプに連れ込まれ…文字通り絞り尽くされるまで犯されました…」
ルークの顔は真っ白だった
「そんな…事が…」
「はい…ですから、先程のセネル君の状況を昔と重ねてしまいまして…まあ、セネル君の方がよっぽど幸運な状況でしたが…」
「ごめん…ルーク」
「いいんです。私もいけなかったのですから」
ルークが疲れたような笑みを浮かべながら励ましてくれる
「そういえば、ルーさんは大丈夫でしょうか」
ルークが思い出したように呟く
そうだ!!ルー!!
「ごめん!!ルーク!!俺、ちょっと見てくる!!」
俺はギルドへの道を駆け出した
357: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 19:24:23 ID:OVSWlYCIKk
「ルー!!」
俺がギルドに駆けつけると、そこには半べそをかきながらカエデさんに起こられているコノハと、ひたすらに渓流天然水を飲んでいるルーがいた
「あぅぅ…ゼネル君〜ごめん〜ごめんね〜」
コノハが俺に気がつきすがりつきながら謝ってくる
いったいカエデさんは何をしたんだ?
カエデさんを見ると、いつもの笑顔で微笑んでいるだけだった
一方、ルーは素面でグビグビと渓流天然水を飲んでいる
「ルーは…何を?」
「ルー様から酒気を感じましたので、水による酒抜きが必要だと判断いたしました」
カエデさんは笑顔のまま事情を説明してくれる
「ルー様は私がお運びしてる間もずっとセネル様の名を呼び続けていました。ルー様はお酒に弱いのですよ」
「カエデさんは知ってたんですか?」
「ルー様とは少々のご縁がありますので」
上手くはぐらかされたような気がするが…ともかく
「ルーは大丈夫なんですか?」
「大丈夫です。私の経験上もうすぐ治りますわ。ルー様はお酒が入ると、特定のものに固執し独占するんですよ」
358: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 19:31:17 ID:.f1NH6m4X6
カエデさんの話からルーは相当酒に弱い事がわかった…いや、それより
「色々と凄い酒癖ですね…今回はたまたま俺だったのか…」
「そうでもありませんよ」
にこやかに微笑み否定とも肯定ともつかないどっち付かずな返事をするカエデさん
「セネル…」
後ろから呼ばれたので振り返ると、いつもの表情でルーが俺に話しかける
「先程はすまなかった」
「いや…いいよ」
いつものように凛とした表情で、先程のような淫魔な雰囲気ではなかった
「というか、大丈夫なのか?」
「私は問題ない。君は優しいな…私の心配をしてくれるなんて…」
「ああ…いや、まあ、うん」
黄金芋酒を所持していた俺に責任はあるし、ルーばかりが悪いわけではない
「・・・あれ?ひょっとして何があったのか覚えてるのか?」
「・・・」
ルーが水を飲む手を止める
後ろでコノハが小さく悲鳴をあげたような気がした
359: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 19:46:43 ID:.f1NH6m4X6
「・・・まあな」
だが、ルーは再び水を飲み始める
おいおい、俺が来てからもう既にコップ8杯は飲んでるぞ?大丈夫なのか?
「ルー…」
不安になり、ルーに近づく
「・・・」
ルーまで後一歩というとき
「それ以上いけませんセネル様!!」
カエデさんの厳しい制止で俺の足は一瞬止まる
「え!?むぐ!?」
その隙を突き、ルーは俺を抱き寄せ唇を重ねた
「んーー!?」
なんてこった。まだ酒は抜けてなかったのか
だが、ルーが次の動作に移るより早くカエデさんがルーの後ろに回り込み首に手刀を食らわせる
「くっ!!」
だが、ルーは咄嗟に体を捻り直撃を避けた
ルーは俺を抱えたままカエデさんから三歩程下がる
360: 名無しさん@読者の声:2013/1/4(金) 20:53:27 ID:iVrzPrlVFw
なんだこのバトルw
361: 名無しさん@読者の声:2013/1/4(金) 21:38:17 ID:NaSHqV57P6
ワロタwww
362: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 22:02:27 ID:FvptZ7Oy6.
「ルー様。あまりお戯れが過ぎますと、私も本気を出すことになりますが」
カエデさんから笑みが消え厳しい口調になる
しかしルーはそれを受け流すようにせせら笑う
「お前が?私に勝てた事のないお前の本気などたかが知れているな」
こいつ、本当に酔っぱらってんの?素面なんじゃないの?
「あの頃と同じと思われては困ります!!」
カエデさんが詰めより突きを放つ
「っ!?」
しかしカエデさんは突然後ろに飛び退いてしまった
ルーは左腕を使い俺を抱き寄せつつ、右手で剥ぎ取りナイフを構えていた
「セネルを抱えたままは少し動きづらいが…」
そう言いながらゆっくりとカエデさんから距離を取る
「最後だ。カエデ。次に攻撃をしてきたら…この場でセネルを犯す」
「・・・はいぃぃぃ!?」
あまりにも突然出た死刑宣告に俺は暴れて抗議をする
「ちょ!!おいルー!!聞いてないぞ!!てか、お前素面なんじゃないのかよ!!」
「セネル…あまり暴れるな。君に危害を加えるつもりはない」
「それが危害なんだよ!!」
363: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 22:08:57 ID:FvptZ7Oy6.
俺は暴れながらこの場をどうにかしようと頭を働かせる
このまま暴れてルーに隙を作ればカエデさんが助けてくれるかもしれない しかしそれだと右手にあるナイフが最大の邪魔だ。かといってこのままなにもしなかった公開処刑は免れない
俺はふとあることに気づく
俺の左手が、ルーが先程飲んでいた水のコップに手が届くことを
やるしかない
俺は覚悟を決めてコップを掴んだ
「!!」
ルーが俺の動きに一瞬注意を向ける
そこにカエデさんがまた突きを繰り出そうと前に進んだ
「ごめん!!ルー!!」
俺は水をルーにかけた
バシャアという音と共にルーの顔に水がかかる
ルーは咄嗟に顔を背けたが、そのせいでカエデさんへの注意が逸れる
「っ!!」
今度こそカエデさんの手刀がルーの首に当たり、ルーは気を失った
364: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 22:13:27 ID:FvptZ7Oy6.
「ありがとうございます…セネル様」
「いや…うん…」
咄嗟だったとはいえ、ルーには酷い事をしてしまった
カエデさんからタオルを借りてルーの顔を拭き取る
「これほどまで固執したのは初めてです…そんなにセネル様の事を…」
カエデさんがなにかを呟いたような気がしたが、あまり聞き取れなかった
「セネル様、ルー様の介抱は私がいたします。セネル様は自宅へとお戻り下さい」
「はい」
あらかた顔を拭き取り終わり、首まで拭きかけたとき、俺は気づいた
ルーの服にまで水滴は飛んでいる
ルーの着ていたのは白のシャツ
俺はタオルをカエデさんに押し付けると逃げるようにギルドから出た
365: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/5(土) 00:06:19 ID:kS4dlMjAuI
その後の事はよく覚えていなかった
自宅に戻った俺は疲れからそのままベッドで寝息をたててしまった
一時間かそこらだろうか 寝返りを打とうとして顔が柔らかい物に包まれる
恐る恐る目を開けると白 ・・・じゃなくて、双丘が
「っ!!」
咄嗟に離れようとしたが、何者かに押さえつけられ離れられなかった
まずい、これは非常にまずい
俺の頭の中がまずいで埋め尽くされそうだった時
「ん…起きたか、セネル」
「ル、ルー…?」
目の前の双丘の持ち主
というより、冷静に考えたら押さえつけてる犯人はルーしかいないわけであって。更に言えばルーは普段こんなことしないわけで
「セネル…好きだ」
ルーが押さえつける力を強める
顔が押し付けられ息がしづらくなり
「ル、ルー!!息が出来ないよ!!」
そう叫ぶと、突然力が弱まった
366: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/5(土) 00:10:29 ID:stc8zXio6w
「!?」
驚いて起き上がると、ルーは寝ていた
「ようやく効いてきましたか…」
部屋の奥からカエデさんが疲れた顔をして入ってくる
所々服が乱れてるのは激闘の跡なんだろうか
「即効性の麻酔を打ちました。しばらくは安全です…目を覚ませば元通りだと思いますので…しばらくは…ご不便をおかけします」
「は、はぁ…」
ご不便というのは、先程から手首を掴んで離さないルーの事を言ってるのだろう
「私は…職務に戻ります…では…」
余程疲れてるのか、笑顔も見せずにギルドに戻っていくカエデさん
俺はその後ろ姿を黙って見送った
367: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/5(土) 00:12:50 ID:stc8zXio6w
翌日、カエデさんの言った通り、ルーは元に戻っていた
不幸中の幸いか、記憶は一切無いらしく、昨日の出来事をまるで覚えていなかった
なんか複雑だが、触らぬ神になんとやら
俺はこの事には触れないように心に誓った
368: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/5(土) 00:15:52 ID:stc8zXio6w
皆様こんばんは
さぎしです
まずは謝罪をさせてください
昨日からすいませんでしたーー!!
改めて読み返してみたらまるでモンハン成分がないという恐ろしい事態になっていました
もはやこれはモンハンSSの名を借りた何かになっていましたね
本当にすみませんでした
本日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
369: 名無しさん@読者の声:2013/1/5(土) 00:19:33 ID:iM2L5FqJfI
、、、、、、おねいさん、
あえて言おう。
またアンタか!
過去作品探そうと酉検索かけた結果がこれだよ!
支援だよ!
370: 名無しさん@読者の声:2013/1/5(土) 01:09:59 ID:OVSWlYCIKk
いや、モンハンを経由しての話しだし、全くもっておもしろいし良いと思う。つーかさぎしさんの作品は脱線しようがなんだろうが楽しいし早く次を読みたくなる素晴らしい作品だと思う。マジで大好き。なんならモンハンシリーズに限らず他の過去作、現行スレ共々書籍化してほしい。
ただ、唯一わがままを言うならエロ要素を取り入れる作品はとことんエロを入れてほしい。生殺しに何度か泣いたからね?←
っCCCCCCCCCCC
371: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/5(土) 15:56:14 ID:N0iEIhkfnQ
>>369
なぜ検索したし
支援感謝です♪
>>370
いや、まあね?私だってエロ書きたいですよ?
自慢ではありませんが、今までのSSキャラクターを何度頭の中で喘がせた事か…
文に起こそうとすると謎の発熱が起こるんですよ まあ、とりあえずこの作品に必ずエロいれるんで勘弁してくださいな
支援感謝です♪
372: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/5(土) 16:03:42 ID:N0iEIhkfnQ
「今日はロアルドロス亜種の狩猟を行う」
孤島に向かうネコタクの上でルー告げられた言葉
「ロアルドロス…とはどう違うんだ?」
「基本的な動きはあまり変わりはありませんが、毒を持ってるのでお気をつけください」
「原種と違うのは首の回りにあるスポンジに毒を溜め込んでいるという事だ。スポンジを破壊することで毒を弱める事がある」
「ふ〜ん」
「基本的な立ち回りは原種と同じで構いませんが、毒があること。上位であることを忘れないようにしてください」
「わかった。ありがとう。ルー、ルーク」
「そろそろ着くぞ」
ルーの視線が前方を見た瞬間。俺達はバラバラになった
373: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/5(土) 16:10:57 ID:NaSHqV57P6
「さて…と」
俺は地面に足がついたのを確認して目を開けると
「・・・」
目の前が青だった
「って、アオアシラかよ!?」
急いで後ろに飛び退き距離を取る
アオアシラはこちらに気づくと両手を上げて威嚇してきた
さて…どうする?
ここでアオアシラを倒すか、それとも無視するか
アオアシラを倒せばロアルドロスとの戦いにおいて邪魔されずにすみそうだが、俺一人で戦ってる内にルークとルーが倒し終わってしまうかもしれない
「だったら…ここは!!」
俺はアオアシラに背を向け一目散に走り出す
アオアシラはこちらの動きについていけず、少しだけぽかんとしていたが、すぐに我に帰り追跡をしてきた
374: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/5(土) 16:16:46 ID:TbIaTri9k.
「へっ!!捕まるかよ!!」
俺とアオアシラの距離がドンドン開けていく
このまま逃げ切るのは余裕だったが
「うわっぷ」
前を見なかったせいで何かにぶつかってしまった。ぶつかったものを確認しようとしたとき
目の前が紫だった
「っ!?」
その紫がゆっくりとこちらに向く
その姿は紛れもなくロアルドロスなのだが…
「これが…ロアルドロス…亜種?」
俺がそう呟くと同時にロアルはググッと唸り口から紫色の球体を吐き出した
「っ!!」
間一髪でそれをかわし抜刀する
姿形はロアルドロスなのに、全身が毒々しい紫色
「こいつであってるみたいだな…」
俺は誰に聞かせるでもなく呟いた
375: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/5(土) 16:25:32 ID:NaSHqV57P6
「せぇいやぁ!!」
ロアルの足を切りつけ、蹴り飛ばす
しかし、ロアルは丈夫な前足で凪ぎ払ってきた
「っ!!これにも毒!?」
俺はギリギリでかわしロアルから距離をとる
ルー達の説明通り、毒を保有しているが…
「撒き散らし過ぎだろ…」
先程から幾度となく口から毒を吐き出しているのにロアルはまだ毒を吐き出せる様子だった
「アオアシラもまだ近くにいるし…早めに倒す!!」
俺は素早くロアルに接近し鬼人化する
「うりゃああああ!!」
そのまま上下左右から剣撃を叩き込み蹴りをお見舞いして距離をとる
ロアルは全く意に介さないどころか、その巨体を転がして俺を潰そうとする
「くっそ!!ゴロゴロうっとおしいんだよ!!」
俺は片方の剣をロアルに向かって投擲する
投擲された剣はロアルのスポンジに深々と突き刺さった
「ギャオオオオ!!」
ロアルが痛みにのけぞる
「これなら!!」
俺は跳躍し、刺さった剣を踏みつけ押し込んだ
376: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/5(土) 16:33:08 ID:TbIaTri9k.
剣を柄まで深々と突き刺され悶絶するロアル
「よし…いけ…ぐあっ!?」
突然横殴りの衝撃が俺を襲いかかり、横に吹き飛ばされる
なんとか受け身をとり着地をすると
「アオアシラ…!!」
アオアシラが腕を振り上げ威嚇する
「まずいな…」
片方の剣はロアルのスポンジに突き刺さったままであり、アシラとロアルに合流されるとかなり厄介だった
「ギャウワ!?」
突然アオアシラが悶え苦しむ
見るとアシラの腹から槍が突き出ていた
あれ?これどこかで見たことあるような…
すると俺のためにすぐ脇を矢が掠める
矢は真っ直ぐアオアシラに向かい、アオアシラに突き刺さると爆発して燃えた
377: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/5(土) 16:39:52 ID:NaSHqV57P6
「危ない所でしたね。セネル君」
「ルーク!!」
ルークが弓を構えながら俺の前に出る
アシラから槍が引き抜かれると同時にアシラの影からルーが現れた
「さて、反撃と参りましょうか」
ルークが弓を構えロアルに近づく
「ルーク!!でも、俺、剣を…」
「剣?」
ルークはスポンジに突き刺さっている剣を発見すると
「あれ、君が?」
「あ、ああ…」
「随分大胆な事をしますね〜」
ルークはと笑い声をあげながら弓を構える
「ルーさん!!」
ルークの呼び掛けにルーが黙って動き始める
どうやらルーも気づいていたらしい
378: 名無しさん@読者の声:2013/1/5(土) 18:25:58 ID:Pbazb/4M0E
わーいさっちゃんペロペロ
っCCCCCCCCCCCCC
379: さぎし(prprせんといて) ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 00:34:15 ID:Q1oDtCSZsQ
「はあっ!!」
ルーが槍を突きだしロアルのスポンジに当てる
ロアルは尻尾でルーを吹き飛ばそうとするが、ルー盾で攻撃を弾く
「はい。セネル君」
「ん?」
ルークが笑顔で俺に角笛を渡してきた
「・・・なにこれ」
「お願いしますね。では」
ルークは弓を構え曲射をし始めた
上空で散った矢が雨となりロアルの体に突き刺さる
ロアルが目標をルークに変えた瞬間
「今です!!」
「ちょ!!どうなっても知らないからな!!」
俺は角笛を高らかに吹き鳴らす
「グルゥ!!」
モンスターを挑発させる効果のある音色によりロアルが真っ直ぐ俺に突っ込んでくる
「くそっ!!武器は一本しかないのに!!」
「そのままでいてくださいセネル君!!」
ルークが俺の肩から矢を放つ
放たれた矢がロアルを貫通し、スポンジから背中を貫いた
380: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 00:40:07 ID:Q1oDtCSZsQ
「っ!?」
矢が貫いた瞬間僅かな金属音と共に刺さっていた筈の剣が俺の手元にあった
「ちょっと角度を計算しましてね、では、止めをお願いします」
ルークは優雅に一礼をする
俺は剣を持ち直しロアルに走り出す
ロアルの後ろからルーが突進してくるのが見えた
「うおおおおお!!」
「はあああああ!!」
俺は大きく跳躍し、ロアルの頭上から首を切り裂く
ルーは突進の勢いを弱めずにロアルの腹を貫いた
「グアァ…」
ロアルは力ない断末魔をあげながら地に倒れ伏した
381: さぎし(投下終了 明日に続く) ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 00:45:19 ID:Q1oDtCSZsQ
「いやぁ、お見事。息の合った連携でしたね」
「笑い事ではない。もしもセネルに何かあったらどうするつもりだったのだ」
俺はロアルドロスを剥ぎ取りながら二人の口論を聞いていた
というか、あれぶっつけだったのか
「おーい、二人とも…剥ぎ取り終わっ…」
突然言い様のない不安が俺のために胸を締め付けた
「っ!?」
咄嗟に辺りを見回すが、何もない
なのに、何かが近くに来ているような感じだった
ルークとルーは空を見上げていた
「・・・来ましたか」
「ああ」
二人の呟きが何を指しているのか、この時の俺はまだ理解出来なかった
382: 名無しさん@読者の声:2013/1/6(日) 01:01:14 ID:iM2L5FqJfI
個人的にエロは自重して欲しい、、、
下ネタはいいけど濡れ場は苦手なので
まあ僕のわがままなのでお気になさらず。
どうやらエロ希望の人もいるみたいですし
383: 名無しさん@読者の声:2013/1/6(日) 01:04:00 ID:BC1ymxvK56
エロ入れるなら入れる。入れないなら入れない。中途半端が嫌だって事じゃないかな?
まぁ、書き手の自由だから外野は黙って読もうよ。
支援支援♪
384: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 10:07:08 ID:U23SbCrfjQ
>>382
まあ、エロについては賛否両論ありますが…
私にとってはやはり書いてみたいです(願望)
結構ちょくちょく書いてますけど、やっぱり挑んだ事のない。苦手なジャンルにも挑戦したいんですよね。まあ、それで駄文が改善されるわけではありませんが…
でも、ご意見ありがとうございます。なるべくあっさりした表現にするよう努力します
>>383
確かに中途半端は良くないですね。この作品ではもう書き溜めの段階で既に入れてますが…
やっぱり生殺しは良くないですね
なるべく善処いたします
支援感謝です♪
385: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 10:18:34 ID:U23SbCrfjQ
「来たって…なにがだよ…」
「話は後で、先にベースキャンプに戻りましょう」
ルークに言われ俺達はベースキャンプに戻る事にした
「何が起こってるんだ?」
ベースに着いた俺はとりあえずベッドに腰かける ルークは弓の手入れをしながら俺に聞いてきた
「セネル君は過去に乱入された事はありますか?」
乱入?何が?
俺が頭の上に?を撒き散らせていると
「ある。ジンオウガに一回だけ」
「なるほど…」
ルーが答え、納得したようにルークが頷く
なんか、話がいまいち見えてこないんだが
「セネル君。これは君に選ぶ権利があります」
ルークはいつになく真剣な顔をしながら
「今、この狩り場に危険なモンスターがいます。それを狩るかどうか…」
「グオオオオオオオ!!」
「っ!?」
386: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 10:25:29 ID:U23SbCrfjQ
ベースキャンプにまで響く咆哮。俺は咄嗟に辺りを見回す
「・・・話の途中だったんですがね」
ルークが嘆息気味に呟く
「細かい事はいい。つまり、新しいモンスターを狩るか狩らないかだ」
ルーが分かりやすく俺に説明してくれる
「狩らないかって?」
「私達が依頼されたのはロアルドロス亜種の狩猟。それ自体は達成している。つまり、このままギルドに戻れるというわけだ」
「新しく現れたモンスターは?」
ルーは少し考え込むような素振りをして
「恐らくギルドが処理してくれるだろう」
ルーは兜を脱いで俺を見る
「どうする?君が決める事だ」
387: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 10:30:35 ID:4NF1gd8sDA
「・・・行ってみよう」
「わかった」
ルーは兜を再び着けて槍を背負う
「支給品が届いている。持ってくといい」
ルーに言われ支給品ボックスを見てみると、先程までなかった支給品が詰め込められていた
「そうと決まったら善は急げです。二手に別れましょう。セネル君とルーさんでお願いします」
「わかった」
「では、参りましょうか」
「ルーク、無理はすんなよ?」
「わかってますよ」
ルークは笑顔で歩いていった
「私達もいこうか」
ルーに言われ俺達も歩き始めた
いったい、どんなモンスターが来たのだろうか…
388: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 10:38:13 ID:U23SbCrfjQ
俺とルーはモンスターを探しながら飛竜の巣に来ていた
といっても、ルーに着いていったら辿り着いたのだが
モンスターを探そうとしてルーから離れようとしたら離れるなと言われたので、今は後ろを歩いている
ルーは地面をしきりに触り、時々考え込みながら
「先程までいたな…」
ルーは立ち上がり辺りを見回す。片手は槍に手が伸びていた
「ん?」
突然、俺の頭の中にルークが何かと戦ってる様子が飛び込んできた
場所はそんなに遠くない
「ルーク?」
「どうした?セネル」
「いや…なんか…」
俺が口ごもった瞬間、ペイントの香りが漂う
俺とルーは咄嗟にペイントの出所を探る
「こっちだ!!」
ルーが走りだし崖を飛び降りる
俺もルーについていき崖を飛び降りた
389: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 10:50:24 ID:4NF1gd8sDA
俺達が崖から着地したエリアでは、ルークが先に戦っていた
前から思っていたが、あの高さから飛び降りたのに足の骨が折れないのが謎である
そんなこと、今はどうでもいいとして
俺はルークが対峙しているモンスターを見て緊張が走る
赤い甲殻の凶暴な飛竜
火竜 リオレウス
「っ!!」
リオレウスがこちらに振り向き俺達を発見する
俺は固まってしまったが、ルーの行動は早かった
槍の盾で俺を吹き飛ばし、自分はステップで離れる
直後、俺達がいた場所をリオレウスのブレスが通りすぎた
「ボサッとするな!!セネル!!」
ルーに叱咤されて俺は慌てて起き上がる
呆けてる暇なんてない
390: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 11:19:54 ID:WwpOb4s0Qo
「うおおおおお!!」
俺は起き上がり抜刀しながらリオレウスを切りつける
リオレウスの足を狙ったのだが、歯が立たないわけではないが、ダメージはそれほどないようにも見えた
「はあっ!!」
ルーがリオレウスの真っ正面から顔を突く
リオレウスの怒りの咆哮をし、バックブレスを放った
「くっ!!」
ルーは咆哮とブレスをガードするも、スタミナが一気に削られていた
それを好機と読んだのかリオレウスが低空飛行でルーに突撃する
「ルー!!うわっぷ!!」
ルーを助けようと走り出すが、風圧により押し戻されてしまう
リオレウスとルーの距離はドンドン狭まっていく
「・・・ふっ!!」
ルーは残るスタミナを使ってサイドステップをする
ルーの顔のすぐそばをリオレウスの足が通りすぎた
391: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 19:18:06 ID:.f1NH6m4X6
「くっ!!」
風圧の衝撃か、スタミナ切れか、ルーがほんのすこしよろめく
だが、上位ではそれが命取りになる
「ルーさん!!」
ルークが危険を感じてルーを呼ぶ
だが、リオレウスはルーに振り返りためらないなくブレスを放った
「なっ!?ぐああっ!!」
ルーがブレスに吹き飛ばれ俺の近くまで転がってくる
「ルー!!しっかりしろ!!ルー!!」
やってはいけないけど、ルーを揺さぶり意識を確かめる
「あ…セネ…ル…」
ルーの鎧は黒く焦げており、綺麗な金色が醜い黒になっていた
「逃げ…ろ…」
ルーは虚ろな瞳で俺の手を弱々しく握ると、そのまま気を失った
「ルー!?しっかりしてくれよ!?ルー!!」
「セネル君!!ルーさんを安全な場所に!!」
俺はルーの手を握り返すも、ルーは答えてくれなかった
392: 名無しさん@読者の声:2013/1/6(日) 19:23:14 ID:ZVvoP18ass
死んだか…
393: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 19:26:24 ID:OVSWlYCIKk
「失敗でしたかね…」
私は必死にリオレウスを牽制しながら忌々しげに呟く
今の私はリオレウスに対して効果の薄い炎属性の弓
要のルーさんはリオレウスのブレスを直撃負傷。セネル君は戦意喪失
これ以上の被害拡大は食い止めなければ…
「セネル君!!引きましょう!!急いでルーさんの手当てを…セネル君?」
セネル君は返事をしませんでした。ただ、ゆらりと立ち上がり、武器をとる
「セネル君…何を…っ!?」
セネル君はゆっくりとリオレウスに向き直る
その時に私は見てしまった。いや、感じてしまったというべきか
セネル君から溢れて収まりきらない程の殺意を
「うあああああああ!!」
およそ人間の脚力とは思えない速さ。まさに一瞬と呼ぶべきスピードでリオレウスの目の前まで走ったセネル君は、剣をリオレウスの顔に叩きつけた
394: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 19:33:36 ID:OVSWlYCIKk
「グガァ!?」
リオレウスにとってはまさに突然の出来事
思わず大きくのけ反り後ろに下がる
「はあああああ!!」
セネル君は大きく振りかぶり回転しながら切りつける
「ガァ!!グルゥ…」
リオレウスは怒りを燃やしてセネル君を睨み付ける
しかし、セネル君は
「だあああ!!」
そのまま回転蹴りをリオレウスの顔に叩き込む
「っ!!ルーさん!!」
私は急いでルーさんのもとに駆け寄り意識を確かめる
・・・良かった、息はしている
しかし、息がか細いこのままでは…
「死なせませんからね!!」
私は必死に薬を飲ませようとしたが、手が動かない
冷静に考えたら私は女性に触れた事がなかった
「がああああああ!!」
驚いて振り返ると、セネル君がリオレウスの頭突きをくらい吹っ飛ばされているところでした
395: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 19:43:17 ID:OVSWlYCIKk
「グルルル…」
リオレウスがこちらを向く
どうやら標的を私達に変えたらしく一直線に突っ込んできます
私は咄嗟に武器を構えようとしましたが、弓ではとても間に合いそうにありませんでした
「うおおおお!!」
セネル君が剣を両方共投擲し、リオレウスの顔に刺さります
「ガアウ!!」
痛みに急停止するリオレウス。セネルは剣を乱暴に引き抜くと、おもいっきり蹴り上げました
「いかせるかぁぁぁ!!」
セネル君は鬼人化し、乱舞をリオレウスに食らわします
・・・セネル君は命懸けで戦っているのに…私は女性恐怖症という理由で、ルーさんを助ける事が出来ないのか?
「そんなの…そんなの間違ってますよ!!」
ルーの頭を液体が飲みやすいように持ち上げる
心臓が高なる。動悸が早くなり、呼吸が乱れる
苦しい、怖い、痛い
でも、ここでルーさんを死なせてしまったら、私はセネル君に顔向けが出来ない!!
私は震える手でルーさんに薬を飲ませました
396: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 20:16:27 ID:f..8jqvYIw
「っ…あ…」
手放していた意識が甦り、苦痛に顔を歪めながら体を起こす
「ここ…は…」
「ルーさん…気がつきましたか?」
「ルーク?」
ルークが私を抱えて辛そうな顔をしていた
「お前…確か」
「はい。今も結構ギリギリなので動けるなら離れていただけると…」
「す、すまない」
慌ててルークから離れる 徐々に意識がはっきりしてきた
「リオレウスは!?狩りはどうなった!?」
「・・・」
ルークは震える手で一点を指差す
そこに視線を移動させた時、私は驚愕した
「セネル!?」
397: 名無しさん@読者の声:2013/1/6(日) 20:21:51 ID:hw6LGUgJ26
お願いします!この狩らが終わるまで投下して下さい!途中で終わったら寝れない…
398: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 22:08:50 ID:n8gUqnX.1k
「はああああああ!!」
何度目かわからないくらいに剣を叩きつける
コロサナキャ
リオレウスが痛みに悶え苦しむ
コロサナキャコロサナキャ
左右から連撃を叩き込む
コロサナキャコロサナキャコロサナキャ
ルーに当てたブレスを吐こうとするのを殴って止める
コロサナキャコロサナキャコロサナキャコロサナキャ
「ガアウ!!」
リオレウスの右頬がへこんで骨が砕ける
俺は構わずに剣を降り続ける
コロサナキャコロサナキャコロサナキャコロサナキャコロサナキャ
よくも…よくもルーを!! 殺さなきゃ!!
「セネル!!」
「!!」
399: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 22:25:37 ID:n8gUqnX.1k
「ルー…?」
ルーの声がしたので振り返ると、ルーが起き上がって俺を呼んでいた
なんだ…ルー…目、覚めた…
「ガア!!」
体が燃えて吹き飛ぶ
どうやらリオレウスにブレスを吐かれたようだ
「セネル!!」
ルーが悲鳴に近い声で俺を呼ぶ
何故だろう…全然痛くない
「ガアアアアアア!!」
リオレウスが咆哮をする
「うるっさいんだよ!!さっきからぁ!!」
俺は剣を乱暴にリオレウスに叩きつける
右手、左手、右手、左手
交互に叩きつけリオレウスを切りつける
もう、切るなんて呼べないのかもしれない
リオレウスの顔がドンドン歪む。いい気味だ
「ぜああああ!!」
満身の力を込めて両手で降り下ろす
グシャっという音がしてリオレウスは息絶えた
400: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 22:30:07 ID:tYrmy1Mm3k
俺はゆっくりと振り返りルー達を見る
ルー達は未だに化け物を見るかのような目でこちらを見ていた
なんで?なんでそんな目で見るんだよ…
血塗れの手?変形した…剣
「っ!?ぐあああああ!!」
体が引き裂かれそうな痛みに俺は絶叫する
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!
「セネル!!」
ルーが駆け寄ってきて抱き締めてくれる
「セネル!!しっかりしろ!!」
「ルー!!痛い!!痛いよぉ!!」
俺は子供みたいにワンワン泣きながらルーにしがみついていた
ルーも俺の事を抱き締め返してくれて、優しく頭を撫でてくれていた
401: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/6(日) 22:33:15 ID:tYrmy1Mm3k
皆様こんばんは
さぎしです
セネル君は実は化け物だったでござるの巻(嘘)
しかし、なんとかモンハン成分に起動修正出来て良かったですよ。はい
このままイチャコラしてるだけのSSとか、こんなんモンハンじゃなえ
本日の投下はこれで終了となります。見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
402: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/7(月) 05:54:02 ID:w1YC/L5Ruc
そのあと、俺達はどうやって帰ったのか、あまりよく覚えていない
覚えている事と言えば、ルーとルークが必死に俺を励ましてくれていたこと。二人とも様々な薬で必死に痛みを和らげようとしてくれたこと。体が引き裂かれるように痛かったこと
今は自宅のベッドに寝かされている
側にはルーがいるが、自分も負傷したのに1日中俺を看病して力尽きたのか寝てしまったらしい
いったいあれはなんだったのだろう
ルーがブレスに吹き飛ばされ、俺の手を握り返す力が無くなった瞬間、俺の意識が朦朧とししたのは覚えてる
わかっているのは、どうしようもないくらいにリオレウスにぶつけた…殺意
「俺…なんであんなこと…」
今思えば無茶をしすぎたのかもしれない
危険な、それも上位の飛竜の目の前に立つなど正気の沙汰とは思えなかった
403: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/7(月) 05:58:10 ID:mPH/90lhss
「ん…んん…」
もぞもぞとルーが動く
ルーを守る為にやったことなのに…何故か、自分が凄い悪者に思われてるような気分だった
「散歩でもしてくるかな…」
ルーを起こさないように慎重にベッドから降りる。ルーには近くにあった薄い布団をかけた
「ギルド…今、誰かいるかな?」
俺は少しだけ痛みと戦いながらギルドへと足を動かした
404: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/7(月) 06:23:54 ID:MNVYXW8WpQ
ギルドは相変わらずの過疎っぷりだった
ユクモ村にいるハンターが三人しかいない為だろう。そういえば村長さんも活気がほしいと嘆いてたっけかな…
コノハとカエデさんが書類整理をしている
といってもそれくらいしかやることがないのだが
「邪魔…みたいだな」
呟いた言葉を聞き取ったのか、コノハがこちらを向く
「っ!?」
目を見開き体をビクッとさせて俺を凝視する
コノハが持っていた書類がバサバサっと音をたてて落ちた
「コノハ?何して…」
カエデさんも俺に気付き目を見開くが、すぐに
「おはようございます。セネル様。そのご様子ですとお体は無事なようですね」
「うん…まあ…」
実際大丈夫じゃないが、動けないわけでもないし、とりあえず頷いておいた
「なんだよ…コノハ、そんな幽霊を見るような目をし…」
「セ、セ、セネルぐぅぅん!!」
「おわっ!?」
コノハは物凄い顔で俺に飛び付いてくる
「よがっだぁ!!よがっだよぉぉ!!」
「わかった!!わかったから、離せ!!離してください!!」
405: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/7(月) 06:30:40 ID:MNVYXW8WpQ
なんとかコノハを宥め、俺はカウンターに座り飲み物をもらっていた
「本当に心配したんだからね!?リオレウス乱入でルーさんが負傷って聞いたのに、セネル君が意識不明で帰ってくるんだもん!!」
「悪かったよ。ごめん」
コノハは顔を真っ赤にして怒っている。そんなに心配だったのだろうか
「改めましてセネル様。ロアルドロス亜種の狩猟並びにリオレウス討伐お疲れ様でした」
カエデさんがそう言ってくれた時、クエストが終わったとようやく実感して、少しだけ心が楽になった
「さて…ここからお話があります。セネル様にとっていい話かどうかは分かりかねますが…」
カエデさんが真剣な面持ちで話始めた
406: 名無しさん@読者の声:2013/1/7(月) 21:23:56 ID:aa2jxbpe7k
wktkwktkCCCCCwktkwktk
407: さぎし(支援感謝です) ◆CmqzxPj4w6:2013/1/7(月) 22:55:19 ID:repttFbQKM
「現在。ギルドではセネル様をHR5に引き上げるという動きがあります」
「え!?」
俺は思わず立ち上がる
HR4になったのがつい最近の事なのにいきなり過ぎやしないだろうか
「セネル様は事実上、乱入したリオレウスを討伐した。という形になっておりますので、恐らくギルドはそこを評価したのだろうと思われます」
「・・・」
リオレウスを倒したのは俺の力じゃない
その言葉を言おうとしていい淀む。気がついたら体が勝手にとか、俺の意志とは関係なくといっても、ギルドは俺が討伐したと言うのだろう
「・・・HR5に上がる為の、クエストは?」
「迅竜 ナルガクルガの討伐でございます」
408: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/7(月) 23:00:07 ID:repttFbQKM
「ナルガクルガ…」
下位で数回ルーと共に戦った事はある。しかし、上位ということは強さは未知数だろう…それに…
「・・・一人で、ですよね?」
「いえ、違います」
はい?
「というより、村長から依頼されるクエストを除き、原則ギルドからの依頼は全て大人数での受注が可能です」
「え?じゃあ、ルーとルークを連れてっても?」
「問題ありません」
・・・初めて知った
というより、誰も教えてくれなかったんだな。多分
「はぁ…少し緊張して損した…」
俺は力んでた体をカウンターに突っ伏する
「セネル!!」
入り口から声が聞こえたので振り向くと、ルーが息を切らして立っていた
409: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/7(月) 23:03:59 ID:mkjLEtwy6U
「あ、ルー…!?」
ルーは俺に近づくと力の限り抱き締めてきた
「探したぞ!!馬鹿者!!」
ルーの声は震えていた
息切れや体の暑さから村中を走り回ったのだろう
「ごめん…ルー…」
「お前が…お前が目の前からいなくなったとき…私が…どんな思いで…」
ルーの手の力がドンドン強くなる
強くなる理由は分かってるのに、情けないことに俺はそれを黙って受け止める事しか出来なかった
410: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/7(月) 23:09:11 ID:repttFbQKM
「お取り込み中申し訳ありませんが…」
ルークが入り口から入ってきて、俺達を見つけるとまっすぐに駆け寄ってきた
「セネル君、聞いているとは思いますが…」
「わかってる、HR5だろ?」
「っ!?なんだそれは!?」
ルーが掴みかかるように俺に問い詰める。俺はいままでのいきさつを簡単に説明した
「セネルが?でも…あれは…」
ルーが言おうとして口ごもる
そうだよ、ルー。ギルドは結果しか見ないんだから
「当然。私達もお供させてもらえますよね?」
「もちろん。仲間なんだから」
ルークは俺の言葉を聞くと嬉しそうに
「良かった、役立ずはいらないと言われたらどうしようかと…」
俺がルークにそんな事言えるわけがない
「明日、出発しよう。皆は体を休めててくれ」
411: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/7(月) 23:10:07 ID:repttFbQKM
皆様こんばんは
さぎしです
本日の投下を終了します。見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
412: 名無しさん@読者の声:2013/1/7(月) 23:51:14 ID:ybRiD2Xm4Q
風邪を引き、寝込んでいた正月休みに何度も読み返しちゃいました
今後も楽しみにしてますが、無理して体調を崩さないでくださいね。
413: 名無しさん@読者の声:2013/1/8(火) 00:43:11 ID:5doDPcEGjU
ナルガたんハァハァ
414: 名無しさん@読者の声:2013/1/8(火) 03:53:41 ID:JPnQwygL/E
気がついたら始まってて、ようやく追いつきました。
つC+何かの天鱗
415: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/8(火) 20:54:37 ID:iqCPsQL3wQ
>>412
・・・善処します
>>413
ちょ、ハアハアすん…
ハアハアハアハアハアハア
>>414
ご苦労様です
天鱗支援感謝です♪
416: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/8(火) 21:01:06 ID:zpo9dpEiuU
翌日、俺達はギルドで契約し、渓流に向かうネコタクに揺られていた
「下位で一度戦ったとはおもうが、やはり油断は禁物だ」
「そうですね。尻尾を叩きつける攻撃に注意してください。冗談抜きでミンチにされます」
二人と最後の打ち合わせをする
やはり上位ともあって二人は真剣だった
「ミンチって…具体的に?」
「グチャってなります」
表現の仕方に吹き出しそうになったが、ルークは凄く真面目だった
「最悪は私が前に出て、ルークが援護だ。君はあまり戦わなくていい」
417: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/8(火) 21:10:02 ID:iqCPsQL3wQ
「それ…俺に指をくわえて見てろっての?」
俺は少しムッとした口調で返す
「最悪は、だ。そうならないように私達が動くのだからな」
ルーは厳しく俺を諭す
どうやら前の事を引きずってるらしい
「今回は私がナルガを止められますので、ルーさんに何かあったらセネル君にお願いしますね」
「・・・私がナルガごときに遅れを取ると?」
ルーの声に僅かに殺気が漏れる
それを受けながらルークは
「もしもですよ。以前のようにはなりたくありませんからね」
ルークは戒めの意味を込めて皮肉混じりに俺達に釘を刺す
俺だって、もうあんな目に遇いたくはない
俺達は黙って頷いた
418: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/8(火) 21:19:00 ID:zpo9dpEiuU
渓流に降り立ち、目を開けると、そこは洞窟内だった
「おや、奇遇ですね」
隣を見るとルークが爽やかな笑顔で立っていた
いつもより爽やかさ加減が高いのは気のせいか?
「ここのところ最近ルーさんと共に行動していましたからね…」
そんな俺の視線を読み取ったのか、ルークは肩をすくめながら
「もちろん。ルーさんみたいな美女と狩れるのは嬉しいですよ?強いて言うなら体質ですかねぇ」
「わかってるよ。すんごいしんどそうだったもんな」
「そういうと思ってました。では、ナルガクルガの所に行きましょうか」
「場所はわかるのか?」
「ええ、すぐ近くにいますからね」
419: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/8(火) 21:27:04 ID:iqCPsQL3wQ
ルークに着いて洞窟を出ると、そこにはナルガクルガがいた
「いきなりかよ!?」
俺は抜刀し距離を取る
「いいですか?まずは攻撃に当たらないように!!」
ルークが俺に指示を出しながら横に飛ぶ
ナルガはルークに標的を定めたようだ
「でぇい!!」
俺はナルガの懐に潜り込み数回切りつけ離脱する
ナルガは全く俺を気にせずにルークを尻尾で凪ぎ払った
「おっと…中々にタフですね〜」
ルークは笑いながら弓を構えナルガに射つ
放たれた矢はナルガの右翼を貫通した
「そりゃ!!っ!?」
俺は左翼に向かって真っ直ぐ剣をつき出すが、頑丈なブレードに弾かれてしまった
「グルゥ」
ナルガと視線がぶつかる 俺は咄嗟に後ろに飛び退いた
次の瞬間、ナルガは体を回転させて尻尾で周囲を凪ぎ払う
俺がさっきまでいた場所を鋭利な尻尾が通過していった
420: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/8(火) 21:32:28 ID:zpo9dpEiuU
「せい!!やっ!!はっ!!そりゃ!!うおおおお!!」
俺は翼をルークに任せて頭と尻尾を狙う事にした。この二つなら比較的肉質が柔らかいので双剣でも戦えるだろう
「くっそ!!…なんで!!」
先程から幾度となく切りつけているのだが、まったく切れている感覚がしない
しかし、血はでているし時折小さく仰け反るので少しずつダメージは入ってるはずなんだが…
「くそっ!!こんな時にルーがいてくれれば!!」
俺は満身の力を込めて剣を降り下ろす
しかし、それもナルガの体を少しだけ揺らしただけだった
どこにいるんだよ!!ルー!!
俺は戦いながら、ルーの登場を待ちわびていた
421: 名無しさん@読者の声:2013/1/8(火) 23:44:43 ID:iM2L5FqJfI
ナルガたーん!
422: 名無しさん@読者の声:2013/1/9(水) 00:20:03 ID:5doDPcEGjU
ナルガたーん!!
423: 名無しさん@読者の声:2013/1/9(水) 00:25:01 ID:r2FnmB6dc2
ナルガたん…
つ 古の秘薬
つ こんがり肉
424: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/9(水) 22:38:27 ID:mB1el9yyaE
>>421
>>422
なんだろう。私の心の中がとても重いです
>>423
・・・もはや、何も言いません
425: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/9(水) 22:45:02 ID:mB1el9yyaE
ナルガクルガと交戦を開始してから10分が経過した頃、私はある違和感を覚えていました
このクエストでは確かドスファンゴがいたはず
しかしいつまでたっても出てこない…
恐らくルーさんが交戦中と思われますが…ルーさん程の人が遅れを取るなどはないでしょう…なにやら嫌な予感がしますね…
「セネル君!!」
私は弓をしまいながらポーチから閃光玉を取りだし
「ここは一時撤退しましょう!!ルーさんと合流し、体制を整えます!!」
セネル君は小さく頷くと、閃光玉が当たりやすい位置までナルガを誘導してくれました
私は閃光玉を投げつけ走り出します
背後で目映い光が起こったかと思うと、ナルガの苦しげな鳴き声
「こっちです!!」
私はセネル君を先導しながらルーさんを探し始めました
426: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/9(水) 22:52:41 ID:mB1el9yyaE
ルークの指示でナルガから撤退した俺達はルーを探していた。ルークによるとこのクエストにはドスファンゴも確認されており、多分ルーはドスファンゴと戦っているとのこと
ルーがドスファンゴに苦戦するとは思えないんだけどな…
そう思いながら探索をしていると、見慣れた金色を見つけた
「ルー!!」
俺は急いでルーに駆け寄る
ルーはドスファンゴの死体に背を預け荒い息をしていた
「・・・セネルか」
「ルー!!どうしたんだ!?」
「大丈夫だ…問題ない」
どう見たって大丈夫じゃない。心なしか顔が赤い
俺はルーの額に手を置く
「っ!?熱!!」
「・・・」
ルーはやや疲れたような表情で
「・・・すまない、足手まといにはなりたくなかったんだ…だから、大丈夫だと…思って…」
ルーの言葉が徐々に小さくなっていく
俺はルーを必死に揺さぶった
427: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/9(水) 22:58:37 ID:mB1el9yyaE
「ルー!!駄目だ!!」
「セネル君、落ち着いてください。これをルーさんに」
ルークから手渡された薬をルーに飲ませる
荒い息が少しだけ収まり、楽になったように見えた
「いずれにせよ、ここでは応急処置もまともにできません。まずはベースキャンプに…」
「ガアアアアアアア!!」
「っ!?」
いつの間にか追ってきていたのか、ナルガが俺達の少し先に降り立っていた
俺とルークは咄嗟に武器を取り出す
「セネル君。私が全力でナルガを引き付けます。その内にルーさんを」
「・・・わかった」
俺は武器をしまいルーを背負おうとしたとか
「ガアアッ!!」
「セネル君!!」
「なっ!?ぐはっ!!」
突然ナルガが左翼のブレードで俺に襲いかかる
かなり距離はあったのに一瞬でここまで縮めてくるなんて…
「ギャウウ!?」
ナルガの体が炎に包まれる
ルークが弓をひたすらに射っていた
「今のうちです!!早く!!」
428: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/9(水) 23:04:07 ID:bQ3wFvPoik
ルークの支援を受けながらなんとかルーを背負い走り出す。その間もナルガは俺達を攻撃しようとしてはルークに止められていた
「よし…もうちょっと!!」
「ガアアアアアアア!!」
後ろでナルガの咆哮が聞こえる
・・・咆哮?
驚いて振り返ると
「っ!?」
ナルガが目前にまで迫っていた
ナルガはブレードを振りかぶっており、今から避けるのは不可能…ルーか俺がどちらかが直撃を受けるしかない
俺は…ルーを…
「くっ!!」
俺はルーを地面に落とし、双剣を構える。気休め程度に目の前で交差させて攻撃を受け流そうしたが
「ぐあっ!!」
双剣ごと弾き飛ばされ地面に叩きつけられる
ルーはちょうどナルガの真下にいて気づかれてはいなかった
429: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/9(水) 23:09:13 ID:bQ3wFvPoik
「そうだ…それでいい…」
俺はフラフラと立ち上がりながら双剣を拾う
ナルガは俺のことを敵とみなして臨戦体勢を取っていた
ルーには辛いかもしれないが…俺がここでナルガを引き付ければ…
「っ!!はあああ!!」
「ギャウウ!!」
突然ナルガが悶え苦しむ。見ると、ルーが下から槍を突き刺し背中を貫いていた
「はあ…!!はあ…!!」
ルーは顔をしかめながらも槍を離さない
俺は双剣を構えナルガに突撃する
真っ直ぐに剣を突きだし、捻りながら切りつける
「セネル…!!やれ!!」
ルーが苦しそうな声で止めを促す
俺は、高く跳躍しナルガの頭上から双剣を降り降ろした
430: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/9(水) 23:15:01 ID:bQ3wFvPoik
ズルッとナルガから槍が引き抜かれる
ルーは返り血で真っ赤だった
「ルー…」
俺はフラフラとルーに近づく
ルーはと息を切らしながら、それでも笑顔で
「やったな…セネル」
「俺は何もしてないよ、ルークやルーがいてくれたからだよ…」
俺はルーの隣に座りルーを見る
ルーはまだ起き上がれないらしく、大の字で寝そべったままだった
「なんとかなりましたね」
所々がボロボロなルークが近づいてくる
「助かった、ルーク…本当に感謝している」
「いえいえ、最後の一突き、お見事でした」
ルークが一礼をする
「ナルガの素材を剥ぎ取って…ギルドに帰ろう。ルーの治療もしたいし」
俺達はナルガの素材を剥ぎ取った後、ギルドへと戻ることにした
431: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/9(水) 23:17:19 ID:mB1el9yyaE
皆様こんばんは
さぎしです
とりあえず半分ちょいが終わりましたね、はい
ただ問題は…まあ、はい。うん
戦闘の表現がまるで出来てませんね…精進します
本日の投下は終了となります。見てくださった方々ありがとうございました
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
432: 名無しさん@読者の声:2013/1/10(木) 09:15:28 ID:hsi.8HSAe6
っCCCCC
433: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/10(木) 20:09:08 ID:y4tJpZ5ZuI
>>432
支援感謝です♪
うーむ、まともに支援もらえるように頑張らんと…
434: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/10(木) 20:15:34 ID:y4tJpZ5ZuI
「お帰りなさいませ。ナルガクルガの討伐を確認をいたしました」
カエデさんが一礼して労いの言葉をかけてくれる。でも、今の俺達はそれが必要なんじゃなくて…
「・・・医療班をお呼びします」
カエデさんがルーをチラと見ただけで察してくれる
「本当に…頼りになるな…」
「それ、どういう意味?」
「うわ!?コノハか…びっくりさせんなよ…」
俺の呟きを聞いていたのか、すぐ横にいたコノハが俺をジトっと睨み付ける
「はいはい。どうせ私はお姉ちゃんみたいに落ち着いてないし、胸も大きくないですよーだ」
「胸は関係ないだろ。というより、お前が落ち着いてたら逆に怖い」
「なによそれー!?」
コノハが膨れっ面になり俺に掴みかかる
「ちょ、おま、俺怪我して…」
435: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/10(木) 20:21:12 ID:b4dYJxAukI
「仲がいいですねぇ…」
ルークがからかうように俺達に話しかける
「ほんと!?ルークさんそう見える!?」
コノハが素早い動きでルークに詰め寄るが、それはるかに越えるスピードど俺の後ろに移動したルークは
「もちろん。私が見たなかで二番目くらいに」
親指をたてながら爽やか笑顔を向ける
若干俺の肩を掴んでる手が震えてるように感じるのは気のせいという事にした
「じゃあ、一番は?」
コノハが不安気に問いかける
「それはもちろん…」
ルークが治療されているルーと俺を交互に見る
「・・・そっか」
コノハは項垂れてカウンターに戻った
いったい何がそんなに気を落とすような言葉だったのか
「腹痛か?コノハ、休めるときは休めよ?」
「・・・君は鈍感ですねぇ」
「は?」
「いや、なんでも」
やれやれといった風に肩をすくめるルーク
なんなんだよ…
436: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/10(木) 20:27:39 ID:y4tJpZ5ZuI
そんなことより、俺はルーが心配だった
仮設のベッドに寝かされ治療を受けているルーに近づく
「申し訳ありませんが、現在治療中ですので」
医療班の一人が俺を制止する
邪魔しちゃ悪いかと思い離れようとすると…
「まて…そいつは…セネルは…いい」
ルーが息絶え絶えに俺を呼んだ
「・・・どうぞ」
医療班が道を開けてくれる
俺はルーの側に行き、しゃがみこみながら
「調子は?」
「無茶を…し過ぎたらしい…しばらく絶対安静…だ」
ルーは笑っていたが、明らかに辛そうだった
「・・・ルーを、お願いします」
「おまかせください」
後を医療班に任せて俺は家に戻る。素人が口だす必要はないし、餅は餅屋ということだ
437: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/10(木) 20:42:10 ID:b4dYJxAukI
「ルーさんの症状は、疲労から来る風邪だそうです」
家に戻ると、お茶を準備してくれていたルークが話し出す
何故俺の家の構造を把握しているのか
「多分数日前から具合はあまりよろしくなかったようですね。加えてドスファンゴの牙による裂傷から細菌が入り込んだみたいです」
「・・・」
「ご安心を、あそこにいた医療班はギルドナイツが誇る最高の医療班ですから」
ルークが俺を安心させるように微笑む
「ですが、やはり安静は必要ですね。しばらくは狩りには出れないみたいです」
「いいよ…それで」
俺もお茶を飲みながらルーの狩りに反対する
ルーはどうも狩りで無茶をする傾向にあるからな
「それまでは私と組んでいただきますが…お願い出来るでしょうか?」
「こちらこそ、頼りにしてるよ。ルーク」
「ご期待に応えられるように頑張ります」
ルークはにっこりと微笑んだ
438: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/11(金) 20:18:53 ID:1rWYGP2MtE
「では、セネル君。早速ですが、ベリオロスについて知ってる事を」
俺とルークはギルドで依頼を受けて凍土に来ていた。ベリオロスの討伐である
「えっと…凍土のナルガクルガと呼ばれるくらいに速くて…琥珀色の牙に、翼の棘、それから尻尾に針があって、それらがスパイクの役割わ果たしてる。だっけ」
「そうですね。良くできました」
ルークは笑顔で拍手をする
ルークはなんとなく先生に向いているような気がした
「では、次です」
ルークの顔から笑顔が消える
「クエストが始まり、目の前にベリオロスがいた場合は?」
「・・・距離をとる!!
「グオオオオオオ!!」
439: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/11(金) 20:28:06 ID:whq.aZ6wWc
ルークと俺が左右に散らばる
ルークは左翼を、俺は右翼に同時に攻撃を仕掛けた
「ベリオロスのスピードは尋常ではありませんが、翼の棘を破壊すれば機動力を奪う事が出来ます!!積極的に狙ってください!!」
ルークは言うが早いか、矢を何本か掴むと、ろくに狙わず射つ
しかし、それらは全てベリオロスの左翼に当たっているのだから、恐るべき腕前だ
「俺もボヤボヤしてられないな!!」
俺は右翼に数回切りつけ蹴り飛ばす
しっかり定着してしまった蹴りだが、戦いやすいので問題はない
そのまま流れるように切り刻み少しずつ右翼にダメージを蓄積させていく
「グギャアアアア!!」
突然ベリオロスが左翼から倒れこんだ
見ると、ルークが矢でベリオロスの左翼を切りつけていたのである
ルークは小さく親指を立てると、ベリオロスの顔に近づき、立派な琥珀色の牙に物凄い速さで矢を射ち始めた
「ガウッ!!ガァッ!!ギャン!!グギャアア!!」
矢が刺さったかと思えば次の矢がすでに刺さっている一瞬の隙さえ与えない見事な速射に俺はただ立ち尽くしているだけだった
ベリオロスがようやく立ち上がる。きれいな琥珀色の牙はすでにボロボロだった
「でえいやああああ!!」
ルークに遅れを取るまいと俺も右翼を切り裂く
しかし、ベリオロスは俺をターゲットに切り替えると、猛然と襲いかかってきた
440: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/11(金) 20:34:42 ID:whq.aZ6wWc
「ふっ!!」
短く息を切る音が聞こえ振り返る
ルークはいつの間にか遠くに移動していて、弓から何かを放っていたようだった
いったい何を…そう思った瞬間
「ギャアアアア!!」
ベリオロスの頭上から無数の矢が降り注ぐ
予想もしていない攻撃にベリオロスは完全に虚を疲れた
「今だ!!はああ!!」
俺は渾身の力を込めて右翼を切り裂く
バキィ!!っという音がして、ベリオロスは右翼から崩れた
「流石ですセネル君!!」
ルークはまたいつの間にか俺のすぐそばまで来ていて
「せめて…安らかに逝かせてあげましょう」
そういいながら弓を構える
ベリオロスはもがき苦しむが、ルークが弓を構えると動かなくなってしまった
「・・・心臓を自ら止めましたか」
ルークが残念そうに呟き弓をしまった
441: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/11(金) 20:40:21 ID:whq.aZ6wWc
「し、死んだふりじゃ…」
剥ぎ取りナイフを構えたルークに聞く
あまりにも早すぎるような気がしたからだ
「ゲリョスじゃありませんし、多分問題ないでしょう」
そういいながらルークは手早くベリオロスを解体していく
・・・ゲリョスっつてなんだよ
「ほら、セネル君。急がないと死体が消えてしまいますよ」
ルークに急かされ俺もベリオロスを剥ぎ取りにかかる。今日はなんだかルークの本気を垣間見たような気がした
「これで戻りましょうか。ルーさんの治療も終わってるかもしれませんし」
「そうだな…って!?時間潰すためだけにクエスト出たのかよ!?」
「一番時間を潰せるのが狩りだけなんですよ」
ルークは肩をすくめながらやれやれと呟いた
442: 名無しさん@読者の声:2013/1/11(金) 21:55:38 ID:4cH2gUYE3E
自ら心臓止めるって……
さすが白騎士と言われるだけあるなw
ただ亜種だけは許せない。
ちょっと質問ですが、このSSでは「名前」って鍵になってますか?
もし答えられなかったら無視してかまいません。
つ受験生から搾り取ったわずかな時間+CCCC
443: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/11(金) 22:30:07 ID:X3dd2T6MI6
>>442
えーと…名前?
ルークとかセネルとかのですか?それとも通り名みたいな奴?
前者なら違いますし、後者なら微妙に鍵になってるっぽい部分もあります
・・・うん、私、今年受験生になるから…やめたげてよぉ!!
支援感謝です♪
444: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/11(金) 22:33:40 ID:PeZQuhg6yE
ギルドに戻ると、医療班は既にいなくなっていた。カエデさんによると、ルーは俺の家に運ばれたの事
今は状態も落ち着いてきてるらしい
・・・よかった
「それでは、私はこれから用事があるので。失礼します」
ルークがギルドから出ていく
俺もルーの事が気になったので急いで家に戻ることにした
445: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/11(金) 22:38:08 ID:X3dd2T6MI6
家につくと、ルーはベッドの上でスヤスヤと寝息をたてていた
安らかな顔で、眠っているのに安堵した俺は胸を撫で下ろす
狩りの最中も、気が気でなかったのだ
「よかった…ルー」
俺はルーの髪に触れながら呟く
「当然だ。君を置いて死ぬわけにはいかないからな」
「!?」
突然言葉を発したルーにびっくりして大きく尻餅をついてしまう
ルーはゆっくり目を開けて俺の方を見て笑いながら
「ふふ…私は、大丈夫だよ。セネル」
まるで俺を落ち着かせるように優しい声を出す
これは…気を遣わせちゃったかな…
446: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/11(金) 22:49:58 ID:X3dd2T6MI6
「べ、別に?ルーは大丈夫だって、信じてたし!!」
「ほう?ならば君は私の事を心配してくれなかったのか?どうでもよかったと?」
「そんなわけないだろ!!…あ」
「くくく…君は本当にわかりやすいな」
完全にからかわれている
「ルークと、狩りに行ってたのか?」
「ああ、ベリオロスに」
「そうか…」
「ルーク…強いよな…」
「・・・君は、ルークの通り名を知っているか?」
447: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/11(金) 22:54:39 ID:X3dd2T6MI6
「え?ルークの?残影の射手じゃないの?」
「そうか…やはりそれしか知らないか…」
ルーは少し考える素振りをしたが、ややあって
「ルーク・シュバルツ、奴は残影の射手以外にもう一つ通り名がある」
「もう一つ!?」
これにはかなり驚いた
通常通り名というのは一つくらいしかつかないものだが、二つもつくなんてよほど腕がいいのか
「ルークはもう一つ、非公式だが、通り名がある。奴は使いたくないみたいだが…」
いったいどんな通り名なのか…俺は固唾を飲んで次の言葉を待った
448: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/11(金) 22:59:16 ID:PeZQuhg6yE
「・・・いや、やはり止めておこう」
「ええ!?」
ルーの突然の中断に盛大にずっこける
そりゃないよといいかけてルーが玄関を厳しい目で見ているのがわかった
俺が振り返ると、そこにはルークが立っていた
・・・弓を持って
「な、なにしてんだよ?ルーク」
俺はルーを庇うように前に出る
「何も、帰りにルーさんの様子を見に来ただけですよ?」
いつもの笑顔で爽やかに返すルーク
「様子を見に武器をか?中々物騒な趣向だな」
ルーが吐き捨てるように言う
「そうは言われましても…加工屋に寄った帰りですし…」
ルークは大きく肩をすくめて心外とばかりに溜め息をついた
449: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/11(金) 23:03:31 ID:X3dd2T6MI6
「ルーク…答えてくれよ…その弓で、なにしようとしたんだよ?」
「・・・」
ルークは答えなかった
ただ、目付きを鋭くさせルーを睨み付ける
「いえ…あまり、人の過去に詮索しないでもらいたいと、忠告を」
ルークは少し悲しみを漂わせた表情になり
「あなた方とは争いたくありません。これは本心です」
「自分の事を言わないのに仲間面か?」
「それはあなたも同じでしょう」
二人の間で確実に火花が飛び散っている
正直、居心地が悪いにも程がある
450: 名無しさん@読者の声:2013/1/11(金) 23:03:49 ID:7FwZM..EWU
wktkwktkCCC
451: 名無しさん@読者の声:2013/1/11(金) 23:06:02 ID:7FwZM..EWU
そうか、受験生か。
さぎしたんがエロ描写苦手なのがなんだかわかった気がする。
452: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/11(金) 23:07:30 ID:PeZQuhg6yE
「や、やめてくれよ…二人とも…」
俺はなんとか二人の仲裁をしようとしてみる
「ルーク、確かに誰にも知られたくないことはあるだろうけど、脅す事はないだろ?」
「ルー、あまり人の詮索はしない方がいいよ。知らなくてもいいこともあるんだからさ」
「・・・そうですね」
「・・・そうだな」
二人は納得してくれたのか、ばつが悪そうに頷く
「すまないルーク。やぶ蛇だったな…」
「いえ…私も…つい」
「も、もういいじゃん…仲直り出来たんだからさ…あはは」
俺は場を和ませようと色々してみたが、結局笑うことしか出来なかった
453: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/11(金) 23:11:24 ID:X3dd2T6MI6
皆様こんばんは
さぎしです
>>451
ちなみに補足しときますが、受験生なのとエロ描写苦手なのは関係ないと思います。素面で薄い本とか読めますから。私
普通に文にしようとすると恥ずかしいだけなんですね
支援感謝です♪
本日の投下はこれで終了となります。見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩…
俺が!俺達が!ハンターだ!
乙狩れ様でした♪
454: 名無しさん@読者の声:2013/1/12(土) 02:29:32 ID:93JJz5L/Ls
受験つらいぜ・・・
そして俺は浪人するかもしれない。
支援
455: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/12(土) 11:09:42 ID:M2x7A5cHg6
>>454
頑張りましょう
物事は悪い方向に考えちゃ駄目ですよ
支援感謝です♪
456: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/12(土) 11:15:34 ID:M2x7A5cHg6
ぎこちない空気のまま俺達は狩りに出た
今回はウラガンキンを狩りにいくらしい
「・・・」
「・・・」
「・・・」
ネコタクに揺られる道中に重い空気がのしかかかる
「な、なんだよ…なんか、喋れよ…」
俺が会話の口火を切ろうとするが
「・・・そうだな」
ルーは完璧に殻に引きこもっている。ルークも今は爽やかな笑顔さえ浮かべていない
「そ、そうだ!!上位のウラガンキンって、特別な行動してくるかな?対策とかたてておきたいしさ」
「・・・何もありませんね」
「あ、そう…」
・・・もうやだ、俺帰りたい
457: 名無しさん@読者の声:2013/1/12(土) 13:18:28 ID:r2FnmB6dc2
年下だったのか
さあお姉さんの胸…は無かったよ(′;ω)つ支援
458: 名無しさん@読者の声:2013/1/12(土) 17:37:14 ID:Dp1hf6qrAo
まさか!!ミラ=ボレaおっと誰か来たようだ
つ支援
459: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/12(土) 19:37:05 ID:iqCPsQL3wQ
>>457
年上まな板も私のストライキゾーンなので遠慮なく飛び込ませていただきます
支援感謝です♪
>>458
何故その名前を!?
貴様!!見ているな!?
支援感謝です♪
460: さぎし(キじゃないですクです) ◆CmqzxPj4w6:2013/1/12(土) 19:40:33 ID:zpo9dpEiuU
火山に到着し、辺りを見回す
「ここは…秘境?」
俺は秘境と呼ばれるエリアに立っていた
秘境とは、通常の手段ではいけない場所の事であり、貴重な素材や鉱石もある
「火山の秘境か…あ、でもピッケル持ってきてないや…」
俺は用意してなかった自分を呪いつつ
「ウラガンキンを探さないとな…それにしても、ルーとルーク、無事だといいけど…」
俺は秘境を後にしてウラガンキンを探し始めた
461: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/12(土) 19:48:01 ID:zpo9dpEiuU
「グガアアアアアア!!」
咆哮の後に発達した顎を地面に打ち付ける
こいつが爆鎚竜と呼ばれる理由の一つだ
だが、そんなこと関係ない
「はあっ!!」
震動をサイドステップで回避しながら徐々に距離を詰めていく
開始地点がこいつの目の前というのは少々誤算だったが、ルークが側にいなかっただけましかもしれない
ウラガンキンは体を丸めて私に突進をしてくる
私は盾で勢いをいなしつつ、腹を槍で貫いた
「グギャアア!!」
たまらず大きくのけぞるウラガンキンに、水の矢が降り注ぐ
見なくても分かる。ルークだ
462: 名無しさん@読者の声:2013/1/12(土) 19:49:01 ID:r2FnmB6dc2
ストライキとはやはり放棄されるのか…
それに年上と言っても身長無いしな(>ω;)
463: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/12(土) 19:55:40 ID:iqCPsQL3wQ
「うわ…いつみてもなんか嫌だ…」
ウラガンキンの咆哮が聞こえたのでその場所に行ってみると、ルーがウラガンキンと戦っていた
反対側の入り口にルークがいる事から多分ルークも今到着したのだろう
「まあ…とりあえずルーを助けなきゃな」
俺は抜刀しウラガンキンの背後に回る
ウラガンキンはルークを攻撃対象にしているらしく俺にはまるで気がつかない
「そりゃ!!でぇい!!」
剣を振り回し、柔らかい腹を切り裂く
ウラガンキンは突然の痛みに悲鳴を上げるも、俺の存在に気づき威嚇をする
「うおおおおおおお!!」
俺は素早くウラガンキンの股をくぐり抜け腹を切り裂く
ルーと連携しながらウラガンキンを徐々に追い詰めていった
464: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/12(土) 20:02:20 ID:zpo9dpEiuU
「グアアアア…」
弱々しい断末魔をあげてウラガンキンが崩れる
ルークのサポートもあり、予想時間より早く狩れた
「お疲れ様です。二人とも見事な連携でした」
ルークが弓をしまいながら爽やかに笑顔を撒き散らす
あれ?戻ってる?
「そんなことないよ。ほとんどルーが倒したみたいなもんだし、ルークの援護があってこそだよ」
よくはわからないが、ルークがいつも通りに戻ってくれて助かった
ルーは無言でウラガンキンの素材を剥ぎ取りにかかる
「ルー…終わったんだからもう少し…」
「ああ、お任せください」
「?」
ルークが笑顔でルーに近づく。もちろんそれなりに距離をとりながら
「ルーさん」
「・・・」
ルーは答えない。ただ黙々と剥ぎ取りをしてるだけだった
465: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/12(土) 20:07:47 ID:iqCPsQL3wQ
「」
「っ!?///」
ルークが何かを呟いた瞬間、ルーが顔を真っ赤にして振り返る。ここからじゃ何を言ったのかまるでわからないが、ルーがあんな風に反応するなんて
「さて、私達も剥ぎ取りを終えましょうか」
ルークが振り向き俺に剥ぎ取りナイフを差し出す
ルーはまだ何やら不満な様子だったが
「剥げる所は剥いでおけよ」
そういって周囲の警戒を始めた
「なあ、ルーに何を言ったんだ?」
「秘密です。世の中には知らなくてもいいこともあるでしょう」
「?」
ルーク意味深発言に首を傾げるが、まあ何か意味があるのだろうと判断した
俺達はウラガンキンの素材を剥ぎ取り終えて、ギルドに帰還した
466: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/12(土) 22:40:42 ID:oG4iJZ2MKc
ギルドに戻り完了報告を出す
「お疲れ様です。だいぶ慣れてきましたね」
カエデさんは慣れた手つきで書類をまとめながら雑談を挟んでくる
コノハとは大違いだ
「今、私の事悪く言わなかった?」
「なんで言うんだよ」
こいつはエスパーか?
「セネル君。私は用事があるのでこれで」
ルークが一礼して去っていく。毎回思うのだが、用事とはなんなんだろうか?凄く気になる
「ルー、俺達も帰ろうか」
「そうだな」
すっかりいつものルーに戻って安心した俺は、ルーと家に帰った
467: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/12(土) 22:45:04 ID:KS1oVzK.WM
「っはーー!!疲れたー!!」
俺は装備を外すとベッドに倒れこんだ
「君は今日は二回狩りに出ていたからな」
ルーがお茶を飲みながら頷く
「にしても、ルークは凄いな。疲れた顔さえ見せなかったもんな」
「君とはハンター歴も、経験した時間も違うからな」
ルーはそれが当たり前のように言う
「君も時間が経てば同じになれるさ」
「俺が、ルーやルークみたいに?」
「ああ」
ルーは微笑んで俺を見てくれていた
468: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/12(土) 22:53:23 ID:oG4iJZ2MKc
「あ、そうだ。ルー」
「ん?」
俺はずっと気になっていた事をルーに聞いた
「さっき、ルークになんて言われたんだ?なんか普通じゃなかったけど」
「・・・」
途端にルーは黙り込みうつむいてしまった
「あ、嫌なら…その…無理には聞かないからさ…」
慌てて取り繕うも、ルーは
「いや、いいんだ。私の勘違いだったからな…」
ルー何やら思いきったように溜め息を吐き
「私は、ルークに嫉妬してたんだ」
・・・はい?
「君とルークが親しげに話すたびに言い様のない不快が胸に積もってな。ルークは仲間だというのに…」
「え?いや、でも、ルークは…」
「わかっている。ルークもそっちのケはないと言っていた」
469: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/12(土) 22:57:45 ID:oG4iJZ2MKc
「それが…火山で言われた事?」
「・・・」
ルーは黙って頷いた
つまり、ルーはルークに焼きもちを妬いていて…てっきり俺とルークが…
「いや!!俺だって嫌だよ!?」
俺にだってそんな趣味はない
「わかっているさ。私は、恥ずかしかっただけなんだ」
「勘違いして。一人意地張っていた事を簡単に見透かされて」
ルーは少しだけ頬を染め恥ずかしそうにそっぽを向く
純粋に、ルーを可愛いと思った
470: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/12(土) 23:04:51 ID:oG4iJZ2MKc
「ルー…」
フラフラとルーに近づく
「セネル…?どうし…んむ!?」
俺はルーがこちらを向いた瞬間に唇を重ねた
ルーは驚愕に目を見開いたが、すぐに応えてくれた
「んむ…ちゅ…はぁ…」
数秒程キスをして離れる ルーは顔を更に赤くしていた
「ルー…」
俺は熱に浮かされたようにルーに口付ける
「んむ…はむ…はぁ…」
口内に舌を入れて絡ませあう
お互いの唾液が混ざってクチュクチュと音をたてていた
「セネ…ル…」
ルーの顔は紅潮し、目もトロンと溶けていた
俺は今、堪らなくルーが欲しくなっていた
でも、なんか今のままじゃルーを側においておけないような気がしたからだ
だから…
「ルー…結婚、しよ?」
471: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/12(土) 23:07:37 ID:oG4iJZ2MKc
皆様こんばんは
sageだけど
エロはいらない
さぎしです
>>462
ストライク!!ストライク!!
エールストライク!!
ソードストライク!!
ランチャーストライク!! フリーダムストライク!!
本日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々ありがとうございました
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
472: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 11:26:42 ID:ZVvoP18ass
「・・・え?」
「・・・は?」
俺、今なんて言った?
「ル、ルー?俺今なんて…」
「け、結婚…」
「・・・」
俺達はバカみたいにアワアワしていた
正に開いた口が塞がらないというやつだ
ルーは顔を真っ赤にしてワナワナ震えている
俺は多分なんかこう…ポカンとしてるんだろう
「と、年上をからかうな!!」
ルーは俺の手を振りほどこうとしたが、俺はその手を掴んで
「ち、違う!!からかいなんかじゃない!!」
「っ!!///」
473: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 12:05:02 ID:17eKV0mSOU
「・・・本気、なのか?」
「う…うん…」
お互い顔を見合わせて俯いたり口ごもったりする
「わ、私でいいのか?君なら…もう少しこう…おしとやかな…」
「いいんだよ。ルーがいい」
「あ、あう…」
ルーはもほや顔を真っ赤にして手や足をせわしなく動かしている
「えっと…駄目かな?」
こうなればもはや力押しゴリ押しダメ押しだ
俺はルーの手を握りながら呟いた
「いや…しかし…でも…」
ルーはこの期に及んでまだ渋るらしい
「ルー、俺の事嫌いなのか?」
「そんなわけないだろ!!」
474: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 12:28:39 ID:.f1NH6m4X6
ルーが大きな声で言うが
直後にしまったという顔をしたがもう遅い
計画通り
「ルー…結婚しよう」
俺はルーを抱きしめながら耳元で囁く
「挙式とかはどうするんだ…そんな簡単にはいかないぞ…準備だって…」
「それならお任せください」
「「!?」」
突然の声に俺達は急いで振り向く
入り口にはルークが立っていた
「な、き、貴様!!どこから!?」
「普通に入り口からですが?」
ルークがやれやれといった顔で答える
だが、問題はそこじゃない
「い、いつから?」
「結婚、しよ?の辺りからですかね」
・・・ホキャアアア!?
475: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 12:38:32 ID:.f1NH6m4X6
「何やらとてもおもしろ…もといめでたい話が聞こえてきましてね」
どうしよう。非常にどうしよう。ルーから凄い殺気を感じる
「ただ、その前に。セネル君。君に覚悟があるか確かめさせてもらいます」
「君も十分知っているとは思いますが、ハンターとは命懸けの仕事。未練があったりすれば武器が鈍ります…君は、それでもルーさんを伴侶にしたいですか?」
ルークが真剣な目で問いかけてくる
ルークの言いたい事はわかっている。でも俺の考えは変わらない
「ああ。俺はルーが好きだ。未練を、力に変えてみせる」
「ルーさんはどうですか?セネル君と、添い遂げたいですか?あなたならわかるでしょう?未練による武器の鈍りが」
「・・・」
ルーは黙りこむ。ルーは誰よりも知っているから…未練を
「私は…未練はないほうがいい」
ルーが俺の手を離す
「だが、守る存在。守りたい存在があるなら、人は強くなれる」
ルーは俺の隣に立ち、ルークを見据えながら
「私は、ミラとジュードの想いは無駄にしない。セネルを守る」
476: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 12:42:53 ID:.f1NH6m4X6
「それがあなた達の気持ちですね」
ルークはニッコリと笑いながら
「ということなんでしょうが、いかがですか?村長さん」
「とてもおめでたいお話ですわ。お二人ともお似合いですし。素晴らしい夫婦になるでしょう」
いつからいたのか、村長さんがルークの影から出てくる
「早速式の準備をいたしましょう。大丈夫ですわ。皆さんとってもお優しいですからきっと1日で準備が終わりますわ。ほほ」
村長さんは言うが早いかイソイソと足早に去っていく
「それでは私も。盛大に祝わせて下さいね」
そう言いながらルークも去っていく
残された俺達は事態に追い付けずポカンとしていた
477: さぎし(エロ入るんでsage) ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 18:09:12 ID:.f1NH6m4X6
翌日、あれよあれよという間にユクモ村が結婚式場になっていた
準備したのは村長さんをはじめ加工屋や村人さんたち。アイルーも総動員したんだとか
殺人的加速、トランザムもびっくりである
とにかく俺達は朝起こされるなり別々に着替えさせられた
「セネル!!てめえ!!綺麗な嫁さん捕まえやがって!!」
「こんちくしょー!!幸せになれよ!!」
「泣かしたらお前をフルボッコするかんな!!」
着替えの間、昔馴染みの顔が現れては拳骨と祝いの言葉を送ってきた。
地味に痛いのは言うまでもない
「ところでこれ、なんなの?」
「んあ?あー、異国の結婚装備で、タキシードって言うらしいな」
加工屋のおっちゃんが、採寸しながら答える
「狩りに向かないな…これ」
「たりめーよ。こんなチャラチャラした装備で狩りにいけるかっつの!!ほら、できたぞい」
「サンキューおっちゃん」
「一足先に式場でも見てこい。花嫁は遅れるらしいからな〜」
478: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 18:13:14 ID:.f1NH6m4X6
おっちゃんに促されユクモ村を見て回る。よくもまあこんな式場を1日で作ったもんだ
村人は暇人なのか?
「あ、セネル君!!」
呼ばれたので振り返ると、コノハがこちらに駆けてきていた
「コノハ、お前仕事大丈夫なのかよ?」
「今日だけお休み〜、ね?これどう思う?」
「どうって…」
コノハの服装はいつもの受付服ではなく、ピンクを基調としたワンピースみたいなやつだった
「なにこれ」
「異国の祝いの席で着るドレスだって」
「へー、似合ってるな」
「うん!!セネル君も似合ってるよ!!」
「サンキュ」
「向こうにお姉ちゃんもいるから、顔見せてきたら?」
「そうする」
479: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 18:17:46 ID:OVSWlYCIKk
コノハが示した場所に行くと、緑のドレスに身を包んだカエデさんを見つけた
「あ、カエデさ…ん!?」
「あら?セネル様」
カエデさんがニッコリとしながら俺に近づいてくる
「本日はおめでとうございます」
「あ、いや…うん」
「ルー様とセネル様。お似合いですわよ」
「はは…ありがとう」
「どうされました?先程から妙に視線が泳いでますが?」
「だ、だって…」
言えない。カエデさんのドレスは露出が凄いからだなんて
というより、カエデさん着痩せするタイプなんだな。ゆったりした服で隠れてるからまるでわからんかった
「そういえばもうすぐルー様の準備も終わるらしいですわよ?」
「あ、そうなんだ…ありがと、行ってくる!!」
480: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 18:25:22 ID:OVSWlYCIKk
「えーと…ルー、どのへんかな…うわっ」
「きゃっ」
前をよく見ずに歩いていたせいか、人とぶつかってしまった
「ご、ごめん!!大丈夫?」
「いや…私なら大丈夫だ」
その人がゆっくりと振り向く
「っ!?ルー…?」
「お前…セネルか?」
そこには純白のドレスに身を包んだルーがいた
ただ、カエデさんやコノハのドレスと違って、清楚と言おうか…
「あらあら、二人ともお似合いですわよ。ほほ」
村長さんが笑顔で近づいてきた
「ハンター様。これはウェディングドレスといって、異国の結婚装備の花嫁専用装備なのですわ」
「これが…」
もう一度ルーを見る
全体的にフワフワとしていて白が眩しいくらいによく似合っている。頭についているヒラヒラが風に吹かれて揺らめいていた
「こんな格好で狩りに出るなど…ふざけてるとしか思えんな」
そうは言いつつも、ルーは満更でもないようだ
というより、ルーのセリフに若干のデジャヴを感じるのは俺だけなのか?
481: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 18:31:13 ID:.f1NH6m4X6
「それでは、皆様お待たせしました。新郎新婦の入場です」
司会のルークの掛け声で俺達は赤い絨毯の通路を歩き始める
「えー、健やかなる時も病める時も安らかなる時も狩りの時も共に生涯を共にすると誓いますか?」
「誓います」
「・・・誓います」
「それでは、指輪を」
ルーが右手を前に差し出す
俺はその薬指に指輪をそっと通した
指輪が通った時、観客から歓声が上がる
「皆様、静粛に。絨毯新郎新婦の退場です」
ルークの指示で式場を後にする。去り際に何か入れられたような気がしたようなが、構わずルーと家に戻る
482: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 18:35:02 ID:OVSWlYCIKk
「終わった…のか?」
「みたいだな」
ルーはドレスを脱ごうとして悪戦苦闘していた
「手伝うよ。ルー」
「すまないな」
ルーの着替えを手伝いドレスを脱がす
すっかりラフな格好になったルーは一息をついた
「しかし…どうもあの空気は好かん。息が詰まりそうだ」
「あはは、ルーには少しだけ辛かったかな」
「これで…結婚は終わりか?」
「うん…これで俺達…夫婦に…」
俺がいいかけた時、腰からなにかが落ちた
「セネル?なんだそれは」
「紙…だな。文字が書かれてる。ルークの字だ」
「ルークが?」
ルーが近づいてきて紙を見る
俺はそれに書いてある文字を読み上げた
483: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 18:39:49 ID:OVSWlYCIKk
「お二人へ、結婚式お疲れ様でした。ルーさんにはさぞかし辛い空気だったと、心中お察しします」
「あいつ…読んでいたか…」
ルーが苦笑する
「まだ続きがあるよ」
俺は残りの文字も読み上げる
「ですが、結婚式はこれで終わりではありません。寧ろここからが本番です」
「本番?」
ルーが考え込むような顔をしたが、俺は構わず読み上げる
「お二人は夫婦の契りを交わさなくてはなりません。初夜という言葉をご存じですか?これは夫婦の契りを交わした夜という意味です」
「つまり、お二人は今から肉体で交わってもらいます」
ルーが次の文を読み、顔を見合わせる
「ルー…これってさ…」
「言うな…セネル」
あれか、つまりルークが言いたいのは所謂…
484: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 18:44:19 ID:.f1NH6m4X6
「マジか…」
俺は文の意味を頭で考え絶句する
嫌というわけではないが、なんだかなぁ…
「しかし、この初夜というのを行わなければ私達は夫婦と認められないのだろう」
「多分」
ルーの言葉に俺は頷く
「まあ、かまわないだろう。セネルさえよければだが」
「俺?俺は…構わないけど…」
「じゃあいいな」
ルーは俺をベッドに押し倒すと唇を奪う
「んー!?んむ!!」
「ん…くちゅ…はっ」
唇を離され銀色の糸が二人を結ぶ
「あの…さ…セネル」
「なんだ?」
「俺…初めてなんだけど…」
「・・・心配するな」
いや、心配だらけなんですけど
485: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 18:46:05 ID:.f1NH6m4X6
ホキャアアア!?間違えた!!
>>484は
「あの…さ…ルー」
です!!おちけつ自分!!
486: さぎし(少し投下に間が空きます) ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 18:50:21 ID:.f1NH6m4X6
ルーがまた俺と唇を重ねる
こんどは口内に舌を入れて軟体動物のように動き回す
「んむぅ…んむ…はっ」
俺はルーにされるがままになっていたが、本当にこれでいいのかと葛藤する
悩んだ末、俺は
「くっ…ルー!!」
「っ!!」
体重を逆にかけて、ルーを押し返しそのまま倒す。ルーはびっくりしていたが、すぐに笑顔になり
「いいぞ。君の好きにしてくれて構わない」
そう言いながら両手を広げて目を瞑った
487: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 19:41:37 ID:mzRi.F0j.s
俺はルーのインナーに手をかけてゆっくりと脱がす
ルーの形のよい胸が現れた時、思わずゴクリと喉を鳴らしてしまった
「まるで助平だな」
ルーがからかうような口調で呟く
俺は気にせずルーの胸に手を伸ばす
で、どうすればいいんだ?
とりあえず撫でてみると、やはりというか柔らかい
ならばと優しく揉んでみる
手に吸い付くような弾力で、押したら押し返されるという具合だ
「んっ…もっと…強くしていいぞ…」
俺はさっきより強く胸を揉みしだくと
「ん…はあっ…いいぞ…その調子だ…」
ルーは俺の頭を撫でながら息を切らす
俺は指でルーの乳首を摘まんでみる
「あぁっ!!くっ!!」
ルーは俺の頭を掴み声をあげる
「い、痛かったか!?」
「大丈夫だ…びっくりしただけ…」
ルーそういって微笑んでくれた
俺は指先で乳首を転がしながら胸を揉みしだく
「はぁ…んっ、くっ…はぁ…」
ルーの声にドンドン熱を帯びてくる
俺はルーの乳首を口内に含み吸い付いてみた
「んぁ!!やっ!!」
ルーは俺の突然の行動にびっくりはしたらしいが、嫌ではないみたいだった
そのまま吸い付き舌で乳首を転がしてみる
「んっ!!はあっ!!」
488: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 19:48:13 ID:mzRi.F0j.s
俺がルーの胸を愛撫していると、ルーが俺の手を掴んである場所まで導いた
「すまない…私…もう…」
ハアハアと肩で息をしながら俺の手を使い股間をさするルー
下着越しでもそこが濡れてるのがわかった
「わ、私はそんなにやらしくなんかないんだからな…君が…君が触るから…んあっ!?」
ルーの言葉を遮るように秘所をなぞる。なぞる度にルーは体をビクビクと跳ねさせていた
「はぁ…セネルぅ…」
ルーが欲情に染まった瞳で俺を見つめる
「もう…限界…だ…」
ルーが苦しそうに呟く
俺は無言でインナーを脱がし直接秘所を見る
ヒクヒクと物欲しそうに動くそれは、まるで別の生き物だった
「ルー、挿れるよ?」
ルーは小さく頷く
俺は自分の分身を取り出し、ルーの秘所にあてがって腰を押し進めた
489: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 19:54:47 ID:2GfD1X6TKY
「はああああああ…」
「うっ…くっ!!」
ルーの中に入ったと認識した瞬間、とてつもない快感が俺を襲った
ルーを見てみると、快感に顔を染めて恍惚の表情を浮かべている
「っは!!ルー、動くよ!!」
早く動きたい衝動に駆られてルーの了承を待たずに腰を打ち付ける
「やっ!?ひゃ!!いき、なり!!激し、い!!んあっ!!」
ルーに腰を打ち付ける度にルーからは喘ぎ声が漏れる
「ごめん!!ルー!!俺!!」
「いい、よ!!私の中で!!」
ルーが俺を強く抱きしめる
「っく!!」
俺はルーの奥まで打ち付け、最奥に精を放った
「はぁ…はぁ…」
ルーは肩で息を整えながら
「セネル…気持ちよかった…凄く…」
「ルー…俺、ごめん…」
「気にするな…初めては…そんなものさ…」
490: 名無しさん@読者の声:2013/1/13(日) 20:04:46 ID:zPTHuy2lLc
自分の分身にワロタwww
491: さぎし(何故あげたし) ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 20:54:50 ID:mzRi.F0j.s
ルーが優しく抱きしめてくれる
気を遣ってくれるルーに申し訳なくて、自分が情けなくて泣きたくなったが
「あっ…」
急にルーが声を出して来たのでびっくりした
「ふふ…セネル…若いな」
ルーは呆れながら腰を動かす
「うわっ!?ちょ、ルー!!動かしたら…」
そこで俺はようやく気づく
まだ硬さを保ったままに
「ふふ…セネル。まだ、やれるな?」
「そのやれるがどんな意味を表してるかわかりたくないけど…やるよ」
「流石…私の夫だ」
そのままもう一度唇を重ねる
お互い抱き合ったまま腰を動かし始めた
492: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/13(日) 20:57:49 ID:mzRi.F0j.s
皆様こんばんは
さぎしです
とりあえず>>490さんは表に出ましょうか。大丈夫ですよ。この太くて長い棒を穴にぶちこむだけですから
はい、というわけでエロ入りましたよ…ええ
やっぱり何回書いてもなれませんね…ちくせう
本日の投下はこれで終わりとなると思います
ひょっとしたら深夜にこっそり更新するかもしれませんが
493: 名無しさん@読者の声:2013/1/13(日) 21:25:09 ID:r2FnmB6dc2
辱め上げ
つ支援
494: 名無しさん@読者の声:2013/1/13(日) 21:46:19 ID:Dp1hf6qrAo
エロ描写おつ狩れさまでした
つ支援
495: 名無しさん@読者の声:2013/1/13(日) 23:27:37 ID:i7nVebiimU
乙狩れさまー♪
496: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 09:09:41 ID:tYrmy1Mm3k
>>493
辱めないでくだしゃあ!!
支援感謝です♪
>>494
全くですよ。誰だ!!私にエロ描写書くよう仕向けたのは!!
497: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 09:15:45 ID:n8gUqnX.1k
翌日、俺は気だるい体をベッドから起こした
「・・・あれ?」
昨日の出来事をゆっくりと整理しながら思い出す
ルーと結婚して…それから
「起きたか、セネル」
隣には裸のルーが寝ていた
ルーはモゾモゾと体を動かし俺にくっついてくる
「ったく、お前は少々張り切り過ぎだ」まあ、気持ちよかったからいいが…
後半はゴニョゴニョして聞こえなかったが、ルーが顔を赤くしているから多分恨みの言葉ではないと信じたい
結局、昨日はあれから三度ほど交わった気がする。気だるいのはそれのせいかと思う反面、狩りより疲れるんじゃないかと真剣に考えていた
「・・・セネル」
「ん…うわ…」
ルーがすっと俺に抱きついてくる
「愛しているからな…」
「・・・うん」
498: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 09:23:28 ID:n8gUqnX.1k
身支度を整えギルドに向かう
若干の気だるさはあったものの、ギルドから緊急の依頼が来ているらしいので無視するわけにはいかない
ギルドにつくと、ルークがカエデさんたちと雑談をしていた。カウンター越しなら大丈夫なのか
「おや、おはようございます」
ルークは俺達に気づくと手をあげる
「昨晩はお楽しみでしたね」
爽やかな笑顔でとんでもないこと言いやがった
「ま、まあな…」
結婚を終わらせる為とはいえ、やはりそう言われると恥ずかしいものがある
「・・・」
「ルー?どうしたんだ?」
ルーは何故かルークを睨み付けていた
「・・・覚えていろよ」
ルーは俺とルークにしか聞こえないくらいの小さく低い声でルークに警告した
ルークは肩をすくめて首を振った
499: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 09:28:52 ID:tYrmy1Mm3k
「おはようございます。ハンター様」
「おはよう、カエデさん」
「早速ですが、ギルドから緊急の依頼が舞い込んでおります」
「・・・」
カエデさんが緊張した面持ちで書類を読み上げる
「依頼内容は孤島に出現が確認されたジンオウガの討伐です」
ジンオウガ
やはり、いまだにその名前を聞くと身震いする
でも、今回は違う
「ジンオウガですか…まあ、それなりに退屈しなくてすみそうですね」
「最近あまり力を出してなかったからな」
二人の余裕はさておき、今の俺には仲間がいる
「わかりました。その依頼、セネル=ボルアスがお受けします」
「わかりました。お気をつけて」
カエデさんが手早く俺達三人の名前を書き込み依頼書に判子を押す
俺達はギルドから孤島に向かった
500: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 12:51:20 ID:k4nZjE3vWE
孤島に向かうネコタクの中
俺達は作戦会議をしていた
「基本的にジンオウガといってもあまり下位と変わりはしない。君の場合双剣だから無理せず攻撃したら引くをひたすら繰り返せ」
「わかった」
「それと、今回は私が広域をつけたからな。危なくなったらすぐに言えよ?それから武器を研ぐ時は安全な場所に…」
「ルー…大丈夫だって」
「ルーさんはセネル君の事が心配なんですよ」
ルークがやんわりと割り込む
「当たり前だ。セネルは私が守る」
ルーが決意を固めた表情でルークに返す
嬉しいことは嬉しいのだが
「俺だってルーを守るよ」
「お互いがお互いを守る。ですか…実に素晴らしいですよ」
「ルークは何か守る物があるのか?」
「私ですか?そうですねぇ…強いていうなら…」
ルークは少し考え込むような素振りをし
「強いていうならお二人を守ることにしましょう」
「なんか、使い方おかしくね!」
「いえいえ。そろそろつくみたいですよ」
501: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 12:59:32 ID:k4nZjE3vWE
ネコタクから降り立ち周りを見る
「・・・あれ?」
「おやおや」
「・・・」
珍しい事に三人一緒の場所からだった
こんなことは滅多にないことだが
「これは幸運とも呼べますね。このままジンオウガもサクッと殺りましょうか」
ルークが爽やかに物騒な事を口走る
いや、まあ確かに狩りには来たけどさ…
「ここからなら場所も近い。いくぞ」
ルーに促され俺達は移動を開始する
途中でルークとルーの目がやけに険しくなっていたが、ジンオウガ相手に緊張しているのだと思った
502: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 13:05:17 ID:k4nZjE3vWE
「なんだよ…これ…」
俺達がたどり着いた場所にはジンオウガがいた
地に倒れ伏し、身体中を食い散らかされてるジンオウガが
「こんなの…いったい…なにが?」
俺は呆然として立ちすくんだ
上位のジンオウガをこんな無惨に殺すなんて…
「依頼書を見たときからおかしいとは感じていましたが…」
ルークはどうやら疑問に思っていた事が確信に変わったらしい
「ルーク…知ってるのか?ジンオウガをこんな風にした奴に」
「十中八九間違いはないでしょうが…恐らく」
ルークがいいかけた時、急に地響きが俺達に襲いかかる
「どうやらお出ましみたいだな」
ルーが槍を構えて一点を見る
ルーが見ていた方向から巨大な竜が姿を表した
503: 名無しさん@読者の声:2013/1/14(月) 14:45:30 ID:7KBlZIdH5g
このSS読みはじめてからモンハンしたくなって
昨日ついに買っちゃったw
つ C
504: さぎし(支援感謝です♪) ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 16:18:59 ID:dw4OcSXloU
「な、なんだよあいつ!?」
俺は慌てて剣を構える
姿を表した竜は今まで見てきた中で一番大きく、一番凶悪そうだった
緑色の体に二本の強靭な足。そして物を掴むのにおよそ適さない前足
歯は鋭く尖っており、噛まれたら肉など容易く引きちぎるであろう顎
そいつは俺達を見つけると、天高く咆哮した
「グオオオオオオオ!!」
「うわっ!!」
耳がつぶれるような轟音
ティガレックスと同等かそれ以上なんじゃないのか?
「やはりイビルジョーか」
ルーがそいつの名前であろう名前を呟く
「イビル…ジョー?」
「ええ、別名凶暴竜といいます」
505: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 16:25:56 ID:dw4OcSXloU
「グアァ!!」
イビルジョーは俺達が話してる最中に巨大な体を使って突進してきた
「セネル!!絶対に直撃だけは避けろ!!」
ルーがイビルジョーの攻撃を受け止めながら俺に指示を出す
あの巨体なら、動きも鈍いはず!!
だが、そんな俺の心を読み取ったかのように、イビルジョーがこちらに向く
そのまま地面に噛みついたかと思うと、岩を掘り出しそのまま俺に放ってきた
「うわっ!!くそっ!!」
俺は素早く回避して、剣を構える。足元に入り込めば相手は無防備になりと読んだのだが…
「はっ!!てい!!やっ!!」
足元に潜り込みひたすらに足を切り続ける
思った通り足元は無防備だった
「セネル君!!逃げてください!!」
「えっ!?な!!ぐあああ!!」
突然切っていたはずの足が消えて動揺した俺はイビルジョーの踏みつけをまともにくらい吹き飛ばされた
506: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 16:31:30 ID:dw4OcSXloU
「セネル!!」
急いでルーが俺に駆け寄ってくる
それをイビルジョーが目で追っていた
ルーが俺の側に来るのとイビルジョーが駆け出すのは同時だった
「っ!!」
ルーが慌てて盾を構えるが体制が悪く突進に吹き飛ばされてしまう
「ぐはっ!!」
地面に叩きつけらて苦悶の表情を浮かべたルー
そのルーをまだイビルジョーは狙っていた
「ぐっ…こいよ…トカゲ野郎!!」
俺の咆哮にイビルジョーが振り向く
「うおおおおおお!!」
イビルジョーがこちらに向いた瞬間を狙い、顔に思いっきり剣を突き立てた
「ギャアアアア!!」
イビルジョーは大きくのけ反り数歩後ろに下がる
507: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 17:47:30 ID:qyz3nQv3zY
「ルー!!大丈夫!?」
俺は急いでルーをお越しながら問いかける
「大丈夫だ…見た目ほど悪くはない」
ルーは大丈夫なようで、また立ち上がる
「さっきのでかなりのダメージを与えたと思うから…」
「・・・セネル、イビルジョーをあまり見くびらないほうがいい」
ルーの空気が一瞬で変化する
それにつられて俺は振り返った
「グルルルル」
渾身の一撃も、イビルジョーにはあまり意味がなかったらしい
平気な顔して俺達を睨み付けていた
俺は思わず崩れ落ちそうだった
あの一撃を食らってなおあんな風に立てるなんて…
508: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 17:53:45 ID:qyz3nQv3zY
「セネル、絶望するのはまだ早い」
ルーが俺を支えながら
「ダメージが通ってないわけじゃないんだ。どんなに小さくても、それを積み重ねていけばいつか崩れる」
「ルー…」
ルーは俺を励ますように
「私を守るのだろう?こんなところで諦めてどうする」
「・・・ああ、そうだな」
俺は剣を構え直す
「まだ始まったばかりなんだからな!!」
俺は剣を構えて突撃する。そのまま回転しながら左足を切りつけ離脱
イビルジョーはあの踏みつけで俺を踏み潰そうとしたが、俺はもういない
「でやあああああ!!」
俺は左足に突き刺し、蹴りあげる
「っ!!くぅっ」
まるで丸太を蹴ってるかのような感覚に僅かに怯む
それを見たイビルジョーは体を回転させて尻尾を振り回した
「うわっと!!」
素早くその場に伏せて尻尾を回避する
509: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 17:58:36 ID:qyz3nQv3zY
「グルア!!グアァ!!」
イビルジョーはブンブン尻尾を振り回し続け、俺達を近づけさせなかった
「くっ!!」
ルーも徐々に近づこうとはしてるものの、度重なる打撃で防御に手一杯だった
「グギャルア!?」
突然イビルジョーが苦しみ呻く
「ようやく効きましたか…タフでしたね」
ルークが何やら弓を降ろして観察する
今はそんなことしてる暇じゃ…
「はあああああ!!」
ルーが突進し、右足を槍を貫く
「セネル!!早く!!」
ルーからの指示でようやくルークのしたことがわかった
イビルジョーは小刻みに痙攣している
つまり、ルークはイビルジョーに麻痺毒を打ち込んだのだ
510: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 18:02:02 ID:TWKB/Ff3qI
「はあああああ!!」
左足を切りつけ、鬼人化して再度切りつける
腕の力をフルに使い容赦なく甲殻、鱗、肉を削り取っていく
イビルジョーは痛みに悲鳴をあげるが麻痺で動けない
「はああああああ!!」
「うおおおおおお!!」
ルーの突進と俺の突進が同時にイビルジョーの足を貫いた
「グギャアアアア!!」
イビルジョーはもんどりうって大地に暴れまわった
511: 名無しさん@読者の声:2013/1/14(月) 23:14:19 ID:5doDPcEGjU
ゴーヤ、もしくは閉じてるイソギンチャクだと思うんだ。イビルジョー。
っC
512: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 23:16:46 ID:WwpOb4s0Qo
「よっし!!これなら!!」
「気を抜くな!!セネル!!」
ルーの容赦のない一喝
それと同時にイビルジョーが起き上がる
「グオオオオオオオ!!」
「な!?」
イビルジョーはあの足で立ち上がり、体を赤く変色させた。口からは赤黒いブレスを吐き出し、体にある古傷が盛り上がって浮き出る
「どうやら、怒りで痛みを感じていないみたいですね」
ルークが冷静に観察する
「冷静に観察してる場合かよ!?どうすんだよ!?」
「一旦引くぞ!!怒りが収まるまで時間を稼ぐ!!」
ルーはポーチから閃光玉を取りだしイビルジョーの顔前に投げつける
炸裂した閃光がイビルジョーの目を焼き、イビルジョーは大きくのけぞった
「こちらです!!さあ!!」
ルークの先導で俺達はイビルジョーから逃げ出した
513: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 23:23:55 ID:WwpOb4s0Qo
「はあ…はあ…ここまでくれば大丈夫か?」
イビルジョーからかなりの距離を走った俺達は立ち止まり休憩をしていた
「ゆっくりしている時間はない。体勢を立て直さねば」
「ていうか…なんだよあいつ!!イビルジョー!?」
「はい…ですが…」
ルークは何やらひっかかるらしく、難しい顔をしていた
「あの暴れよう…まるでなにかに…」
「グオオオオオオオ!!」
「っ!?」
声の方に振り向くと、イビルジョーが体を震わせ追ってきていた
「もう追ってきたのかよ!?」
俺は剣を構えて対峙する
「もう、麻痺ビンないんですがねぇ!!」
ルークが苛立ちを隠せない様子で弓を放つ
イビルジョーに比べたら虫みたいな矢が刺さるも、イビルジョーはまるで気にしていなかった
「うーん…やはり焼け石に水ですかね…」
「局部を狙えばダメージは通る!!いくぞセネル!!」
「おう!!」
ルーに続いて右足を攻撃する。今度は二人で場所を攻撃する作戦に出た
514: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 23:30:15 ID:WwpOb4s0Qo
「せいっ!!やっ!!はっ!!でやあああ!!」
「ふん!!はあああ!!」
ルーと入れ替わりで攻撃を繰り返すも、まるで効いてない
「くそっ!!痛みを感じていないのは厄介だな!!」
ルーが渾身の力を込め右足を穿つ
しかし、僅かに体を揺らしただけだった
「ガアッ!!」
「くっ!!」
イビルジョーがルーに噛みつこうと口を伸ばしてくる
ルーはそれをバックステップで回避する
「何か…何か方法があるはずだ!!」
今装備している双剣では一発の威力が少なく手数で攻めるしかない。だが、今のイビルジョーは痛みを全く感じない
つまり、一撃で行動不能にするしかない
「っ!!そうだ!!ルー…」
「がはっ!!」
「ルー!?」
イビルジョーの攻撃を回避し続けていたルーはスタミナがつき、イビルジョーの突進をまともにくらい吹き飛ばされる
壁に叩きつけられたルーは吐血して崩れ落ちた
515: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/14(月) 23:33:25 ID:OP.XoqQTrw
皆様こんばんは
引っ張る感じで申し訳ないのですが、諸事情で本日の投下を終了させていただきます
>>511
とりあえず私の中であいつはゴーヤであってそれ以上でも以下でもありません
支援感謝です♪
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
516: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/15(火) 19:36:38 ID:BwFwt3N5iE
「〜〜〜っ!!」
ルーが崩れ落ちた時、俺の中で何かが切れる
「うおおおおおお!!」
ルーに噛みつこうとしていたイビルジョーの頭を蹴り飛ばす
「はああああああ!!」
続けざまに切りつけサマーソルトをしてから回転しながら切りつける
手や足がまるで俺じゃないみたいだった
「でぇやああああ!!」
回し蹴りを食らわし顎を殴り付ける。イビルジョーはたまらず別の場所に逃げていった
「逃がすかぁぁ!!」
俺が追いかけようとした瞬間、俺の目の前に矢が降り注いだ
517: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/15(火) 19:42:16 ID:WwpOb4s0Qo
「っ!!何すんだよルーク!!」
俺はルークに詰め寄る
しかし、ルークは冷たく俺を見ながら
「君はもう戦わなくていいです。ルーさんの手当てをしてください」
ルークはそれだけ言うとイビルジョーの逃げた先に歩いて行こうとする
「ま、待てよ!!俺も…!?」
ルークの後をついていこうとした瞬間、ルークはこちらを振り向きもせずに弓を放つ
「次は当てます」
ルークはそれだけ言うと、イビルジョーを追いかて行ってしまった
「・・・なんなんだよ」
俺は理不尽な物言いに怒りを感じたが、ルークの言うとおり、ルーを治療する事にした
518: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/15(火) 19:47:48 ID:OP.XoqQTrw
「ぐ…セネ…ル?」
「気がついたか?ルー」
俺はルーに回復薬やら薬草やらを使いルーを治療していた
「イビルジョーは?」
「ルークが追いかけた。もう、俺は戦わなくていいって…わけわかんねぇよ」
「・・・」
俺が文句をぶつぶつ言うと、ルーは何か思い当たるふしがあるのか
「私が気絶した後、どうなった?」
「ん?俺が戦って、イビルジョーを逃げさせたところ」
「そうか…君は、戦ってる時に、自分が自分じゃない感覚になってないか?」
「なんで…?」
「やはりか…」
ルーは小さくため息をつきながら
「ルークの判断は正しい。君は私達二人がいいというまで狩りにでない方がいいな」
「は!?なんだよそれ!!」
519: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/15(火) 19:50:54 ID:OP.XoqQTrw
ルーの発言に耳を疑った俺はルーに掴みかかる
「俺なんかしたのか!?」
「セネル…痛い」
「あ、ご、ごめん」
ルーが痛みに顔を歪めたので手を離す
「でも…なんでなんだ?」
「私からはあまり詳しくは説明は出来ない。だから今は、ルークに従ってくれ」
「・・・」
言いたい事は山ほどあったが、ルーの真剣な表情に俺は黙って頷いた
520: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/15(火) 19:59:34 ID:WwpOb4s0Qo
「さて…どうしましょうかね…」
そんな私の呟きに気がついたのか、イビルジョーがこちらに振り向く
大食らいのくせに、耳はいいらしいですね
私は弓を構えて矢を放つ
イビルジョーにはあまり効果がないみたいですが、これも計算済み
イビルジョーはそんな私の行動を挑発と受け取ったのか、ズンズンと私に近づいてくる
これだから、単細胞は扱いやすい
私はギリギリまで引き付け貫通する矢を放ち、弓をしまいながらしゃがむ。私の頭上をイビルジョーが通りすぎたと同時に私はイビルジョーに足払いをかける
「グギャアア!?」
突然の衝撃にびっくりしたイビルジョーは思わず体勢を崩し横倒しになる
「あ、しばらくそのままでいてもらえます?って、わかるわけもありませんね」
私は手持ちの矢に睡眠毒を付着させる
そしてそれをそのままイビルジョーの頭に高速で射ち始めた
次々に矢が刺さり苦痛に悲鳴をあげるイビルジョー
しかし、睡眠毒が聞き始めた頃、徐々に動きに精彩が欠けて、寝息をたてはじめた
521: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/15(火) 22:39:22 ID:tYrmy1Mm3k
「やはり単細胞は単細胞ですね。眠るのも早い」
私は弓をしまいながら呟く
さて、最後の仕事ですね
私はイビルジョーの頭のすぐ前に立ち拳を振りかざす
恐らくセネル君は私と同じ…いや、それ以上の力を持っている
「だからこそ、見られるわけにはいかないんですけどね」
空中で力を溜める
「ルーさんはなんとなく感づいているみたいでしたね…まあ、鋭い方でしたから仕方のない事ですが」
まだまだ力を溜める
私の拳の回りに空気が渦巻いていく
「あ、死因どうしましょうか…適当に岩をぶつけたでいいですかね」
力が溜まった拳を勢いよく降り下ろす
降り下ろした拳はイビルジョーの脳天を砕き、一瞬で絶滅させた
「やや力加減を間違えましたかね…まあいいでしょう。戻りますか」
522: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/15(火) 22:51:04 ID:n8gUqnX.1k
「お待たせしました」
ルーを治療していた所にルークが笑顔で帰ってくる
「イビルジョーは!?」
「もちろん倒しましたよ」
ルークが力瘤を作ってアピールするが、全然出来てない
「死体はあちらですよ。早く剥ぎ取りにいきましょうか」
ルークが爽やかな笑顔で先導してくれる
俺はルー肩を貸しながらルークについていく
ルーはその間ずっと難しい顔をしていた
523: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/15(火) 23:09:45 ID:tYrmy1Mm3k
「・・・すげ」
俺達が辿り着いた場所にイビルジョーは転がっていた
頭が陥没し、脳が飛び出ている。ハンターじゃなければ発狂ものだ
「岩を狙って射ったら上手い具合にいきましてね」
ルークが指差す先には血と体液がベットリとついた巨大な岩があった
「流石の凶暴竜も、自然には勝てませんね」
ルークがしみじみと呟く
「なんだ…あっけないな…」
あんなに恐ろしく見えたイビルジョーも今はただの死体だ
「・・・」
ルーはぎこちない動きでイビルジョーを剥ぎ取りしている
「ルー、無茶をすんなって。手伝うよ」
「・・・すまんな」
ルーの剥ぎ取りを手伝い、俺達はギルドに帰った
524: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/15(火) 23:11:42 ID:tYrmy1Mm3k
皆様こんばんは
さぎしです
イビルさんを出しました ・・・はい、以上です
本日の投下を終了させていただきます
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
525: 名無しさん@読者の声:2013/1/16(水) 23:01:52 ID:prMVtzW8Ag
ω・`)チラッ
ω・`)っC"
)彡
526: 名無しさん@読者の声:2013/1/16(水) 23:54:56 ID:XpWzIHxLOs
壁|Cqω・`)チラッ
壁|qω・`)スッ
壁|ω・`)ノC
壁|ω・`)ノシ≡≡≡≡≡≡C
≡≡≡≡≡C)*´З`)
527: 名無しさん@読者の声:2013/1/17(木) 00:15:18 ID:r2FnmB6dc2
更新ないとは風邪でも引きました?
っ支援
528: 名無しさん@読者の声:2013/1/17(木) 01:34:50 ID:YflqSKE/W.
ルークさんハンパねえ。
つC
529: 名無しさん@読者の声:2013/1/17(木) 16:35:24 ID:4A0pCYdpPA
『落とし物ですよ』
っ思艶
530: 名無しさん@読者の声:2013/1/17(木) 17:27:39 ID:TTBA9FIH6M
どうしても、テ○ルズのビジュアルで脳内再生するな。
ルーク以外は
531: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/17(木) 17:44:38 ID:Q1oDtCSZsQ
>>525
支援感謝です♪
>>526
支援感…おぶふぁ!!
>>527
お待たせして申し訳ありませんでした。支援感謝です♪
>>528
ルークさんは超振動を…なんだおまえら、なにするやめ…
>>529
これはかたじけない
若干色っぽい気がしますが
>>530
ナ、ナンノコトデスカー
丁寧なルークって、鳥肌ものですな
昨日は何も言わず突然すみませんでした
更新を楽しみにしてくださっていた方々にはとても申し訳ない事をしたと思います
今日からまた頑張りますので、よろしくお願いします
532: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/17(木) 17:49:35 ID:Q1oDtCSZsQ
ギルドで完了報告をして家へと戻る
ルーは何やら用事があるというのでどこかへ行ってしまった
つまり、家には俺しかいないのである
「・・・なんか、静かだな」
ルーが同棲するようになってからはいつもルーが側にいたため、一人というのは新鮮だった
「ルーが来てから…色々変わったな…はは」
一人ベッドに寝転がり今までの事を振り返る
ルーとであってから、もうすぐ一年が経つ
「俺、成長してるのかな?」
「してると思いますよ」
「のうわぁ!?」
「すみません。後で話しますので、私に着いてきてくださいますか?」
「・・・」
533: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/17(木) 17:56:25 ID:Q1oDtCSZsQ
ルークに半ば引きずられるようにしていったのは渓流のベースキャンプだった。どうやらルークは素材ツアークエストを受注したらしい
「こんなところに、なんの用だよ」
俺はルークに問いかける ルークは真面目な顔で
「君は、火事場というのをご存知ですか?」
「は?火事場?…体力が少なくなると、攻撃力が倍増するスキルだっけ?」
「その通りです」
ルークはベースキャンプのベッドに弓を起きながら
「通常、火事場というのは装備のスキルによって発動するとされてますが、極稀に自分の意思で発動できる人間がいるんです」
「・・・まさか」
「そう、君はその極稀の火事場を発動できる人間なんですよ」
ルークが俺を真っ直ぐに見つめてくる
火事場?そんなのしたことやり方さえ…
534: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/17(木) 18:01:23 ID:prMVtzW8Ag
「っ!!」
ここで俺はようやく気づく
リオレウスの時と、イビルジョーの時
「そうです。君は既に二度も体験しているんですよ」
ルークが表情を崩さずに告げる
「あれが…火事場?」
「そうです。実際に見せた方が早いでしょうね」
ルークは手頃な岩を運んできた
大きさはかなりの物で、小型モンスターなら一撃で死に追いやる程の強度がありそうだ
「ふぅぅぅぅん!!」
アームをつけたルークの右腕がどんどん膨らんでいき…そして
「はっ!!」
気合いの一声と共に降り下ろされた拳は岩を粉々に打ち砕いた
535: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/17(木) 18:18:39 ID:brBbFDFh8A
「!!」
目の前の事に理解が追い付かない
お世辞にも筋骨隆々に見えないルークが岩を粉砕するなど
「これが火事場の力です。岩を割るなんて処初歩ですね
ルークは手を拭きながら呟く
ルークの手は血はおろか、怪我一つなかった
「さて、ここからが本題です。あなたの火事場は恐らく私以上の力を持っています。ですが、あなたはそれを特定の条件下でしか発動出来ない。これから私と特訓をして常に火事場を出せるようにします」
ルークが構える
「と、特訓って?」
「やってみせたほうが早いでしょう。いきますよ!!」
ルークが俺に向かって拳をつきだしてくる
「うわっ!?ルーク!!」なにすん…くっ!!」
ルークはどんどん俺に向かい攻撃を仕掛けてくる
「や、やめろって!!」
「君が火事場を会得すればやめます!!」
ルークの手刀と拳が同時に襲いかかる
拳を間一髪でかわし、手刀を受け止めたが
「ぐっ!!」
受け止めた衝撃が強すぎて体勢を崩してしまう
その瞬間を狙い、ルークが俺の脇腹を蹴り飛ばした
「がはっ!!」
防御も何もしていない脇腹への衝撃に俺は吹き飛ばされる
「ぐっ!!…くそ…」
536: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/17(木) 18:24:13 ID:MNVYXW8WpQ
急いで立ち上がるが、足元がおぼつかない
「ふっ!!」
ルークの回し蹴りが右からくる
それをなんとかかわしてルークを説得する
「ルーク!!待てよ!!こんなことしたって何も…」
「しなければあなたを殺すまでです!!」
ルークは俺の言葉を聞かずに突っ込んでくる
手を針のように鋭く尖らせ俺に繰り出す
「ぐっ!!」
繰り出された突きを蹴りあげ、蹴りを放つ
ルークは咄嗟に後ろに下がり構え直す
「そうです。私を殺す気で来なければあなたが死にますよ?」
「ルーク!!」
俺はルークに向かって拳を突きだした
537: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/17(木) 18:31:00 ID:brBbFDFh8A
「ここにおられましたか」
急に声をかけられ振り返る
そこには村長が微笑みながら立っていた
「村長か、驚かさないでくれ」
「ルー様は、何かあるといつもここに来ますわね」
ほほほと笑いながら私の隣に腰かける
私達の目の前には墓がある
墓標には、ミラ=ボルアス。ジュード=ボルアスと彫られている
「あの方達は最高のハンターでしたわ」
しみじみと懐かしむように呟く村長
それに私は沈黙の肯定をした
「もちろん。息子のセネル様もとても素晴らしいハンターですわ」
「・・・」
村長は一旦言葉を切って
「先程、ルーク様がセネル様と共に渓流の素材ツアーにいかれました」
ルークがセネルを連れていった理由は薄々感づいてはいた
ルークとセネルにある能力。火事場と呼ぶべきか
「ルーク様は恐らく命懸けでセネル様に教えるでしょうね…もしも、セネル様が会得出来なかった場合は…」
「・・・」
「ルーク様はセネル様を殺しますわ」
538: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/17(木) 18:36:03 ID:MNVYXW8WpQ
拳を血が滲むくらいに強く握りしめる
セネルが殺される
セネルがいなくなってしまう
なのに、私の体は動かなかった
「私は信じていますわよ。セネル様は必ずや帰ってきて下さると」
村長ははっきりと断言した
「・・・私は」
自分の胸に秘めた思いを告げるべきか迷う
「ルー様にできる事はたくさんございますよ」
私を慰めるように村長が言う
「セネル様が帰ってくる場所。それは貴女の元なのですから」
そういった村長の目は優しい光を宿していた
「・・・ああ」
私は墓標を撫でながら頷く
そうとも、セネルは必ず私の所に帰ってくるさ
539: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/17(木) 21:54:19 ID:X6r7F3XhR.
「ぐはっ!!」
ルークの拳が腹に飛んでくる
最早何回目かもわからなくなっていた
「最初に比べれば中々よくなりましたが…やはり、足りない!!」
ルークは蹴りを繰り出してくる
「うあああああ!!」
俺はその足を掴み、地面に引き倒そうとしたが、回転され逃げられてしまう
「ルーク…もう…やめよう…」
俺は肩で息をしながらルークを説得する
ルークは少し考える素振りをして
「そうですね…これ以上は時間の無駄みたいですし」
「それじゃ…」
「ルーさんを殺します」
「!!」
「いえ、ルーさんだけではありません。ユクモ村そのものに消えてもらいましょう」
「そんなこと…許され…」
「突如、ユクモ村に巨大な竜が現れた。ギルドナイトは応援のハンターを送ったが、間に合わなかった。ハンターは必死に竜と戦い撃退に成功した。仕方のない犠牲だった」
540: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/17(木) 22:00:28 ID:PdFO58miB6
「多少、脚色はしましたが…まあ、こんなところでしょう…」
「ルー…ク?」
「残念ながら、火事場の使えない人間に用はありません。あ、あなたは生かしておいてあげます。一応、火事場適性者ですしね」
何を言ってるんだ?
ユクモ村を…消す?
村の皆は?村長さんは?ルーは?それにあそこには父さんと母さんが眠って…
「更地にして…新しいギルドでも建てれそうですね。そうと決まれば善は急げです」
ルークが俺に背を向けてユクモ村の方向に歩いていく
駄目だ…今、行かせたら!!
「うおおおおおおお!!」
「っ!?」
俺は一瞬でルークの前に立ちはだかる
あまりに急だったので、流石のルークも判断が一瞬遅れたらしい
そのままルークの腹を蹴り飛ばす
遥か後方に吹き飛ばされたルークは受け身を取り着地した
「ようやくやる気になりましたか…」
541: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/17(木) 22:07:34 ID:X6r7F3XhR.
俺はユクモ村の道に立ちはだかる
「ルーク!!もしもお前が本当にユクモ村を消そうとするなら、ここを通すわけにはいかない!!」
「なら、意地でも通るまでです!!」
ルークが走り出す
先程まではなんとなくでしか追えなかったルークが今は目で追えるようになっていた
「ちぇぇい!!」
ルークに足払いをかけてそのまま蹴りあげる
ルークは素早く後ろに飛び、上空から蹴りつけてきた
「ふっ!!はあああ!!」
その蹴りをかわし、背中を蹴りあげる
「ぐっ!!」
ルークが痛みに顔を歪めたが、すぐに体勢を整えると
「私には、私の成すべき事があります!!そこを退きなさい!!セネル!!」
「させない!!俺はルーを!!村長さんを!!父さんと母さんを!!ユクモ村の皆を!!守る!!」
「そんなことが出来ますか!!人間は非力な生き物です!!」
「そんなの!!やってみなくなくちゃわからない!!」
ルークが右の拳を繰り出す
俺はそれを掴み引き寄せた
「なっ!?」
「はああああああ!!」
引き寄せたルークの腹に拳を沈める
ルークは目を見開き、そのままゆっくりと崩れ落ちた
542: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/17(木) 22:13:30 ID:X6r7F3XhR.
「・・・っく、はっ!?」
目が覚めると、そこには天井が広がっていた
どうやら私は気絶していたらしい
「こ、ここは…?」
「セネルの家だよ」
「っ!!ルーさん…」
私から離れた椅子に腰かけているルーさんは、いささか呆れたような顔をしていた
「負けたんだよ。お前は」
「・・・」
「全く、セネルに敵うわけがないだろ?」
ルーさんは誇らしげに胸を張る
「双炎の覇者の息子…だからですか?」
「セネルには肩書きなんて必要ないよ」
「あいつは、一人のハンターとして、セネル=ボルアスがお前を打ち負かしたんだよ…」
ルーさんは優しく微笑む どうやら全て見透かされているらしいですね
肩をすくめようとして腕を動かそうとしましたが、腕が動かない
「火事場の反動だ。無茶をして…」
ルーさんが盛大にため息をつく
そのため息はセネル君限定だと思ってましたが…私にも有効なんですね…
543: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/17(木) 22:19:59 ID:X6r7F3XhR.
「あ、ルーク起きたのか?」
俺が家に帰ると、ルークが起きていた
「セネル君…」
ルークはびっくりしていたが、すぐに気まずそうにする
まあ…嘘とはいえ、あんなこと言っちゃったもんなぁ
「体は…大丈夫なんですか?」
「ん?まあ、所々痛むけど動けないわけじゃないよ」
「そうですか…その」
「ルーク、別に俺の事を殺そうとするのは構わないけど、ルーは絶対に殺させないからな」
「・・・」
「ルーク、別に私の事を殺そうとするのは構わない。が、セネルは絶対に殺らせんぞ?」
ルーが俺の隣に立ち挑発するような視線をルークに向ける
そのまま睨み合うこと数分
「ぷっ、くくく…やはり、お二人には敵いませんね」
ルークが笑顔で笑い出す。
俺たちもようやくそれで笑いが戻った
544: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/17(木) 22:24:26 ID:X6r7F3XhR.
「折角ですが、ご遠慮しますよ。お二人を殺すのはどのモンスターを狩るよりも大変そうだ」
ルークが笑いながら、それでも優しい瞳で俺達を見る
「あ、そうそう」
「?」
ルーがものすごい意地の悪い顔で
「勝手に殺されそうになったからな…罰として、気絶中の世話は全部コノハとカエデがしてくれたぞ?」
「うぷっ!?」
途端にルークの顔が白くなる
「ちなみに、まだ世話は続いているから…まだ来るかもなぁ?」
ルーが最高にドSな笑みを浮かべる
ルークは顔面蒼白になり倒れてしまった
ありゃ、しばらく狩りには出れそうにないな…
545: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/17(木) 22:26:52 ID:PdFO58miB6
皆様こんばんは
さぎしです
えーと…なんか、ごめんなさい
また調子に乗ってモンハンとまるで関係ないバトルものになっちゃいましたね…なんか、本当に申し訳ない…
本日の投下を終了させていただきます
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
546: 名無しさん@読者の声:2013/1/17(木) 22:51:40 ID:Dp1hf6qrAo
ナルガたんのSS見てきたらまさかの伏線があったwwwwww
547: 名無しさん@読者の声:2013/1/17(木) 23:20:12 ID:0VdNFoD2O2
頑張れ!さぎしたん!結婚してくれ!さぎしたん!支援だ!さぎしたん!
548: 名無しさん@読者の声:2013/1/18(金) 08:43:51 ID:kDvi3Nq.R.
さぎしたんかわいいよさぎしたん
549: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/18(金) 21:38:10 ID:BC1ymxvK56
>>546
お、おう!!
(あれ…、伏線なんかあったっけ…?)
>>547
あー、結婚は親の承諾ないと無理ですね。はい
支援感謝です
>>548
ちょ、照れるからやめれ!!
550: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/18(金) 21:41:42 ID:BC1ymxvK56
「準備は出来てるな?セネル」
「ああ。もちろんだ」
ルークの一件から翌日
俺はルーと二人で狩りに行っていた
師弟の時は戦うのに精一杯であまり意識はしていなかったが、ルークがいない今は二人っきりである
ルーは俺が守らないとな
「では、探索するまえにおさらいだ。私達は何しにきた?」
「ドボルベルクの討伐だな」
「ああ。近辺に生息し始めたドボルベルクの被害が拡大するまえに終わらせる」
「おう!!」
551: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/18(金) 21:47:41 ID:BC1ymxvK56
勇んで出発したものの、俺達はいまだに渓流を歩き回っていた
おかしい、ドボルベルクはそんなに隠れられないはずだ
ルーも何かを怪しんでいる
多分、同じ事を考えてるのだろう
「なんでいないんだよ…」
次第に焦りが募りはじめる
「落ち着け。根気よく探せばいい」
俺を励ますように肩を軽く叩くルー
そんなルーの励ましが嬉しかった
「しかし、本当にいないな…」
ルーも不思議そうに呟く あまりこういうのに経験がないらしい
「・・・ん?」
何やら焦げ臭い匂いを感じて俺はその方向に歩き始める
「セネル?」
ルーは怪訝な顔をしながらついてきた
552: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/18(金) 21:56:13 ID:cYUoihoiOE
「・・・」
俺達が辿り着いた場所には、ドボルベルクが死体で転がっていた
つい最近あったとか、使い回し乙とか言わないでいただきたいが、とにかくドボルベルクが死んでいたのだ
「誰が…」
「焦げ跡からわずかに飛竜種のブレス臭を感じるな」
ルーがドボルベルクに近づき鼻を動かす
どうやらドボルベルクを殺したのは飛竜種らしい
「まだ時間は経っていない…まだその辺にいるかもしれない。手分けして…いや、一緒に探そう」
ルーがやや躊躇ったが一緒に探索することを提案する
ドボルベルクを倒す程のモンスターなら一人で立ち向かえば苦戦はするだろうし、俺はルーの指示に従った
「よし…いく…!?」
ルーが突然上空を見上げる
一匹の竜が徐々に大地に降り立とうとしていた
「あれは…リオレウス!?」
553: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/18(金) 22:03:57 ID:PegmcYVJcA
リオレウスが地面に降り立ち俺達に威嚇をする
尋常じゃない殺気と敵意…いや、それより
「銀色!?」
そのリオレウスは銀色の甲殻をしていた。恐らく本で見たリオレウス希少種だろう
銀レウスは俺達に向かって真っ直ぐにブレスを吐いてくる
俺達は左右に避けて武器を構えた。俺は避ける時に銀レウスの左目が潰れてるのが見えた
「っ!?貴様ぁぁぁぁ!!」
突然ルーが逆上し、銀レウスに突進をする
銀レウスはルーを見据えると巨大なブレスを吐いた
「うああああ!!」
ルーはブレスを盾で弾き銀レウスに槍を突き立てる
しかし、銀レウスは怯むどころか尻尾でルーを吹き飛ばす
「ぐっ!はああああっ!!」
ルーは受け身を取りまた銀レウスに突進をする
「ガアアアアアア!!」
今度は銀レウスもルーに突進を仕掛ける
しかし、ルーは避けようともせずに銀レウスの顔に槍を繰り出した
554: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/18(金) 22:09:51 ID:PegmcYVJcA
ギャリギャリという金属が擦れ合うような音がして両者が止まる
先に動いたのは銀レウスだった
「ガアッ!!」
「くあっ!!」
後ろに後退しながらブレスを吐き出す
無防備だったルーはまともにくらい火に包まれた
「ルー!!」
俺は走り出してルーを起こす
「ぐっ…まだだ!!」
ルーは跳ね起きまた銀レウスに突進をする
銀レウスはブレスを吐かんと大きく口を開けた
「あんなのに当たったら…ごめん!!ルー!!」
俺は突進をしているルーに足払いをかける
ルーが前につんのめった直後に銀レウスのブレスがルーの頭上を通った
「くっ!!やああああ!!」
それでもルーは突進をしようとする
「やめろ!!ルー!!」
俺は火事場を発動しながらルーを押さえつける
ものすごい力だった
555: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/18(金) 22:16:03 ID:PegmcYVJcA
このままではらちがあない。まずはあの銀レウスをなんとかしよう
俺はルーを押さえつけるのをやめて剣を構えて銀レウスに突撃する
銀レウスは俺に向かって突進をしてくるが、俺はそれを←にかわして足を切りつける
「っ!!硬い!!」
銀色の甲殻は見た目通りに硬く、剣を弾かれてしまった
「武器が駄目なら!!」
俺は武器をしまって高く飛び上がる
銀レウスはそれを追いながらルーの対してのケアかいも忘れない
「うおおおおおおお!!」
俺は飛び上がり、あるていどの高さからならかなりのダメージを与えるはずだ
見事にかかとおとしが命中し、甲殻に小さなヒビが入る
俺の左足もいたいが、銀レウスはどこかへと旅去ってしまった
556: 名無しさん@読者の声:2013/1/19(土) 00:20:50 ID:CO/RpXLlz2
っ気円斬!
おっとまちがえた。
っ支援だ!
557: 名無しさん@読者の声:2013/1/19(土) 00:26:02 ID:r2FnmB6dc2
使い回しお手
558: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 02:41:22 ID:b4dYJxAukI
>>556
裂空刃!!
間違えました
支援感謝です
>>557
わ、わ…ワン?
改めてみますと、>>555の誤字が酷いですね
とりあえず、脳内補完お願いします
では、深夜ではございますが、もう少しだけ更新してお別れしたいと思います
559: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 02:45:43 ID:b4dYJxAukI
「ルー!!いったいどうしたんだよ!!」
先程のルーの銀レウスに対する殺意や敵意
そしてなによりあの荒ぶりようはいつものルーからは想像もつかなかった
「変だよ…ルーも、あの銀レウスも…敵意や殺意がおかしいっていうか…」
ルーは俯き、しかし槍を折れるくらいに強く握りしめながら
「取り乱してすまない…だが、あの銀レウスだけは私に殺らせてくれ…」
「なんかあんのかよ…ていうか、やけに強かったけど…」
「あの重圧。あの大きさ。耳障りな咆哮。そして…潰れた左目」
「あいつは…私の…ミラとジュードの仇だ!!」
「!!」
560: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 02:49:21 ID:y4tJpZ5ZuI
ルーの話に出てきた銀レウス
父さんと母さんを殺したのが…あいつ
「すまない。だが、これは私のけじめなんだ…やらせてくれ」
ルーは懇願するような眼差しを向けたが、俺が何も答えないでいると
「分かってるさ。お門違いな敵討ちだと…だが、私の因縁でもある」
「だから…私はあいつを…」
「ルー」
酷く冷たい声だった
自分でもわかる
「っ!!」
ルーが一瞬怯えたような目をする
今俺はどんな顔をしてるんだろうか
「駄目だよ…それじゃあ…」
「な、何故だ!?」
「今のルーだと…絶対に負ける」
561: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 02:53:35 ID:b4dYJxAukI
「何を言う!!何を根拠に…」
ルーがすごい剣幕で掴みかかる。だが、その手は震えていた
「自分でもわかってるんだろう?対峙したら、怒りに我を忘れるかもしれないって」
「…っ!!」
ルーが唇を噛み締める
俺よりもよくわかっているはずだ
「だから…俺がやるよ」
「なっ!?無茶だ!!相手は」
「分かってる。G級の更に上の強さなんでしょ?」
「そうだ!!だからこそ…」
「ルーじゃ無理だ」
きっぱりと言い放つ
その声は自分でも驚く程に大きかった
562: さぎし(投下終了) ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 02:58:40 ID:y4tJpZ5ZuI
「何故だ…私は…また…何も出来ないで…」
ルーがその場に座り込んでしまう。その姿は儚く弱々しかった
「ルー」
俺はルーを抱き締める
「俺は…もちろん父さんと母さんの仇でもあるあいつを倒したい。でも、あいつを見逃したら村に被害が出るかもしれない」
「俺は、ルーを含め村の皆を守るためにあいつを倒すんだ」
「・・・」
ルーは涙を流しながら俺を見る
「だから…待ってて」
俺はアイテムポーチからモドリ玉を取りだしルーの足元に投げつける
「セネ…」
ルーが何かを言いかけたが、緑色の煙に包まれた瞬間ルーの気配が消えた
「・・・よし」
俺は武器を取りだし銀レウスを追いかける
なんとしても、負けるわけにはいかない
563: 名無しさん@読者の声:2013/1/19(土) 07:03:32 ID:7jvGHV0huQ
伏線かどうかわかんないけど、確かナルガたんSSのギルドマスターの娘の名前がルーだった!支援!
564: 546:2013/1/19(土) 09:44:57 ID:Dp1hf6qrAo
>>563それですそれ!!あれ伏線なんでしょうか?そして支援!!!
あとさぎしたん結婚してください/////
565: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 16:03:17 ID:n8gUqnX.1k
>>563
おうふ…そんな細かいところまで覚えていただいて…なんかもう感無量です♪
>>564
残念ながら、この話はナルガSSとは別世界といおうか、要は違う話なんですね。だから伏線というわけではないんです。偶然の一致です
>>564さんにはきっと私以外のいいお嫁さんが見つかりますよ♪
566: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 16:09:21 ID:tYrmy1Mm3k
銀レウスを追いかけて川原にたどり着く
そこには俺を待ち構えていたかのよう銀レウスが立っていた
銀が何かを探すような仕草をする。恐らくルーを探しているのだろう
「ルーはいない。お前の相手は俺だ」
俺は武器を構えて言い放つ
銀レウスは俺をチラリと見やり、フンと鼻を鳴らした
「はああああ!!」
俺は剣を構えて銀レウスに突っ込む
銀レウスはめんどくさそうにブレスを吐いた
「でやぁ!!」
飛んできたブレスを切り裂き銀レウスに近づく
銀レウスは驚き目を見開いた
「だりゃあああ!!」
真上から剣を降り下ろす ガキンという鈍い音がして剣が弾かれた
「せい!!たあっ!!」
剣が弾かれた衝撃を利用して回し蹴りを叩き込んだ
567: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 16:15:44 ID:tYrmy1Mm3k
「グルルルル…」
銀レウスは俺に激しい憎しみの目を向ける
どうやら俺を排除すべき敵と認識したようだ
「そうだ!!俺がお前の敵だ!!」
俺は銀レウスの羽を切りつけ足を切り裂く
銀レウスは尻尾を振り回し俺を吹き飛ばそうとするが俺は全てを回避して銀レウスを切る
「お前を倒さなくちゃ!!ルーが安心して前に進めないんだよ!!」
気合いと共に剣を突き刺す
剣は甲殻を貫き深々と突き刺さった
「グガアアア!!」
銀レウスが悶絶するが、すぐに俺の方に向き直りブレスを吐いてくる
「はあっ!!」
ブレスを切り裂き銀レウスに近づこうとしたが
「・・・何!?」
ブレスを切り裂いた先には何もいなかった
逃げられたか?
そう思って辺りを見回した時
「ガアッ!!」
「うわっ!!」
突然銀レウスが背後の上空から襲いかかってきた
568: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 16:20:39 ID:tYrmy1Mm3k
「ぐっ!!しまった!!」
強靭な足で体を押さえられ思うように動きが取れない
銀レウスは勝ち誇ったように天高く仰ぎ喜びの咆哮をあげる
俺に向き直り口にブレスを溜め始めた
「っ!!くっそぉぉぉ!!」
必死にもがき、どかそうとするが銀レウスはこれっぽっちも気にしていなかった
そうしてどんどん銀レウスのブレスが大きくなっていく
「くそ…ここまでか」
あんなのを生身で食らったら確実に死ぬ
ましてや剣で弾く事さえ無理に等しい
「ごめん…ルー…」
顔に感じる熱がブレスの大きさを物語る
俺は死を覚悟して目を閉じた
569: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 16:31:19 ID:mPH/90lhss
「・・・・・・?」
いくら待っても想像していた痛みが襲ってこない
あまりのい痛さに痛みを感じずに死んだのか?
それにしては酷く体が軽い…
「っ!!」
俺は慌てて目を開ける
今しがたブレスを吐こうとしていた銀レウスが硬直していた
「顎に…矢が…?」
「グギャアアアア!!」
ボンという音ともに銀レウスの顔が爆発する
口内にあったブレスが爆発したのだ
血が吹き出し甲殻が吹き飛ぶ
「危ない所…でしたね」
「ルーク!!」
少し離れた所から、弓を構えたルークが青白い顔をして立っていた
「セネル君…君は…守るんじゃなかったんですか?ルーさんと…共に歩むのではないのですか…ぐっ!!」
ルークが膝を付きうなだれる
銀レウスは突然の乱入者に怒りの炎を燃やす
「ガアアアアアア!!」
そのままルークに向かい突進をしていった
570: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 16:36:18 ID:mPH/90lhss
「させるか!!」
急いで跳ね起きルークの前に立ちはだかる
「ガアアアアアア!!」
「うおおおおおお!!」
銀レウスの突進を真っ正面から受け止める
「ぐうぅぅ…!!」
凄まじい衝撃が襲ってきたが、なんとか耐え抜く
「申し訳…ありません」
後ろでルークが力尽きる気配を感じる
元々動くのさえ難しかった状態なのに、あんな動きをしたら当然だろう
「ぐっ…うぁぁ…」
銀レウスの力がどんどん強まる
それに反比例して押さえつける力が弱まってきていた
「守るんだ…皆を!!」
最後の力を振り絞り押し返す
わずかに銀レウスを後ずらせたがそれだけだった
「グアアア!!」
銀レウスの力が更に強まっていく
ここまで…なのか…
571: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 16:43:24 ID:w1YC/L5Ruc
「はああああ!!」
突然肩口から黒い槍が突きだし銀レウスの右目を貫いた
「グギャアアアア!!」
銀レウスは溜まらずのけ反り頭を振る
倒れかけた俺を支えてくれたのはルーだった
「ル…ー…」
「セネル、しっかりしろ」
ルーはポーチからいにしえの秘薬を取りだし俺に飲ませる
「確かにお前の言う通りだ。私は怒りに呑まれてあの銀レウスを倒せなかっただろう」
ここでルーは一旦言葉を切る。そして優しく微笑みながら
「だが、今は違う。お前がいる。お前がいてくれる」
「だから私は勝てる。戦えるんだよ」
いにしえの秘薬の効果が体に現れ動けるようになる
「ルー…」
もう痛みは無くなり、体は動くようになっていた
「お前の事は私が守る。だからお前は私を守ってくれ」
「・・・ああ」
「ふっ…では、いくぞ!!」
俺とルーは武器を構え銀レウスと対峙する
もう負けるという考えはなかった
ルーがいてくれるから
ルーが、いるから
もう何も怖くない
572: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 16:50:53 ID:w1YC/L5Ruc
「グルルルル…」
ルーと左右に展開する
銀レウスは見えなくなった目の代わりに耳と鼻で俺達の気配を探った
「ガアッ!!」
銀レウスが標的としたのはルー
噛みつきを盾でいなしながらルーがむき出しの生身に槍を突き刺す
「グギャアアアア!!」
銀レウスは痛みに絶叫するが、それでもルーに攻撃を仕掛ける
「くっ!!この!!」
ルーの槍に噛みつき、そのまま離れない
「こいつ!!離せ!!」
俺が渾身の力を込めて蹴り飛ばす
蹴った衝撃で銀レウスが一瞬だけ槍を離した
「でやああああ!!」
ルーは離された槍を少しだけ引き、一気に貫く
首の奥まで槍が突き刺さり、銀レウスは絶命した
「・・・」
ルーが槍を引き抜こうとしたが、引き抜けない
ルーが槍を力いっぱい抜こうとすると、突然銀レウスの瞳が開きルーに向かってブレスを吐こうとする
「だあああああ!!」
俺は剣を降り下ろして銀レウスの首を切断した
切断された顔から少量のブレスが吐き出され、銀レウスは本当に動かなくなった
573: 名無しさん@読者の声:2013/1/19(土) 17:34:24 ID:r2FnmB6dc2
本当にお手してくれるとは…
可愛いのう
っ支援
574: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 22:43:39 ID:WaxinZxJMc
>>573
ご所望ならお座りもいたしますが?
まあ、冗談はさておき
支援感謝です♪
575: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 22:49:09 ID:WaxinZxJMc
「殺った…んだな」
ルーが肩で息を整えながら俺に聞く
「・・・」
俺は何も言わなかった
言わなくても結果は見てわかるからだ
「やっと…終わった…」
ルーがその場に座り込む 俺は呆然と立ち尽くしていた
「ルーク、運ばなくちゃな」
俺は気絶したルークを背負う。この時ほどルークがガンナーで本当に良かったと思った
「帰ろう。ルー」
「ああ」
ルーに手を差し伸べる
ルーは俺の手を取りゆっくりと立ち上がった
576: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/19(土) 22:56:48 ID:WaxinZxJMc
「お帰りなさいませ…達成なさいましたね」
ギルドに戻ると、カエデさんが優しい微笑みで迎えてくれた
「終わったよ…全て」
ルーが少し疲れたような顔をしていたが、達成感に満ち溢れていた
「これでルー様がこの村に留まる理由のひとつが消えましたね」
「まあな…だが、私はここを離れる気はないぞ」
ルーが俺を見ながらカエデさんに答える
カエデさんはそれでも微笑みながら
「そうですね。とにかくお疲れでしょう?後は私達が全てやりますのでお休み下さい」
「そうさせてもらおう」
ルーはカエデさんに別れを告げると俺の方に歩いてきた
「すまないセネル、私と一緒に来てもらいたい場所があるんだ」
「いいけど、どこに?」
「くればわかる」
577: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/20(日) 00:08:37 ID:OVSWlYCIKk
ルーに連れられて来た場所は両親の墓前だった
「よく悩んだ時や、一人になりたい時はここに来てたものだ」
ルーが墓標を撫でながら感慨深そうに呟く
ルーにとって色々思い出があるんだろうな…
「私がこの村に来たのは理由が二つある」
「一つはあの銀レウスがこのユクモ村近辺で目撃されたと聞いてな」
「二つ目はこの墓だ…でも、もう必要ないかもしれない」
ルーは俺に向き直り
「私はこの村にいる理由を全て失った…敵討ちも、終わった」
ルーは天を仰ぐ
「最初は弔い合戦のつもりだったよ…だが終わってみれば…一人では絶対に成し遂げれなかった…ありがとう…セネル」
俺は何も答えなかった
ルーの言いたい事はよく分かってるから
「今日は報告に来たんだ。ミラ、ジュード」
ルーがしゃがみこみ墓に話しかける
「お前たちの仇は取った。お前たちの息子を旦那に貰った…私は、お前たちから卒業するよ」
「ありがとう…これが言いたかったんだ…」
578: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/20(日) 00:16:30 ID:OVSWlYCIKk
ルーは静かに手を合わせる
俺は黙ってその様子を見守っていた
「セネル」
ルーが墓を向いたまま俺を呼ぶ
「私はもうこの地ですべき事を終えた。私を縛る物は何もない…だが」
ルーはこちらをゆっくりと振り返る
「私はお前と共に歩みたい。ミラとジュードに託された世を生き続けたい。今更かもしれないが…共に来てくれるか?」
俺は黙ったままルーに近づきルーを抱き締める
「当たり前だろ?俺達はいつまでも一緒だよ」
「・・・ありがとう」
ルーも俺を抱き締めてくれる
ここまで随分長かったような気がする
でも、俺達はまだ歩き始めたばかりで、道は果てしなく険しい
でも、俺は歩き続けたい ルーと一緒に、いつまでも
それが俺の成すべき事
そうだよな?父さん…母さん
俺は、この小さな幸せを守るよ
【第一部 完】
579: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/20(日) 00:21:19 ID:OVSWlYCIKk
皆様こんばんは
さぎしです
というわけで第一部が終わりました
察しのいい方はお気づきだと思いますが、第二部もあります。ていうか、明日から第二部を書き始めます
ここまで続けられたのは皆様からの暖かいお言葉や支援、応援のお陰です
本当にありがとうございました
本日の投下を終了いたします
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
580: 名無しさん@読者の声:2013/1/20(日) 00:33:00 ID:sd/kbPrP1I
乙です。
っC
っ苦瓜
581: 名無しさん@読者の声:2013/1/20(日) 00:37:10 ID:r2FnmB6dc2
乙!
っ支援
っ犬耳
582: 名無しさん@読者の声:2013/1/20(日) 01:28:20 ID:prMVtzW8Ag
乙です。
つ支援
つ尻尾
(?_?).。o(アックスデナイカナ)
583: 名無しさん@読者の声:2013/1/20(日) 09:38:44 ID:CO/RpXLlz2
乙!
焼き肉でもしとけ!
ケルビの生肉
しびれ生肉
っCCC
584: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/20(日) 18:12:22 ID:KS1oVzK.WM
>>580
支援感謝です♪
うん、その苦瓜はしまっていただけると助かります
>>581
その犬耳をどういう用途で持ち出したのか小一時間程問い詰めてもいいですか?
>>582
その尻尾をどういう用途ry
アックス?斧?スラックス?
すいません。ちょっとわかりません
>>583
わーい、焼き肉…
らめぇぇ!!ビリビリしちゃうのぉぉぉ!!
・・・満足ですか?
では、第二部を書き始めます。始まり始まり〜
585: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/20(日) 18:26:59 ID:cRgOqnAOPY
「はあああああ!!」
気合いと共に剣を一閃する
雌火竜の翼を断ち、顔面を蹴り飛ばす
「セネル!!後ろだ!!」
ルーの叫びに急いで振り向く
後ろからは番を傷つけられた外敵を削除せんと、火竜が怒りに炎を吐きながら猛然と襲いかかってきた
「っ!!とりゃ!!」
咄嗟に雌火竜の背に乗り上に跳躍する
火竜はそのまま雌火竜に突進をしていく
「キュアアアア!!」
雌火竜が痛みに悲鳴をあげ火竜がたじろいだ
「はああああ!!」
「でやあああ!!」
下から黒槍が下から雷刃が火竜に襲いかかる
成す術もなく火竜は血に倒れ伏した
「キュアア!!キュアア!!」
絶命した番を必死に揺さぶる雌火竜は番を殺した外敵に怒りを燃やす
「グガアアアア!!」
怒りと悲しみの咆哮をあげるが
「ごめんな…」
俺は手にしていた雷刃を突き立てた
586: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/20(日) 18:36:48 ID:cRgOqnAOPY
リオレウスに寄りかかるようにして死んでいるリオレイアから剥ぎ取りを開始する
「辛いか?」
ルーが心配そうに聞いてくるが俺は首を振る
「まさか、ハンターはこれが仕事だって諭したのは俺だろ?」
「・・・君は、よく頑張っているよ」
「そうだな」
あの銀レウスとの激闘から二週間俺は順調に狩りの腕をあげていた
「あの頃とはまるで別人だな。弟子だった頃が懐かしいよ」
ルーが微笑みながら目を閉じる
「あの頃はがむしゃらだったしさ。でも、今は違うよ」
「そうだな…」
ルーと顔を見合せ頷く
言葉なんていらない
お互いの気持ちでわかりあえる
「ほら、早く剥ぎ取りを終わらせろ」
「ああ」
リオレウスの死体を剥ぎ取り始める。鱗やら甲殻やらを剥ぎ取っていくと…
「あれ…これ…」
「ほう、中々運がいいな」
俺の手のひらの中にある小さな玉
紅く輝いており仄かに熱を帯びている
火竜の紅玉
俺ははそれを手にしていた
「大事にしろよ」
「うん」
火竜の紅玉を大事にしまいながら頷く。これはあの夫婦が生きていた証だか無駄にしたくない。
俺達は帰り仕度を済ませて孤島を後にした
587: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/20(日) 18:44:37 ID:cRgOqnAOPY
「お帰りなさいませ。天と地の領域の達成を確認いたしました」
ギルドに戻り、カエデさんに色々手続きを任せる。俺達は疲れを癒そうと湯船に体を浸けた
「はーっ、疲れた…」
湯船に浸かり盛大にため息を洩らす
時間としては15分程度しか立っていなかったが。何時間も戦っていたような気がしていた
「お疲れ。背中を流してやろうか?」
隣に座るルーが聞いてくる
「いいよ。ていうか、ここでやる必要がないだろ?」
「なに、遠慮する事はない」
ズンズンとルーが近づいてくる
「ちょ、いいって!!」
慌てて後ずさるも湯船の中なのでうまく動けずに尻餅をついてしまう
ルーに腕を掴まれ引き寄せられる
「捕まえた…さあ、背中を流してやろう」
「ちょ!!いいから!!いいから!!」
俺はルーから離れようと手足をばたつかせる
「こら、暴れるな」
「相変わらず仲がよろしいですねぇ」
588: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/20(日) 18:50:54 ID:cRgOqnAOPY
突然声がしたので振り返ると、ルークが微笑ましそうにしていた
「せっかくの夫婦水入らずの所を申し訳ありません。あのまま傍観という手もありましたが、それだと些か面倒な状況になりかねないので」
面倒な状況とはどんな状況なのだろうか、いやそれより
「ルーク、ドンドルマから帰ってたのか」
「はい。先程ユクモ村に着いたばかりですよ。いやぁ、この温泉も懐かしいですねぇ」
はぁっと息を吐き出すルーク。ドンドルマでは忙しかったのだろう
「色々とお伝えしたいこともありますよ。お土産話とか…後は、ルーさんにも、セネル君にも関係する話ですかね」
「どんなのだ?」
「ここで話すには少々、ご自宅でお待ちしております。では」
そう言うと、ルークは湯船から上がりギルドから出ていった
「私達も疲れを取ったら戻るとしよう」
ルーの提案に従い、湯船で暖まってから家に戻る事にした
ちなみに、結局背中はほぼ強引に流された
589: 名無しさん@読者の声:2013/1/20(日) 19:10:30 ID:iqCPsQL3wQ
わーい、焼き肉…
らめぇぇ!!ビリビリしちゃうのぉぉぉ!!
さぎしたんかわいいよさぎしたんハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
ふぅ。
っシビレ罠
590: 名無しさん@読者の声:2013/1/20(日) 19:17:19 ID:r2FnmB6dc2
そうか…犬耳はだめか…
っ猫耳
591: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/20(日) 20:14:50 ID:.f1NH6m4X6
「そしたらですよ。取った宿の従業員が全員女性だったんですよ!!…もう、死ぬかと思いました」
家に戻りお茶を飲みながらルークの話を聞く
どうやらかなり大変だっらしい
「兜と本名は絶対に名乗れませんでしたね…しかも、どこから嗅ぎ付けたのか数名の女性ハンターが私の部屋に乱入してきたんですよ?もちろん麻痺矢を撃ち込んで運んでもらいましたが…本当に最悪でした」
ルークはげんなりとしながらお茶を飲む
なんというか…お疲れとしか言えなかった
「それで?湯船では話せない話とはなんだ?」
ルーが本題をルークに切り出す
ルークはああ、と返事をし真面目な顔つきになる
「セネル君はテオテスカトルというモンスターをご存知ですか?」
592: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/20(日) 20:22:02 ID:OVSWlYCIKk
テオテスカトル
別名炎龍と呼ばれる古龍の一種で、体に熱の鎧を纏う
俺が本で読んだ内容はだいたいこんな感じだった
「間違いではありませんね」
ルークがお茶を一口飲み
「実は、ドンドルマ近辺にテオが進行してると噂を聞きましてね…ギルドナイツが対応にあたるらしいのですが…そのテオ、どうやらただのテオじゃないらしいです」
「剛種か?」
「恐らくは」
ルークが厳しい面持ちになる
「なら大丈夫だろう。ギルドナイツには各地から選び抜かれたハンターがいる。あいつらに任せておけばいい」
ルーは優雅に茶を啜る
だが、ルークの次の言葉に手を止める事になる
「それが…そのギルドナイツの数人のハンターが調査に向かったのですが・・・誰も帰って来なかったそうです」
「っ!?」
「これは極秘情報ですから他言無用に」
593: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/20(日) 20:30:28 ID:.f1NH6m4X6
「・・・あれ、ちょっと待てよ」
俺は二人の話を聞きながらおかしな点を見つける
「ルーの言ってるギルドナイツのハンターは強い奴なんだろ?だったらなんで俺達が関係するんだ?」
「質より量ですよ。ギルドナイツな所属してるハンターは一人一人が人間国宝級の腕前の持ち主です。しかし、その腕前を持つハンターが数名帰ってこない…」
「テオを撃退するためだけにギルドナイツのハンターを使う必要はありません。それこそそこそこ名の知れたハンターを数十人迎え打たせればいいだけです」
「それって…捨て石って事かよ!?」
ルークは何も答えない
「なんだよそれ!!そんなのが許されるわけない!!」
俺は机に拳を叩きつけ怒りを露にする。そんな考えをするなんて…
「奴らの中では…それが常識なんだよ…」
ルーがポツリと呟く
「どういう事だよ…ルー、なんか知ってるのか?」
「ああ」
ルーは俺を見据えながらはっきり言った
「私は、元ギルドナイツハンターだ」
594: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/20(日) 20:37:23 ID:OVSWlYCIKk
「ギルドナイツハンターはハンターの一番の名誉なんて言われてるが、実際は違う」
「金と地位を約束される代わりに、徹底的な束縛だ」
ルーはお茶を飲みながら語り始めた
「ギルドナイツハンターは文字通り何をされても許された。密売。強姦。殺人」
「どんなに被害者が訴えても、ギルドナイツは耳を貸そうとしない。それどころか訴えた者が一族根絶やしにされる」
「だが、狩りはいつも指示を受けてから。無断で狩りに出てはならないという徹底ぶりだ」
「あそこは…楽園という名の監獄だよ」
ルーはそこまで喋りまた黙り込む
「なんで…ギルドナイツを辞めたの?」
「無断で狩りに出たからだな」
ルーはなんて事ないというふうに言う
「だが、ギルドナイツを抜けた事に後悔はしていない。ミラやジュード、そして何よりお前に出会えたからな…」
595: 名無しさん@読者の声:2013/1/20(日) 20:43:02 ID:sd/kbPrP1I
相変わらずの高クオリティ。
っCCC
っ−旨−肉−
ジョウズニヤケマシタァ♪
596: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 20:01:21 ID:vGr4fxBIqI
>>595
もったいなきお言葉
私の作品が高クオリティなら、他の方のは神クオリティですね
いや、比べるのもおこがま…
肉支援感謝です♪
597: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 20:08:39 ID:vGr4fxBIqI
「・・・よろしいでしょうか?」
「あ、ごめん…」
二人の世界に入り込みそうになるのをルークが止めてくる
「ともかく、なんらかの形でお二人にもお触れが来るかもしれません。注意をしてください」
「ありがとう。ルーク」
「いえいえ、それでは私はこの辺りで…あ、そうそう」
玄関に歩いていくルークが急に振り向き、ここ一番の笑顔で親指を立てながら
「今晩は、お楽しみですね」
「なっ!?」
「では」
俺が問い詰めようとするとルークは風のように去っていってしまった
浴場でのやりとりもばっちり聞かれていたらしい
598: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 20:16:08 ID:vGr4fxBIqI
残された俺達は顔を見合わせる
ルーはいっそ清々しいくらいの無表情である
くそ、俺にもあのポーカーフェイスが出来れば…
「まあ…ルークの言ったことは留めておいた方がいいかもしれないな」
それは何を指して言っているのか。もしもお楽しみだったとしたら俺は全力で遠慮させてもらう
・・・いや、お楽しみが嫌なわけじゃないよ?寧ろ俺だって男なんだからそういう欲求もあるよ?でもさ、あれだよ、うん
「セネル…聞いているか?」
「ひゃい!!」
我に返り声が裏返る
突然声をかけられびっくりした
「もしも私とルークがこの村を離れたら…ユクモ村を頼む」
「え!?」
ルーの表情は真剣だった
「・・・うん」
俺はその迫力に思わず頷いてしまう
聞きたい事は山ほどあるのに聞けない
くそ、俺のヘタレめ
599: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 20:21:25 ID:vGr4fxBIqI
「さて…風呂に入ってくる」
「また!?」
ルーが立ち上がり浴室に向かう
「・・・ほんと、女の子って綺麗好きだよな」
「そうじゃない。集会浴場だと入った気にならんのだ」
ルーは腰に手を当てながら呆れたように呟く
残念ながら、俺にはよくわからん
「おい、セネル」
「なに?」
ルーに声をかけられ振り返る
「背中を流せ」
「は!?なんでよ!?」
「集会浴場で流してやっただろうが」
「あれはほぼ無理やりだろうが!!」
「知るか」
ルーに腕を掴まれ引きずられる
「ちょ!?やめ、離せぇぇ!!」
こうして俺は風呂場に無理矢理連れ込まれた
その後どうなったかは皆さんのご想像におまかせする
600: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 20:28:01 ID:vGr4fxBIqI
翌日、俺はルーと砂漠に立っていた
「うぅ…ちくしょう」
「まだ言うか、いい加減腹を括れ」
「お前が言うなよ!!」
俺は両手を振り上げ怒りを露にする。あんな目に合わされて泣き言の一つも言いたくなるものだ
「くそ…なんでだよ…」
「私は楽しめたから別に構わないがな」
「ルーはだろ!?俺なんか…うぅ…」
ルーは満足そうに頷く
結婚してから妙に大胆になってる気がする
「さあ、泣き言はもう終わりだ…来るぞ」
ルーが言ったとほぼ同時に目の前が砂に包まれる
砂埃の先には黄土色の甲殻に二本の巨角
砂漠の暴君と呼ばれる角竜 ディアブロスが猛々しく現れた
601: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 22:41:42 ID:HxQMLvgrOM
「よし…いくぜ!!」
ディアブロスの起こした砂塵に突入する
幸いディアブロスは俺達に気づいてないみたいだ
「うぉぉぉぉ!!」
火事場を発動して角を蹴りつける
「グガア!?」
突然の痛みに驚き仰け反ったディアブロスの背後にルーが回り込み、槍を突き立てる
「ガアッ!!」
ディアブロスが俺達を発見して臨戦体制をとる
「遅いんだよ!!」
剣を一閃し足を切りつける
「ガアウッ!!」
「うわっ!!」
「くっ!!」
ディアブロスは突然尻尾を振り回し、俺達を凪ぎ払う
「大丈夫か!?ルー!!」
「問題な…っ!!くあっ!!」
ルーが体制を立て直すと同時にディアブロスの角がルーに襲いかかる
ルーは防御できず弾き飛ばされてしまう
「ルー!?てめぇぇ!!」
剣をしまいディアブロスに飛びかかる
角を掴み力任せに手折る
「グギャアアアア!!」
角を折られ激痛に絶叫するディアブロス
「ルー!?大丈夫か!?」
「大丈夫だ…それより、前の敵に集中しろ!!」
602: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 22:48:53 ID:HxQMLvgrOM
「グルルルルル…」
角を折られたディアブロスは黒煙を吹き出し怒る
「どうやら相手は相当ご立腹みたいだな…」
ルーが槍を構え直す
「関係ない。ただ狩るだけだ」
俺は剣を構えディアブロスを見据える
ほんの一瞬が永遠に感じた
「「はあああっ!!」」
「グガアアアアア!!」
俺達とディアブロスは同時に駆け出した
603: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 22:54:23 ID:HxQMLvgrOM
ルーの槍がディアブロスの心の臓を貫き、俺の剣が両目を穿つ
だが、ディアブロスはそれでも止まらなかった
「なんて生命力だ!!」
ルーが忌々しげに叫ぶ
だが、俺には解っていた もう、あのディアブロスは死ぬと
俺は剣を捨てて走り出す
「セネル!?」
ルーが驚愕の声をあげる ディアブロスは俺に気づくと俺を貫かんと角をつきだした
「ふっ!!」
俺は体を捻りながら飛び上がる
「でぇぇい!!」
そのまま急降下し、ディアブロスの残った角を踏みつける
「グギャアア…アア…」
ディアブロスは断末魔をあげてその場に崩れ落ちた
604: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 22:57:15 ID:HxQMLvgrOM
皆様こんばんは
さぎしです
安定と信頼のバトルシーンカットです
とにもかくにも投下を終了します
中々本編が進まないな…ちくせう
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
605: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/22(火) 18:30:31 ID:b4dYJxAukI
「・・・終わったか」
ルーが槍をしまい警戒を解く
俺も警戒を解いて地面に座り込んだ
「はぁ…疲れた…」
「全く…あんな無茶をして…死ぬ気か?」
「仕方ないだろ?ルーが吹き飛ばされた時にはもうあれだったんだから」
「・・・やれやれ」
ルーは俺の言葉を聞き流しながら剥ぎ取りにかかる。俺もルーに習って剥ぎ取りを始めた
「こんなんでいいか?」
「問題ない。帰還しよう」
ルーが歩きだすのに着いていく
・・・このとき、もう少し村に帰るの遅くしていたら、あんなことにはならなかったのかもしれない
606: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/22(火) 18:35:41 ID:y4tJpZ5ZuI
「なんだ?騒がしいな…」
村に着くと村長さんが数人の男と話していた
村長さんは何やら語気を強めている
「ただごとじゃないらしいな…ルー、見てく…」
俺が見てくると言おうとした瞬間、既にルーは村長さんの元に歩き始めていた
「ですから!!そんなこと知りもしませんし、ルー様はそんなことなさいませんわ!!」
「しかしですね。目撃者が多数いるのですよ」
「証拠はおありなんでしょうね?」
「それは村長を勤めているあなたが一番よくお分かりでしょう。ハンターの目の良さを」
男の一人が村長さんに詰め寄り厳しい口調で問いかける
「隠してもあなたの立場が悪くなる一方ですよ。ルー・シフォンはどこですか?」
「知りません」
「狩りに出たのですか?なんの!?」
「存じません」
「村長!!あなたは…」
607: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/22(火) 18:41:38 ID:b4dYJxAukI
「私に何か用か?」
「!!」
その場を制するような凛とした声に男が全員こちらを振り向く
先程威圧していた男がルーに詰め寄る
「貴様がルー・シフォンか?」
「そうだが…だったらなんだ?」
「うう…」
ルーの眼光が鋭く光り男を圧倒する
「止めなよ。君が敵う相手じゃない」
「イオン殿!!しかし…」
「いいから黙って…ね?」
「・・・」
イオンと呼ばれた男が俺達の前に出てくる
中性的な顔立ちをしていて小柄な体つきである
「はじめまして。ルー・シフォン。僕はイオン。よろしく」
イオンは笑顔でルーに手を差しのべる。だがルーは
「馴れ合いに来たわけでは無いだろう?早く用件を言え」
「怖いなぁ…泣いちゃいそうだよ…」
イオンが困ったように笑う
俺には分かる。このイオンという奴。かなり強い
608: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/22(火) 18:48:53 ID:b4dYJxAukI
「僕達は…まあ、服を見ればわかるかな…」
イオンは服を引っ張って俺達に見せる
イオン達が来ているのはギルドバードスーツといって、ギルドナイツに所属している者だけが着れる特別な物である。さらに、イオンの胸に光るバッジは…
「私に用があるだけでわざわざ隊長殿がご足労か…」
「僕はそんな偉い地位にいないよ」
イオンが笑顔で訂正する
どうでもいいかもしれないが、笑顔というのはひとそれぞれだ
ルーみたいにあんま笑わない奴もいれば、カエデさんやルークみたいに笑顔を使い分けてる奴もいる
だが、このイオンは笑顔にさせちゃいけない気がする
「さて…用件なんだけど」
「ルー・シフォン。君に殺害の容疑がかけられている」
609: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/22(火) 18:54:46 ID:y4tJpZ5ZuI
「・・・」
「はぁ!?」
ルーが反応するよりも早く俺が声を出す
「今朝の事だよ。孤島でハンターの死体が出てきた。腹部を槍で貫かれ即死らしい」
「や、槍だけで疑うのかよ!?」
「孤島の近辺に住む人や、ハンターに聞き込みをした…皆、黄金の鎧に身を包んだハンターが黒槍を携えて逃げたって言うんだ…」
「た、たまたま同じ装備だった…」
「殺されたのはHR9のハンターだ。生半可なハンターじゃ返り討ちだよ」
イオンは笑顔を見せながら
「というわけで、ルー・シフォン。君をドンドルマのギルドナイツに連行する」
数名の男がルーを取り囲んだ
ルーは何もせずに黙ってイオンを睨み付ける
一人の男の手がルーの肩に手を伸ばす
「っ!!ルー!!」
610: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/22(火) 18:59:04 ID:b4dYJxAukI
素早くルーと男の間に割って入り手をはね除ける
「貴様!!」
他の男が俺に掴みかかろうとしたが
「遅い!!」
俺は男達の腹に拳を沈ませ気絶させる
「へぇ…凄いね君。名前は?」
イオンが拍手をしながら俺の名を聞いてくる
「セネル=ボルアス」
「…ボルアス?」
イオンの表情に変化が現れる
「正真正銘、あの双炎の覇者の息子だよ。そして私の夫でもある」
ルーのフォローでようやくイオンの表情に笑顔が戻る
「ああ、あの二人の…どうりでお強いわけだ」
611: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/22(火) 19:02:27 ID:y4tJpZ5ZuI
「さっきから黙って聞いてれば!!好き放題言いやがって!!」
俺はイオンに指を突きつけながら
「ルーが今朝に人を殺したとか言いやがって!!ルーは今朝は俺とクエストに行った!!俺が証人だし!!ギルドにも記録が残ってる!!」
「彼女は優秀なハンターだ。ギルドぐるみで庇う可能性も否定できない」
「さらに言うなれば身内の証言は一番あてにならないんだよ?…でもいい情報を聞けたな」
「君も連行だな。重要参考人とし…」
612: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/23(水) 21:53:29 ID:x3KWHfBD2A
イオンがそこまでいいかけたとき、ルーは剥ぎ取りナイフをイオンの首元に突きつけていた
「・・・」
「ル、ルー…」
あまりの速さに俺は何が起こったかを理解するのに少しかかった
だが、イオンはナイフを突きつけられているのに全く動じず
「いいの?ここで殺したら罪が出来るよ?」
「殺害容疑がかけられているんだ。今さら一人二人増えた所で構いやしない」
「ま、それもそうか」
イオンは納得したように頷く
「だ、駄目だ!!ルー!!」
このままでは本当にイオンを刺しかねないルーに制止の声を出す
「こいつの言ってる事はでたらめなんだから!!ここでこいつを殺したら思うツボだ!!」
「・・・」
ルーはゆっくりとナイフを降ろす。その様子を見ていたイオンは驚愕する
「へぇ?彼の言うことは聞くんだ?てっきり刺すかと思ったのに」
「セネルの命令を無視するわけにはいかんからな」
ルーはナイフをしまいながら言った
613: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/23(水) 22:00:29 ID:04i3aITIXg
「ふぅ〜ん…なるほど」
イオンは俺達二人を面白そうに見比べながら
「セネル君だよね?…ゲームをしないかい?僕と」
「は?」
イオンは疲れたようにため息をつきながら
「というより、僕は別にルーが人を殺してるか殺してないかなんてどうでもいいんだよ。ただ連れてこいとしか言われてないから」
「それが…なんだよ」
「まだわからないかなぁ…」
イオンはやれやれといった感じで首を振る
「今からやるゲームに君が勝てば、君たち二人を見逃すって事」
「・・・ギルドナイツが許すのか?」
ルーが信じられないという風に聞いてくる
「そのときは僕が出る事になるかな…ま、構わないけど」
「ゲームって…どんなの?」
「お、やる気になった?」
イオンはにこやかに笑いながら
「ルールは簡単。君は30分間何をしてもいいから僕に触れる事。もちろん僕は反撃はしない。ね?簡単でしょ?」
614: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/23(水) 22:05:02 ID:x3KWHfBD2A
「それだけか?」
「うん」
イオンは素直に頷く
見たところ嘘はついてないみたいだが…
どうしようか迷いルーを見る
「受けてみたらどうだ?ギルドナイツ所属のハンターと一戦交えるなんて滅多にない機会だぞ」
「一戦って…」
「僕のことなら気にしなくていいよ。日常訓練でいつもやってるし」
イオンはニコニコとしながら
「さあ、やろう」
「・・・」
俺はイオンにゆっくりと近づいていく。まずはどんな動きをするのかな
「おや、意外に慎重だね」
イオンはまだ笑顔である そうこうしてる内に手を伸ばせば触れる距離まで近づいていた
「あはは、こんなに近づかれちゃったなぁ」
イオンはまだ余裕だ
615: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/23(水) 22:12:24 ID:x3KWHfBD2A
俺は手を伸ばしてイオンに触れようとする
「おっと」
イオンは肩を軽く動かしてかわす
「いいの?そんな悠長にしてて…時間ないんじゃない?」
俺はイオンの言葉に焦りを感じ…はしなかった
これも俺を焦らすための話術だ
「何をしてもいいんだよな?」
「いいよ。殴っても蹴っても斬っても」
「そうか」
俺はイオンから少し離れて地面を見つめる
「はっ!!」
地面を踵落としをして大地を割る
「凄いね。それで蹴られたら死んじゃうかも」
イオンは素直に感嘆の声を出す。だが、まだどこか余裕そうだった
俺は浮き出た土塊を手に持つ
「・・・」
イオンはそれを注意深く見ていた
俺は手にした土塊を真上に放り投げる
イオンは一瞬目で土塊を追ったがすぐに俺に視線を戻す
「・・・はあっ!!」
降ってきた土塊に拳を当てる
土塊は細かく砕け散ってイオンに飛散した
「・・・」
イオンは素早く横に避けたが、俺はそれを捉えていた
616: 名無しさん@読者の声:2013/1/23(水) 22:16:18 ID:WwpOb4s0Qo
キタ━━(・∀・)━━━━
617: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/23(水) 22:19:56 ID:x3KWHfBD2A
「もらった!!」
避けたばかりで体制がやや不安定なイオンに殴りかかる
誰が見ても完璧に当たった
そう…思っていたのに
「・・・あれ?」
俺の拳は宙を突いていた そこには誰もいない
「土塊を殴って細かくし飛散させる。飛散した砂は目潰しにも目隠しにも使える。うん、いい判断だね」
「!?」
いつのまにか俺の背後に立っていたイオンが俺を褒める
「ただ惜しむらくは速さかな?君、少しだけスピード落としたでしょ?駄目だよ?油断しちゃ」
「っ!!」
俺は素早く前に飛び出し振り向く
だが、イオンはいない
「瞬発力と速さは文句なしだよ。流石双炎の覇者の息子だね」
「!!」
いつ移動したのか、いつ回ったのか、いつからいたのか
先程まで俺の背後にいたイオンはまた俺の背後にいる
・・・速い。けた違いに
618: 名無しさん@読者の声:2013/1/24(木) 01:44:37 ID:Dp1hf6qrAo
更新たのしみです!!
つ支援
619: さぎし(お詫び) ◆CmqzxPj4w6:2013/1/24(木) 20:03:41 ID:mB1el9yyaE
>>618
支援感謝です♪
皆様こんばんは
さぎしです
まずはここ数日の不定期更新申し訳ありませんでした
言い訳がましいですが、多忙で、板には来るのに続きが書けないというような状況が続いていました
本当にごめんなさい
今日から少しずつ治していきますので、よろしくお願い致します
620: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/24(木) 20:09:06 ID:bQ3wFvPoik
「もう10分経つけど…いいの?」
イオンが楽しそうに囁く
「っ!!うわああああ!!」
振り向きながら足払いをかけて肘をぶつける
しかし、足も肘も空しく空振りをするだけだった
「おっと、危な…」
「くっそぉぉぉぉ!!」
イオンに向かってひたすらに拳と足を繰り出す
がむしゃらに、狙いなんてない
「ふむ…スピードが上がったか…」
それら全てをイオンは紙一重でかわしている
いや、紙一重でかわせるように動いてるだけだ
その気になればイオンなら俺を組伏せる事も可能だった
「うぉぉぉぉ!!」
焦る気持ちが拳を早くする
「まだ速くなるの!?」
流石のイオンもこれには驚いたようだが、すぐに避けられてしまう
「はい、20分経過ー、後10分だね?」
クスクスと笑いながら時間を宣告する
「はぁ…はぁ…くそ…」
俺はがむしゃらに動きすぎてすっかり疲弊していた
621: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/24(木) 20:24:37 ID:mB1el9yyaE
「あれ?もうおしまい?」
イオンが手を伸ばせば触れる距離まで歩いてくる
「があっ!!」
腕を振りイオンを掴もうとするが、素早くかわされる
「後5分…駄目かな?」
イオンが腕時計を気にし始める
俺は立ち上がる事も辛かった
「・・・セネル」
ルーが俺に近づきしゃがみこむ
「ルー…俺…」
「ありがとう」
ルーは優しく俺を抱き締めてくれた
「私の為に戦ってくれたんだろう?私を行かせまいと…でも、もういい。お前は頑張った」
何か答えようとしても、口が動かずに沈黙してしまう
「ドンドルマに行って無実を証明するだけだ。すぐ帰ってくるよ」
ルーは優しく俺を撫でながら唇を重ねる
「だから…少しだけお別れだ」
そういってルーは立ち上がり歩いていってしまう
ルーが…ルーがいってしまう…俺の手の届かない所に…
「ル…ー…」
俺は立ち上がろうとするが、体が言うことを聞かずその場に崩れる
そのまま段々と視界が黒くなっていった
622: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/24(木) 20:29:15 ID:bQ3wFvPoik
『ねー、お父さん』
『んー?』
『お父さんはなんで足が速いのー?』
『毎日ミラのお尻を追っかけてるからかな』
『・・・』
『息子にゴミを見るような目で見られたよ』
『まあ、それはさておき…これは我が家に伝わる走法でね、誰にも話しちゃいけないよ?』
『まず、手を前で交差させて、守りたい人を強く思い浮かべる。そしたら手をバッと広げて』
『トランザムッ!!って、叫ぶんだ』
『・・・大丈夫なの?』
『サン○イズが何も言って来なければ大丈夫だよ』
『まあ、やり方はともかく。大丈夫なのは気持ちや思いなんだ』
『セネルも、守りたい人を探すんだよ?』
『うん!!』
623: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/24(木) 20:35:18 ID:bQ3wFvPoik
「本当にいいの?まだ3分あるよ?カップヌードル作れるよ?」
「構わない」
私はセネルに背を向けてイオンが用意していた馬車に乗り込む
セネルの気持ちは痛い程に伝わってきた
だからこそ、セネルにはもう辛い目にあってほしくない
「出してくれ」
「ま、いいけど…」
イオンが馬車を引くガーグァに鞭を打とうとした瞬間
「っ!?」
「なっ!?」
突然私は何かに抱き抱えられて馬車から降ろされていた
見えたのは、紅い影
「セネル!?」
紅い影がセネルの装備しているレウス装備だと気づくのには時間がかかった
だってそうだろう?
一瞬で、本当に一瞬でセネルは私を抱き抱え馬車から降ろし、イオンから十分な距離を取ったのだから
624: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/24(木) 20:42:54 ID:bQ3wFvPoik
「・・・最後の足掻き?面白いね」
イオンがゆっくりと俺達に近づいてくる
俺はルーを降ろして身構えた
「セネ…」
ルーが何か言おうとするのを手で制する
わかってる、でも、やってみなくちゃわからない
「はあああああ!!」
俺はイオンに向かって勢いよく駆け出す
「っ!!」
イオンはそれを側転をしながらかわす
始めるイオンは回避行動を取ったのだ
「ここにきて…殺人的な加速だ…っ!!」
俺は素早くイオンに近づき掌打を繰り出す
イオンはやや無理に体を捻りながらそれをかわした
わかる…イオンは俺の速さに少しだけ遅れてる
「うりゃりゃりゃりゃ!!」
イオンに近づきフェイントを織り混ぜながら拳をつき出す
「くっ!!」
その全てを紙一重でかわすイオン
こんどは分かる。イオンに余裕が無くなってることに
625: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/24(木) 20:47:00 ID:mB1el9yyaE
「だりゃああ!!」
地面を勢いよく殴り砂埃を撒き散らす
その砂埃でイオンは一瞬俺を見失った
「しまっ!?」
「うおおお!!」
イオンの虚を完璧に突き拳が当たると確信した瞬間
ピピピピピピピピピ!!
「っ!?」
突然イオンの服から電子音がなり手を止めてしまう
イオンはその腕を掴み俺を地面に引き倒した
「ぐあっ!!」
「ゲーム…オーバー…だね」
イオンは息荒く俺を押さえつける
ここまで…か
626: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/24(木) 20:52:11 ID:mB1el9yyaE
イオンは俺から離れると、服から紙を一枚取りだし俺に渡した
「これは?」
「君にとって必ず役に立つものだ」
イオンはそれだけ言うと、ルーの手を引いて馬車に乗り込む
「・・・」
「セネル…」
ルーとしばらく見つめ合うが、イオンが鞭を打ち馬車は走り出してしまった
「・・・こうしちゃいられない」
俺は素早く家に戻り所持金を計算する
「ドンドルマに行くには…少しだけ足りないな」
俺はアイテムボックスを閉じてどうすれば金を稼げるか考えた
もうこの先の行動は決まっている
ルーを追いかけて、ドンドルマにいくのだ
627: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/24(木) 22:39:02 ID:OVSWlYCIKk
「ハンター様、本当にいかれるのですか?」
「うん」
数日間死に物狂いでクエストをやりつづけた俺はドンドルマへの旅費がすっかり貯まっていた
出発の朝、村長さんが俺を訪ねて来た
「そうでございますか…では、これを」
「なにこれ?」
村長さんが一枚の封筒を渡してくる
それには紹介状と書かれてあった
「私の名前がかかれた紹介状ですわ。恐らく役に立つと思われます」
「ありがとう…村長さん」
「いいえ…ルー様と無事にお帰りになる事を願っています」
「うん」
俺は馬車に乗り込み村長さんに別れを告げる
馬車はドンドルマに向かって走り出した
628: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/24(木) 22:46:39 ID:OVSWlYCIKk
皆様こんばんは
さぎしです
えと…はい、なんかすみませんでした。はい
あ、そうだ。聞きたい事があったんですよ
このSSコロコロ視点が変わりますけど、視点が変わるさいに【セネル視点】とか表記したほうがいいですかね?
一人称や口調である程度はわかりやすくはしてますが…
ご意見あればお願いします
本日の投下を終了します 見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
629: 名無しさん@読者の声:2013/1/24(木) 22:54:05 ID:Dp1hf6qrAo
乙狩れさまです!!
別にしなくても見やすいので構いませんよ
あと支援です!!
630: 名無しさん@読者の声:2013/1/24(木) 23:03:59 ID:4A0pCYdpPA
さぎしさん…
…素敵…
っCCCCC
CCCC( ̄C ̄;)
631: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/25(金) 22:11:48 ID:mkjLEtwy6U
>>629
ありがとうございます
では、このままでいかせていただきます
支援感謝です♪
>>630
私は素敵ではないですよ ただのしがないモンハンオタですし
支援感謝です♪
632: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/25(金) 22:20:16 ID:mkjLEtwy6U
「あはは、なんか不思議な縁があるみたいだね」
「・・・」
ドンドルマに連れてこられて1日
私は豪華な客室にいた
「私に殺害の疑いがあるのだろう?いいのか?こんな所に」
「上からの命令だしね〜それに、もう気づいてるんじゃないの?」
「・・・」
イオンは私を探るように見てくる
私は腹いせにしっかりとため息をつきながら
「後何人来る?」
「多分二人」
ニコニコしながら答えるイオン
どうも私はこいつを好きになれんな…まだルークの方がマシだ
「お前の代わりは?」
「自殺した。多分わかってたんだろうね」
イオンは興味なさげに言う
私も、もしもセネルがいなかっら自ら命を断っていたかもしれんな…
633: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/25(金) 22:25:56 ID:mkjLEtwy6U
「おいおい、濡れ衣着せられてこんな所に連れてこられたかと思いきや俺以外にもいたのかよ?」
ドアが開き男が入ってくる
デスギア装備のようなフードを被っていて顔はよくわからなかった
「んー?お前…もしかして…」
男が私を見るなり化け物を見るような目になる
そういえば、この辺りはまだ私の名前が広まっていたな
「・・・夜光の死神 ティソン・アルマーツだ」
ティソンが手を差し出す
「ルー・シフォンだ」
「やっぱりか…てことはマジなのかよ…」
ティソンは忌々しげに呟いた
「・・・」
634: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/25(金) 22:31:11 ID:mkjLEtwy6U
ふと、ドアの方を見るといつからいたのかディアブロZに身を包んだ男が静かに佇んでいた
「あいつは?」
「ああ、来るとき一緒だった。薄気味悪い野郎だぜ」
ティソンはおもしろくなさそうに鼻を鳴らす
私は男に近づき手を差し出す
「ルー・シフォンだ」
「・・・ヴァン=ドールだ」
ヴァンは私の握手に答える
「僕はイオン。まあ、数あわせみたいなもんだから気にしないで」
635: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/25(金) 22:37:31 ID:mkjLEtwy6U
「全員揃ったようだな」
突然声が響き全員が振り向く
そこには白髪の老人がモニターに写し出されていた
「てめぇかよ?俺達を連れてきたのは」
「いかにも」
老人はうなずきながら
「黄金郷の豪槍。夜光の死神。沈黙の要塞。」
「名だたるハンターである君達ならもう察してはいるだろう」
「・・・テオテスカトル」
「その通り」
老人は続ける
「諸君らも知っての通り、現在このドンドルマに向かってテオテスカトルが進行中である。わがギルドナイツのハンターの報告によればその力は強大。そこで諸君は協力して討伐ないしは撃退してもらいたい」
636: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/25(金) 22:45:04 ID:repttFbQKM
「冗談じゃねーよ!!俺達は捨て石じゃねーぞ!!」
ティソンは机に拳を叩きつけ反論する
「無論。我がギルドナイツとしても諸君らのようなハンターを失うのは余りにも惜しい。だからこそ対策は取ってある」
「それはなんだ」
「諸君らほどではないが…それなりに腕の立つハンター達に内密に知らせをだした。そのハンターを先鋒、もしくは協力して狩猟するというわけだ」
「保険というわけか」
私の呟きに老人は
「お主を失うにはまだ若すぎるからの…」
「マスター。そろそろ報酬の話をしたら?この人達がただじゃ動かないのは一番知ってるでしょ?」
イオンがなげやりに呟き机に突っ伏する
余程やる気がないのか単に面倒なだけなのか
637: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/25(金) 22:50:27 ID:mkjLEtwy6U
「もちろん。テオテスカトルの討伐が成功したあかつきには、報酬は望みのままだ」
「ふん!!どうだかな…」
「なら、今ここで契約をしよう。イオン、紙を」
「はーい」
イオンは戸棚を探ると私達に一枚の用紙を差し出す
「これ…ギルドナイツ契約書じゃねーか!?」
ティソンは驚愕の声を出す
「紙質、インク、印共に偽物ではないらしいな」
私が紙を調べながら本物だと断定する
「その紙に報酬を書き、モニターに向かい読み上げてくれ」
「・・・十分な、金だ」
ヴァンがいち早くモニターに紙を見せる
「うむ、しかと聞き入れた」
「俺もだぜ。ハンターを辞めても遊んで暮らせる金を寄越しやがれ」
ティソンも紙に殴り書きをしたのを見せる
「しかと聞き入れた」
638: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/25(金) 22:55:53 ID:repttFbQKM
「ルー・シフォン。お主はどうする?」
「・・・」
「お前も金を踏んだくっとけ、もらえる時に貰うもんだぜ」
私は少し考え契約書に報酬を書きモニターに見せる
「誰にも邪魔されない平穏な暮らし」
「・・・ほう?」
老人の眉が僅かに上がる
「はぁ!?なにいってんだよお前!!」
ティソンは信じられないと言った顔をしていた
「私には、夫がいる。私はそいつがどうしようもないくらいに好きなのだ。私はあいつとの生活を誰にも邪魔されたくない」
「・・・」
「なるほど…聞き入れた」
老人は頷く
「イオンや、お主は何かないのか?」
「僕?そうだね〜」
イオンは少しだけ考えて
「ギルドナイツからの脱退…かな」
639: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/25(金) 23:00:45 ID:mkjLEtwy6U
「それは難しいな…」
老人は眉を潜めた
「わかってるよ。どうせ報酬なんだし」
「とりあえず、僕は寝るから。後よろしく〜」
そう言いながらイオンは出ていってしまった
「諸君。それでは契約の話はこれで終いとする。また諸君らに生きて会える事を願おう」
モニターが切れて部屋に静寂が訪れる
「けっ、どいつもこいつも…自分勝手だぜ…」
ティソンはぼやきながら部屋を出ていく
ヴァンも立ち上がり部屋を出ていこうとするが、振り返り
「・・・少しの間だが、よろしく頼む」
「ああ、こちらこそ」
そういって出ていった
残された私は一人考えをまとめていた
640: 名無しさん@読者の声:2013/1/25(金) 23:34:03 ID:Dp1hf6qrAo
テオの違う方って
ナナテスカトリだったっけ?
とりあえず支援
641: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/26(土) 01:01:01 ID:iY6wedbpgc
「申し訳ありませんが、現在ギルドナイツへのお入りは遠慮して下さるようお願いします」
「ええ!?村長さんからの招待状あるのに!?」
「ギルドマスターからの命令ですので」
ドンドルマに着いた俺は早速ギルドナイツへと足を運んだのだが
「どうしても?」
「はい」
「・・・」
見事に門前払いをくらったわけである
「仕方ない…宿を探すか」
俺は落ち込んだ足取りで宿を探し始めた
642: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/26(土) 01:03:28 ID:Pbazb/4M0E
「しかし…凄いな…」
町を歩くと人人人
しかもそれら全てがハンターだと言うのだから驚きだ
数人のハンターが俺を指差しながらヒソヒソと話している。多分俺の素性について探ってるのだろう
「早く宿を取るか…」
俺は呟きつつも宿の戸を開ける
適当にチェックインを済まして自室に向かった
643: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/26(土) 01:06:04 ID:iY6wedbpgc
「凄いな…これ」
受付で試しに村長さんの招待状を提示してみると、格安の値段で泊まれた
これはありがたい
「あ、あの〜…ちょっといいかな?」
「ん?」
声の方を見ると、耳がピョコンとドアから出ていた
「・・・」
「ちょ、ちょっと聞きたい事があるんだけど…」
「・・・いや、耳しか見えてないんだけど」
「え?あ!?ご、ごめん!!」
644: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/26(土) 01:10:06 ID:iY6wedbpgc
声の主が姿を見せる
歳は俺と対して変わらないであろう少女だった
装備は見たことがなかったが、多分ナルガの装備なのでナルガXなのだろう。ライトボウガンを背負ってるということはガンナーだろうか?
「えっと…こんな感じの紙見なかった?」
少女が手で紙を表す
「いや、見てないな」
「そっか…ごめんね?」
「いいよ」
「・・・見ない顔だよね?なんて名前?」
「ああ、俺はセネル」
「そっか!!私はムゥだよ、よろしくね!!」
「よろしく、ムゥ」
645: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/26(土) 01:11:47 ID:iY6wedbpgc
皆様こんばんは
さぎしです
>>640
はい。そうです
ナナ様ですよ
まあ、なんやかんやで結構新キャラ出したところで今日の投下を終了します
見てくださった方々
ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
646: 名無しさん@読者の声:2013/1/26(土) 11:10:35 ID:rsk4pPfPB6
セネルとイオンのくだりが厨二の俺にはwktkだったw
っC
647: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/26(土) 13:17:48 ID:Xi7OkUm5e.
>>646
支援感謝です♪
厨二ですか…うーむ
648: 名無しさん@読者の声:2013/1/26(土) 13:23:46 ID:Dp1hf6qrAo
やっぱりナナちゃんだったかwwwwww
支援
649: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/26(土) 13:24:06 ID:dDZz3rPJN2
「へぇ〜じゃあセネル君は連れ去られたお嫁さんを取り戻しにドンドルマに?」
「なんか、その言い方だと色々誤解を招きそうなんだけど」
ムゥと会話しながら紙を探すのを手伝う。今は彼女の部屋を捜索してるのだが…
やっぱり、宿とはいえ女性の部屋を探るのはどうも忍びない
「あったー?」
「んー、ないな」
そんなことを知ってか知らずか、ムゥはひたすらに探している
「困ったな〜あれがないと参加出来ないんだよな…」
「参加?クエストの契約書か?」
「まあ、それみたいなもん」
ムゥが一息をつきながら話始める
「セネル君も情報は知ってると思うけど、テオテスカトルがドンドルマ付近に来てるでしょ?だから私が狩りにいくの」
「狩りにいくって…」
買い物のついでのようににあっさりと言ってのける
ムゥは腕に自信があるのだろうか
「それに、黄金郷の豪槍も来るんだし…一緒に狩りしたいじゃない?」
「っ!?ルーが参加するのか!?」
「え?ええ…ルー・シフォンも参加するって聞いたけど…」
650: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/26(土) 13:30:14 ID:dDZz3rPJN2
予想はしていた
頭の片隅にあった事だから驚きはしない
「ムゥ…それに参加するんだよね?」
「え?うん」
「それに、俺も連れていってくれないか?」
「・・・駄目」
「っ!?なんで!?」
「弱いから」
さっきまでの明るい表情が嘘のように冷たくなる。間違いない、ハンターの目だ
「HR9の、それも名のある凄腕ハンターが召集される程のモンスターなのよ?君みたいなのが勝てると思ってるの?姿を見ただけで戦意喪失がオチよ」
ムゥは淡々と理由を喋る 言いたい事はわかってる。でも
「やってみなくちゃわからない。それに、俺はどうしてもテオと戦わなくちゃいけないんだ」
「やらなくても分かるから言ってるのよ。そんなにテオと戦いたいなら上位に行きなさい」
「っ!!頼む!!」
俺はムゥに土下座をして頼み込む
「・・・私だって、いじわるで言ってるわけじゃないのよ?ただ…」
「私からも、セネル君の参加をお願いできますか?」
651: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/26(土) 13:36:35 ID:Xi7OkUm5e.
突然の声に振り返ると、ルークが爽やかに立っていた
「ルーク!?」
「どうも、先ほど到着しましてね…私からもお願いできますか?ムゥ」
「・・・」
ムゥはおもしろくなさそうに口を尖らせる
二人は知り合いだったのか
「お兄ちゃんもわかってるでしょ?このクエストはただのクエストじゃないんだよ?」
「お兄ちゃん!?」
俺が驚愕に叫ぶと、ルークは少しだけげんなりした顔で
「彼女の名前はムゥ・シュバルツ。れっきとした私の妹です」
改めてムゥとルークを見比べる
言われてみれば…似てなくもないか…
「それに、私、契約書無くしちゃったから…」
「なら、これを使いなさい」
ルークが手にしていた袋から契約書を取り出した
「先日、私の元に届きました。これで文句はありませんね?」
652: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/26(土) 13:43:15 ID:dDZz3rPJN2
ムゥはルークから紙を受けとる。ちなみにルークはムゥに紙を渡すときに腰は引けていた
「まだ治らないの?」
「仕方ありません」
ルークは首を振って肩をすくめる
「・・・お兄ちゃん、やっぱり駄目だよ」
ムゥは契約書を指差しながら
「ほら、ここに受注条件HR9って書いてある」
「それは私とあなたの為の契約書です」
「へ?それどういう…」
「セネル君は既に契約書を持っています」
ルークは俺の荷物からイオンに渡された紙を差し出す
「これ!!ギルドナイツ推薦枠!?」
「はい。正真正銘セネル君はこのクエストの参加をギルドナイツから依頼されてます」
ルークは俺を見ながら笑顔で
「ギルドナイツから推薦されてる程のハンターですよ?HRなんてただの飾りです」
653: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/26(土) 13:50:16 ID:dDZz3rPJN2
「・・・お兄ちゃんが肩入れするから、ただの人じゃないって思ってたけど」
ムゥは納得したように頷きながら
「うん。そうだね…本物だし。ごめんね?弱いとか言って…」
「ああ、構わないよ」
弱いって言われるの、なれてるし
「ねぇ、もしよかったら私達といきましょう?」
「もちろん」
単独で挑むなんて正気の沙汰ではないだろうし
「これにて一件落着ですね。では、ギルドナイツにクエスト登録しにいきましょうか」
ルークはそう言いながら部屋を出ていった。俺も続いて行こうとするとムゥに引き止められた
「待って。さっきルー・シフォンで酷く反応してたけど、どういう関係?」
「ルーは俺の嫁さんだよ」
「そうなの!?じゃあ…連れ戻しにきた嫁さんって…」
「そ、ルーだよ」
「・・・君、本当に何者?お兄ちゃんもなんか一目置いてるみたいだし、黄金郷の豪槍の夫で、ギルドナイツからの推薦も受けるって…」
ムゥは勘ぐるような目で見てくる
だが、俺はそれに笑顔で
「何者でもないよ、ただのハンターさ」
654: 名無しさん@読者の声:2013/1/26(土) 13:51:51 ID:r2FnmB6dc2
HRなんて飾りです
偉い人にはそれがわからんのです
っ支援,私怨,紫煙,しえん,なるがたん枕カバー
655: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/26(土) 23:57:23 ID:2BBUCgR206
>>654
支援感謝です♪
やばい、ナルガたん枕カバーとかprprしろと言ってるようなもんじゃないですか
すいません、突然の体調不良の為、今日の投下を終了します
明日は未定です。もしかしたら更新できないかも
見てくださった方々ありがとうございました
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
656: 名無しさん@読者の声:2013/1/27(日) 06:34:00 ID:i7nVebiimU
身体の具合は大丈夫ですか?
無理しないでね。
つパブロン
つバファリン
つ正露丸
つ秘薬
そして大事な
つCCCCC
657: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/27(日) 08:01:38 ID:Pbazb/4M0E
>>656
沢山のお薬と支援感謝です
で、肝心の体調なんですが…
http://ryu.boy.jp/up/uf/20130127075829.jpg
ところでこの体温計を見てくれ。こいつをどう思う?
まあ、写真見ればわかるとは思いますが…
はい、インフルになっちゃいました…
今後の投下は体調がよくなり次第いたしますが、いまだ未定です
楽しみになさってる方には申し訳ないと思います
658: 名無しさん@読者の声:2013/1/27(日) 08:34:44 ID:oUhVuJ874E
インフルだな、、、
あぁ、間違いない!
つあったか布団
つタミフル
つ看病とCCCCC
659: 名無しさん@読者の声:2013/1/27(日) 18:22:19 ID:NGX7npNY2g
っいにしえの秘薬
っいにしえのタミフル
660: 名無しさん@読者の声:2013/1/27(日) 18:44:11 ID:Lw.U6xJ0LM
ついにしえのタミフル
661: 名無しさん@読者の声:2013/1/27(日) 18:47:00 ID:Dp1hf6qrAo
後ろのアイルーカワイイ!!
つ支援&いにしえのタミフル
662: 名無しさん@読者の声:2013/1/27(日) 18:47:28 ID:p6UYMULMIQ
古のタミフルw
663: 名無しさん@読者の声:2013/1/27(日) 18:50:17 ID:r2FnmB6dc2
っ 古の秘薬
っ 秘薬
っ 漢方薬
っ 回復薬グレート
っ 俺たちの愛
っ ナルガたん布団
っ ナルガたん枕
っ ナルガたん抱き枕
っ ナルガたんの愛
664: 名無しさん@読者の声:2013/1/27(日) 18:56:22 ID:KXpkOK9gGw
>>663
バッカお前ナルガたん連れてこいよ!
っナルガたん
665: 名無しさん@読者の声:2013/1/28(月) 00:47:53 ID:93JJz5L/Ls
っ俺のナルガたんのフィギュア
666: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/28(月) 14:13:30 ID:YVcGscXd6c
皆様お久しぶりでございます
さぎしです
まだインフルエンザと格闘しておりますが、皆様からの暖かいお言葉のお陰か、快調へと動き出しております
とりあえず古のタミフルに吹きました
気になったレスにお答えしますね
>>661
後ろのあれはPSPポーチなんですよ。どっかで買った記憶があるのですが、どこで買ったかを思い出せないという
>>663
とりあえず鼻血噴出による多量出血で危なくなりそうですな
>>664
鼻血ry
>>665
じゃあこのフィギュアはもらっていきますね
答えは聞いてない!!
今日から少しずつ投下していきます
667: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/28(月) 14:31:18 ID:YVcGscXd6c
「ねー、ルー・シフォン」
私が部屋で休息を取っていると、イオンがやって来た
「なんだ?」
「セネルの事心配じゃないの?」
「心配だったら最初から抵抗している。それにあの場で抵抗したらセネルがどうなっていたかわかったもんじゃない」
「・・・ねぇ、ユクモ村に帰りたい?」
イオンは試すかのように私を見てくる。気にくわない
「一度引き受けたのだ。完遂するまで帰れん」
「死ぬってわかってても?」
「・・・」
イオンの言葉が容赦なく私の胸に突き刺さる
忘れようと、いや、現実として受け入れてなかった現実が
「じゃあなんだ?あそこで泣き叫んで命乞いをすれば見逃してもらえたのか?」
「まさか」
芝居がかったような仕草で肩をすくめるイオン
全て分かっているのに何も言わない
まるで昔の私を見ている気分だ
668: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/28(月) 14:39:31 ID:zefuhseCio
「ただ、死なない方法はあるよ?知りたい?」
イオンは面白そうに見てくる
本当に腹立たしい
「確かにその方法なら死にはしないだろうな。ただ、死よりも重い臆病者という烙印を押される事になる。それにどのみちギルドナイツからの命令に逆らったらどこまでも追いかけられて死刑だろう?結局死ぬのとなんら変わらない」
私は一息に早口で捲し立てた
喋り終えた時にやや肩で息をしていたが、水を飲んでごまかす
「ふーん…一応わかってはいるんだ」
イオンはややつまらなそうに口を尖らせる
「お前こそどうなのだ?」
「僕は大丈夫だよ。本当に危なくなったらギルドナイツが助けてくれるからさ」
「・・・」
「これは出来レースなんだよ。君達もただの足止めにすら過ぎないんだ」
「ま、明後日なんだし。頑張って生き残ろうよ」
そういってイオンは出ていってしまった
669: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/28(月) 14:49:23 ID:zefuhseCio
「ルー、いるか?」
ドアをノックする音がしてティソンが私を呼ぶ
「いるぞ?何か用か?」
「あー、入っても?」
「構わんが…今日は来客が多いな…」
私がため息をつくと同時にティソンが入ってくる。後ろにはヴァンもいた
「ほらよ、明後日のテオ戦に参加予定のハンターリストだ」
リストを手渡され目を通す
「・・・たった三人か。詳細はわかるか?」
「ああ、ムゥ・シュバルツにルーク・シュバルツ…」
「ルーク!?ルークが来るのか!?」
驚愕に思わず声を荒げる
「ああ、俺もさっき知ったばっかでな…で、最後の一人なんだが…こいつが一番謎なんだ。HR6で本来は受注出来ないはずなのに、ギルドナイツの推薦枠で入ってるんだよな」
HR6でギルドナイツの推薦枠。私の鼓動が早くなる間違ってて欲しい…でもそうであって欲しいという思いが駆け巡る
「・・・名前は?」
私は震える声でそのハンターの名前を聞く。ティソンが告げた名は
「セネル=ボルアス」
「!!」
670: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/28(月) 14:55:18 ID:YVcGscXd6c
まるで雷に打たれたかのような衝撃に一瞬意識が遠退く
セネルが?なんで?どうして?
「このボルアスって、あの双炎の覇者の関係者か?だったら推薦枠も頷けるんだが…」
「セネル…息子だよ。双炎の覇者の…」
私の言葉にティソンは驚く
「マジか!?ガキがいたのかよ!?ていうか、なんか知ってるような口振りだけど…」
「知ってるも何も…セネルは私の夫だ…」
「うへぇ!?マジか!!」
「・・・」
ティソンはフードがずり落ちるくらいに驚いている。ヴァンもさすがに驚きを隠せないようだった
「でも…だったらなんで夫婦一緒にでないんだよ」
「それは…」
「・・・無理矢理引き離されたのだな」
ヴァンが沈痛な面持ちで呟く
私はそれに黙って頷いた
671: 名無しさん@読者の声:2013/1/28(月) 21:18:46 ID:Dp1hf6qrAo
インフルエンザ直ってないんだから体調は気にしてね?
ついにしえのタミフル
つ支援
672: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/28(月) 21:40:18 ID:hsi.8HSAe6
>>671
えっと…ごめんなさい
とりあえず無理しない程度に頑張らせて下さい
673: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/28(月) 21:49:04 ID:DClbLQwnVw
「そっか…悪い」
「いいんだ。心配してくれてありがとう」
「でもよ…その…」
ティソンが何かをいいかけて口ごもる
言いたい事は痛いほどに分かっていた
「この私の夫で、双炎の覇者の息子だぞ?あまり見くびるなよ?」
私は得意気にティソンを見返す
分かっている
こんなの、ただの虚勢に過ぎないということを
「・・・そうだな」
ティソンはこちらの意図を汲んでくれたのか、やや疲れたように笑う
「・・・安心しろ。お前たち夫婦は俺達が守る」
ヴァンが力強く頷きながら優しく声をかけてくれる
「俺も数に入ってるのかよ!?ったく、しゃあねーな」
ティソンは頭をかきながらめんどくさそうに頷く
二人なりに私を元気付けてくれようとしてくれてるのが嬉しかった
674: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/28(月) 21:57:25 ID:hsi.8HSAe6
「どうぞ、これが明後日のテオ戦の見取り図です」
ルークが地図を持ってきてくれたのでムゥと二人で覗き込む
ルークはもう見たと言ったらしいが、ムゥ曰く
「私に近づくのが嫌なだけよ」らしい
「町と呼ばれるフィールドでテオを迎え撃ちます。バリスタや大砲。竜撃槍といった設備も整ってますし、迷わず使った方がいいですね」
「ルー達とは別々なのか?」
「詳しくはわかりませんが、恐らく我々は少し後になるかと」
ルークはここから町までの距離を計算しながら
「ルーさん達はギルドナイツが送ると思いますし、我々はここからなら1日もかかりませんからね。出発は明後日でいいでしょう」
明後日、明後日になればルーに会える
俺は知らず知らずの内に拳を握り締めていた
「ただ、忘れないで下さいね?セネル君。対峙するテオテスカトルは強大な力を持っている事を」
ルークが俺に忠告してくるが、そんなのはとっくの昔に理解している
「どんな奴が敵でも構わない。俺はルーを守る」
675: 名無しさん@読者の声:2013/1/29(火) 18:57:21 ID:Dp1hf6qrAo
風邪はちゃんと治してね?
つ支援
676: 名無しさん@読者の声:2013/1/29(火) 21:11:58 ID:cTEuf5L8DM
お見舞いの品のナルガたんイラスト見つけたのに、添付方法が分からずorz
スマソ
つモフモフ布団
つCCCCC
677: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/29(火) 21:58:16 ID:mB1el9yyaE
>>675
熱自体は下がったんですが、感染防止の為に監禁状態ですね。お外歩きたい
支援感謝です♪
>>676
ナルガたんイラストかぁ…
私、200近く所有してますが…どんなのかなぁ?
支援感謝です♪
678: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/29(火) 22:06:13 ID:bQ3wFvPoik
「その言葉が聞けて、安心しましたよ」
ルークは満足そうに笑うと剣を取り出した
どっから取り出したと突っ込みたかったが、それよりも気になったのはルークの取り出した剣
「双剣…でも…なんか…」
「封龍剣【真絶一門】です。気が引けましたが、ご自宅より拝借しました」
「そうなんだ…あれ?でもそんなのあったか?」
記憶の引き出しを開けて探るが、あんな特徴的な剣なら覚えているはずだが…
「まあ、知らなくても無理はありません。ジュードさんがコウリュウノツガイと同じように使った愛剣ですから」
ルークに手渡され剣を受けとる
手にしっかりと馴染み、初めて持つような感じがまるでしなかった
679: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/29(火) 22:13:02 ID:bQ3wFvPoik
「・・・あれ、なんかこの剣変な感じがするんだけど」
握ってみると、ドクンドクンと脈打つような暖かさをしていた
「その剣には古来より伝わる特殊な技法により龍殺しの呪いがかけられているんですよ」
ルークの解説に感心する
「へぇ…龍殺しって事は、どんな竜にも効くのか?」
「いえ、その効果が現れるのはほんのごく一部で、それ以外にはただの剣でしかありません。しかし、効果がある龍に対しては絶大な威力を誇ります」
だが、ルークは神妙な顔をして続ける
「ですが…そういった曰く付きの剣は持ち主を選ぶと言われてましてね…持ち主と認めないと、その持ち主を殺すとか…」
「なら、大丈夫だよ」
「え?」
ルークは驚いていた
だけど、俺にはわかるんだ
680: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/29(火) 22:18:19 ID:bQ3wFvPoik
「この剣、父さんが使ってたんだろ?」
「ええ」
「感じるんだ…父さんがどういう思いでこの剣を使ったか…」
「母さんを、大切な人を守るためにこの剣を振るった。この剣もそれに応えてくれた」
「俺はルーを守りたい。だから、強大で絶対に敵わないような相手にも挑めるんだ」
強い意志
セネル君から感じるのは紛れもない、決意
思わず、安堵に顔が綻んでしまう
絶対に勝てると決まったわけではない。ただの感情論だと
なのに…セネル君が言うと安心してしまう
なんとかしてくれるのではないかと思ってしまう
想いというのは時として想像を遥かに越える力を発揮すると聞いた事がありますが、目の前の彼がまさにそうなのかもしれませんね
681: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/29(火) 22:22:27 ID:bQ3wFvPoik
「わかりました。そこまでの決意を見せられて我々も何もしないわけには参りません。明後日は二人で最高のサポートをしてみせます」
「お兄ちゃんと狩りとか、かなり久しぶりなんだけど」
「それはお互い様です。ムゥ、腕は落ちてませんね?」
「誰に言ってんの?私達の通り名忘れた?」
「・・・忘れてませんよ」
「ありがとう、二人とも」
俺は封龍剣【真絶一門】をゆっくり握り締める
父さんの剣とルーク達の援護。そしてなにより、ルーが一緒なら、負ける気がしない
682: 名無しさん@読者の声:2013/1/29(火) 22:32:28 ID:kvk/tPMCbg
ひっそり支援
っCCC
683: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/30(水) 17:42:49 ID:vie1bqmG1I
>>682
支援感謝です
すっかり本調子になりましたので、今日からガシガシ投下しますよー!!
684: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/30(水) 17:47:05 ID:s1SFH9qbQY
「着きましたよ。皆さん」
ギルドナイツから約1日半かけて町にたどり着く。私達が降りるのを確認すると、馬車は一礼して去っていった
「なんだよ、労りの言葉一つないのかよ」
ティソンが面白くなさそうに呟くが
「死者に同情は必要ないからじゃない?」
イオンは辺りを探索しながらティソンの呟きに反応する
「・・・我らは、死なん」
ヴァンはが大砲の弾を持ち上げ確認しながらそれに反応する
「もちろんだ。私達は生きて帰る。必ず」
私の言葉にティソンとヴァンは強く頷く
「…こんどこそ、死ねるかな…」
イオンの呟きを私は聞かなかった事にした
685: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/30(水) 17:53:56 ID:vie1bqmG1I
「しっかし、すげーバリスタの量だな…」
ティソンが感心したように言う
確かに、ティソンの言うとおりにこれでもかというほどのバリスタが設置されていた
「大砲も完備されてるし、これなら本当に生きて帰れるかもね」
イオンは笑いながらいうが、心境は違う
どんなにバリスタや大砲を用いたとしても、恐らくテオには効果が薄いだろう
「・・・頼みの綱は、これだな」
ヴァンが竜撃槍のスイッチを軽く叩く
ティソンはそれを見て苦い顔をした
「悪い。竜撃槍のタイミングは任せるわ。俺苦手なんだわ」
「・・・俺もだ」
「ちょ、ちょっとちょっと!!じゃあ誰がやるのさ!?」
イオンが慌てながら二人を見る
あの慌てぶりからして、恐らく奴も竜撃槍の扱いはあまり上手くはないのだな
「まあ、いいじゃねーか。こっちにはあの黄金郷の豪槍がいるんだ。槍の扱いならお手のものだろ?」
「いや、私も使えない」
「・・・はい?」
ティソンが信じられないといった顔をしているが、事実だ
私も物理的に殴る派なのでな
686: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/30(水) 18:00:28 ID:s1SFH9qbQY
「どーすんだよ!?竜撃槍使えなかったら苦戦するぞ!?」
ティソンが若干パニックになるのをイオンが宥める
「落ち着きなよティソン。僕ら以外にもハンターはいるんだ。その人達に頼もうよ」
「・・・うむ」
後続部隊か…確か、セネルとルークとムゥというなのハンターだった気がするが…セネルは竜撃槍の使い方を知ってるのか?
まあ、ルークがいるなら大丈夫か…
「っ!!」
そこまで考えた時、上空に何かの気配を感じ仰ぎ見る
全員が一点を見据えた時、そいつは悠々と地上に姿を表す
炎龍 テオテスカトル
我々の討伐対象が姿を表したのだ
687: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/30(水) 18:07:51 ID:s1SFH9qbQY
「なっ!?で、でけぇ!!」
ティソンが驚愕するが、私も同じ気分だった
「ギルドナイツハンターが数人行方不明…強ち間違いじゃなかったんだ…」
イオンが顔をひきつらせて呟く。その額にはうっすら汗が浮かんでいた
目の前に降り立ったテオはとにかく巨大だった
最大金冠が軽くあしらわれる程に
「くそがっ!!でかけりゃいいってもんじゃねーぞ!!」
ティソンが両腕から仕込み刃をテオ目掛け投擲する
寸分狂わぬその狙いはテオの目を貫いたかに見えた
「なんだと!?」
刃がテオに当たる瞬間
高温により刃が一気に溶けてしまったのだ
「こんなのありかよ!?」
ティソンはもう一度腕から刃を出す。今度は収納式の奴で、ティソンはそのまま切りつけた
688: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/30(水) 18:19:07 ID:s1SFH9qbQY
ティソンが切りつけた部分の肉が裂け、血が飛び散る
軽く切っただけなのにあの威力は、ティソンの刃の切れ味の高さを物語っていた
だが、そんなティソンの武器よりも遥かに驚くべき事が起こった
「・・・傷が」
ティソンがつけたはずの裂傷が完璧に治癒されていたのである
「くっ!!はあああ!!」
私はテオに接近し、槍を足に突き立てた…はずだった
「なっ!?」
しかし、テオに槍が当たる前に溶けて変形してしまった
「ガアッ!!」
「ぶっ!!がはっ!!」
巨木のような前足で凪ぎ払われる
咄嗟に盾で防いだが、威力を殺し切れずはるか後方に吹き飛ばされた
「大丈夫か!?」
地面に叩きつけられる前にティソンが私を受け止めてくれる、だが
「槍…私の…槍が…」
「わかってる…俺のも駄目だ…おいおっさん!!なんとかしやがれ!!」
「・・・」
689: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/30(水) 18:30:22 ID:s1SFH9qbQY
ヴァンは背負っていた大剣を構える
「ぬぅぅぅぅん!!」
大地に響き渡るような声を出しながら力を溜める
それに気づいたテオは低く唸りながらヴァンに突進した
「ヴァン=ドール剣術!!秘奥義!!土竜砕斬!!」
ヴァンの放った剣撃はテオの角を正確に捉えた
「よっしゃ!!」
ティソンがガッツポーズしたが、何やら様子がおかしい
「・・・ルー・シフォン。約束を守れなくて…すま…ない」
ヴァンの体が横に倒れそのまま動かなくなった
「グルルルル」
テオは勝ち誇ったように唸りながら前足でヴァンを踏みつける
「・・・」
ゆっくりとティソンが立ち上がる。私も同じように立ち上がり、変形した槍を手にした
「その、薄汚ねぇ足をどけやがれぇぇ!!」
私とティソンは同時に飛び出す
ティソンが左から、私は右から
「はあああああ!!」
「うおおおお!!」
左右からテオの角を狙う
「グオオオオオ!!」
「ぐあっ!!」
「くっ!!」
690: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/30(水) 18:37:40 ID:s1SFH9qbQY
突然の咆哮に私達は弾き飛ばされ地面に叩きつけられる
肺の空気が押し出され息苦しさに咳き込む
ティソンも復帰に時間がかかっているようだった
「・・・っ!!」
突如、ティソンの周りを紅い粉塵が取り囲む
「ティソン!!逃げ…」
忠告した時には遅かった テオが歯をカチッと鳴らしたのを合図に、ティソンを爆炎が包んだ
691: 名無しさん@読者の声:2013/1/30(水) 20:36:57 ID:cYUoihoiOE
後続部隊来る前に全滅しちまう…
っいにしえの秘薬
っいにしえの秘薬
っいにしえの秘薬
っいにしえのタミフル
っいにしえの秘薬
っいにしえの秘薬
っいにしえの秘薬
692: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/30(水) 23:46:00 ID:XGKLoZU7pM
>>691
いっそのこと全滅させるっていうのも手ですね
まあ、絶対にやりませんが
支援感謝です♪
古のタミフル混ざってるwww
本日の投下を終了いたします
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
693: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/31(木) 16:51:46 ID:brBbFDFh8A
「ティソン!!貴様ぁぁ!!」
私は槍を掴みテオに突進を仕掛けようとしたが、急に視界が反転し私は空を見ていた
「え…え?」
イオンに投げられたと判断したときまで、私はポカンとした表情をしていた
「その体で、その槍で、これ以上死体を増やさないで」
イオンはその身を遥かに越す太刀を構えた
「これでこの剣が通らなかったら、僕達は本当に終わりだね」
イオンが素早い動きでテオの足を凪ぎ払う
「ガウッ!!」
テオはその動きを避けるように後ろに下がる
テオが初めて回避行動をした瞬間だった
「ふーん。やっぱりこの剣なら通用するみたいだね」
「お前…その剣は一体…」
「龍刀【紅蓮】G」
イオンはそれだけ言うとまたテオに切りかかる
「ガアッ!!」
しかし、テオはそれを避けると驚く事に爪を剣に引っかけ剣を折った
「っ!!」
イオンは折られた剣を咄嗟にテオに向かい投擲する
剣が刺さり、テオが悶え苦しむ
その隙をついてイオンは素早く距離を取った
694: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/31(木) 17:01:12 ID:MNVYXW8WpQ
「やっぱりライン生産の安物じゃ駄目か…ミラーザゲスパノン持ってくれば良かったなぁ…」
イオンは忌々しげに呟くが、表情は焦りに満ちていた
頼みの綱の剣が折られ自分は丸腰
私の槍もとても武器になるとは思えない
後は…片方が囮となり、もう片方が竜撃槍を作動させることだが…
「ルー・シフォン。チャンスなんじゃないの?」
「!?」
「ここで逃げても誰も君を笑わないだろう。こんな強大な古龍なんだ。ギルドナイツもそこまで馬鹿じゃないだろうし」
イオンの顔は諦めに満ちていた
「君は諦めるのか!?」
「武器が折れたんだ。これ以上どうするの?」
「っ!!」
私はイオンを容赦なく殴る
殴られたイオンは私を見ずに俯く
「お前はハンターなのだろう!?ギルドナイツ所属など関係ない!!一人の誇り高きハンターだ!!」
「私はかつて武器を折られようと、鎧を砕かれようと戦った男を知っている!!何故男は戦ったか!?愛する者を守りたかったからだ!!そして、誰よりも生きたかったからだ!!」
「!!」
「私は生き残れる希望があるなら諦めない!!たとえそれがほんの少しでもだ!!」
私の必死の説得に徐々にイオンも顔をあげる
「ルー・シフォン。僕が竜撃槍を作動するまで耐えられる?」
「やってみなくちゃわからん」
「・・・君の命、預かるよ!!」
695: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/31(木) 17:09:28 ID:brBbFDFh8A
イオンが走りだしはしごを目指す。ここからなら竜撃槍のスイッチまでは10分といった所か
「グルルルル」
テオがイオンを視線で追う
私は咄嗟に石ころをテオに投げつけた
「こっちだ」
挑発するように更にもう一つ投げる
「ガアアアア!!」
テオは怒りに炎を燃やして私に攻撃してきた
10分間こいつから逃げ回る
武器もなくたった一人で道具も使えない
更にこのテオは通常より遥かに巨大で強大
10分間耐えれる可能性は絶望的だった
「くっ!!」
テオの突進を紙一重でかわし走る。せめて閃光玉さえあれば…
「っ!?ちぃっ!!」
突然自分の周りを紅い粉塵が取り囲む
私は全速力で走りだし粉塵から飛び出すように跳躍した
直後に、私が先ほどまでいた場所の周りが爆炎に巻き込まれる
696: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/31(木) 17:18:03 ID:brBbFDFh8A
「はぁ…はぁ…」
私は既に疲労に体が動かなかった
テオは己の勝ちを確信しているかのようなゆっくりとした足取りで私に近づいてくる
そのままだ…そのまま…
ドズン!!
「ガウッ!?グガアアアア!!」
作動した竜撃槍がテオの羽を貫く。テオはたまらず痛みに大きく悶絶する
「よしっ!!」
私は急いでその場を離れようとしたが、それは叶わなかった
何故なら、テオは私を殺意のこもった目で睨み付け、逃がさないという意志が嫌でも感じられた
私はすぐに悟った
私は逃げられない。ここで死ぬ
私はその場に情けなく座り込む
それを合図にテオが近づいてくる
「セネル…すまない。約束、守れなかったな…」
今更詫びたところでどうしようもない…テオが目の前で止まり口を大きく開ける
私は静かに目を瞑った
697: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/31(木) 17:57:51 ID:brBbFDFh8A
「何してんだこの糞獅子!!」
「ギャウ!!」
何者かが目の前に降ってきた気配を感じて目を開ける
背に双剣を背負い、赤い鎧を着た見慣れた後ろ姿
「セネ…ル…」
「ルー!!大丈夫!?」
セネルが慌てたように私に振り向き無事を確かめる
「セネル!!後ろ!!」
「ガアッ!!」
セネルに向かってテオが爪を降り下ろす
だが、突然テオは前足をピタリと止める
「・・・うるさいんだよ。お前」
セネルから尋常じゃない殺気
そしてセネルが突きつけている剣
「お前…それ…」
「ルー、もう大丈夫だよ」
私はセネルに抱き締められる
それだけで、体の力が抜けて目から涙が溢れてきち
「セネル…セネル!!」
私はセネルを抱き締めわんわんと泣いた
そんな私をセネルは黙って抱き締めてくれていた
698: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/31(木) 20:09:29 ID:1rWYGP2MtE
「さて…と」
ルーから体を離してテオを見る
テオは突然現れた俺をすっかり敵と認識しているようだ。まあ、いいんだけどさ
「セネル…」
涙に濡れながら不安そうな目で俺を見るルー
正直言おう。可愛過ぎて辛い
「心配すんなよ。ルー」
ルーを安心させるように笑いかけてテオを睨み付ける
「ルーを、泣かせたな?」
俺は双剣を構える
迷いなんてない。ただ、斬るだけだ
俺とルーの道を阻む奴を
699: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/31(木) 20:18:22 ID:1rWYGP2MtE
「はあああああ!!」
「ガアアアアアア!!」
俺とテオが同時に走り出す
改めて見るとすごい大きさだ。最大金冠を軽く超えているな
「でも、でかいなら当たりやすい!!」
俺はテオが繰り出した前足を飛んでかわし角をきりつける
剣の龍殺しの力がテオを蝕み赤黒い光を発した
「クギャアアア!!」
角の一部が砕け、先ほどまでテオを覆っていた炎の鎧が無くなる
こうなれば炎龍もただの獅子だ
「さってと…んじゃ、反撃いくぜ?」
俺は勢いよく走り出す
「これはお前に殺されたハンターの分!!」
テオの顔面を思いっきり蹴飛ばす
「ギャウ!!」
「これはルーの分!!」
「グギャア!!」
「そして…これはぁ!!」
高く跳躍してテオの頭上からかかとおとしを食らわしながら
「ルーを止めれなかった自分自身の怒りだぁ!!」
「グガァ!!」
700: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/31(木) 20:30:11 ID:1rWYGP2MtE
地面に着地したと同時にテオの体が倒れる
俺はテオに近づき双剣を取りだして能天に突き刺した
剣を引き抜き血を払ってからルーに向かって駆け出す
「大丈夫!?ルー!!」
「お前…そのセリフ…二回目だぞ?」
ルーが疲れたように笑うが、思い出したように
「そうだ!!ティソンとヴァンが!!」
「大丈夫だよ」
俺は指差す
ムゥとルークが人を背負いながらこちらに向かってくる
「良かった…」
ルーは安堵したのか、そのまま安心した表情で気を失ってしまった
701: 名無しさん@読者の声:2013/1/31(木) 21:04:05 ID:CB1RoyqAtc
セネル、、、かっこよすぎ
つCCCCC
702: 名無しさん@読者の声:2013/1/31(木) 21:22:38 ID:HxQMLvgrOM
セネル強ぇぇぇぇぇ(οдО;)
703: 名無しさん@読者の声:2013/1/31(木) 21:40:27 ID:whq.aZ6wWc
自分自身の怒りだー!!
八つ当たりされたテオかわいそす(´;ω;´)
C
704: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/31(木) 23:05:15 ID:nhkhr2ewlE
>>701
セネル君はやれば出来る子なんです
>>702
セネル君はry
>>703
八つ当たりは正義(ドヤァ?
すみません。おもっきし個人的な理由でこんな時間まで投下してませんでした
(口が裂けても飽きるまでユクモとポッケを行き来してたなんて言えない…)
で、突然なんですが投下を終了します
最近こんな終わりが多くて申し訳ない
見てくださった方々ありがとうございました
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
705: 名無しさん@読者の声:2013/1/31(木) 23:23:55 ID:Dp1hf6qrAo
さぎしさんトライGやってる?
つ支援
706: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 16:29:42 ID:3MT/HFyZ1E
>>705
3DSを持ってない事から察して下さい
支援感謝です♪
707: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 16:35:40 ID:3MT/HFyZ1E
目が覚めると、私は病院のベッドに寝かされていた
辺りを見回すと、テオと戦った戦友達が寝かされている
よかった…皆、生きていたのか
ふと、お腹の辺りに重みを感じて首だけ動かしてみると、セネルが私の手を握り締めながら頭を置いて寝ていた
「気分はいかがですか?」
安否を確認する声と共に入ってきたのは見知らぬ女性ハンターである
確か、セネルやルークと一緒にいたような…
「あ、ごめんなさい。私、ムゥ・シュバルツっていいます」
ムゥと名乗る女性がペコリと頭を下げた
「お兄ちゃんから様子を見てこいって言われたんですけど…大丈夫みたいですね」
ムゥは私の状態を確認するように見た後、寝ているセネルをみて微笑む
「それじゃ、お兄ちゃん呼んで来ますね」
708: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 16:40:52 ID:q2dqERqijw
ムゥが去った後、私はすることがなかったのでセネルを撫でる
今回はこいつが一番の功労賞かもしれないな…
「ざまぁねぇな…G級の、しかも名のあるハンターがHR6の中堅に助けられるなんてな…」
ティソンが起きていたのか、なんの感情もなしに呟く
「なあ、そいつ何者なんだ?」
「何者でもないさ」
ティソンの疑問に私は答える
「こいつは、ただのハンターだよ。ただの…な」
そうさ、セネルはただのハンター
私の夫で、私の危機に真っ先に駆けつけてくれる。私の誇りだ
709: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 16:48:37 ID:3MT/HFyZ1E
「・・・今回は、我々が助けられたな。双炎の覇者の息子に」
「けっ、そういう事にしといてやるよ」
ティソンが面白く無さそうに口を尖らせる
よほど悔しいのだろう
「・・・イオンは?一緒ではないのか?」
「イオンなら、今頃ギルドナイツに報告をしていると思いますよ」
「ルーク!!」
「どうも、ムゥから聞きましてね…皆さんあまり大事にならなかったようで何よりです」
ルークは相変わらずの爽やかスマイルを私達に向ける
「・・・」
だが、ヴァンを見た瞬間にその顔が曇る
「・・・ヴァン、あなたのそんな姿は見たくありませんでしたよ」
「・・・ルーク、俺とて人間だ。傷つき倒れもする」
ヴァンは顔をしかめ、苦々しく返す
710: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 16:57:41 ID:q2dqERqijw
「折角の再開を水を指すようで悪いが、ルーク。私達が気を失っていた時の事を話してくれるか?」
「わかりました」
ルークは表情を戻して私に向き直る
「取り急ぎ、あなた方に伝えなくてはならないことは二点。ルーさんに伝えなくてはいけない事が二点あります」
「まず、皆さんが契約していた報酬になりますが…半分の報酬で手を打つとギルドナイツが言っていました」
予想はしていた事だった 全滅と言ってもいいような有り様だったのだから、半額でもこちらには上手すぎる話だろう
「それと、今回の討伐はお疲れ様だそうです」
「お使いが成功したガキじゃあるめーし、けっ!!」
「それで、私には?」
「・・・セネル君が、ギルドナイツの人間兵器としてリストに上がりました」
「!?」
711: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 17:02:53 ID:3MT/HFyZ1E
私は思わず体を起こしてルークを見る
馬鹿な…早すぎる…
「そのお気持ちもわかります。私も確認をいたしましたが…ほぼ確定だそうです」
「そ…んな…」
目の前が真っ暗になる
セネルが、ギルドナイツの人間兵器に?もしそうなったら…私はセネルに二度と会えない…
「大丈夫だよ。ルー」
うつ向いていた私を励ますような声
セネルがゆっくりと立ち上がり私に笑いかけていた
「俺はルーから離れないよ。だから、ルーも俺を置いてどっかにいかないでくれよ?」
セネルは私から離れるとルークに近づいて
「ルーク。色々聞きたい事あるんだけど…いいかな?」
「ええ」
ルークに連れられてセネルが退室する
私はその後ろ姿を見送る事しか出来なかった
712: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 21:19:43 ID:mCU9rSPiNc
ルークは俺に全てを語ってくれた
今回の狩りで俺がしたこと
また、そのしたことがどのような結果をもたらしたのか
そして、今後の事
「あなたがギルドナイツ入りを阻む方法は2つです」
「・・・死ぬか、殺るかです」
「・・・」
ルークは沈んだ表情のまま俺に話した
「ギルドナイツを相手どるのは正直おすすめはしません。ルーさんに危険が及びますからね」
「・・・」
「大人しくギルドナイツの管理下に入れば…ルーさんの安全は保証されます…あなたはどうかは知りませんが」
「そっか…」
713: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 21:25:09 ID:3U3Hhll63g
「もちろん私もあなたをギルドナイツに入れさせない為に様々な策を講じます…といっても、時間を遅らせることぐらいしか出来ませんが…」
「ありがとう…ルーク」
「・・・君は、不安ではないのですか?」
「ん…よくわかんない」
俺は思っている事をありのままに話す事にした
「皆が言うようにギルドナイツに入ったらルーに会えなくなるんだと思う。でも、一生会えないわけじゃないと思うんだよね。生きてさえいれば会えると思うんだよ」
「やっぱりルーに会えなくなるのは寂しいけど…一生会えないわけじゃない。だって、俺達は生きてるんだから」
「セネル君…」
「だからさ、気にすんなよ!!ルーク!!」
俺はルークを元気づけるように背中を軽く叩く
「じゃあ、俺ルーの所に行ってくるよ」
714: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 23:56:53 ID:LSTUsvET3o
病室に戻ると、ルーしかいなかった
ティソンという人とヴァンという人はもういなかった
あの怪我動ける辺り流石G級ハンターと言うべきか、単に病院の雰囲気が嫌いだからか…
とにかく、病室にはルーしかおらず、そのルーも今はグッスリの寝ていた
「・・・」
ルーのベッドの側の椅子に腰かける
ルーは所々擦り傷だらけだったが、寝顔は安らかだった
「別れでも告げているの?」
背後から声がして振り返るとイオンが病室に入ってくる所だった
「話、聞いた?」
「まあな」
イオンが隣に腰かける
「ギルドナイツでの君の評判は凄いよ。双炎の覇者の息子って名前が一人歩きするくらい」
「・・・」
「なるの?人間兵器」
イオンが責めるような目で見てくる
「逃げた所で、悲惨な結果しか待ってないからな」
「そっか…」
715: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 00:01:36 ID:LSTUsvET3o
イオンはそれだけ言うと立ち上がった
「もういくのか?」
「やることとかあるからね」
イオンはそういいながら扉に手をかける
「あ、そうそう」
イオンがドアを開ける直前に振り向きながら
「ギルドナイツには過去に一度君と同じように人間兵器に推薦された人物がいたんだけど、その人は人間兵器になることを免れたんだ…君のよく知ってる人だよ」
イオンはそう言うとドアを開けて行ってしまった
残された俺はルーを見ながら今後の事に思案を巡らしていた
716: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 00:05:10 ID:LSTUsvET3o
皆様こんばんは
さぎしです
ようやくいつも通りの挨拶が出来ますよ…
で、ですね。テオ編が終わったのですが、なんか話が膨らんでるような…
正直残り290レスで話をまとめられる自信ががが
善処はします
本日の投下を終了します
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
717: 名無しさん@読者の声:2013/2/2(土) 02:16:23 ID:TjuDwVsXHM
なんなら第二段スレ突入だっていいんじゃないかい?
無理矢理まとめてつまらなくしないでねぃ(。・д・。)
毎日仕事して疲れて帰ってきて、君のSSだけが毎日の楽しみなんだ
無理言ってすまないがよろしく頼むm(._.)m
718: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 09:34:47 ID:k81ksGofh2
>>717
HAHAHA
そんなこと言っても、とあるモンハンオタが赤面して悶えるだけだZE?
まあ、第二…は、無しの方向で
事情がありますゆえ…申し訳ない
719: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 09:42:51 ID:k81ksGofh2
「セネル…」
いつから起きていたのか、ルーが不安そうな目で俺を見ていた
俺をそれ消すかのように笑いかける
「なんだ、起きてたのか。言ってくれれば…」
「いかないで…」
「・・・」
ルーから紡がれた言葉
それだけで、今のルーの気持ちがよくわかった
「私が…泣き叫んで懇願すれば…君は、私の傍にいてくれるか?」
ルーは震える声で俺に問いかける
「当たり前だろ。ルーは心配性だな…」
そこまでいいかけてルーに抱き締める
ルーは目から涙を流して
「セネル!!いかないで!!お願いだから!!」
「・・・」
「セネル!!セネルぅ…うう…」
俺はルーの背中を優しくさすってやる
720: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 09:49:21 ID:uI2Wh2UJdg
「ルー、約束しよう」
「・・・?」
ルーが涙に濡れた目で見つめてくる。俺はそれを優しく見つめながら
「俺はいつまでもルーの傍を離れない。ルーだけを見てるから」
「だから…信じて欲しい」
「・・・うん」
ルーをもう一度抱き締める
「全く、俺より年上なのに甘えん坊なんだからな」
「・・・すまん」
罰が悪そうに顔を背け俺と目を合わせようとしない。なんだかんだでルーと長い付き合いなのだから、こういった微妙な変化もわかるようになっている
「じゃあ、俺行くところあるからさ」
ルーから離れて病室をでる
721: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 10:05:39 ID:k81ksGofh2
「来たね…というより、来るってわかってたけど」
イオンが読んでいた本を閉じて俺に向き直る
病室から出て俺が向かったのはギルドナイツだった
「それで?ご用件は?」
「・・・俺は、ギルドナイツには入らない」
「そんなの僕みたいなしたっぱに言わないでよ。ていうか、ルー・シフォンがどうなってもいいの?」
「お前、ギルドナイツマスターだろ?」
「・・・」
イオンが僅かに眉を潜める
「いつから?」
「お前がテオ戦に参加するって聞いた時から」
イオンが何も話さないので、俺は続ける
「ルーやヴァンさんやティソンさんに全部聞いた。それで確信したんだ。お前がマスターだって」
イオンは何も答えない
ただ、じっと床を見ているだけだった
722: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 10:29:02 ID:w.7DrG1zg2
「僕が君ぐらいの頃の話だ」
「え!?イオンって俺より年上だったの!?」
「殴るよ?」
「・・・すいません」
すっかり見慣れてない笑いながら怒るを見てしまい畏縮してしてしまう
「あの頃は、僕はギルドナイツには憧れしか持っていなかった。強固な信念。やり遂げる意志。ギルドナイツはそんな誇りあるハンターの集まりだと思ってた…でも、現状は違った」
「腐りきった中身。自分の保身しか考えない老人。黙認される犯罪の横行」
「あの時に、狂人になっていればよかったのに…僕は、ギルドナイツを変えるなんて甘い考えをしてしまったんだ」
「死に物狂いで手に入れたこの地位…得た物は嘘が上手くなるだけだった」
「老人共は経験が足りないってあの手この手で降ろそうとしてくる。無駄なのにね…でも、心のどこかではもう逃げ出したいとさえ思ってる」
「結局僕は、ギルドナイツを変えるって意気込んでた自分に酔っていただけなんだ…ただの道化だよ…」
723: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 10:39:53 ID:l5W1Sce4Lg
「そんなことないんじゃないか?」
「皆そう言うよ。慰めは止めてくれ」
「慰めなんかじゃない!!」
「・・・」
「お前がマスターじゃなかったら、お前が俺に推薦をしてくれなかったら、俺はルーを守れなかった!!何も出来なかったんだ!!」
「だから、意味ないなんて無い!!この世に意味が無いことなんて一つも無い!!」
「・・・」
イオンは俯き黙り込む
だが、先程までの自嘲の雰囲気はもう無かった
「君は強いな…本当に」
「イオンだって…ずっと一人で、見えない敵と戦ってたんだろ?…凄いよ」
「凄い…僕が…」
「確かにいきなり変わるのは無理だと思う。でも、確実に少しずつ変わっていけるよ」
「・・・そうだね」
イオンは微笑んだ
俺もそれにつられて笑顔になる
「ユクモ村行きの馬車を手配しといた。明日、ルーとルークを連れてユクモ村に帰るといい」
「お前は来ないのか?」
724: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 10:44:48 ID:w.7DrG1zg2
イオンはキョトンとした顔をするが、すぐに笑顔になり
「僕にはここでやることがある。君にもやるべきことがあるんだろう?」
「ま、まあな…」
「君に出来ない事、僕が出来るかもしれない。でも、僕に出来ない事。君は出来るんだ」
「ありがとう…イオン」
「どういたしまして…そうそう」
「人間兵器を免れた人の話だけど、君のご両親だよ。最後までギルドナイツ相手に二人で戦い抜いて…こっちが根負けした」
「あはは、あの二人らしいや…」
「僕は、明日見送りが出来ない。だからここでさようならだ」
「ああ…じゃあなイオン」
「じゃあね、セネル=ボルアス」
俺とイオンは強く握手をして別れた
でも、永遠の別れじゃないんだ。また会えるって、わかってるから…
725: 名無しさん@読者の声:2013/2/2(土) 13:19:25 ID:w.7DrG1zg2
はぁぁぁぁぁん///////甘えたなルーかわゆすぅぅぅぅ//////
っCCC
726: 名無しさん@読者の声:2013/2/2(土) 13:47:24 ID:ifyv3wwCGQ
じゃあムゥは貰っときますね
つ支援
727: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 20:52:07 ID:iuXlfLsjlI
>>725
私だって可愛いですし!!
ごめんなさい嘘です調子乗りましたごめんなさい冗談ですごめんなさい私なんかが可愛いわけありませんごめんなさいごめんなさいごめんなさい…
>>726
駄目!!ムゥちゃんは私のお気に入り(装備的な意味で)ですから!!ルークでも持ち帰ってください
728: 726:2013/2/2(土) 20:55:56 ID:ifyv3wwCGQ
じゃあ装備だけ外して裸で貰いますね
ルークは返します
つ支援
729: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 20:59:37 ID:O5X0CHOlqg
「忘れ物ないな?セネル」
「俺はね、ルーは?」
「私が忘れ物をするとでも?」
翌日、俺達はイオンが手配してくれたユクモ村行きの馬車に乗り込む所だった
「なんか、寂しくなるな」
「・・・達者でな」
「ああ、お前たちも。短い付き合いだったが、世話になった」
見送りにきたヴァンさんとティソンに別れを言うルー
ほんの少しだけでも共に戦えば、それはもう友と呼べるようになるのがハンターのいい所なのかもしれない
「・・・黄金郷の豪槍を頼んだ。双炎の覇者の息子よ」
「俺にはセネルって名前があるよ。ヴァン=ドール」
「・・・ふっ」
ヴァンは短く笑うとなにも言わずに俺達に背を向ける。あれが彼なりの別れなんだろう
「あれだ。今回はおいしいところ持ってかれたけど、次会うときは俺が勝つかんな!!」
ティソンは俺を指差しながら足早に去っていく
いつの間にやらライバル扱いされていたらしい
「シャイなんだ。察してやれ」
ルーが短く笑いながら俺の手を握る
「行こうか」
「ああ」
730: 725:2013/2/2(土) 21:04:18 ID:9uEahCTKxM
>>727
ん?当たり前だろ?一番かわいいのはさぎしたんに決まってる(キラッ
731: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 21:07:27 ID:O5X0CHOlqg
馬車に乗り込むと、ルークが爽やかに俺達を出迎えてくれた
「遅かったですね。お楽しみ中でしたか?」
「見せつけてやろうか?」
ルーが挑戦的にルークを見るが、ルークは肩をすくめて
「ご遠慮します。無粋なのは苦手なので」
「ルーク、ムゥは?」
「置いていきます。元々会う予定もありませんでしたしね」
「そうか…彼女にも世話になったから礼くらい言いたかったのだがな…」
「そんなの全然気にしませんよっ、ルーさん」
「ムゥ!?」
運転席から明るい声が聞こえたかと思うと、ムゥが顔を出す
「あなた!!運転手はどうしたんですか!?」
「別に〜?ちょっと脅して変わってもらっただけ〜」
ムゥは頬を膨らましてすねるが、かなり物騒なことを言わなかったか?
「帰りなさい。なにもメリットはありませんよ?」
「やーだよ、だってドンドルマ飽きたし、お兄ちゃん達に着いていったほうがなんか楽しそうだし」
そう言いながら俺達にとびきりの笑顔を向ける
「というわけで、これからよろしく!!」
732: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 21:15:48 ID:O5X0CHOlqg
「・・・なら、運転代わりなさい。心配でゆっくりも出来ません」
ルークが疲れたように提案する
「あ、じゃあお願い!!色々聞きたい事あるし〜」
ルークとムゥが運転を代わりようやく馬車が出発し始めた
「へー?じゃあユクモ発祥のモンスターもいるんだ?」
「ああ。ジンオウガと…アオアシラくらいじゃないか?」
「へー、楽しみだなぁ…」
「少々手緩い感があるかもな」
「それは仕方ないよG級ないし」
ムゥはすっかりユクモ村に興味津々らしい
村出身の俺としては、鼻が高い限りだ
「まあ、向こう着いたら私も一からやり直しだろうし…よろしくお願いしますね?先輩方」
「私は絶対に教えませんからね。セネル君に一任します」
「まじかよ…」
ほんの少し前まで、ルーの弟子だったのに今はムゥの師匠になるというのは何か新鮮だった
「もうすぐ到着ですよ」
ルークに言われて霧が濃くなる
うっすらと向こうにユクモ村が見えてきた
733: 名無しさん@読者の声:2013/2/3(日) 01:54:14 ID:ifyv3wwCGQ
九位おめ!!
734: 名無しさん@読者の声:2013/2/3(日) 10:50:30 ID:tuOdkcL1UQ
9位おめ!
お祝いに…
っなるがたん
735: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/3(日) 10:51:39 ID:vjov.GZqPA
>>733
ありがとうございます
・・・って、素直に言えないのが現状ですね
ネットにリアル持ち込むとかあり得ないですけど、ここ一週間、というより昨日に色々起こりすぎて未だに現実を受け入れきれてません
とりあえず分かってる事は更新が出来なくなることです
今すぐというわけではないので、このSSを完結させる余裕はあります
とりあえず今日からがっつり更新したいと思います
736: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/3(日) 10:56:38 ID:vjov.GZqPA
「ここがユクモ村?なんかどんよりしてない?」
馬車から降りて辺りを見渡しながらムゥが俺に聞いてくる
失礼にも程があると思ったが、確かに村全体の空気が重かった
「・・・」
「ほぼ間違い無いでしょう…少し早い気がしますが」
ルークとルーが何やら目配せをしている
どうやら二人はこの状況に心当たりがあるらしい
「セネル。嵐龍接近の報を覚えているか?」
「アマツマガツチ…だっけ?」
「正解です。恐らくこの空気はそれに関連してるとまて間違いないでしょう」
なんということだ
一難去ってまた一難という奴か
「とにかく、村長に会おう。ここで話してもしょうがない」
737: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/3(日) 11:07:54 ID:Ou70Vp7aU.
広場に着くと、村長さんが慌ただしく村のみんなに指示を出していた
「よろしいですか?最悪の場合は皆さんは何もかも捨ててこの村を出ることになります」
「村長!!ここを出たら私達はどうすればいいんですか!?」
「・・・わかりません。しかし、今はそうするしか…」
村長さんの顔が曇る
余程重大な事なのだろう
「私は…この村を管理するものとして皆様の生命の安全を守る義務があります…皆様には私のいうことを…ハンター様!!」
村長さんの言葉に皆が一斉にこちらに振り向く
何人かは涙を流して喜んでいる人もいた
英雄のように迎えられながら村長さんの所にいく
「一応予想はついてるけど…何があったの?」
「嵐龍 アマツマガツチがこのユクモ村に接近してるとのギルドから通告が」
「やっぱりか…」
予想通りの事態にルー達と顔を見合わせて苦い顔をする
事態を把握していないムゥはキョトンとしていた
738: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/3(日) 11:14:13 ID:Ou70Vp7aU.
「それで、ギルドはなんて?」
「この村を捨てて逃げろと…避難勧告が出されました」
「逃げなかったら?」
「この村が沈むそうです」
想像を絶する事態になっていたらしい…いや、それより
村が沈むということは村自体が消えてしまう事になる。そうすれば…この村の思いでも、ルー達との思いでも、父さんと母さんの故郷も、墓も、何もかも…
「ハンター様…」
村長さんが不安そうに、だがなにかを期待するように見てくる…
「つまり、アマツマガツチがどうにかなれば皆ここから出なくて済むんだよね?」
俺の言葉に皆にどよめきが走る
「一筋縄ではいかない相手なのですよ…?」
流石の村長さんも不安そうにはしている
「父さんと母さんが眠ってるんだ。みすみす沈ませるわけにはいかない」
739: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/3(日) 11:20:28 ID:2f6ATVrpfk
俺は皆の方に振り返り
「皆!!アマツマガツチは俺が必ずなんとかする!!だから去る準備を止めてくれ!!」
「この村には父さんと母さんが眠ってる!!それに皆との思い出もたくさん残ってるんだ!!」
「不安なのは分かる!!でも、信じてほしい!!俺が必ずこの村を守る!!」
俺が声を張り上げ皆に訴える。一瞬の静寂の後
大地を割らんばかりの歓声が沸き起こる
「セネルー!!この村を守ってくれよ!!」
「信じてるからね!!皆あなたの事を!!」
「見せてやれよ!!お前がもう駆け出しじゃないって事!!」
「皆…」
「ハンター様」
振り返ると、村長さんが優しく微笑みながら
「あなたはもう立派なこの村の一員なのです。そして皆様から信頼されているのです」
「私も、あなたを信じます。あなたなら必ずこの村を救って下さると…」
740: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/3(日) 11:26:04 ID:Ou70Vp7aU.
「村長さん…」
俺が村長さんとの握手に応じようとすると、ルーが突然その手を重ねながら
「セネル。なんでもかんでも一人で突っ走るな」
「ルー…」
「私達の事を忘れないでくださいねー」
「そうだよ!!よくわかんないけど…セネル君は一人じゃないんだからね!!」
「二人とも…」
ルーやルーク、ムゥも俺の事をしっかりと見据えてくれている
「そうだったな…皆、俺に力を貸してくれ!!」
「当然だ。お前は私が守ると誓ったからな」
「全力を尽くします。あなたの為ならば」
「全力でサポートするよ!!任せてね!!」
「ハンター様。村でお見送りをさせて下さい」
「分かってる。でも後二人会わなくちゃいけないんだ」
741: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/3(日) 11:33:09 ID:2f6ATVrpfk
「セネル君!?それに皆さん!?」
ギルドに着くと、慌ただしくコノハとカエデさんが事務に追われていた
というより、大分久しぶりな気がするな
「久しぶり、何してるんだ?」
「えっと…引っ越しかな…避難勧告出されたから…」
コノハは俯きながら答える
「本当はここを離れたくないんだよ…皆がいるし、セネル君もいるから…」
「コノハ、手を止めないで」
カエデさんはコノハを急かす。しかし、カエデさんの表情も悲痛なものだった
「いいよ。手を止めて」
俺の言葉に二人が驚く
「アマツマガツチ…俺が狩るから」
二人から目を逸らさずにしっかりと言う
コノハは涙を流しながら
「・・・本当?」
「うん。決めたんだ。守るって」
「危険な相手ですよ?」
カエデさんは心配そうに聞いてくる
「危険なのは百も承知。でも、俺は死ぬよりもこの村が無くなる方がもっと怖いんだ」
俺の言葉にカエデさんは唖然と、でも確かに笑いながら納得する
「そうでしたね…あなた方そういう人達でしたね…」
742: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/3(日) 11:39:01 ID:2f6ATVrpfk
「わかりました。それでは大至急アマツマガツチの討伐依頼を…」
「あ、ちょっと待って」
「?」
俺はムゥを指差しながらカエデさんに聞く?
「この子も連れていっていいかな?来たばっかりだからHR1扱いだけど…」
「・・・本来ならば、不可能です」
カエデさんは冷たくいい放つが、その後すぐに笑顔になり
「ですが、今は緊急事態ですし、何より皆様のご推薦なら文句等ありません。ですが、武器と防具はこちらの管理するものを使ってもらいます」
「それでいいか?」
「いいけど…今から作るの?」
「いや、母さんの借りる」
「そういえば、ミラさんはガンナーでしたね」
「うん。だから背格好もムゥと似てるし、いいかなって」
「善は急げだ。いくぞ」
743: 名無しさん@読者の声:2013/2/3(日) 13:19:37 ID:ifyv3wwCGQ
別に更新はゆっくりでいいよ?
いろんな事があったのなら休めばいいよ
つ支援
744: 名無しさん@読者の声:2013/2/3(日) 15:10:22 ID:3inC/w3.6k
ネットにもリアル持ち込んでいいんじゃない?たかがネットって言う人いるけどそのたかがネットを利用してるのはリアルの人間でしょ。
画面の上だけだけど、読者としてさぎしたんと関われてすごく楽しいし良かったと思う。他にもそう言う人いると思うよ。
だからさぎしたんの作品をちゃんと読みたいし読み終わりたい。
自分のペースで完結させればいいから無理しないでね。
なにがあったのかはわからないけど、また手が空くなら、書ける心境になるなら、違うモンハンSS書いてほしい。
745: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/3(日) 16:58:48 ID:MD.Og/oBiw
「とりあえず…ここが母さんの部屋」
「・・・すご」
ムゥが部屋を見て立ち尽くす
後の二人も同じような顔をしていた
壁一面にかけられたライトボウガン
しかもそれら全てが手入れの行き届いた品だとわかる
「凄いですね…私もここまできれいなのは初めて見ますよ…」
ルークがしげしげとスナイプシューターを手に取り呟く
「それに比べて…」
ルーがチラッとアイテムボックスを見る
そこには乱雑に詰め込まれた防具とアイテムがあった
「セネル。君は整理はしてるのか?」
「武器はね」
小さい頃から父さんと武器の手入れを付き合わされていたからなぁ…
「とりあえず好きなの使ってよ」
746: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/3(日) 17:03:18 ID:qf2Xyjydl2
「私、これにする」
数分悩み、ムゥが取り出したのは大神ヶ島と呼ばれるライトボウガンにナルガS一式。ナルガSを着ながらムゥは
「こっちのナルガSのデザインあんまり良くないなぁ…止めようかな」
と、呟いていた
どうもナルガXのデザインにこだわりがあるみたいだ
通常弾を渡して試し撃ちさせてみたが、特に問題はなさそうだった
家で小休憩を挟み、俺達はギルドに向かった
747: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/3(日) 17:08:24 ID:MD.Og/oBiw
「お待ちしておりました」
受付に立つカエデさんは凛とした表情で俺達を迎える
先程までの不安そうな表情は嘘みたいだ
「アマツマガツチ討伐がギルドより正式に依頼されました。ここに署名を」
渡された依頼書に名前を書き込む
「コノハは?」
「ギルドの休憩室で休んでいます…あの子はかなり気が張っていて、セネル様が来るまでは誰よりも動いてましたから…」
「動いていないと不安で仕方がなかったんですね…その気持ち、わかりますよ」
「はい。ですがもう何も心配ありません。何故なら、あなた方が来たからです」
カエデさんはニッコリと微笑む
「ユクモ村を、お願いします」
カエデさんは優雅に一礼をする
俺達はそれに見送られながらギルドを出た
748: 名無しさん@読者の声:2013/2/3(日) 21:22:02 ID:75kB6ULjKA
っ
CCCCCCCC
CCC4:56CCC
CCCCCCCC
ステンバーイ、ステンバーイ
749: 名無しさん@読者の声:2013/2/4(月) 19:07:46 ID:ifyv3wwCGQ
さぎしさんFIGHTです!!
つ支援
つかき氷
750: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/4(月) 19:13:09 ID:iuXlfLsjlI
>>748
おお…懐かしの支援爆弾 悔しい…でも、安心しちゃう
>>749
ブルーハワイで
751: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/4(月) 19:18:31 ID:iuXlfLsjlI
「凄い嵐だな…」
ギルドから出発し霊峰にたどり着いた俺達は辛うじて設営されたであろうベースキャンプにいた
「バリスタあるんだー…テオとかラオとかと同じでいいのかな?」
「解らないな。何しろ私も初めて戦う相手だからな…」
「そうなの!?」
ルーの言葉にびっくりする。随分落ち着いていたから経験済みなのかと思っていたのだが…
「バリスタとは別に拘束用というのもありますね。何かに使うのでしょうか?」
「バリスタはガンナーが持っていった方がいいのか?」
「わかんない…とりあえず5発あるから皆それぞれ持ってこうよ」
ムゥの提案に俺達は頷く 何も分からないなら戦って理解するしかない
752: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/4(月) 19:27:06 ID:O5X0CHOlqg
「よし…いくか」
俺とルーが先行して飛び出す。そこに待ち受けていたのは
「・・・なんだ、あれ」
最初に見えたのは風
いや、風を纏わせる巨大な白い何か
まるで羽衣を羽織ってるかのような姿は美しさすら感じさせ、まさに神と呼ぶにふさわしい出で立ちだった
「これが…アマツマガツチ?」
「コォォォォォォ!!」
俺の疑問に答えるかのようにアマツがひと鳴きし、ゆっくりと近づいてくる
「空飛んでるとか!!卑怯だろ!?」
双剣を構えて攻撃に備える
何をしてくるかわからない、ここは慎重に…
「コォォォ!!」
グルリとその場で一回転してそのまま突撃してくる
「なんだ…意外に単調…ぐあっ!?」
避けたはずなのに、何かに殴られたように吹き飛ばされる
ルーがガードをしながら俺に注意を促す
「セネル!!こいつは風を使って攻撃してくる!!いつもより回避を意識しろ!!」
ルーがそういってる間にルーをアマツがヒレのついた腕で凪ぎ払う
風圧がルーに襲いかかり、わずかに頬を切った
753: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/4(月) 19:33:15 ID:O5X0CHOlqg
「ギャウッ!!」
鋭い発射音と共にバリスタがアマツの体に刺さる
「なるほど、バリスタは普通に攻撃に使えるみたいですね」
ルークがバリスタの弾を込めながらムゥに手で合図を送る。それを合図にムゥがバリスタを発射し装填。その隙間を使ってルークが発射と
「流石兄妹!!息ぴったりだな!!」
俺も負けてられない
そう思って剣を振り回しアマツを切りつけようとするが
当たらない。まるで当たらない
「ふん!!はあっ!!」
一方のルーはタイミングよく槍を繰り出し的確にアマツを貫いている
ランスが羨ましい
754: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/4(月) 19:43:52 ID:O5X0CHOlqg
だが、先程から俺やルーに攻撃されてるのに、アマツはまるでこちらを見ようともしない。何故か嫌な予感がする
「ルーク!!ムゥ!!そこから離れるんだ!!」
危険を感じてルーク達に退避を命じるが
「クルゥッ!!」
アマツが突然体を捻ったかと思うと、ムゥに向かって巨大な水球を吐き出した
「ちょ!?うそ!?」
ムゥはバリスタを装填してる最中で避ける事が出来なかった
ドパーン!!
「っ!!あ、あぶな…」
水球はギリギリムゥの前で破裂したが、先程までの余裕がムゥからなくなっていた
もしもあの水球に直撃していたら…
「離れていても危ないみたいですね…なら、これはどうですか!?」
ルークがいつの間に近づいたのか、至近距離から連続で矢を射る
瞬時にして無数の矢アマツに刺さったが、アマツはそれも全く意識せずにルーを狙った
「ルー!?」
俺は武器をしまってルーに駆け出す
ルーが殺られてしまいそうで怖かっのだ
「ちいっ!!」
ルーが連続回避し、アマツの攻撃を空振らされる。しかし、ルーのスタミナも限界に近かった
「クルゥッ!!」
また体を捻ったかと思うと、こんどはルーに水球を吐き出す
755: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/5(火) 00:35:41 ID:tII4jXRnG2
ルーが体勢を崩した瞬間に水球がルーに襲いかかる
ルーは咄嗟に盾を構えたが、少ないスタミナでは衝撃を防ぎきれず
「ぐあっ!!」
「ルー!!てんめぇ!!」
ルーが吹き飛ばされ俺は双剣を構えて突っ込む
今なら頭の位置が低いから当たりやすい!!
ザンッ!!ザシュ!!
数回ほど切りつけ離脱
どうやらアマツと双剣は相性が悪いらしい
「情けない!!俺はルーを守るって決めたのに!!」
自分に活をいれながら走り出す
頭が当たらないと判断した俺は比較的低い位置にある腕に狙いを定めた
756: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/5(火) 00:46:45 ID:6WPIlMnLYs
素早く起き上がり状況を確かめる
全く…衰えたものだな…
自分自身に呆れながらも槍を構え直す
回避をしすぎてのスタミナ不足など、初心者にもほどがあるな
セネルはやる気を出してくれたようだが…いかんせん双剣では攻撃がまるで届かない
「このアマツ…一筋縄ではいかない相手だな」
それにしても、スタミナの回復が遅い…いつもならこの時間でとっくに回復してるはずだが…
「っ!?濡れてる!?」
起き上がりには気がつかなかったが、身体中に水滴がまとわりついている。雨のせいだと思っていたが…これは
「水やられ大か…厄介なのを…」
ウチケシの実は所持をしていない…だが、回避行動でスタミナを消費するのもよくない…
757: 名無しさん@読者の声:2013/2/5(火) 15:10:46 ID:GUEAzaQzlA
っCCCCC
758: さぎし(支援感謝) ◆CmqzxPj4w6:2013/2/5(火) 18:43:26 ID:apt6p77LGE
ルーの様子がおかしい事に気づいたのは、ルーが不審な行動をしてからだった
いつもなら距離が開いたら納刀をしてすぐに駆けてきてくれるのだが、何故かダッシュをしなかった
それに、何やらルーが全体的に濡れているような気もする…
瞬間的に、俺はルーしかみてない変態かと自己嫌悪に陥ったが、ルーがあからさまにおかしい行動を取ると嫌でも目についてしまう
「ああもう!!」
苛立ちながら双剣で切りつける
しかし、剣は空しく空を切るだけだった
「キュオオオ!!」
三度目に近い水球をルークに吐き出す
その時に俺はあることに気づいた
759: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/5(火) 18:48:22 ID:apt6p77LGE
アマツが特定の行動
主に、攻撃の動作に入ったときにアマツを覆ってる風が無くなる。そしてまた風がアマツを覆い始める
先程からムゥとルークが代わる代わるですバリスタや弓矢、ボウガンを撃ち込んでいるが、微妙に軌道をずらされている
「・・・そういうことか!!」
俺は素早くルークに近づく
「ルーク!!ほんの少しいい!!バリスタを貸してくれ」
ルークは黙って頷くとバリスタを譲り弓を構える
もしも…もしも俺の考えが正しいなら…!!
760: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/5(火) 19:08:48 ID:OSGANJ/Nfc
「キュアアア!!」
アマツも不穏な空気を悟ったのか俺に向かって突進をしてくる
アマツを覆う風はない
「そこだぁ!!」
拘束弾をセットして勢いやく発射する
着弾した瞬間、地中に隠れていたフックが一斉にアマツめがけて射出された
「キュオオオオオ!?」
無数のフックに絡めとられ地上に引きずり落とされる
「よっし!!」
「流石です!!セネル君!!」
ルークが弓を構えながら称賛の言葉を浴びせてくれる
地上に引きずり落としたアマツに総攻撃をしかけた
761: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/5(火) 21:11:25 ID:NrNVsrSms6
「はああああああ!!」
「でやあああああ!!」
ルーと同時にアマツに切りかかる
後方からはムゥとルークが火炎弾と強撃ビンで援護をしてくれている
ブチッブチッ!!
「ちっ!!フックが!!」
アマツを絡めていたフックが徐々に離れていく
それと同時に
「っ!!空が…」
空に暗雲が立ち込め嵐が吹き荒れる。それと同時にアマツの体も黒ずんだ色に変色した
「どうやら…本気ではなかったみたいですね…」
ルークが冷静に、しかし余裕がなさそうに呟く
「ギュアアアアアアア!!」
全てを飲み込むかのような吉兆を孕んだ咆哮に全員がたちすくす
駄目だ…人間が勝てる相手じゃない…
762: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/5(火) 21:16:42 ID:NrNVsrSms6
膝がガクガクと震える
どんなに動けと命じても全然動かない
目から涙が溢れだす涙も拭えない
勝てるわけがない…こんなのに…俺達は、神と戦ってるんじゃないのか?
「何してる貴様ら!!敵は待ってはくれんぞ!!」
ルーが槍を構えながら俺達を一喝する
ルークとムゥはハッとした表情で止まったが、すぐに表情を変えて武器を構え直す
俺は一人動けないでいた 情けないことに、泣きながらその場にたちすくす事しか出来なかった
「セネル!!」
ルーが俺に駆け寄ってくる
きっと怒られる。俺はそう思って目を瞑るが、ふわりと抱き締められた
「落ち着け。セネル」
ルーは安心させるように、力強く俺を励まし続けてくれた
763: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/5(火) 21:21:53 ID:NrNVsrSms6
「セネル。奴もいきているんだ。生きているなら、必ず死ぬ」
「ルー…」
「諦めない事を教えてくれたのはお前だ。そして、一人じゃないことも…」
ルーの言葉で思い出す
俺はユクモ村を、皆を、大切な人を守る為に戦ってることに
「私たちは一人じゃないんだ。共に戦い、命運を共にしてくれる仲間がいるんだ…」
「セネル。戦うぞ。私達の為に、仲間の為に、帰る為に」
ルーに励まされ、俺は泣くのを止めた
「俺達には…帰れる場所があるんだ…」
ルーから離れアマツと対峙する
目を閉じてゆっくりと深呼吸をする
もう、大丈夫。俺は逃げない。諦めない。戦う
764: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/6(水) 00:09:52 ID:WAMP9I3Be6
「はあああああ!!」
ルーと同時にアマツに切りかかる
ルーが下から、俺が上から攻撃を仕掛ける
「セネル!!」
ルーが盾を上に構える
「だああああ!!」
俺はその盾を足場にして大きく跳躍した
「これで…終わりだ!!」
遥か上空から双剣ごとアマツに突撃する
アマツの能天を貫きアマツの命を断ち切った
765: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/6(水) 00:15:01 ID:M97GWVJjkM
「・・・」
「終わった…んだな」
ルーの言葉にしっかりと頷く
勝った…俺達は倒したんだ
「勝った…勝っちゃった!!」
ムゥが跳び跳ねながらルークに飛び付こうとするが、ルークは全力でそれを避ける
「やりましたね。セネル君」
「あ、あはは…」
情けないことに、膝が笑って立てない。ただ、この胸に広がる満足感は勝利から来るものだと感じていた
「セネル、立てるか?」
ルーが聞いてくるが、一人じゃきついかもしれない
「・・・帰るか」
ルーが手を差し出してくる
俺はその手を掴んで立ち上がった
深呼吸をして晴れ渡った空を見る
この光景を、皆で見れて良かった
「・・・帰ろう。ユクモ村に」
766: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/6(水) 00:19:19 ID:M97GWVJjkM
皆様こんばんは
さぎしです
実は今ちっと悩み事があるんですよ。実はこのSS後はエピローグだけなんですが、まあ…その、モンハンSSですし?どうにかして1000まで行きたいなと。ていうか、毎回1000行ってるんで、このモンハンSSも歴代モンハンSS達と肩を並べさせたいなと
そう思ってるわけです
とりあえずまだ時間はありますから考えてはみますが、今は番外編的な物を考えています
それで1000までお茶を濁すと
本日の投下を終了します 見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
767: 名無しさん@読者の声:2013/2/6(水) 00:25:38 ID:ifyv3wwCGQ
お茶を濁すなんてとんでもない!!!
さぎしさんの作品好きですし面白いから楽しみです!!
つ支援
768: 名無しさん@読者の声:2013/2/6(水) 10:35:16 ID:NrNVsrSms6
番外編だってさぎしたんの作品なら読みたいから賛成☆
769: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/7(木) 16:51:36 ID:TtEmcv5bDI
>>767
そんなこと言われたら張り切っちゃうじゃないですか
>>768
あー、それ以上はあまり誉めない方がいいです
今なら、赤い稲妻か赤い彗星のようなカラーリングになってしまうので。顔が
770: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/7(木) 17:03:30 ID:S20/xVf06Q
俺達がギルドに到着すると、ギルドには沢山の人が集まっていた
皆、緊張した眼差しで俺達を見ている
「セネル」
ルーが俺から離れ頷く
俺も同じように頷くと村長さんの前に立つ
村長さんは不安そうに俺の言葉を待っていた
「・・・」
俺は周りを見渡す
皆が俺に視線を送っている
待ってるんだ。皆
俺は小さく息を吸う。そして
「・・・ただいま!!」
ギルドが歓声に包まれた
771: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/7(木) 17:16:31 ID:S20/xVf06Q
「やり遂げたのですね…」
村長さんが目に涙を浮かべながら手を握ってくれる
「俺一人じゃ何も出来なかった。皆が、仲間がいてくれたから出来たんです」
俺は村長さんになにも恥じることなく告げる
だが、村長さんは
「ですが、あなたが成し遂げた事なのですよ。セネル様」
「・・・」
村長さんの申し出に遠慮なく乗っかり俺達は自宅へと戻った
772: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/7(木) 17:23:06 ID:S20/xVf06Q
「それでは、私達はこの辺りで、折角の夫婦水入らずを邪魔してはいけませんしね」
「じゃあ、また後でね!!」
そういってルークとムゥが家から出ていく
残された俺達を静寂が包み込む
特になんの意味もないが、俺達は手を繋いだままでいた
そうしてると、何故か安心出来たからだ
「セネル。君はとても強くなった…恐らく私以上に」
「・・・」
「でも、私は嬉しい。君が強くなってくれて…君を弟子として側に置いた日からこの日を待ちわびていた」
「私は、神や運命というものを信じていなかった…だが、君と出会えた事、ミラ達と会えた事。これら全ては神が私達を引き合わせてくれたのだと信じている」
「・・・愛してるよ。セネル。誰よりも君を一番愛している」
773: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/7(木) 17:40:55 ID:S20/xVf06Q
「ルー、来て」
ルーの手を掴み衝動の赴くままに駆け出す
そうしてたどり着いたのは墓。父さんと母さんの墓だ
なんでここに来たのかわからない。でも、することはわかっている
「ルー。誓うよ。俺はルーと父さんと母さんの三人に、今、ここで」
「俺は誰よりもルーの側にいて、ルーを守るよ」
「多分、これからもかなりの苦難や苦行が俺達を襲うと思う。時には喧嘩したりとか、不仲になっちゃうこともあるかもしれない…でも」
「どんなことがあっても、俺はルーの事を愛し続けるから…だから…」
「側に…いてくれ」
「・・・」
ルーは何も言わなかった 返事の代わりに、微笑んで唇を重ねる
俺もルーを抱き寄せて唇を重ねる。そうすることで、未来が約束されるような気がしたから
永遠なんてないから、二人ともいつか老い果てるだろう
でも、今はこれでいい
これからは二人で生きていけばいいのだから…
fin
774: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/7(木) 17:43:48 ID:TtEmcv5bDI
はい。というわけで皆様
駆け出しハンターと愉快な狩人達
これで本編は終了となります
応援してくださった方々 支援してくださった方々
ありがとうございました!!
後はまあ、細々としつこく番外編みたいな物を書いていこうかなと
もうしばらくお付き合いいただけると幸いです
では、また後程
775: 名無しさん@読者の声:2013/2/7(木) 18:34:44 ID:T6UjurwLo2
お疲れ様です。
流石はジョさぎ・しデン様
赤い稲妻の二つ名の通り読者の心を痺れさせる。
っC
っ番外編への期待
っ子ナルガたん
776: 名無しさん@読者の声:2013/2/7(木) 19:24:13 ID:wUf5zKLk5A
乙狩れさまー!
どんどん赤くなれりんごのように!かわいいやつめw
番外編期待してるよー!
っナルガたん抱き枕
777: 名無しさん@読者の声:2013/2/7(木) 19:40:54 ID:ifyv3wwCGQ
お疲れ様でーす!!
番外編楽しみですよ!!!
つナルガたん布団
778: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/8(金) 18:48:02 ID:Sw0MpfAOAk
>>775
ありがとうございます
何やら変な通り名がついていますが、私自身はただの変態ですので
支援感謝です♪
>>776
じゃあアイルーフェイクを被ってトランザムしますね
番外編頑張りますよ〜
>>777
はい。頑張らせていただきます
※ちなみに、皆様から頂いたナルガたんは美味しく頂きました
で、ですね…後程とはいいましたがすっかり1日経っちゃいましたね…申し訳ない
まあ、冷静になってラストを見直してたら思わず死にたくなるような出来で、恥ずかしくて更新出来なかったんですね
番外編頑張らせていただきます・・・多分
779: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/8(金) 18:54:15 ID:Sw0MpfAOAk
【漆黒の片翼】
「と、いうわけで。ポッケ村にいかなくてはならないんですよ」
朝一番にルークから告げられた内容は、ポッケ村への遠征だった
ちなみに、ルーは台所でアイルー達に混ざって料理をしていて、俺は寛いでいた
「そんなわけで、ユクモ村をしばらく離れますが…妹をよろしく頼みますね」
「まあ…いいけど」
ルークの話によると、ポッケ村に何やら巨大な飛竜が接近しているらしく、その飛竜の討伐に向かうというのだ
「生きて帰ってこいよ?」
「あはは、それ死亡フラグですよ」
ルークは短く笑いながら少し寂しそうに
「では、行ってきます」
「ああ、ルークの帰る場所はきっちり守るよ」
780: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/8(金) 19:12:17 ID:CT7VV0836g
ルークを見送ってからまた読んでいた『月刊 狩りに生きる』に目を戻す
確かにここのところポッケ村の危機を伝える特集が多い
イオンも何か対策を打つと言っていたから大丈夫だとは思うが…
「心配か?」
「ルークなら大丈夫だよ」
ルーから皿を受け取り机に並べ始める。その様子をオトモ達がニヤニヤしながら見ていた
「いや〜!!ご主人!!朝から共同作業とは…精が出ますニャ〜ニャッハハハ」
俺のオトモアイルーのテッセンがからかうようにポニポニと肉球を置いてくる。ニッコリとテッセンに笑顔を向け、ほぼルーと同時に
「引き裂くよ?」
「蜂の巣にするぞ」
「ニャッ!!」
テッセンは全身の毛を逆立て台所に飛び込んだ
「全く…すぐからかうんだからな…」
「まあ、悪い気はしないさ」
ルーがエプロンを脱ぎながら席につく
元々あのエプロンは父さんが母さんに着てほしいあまりに購入したものだが…結局数回しか使わずにクローゼットにしまわれてしまった
「・・・ああいう格好は、あまりした事がないからな」
ルーが若干照れくさそうに呟く
「そんなことないよ。似合ってし。可愛かった」
「は、早く食べろ!!//冷めたらまずいだろう!!//」
「わかったよ」
ルーに急かされて食事にてをつける。文句のつけどころのない旨さだった
「美味しいよ。ルー」
「・・・ばか///」
「あの二人、結局ノロケてるニャ…」
781: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/8(金) 19:19:37 ID:CT7VV0836g
「そうだ。今日はどうする?」
「そうだな…新しい槍を作りたいから…アグナコトル辺りでもいくか」
「了解」
ルーの言葉に頷きながら料理を口に運ぶ
こんな平和な朝も…
「セネル君!!いる!?」
「・・・」
ムゥが扉を蹴破り慌ただしく入ってくる
「ムゥ、一応朝なんだからもう少し静かに…」
「お兄ちゃんがポッケに行ったって本当!?」
「・・・」
ルークの奴、ムゥには何も言わずに出発したのか、薄情な奴だな
「まあね。なんも知らされてなかったのか?」
「・・・うん」
「ルーク、少しムゥの事をぞんざいに扱い過ぎだな。たった一人の家族なのに」
「仕方ないよ…お兄ちゃん、私と一緒にいたくないみたいだし。それに、お兄ちゃんが私を煙たがる理由わかってるから…」
「そうなのか!?」
「うん…」
ムゥは言いにくそうにモジモジしていたが、やがて決心を固めたのか
「お兄ちゃんが私を煙たがるのは、お兄ちゃんと私につけられた称号のせいなの」
782: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/8(金) 21:10:17 ID:QbzRe6e0TQ
ムゥが出されたお茶を一口飲む。どうやら少しは落ち着いたらしい
「ムゥとルークにつけられた称号のせいって、どういう意味だ?」
「お兄ちゃんに…通り名があるのは知ってるよね?実は、私にもあるんだ…その、二人で一つだけど…」
「いいんじゃないか?父さんと母さんも二人で一つだったし」
「私とお兄ちゃん…二人で、漆黒の翼って言われてたの」
飲んでいた茶を盛大に吹き出した
「セネル…汚い」
「ごほっ!!ごめ!!」
「いいよ…慣れてるからさ…」
「で、…なんでその…漆黒の翼って呼ばれるようになったんだ?」
783: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/8(金) 21:15:57 ID:QbzRe6e0TQ
「私とお兄ちゃんが…お揃いのナルガXで戦ってたから…だと思う」
「ふーん…ん?」
俺は今の言葉に少し矛盾を感じて首を捻る
「その話からだと、ルークはそれなりにナルガ装備に愛着があるんだよな?でも、ユクモ村じゃ装備したのを一度も見たことがないんだが…」
「・・・そっか、お兄ちゃん、やっぱり」
ムゥの目から大粒の涙が零れだす
「うぇっ!?ムゥ!?」
「ムゥ、冷たいようだが。泣かれても私達にはなにも出来ない」
ルーはムゥに冷静に諭す
「ごめ…ごめんなさい…」
それでも泣き止まないムゥに、ルーはそっと近づき頭を撫でていた
「私と…お兄ちゃんの話…聞いてくれる?」
ムゥが涙に濡れた瞳で聞いてくる
そんな顔して言われたら…というより、気になる
俺は小さく頷いた
784: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/8(金) 21:21:25 ID:QbzRe6e0TQ
「ちょっと語弊があるけど…私はお兄ちゃんが大好きで、お兄ちゃんも私の事を可愛がってくれたの」
「戦うお兄ちゃんを助けたくて、ライトボウガンを使い始めたら、お兄ちゃんが使い方とかを教えてくれて…」
「それで、お兄ちゃんの為にって頑張ってたら…いつの間にか…誰よりも強くなってて…」
「それで…お兄ちゃんとシェンガオレンのクエスト受けたの…町で」
「・・・誰よりも早く討伐出来たから、ギルドから表彰されて…そのときにもらったの…」
「ルークにとって、思い出みたいじゃないのか?それがなんで…」
「・・・その直後に、お兄ちゃんは、女ハンターに逆レイプされたの」
「!!」
「優しかった…お兄ちゃんは…人が変わったように女の人から離…れて…私も…距離を…置かれて…」
「もういい」
785: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/8(金) 21:30:13 ID:QbzRe6e0TQ
ムゥの目からまた涙が零れだしたのを見て、ルーが優しくムゥを抱き寄せる
「・・・」
「通り名や称号のせいで言い寄ってくる輩も多い。もちろん男女問わずな」
ルーがムゥを撫でながら当たり前のように俺に説明する
「ルークが悪いわけではない…だから、お前が気に病む必要もない」
「ううん…私が…お兄ちゃんの為にって頑張らなければ…こんなことには」
「いいだろ。別に」
「?」
「誰かを守りたいとか、誰かの側にいたいがために強くなる。それは悪いことじゃないと思う」
「昔の俺だってそうだった…それで辛い事を知っても…」
「・・・」
「でも、辛い事を知ったからって、辛い思いをしたからって、前に進むのを諦めちゃいけないんだ」
「セネル君…」
「ルークが帰ってきたらさ、とっちめてやろうよ。三人でさ」
「・・・私もか?」
「いいね!!セネル君が誘導して私とルーさんの二人がかりで…」
「・・・私は、どうしても必要なのか?」
786: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/8(金) 22:27:15 ID:/kU2jJP7Ck
「でもさ、ムゥ」
「ん?」
「どんなに辛くても、それはルークと一緒にてにいれた称号なんだろ?なら、誇りに持ってもいいと思うんだよね」
「・・・うん」
「・・・じゃあさ、俺が新しい称号あげるよ」
「え?」
「漆黒の片翼」
「・・・漆黒の、片翼」
「翼は一つでも素晴らしいものだけど、片方だけだと色々不便だし、格好がつかないでしょ?」
「でも、両翼が揃えばどこまでも羽ばたいていけるんだ。ルークとムゥみたいに」
「翼みたいに、お互いを支えあうんだよ。二人で」
「お互いを…えへへ」
「ありがとう。セネル君!!私、何か吹っ切れた気がする!!」
「良かった」
「ありがと!!あ、狩りに行くときは言ってね?じゃあね!!」
そう言いながらムゥは出ていってしまった
今回の事で良くなってくれるといいんだが…
【漆黒の片翼】
fin
787: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/8(金) 22:33:20 ID:LXRil/g/Wc
はい。皆様こんばんは
さぎしです
とりあえず軽くムゥちゃんメインの番外編を書きました
こんな感じで進めていきたいと思います
本日の投下はこれにて終了となります
見てくださった方々ありがとうございました
ここまでの御回覧
乙狩れ様でした♪
788: 名無しさん@読者の声:2013/2/8(金) 23:33:07 ID:d8KO31Zzzg
巨大な飛竜ってことはティガレックスかな?
支援
789: 名無しさん@読者の声:2013/2/9(土) 00:10:05 ID:XyVPI1Kg8M
セネルにも称号がつく日がくるんだろうか
790: 名無しさん@読者の声:2013/2/9(土) 12:09:39 ID:ifyv3wwCGQ
>>788ラオシャンロンじゃね?
支援
791: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/9(土) 16:45:36 ID:yMRb0gueNs
>>788
今回の番外編でわかりますよ
支援感謝です♪
>>789
つけるかどうかは私次第ですかね
名前が思い付きませんが
>>790
参考までに、ラオシャンロンは古龍ですよ
後、体格的に空を飛ぶのには適していないんですね
支援感謝です♪
792: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/9(土) 16:51:44 ID:yMRb0gueNs
【激震!!崩竜 ウカムルバス】
雪山の奥深くにある秘境とも呼ぶべき場所
数多のハンターが消息不明になり、ギルドの観測隊も命からがら逃げてきた秘密を探れと言われ、ここまで来ましたが…
「まあ、予想通りと言えば予想通りなのですが…面倒ですね」
私はややめんどくさそうにため息をつく
眼前に迫る吹雪…いや、その吹雪を起こしている元凶とでもいいますか
「グオオオオオ!!」
白い崩神は巨大な咆哮をあげる
「まあ、死なない程度に頑張りますかね」
私は背中にある矢を取り弓を構えました
793: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/9(土) 16:58:14 ID:yMRb0gueNs
「お兄ちゃんから連絡がこない」
突然家にやってくるなり第一声がそれなのか、そもそもノックくらいしたらどうなんだ
「お兄ちゃんから連絡がこない」
ムゥは再度確認をとるかのように同じ言葉を発する
「狩りが長引くと連絡を遅れない事も多い。ルーク程の腕前のハンターなら尚更厳しい依頼をされるだろう。今回もその類いではないのか?」
ルーが冷静にムゥを切り捨てる
「それも考えたんだけど…三週間だよ?おかしいよ」
「・・・ふむ」
ルーが顎に手をあて考え込む
「・・・ルー」
「なんだ?」
「服、着ない?」
「・・・」
794: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/9(土) 17:09:25 ID:yMRb0gueNs
「で、ルークから連絡が来なくなって三週間が経つの?」
「うん」
ムゥが頷いてから俺が用意したお茶を一口飲み言葉を続ける
「近々大きな依頼が舞い込むかもしれないから連絡が遅くなるって書いてあったけど、流石に三週間は空きすぎだよね?」
俺は腕を組んで考え込む
依頼というのは通常一週間がリミットである
それ以上経過すると、ハンターの力量不足となり、強制的に依頼破棄される
ルークが三週間もかかるとは思えないが…
「可能性としては…」
ルーが武器の点検をしながら
「ルークが連絡が出来ない状況にあるというのが正しいな」
「連絡が出来ない状況?」
「ああ。死んでるか、負傷して動けないか…だな」
ムゥが不安そうな顔をして俯く
俺は慌てて元気づけるように
「ルークなら大丈夫だって!!」
「・・・うん」
795: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/9(土) 17:14:42 ID:zrmPsL1RCc
「ムゥ、決めるのはお前だ」
「ポッケ村にいくか。ここに残りルークの無事を祈るか」
「いく!!」
ムゥは躊躇いなくルーに告げる。その瞳には迷いはなかった
「・・・そうか」
ルーは満足そうに頷き
「ならば、善は急げだ。出発の支度をしろ」
「はーい…あ、ねぇ」
ムゥが思い出したように首を傾げながら
「なんでさっきルーさん上半身裸だったの?セネル君も布団被ったまま出てこなかったし」
「・・・」
言える訳がない
お楽しみ中でしたなんて…
796: 名無しさん@読者の声:2013/2/9(土) 18:37:55 ID:oaV8sFVAmA
チュウチュウしてたんだなチュウチュウ
797: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/9(土) 18:59:31 ID:Kwo9hE/z3E
翌日、馬車に揺られ俺達はポッケ村に到着した
到着したはいいのだが…
「さ、寒っ!!」
「うーん…久しぶりだけど…ちょっと慣れないかなぁ…」
雪山がすぐ近くにあるということで、山間部に位置するこのポッケ村は環境が厳しい
それゆえ生息する個体も屈強な種が多いのだという
俺は情けなく体を震わせガチガチと歯を鳴らす
ムゥも体を抱き寒さを堪えてる様子だった
「変わらないな…」
一人平気な顔をしているルーはどこかへと歩いていく
「ちょ、待ってくれよ!!」
俺達は慌ててルーの後についていった
798: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/9(土) 19:24:27 ID:U0P6p.FErc
「すまない。マフモフ一式を二つくれないか?後ろの二人の寸法合わせも頼む」
ルーがカウンターで昼寝をしているアイルーに話しかける
「ニャ、しばらくまつニャ…ニャ?あんた…ひょっとして…」
アイルーはルーの顔をまじまじと見ると
「ニャ!?あんた、ルーニャ!?いつ帰ってたのかニャ!?」
「久しぶりだな」
ルーが懐かしむように笑いかける
「お、ルーちゃん帰ってきてたの?」
店の奥から暖かそうな服に身を包んだ男が出てくる
「いやはや…こんな別嬪さんになって…あの泣き虫ルーちゃんがねぇ…」
男は感慨深そうに呟く
「そ、その話はやめろ!!早くマフモフを持ってこい!!」
「はいはい。そこのお二人さん。入ってきな、寸法合わせるからさ」
799: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/9(土) 19:35:15 ID:U0P6p.FErc
「うは…あったけぇ…」
主人から手渡されたマフモフを身につける
先程と比べると全身を暖かさが包み込んでいた
「あんた、見ない顔だね。新米さんにしちゃ装備も違うし、場数踏んでるみたいだし」
「わかるのか!?あ、わかるんですか?」
主人は豪快に笑いながら
「敬語なんかいいよ。こういう職業柄、ハンターさんを見る目は鍛えないとね」
「主人、寸法は終わったか?」
ルーが工房に入ってくる
「丁度だよ。これが終わったら村長さんに顔合わせにいくといい」
「助かる」
「俺達の仲だろ。あ、そうそう」
主人は俺の肩をポンポンと叩きながらニヤニヤして
「夫を泣かすなよ?」
何故ばれたし
「貴様に言われんでもわかっている!!」
「あはは、顔を真っ赤にする癖。変わってないね〜」
「セネル!!ムゥ!!はやくいくぞ!!」
800: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/9(土) 22:42:25 ID:O9oYtu06ZI
華麗に800をGETしたところで今日の投下を終了いたします
あ、さぎしです
見てくださった方々
ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
801: 名無しさん@読者の声:2013/2/9(土) 22:47:26 ID:ifyv3wwCGQ
ウカムかぁーあまり狩猟得意じゃないなーwww
支援
802: 名無しさん@読者の声:2013/2/9(土) 23:49:43 ID:d8KO31Zzzg
ウカムだった…orz
そういやアイツ飛竜だったよね…
アカムは楽に倒せたけどウカム苦手だったわw
支援
803: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/10(日) 13:05:23 ID:Jf7QBBD9R6
>>801
>>802
支援感謝です♪
ウカムは私のなかでは倒しやすい部類に入りますね
腹下で炎ランスでチクチクしてたら勝てますし
何より素材の売却価格と報酬金が高いからです
私は、ヴォルが一番苦手です
アイツキライ
804: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/10(日) 13:09:44 ID:Jf7QBBD9R6
「あ、ルーちゃん!!」
「お帰り!!ルーちゃん」
「帰ってきてたなら一言挨拶なさいよ!!」
「ありがとう。皆」
村を歩くといたるところでルーが声をかけられていた
皆顔馴染みなのだろう
「ルーちゃん。またミミズ買ってく?」
道具屋の主人が釣りミミズを箱で持ってくるが
「すまない。今日は長くは滞在しないんだ」
「あら?そうなの…困ったわぁ…唯一の収入源が…」
店らしい本音をポロリと漏らしつつも笑顔で
「まあ、ルーちゃんにはさんざん贔屓してもらってたしね。あ、村長さんが待ってるわよ」
「ありがとう。いこう、二人とも」
805: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/10(日) 13:16:03 ID:u154Dzic7I
「ご無沙汰しております。村長、ネコートさん」
ルーが焚き火の側で居眠りしている老婆と切り株に立っているアイルーに頭を下げる
「む…貴殿は…ルーか。久しいな」
「おやおや、誰かと思えば泣き虫ルーじゃないか」
老婆は面白そうな顔をしてルーを見る
「村長、あまりその話は…」
「後ろの二人は連れか?だったら尚更話さんとなぁ」
「今はすっかり大人びておるが、ルーは駆け出しの頃はとんでもない泣き虫でなぁ…イャンクックが倒せなくて泣きべそかいてたものよ」
「村長!!」
ルーはよほど恥ずかしいのか顔を赤くしながら村長を制止する
「オババ殿。それくらいにしといてやれ。ルーも困っているニャ…コホン、困っているぞ」
「そうだねぇ…ちょっとからかいすぎたかねぇ」
806: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/10(日) 13:23:05 ID:mUCDMF7VaQ
「それで?後ろの二人は?」
「あ、私ムゥ・シュバルツといいます」
「ほうほう。漆黒のか…あやつの妹かぇ?」
「はい…お兄ちゃんは?」
「奴はウカムルバスとらんでぶーじゃよ。雌かはわからんが…」
ルーと軽く会話をした後に村長が俺の方を向く
「お主は…」
「あ、俺は…」
俺が名乗ろうとした時、村長は顔をにんまりさせて
「双炎め、惜しい奴らを亡くしたと思っとったが…中々面白そうなのを残していきおったな」
「父さんと母さんを知ってるのか!?」
村長は懐かしむように目を細め
「あ奴らほど異端なハンターはそうそういなかろうて」
「うむ。あの二人は最早以上であっな」
ネコートと呼ばれたアイルーが鈴を鳴らしながら頷く
「オババ殿の依頼の最後の招待状を0分針だったか?」
「結構自信あったクエストだったんだけどねぇ…」
「しかもあの男、嫁とデート気分だったからな…」
「金獅子も浮かばれないねぇ…」
807: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/10(日) 13:28:28 ID:u154Dzic7I
「村長、本題に移りたい」
このままでは昔話に花を咲かせそうな一人と一匹をルーが止める
「申し訳ないねぇ…年を取ると、色んな事が懐かしいのよ…」
「状況を聞きたい」
ルーが本題を切り出すと村長は真剣な目付きになる
その変わり様に俺は少し身震いした
「一週間前に、ギルドの観測隊がルーク・シュバルツを見失った」
「!!」
ムゥが村長に詰め寄ろうとしたのを無言で制止する
ムゥは少し複雑な表情をしたが止まってくれた
「今すぐにでも出発は可能か?」
「もちろんだ。ギルドも依頼を貼り出してる頃だろうし、人手が足りない状況ニャ…コホン、状況だ」
「わかった。二人とも、ギルドに向かうぞ」
「まちんしゃい。双炎の息子よ」
808: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/10(日) 13:41:10 ID:mUCDMF7VaQ
「俺?」
いきなり呼ばれたのでびっくりしつつも立ち止まる
「そんなみすぼらしい装備で行く気かい?死ににいくようなもんだ」
おそらくみすぼらしい装備というのは、装備していたレウスSとゲキリュウノツガイの事を言っているのだろう
「みすぼらしいとはなんだ。これは俺が死ぬ気で…」
「あーはいはい。若者の苦労は凄いのー」
村長が心底どうでもよさそうに返事したとき
「村長、中々若者の努力もバカに出来ないよ」
加工屋の主人が何かを持ってこちらにやってきた
「おおー、時間ピッタシじゃの」
「全く。村長は予知能力者かなんかかい?」
主人はやれやれと言った表情で呟きながら俺に装備を渡してくる
「セネル君。これは君が必要な物だよ。いや、君しか使えない物といってもいいかな」
809: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/10(日) 13:47:46 ID:mUCDMF7VaQ
主人から装備を受けとる 銀色に鈍く光るそれは銀レウスの素材を使ったシルバーソルに似ているが…
「それはSソルZ、君のお父さんが実際に使っていた物を君の寸法通りに合わせた物だよ」
「父さんが!?」
「それだけじゃない。武器も見てごらん」
加工が笑いながら武器を指差す
手にしていた双剣はゲキリュウノツガイに似ていたが…
「それはコウリュウノツガイ。君のお父さんが使いやすいようにカスタマイズした物だよ。持つところが違うでしょ?」
確かに、手に持った双剣は逆手で持つ方がしっくりくる形状だった
「それを使いんしゃい。お主なら使いこなせるだろう」
村長が優しく目を細めながら俺を見つめる
「ありがとう…村長」
「礼ならルーク・シュバルツを助けた後にしとくれ」
「ああ!!」
「これで本当に準備は揃ったな。よし、ギルドに向かうぞ」
810: 名無しさん@読者の声:2013/2/10(日) 18:24:36 ID:brIb.FAqgM
wktkwktkCCCC
811: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/10(日) 18:31:06 ID:6WPIlMnLYs
「相変わらず賑やかだな…ここも」
ルーが懐かしそうに呟くが、周りの喧騒に目もくれずルーは受付に向かう
黄色い服の受付嬢はルーの顔を見るなり驚愕に目を見開く
「ルーさん…」
「話は後だ、ウカムルバスのクエストはあるか?」
その一言でギルドが一気に静かになる
全員がルーに視線を集中させてるのが気配で伝わってきた
「ちょうどありますが…後ろの方々と?」
「ああ、二人ともこのクエストに参加できるだけの力量は持っている」
「・・・失礼ですが、後ろの方はお見受けしたところHR9に達していないみたいですが?」
「・・・緊急事態なのだろう?」
「ギルドとしては、力量が合わない人に依頼を任せるわけにはいきません」
「っ!!セネルは充分戦える!!規律がなんだ!!」
「申し訳ありませんが、たとえセネル様がG級の力量を持っていたとしてもHR9のクエストは受けさせられません!!」
ルーが拳を叩きつける
812: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/10(日) 18:37:30 ID:6WPIlMnLYs
「・・・別に、この場にいる全員を黙らせてもいいのだぞ?」
ルーが低く囁く
その声は怒りを含んでいた
「・・・いかなる理由があろうと、力量が合わない人をクエストにいかせるわけにはいきません」
「っ!!」
「駄目だ!!ルー!!」
ルーがランスに手を伸ばそうとするのをどうにか制止させる
「頼む…友人が…死にかけてるんだ…」
ルーは涙を流しながら悔しそうに呟く。その姿に心打たれたのか、周りのハンターが口々に
「いかせてやれよ!!」
「規律の為に人命を捨てるのかよ!!」
「ギルドはハンター優先じゃなかったのか!!」
「なら貴方達がいけばいいでしょう!?」
受付嬢は声を張り上げハンター達をたしなめる
さすがG級の受付嬢というべきか、騒がしかったギルドが一瞬で静まりかえった
「この中に危険な飛竜を、しかも崩竜と恐れられる飛竜に挑む人がいるんですか!?」
ハンター達はばつが悪そうに顔を見合わせる
それも仕方ない事だ
一歩間違えば、生きては帰れないのだから
813: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/10(日) 18:42:18 ID:tII4jXRnG2
「私だって…こんなこと言いたくありません…」
「でも、ギルドは全を考えるから…個を優先しては、統率が乱れてしまう…」
「だから…規律を破るわけにはいかないんです…」
受付嬢も悔しそうに呟く この人も悔しいのだろう。ギルドの規律が
「・・・」
俺はそっと受付嬢の頭を撫でる
「・・・」
受付嬢は唇を強く噛み涙を堪えていた
「貴女の言いたい事はすごくよく分かる。でも、規律より大事なのも、あるんじゃないかな?」
「規律は…絶対です…」
受付嬢は遂に涙を流しながら呟く。これはもうお手上げかもしれない
「ルー…ムゥ、悪いけど、二人で…」
「やれやれ、相変わらず堅っ苦しいなぁ」
814: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/10(日) 18:48:56 ID:6WPIlMnLYs
この場に似合わない間延びした声にギルドの全員が振り向く
「イオン!?」
「や、久しぶり」
イオンは悠々と受付嬢に近づくと
「はい、推薦状」
「これ…」
「セネル=ボルアスは、このクエストに参加できる資格を持ってるよ。僕が認めたんだから」
周りがざわつき始めた
「あれ…ギルドナイツのマスター、イオンじゃねーか…」
「それより、今、ボルアスって?」
「双炎の覇者の…息子か?」
「セネル」
イオンが俺に向き直り厳しい口調で問いかける
「君が今から戦うウカムルバスは強大な相手だ。逃げるという選択肢もあるよ?」
「大事な仲間を見捨てて逃げるわけにはいかない。俺は仲間を見捨てるような臆病者にはならない!!」
「・・・君ならそういうと思ってたよ」
「僕からはこれ以上は何もいうことないね…いきなよ」
「ありがとう!!イオン!!」
815: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/10(日) 18:55:18 ID://Pq5MFqdI
「それでは…ルー様ムゥ様セネル様のクエストの受注を確認いたしました」
「ありがとう…すまないな、怒鳴って、脅してしまって」
「いえ…寧ろ良かったです」
受付嬢はにっこりと笑いながら
「私はまだ何も出来ない受付嬢だって認識できましたから」
「・・・強いな」
「これぐらいでへこたれてたら、G級なんて勤まりませんよ」
受付嬢は力強くガッツポーズをする
「それでは、気をつけていってらっしゃいませ」
「行ってくる」
「行ってきます!!」
「必ず帰ってくるから!!」
816: 名無しさん@読者の声:2013/2/11(月) 01:38:04 ID:ifyv3wwCGQ
さぎしさんは使う武器ランスかな?
大剣ばっかり使ってるからヴォルガノスは得意だわwww
ウカム溜めてる時に突進してくるから嫌いwww
支援
817: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 09:39:19 ID:oaV8sFVAmA
>>810
支援感謝です♪
>>816
自分は哀れな太刀厨です 2Gではハンマーと太刀を使ってますね
というより、戦う相手に合わせて武器を変えますから基本的になんでも使えます
支援感謝です♪
昨日は寝落ち申し訳ない
818: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 09:46:56 ID:OXmxEE5H02
視界がほぼ真っ白に染まる
その先に微かに蠢く何か 私は弓をしまい右に回避する
先程まで私がいた場所に白い崩神が突進をしてくる
「ニャニャーン!!」
「おや、お帰りなさいケマリ。寒中穴堀りはどうでした?」
「好きでしたわけじゃないニャ!!それよりご主人!!敵は!?」
「そうですねぇ…あ、そこで武器振ってくれますか?」
「こうかニャ?」
ケマリが武器を振るうと、肉が裂け焦がす音が聞こえる
「ニャ!?当たったニャ!!流石ご主人!!ご主人の言うことを聞いていれば百発百中ニャ…ギニャアアア!!」
ケマリが体を跳ねさせ喜んでいると、ウカムは咆哮でケマリを吹き飛ばしました
私ですか?もちろん避けましたよ。ガンナーですから一撃が致命傷ですからね
吹き飛んできたケマリが私の足元まで転がってきました
「ニャ…ご主人…ボクは、もう、駄目…ニャ」
「穴堀りですか?構いませんよ。36回目でしたっけ?」
「か、数えてるなんて…ご主人…ドSだニャ…」
819: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 09:54:02 ID:oaV8sFVAmA
体力の限界が来たのか、地中に潜り込むケマリ
まあ、彼女にはひたすら筋トレしかやらせてませんし、攻撃全振りの一撃離脱型に育成したのは私なんですがね
さて…かれこれ私の体内時計が狂っていなければ、既に三週間は経過していますね…
こんだけ時間がかかればギルドの方ではとっくに失敗扱いなのでしょうが…いつまでたってもクエスト失敗を告げられない…
ギルドの方で何かあったのか…相対している崩竜が天災として扱われたのか…
「なんにせよ…万全の準備をして正解でしたね…」
誰に話すともなく一人呟く
三週間生きていられるのは充分過ぎる量の食料を持ってきていた事が大きい
「とはいえ…もう食料もないわけですが…」
チラとケマリが埋まった地中を見る
ネコの肉って美味しいんでしたっけ?
820: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 10:01:37 ID:OXmxEE5H02
「まあ、そうならないように努力をするわけですが」
弓をつがえ引き絞り放つ 放たれた矢は崩竜の肉を貫きほんの一部を裂いた
このままでは持久戦
しかも、こちらが圧倒的不利な持久戦
「ニャニャーン!!」
ケマリがまた復活する
私は弓をしまいケマリを抱き抱え崩竜から距離を取りました
「ニャ?ご主人?」
「ケマリ、大事なお話があります」
私のいつもと違う雰囲気を察したのか、毛並みをピンとさせるケマリ
本当に彼女は空気を読むのが上手い
「もしも私が崩竜の一撃を受けて、自力で復帰不可能になった場合…貴女はここから速やかに離脱してギルドに助けを求めに行きなさい」
「ニャ!?それって…」
言葉の意味を理解したのか私の腕の中で暴れ始めるケマリ
「私を置いて逃げろって事ですよ」
「嫌ニャ!!そんなの嫌ニャ!!」
「埒があきませんねぇ、足手まといだから邪魔だと言えばいいんですか?」
「嘘ニャ!!ご主人はいつでもボクの事を大切にしてくれたニャ!!」
821: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 10:07:23 ID:OXmxEE5H02
私は大きくため息をつく
「ケマリ、貴女は優秀なアイルーです。私の無茶な育成にもついてきてくれました。貴女みたいな優秀なアイルーを失うわけにはいきません」
「違うニャ!!ボクは優秀なんかじゃないニャ!!ご主人の方ニャ!!」
必死に私の腕から逃れようとするケマリ
だが、私はそれを阻止する
「このままでは押し問答ですよ。ケマリ」
「く、口喧嘩なら望むところニャ!!」
彼女は空気を読むのが上手いですが、意地っ張りなのが傷ですね…
「っ!?」
突如激しい殺気を感じてケマリを放り投げる
直後に私の全身を襲う激しい激痛
崩竜がいつの間にか接近していたらしく、突進をまともにくらったようですね
822: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 10:14:50 ID:OXmxEE5H02
「ギニャ!?ご主人!!」
遠くに放り投げられたケマリが必死にこちらに駆け寄ってくる
剣士でさえまともに食らえば無事ではすまない突進をガンナーの薄い防具で食らってしまいましたからね…全身が痛くて痛くて泣きそうですよ
崩竜は私に止めを刺そうと地中に潜り背鰭だけを見せて突進をしてくる
「ご、ご主人はボクが守るニャ!!」
武器を構えて私の前に仁王立ちするケマリ
その小さな体はガクガクと震えていた
「ケマリ…逃げなさい。そして…ギルドに…」
「嫌ニャ!!いくらご主人の命令でも聞けないニャ!!」
「確かにご主人はドSで意地悪で性格悪くてなに考えてるかわかんニャいけど!!」
酷い言われようです
「でも、ボクは知ってるニャ!!ご主人は誰よりもボク達アイルーに優しくしてくれるって!!」
崩竜はすぐ近くまで接近している
もう、逃げても無駄ですね
私はそっとケマリを抱き寄せ
「わかりました…私達は一緒です」
「ご主人…」
崩竜は目前にまで迫っている
私は静かに目を閉じた
823: 名無しさん@読者の声:2013/2/11(月) 15:50:59 ID:O5X0CHOlqg
なにこれ冬なのに汗で画面が見えない
824: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 23:47:18 ID:aMQyUdLMrI
「うおおおおおおお!!」
「グギャアアアアア!!」
飛竜かと間違うほどのけたたましい咆哮
そして、崩竜の絶叫
私はゆっくりと目を開ける
崩竜の背中に刃を突き立てる銀と、その銀を振り落とそうとする崩竜
銀は素早く剣を引き抜くと私の目前に着地する
「ルーク!!大丈夫か!?」
銀は心配そうな声色で私に駆け寄る
ああ…そうでしたね、君は仲間の為ならこんなところにでも来てしまう
そういう人でしたね
崩竜がゆっくりと私達に近づいてくる
セネル君は私を庇うように前に立ち剣を構えました
「今だ!!ムゥ!!」
825: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 23:53:11 ID:brIb.FAqgM
ヒュンと風切り音がしたかと思えば、飛竜を貫くような巨大な矢が崩竜の脳天に突き刺さる
突き刺さった場所から炎があがり崩竜を焦がします
「お兄ちゃん!!しっかりして!!」
ムゥが私の元に駆け寄ってきますが、すんでのところで立ち止まります
この状況で私の体質を気にするとは…嬉しいような悲しいような…
「手酷くやられたな。立てるか?」
銀の番である金…ではなく、ルーさんが手を差し伸べてきます
「・・・それは、わざとですか?」
「癖だ。それに、一人で立てないのも事実だろう」
「まあ、そうなんですけどね…」
そう呟きながら私は手を伸ばす
しかし、掴んだのはルーさんでもセネル君でもない
「・・・え?」
私はムゥの腕を掴んで
「申し訳ありませんが、立つのを手伝ってくれませんか?ムゥ」
826: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 23:58:24 ID:brIb.FAqgM
「・・・うん!!」
ムゥは目に涙を溜めながら一生懸命にルークが立つのを補佐する
「グルルルルル…」
そんな空気をぶち壊すかのように威嚇してくるウカム
「せっかくの兄妹の感動の再開を邪魔すんなよ」
「セネル、所詮獣だ。わかるはずもない」
「そらそうだ」
俺は剣を構え、ルーは槍を持つ
「やれるな?」
ルーの問いに短く頷き走り出す
狙うは先程ムゥが放った矢だ
ムゥが放った矢には炎属性の他に、古龍にとっては毒となる呪いがかけられている。分類では飛竜に指定されているウカムだが、一定の効果は望めるだろう
827: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/12(火) 00:01:06 ID:brIb.FAqgM
皆さんこんばんは
さぎしです
今日は色々な諸事情が重なりろくに更新ができず申し訳ありませんでした。そして、今日の投下も終了いたします
明日はおそらく少量更新となることをご了承ください
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
828: 名無しさん@読者の声:2013/2/12(火) 00:51:53 ID:ifyv3wwCGQ
乙です
支援
829: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/12(火) 22:54:08 ID:qf7Rx7Huy.
さて、皆さんにここでクイズみたいなのを出そうと思う
ウカムの脳天に突き刺さった矢を俺はどうするか?
引き抜くか更に突き刺すか
答えは…両方!!
「どおりゃあああ!!」
俺はウカムのスコップと呼べるような特殊な形をした顎を足場に跳躍する。そのまま額に器用に乗っかり、脳天に突き刺さってる矢をおもいっきり押し込んだ
「グギャアアアアア!!」
痛さに悶絶に暴れ狂うウカム
俺はそれに必死に耐えながら今度は力いっぱい引き抜く
「アンギャアアアア!!」
最早可哀想と言うべきかお約束というべきか
ウカムは激痛に体を大きく揺らす
「やべっ!!」
体を揺らした衝撃で俺はウカムから振り落とされ頭から地面に落下する
地面に直撃する間際にルーが受け止めてくれた
「全く!!無茶をする!!」
「ごめん!!でも、あと一息だ!!」
「わかっている!!」
830: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/12(火) 22:59:14 ID:LSTUsvET3o
「はああああ!!」
双剣を構え鬼人化する
コウリュウノツガイの熱も加わり熱気が俺を包み込む
「はっ!!」
一息に飛び出し、ウカムの腹下に潜り込み一心不乱にきりつける
肉を裂き骨を削りそれらを焦がす
繰り返し行われる怒涛の攻めになす術もなくウカムは倒れ伏した
「はあっ!!」
ルーが矢が突き刺さっていた場所に槍を深々と突き刺し、ウカムの命を絶った
831: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/12(火) 23:04:54 ID:LSTUsvET3o
「やったの…ですか?」
ルークがムゥに肩を貸されながらヨタヨタと近寄ってくる
「なんとかな…それよりルーク。それ…」
「克服、か?」
「・・・わかりません」
ルークは神妙な顔つきで呟く
「今はムゥに肩を貸されても何も起きませんが…落ち着いたら拒否反応がでるやもしれません…申し訳ないですが…」
「いいよ。そんなの」
ムゥはルークに笑いかけながら
「たとえお兄ちゃんに手を貸せなくても、私が側にいて力になれるし…それでいいよ」
「・・・ありがとう」
「とにかく、ここにいては充分な手当ても出来ない。一旦ギルドに戻ろう」
ルーの提案で俺達はギルドに戻ることにした
本当に、手遅れになるまえでよかった
【激震!!崩竜 ウカムルバス】
fin
832: 名無しさん@読者の声:2013/2/13(水) 00:18:05 ID:QsZCryh2P.
ルーク、、、よかったよ〜(T∇T)
セネル君、やっぱデキル子だ!
つCCCCC
833: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 19:29:09 ID:UKHLqDlbGE
>>832
ありがとうございます
昨日はすみませんでした 駆け足で終わらせるにも程がありましたね…申し訳ないです
さて、次のお話ですが
結局タイトルが決まらなかったので、初期案でいかせていただきます
なんか、上手いタイトルは皆様でお考え下さい
では、参ります
834: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 19:36:43 ID:UKHLqDlbGE
【ルーVS貴族クリス】
僕チンの名前はヘリオネ・クリスティーヌ・プッチモーネ
長いから気軽にクリス様と呼んでもいいよ
さて、今僕チンはユクモ村にお忍びで来ている
なんで来てるかって?
屋敷の奴らがしつこ…もとい、爺やが外の世界を見てこいと言っていたからわざわざこんな辺境の村まで来たんだ。感謝して村人全員で土下座で迎えてもらいたいくらいだよ
とにかく、ユクモ村にやってきた僕チンだけど…やっぱり僕チンは生粋の貴族だね!!村人の視線を集めに集めまくってるよ!!
あ、なんか今目を逸らされた。きっと貴族と目を合わせてはいけないとわかっているんだな。庶民のくせにやるではないか。うんうん
835: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 19:42:48 ID:3inC/w3.6k
しかし…本当に辺鄙で退屈な村だ…僕チンを迎える宴くらいあってもいいのに…
あ、僕チンは今屋敷の奴らには秘密で来てるんだった。村人が騒いだら、僕チン目立つからバレちゃうな…
「ルー!!待ってくれよ!!」
僕チンの前を男が通りすぎる。全く無礼な!!僕チンを誰だと思ってるんだ!?
一言文句を言ってやろうと男の方に顔を向けると
き、き、き、キターーーー!!
遠目からわかる美貌
透き通るような白い肌
凛々しい風格
整った顔立ち!!
完、全に僕チンのどストライクの女性がいた
なんなんだあの女性は!? あんな美しい人が野放しでいいのか?僕チンの嫁にしなくては!!
しかし、先程の男がやたら馴れ馴れしく話しかけている
無礼な!!その女性は僕チンのお嫁さんなんだぞ!?
836: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 19:47:11 ID:3inC/w3.6k
「・・・」
「どうした?セネル」
「いや…」
背中に伝わる嫌な視線に後ろを振り返った俺をルーが不思議そうに見る
振り向いてみたが特に誰もいない…よな?
「気のせいだよな…ごめん。ルー」
「全く。しっかりしてもらわなくては困るな」
「ごめんごめん」
「今日はカエデが薦めてくれた特別クエストだからな。気合いを入れていくぞ」
「渓流の長い1日だよな?どんな内容だろうな」
「何が現れても、私達に立ちはだかるなら切り捨てるだけだ」
「・・・男らしいな」
ルーと冗談を交わしながら俺達はギルドに入った
837: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 19:59:16 ID:UKHLqDlbGE
「つっっっ、かれたぁー!!」
装備を着たままボフンとベッドに寝転がる
「・・・ふぅ」
ルーも珍しく疲れを隠せないようだった
だが、それは無理もない
俺達が受注したクエスト「渓流の長い1日」は大連続狩猟だったのだが、ナルガクルガ、ドボルベルク、ジンオウガを連戦したあとにリオ稀少種夫妻を同時に相手どるという鬼畜なクエストだった
「四体なら相手にしたことはあるが…五体、それもラストに同時は初めてだな」
ルーもぐったりして椅子に背を預けてる
「今日は、休もうか…そのほうがいいだろ」
「そうだな…」
ルーがベッドに近づき俺に覆い被さるように寝転んだ時
「オホン。邪魔するよ」
838: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 20:05:22 ID:UKHLqDlbGE
入り口から声がして二人で顔を向ける
そこには緑色の高そうな服。貴族服というやつを着た太った男が立っていた
「やはり、貴族といえども礼儀はって、貴様!!」
男は俺達を見るなり血相を変えて
「その人から離れろ!!その人は僕チンのお嫁さんだぞ!!」
ルーを指差しながら捲し立てるが、俺達は顔を見合わせる
「えっと…だれ?」
「フフン。庶民に名乗るのはちと勿体ないが、僕チンの妻の知り合いということで特別に名乗ってやろう。僕チンの名前はヘリオネ・クリスティーヌ・プッチモーネだ。長いから気軽にクリス様と呼んでもいいぞ」
クリスと名乗った男が誇らしげに胸を張る
「えと…何の用で?」
「そこにいる女性を僕チンの妻として迎えにきたのさ!!」
839: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 20:12:35 ID:3inC/w3.6k
「すまない。私はお前と面識がないのだが」
ルーが立ち上がりクリスと向かい合う
「お前…まあいい。君は僕チンの妻になるんだよ。そう僕チンが決めたからさ!!」
「・・・何をいってるんだこのモスは」
ルーは俺を見ながら理解出来ないという風に顔を歪ませる
「僕チンの妻はこんな小汚い所にいちゃいけないよ。さあ、お屋敷に戻ろう!!」
クリスがルーに向かって手を差し伸べるが、ルーはその手を一瞥し、俺に抱きつく
「悪い。既に将来を共にすると誓った相手がいるのでな」
「き、貴様!!一度ならず二度までも…こうしてやる!!」
クリスはポケットからなにかを取りだし床に叩きつけた
モクモクと煙が巻き起こり視界が白に染まる
「煙玉か!?」
俺は咄嗟にかがんで視界を確保しようとするが
「セネル!!この煙を吸うな!!」
「え!?」
ルーの警告に驚いて吸い込んでしまう
すると、激しい眠気に襲われた
「これは…グラビモスの…くっ…」
ドサッという音と共になにかが倒れる音
「ルー…」
俺も眠気に襲われ、意識を手放した
840: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 20:41:49 ID:Sw0MpfAOAk
「完璧に完治してますよ…人間ですか?」
医者が私を触診し終えポソリと呟く
私は服を着ながらハンターですのでと付け加えた
「ハンターは皆こうなのですかな…」
「さあ?私が特別なだけかもしれませんよ」
「まあ、いずれにせよ退院です」
「お世話になりました」
「静かになりますな。看護師が貴方を見るたびにキャーキャー騒いでたのがもう聞こえなくなると思うと」
「騒がれるのは嬉しいですが、期待には答えられませんよ」
「そりゃそうですね。受付で妹さんが待ってるみたいですよ」
「ありがとうございました」
841: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 20:48:20 ID:Sw0MpfAOAk
受付に行くと、ムゥが椅子に腰掛けぼーっとしていました
「お兄ちゃん!!」
私を見るなり駆け寄ってきて飛び付こうとするのを華麗にかわす
「もー、相変わらずすぎー!!」
「あなたの行動パターンが読みやすいんですよ」
「・・・」
ムゥが黙って手を差し出してくる。この行動の意図は既に理解はしています
私は恐る恐るムゥの手に自分の手を重ねる
甦る悪夢、腰が引け今にも逃げ出したくなる気持ちをグッと押さえつけてムゥの手を握った
背筋がピンと張り吐き気や頭痛が込み上げる
「・・・」
ムゥが悲しそうな顔をして手を離そうとするのを私は黙って止める
「お兄ちゃん?」
「しばらく…このままで…」
私は歯を食い縛り耐え続けた
そして…
「・・・」
842: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 20:51:53 ID:Sw0MpfAOAk
気がつくと、私はムゥの手を握り返していました
あまりの突然の変化に私は思わずポカンとしてしまう
しかし、ムゥは弾けたような笑顔で
「やったね!!お兄ちゃん!!」
私に飛びいてきましたが、私はそれをかわします
「なんで避けるの!?」
「いきなり密着なんてレベル高過ぎますよ!!」
「はぁ…とりあえず、帰ろうか?」
「そうですね。家を汚したりしてませんよね?」
「そんなことしてないもん!!」
843: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 20:57:49 ID:CT7VV0836g
久しぶりに帰る我が家
その風景はなんもかわりなく…いや、少し整頓されてますね
「勝手にやったら怒られるかなっておもったんだけど…」
「いえいえ。ありがとうございます」
ムゥは微笑みながら私に向き直り
「えへへ、でも嬉しいな…また、お兄ちゃんと一緒にいれて」
「密着は不可能ですからね」
「わかってるよ!!」
「それに、あまりゆっくりも出来ないみたいです」
机の上に置かれている便箋を手に取りながら釘を刺す
便箋を見た瞬間、私はげんなりとしました
「なにそれ」
「依頼ですよ」
ムゥが横から覗きこみながら
「なんで嫌そうな顔してるの?」
「この依頼は貴族からなんですよ」
844: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 21:51:13 ID://Pq5MFqdI
元来、貴族とハンターというのはうまやそりが合わないもの
とにかく仲が悪く、一方的にハンターが貴族を嫌ってると言っても過言ではありません
ハンターは金さえ出せばどんなモンスターでも狩ると思われがちですが、そうではありません
そういう人がいないとは言えませんが、ハンターとしての誇りは持っています
しかし、貴族はハンターはただの道具扱いをする。そこが許せないのでしょうね
「嫌なのはわかったけど…依頼を破棄するの?」
「・・・依頼は原則破棄はしませんからね」
腹を括って私は便箋を開けた
845: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 21:58:35 ID:ElWhNBG81s
「・・・なるほど」
依頼書を読み終えた私はため息をつく
依頼主は貴族のお手伝い
依頼内容は敷地内に飼育しているグラビモス一頭の捕獲
「グラビモスかぁ…討伐は駄目なのかな?」
「駄目でしょうね。相手は貴族ですし」
捕獲としっかり表記されているため、討伐をしてしまうと信用が下がってしまう
別に貴族にどう思われようと構いませんが、貴族を敵に回すと後々面倒になりますからね
「依頼主は…プッチモーネ一族ですか」
「偉いの?」
「ただの成金ですよ」
私は便箋にムゥと私の名を書き込んで郵送する
「ムゥ、出れますか?」
「それ、書いた後に言うの?」
ムゥはジトっと見てきますが、既に出発する準備は万端でした
「では、貴族のお招きに預かりましょうか」
846: 名無しさん@読者の声:2013/2/13(水) 23:47:54 ID:ifyv3wwCGQ
さぎしさんスタンドは使えるかぁぁ?
つ支援
847: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/14(木) 20:27:59 ID:UKHLqDlbGE
>>846
修行すればなんとか
支援感謝です♪
昨日は突然の更新中断申し訳ない
まあ、ちょうどキリのいいところでしたし、10レスは投下出来たから…いいよね?
848: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/14(木) 20:35:14 ID:UKHLqDlbGE
「・・・ん」
目を覚ますと、そこは見たこともない部屋だった
部屋が豪華な装飾で施され、寝かされていたベッドをはじめとした様々な家具の一つ一つに宝石がちりばめられている
ふと、大きな鏡があったので私の姿を確認しようと近づく
来ていた筈の鎧は脱がされ、代わりに純白のシルクのドレスを着せられていた
・・・こんなものを、また着る羽目になるとはな
「ルー様。お目覚めでしょうか?」
部屋がノックされ女中が入室してくる
「お目覚めでございましたか。お体のほうはどうですか?」
「ああ、すこぶる最悪だ」
私は素早く女中に近づき首を掴んで力を込める
「あっ、くぅぅ…」
女中が苦しそうに呻きながら必死にもがく
しかし、私は手を高くあげ女中を持ち上げた
「質問に答えろ。さもなければ…」
鳥竜種を震え上がらせるような眼力で女中を睨む。女中はコクコクと頷き目に涙を浮かべた
849: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/14(木) 20:41:18 ID:3inC/w3.6k
「ここはどこだ」
「ヘリオネ・クリスティーヌ・プッチモーネ様の…ご自宅に…ございます」
「何故私を捕らえた」
「妻に…めとると…」
「クリスはどこだ」
「真っ直ぐ…いったところの…食堂で…ルー様を連れてくるように…命じられ…かはっ!!」
さすがに死にそうだったので女中を離す
解放された女中はヒューヒューと喉をならしながら必死に空気を集めようとしていた
「舐めた真似をしてくれる」
拳を強く握り締めて食堂がある方向を睨み付ける
一度、わからせたほうがいいみたいだな
850: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/14(木) 20:48:09 ID:UKHLqDlbGE
「やあ、遅かったじゃないか。ハニー」
豚のような体格で豚のような食事をし豚のような言葉を発する
もう、こいつはただのモスだろう。いや、モスより醜い
「おお〜!!そのドレス似合ってる!!」
モスが鼻息を荒くしながら身を乗り出す。モスはモスらしくキノコを食い漁っとけばいいものを
「何が目的だ。何故私を連れてきた」
「僕チンの妻になるために決まってるじゃないか」
「貴族様はハンターなど目にも止まらない存在だと思っていたが?」
「それをいうならチミもじゃないか?ルー・シフォン」
「調べさせてもらったよ。チミ達の事」
モスが得意気に胸を張るが…気持ち悪い
「驚いたよ。チミが謎の死を遂げたあのシフォン一族の跡取り娘だなんてね」
851: 名無しさん@読者の声:2013/2/14(木) 21:22:11 ID:U0P6p.FErc
今すぐにそいつを殺せルー。
さぎしたんのモンハンSSで初めて不快だ。
852: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/14(木) 22:15:18 ID:0YxcWEDMGI
「過去の話だ。それに、もうシフォン一族と私は何も関係ない」
「僕チンが君と結婚するのには十分さ」
モスは得意気に徘徊しながら説明する
「いくら容姿端麗でも、流石に貴族である僕チンがどこの馬の骨ともわからない女と結婚するなんてあり得ないからね…そこで、君を調べさせてもらったら。貴族の跡取り娘。これはもう神様からのお告げだね」
「別に、私と結婚したからといって、資産が手にはいるわけではないぞ?」
「別に資産なんてどうでもいいんだよ。お父様の代からたんまりと蓄えてるからね」
モスはニンマリと顔を歪める
「後は君が首を縦に振るだけだ。ね?簡単だろ?」
853: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/14(木) 22:23:27 ID:0YxcWEDMGI
「下らんな」
私は一言でモスの虚言を吐き捨てる
「な、なんだと!?僕チンが結婚してやるってのに!!」
「たとえ私が過去に人を殺めていてもか?」
「・・・」
モスは目を見開き驚愕の表情をする。しかし、すぐに笑顔になり
「なぁんだ、そんなことなら任せてよ。僕チンは顔が広いからあらゆるところに手を回して…」
「なんだ。結局逃げているだけだろう」
私は鼻で笑う
「貴様がやっているのは金に物を言わせて過去から目を背けているだけだ。 向き合おうとさえしない臆病者だ」
「セネルは…私のそんな過去も全て受け止めてくれた…」
「セネル…?ああ、あの双炎の覇者の息子?」
「っ!!セネルまで調べたのか!!」
「当然。君と何やら夫婦関係にあるようだけど、僕チンにかかればそんなことも無かった事に出来るからね」
854: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/14(木) 22:33:19 ID:0YxcWEDMGI
殴りたい…いや、殺したい
今すぐこいつに殴りかかり、その骨を砕きたい
「だいたい、あのセネルとかってハンター、ハンターとして欠陥じゃないの?」
「双炎の覇者の息子とか言われてるからどんなのかと期待してたのに…全然モンスター狩らないじゃん」
「ラオシャンロンとか、シェンガオレンとかバンバン狩らないの?ドボルベルクとかジンオウガとか、僕チンだったら余裕で…」
「何も知らないのに、知ったような口を効くな!!」
「ひぃ!?」
「ラオシャンロンやシェンガオレンはそうそう姿を表すようなモンスターではない!!ギルドが常に生態系を管理、調整し初めて依頼としてハンターが狩る事を許される!!更にハンターといえどモンスターを大量に狩るのは許されていない!!全て生態系を崩さないために!!何より、ハンターとしての誇りの為に狩っているのだ!!貴様らのような成金貴族にとやかく言われる筋合いはない!!」
855: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/14(木) 22:44:51 ID:0YxcWEDMGI
一息に捲し立てやや息が上がる
「・・・とにかく、貴様のような葛に付き合ってる時間も、ましてや結婚する気もない。顔も見たくない。失せろ」
女中を脅した時の何倍もの眼力で睨み付ける
しかし、モスは
「はぁ…なるべくこの手はなるべく使いたく無かったんだけどな…」
モスが手を鳴らすと、奥から鎧と武器を持った男が数名現れ私を取り囲んだ
「なるべく傷つけないように牢に入れて。抵抗するようなら…まあ、死なない程度に大人しくさすて」
「はっ!!」
男達は武器を構え私との距離を徐々に縮める
「ふん。親衛隊風情が…ハンターとしてモンスターと戦ってきた私に勝てるとでも?」
「それはこちらのセリフだ。凛々しいハンターよ」
「貴様がモンスターとの戦いに一日の長があるように、我々も対人に関しては貴様より一日の長がある」
「我々は幼少より英才教育を受けてきた。貴様のように実践で培ったりもした」
「痛い目に合わなければ…大人しく来てもらおう」
856: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/14(木) 22:47:23 ID:qWiM/K5756
皆様こんばんは
さぎしです
えと…まず、不快に思ってしまった方申し訳ありません
ですが、ストーリーの進行上何度か不快な場面が出てきますので、こういう話なんだと割りきっていただけると幸いです
本日の投下を終了いたします
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
857: 名無しさん@読者の声:2013/2/14(木) 22:53:25 ID:bd.VSVzfCA
わかってる。殺したいくらい成金野郎が不快だって意味です。ルーが屋敷ごと壊滅させてくれることに期待して。
つCCCC
858: 名無しさん@読者の声:2013/2/15(金) 00:15:10 ID:tuOdkcL1UQ
落ち着いていこーぜ
さぎしたんのモチベにも関わるからねー
あと僕チンが○チンにしか見えない
859: 名無しさん@読者の声:2013/2/15(金) 01:03:16 ID:tuOdkcL1UQ
あ、忘れてた
っ支援支援支援
860: 名無しさん@読者の声:2013/2/15(金) 18:43:57 ID:ifyv3wwCGQ
ルーちゃんに期待
支援
861: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 19:05:53 ID:aMQyUdLMrI
>>857
壊滅かぁ…なかなか難しいですな
支援感謝です♪
>>858
大丈夫です。皆様からのご意見ご感想が私のモチベに繋がりますので
現金すみません
支援感謝です♪
>>860
支援感謝です♪
862: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 19:14:11 ID:aMQyUdLMrI
「断る。と言ったらどうする?」
「ならば、力づくだ!!」
私の背後にいた兵士が根を振りかぶり私に殴りかかる
その根を掴み兵士を引き寄せ腹部を蹴り飛ばす
「ぐっ!!」
「でやあああ!!」
間髪いれずに斧を持った兵士が斧を降り下ろす
遅い。遅すぎる
奪った根で斧を弾きそのまま兵士を殴り付ける
兵士は大きくふっ飛び動かなくなった
「どうした!!親衛隊の力はこの程度か!!」
「くっ…この女…」
兵士達の目に殺気がこもる
そうこなくては、やりがいがないからな
「ふん!!」
私の腹部めがけ蹴りが飛んで来る
私はそれを肘で叩き落とし怯んだ隙に顔に掌打を放つ
「おい!!囲め!!」
一人の怒号で奥から続々と兵士達が出てくる
数は少なく見積もっても30はいた
「流石に…分が悪いか?」
863: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 19:20:20 ID:brIb.FAqgM
「うおおおおおお!!」
兵士が四方八方から襲いかかってくる
避けれないと判断した私は根で前方を凪ぎ払い後ろを突き左右に凪ぎ払いその場で回転する
面白いように根に当たり吹き飛んでいく兵士達
「なんだ、数だけか」
「言わせておけば!!」
逆上した一人が私に飛びかかるが
「ぐえっ!!」
顔面を根で突きその場に崩れ落ちる
「なにやってるんだよ!!早く捕まえなよ!!」
椅子に偉そうに座りながら兵士達を叱咤するモス
お前は黙っていろ
「来ないなら、こちらからいかせてもらう!!」
根を構え一人の兵士を突き飛ばす。振り向き背後の兵士を突こうとしたとき
「っ!?」
丈の長いドレスが足に絡み付き私をその場に倒れこんでしまった
864: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 19:24:52 ID:aMQyUdLMrI
「チャンス!!捕まえるチャンスだよ!!」
モスがはしゃいでピョンピョン跳び跳ねる
数人の兵士が私を取り囲んだ
「手間取らせやがって…」
「落とし前、つけてもらおうか」
「な、何してんだよ!?その人は僕の妻なん…」
兵士が剣を振りかざし私を切りつけた
しかし、切ったのは私ではなく私のドレス
「っ!!」
「へっへっへ、いい体してんじゃねーか…」
「や、止めろ!!近づくな!!」
布をかき集めて体を隠すが、男達には逆効果だったらしい
「何勝手に隠してやがんだ!!」
男の一人が剣を振り上げた瞬間
ズーーーン!!
865: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 19:31:17 ID:brIb.FAqgM
大地が揺れ体がぐらつく 音の方向に目を向けると、何かが壁に突撃をしているようだった
「ぜ、全員!!僕チンを守れよ!!」
モスの号令に兵士達がモスを守るように陣形を取る
ドガン!!
壁に大きな亀裂が走り今にも破られそうだ
食堂に緊張が走る…そして
ドガァァン!!
「ガアアアアアア!!」
「ヒイイイイイイ!!」
獣の方向に真っ先に悲鳴をあげたのはモスだった 土煙の中から姿を表したのはアオアシラ
だが、その大きさが桁外れに大きい
「うわああああ!!ア、アオ、アオ、アオ、アオアシラー!!」
モスはすっかり怯え机の中に潜る
先程ジンオウガやドボルベルクを余裕と言っていた者の行動にはとても見えない
866: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 19:35:26 ID:brIb.FAqgM
兵士達も顔を見合せ武器を構える
対人には慣れてるようだが、モンスター相手には奴らには荷が重いだろう
アオアシラなら根でも戦えるが…大きさ的にただのアオアシラではないことは明白
アオアシラの行動を注意しながら私は根を構える
「ガアアアアアア!!」
「ヒイイイイイイ!!」
両手をあげて威嚇をするアオアシラ…来るか?
「ちょ!!アシラ!!ストップ!!ストップ!!」
土煙の中から声が聞こえて人影が浮かび上がる
いや、それより今の声は…
「ルー!!」
「セネル!!」
土煙が晴れ、中から出てきたのはセネルだった
867: 名無しさん@読者の声:2013/2/15(金) 19:54:09 ID:k81ksGofh2
アシラたんお友達か!
っCCCCC
868: 名無しさん@読者の声:2013/2/15(金) 20:05:12 ID:ifyv3wwCGQ
アシラたんキター(°∀°)ー
支援+ハチミツ
869: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:10:37 ID:zZ0LLNhnzs
「ん…んん…」
頭を押さえながら立ち上がる。まだズキズキと痛むのは先程の煙のせいだろうか?
「そうだ…ルー…」
俺は辺りを見回したがルーはどこにもいなかった
恐らく、先程クリスと名乗ったあの男に連れ去られたのだろう
「すぐそばにいたのに…くそ!!」
俺はすぐさま装備を整え家を飛び出した
870: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:15:39 ID:zZ0LLNhnzs
「セネル様?」
駆け出した俺を村長さんが不安そうな声で引き留める
「村長さん。悪いんだけど今急いで…」
「ルー様の事ですか?」
村長さんは表情を曇らせながら
「先程、プッチモーネ一族と名乗る一団が現れて、眠ってるルー様を連れていったのを加工屋が見たと言っていましたので…」
プッチモーネ。確かクリスがそう名乗っていた
「何かあったのですか?」
「わからないんです。突然クリスって奴が家に入ってきて、ルーを嫁にするとかなんとか言って…催眠ガスを…」
「・・・」
「ごめんなさい。村長さん。話は後で」
俺はまた走り出そうとしたが
「お待ちください。セネル様」
村長さんに呼び止められ振り返る。今はこんな事をしてる場合じゃないのに
871: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:21:02 ID:0fd8NEJ9sQ
「依頼を受けていただきませんか?」
ニッコリと笑いながら村長さんが提案する
「村長さん。こんなときにクエストだなんて…」
「契約金は0Z、報酬金は1000Z。場所は渓流、制限時間は無し。受注条件はハチミツ10個の所持。達成条件は…ルー様と共にユクモ村に帰ってくること」
「・・・」
「受けて、くださいますか?」
村長さんは微笑みながら作りたての依頼書を渡してくる
「ありがとうございます。村長さん」
俺は依頼書を受け取り名前を書いて渡す
「この依頼。セネル=ボルアスが受けます」
「無事に帰ってきて下さる事を願っています」
村長さんに見送られながら俺はユクモ村を出発した
872: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:28:17 ID:zZ0LLNhnzs
「さて…渓流に来たはいいんだけど…」
渓流に着いた俺は早速途方にくれていた
村長さんが言うから何かあることは間違いないのだが…
「こんなこと…本当に意味あるのか?」
俺はポツンと一人ハチミツを掲げながら待っていた
何かはわからない
「こんなことしてる暇ないのに…ん?」
不意に聞こえた地響きに耳を済ませる
「向こうの方か?」
俺が音のする方向に視線を向けると
「ガアッ!!」
林から勢いよくアオアシラが飛び出してきた
「な!?で、でかい!!」
いきなりアオアシラが出てきたのに驚いたが、更に驚いたのはアオアシラの大きさである。今までに見たことのないような大きさで真っ直ぐ俺に向かって走ってくる
「くそ!!どうする!?」
武器を取り出して迎撃しようにも、ハチミツを掲げていては武器を取り出せない。かといってハチミツを仕舞って武器を取り出すには時間がない
873: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:32:14 ID:0fd8NEJ9sQ
そうこうしてる間にアシラは俺を掴んで抱き上げた
「わわっ!!」
ハチミツを持った状態だったので、アシラには掴みやすい格好だっただろう
「・・・ん?」
しかし、いつまで経ってもアシラは俺を揺さぶろうとせずにじっと俺を見ている
「ガウ」
なにかを納得したのか俺を降ろして自分も四本足で立つ
アシラの視線は俺の持ってるハチミツに釘付けだった
「これが…欲しいのか?」
「ガウ!!」
俺の言葉にブンブンと頷くアシラ
人間の言葉がわかるモンスターなんて初めて見た
874: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:36:42 ID:0fd8NEJ9sQ
俺はアシラにハチミツを渡すと、アシラは器用に両手で受け取りハチミツを舐め始めた
「珍しいな…」
しばらくアシラがハチミツを舐めているのを見ていたが、当初の目的を思い出す
「って、ルーを助けにいかないと!!」
「ガウ?」
アシラが首を傾げて俺を見る
多分村長さんはこのアシラに会わせたかったんだろうが…
「アシラ…聞いてくれ」
俺が真剣な表情で切り出すと、アシラは俺の前でペタンと座り込んだ
「俺の大事な人が拐われたんだ。助けるのを手伝ってくれないか?」
「グルルル」
アシラはこれまた器用に腕組みをして考えるような仕草をする。そしてややあって
「ガウ!!」
アシラは俺を掴み、背中に乗っけると勢いよく駆け出した
875: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:42:44 ID:0fd8NEJ9sQ
アシラに乗りしばらくすると、山に囲まれた屋敷が見えてきた
「ガウ」
アシラが降りやすいように体勢を低くする
「ここに…いるのか?」
「ガウ」
アシラは目を閉じて頷く 確かに、表札にはプッチモーネと書かれていた
「よし…待ってろよ。ルー」
俺は入り口に向かって歩き出すと
「待て、そこの者」
門番が武器を構えながら
「この屋敷はヘリオネ・クリスティーヌ・プッチモーネ様のお屋敷である。用のある者以外は早々に…」
そこまで言ったとき、門番は顔を青ざめ
「モ、モンスター!?」
「ガウ!!」
いつの間に来ていたのか俺の後ろに立っていたアシラが元気に返事する
「ま、まずい!!仲間に知らせないと!!」
門番が屋敷に入ろうとする
「まずい!!」
あのまま逃がしたら仲間を呼ばれて厄介な事になってしまう
876: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:47:35 ID:0fd8NEJ9sQ
しかし、俺が反応するより早くアシラは門番に向かって走り出し、門番を押し潰した
「ぐえっ!!」
門番が明らかにヤバい声と、プチっという音と共に潰される
慌てて駆け寄ったが、どうやら生きているらしく、気絶しているらしい
「この巨体でこのスピード…このアシラ、なんなんだ?」
俺がじっとアシラを見つめると、恥ずかしいのか前足で顔を隠してしまった
「なんにせよ…これで入れるな…行こう、アシラ」
「ガウ」
俺は屋敷の扉を開き、アシラと共に中に入った
877: 名無しさん@読者の声:2013/2/15(金) 22:10:35 ID:CT7VV0836g
アシラたんかわゆす////プチッ
つロイヤルハニー
878: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 23:08:57 ID:qf2Xyjydl2
「な!?お前、どこから入っ…うわあああ!!」
「曲者!!これ以上の狼藉は…ぐわあああ!!」
「待たれぃ!!クリスティーヌ様には指一本…爪は無理!!ぐはああ!!」
「もう帰りてぇよぉぉ!!」
アシラと共に侵入したはいいが、ただでさえ目立つのに、大きさのせいもあってか、ほぼ全ての見回りに見つかり、素早くアシラが気絶させていった
お陰で楽に進めるのだが…いいのだろうか
「ガウ」
「なんか…楽しそうだな」
ご満悦な表情のアシラにハチミツをあげる
その場に座り込んでハチミツをペロペロと舐め始めた
「む。何者!?」
「はっ!!」
「ぐおっ!!」
あやうく見つかりそうになるのをなんとか気絶させる
アシラはまだハチミツを舐め続けていた
「早く…ルーを見つけないと…ん?」
879: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 23:13:36 ID:MD.Og/oBiw
奥から話し声が聞こえてきたので耳を澄ませる
どうやら見張りの会話らしい
「聞いたか?あの噂」
「ああ、クリスティーヌ様が新しい妻をみつけたんだろ?」
「なんでも、今回は人妻らしいぜ」
「マジかよ。懲りないね…」
「しょうがねぇよ。見合いを含め30連敗してんだ」
「まあ、その人妻とやらは今は食堂で必死に口説かれてんだな…可哀想に」
「俺達はこうして食堂の見張り…普通わかんねーよな。俺達が立ってる後ろの壁の向こう側が食堂だなんて」
「そ、俺達はただ壁の見張りをしてりゃいいんだよ」
880: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 23:15:31 ID:MD.Og/oBiw
皆様こんばんは
さぎしです
今日はわかる人には分かるキャラを出して見ましたが…思ったより分かった方が多くて嬉しい反面少々複雑な気分です
もらったハチミツはアシラにあげときますのでご安心を
本日の投下を終了いたします
見てくださった方々ありがとうございました
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
881: 名無しさん@読者の声:2013/2/15(金) 23:48:38 ID:d8KO31Zzzg
俺のアイテムボックスにあるハチミツやるよ
つハチミツ×2657
882: 名無しさん@読者の声:2013/2/16(土) 00:24:00 ID:ifyv3wwCGQ
俺のちょっと遅い逆チョコ差し上げます
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つ|チョコ|
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支援
883: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/16(土) 18:43:34 ID:MD.Og/oBiw
>>881
アシラも浮かばれますよ
>>882
あー、そういやチョコ会社の陰謀の日でしたね
頭から消し去ってましたわ
支援感謝です♪
884: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/16(土) 18:47:34 ID:qf2Xyjydl2
「なんつーか…分かりやすいな…」
様子を伺っていた俺は思わず短い笑いを出してしまう。しかし、先に進む方法は分かった
「グルルル」
「アシラ、右を頼む。俺は左をやる」
「ガウ」
「気絶だからな?」
「ガウ」
「よし…1、2、3!!」
合図と共にアシラと同時に飛び出し見張り達を気絶させる
「ぐえっ」
「ぐはっ」
見張り達は何が起こったかわからず倒れた
885: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/16(土) 18:52:28 ID:MD.Og/oBiw
「よし…次だな」
俺は見張り達が立っていた部分の壁を探る
確かに、見ただけでは分からないが、違和感があった
「他の壁と材質が違うな…上手くいけば、ぶち破れるか?」
俺がそう呟いた瞬間
「ガアッ!!」
アシラが勢いよく突進を壁にかましたのだ
「な、何してんだよ!?」
「グルルル?」
アシラは首を傾げて、やっちゃ駄目なの?という雰囲気をだしていたが
「あ…壁に亀裂が」
アシラが突進した事により壁に亀裂が走っていた。これならぶち破れる
「よし…いくぞアシラ!!」
「はあああああ!!」
「グルアアアア!!」
俺はアシラと一緒に壁に体当たりをした
886: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/16(土) 18:58:52 ID:qf2Xyjydl2
ドガァァンという音と共に壁が崩れ落ちる
アシラが勢いよく部屋に入り咆哮をする
「ちょ!!アシラ!!ストップ!!ストップ!!」
中にルーがいるかもしれないのでアシラを止める
土煙で霞んでいた視界が開くと、そこには
「ルー!!」
「セネル!!」
豪華なドレスらしき物を身につけていたルーがあた
俺はルーにかけより無事を確かめる
「よかった…無事だったんだな…」
「あ、ああ…まあ、無事といえば無事なのだが…」
ルーが恥ずかしそうに俯く
改めて見ると、ルーの格好はかなりきわどいものだった
「ご、ごめ!!」
俺は慌てて顔を逸らしながら持ってきたルーの装備を渡した
「ありがとう。気がきくな…流石セネル」
ルーは微笑んで装備をつけはじめた
887: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/16(土) 19:09:13 ID:MD.Og/oBiw
「お、おのれ!!セネル=ボルアス!!ルーは僕チンの妻なんだぞ!!離れろ!!」
クリスが机に足をかけて声高に主張する
「クリス!!こんなことはもうやめろ!!大人しく他の女性達も解放しろ!!」
「どういう事だ?」
ルーが怪訝そうな顔をしながら聞いてくるので事の一部をかいつまんで説明する。途端にルーの全身から殺気が溢れ
「貴様…この下卑た豚が…」
「な、な、な、僕チンになんてことを!!」
クリスは手や足やらをしっちゃかめっちゃかに動かし
「もういいよ!!妻とか嫁とか知るもんか!!こいつら殺っちゃえ!!」
クリスの命令と共に兵士達は武器を構えて俺達に近づいてきた
888: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/16(土) 21:44:21 ID:mUCDMF7VaQ
「先程は遅れを取ったが…私達二人に勝てるとでも?」
装備をつけ終えたルーが槍を構え不敵に笑う
「きゃっ!?」
いきなりルーが上に持ち上がり慌てたような声を出す
見るとアシラがルーを大事そうに抱えていた
「な、何をする!!離せ!!」
これには流石のルーも想定外らしくあたふたしていた
「ガウ」
アシラはルーを大事そうに抱え込むと、その場に座り込んで片腕を俺に差し出した
「・・・サンキュ」
俺はアシラの差し出した片腕に拳を合わせると兵士達に向き直る
「ルーの手を煩わせるまでもない。俺一人で十分だ!!」
「や、殺っちゃえよ!!こいつを殺れば、昇格だぞ!!」
「うおおおおお!!」
889: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/16(土) 21:53:23 ID:u154Dzic7I
前から三人の兵士が突っ込んでくる。それぞれ手に武器をもって殺気に溢れていた
「はぁっ!!」
真ん中の兵士に足払いをかけて腹を踏みつける
左右から襲いかかってきた兵士達の武器を双剣で受け止めた
「な、なんだそれ!?」
兵士の一人がすっとんきょうな声をあげる
何故なら、受け止めるだけのつもりだった武器を切断してしまったのだ
「ぶ、武器を切断する武器だと…」
「違うよ。ただ単に切れ味がよすぎるだけ」
俺は一言呟いてから剣を掲げる
「この、夜天連刄【黒翼】のね」
兵士達にどよめきが走る 自分達の使ってる武器は鉄を精錬して形を加工しただけの物
しかし、俺の持ってる剣は迅竜の刄翼を素材に使ってる剣
どちらか有利だなんて、一目瞭然だった
890: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/16(土) 21:59:53 ID:mUCDMF7VaQ
「無駄な戦いはしたくない。退いてくれ」
俺は剣を突きつけながら兵士達に訴える
兵士達は武器を捨てて俺から離れていった
「な、なんだよ!?お前ら!!僕チンを守れよ!!」
クリスがヒステリックに騒ぐ
「クリス。もう諦めろ」
「ぼ、僕チンはヘリオネ・クリスティーヌ・プッチモーネ様だい!!庶民なんかに負けるはずがないんだ!!」
クリスはボタンを取り出すとそれを押した
ゴゴゴゴゴという地響きと共にクリスの後ろにある壁がゆっくりと動き出す
「アーッハッハッ!!これは君たちにはもったいないけど、僕チンに楯突く庶民はこうなるっていうみせしめにしてやる!!」
「グガアアアア!!」
「っ!!グラビモス!!」
ルーが武器を構え俺の隣に立つ
壁の向こう側からグラビモスがゆっくりと歩いてきた
891: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/16(土) 22:08:10 ID:u154Dzic7I
「このグラビモスは僕チンが手塩にかけて育てた忠実な下僕だからね!!僕チンの言うことはなんでも聞いちゃうんだ!!」
クリスは勝ち誇ったような顔を浮かべて
「さあいけグラビモス!!あいつらを燃やしちゃえー!!」
「・・・」
「・・・あり?」
クリスの命令にまるで従わずそっぽを向くグラビモス
「な、なんだよ!!僕チンが育ててやったのに!!言うことを聞けよ!!」
「あれで飼育と呼べるなら、世界中のモンスターが飼育されてることになると思うんですがねぇ」
「だ、誰だ!?」
グラビモスの背中から聞き覚えのある声がする
誰かがグラビモスから飛び降り颯爽と着地した
「ルーク!!」
「お待たせしました。そして、お久しぶりです」
892: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/16(土) 22:12:23 ID:u154Dzic7I
皆様こんばんは
さぎしです
とりあえず貴族編は終わりに近づいてます
後…多分、2日あれば終わる…かな?
さて、なんやかんやでもうそろそろ900に達しそうなこのSS
ここまでこれたのも皆様の暖かいご声援ご支援あっての物です
最終回みたいな挨拶をしたところで本日の投下を終了いたします
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
893: 名無しさん@読者の声:2013/2/16(土) 23:09:20 ID:ifyv3wwCGQ
支援です
894: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/17(日) 12:04:50 ID:8C0o4sgn8A
「私もいるよ!!」
ヒョッコリとグラビモスの背中からムゥが顔を出す
「ルーク…それにムゥ。なんでグラビモスが?それに、えらくなついてるみたいだけど?」
「ああ…それなんですが」
ルークが手を差し出すと、グラビモスは甘えたように頬を擦り付ける
「どうも私、竜になつかれる人間のようでして」
「ドラゴンファッカーか?」
「真顔で聞かないでくださいますか?ルーさん」
「冗談だ」
「で、なんでこんな状況になってるかと…言うとですねっ!!」
ルークは後ろを見ずに矢を放つ
「ヒイイイイイイ!!」
放たれた矢はクリスの襟に刺さりそのまま壁に刺さって抜けなくなった
「ムゥ。逃げないように見張りをお願いします」
「りょーかい!!」
「それで、何故この状況になってるかですが…」
ルークは弓をしまいながら話はじめた
895: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/17(日) 12:09:43 ID:8C0o4sgn8A
「・・・まるで決戦場ですね」
「ねー、アカムがいてもおかしくない感じ」
依頼書に同封された地図の示す場所に向かうと、そこには決戦場にそっくりな人口の火山が広がっていました
「貴族の道楽って所ですかね…」
「お兄ちゃん…あれ」
ムゥが指す方向を見る
そこには明らかにグラビモスにしか見えない石の塊が埋まっていました
「グラビモスって…地面潜ったっけ?」
「確か潜らなかったと思いますが…バサルモスからグラビモスに成り立てなんですかね?」
「どうするの?」
「一応、依頼では捕獲せよとのご命令ですし…早目に済ませちゃいましょう」
896: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/17(日) 12:20:27 ID:tP/EhEtJvg
私は潜っているグラビモスにペイントボールを当てる
グラビモスは驚き地中から飛び出してきましたが…あんな巨体が埋まるスペースあるんですね
グラビモスはキョロキョロと周りを見渡し、私達を見つけると羽を広げて突進してきます
「あはは!!なんか動きまでバサルモスみたいだね」
「油断しないで下さいよ」
私は左に、ムゥは右にそれぞれ回避し、ムゥが挨拶がてらに通常弾を撃ち込む
「グギャアアアア!!」
「え!?」
グラビモスは足に刺さった通常弾に驚き叫ぶ
「こ、これLV1だよ!?」
撃ったムゥも少しパニックになり中々カオスですね
私は気になる事があり素早くグラビモスに近づき弾が当たった場所を探る
「やはり…そういうことでしたか…」
私は納得し、回復薬をグラビモスに塗り込む
「な、なにしてんの!?お兄ちゃん!!」
「ムゥ。私達はどうやら誤情報を掴まされていたみたいです」
897: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/17(日) 12:28:21 ID:tP/EhEtJvg
「誤情報?」
「はい。私達は暴れだしたグラビモスを捕獲せよと依頼されましたが、正しくは違うんです」
「成長の過程で変化する自分の体に驚き暴れるグラビモスをなんとかしろ。なんですよ」
「どういうこと?」
私はグラビモスの足をつつきながら説明する
「このグラビモス。相当肉質が柔らかいです。恐らくバサルモスから進化して数日といったところでしょうか。地中に潜ってるのも、バサルモスの行動の名残があるのもそれで説明できます…そして」
私は視線を隅に移す
そこには急いで積まれたであろう沢山の餌があり、どれも果物や野菜ばかりだった
「知っての通り、バサル、グラビは鉱石を食べそれを体の一部とします。そしてバサルモスの頃から野菜や果物ばかりを食べ続けた結果…肉質が柔らかくなってしまったのでしょう」
「でも…なんで捕獲なんて…」
「飼育していたとはいえ、モンスターが暴れだしたら恐ろしいのでしょう。ですが、元々グラビモスやバサルモスは性格が温厚なのです」
898: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/17(日) 12:33:36 ID:8C0o4sgn8A
私は手を伸ばしグラビモスの顎を撫でる
グラビモスは気持ち良さそうに目を細めて小さく唸りました
「このグラビモス。人に育てられ人懐っこく温厚な性格になったようです。しかし、バサルモスからいきなりグラビモスになった事により飼育係から恐れられ今まで一匹でいたんですね…」
「そうだったんだ…ごめんね?」
ムゥが申し訳なさそうにグラビモスに謝る
グラビモスは言葉こそ伝わらないが、気持ちや雰囲気で察したらしく、ムゥに頬を擦り付けました
「さて…依頼人に報告すればいいでしょうね…ムゥ、頼めますか?」
「お兄ちゃんは?」
「私にはやるべき事がありますから」
「またそうやって仲間外れにするー!!」
「ははは、まあ、来たければ着いてきてもいいですよ」
899: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/17(日) 12:40:57 ID:tP/EhEtJvg
ここがプッチモーネ屋敷の一部なら、どこかに屋敷に通じる道があるはず
私が辺りを見渡しながら歩き始めると、後ろからグラビモスがトコトコと着いてきました
「お兄ちゃん。ついてきてる」
「わかってます」
なつかれるのは悪い気がしませんが…今の状況ではちと勘弁ですね
「グルルル」
グラビモスがしきりに私の腕を噛み引っ張ってきます。ついてこいということでしょうか?
導かれるままに着いてくと、そこだけ色が違う壁がありました。下には動くような後があります
「なるほど…仕掛け扉でしたか」
「んしょ…うわぁ!!高い!!」
「・・・なにしてんですか」
いつの間にか、ムゥはグラビモスの背中に乗っていました
「お兄ちゃんも上がってきたら?」
900: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/17(日) 12:45:47 ID:8C0o4sgn8A
「遠慮します」
ムゥの提案を一蹴して私は壁を押し始める
しかし、壁はびくともしませんでした
「やはり…どこかに壁を動かす仕掛けが…っと」
私が壁の前で悩んでいるとグラビモスが私をくわえ背中に放り投げました
「今はグラビモスに任せたら?何か知ってるかもよ」
「そうですね…」
グラビモスの背に待つこと数分。機械音がしたかと思うと、ゆっくりと壁が動き始めました
「ね?」
「そうですね」
やたら得意気な顔をしてるムゥを無視して壁の向こう側見る
微かに向こう側に光が見える事からどこかへと繋がっているようです
「グルルル」
グラビモスは壁が動いて出来た道を光目指してゆっくりと歩き始めました
901: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/17(日) 21:02:51 ID:U0P6p.FErc
「それで、現在に至るという訳です」
ルークの説明を聞き終わり改めてグラビモスを見る
確かに野生に比べて目に光があるような
「可哀想なものだな。あのモスに飼われてるなんて…」
「モス…ブフッ!!」
ムゥのツボにハマったのか吹き出すムゥ
ルークは複雑な顔をして
「・・・モスに失礼でしょう。まだ彼らのほうが愛嬌はあります」
「そうだったな」
ルーも納得したように頷く
モスとはいったいなんなのだろうか…俺には疑問が残った
902: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/17(日) 21:09:35 ID:U0P6p.FErc
「それで…モス…ではなく、彼をどうするのですか?」
ルークの問いかけにルーが即答する
「ここまで無礼た真似をされたのだ。もちろんこの手で始末する」
ルーの言葉に小さく悲鳴をあげクリスが体を震わせる
「ルー。待ってくれ、俺はもうひとつ確かめたい事があるんだ」
「確かめたい事?」
俺はクリスに近づき問いかける
「クリス、教えてくれ。お前が拐った人たちはどこにいるんだ?」
「ち、地下の…牢屋にいるよぉ…」
泣きそうな顔で情けなく返事をするクリス
「わかった」
俺はルークとルーを見ながら
「この件はギルドに任せたほうがいいと思う。監禁されてる人達の救出もあるし」
「それが懸命ですね」
ルークは頷きながら俺の提案に乗る
「ここで彼を殺せば私達は一気に犯罪者です。貴族を相手にするのは厄介ですからね…」
「ごめん…ルー」
俺はルーに対して謝る
しかし、ルーは微笑みながら
「君が決めた事だ君の好きにするといい」
「・・・ありがとう」
903: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/17(日) 21:13:36 ID:U0P6p.FErc
「ところで…先程からずっと気になっていたのですが…」
ルークがチラと視線を移す
視線の先には寝息をたてているアシラの姿が
「何故あそこにアオアシラが?えらく大きいですが…」
「ああ、俺に協力してくれてたんだ。人間の言葉がわかるんだ」
「・・・人語を理解する」
ルークは何やら思い当たるふしがあるのか考え込むような仕草をする
「へー、アシラって座ったまま寝るんだ」
ムゥはアシラの頭を撫でながら呟く
「ガウ…?」
アシラが目を擦りながらゆっくりと目を覚ました
904: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/17(日) 21:17:56 ID:swnM2r.2YI
「ガウ…アッ!?」
「きゃっ!?」
アシラはムゥを見るなり突然抱き上げる
ルークが咄嗟に弓を構えるのをなんとか止める
「ルーク!!大丈夫だから!!」
間一髪、矢を放つ間際でルークは止まった
「な…何?」
アシラはムゥをまじまじと見つめている。何やらただならぬ様子だが…
「あれはいったいなんなのですか?」
「わからない…」
アシラはまだムゥを見続けている。そして…
「きゃっ!!あはは、くすぐったいよ〜」
ムゥの匂いを嗅ぎ始め体を舐め回し始めたのだ
「ムゥが好みなのか?」
ルーが何やら的違いな発言をしているが…俺にはなんとなくだがわかっていた
905: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/17(日) 21:22:01 ID:U0P6p.FErc
「多分…装備だと思う」
「装備?」
ルークが怪訝な顔をして繰り返す
「ムゥの装備はナルガXのガンナーだぞ?どこにでもあるような」
「わからないけど…さっきからムゥを見てるんじゃなくて、装備を見てる気がする」
「・・・ガウ」
アシラはようやく納得したのかムゥを降ろす
その顔は心なしか寂しそうな表情をしていた
「ふぇ…ベトベトだぁ…」
ムゥがアシラの唾液まみれになってるのを横目にルークは
「我々も帰還しましょう。これ以上ここにいても何もないでしょうし」
「そうだな」
ルークの提案で、俺達は屋敷を後にした
906: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/17(日) 21:31:35 ID:swnM2r.2YI
ユクモ村に戻った俺達を村長さんは暖かく迎えてくれた。迎えに来たときには無言で頷いて信じていましたとだけ付け加えて
あのあと、クリスの屋敷から沢山の女性が救出されたらしい。皆、命に別状はなく病院で検査を受けてからすぐに退院できるらしい
グラビモスも、ギルドが責任を持って引き取ったらしいが、野生に戻すのは難しいとのこと
・・・あの性格じゃ無理もないか
クリスは結局捕まった
誘拐もそうなのだが、それ以前にも色々と裏で汚い事に手を染めていたらしい
アシラは渓流で別れたが、名残惜しそうに俺達を抱き上げブンブンしてから別れた。ハチミツを持ってもう一度会いに行こうと思う
ルークとムゥは結局依頼達成ということで報酬をもらったらしいが、ルークが脅は…ではなく、交渉をして報酬額を大幅に増やしたらしい
ルーも体に異常はなく、普段通りにだった
今回は色々あったが、ひとつだけ学んだ事がある
側にいても、俺はルーを護れなかった…だから、もっと強くなって、ルーの側にいたい
強くならなくちゃいけない
それが、俺の学んだ事
【ルーVS貴族クリス】
fin
907: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/17(日) 21:33:37 ID:swnM2r.2YI
皆様こんばんは
さぎしです
昨日、2日あれば終わると言ったが…あれは嘘だ
はい、なんか終わっちゃいました
ええと…まあ、あれです 投下を終了したいと思います
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
908: 名無しさん@読者の声:2013/2/17(日) 21:43:56 ID:apt6p77LGE
アシラめ…ムゥを舐め回すとは…
ちょっとアシラのコスプレ自作してくる!
っCCC
909: 名無しさん@読者の声:2013/2/17(日) 22:56:47 ID:1i4geiJmb2
ナルガ装備が気になるアシラだと…まさか…な
910: 名無しさん@読者の声:2013/2/17(日) 23:07:37 ID:qCSRriHatQ
アシラ君懐かしいwww
911: 名無しさん@読者の声:2013/2/18(月) 00:17:30 ID:x2UCFo6tk2
ブナハさんと握手をしてプチッとして(´・ω・`)ショボーンしたあのアシラ君かwwwwwwwwwwww
っC
912: 名無しさん@読者の声:2013/2/18(月) 00:25:06 ID:tP/EhEtJvg
もし「ハァハァ」時代のアシラと同じなら、ルーに会ってるかも…
ノミC
913: 名無しさん@読者の声:2013/2/19(火) 21:10:33 ID:tuOdkcL1UQ
?って思ったから5度見直してきた
914: さぎし ◆rg7.TbdwwM:2013/2/19(火) 21:37:10 ID:Ou70Vp7aU.
>>908
この時期には暖かですね 夏は死にますけど
>>909
そのまさかかもしれませんよ?
>>910
はいwww久しぶりに登場させてみましたwww
>>911
そんな細かい所まで覚えていただけてるなんて…感謝です♪
>>912
前にも似たようなレスをしてくれた方がいましたが、「ハアハア」のギルマスの娘のルーと、今作のルーは別人です
>>913
解りづらかったところがありました?
申し訳ありません
915: 名無しさん@読者の声:2013/2/19(火) 21:40:33 ID:ifyv3wwCGQ
更新きた!!
916: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/19(火) 21:40:35 ID:Ou70Vp7aU.
【強さ求めて】
「はああああああ!!」
前方より迫りくるリオレウスの頭に右手のギギボルトを叩きつける
「グガアアアア!!」
後方より迫ってきたリオレイアを蹴り飛ばし両の剣で顔を潰す
「うああああああ!!」
勢いに任せリオレウスの顔を薙ぎ、降り下ろし、切り上げる
嵐のような斬撃をリオレウスに叩き込むと、リオレウスは動かなくなった
・・・強く、なりたい
917: さぎし(酉ミス。超少量更新) ◆CmqzxPj4w6:2013/2/19(火) 21:44:44 ID:Ou70Vp7aU.
「お帰りなさいませ…セネル様」
ギルドに戻った俺を不安そうな眼差しでカエデさんが見る
「あ、セネル君…おか…えり…」
コノハもまるで何かに畏縮したように縮こまる
無理もないか、今の俺は火傷やブレスにより煤で黒ずみ、眼光は獲物を探る目のように鋭いのだから
「天と地の領域。終わったよ」
「確認しました」
カエデさんが慣れた手つきで依頼書を受けとりサインしていく
「セネル君…少し休んだら?」
「大丈夫。まだ、やれる」
918: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/19(火) 21:52:22 ID:2f6ATVrpfk
俺はカエデさんから依頼書をひったくるように掴みめぼしい依頼を探す
「あれ?セネル君なにしてんの?」
集会所の入り口からムゥが手をあげて入ってきた
「別に、クエストを探してるだけだよ」
「ふーん…なんか、ボロボロだね」
「ちょっと無理しただけ、大丈夫」
「これ、頼む…!?」
カエデさんに依頼書を渡した瞬間、左腕に激痛が走る
先程レウスの突進を左腕で受け止め、ろくに治療もせずに剣を振った反動だろうか
「ちょ!?大丈夫!?左腕凄いよ!!」
顔をしかめたのと、鎧越しから解る左腕の状態に異変を感じたムゥが駆け寄ってくる
「大丈夫!!カエデさん…依頼を…」
突然脳天に衝撃が走り俺は意識を手放した
最後に見た光景は冷酷な眼差しで煌黒大剣アレルボを振りかぶったカエデさんだった
919: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/19(火) 21:59:18 ID:Ou70Vp7aU.
「・・・っ」
「気がついたか?」
「ルー…」
目を覚ますと、俺は自宅のベッドに寝かされていた
側には少し…いや、かなりご立腹なルーが
「全く…お前はまた無茶をして」
「・・・」
「最近のお前は変だぞ?私とろくに口を聞かず、何かにとりつかれたかのようにクエスト三昧…」
返す言葉が見つからない 事実、ここ数日俺はルーから距離を置いていた
「・・・まあ、私のようなつまらない女に愛想を尽かす気持ちもわからんでもないが…」
「そんなことない!!」
ルーの言葉に強く反応する。だが、ルーは怯むどころか
「何が違う?私はこの数日ずっとほったらかされて、寂しい思いをしていたんだぞ?私がどんなに誘ってもお前は見向きもしなかったな」
「・・・」
顔を逸らして言葉を失う わかってるよ…でも
「その辺りにしておいてもらえませんか?」
920: さぎし(投下終了) ◆CmqzxPj4w6:2013/2/19(火) 22:06:58 ID:Ou70Vp7aU.
「ルーク」
「どうも、最近私はこんな登場が多いですね」
「誰に言ってる」
誰かですよ、とルークは肩をすくめ入ってくる
「ここ数日のセネル君の不自然な態度ですが、これは決してルーさんを嫌いになったわけでも、ましてや愛想を尽かしたわけでもありません。彼は今でも貴女にぞっこんですよ」
ルークが俺を見ながら綺麗なウインクをかます
俺はそれを無視して目を逸らした
一瞬ルークが悲しそうな顔をしたが、構わず
「セネル君が不自然な態度を取る理由は…ズバリ、複雑な男心という奴です」
ルークは無駄にポーズを決めながら
「先日の一件以来、セネル君はひたすらにクエストに出るようになりました。これは一重に自分の責任だと感じているからでしょう」
「そうなのか?セネル」
俺は黙って首を縦に振る
「察するに、セネル君は一番近くにいたはずなのに貴女を守れなくて歯がゆい思いをしたのでしょう…それで力をつける為にクエストを、しかも比較的難易度が高めなクエストばかりを選んでいたのでしょう」
「・・・」
ルーが無言で俺を見てくる
分かってる。どうなんだ?だろ?
921: 913:2013/2/20(水) 00:13:07 ID:tuOdkcL1UQ
>>914
いや、アシラたんがブナハと握手の奴忘れたからってだけよ
5スレとか書いてあったな
922: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/20(水) 19:59:39 ID:YcLkyE1L4E
「・・・そうだよ、ルークの言う通りだ」
「俺はルーから距離を置いてずっとクエストに行ってた」
「ルーに会うのが情けなくて、よくのうのうと平気な顔が出来るなってずっと責めてた…」
「だから…逃げ出したくて、クエスト三昧で…強くなればルーの側にいれるって思って…」
「でも、結局…無茶して…詰め寄られて…様ないな…はは」
俺は諦めたように呟く
誰かから言われなくても分かってるつもりだったんだ
俺がやってる事は意味がなくて、ただ無駄に生を奪ってるだけだって
923: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/20(水) 20:11:02 ID:YcLkyE1L4E
「セネル。君に聞きたいことがある」
「・・・」
「これは以前私がジュードにも同じ質問をされた事だ…そして、恐らく君は当時の私と全く同じ答えを言うだろう」
「君にとって…強さとはなんだ?」
「・・・力、じゃないの?」
俺の言葉を聞いて、ルーは微笑む
「やはり、私達は似ているようだな…ちなみに、ミラも力と答えていた…だが、ジュード曰く違うらしい」
「違うって?」
「この質問に答えなんてないんだよ。意識や価値観の違いから千差万別の答えがある…だが、私はジュードの答えこそが真理だと思っている」
「父さんの…答えは?」
ルーは目を閉じて思い出すように深呼吸をする
そして、ゆっくりと目を開けた
「守るものがあるかどうかだよ。セネル。守るものがある人はいくらでも強くなれる。それは君が一番よく分かってるはすだよ?」
924: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/20(水) 20:17:12 ID:x4x9i9Nzlc
「私を守る時、ルークを助ける時、この村を守る時…君は驚異的な力を発揮した…いずれもなにかを守るという行動が生み出した結果だろう?」
「・・・」
「もちろん力も必要だ。自分も守れないようじゃ、人を守る事も不可能だからだ」
「セネル。君は自分の身を守れないか?自分の身が可愛くないと思った事はあるか?」
「・・・ない」
「なら、それでいい。変わらなくてもいいんだ。そのままの君でいてくれれば」
「ルー…」
俺の目に涙が溢れる
「俺…いいのかな…?変わらなくても…いいのかな?」
「いいんだよ。そのままの君でいてくれ」
「ルー…ルー!!」
俺は力いっぱいにルーを抱き締めた
「やれやれ…」
涙が溢れて止まらない俺を優しくルーはずっと撫でてくれていた
925: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/20(水) 20:21:32 ID:YcLkyE1L4E
「全く…手のかかる夫婦ですね…」
お二人の隙をついて私は素早くセネル君の家から退避し、青空を見上げる
上手くすれば今夜はお楽しみですね
「あ、お兄ちゃん!!セネル君はどう?」
「ルーさんが献身的な治療をしていますよ」
「そっか…なら、邪魔しちゃ悪いよね」
本当に空気の読める妹です
「守るものがある人は強い…ですか」
「ほえ?」
「昔の友人の名言みたいなものですよ」
・・・安心して下さい。ジュードさん
貴方の魂は、しっかりと受け継がれていますよ
【強さ求めて】
fin
926: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/20(水) 20:24:33 ID:x4x9i9Nzlc
さて、皆様こんばんは
さぎしです
残す所…このSSも残り70ちょい…
ここまで長かったですね
とりあえずお話を終わらせましたが、実はまだ更新します
ただ…ちょいと特殊と言うか…話なんだけど話じゃないと言うか…
まあ、詳しくは見てもらえれば多分分かるかと
それでは、また後程
927: 名無しさん@読者の声:2013/2/20(水) 20:43:54 ID:ifyv3wwCGQ
wkwktktk
928: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/20(水) 22:22:39 ID:oaV8sFVAmA
【新作MHSS 予告編】
世界の終焉
「遂に…この日が来ましたか…」
「うむ…ハンターに緊急事態宣言をしなければな…」
「オイラも協力するよ。ジャンボ村としてもほっておけないし」
「ええ…今こそ、ココット、ジャンボ、ポッケ、ユクモの村の力を合わせる時です」
守れ、大切な場所
「ギル先輩!!退いてください!!」
「俺がここで退いたら、任せてくれた奴らに顔が向けれねぇんだよ!!」
守れ、愛する人
「私はセネルの側にいると誓い、この槍であいつに立ちはだかるもの全てを穿つと誓ったんだ!!」
「アレンは…モンスターだった私に好きだって…愛してるとさえ言ってくれた…私とアレンじゃ時が経つ時間が違う…だから、私達は幸せになれないのかもしれない…それでも…それでも!!私はアレンと一緒にいたい!!」
守れ、自分の信念
「悪いけど、ここでくたばる訳にはいかないんだ。ルーが、皆が待ってるから…」
「奇遇だね、僕も帰る場所があって、待ってくれてる人がいる…ナルガたんの所に帰る…だから」
「「ここでやられるわけにはいかない!!」」
「ハアハア」キャストと「駆け出し」キャストが送る超大作(題名未定)
制作決定
929: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/20(水) 22:24:51 ID:oaV8sFVAmA
皆様こんばんは
さぎしです
映画の宣伝っぽくかっこつけてみました
それでですね、残りレス数的に次のお話がラストとなります
本日の投下を終了したいと思います
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
930: 名無しさん@読者の声:2013/2/20(水) 23:04:18 ID:Ep/rQ5.Aro
オールスター\(◎o◎)/
ちょー楽しみ!
つCCCCCCCCCC
931: 名無しさん@読者の声:2013/2/20(水) 23:22:29 ID:ifyv3wwCGQ
新作キターーーーー(°∀°)ーーーー
932: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/21(木) 20:03:34 ID:X69mGgi7ZY
>>930
イエス
賛否両論ありそうですが、折角なのでオールスターを出演させてみようかと
>>931
一応これも新作なんですけどねwww
さて、最終話を投下する前にお知らせがあります
残りレス数の都合によりひょっとしたら無理矢理終わりに持っていくかもしれません
そうならないように努力はいたしますが…なってしまった場合はごめんなさい
933: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/21(木) 20:13:17 ID:3MiYLEePlw
【守護神 セネル=ボルアス】
「んーっ、いい天気だなぁ…」
ユクモ農場のシーソーに寝そべり空を見上げながら俺は呟く
雲一つない青空だった
「旦那さん…シーソー使えないニャ」
「別にいいよ、虫は今は必要ないし…」
「そんなことないニャ!!ロワーガやファルメルを侮辱する気かニャ!?」
「別に侮辱してはないけど…」
「そもそも旦那さんはレウスSを使いすぎニャ!!たまには他の装備を使うニャ!!アシラSもすっかり誇りを被ってるニャ!!シルソルくらい装備するニャ!!」
「悪いけど、俺はシルソルを装備する気はないよ」
「ニャ!?」
「俺は父さんを尊敬してはいるけど、父さんと同じようにはなりたくない」
「ニャ…でも、ルーさんはゴルナニャよ?その方がお揃いなんニャ…」
「いいんだよ。レウスで」
俺はシーソーから飛び降りてユクモ農場を後にする
「あ、今日の特訓は全員休憩で」
「了解ニャ!!」
934: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/21(木) 20:21:21 ID:X69mGgi7ZY
「お帰り、どこに行ってたんだ?」
「ユクモ農場」
自宅に帰りベッドに寝転がる。今日は狩りの予定はなく、ルーも俺もラフな格好をしていた
「確かに、今日は日差しが柔らかいからな…出かけるには最適だな」
「渓流にでもいくか?」
「アシラに邪魔されるぞ」
それもそうかと思い俺は肩をすくめてまた体を横にする
「・・・」
「ん?」
ふと、後ろに気配を感じて振り返ると、ルーがすぐそばに立っていた
「ルー?どうし…」
どうしたと言おうとした瞬間、ルーが覆い被さり口を塞いでくる
舌を絡ませながら数分くらいねっとりと交わしあい口を離す
「なんか、積極的だな」
「火竜の番は、雌が雄を打ち負かし無理矢理性交に至るらしい」
「・・・マジで?」
「冗談だ。だが私は責めるのは嫌いではない」
935: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/21(木) 20:30:14 ID:zZ0LLNhnzs
ルーが妖艶に微笑みまた顔を近づけてくる
「まあ…確かにルーにはあわないけどさ…」
俺は呆れたように溜め息をつきながら
「三日前にしたばっかだろ?もう我慢出来ないのか?」
「・・・仕方ないだろ。君が欲しくてたまらないんだから」
ルーは顔を赤くしてそっぽを向いてしまう
それが可愛くて、どつぼにハマってると自覚しつつも俺はそっとルーを抱き寄せる
「わかった…俺も、ルーを感じたい」
「セネル…」
ルーが嬉しそうに俺を抱き寄せた
「羨ましいですねぇ、私もそんな風に愛されたかったですよ…」
「・・・いいところで邪魔するな、ルーク」
「申し訳ありません。いつもなら温かく見守るのですが…」
ルークが肩をすくめて溜め息をつく
・・・ん?いつもなら?
936: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/21(木) 20:49:23 ID:0fd8NEJ9sQ
ルークの気になる発言に突っ込みたかったが、それ以上に気になる事があった
「ルーク。それは?」
ルークが左手に指で挟むように持っている封筒
俺の勘が正しければ…
「ご察しの通り、依頼です。それも私達全員にね」
ルークは険しい顔をして封筒を開け中身を取り出す
中からはギルドの判子が押された書類が現れた
ルークはそれを広げ読み上げる
「ギルドからの正式依頼です。場所は煉獄場、討伐対象は…」
「アルバトリオンです」
「アルバ…トリオン」
初めて聞く名前だった
父さん達のモンスターリストにもそんな名前は無かった
「聞き慣れてないのも無理はありません。アルバトリオンとは、つい最近発見された新種の古龍なのですから」
ルークはてにしていた封筒を俺に渡す
そこにはアルバトリオンの資料があったが、それは資料とは呼べないものだった
生息地は不明。生態も不明。能力、姿形、何もかもが不明と記載されていたのだ
937: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/21(木) 21:05:41 ID:0fd8NEJ9sQ
「もちろん、ギルドもふざけているわけではありません。本当に分からないのです」
ルークも流石に冷静ではないのか、やや険しい表情をしている
「知り合いの古龍観測隊から聞いた噂ですが…その強大な力は町一個を滅ぼすのも容易いだそうです」
「・・・」
言葉を失った。以前戦ったアマツマガツチと同じような敵…しかも、何も分からない、情報がない敵と戦うなんて…
「敵の情報が分からないだけなのだろう?取り越し苦労にもならん」
しかし、ルーだけはきっぱりと強気な発言をする
「敵の能力が未知数なら、我々も全力を出し切ればいいだけだ」
「ルー…男前過ぎる」
「分からないからと恐れていては何も始まらんからな」
938: さぎし(投下終了) ◆CmqzxPj4w6:2013/2/22(金) 00:11:11 ID:oaV8sFVAmA
「確かに、ルーさんの言う通りかもしれませんね」
ルークも頷きながら
「戦う前から気持ちが負けていては勝てる戦いも勝てませんからね。要は気の持ちようです」
「そっか…うん、そうだな」
ルークの言葉にも一理ある
「それでは、三日後にギルドで会いましょう。それではまた」
ルークが去っていくと、部屋に静寂が溢れる
「ルー…アルバトリオンの情報を集めないか?」
「私もそう思っていた所だ。手分けして探そう」
「俺はギルドナイツとかの王立図書館を探して見るよ」
「私は狩り仲間から情報を聞いてくる」
ルーが荷物をまとめ速やかに出発する。相変わらず早いな
「あ、そうだ」
ルーが出ていく直前に俺に向き直り
「先程の続きは、落ち着いたら必ずやるからな」
ニヤリと笑いながら足早に去っていく
ルーにはいつまで経っても勝てそうにない
939: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/22(金) 16:05:31 ID:qf2Xyjydl2
「ふーん…アルバトリオンねぇ…」
イオンは図鑑をめくりながら呟く
今俺たちがいる場所は機密案件しか収納されていない王立図書館の最深部である
「駄目だね…全く記録にないよ」
「そうか…」
俺は肩を落として溜め息をつく。ここなら何かあると思ったんだが…
「しかし…妙だな…」
「妙って?」
「ここは王立図書館だよ?ギルドナイツの人間でも滅多に立ち入らない場所だし…何より」
「何より?」
「ここから本を持ち出す事はおろか、処分することさえ不可能なんだ…ギルドナイツのマスターなら可能だけど」
「つまり…前にアルバトリオンの記録はあったんだけど…前のギルドナイツが隠蔽した?」
「その可能性は高いと思う。とにかく僕は三日間の内にできるだけ情報を集めておくから、君はしっかりと体を休めておいて」
「ありがとう。イオン」
「礼なんていらないよ」
940: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/22(金) 16:10:23 ID:qf2Xyjydl2
「アルバトリオン?いや、知らないな…」
「そうか…」
これで30人目、皆名の通ったハンターなのだが…ここまで知らないとは…
「ルー。お前さんの挑む相手がそのアルバトリオンかい?」
「ああ、ギルドでさえ情報が足りないらしいからな」
「ギルドでさえわかんないのに、俺達がわかるわけないだろ」
豪快に笑い飛ばす大剣使い
そのあと、目付きを厳しくして
「ギルドナイツが情報操作をしてない限り…な」
「・・・」
それに関しては私も薄々感づいていた。だから、セネルにギルドナイツに行くことを許可したのだ
「とりあえず、俺の方でもそのアルバトリオンについて調べてみるわ」
「ありがとう」
「礼をするくらいなら、また狩りに付き合ってくれよ」
「時間があったらな」
「ちぇ、フラれちまった」
941: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/22(金) 16:15:13 ID:MD.Og/oBiw
「あ、お帰りルー」
家に帰ると、既にセネルは帰宅していた
「ただいま。そっちはどうだった?」
「図書館やイオンに話を聞いてみたけど、全く手がかりなし」
「そうか…」
「ただ、イオンが言うには先代のギルドナイツが情報を隠した可能性があるかもしれないんだって」
「・・・」
セネルが調べてきた事
私の知り合いハンターの誰一つ知らなかった事
ギルドでさえ把握していないモンスター…
私の中である仮説が生まれた
「セネル。恐らくアルバトリオンは…」
「うん。多分新種じゃないと思う…でも、なんでギルドはそれを隠すんだ?」
「知られたくないから…だろうな」
942: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/22(金) 16:20:30 ID:MD.Og/oBiw
「そうだ、これ」
「ん?」
ルー宛に届いていた手紙を差し出す。知らない名前だったからかつての狩り仲間だったのだろう…
・・・別に嫉妬なんかしてないからな?
「・・・」
ルーが手紙を読み終えて複雑そうな顔をする
「どうしたんだ?ルー?」
「いや…」
ルーにしては珍しく歯切れが悪く、言おうかどうか迷っているらしかったが
「セネル、ルークとムゥを呼んできてくれ」
943: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/22(金) 16:27:34 ID:MD.Og/oBiw
「どうされました?ルーさん。何やら話があるとか」
数分後、アルバトリオンに挑むメンバーが俺の家に集結していた
「ルーク。アルバトリオンの依頼は私達全員なのか?」
「はぁ…そう書かれてますが…」
「アルバトリオンは…過去に何度か討伐されている」
「最後の討伐記録は、受注者はアレンという名前のハンターらしい」
「・・・記録を見る限り、あまり遠くないですね」
「ああ、問題はなぜこの記録が公表されなかったかだ」
「可能性としては…ギルドに問題があった…かな?」
「もしくは受注したハンターに何か事情があったか…」
「事情?」
「ええ、多額の金額を出せば、狩りの記録を無くせる事が出来るんです。もっとも、払えるのはごくわずかですが…」
944: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/22(金) 16:32:42 ID:MD.Og/oBiw
「ただ…これを見る限り私にある仮説が生まれた」
「仮説?」
ルーの真剣な表情にただごとではないと感じとったのか、ルークも真剣になる
「私達に送られたこのアルバトリオンの討伐依頼な…罠かもしれない」
「罠!?」
ムゥがすっとんきょうな声を出すが、俺も同じ気持ちだった
誰が?何のために?
「証拠もありませんから、完全にそうだとは言い切れませんが…」
しかし、ルークとルーはなんらかの確証があるのか考え込んでいる
俺とムゥはすっかり置いてきぼりにされていた
「もーっ!!罠だとして!!いくの!?いかないの!?」
空気に耐えきれずムゥが喚く
「ムゥ、貴女はここに残りなさい」
「セネル。君もだ」
945: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/22(金) 16:37:27 ID:qf2Xyjydl2
「は!?」
「どういうことだよ!?」
俺とムゥは立ち上がって二人に詰め寄る
「危険だから…です」
「お前達を失いたくはない」
二人は多くは語らなかった
「なんでよ…お兄ちゃん!!どうして!?」
ムゥが泣きながらしゃがみこんでしまった
「また…一緒にいれるって…思ったのに…ひぐ、ぐす」
「・・・すいません」
「ルー、せめて理由を教えてくれよ」
「・・・恐らくだが、アルバトリオン討伐で疲弊しきった私達を何者かが止めを刺す…そういう算段だろうな」
「それじゃあ…俺が」
「疲弊しているとはいえ、私達二人を殺す腕前だ。間違いなく巻き込まれるぞ」
946: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/22(金) 16:43:35 ID:qf2Xyjydl2
「じゃあ俺がアルバトリオンを倒す!!二人が元気なら返り討ちに出来るだろ?」
「確かに…それは可能です」
ルークは頷くが、それと同時に
「ですが…君にできますか?たった一人で古龍と戦い私達を疲弊させる事なく倒すことが…」
「・・・」
言葉を詰まらせた
アマツマガツチや、前に戦ったテオテスカトルのような奴とたった一人で…しかもルーとルークを守りながら…
「可能性は絶望的です」
「嫌だ…俺は諦めない。諦めたくない!!」
「ムゥ。俺と一緒に戦ってくれるか?一人じゃ厳しいけど…二人なら」
「うん…私、頑張る」
ムゥは涙を堪えながらも呟く
「お前達…」
ルーが呆れたように呟いたが
「こうなったら意地でもいくからな?なあ、ムゥ?」
「うん!!お兄ちゃんの弓にしがみついてでもいくからね!!」
947: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/22(金) 19:30:31 ID:tII4jXRnG2
「・・・こうなったら、言うことを聞かないのが妹の悪い癖ですよ」
ルークが呆れながら、しかし嬉しそうに呟く
「こちらもだ。自分の身さえ危ういというのに…何も省みずに守る為に戦うのが私の夫の悪い癖だ」
「じゃあ…いいんだな?」
「負けましたよ。ただし、絶対に死なないで下さい」
ルークが真剣な表情で俺達に釘を刺す
「分かってるよ。俺達は死なない。ルー達も死なせない」
「・・・ありがとう」
ルーが安心したように呟いて俺も安心する
決めたんだ。ルーを守るって
948: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/22(金) 19:33:01 ID:tII4jXRnG2
「さて、大体の事は決まりましたし…当日に備えるとしましょうか」
「うん!!」
「ムゥ。しっかり調整しとくように。当日になって撃てないなんて事態は勘弁ですからね?」
「ひっどーい!!大丈夫だもん!!」
「ははは、それではまた後程」
ルークとムゥが家から出ていくのを見送ってから俺達も体を休めた
949: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/23(土) 11:08:33 ID:KdRzS59wow
三日後、俺達は装備を整えてギルドに集まっていた
「ルー。準備出来たか?」
「問題ない」
「いよいよですね」
「大丈夫!全力を出すから!!」
それぞれが違う表情で己を叱咤する
「本当に行くの?」
見送りに来ていたイオンが再度確認といった風に聞いてくる
「当たり前だろ?俺がいかなきゃ誰がいくんだよ」
「僕とか?」
「なんでだよ」
「それは冗談だけど…ルー、ルーク。ちょっといい?」
イオンが二人を呼び少し離れた所で話始める
「ムゥ。俺達も」
「うん」
三人は何やら話があるらしいので、俺達も作戦会議みたいなのをすることにした
「あー、わかってるとは思うが…」
「全力で殺る!!」
「うん。字がな、怖いんだな」
950: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/23(土) 11:14:26 ID:KdRzS59wow
「お待たせ」
「もう終わったのか」
「伝えたい事があっただけだからね」
「・・・」
ルークとルーは凄く複雑そうな顔をしていた
一体何を話されたのだろうか…
「さて、そろそろ僕もギルドナイツに戻らなきゃね」
「ありがとう。イオン」
「そんなことないよ。しっかり守るんだよ?」
「おう!!」
イオンに見送られながら俺達はギルドを出発した
951: 名無しさん@読者の声:2013/2/23(土) 11:35:05 ID:OSGANJ/Nfc
あぁー続きが気になる木ーwktk
つCCCC
952: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/23(土) 14:31:37 ID:gP4JtfV4Ig
煉獄場
その名の通り火山の奥地に位置する場所で、周りを溶岩が囲み、マグマが吹き出すまさに地獄のような場所
「こんな所にいるのか…」
「これだけ厳しい環境に耐え抜いているのだ…相当に強いぞ」
「分かってる」
「・・・」
ふと、ルークが一点を見つめ注意をそこに向ける
皆がそこを見ると
「・・・来ます」
ルークが呟くと同時に空から巨大な龍がゆっくりと降り立つ
黒の体に紫色に煌めく鱗 特徴的な角を振りかざすと近くのマグマが吹き出す
「あれが…アルバトリオン?」
アルバは俺達を見つけると、天高く仰ぎ巨大な咆哮を放った
「グオオオオオ!!」
「うわっ!!」
「きゃっ!!」
「くっ!!」
咆哮と同時に全員が耳を抑えすくんでしまう
こんなに離れているのに聞こえるなんて…
953: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/24(日) 12:59:39 ID:m5A7HqHqoI
「どうやら、待ち構えていたみたいですねっ!!」
いち早く復帰したルークが弓をつがえ矢を角に放つ
飛竜用に作られた巨大な矢が刺さってもアルバはまるで気にしない素振りだった
「なんか…クシャルに骨格似てるね!!」
「だが…大きさは比べ物にならんな!!」
「ガアアアアア!!」
アルバが小さく雄叫びをあげながら突進してくる
ムゥは左に、俺とルーは右に避けたが…
「なっ!?くぅっ!!」
急な進路変更をして俺とルーに襲いかかってくる。ルーは咄嗟に盾を構えたが、無理な体制で受け止めたためよろける
「ガアッ!!」
アルバが右足で前方を凪ぎ払うように引っ掻く
「ルー!!」
俺はルーを抱えてアルバの股を縫うように走り抜けた
954: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/24(日) 13:07:56 ID:m5A7HqHqoI
「この巨体でこの動き…少し認識を改める必要がありますね…」
ルークは矢を放ちアルバを牽制してくれてはいるが、焼け石に水状態だ
「くっそぉぉ!!」
俺は剣を抜いてアルバの左足を切りつける。だが出た血も少量で、裂けた肉もほんのわずかだった
「グガアアアア!!」
突然アルバが激しく頭を振り回す
「ぐっ!!」
振り回した時に角が当たり俺は吹き飛ばされた
「セネル君!!」
ムゥが拡散弾を撃ちながら俺を気遣う
「大丈夫!!動ける!!」
ダメージは大した事はなく、俺はすぐに起き上がりまたアルバを切りつけた
「うおおおおお!!」
左右に薙ぎ蹴り上げ踏みつける
だが、アルバにはまるで効果が無いように思えた
955: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/24(日) 13:16:41 ID:m5A7HqHqoI
「グガアアアア…」
アルバが短く息を吸い込み空を見る
「っ!!セネル!!避けろ!!」
しかし、ルーの忠告遅く、アルバは巨大な火球を吐き出した
「なっ!?くそっ!!」
俺は咄嗟に左に身をかわしてよける。俺のすぐ背後で火球が爆発したが
「うわあああああ!!」
着弾した場所で火の渦が巻き起こり俺は全身を焼かれた
「ぐっ…は…」
全身が焼けただれ激痛に悶え苦しむ
「貴様ぁ!!」
ルーが咆哮し、槍を角に突き立てるがアルバは平気な顔をしてルーを角で払う
「くあっ!!」
ルーも吹き飛ばされ地面に叩きつけられた
956: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/24(日) 13:28:09 ID:O9oYtu06ZI
「く…そ…」
ポーチから回復薬を取り出して飲み干す
なんて攻撃力だ…次あんなのを食らったら立ち上がれない
「よっし…はああああ!!」
回復薬のおかげで体が楽になりまた攻撃を始める
「グオオオオオ!!」
しかし、アルバは威嚇すると、全身に雷を纏い浮遊をした
「炎の次は雷か!!」
ルーが忌々しげに呟くが、次の瞬間そんな呟きをかき消すかのようにアルバが氷の礫を放った
「炎に雷に氷に龍って、いったいなんなのよー!!」
ムゥが半ばやけくそ気味になりながら貫通弾を遠慮なく撃ち続ける
ルークは曲射を使って的確に頭に矢を振らせていた
「迂闊に手が出せんな…せめて地に足を付けていれば…」
ルーはやや引き気味でアルバに攻撃する
「地に足を付ける…それだ!!」
俺はポーチから閃光玉を取り出してアルバの目の前に投げつけた
957: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/24(日) 13:32:59 ID:m5A7HqHqoI
「グギャアアアア!!」
眩い閃光が爆発し、アルバの目を潰す。アルバは目を回しながら地べたに崩れ落ちた
「流石です!!セネル君!!」
ルークが装填していた麻痺ビンを一気にアルバに叩き込むと
「ガアアアア…」
アルバは体を麻痺させその場で痙攣させる
「まだまだいくよ!!」
ムゥの掛け声と共にルークが毒ビンをセットする。ムゥと共に動けないアルバに毒を浴びせ始めた
「だありゃあああ!!」
「はあああああ!!」
ルーと一緒に左右からアルバの角を攻撃して体力を削る
「グアアアアア!!」
麻痺が解けてアルバは咆哮をあげる
「誰が動いていいといいましたか!?」
ルークの曲射がアルバの頭に命中すると、アルバは目を回してまた地面に倒れ込んだ
958: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/24(日) 17:43:53 ID:Jf7QBBD9R6
「はああああああ!!」
ルーが気合いと共に槍を繰り出すと、アルバの角が音を立てて砕ける
「よっし!!」
「安心するな!!まだ奴は生きている!!」
アルバが起き上がり軽く頭を振って覚醒する
「セネル君!!作戦なんてもういいから!!いつもみたいに戦おう!!」
「いつも…みたいに」
アルバの爪が俺に向かって振り降ろされる
「セネル!!」
ルーが悲鳴に近い声を出したが
「大丈夫だよ。ルー」
俺はアルバの爪に深々と剣を突き刺して答える
「ありがとうムゥ!!ようやく戦えるよ!!」
そうだ…ルーやルークを守る必要なんて無かったんだ
二人は十分強い。それに…
「俺の戦いは、守る事だ!!」
959: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/24(日) 17:47:03 ID:Jf7QBBD9R6
全力で腕を振り上げ前足から第一関節辺りを切り裂く
「グギャアアアア!!」
アルバは痛みにもんどり打って転がる
「ルー!!頼む!!」
俺の合図に合わせてルーが盾を上に構える
俺はその盾を足場にして高く飛び上がった
「「はああああ!!」」
タイミングを合わせ、ルーが地上から、俺が上から武器を突き刺した
「グガアア…アアア…」
アルバは弱々しい声を出して動かなくなった
960: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/24(日) 17:51:12 ID:Jf7QBBD9R6
「やったか…?」
ルーの問いかけにルークが頷く
「ほぼ間違いなく。見事な連携でした。お二人共」
「すごかったよ!!息ぴったりだった!!」
「やったな…セネル…セネル?」
ルーが俺の肩を叩く
まだ…終わってない…
「グガアア…アアアア!!」
「!?」
息をしていないはずのアルバが再び立ち上がり咆哮をあげる
「ぐっ!!」
その場にいる全員が耳を抑えしゃがみこむ。アルバは口に火球を溜めて俺達に向かって放った
「しまっ!!」
「くっ!!間に合いませんよ!!」
「きゃあああああ!!」
961: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/24(日) 17:55:45 ID:S5h0xcTTFg
『大切な人を守りたい?』
『ははーん。セネルも言うようになったなぁ…さては好きな人でも出来たか?』
『あ、ミラは渡さないからね!?ミラは僕の物だから!!』
『物じゃない?分かってるよ!!』
『守る方法?そんなの簡単。守ればいいんだよ』
『死に物狂いで、大事な人を守ればいいんだよ』
『理屈じゃないんだ。きっと、凄く強くて…暖かい…』
『セネル。僕と約束してくれるかい?』
『セネルにとって、大事な人が出来たら…必ずその人を守り抜いて、側にいてあげること』
分かったよ。父さん
962: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/24(日) 18:01:47 ID:Jf7QBBD9R6
全員が目を瞑りしゃがみこむ。しかし、いつまで経っても灼熱が私達を焼き焦がす感覚は訪れなかった
私はゆっくりと目を開ける
「っ!!セネ…ル」
「ルー、皆大丈夫?」
そこには火球を片手で抑えながらこちらを微笑むセネルがいた
「セネル君…君は…」
「前に言ってくれたよね?守る物がある人は強いって…父さんも」
セネルが力を込めて振り払うと、火球は消散した
「俺は皆を守るから…だから、負けないよ」
「ガアアアア!!」
確実に仕留めた攻撃
それをこんなちっぽけな存在に消されてアルバは怒りに震える
「遠慮はしない。お前を弱く見てるわけじゃない。お前は強かった。だから、手加減したら失礼だから…全力で倒す!!」
963: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/24(日) 18:07:22 ID:Jf7QBBD9R6
「ガアアアア!!」
「はああああ!!」
アルバの角が俺の右腕目掛けて繰り出される
俺はそれを紙一重で避けて顔を切りつけた
「うおおおお!!」
背に乗って、翼を滅多刺しにする。アルバは苦痛に呻くが俺は止めない
角を叩き折り、尻尾を切り落とし、翼に穴を開ける
前足を全力で蹴って、倒れたところに踵を落とす
アルバはフラフラとしながらも立ち上がり俺を睨み付ける
しかし、限界なのは一目瞭然だった
「止めだ!!」
俺はアルバの爪を避けてから首を切りつけ最後に顔に深々と突き刺す
アルバは痛みに絶叫をして地面に倒れ込み息絶えた
964: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/25(月) 22:46:49 ID:VtaVdMdf4E
「やったんだな…」
「ああ」
ルーが俺の肩に手を置いて微笑む
「やれやれ…いいとこ全部取られちゃいましたね」
ルークがやや残念そうに肩をすくめた
「お兄ちゃん倒す気だったの!?」
「G級ハンターをなめないでください。時間さえ貰えれば倒せますよ。時間があれば…の話ですが」
「まあ、戦い慣れない相手だったからな…」
お互いの健闘を称えあうように雑談に花を咲かせた三人だが、俺はまだ周囲の警戒を解いてはいなかった
「どしたのセネル君。そんなにピリピリして」
「いや…いつ仕掛けてくるのかなって…」
俺の言葉に思い出したようにムゥも辺りを警戒する
「あー、二人とも…その事なんですが…」
ルークが何やら言いにくそうに俺達に話しかける
「いつまでもこんなところにはいられないだろう。ギルドに戻ろう」
ルーの提案によりギルドに戻ることになった
ルークの話もその時聞けばいいだろう
965: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/25(月) 22:52:43 ID:vmIGY5yfM.
「はああああああ!?」
「勘違い!?」
「いや…まあ、勘違いというか…まあ、勘違いなんですが…」
ギルドに戻った俺達に向かって真っ先にルークが放ったのは、自分達の命を狙う者などいなく、自分達の思い込みだったということだった
「なんだ…いつもより周りに気を配ってたのにぃ…」
ムゥがヘナヘナと座り込む
俺も安堵からか、体制を楽にした
「申し訳ありません。過去に一度命を狙われてますから…疑心暗鬼になってしまうのですよ…」
「とはいえ、お前たちに余計な心配をかけてしまったな。すまない」
「余計なんかじゃないよ!!お兄ちゃんもルーも狙われてなくて良かったよ!!」
966: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/25(月) 22:57:29 ID:VtaVdMdf4E
「出発の時、イオンと話してたのはそれだったのか?」
「ああ…安心して戦えと…だが、その必要も無かったな」
「ええ、我らが守護神が頑張りましたからね」
「守護神?」
「そうだよ。セネル=ボルアス」
「イオン!!」
ギルドの入り口にイオンが立っていてにこやかに手を振っていた
「なんでここに!?というより、守護神ってどういう事だよ!?」
「ごめんね?騙すつもりは…あったけど」
「あったのかよ!!」
「簡単に言うと、今回の依頼は出来レースだったんだよ」
967: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/25(月) 23:03:18 ID:vmIGY5yfM.
イオンは俺に今回の顛末を話始めた
アルバトリオンのクエストから今まで全てギルドが、イオンが仕組んだ事らしい
アルバトリオンの情報が無かったのも、記録が消されていたのも全部イオンの仕業で、クエストはギルドが監視していたらしい
「なんで、そんなことする必要があるんだよ」
「君の為だよ?」
「俺の?」
イオンはそうと前置きをしてから話始める
ここ最近、ギルドでは度々俺の名前が上がっているらしいが、特に何の通り名も無く、双炎の覇者の息子だからって過大評価し過ぎなのでは?というのが頻繁に起こっていたらしい
それならばと、イオンが俺に通り名を付ける事を提案
そしてそれが認められて肝心の通り名が守護神になったわけだ
イオン曰く、アマツマガツチの時から決めていたらしい
968: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/25(月) 23:08:32 ID:vmIGY5yfM.
「それで、今回のクエストの内容次第で君に守護神が相応しいかだったんだけど…結果は予想以上だったよ」
「セネル=ボルアス。君は今から守護神 セネル=ボルアスと名乗る事を許します」
「守護神…」
イオンはにっこりと笑いかけながら
「君にぴったりだと思うよ」
「でも…俺…」
「セネル。君は私達を一度ならず何度も、そしてこの村を救ってくれた。守護神と名乗るには相応だと思うぞ?」
「ルー…」
「それに、私も誇らしいからな。私の自慢の夫は守護神だと」
ルーは誇らしげに俺を見る
「まあ、通り名は辞退することも可能だからね、無理には薦めないけど…どうする?」
969: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/25(月) 23:15:53 ID:vmIGY5yfM.
「・・・俺、貰うよ。通り名」
「うん」
イオンは納得したような顔をしてから
「なら、今日からよろしく。守護神 セネル=ボルアス」
「ああ」
「さーて、今度からドンドン難しい依頼回そうかな〜」
「なっ!?」
「冗談だよ。僕にそんな権限ないからね〜」
イオンは笑いながらギルドを後にする。去る間際に一度だけ振り返り
「期待してるよ。セネル」
それだけ言ってギルドを後にした
「セネル。通り名というのは非常に重いものだ」
ルーが俺を抱き締めながら囁く
「何を言っても後の祭りだが…君には重い選択をさせてしまったかもしれない。だが、君なら必ずこの重圧に勝てると信じてる」
「・・・大丈夫。俺は頑張るよ」
「この通り名に…恥じないように…守って見せる。この手で守れるもの…全て」
【守護神 セネル=ボルアス】
fin
970: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/25(月) 23:18:48 ID:vmIGY5yfM.
皆様こんばんは
さぎしです
・・・やべぇ!!30近く余っちゃった!!
こんなことならもっと話を盛れば良かったと後悔しております…
はい、というわけで、後もう少しだけ続きます
くそ…最終回チックに仕上げたのに…
本日の投下は終了しますが、次回の投下は未定です
気長に舞ってて下さい
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
971: 名無しさん@読者の声:2013/2/25(月) 23:52:46 ID:OXmxEE5H02
ゞ(^o^ゝ)≡(/^_^)/"o(^-^o)(o^-^)o
支援の舞を踊っときます
972: 名無しさん@読者の声:2013/2/26(火) 03:21:33 ID:7ZmvR.FKR.
余しちゃうさぎしたんも可愛い//
乙狩れ様♪
つCCCCCCCCCCCCCC
973: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 17:38:39 ID:TjuDwVsXHM
>>971
舞わないでくだ…いや、やっぱり舞っててください
>>972
か、可愛くねーし!!///
えー、はい。ようやく話が半分くらいまとまったので投下します
974: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 17:46:30 ID:ITpyHk7dP2
【金銀夫妻の試練】
「火竜の紅玉が欲しい?」
「はい」
ルーと簡単なクエストを終わらせ、装備を着たままで寛いでいると、ルークが訪ねてきて話を切り出してきた
「私もそろそろ武具防具を見直そうかと思いまして…」
「ふーん。でも、リオレウスだろ?ルークなら俺達に頼まなくても余裕なんじゃないのか?」
「それはもちろんなんですが…理由がありましてね」
「理由?」
ルークは深刻そうな顔をしながら、取り出した神にペンを走らせる
「通常のリオレウスからの紅玉は報酬で2%、尻尾からでも同じくらいの確率なのですよ」
「つまり…100匹狩って二個しか出ないってことか?」
「50匹狩って一個のほうでいいだろ」
「しかし…報酬で紅玉確率が15%のクエストがあるんですよ」
「15%!?」
大きな数字に俺は思わず身を乗り出す
「ええ…ですが、やはり難しいクエストでして…」
一転してルークの顔が曇る
そんなに難しいクエストなのだろうか
975: さぎし(神×紙○) ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 17:57:44 ID:ITpyHk7dP2
「つまり、私達に協力を求めると?」
ルーがルークに本題を切り出すと、ルークは素直に頷いた
「このクエストにはお二人の力が必要なのです」
「わかったよ。ルーク。俺、頑張るからさ」
「セネルがいくなら行くしかないが…いったいなんのクエストなんだ」
「はい。王族の招宴というクエストです」
ルークが笑顔で答えた瞬間、ルーが飲んでいたお茶を盛大に吹き出した
「ごほっ!!ごほっ!!ルーク!!貴様…竜王の悲劇を生み出すつもりか!?」
「私も考えはしました…ですが、後はもうこれしかないんですよ」
ルークは神妙な顔でルーを見つめる。ルーは何やら納得しきってないらしく、でもや、しかし…などを繰り返している
「お願いします!!ついてきてください!!」
遂にルークは頭を床に擦り付け土下座する
俺は慌ててルークを起こしながら
「ルー!!頼むよ!!クエストに行こうよ!!」
「・・・いくらお前でも、これは本当に死ぬぞ?」
「今まで誰だって命の保証なんかしてくれなかったよ」
「・・・」
ルーは考え込むように腕を組む
「わかった…ルーク。一緒にいこう。ただし条件がある」
「なんでしょうか?」
「セネルの安全が絶対条件だ。手段は選ばん」
「煙閃光はアリって事ですね」
「ああ、確実に一体一体潰していくぞ」
976: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 20:43:03 ID:gWo5pRD/ec
「一体一体って…複数なのか?」
「会えば分かる。君も絶対に突撃だけはするな。引き気味でいけ」
「わ、わかった…」
ルーの気迫に気圧され思わず頷いてしまう
これじゃ守れないのにな…
「最近。やけに過保護ですが…心境の変化ですか?」
「・・・」
ルーはなにも答えずに家を出ていってしまった
「なんなんだ…ルー」
「ああ…なるほど」
ルークはニヤニヤしながら俺を見る
「な、なんだよ…」
「いやいや…想われてますねぇ…」
「は?」
「乙女心って奴ですよ。さ、我々も行きましょう」
977: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 20:50:30 ID:gWo5pRD/ec
「闘技場か…」
ギルドから出発した俺達は闘技場に来ていた
「おや?初めてですか?」
「ん…まあな」
基本的に大連続狩猟をやらない俺としては闘技場にいくというのは初めてだった
「地図を見る限りじゃ、あんまし広くはないんだな」
「そうか…いっそのことセネルはベースキャンプ待機で…」
「ルー。流石にそれは…」
「わかっている…」
「まあ、ご安心下さい。私がいる限りそのような事態にはなりませんよ。あっはははは…」
「へぶしっ!!」
ルークは力尽きた
978: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 20:56:20 ID:WdcfcM3W0U
「それで?説明してもらおうか?」
「・・・すみません」
「一撃だったな…」
意気揚々と飛び出したルークを待ち受けていたのは金銀夫妻によるコンビネーション攻撃だった
レイアがブレスでルークの行動範囲を狭め、レウスがルーク目掛けて突進する。起き上がったところにレイアのサマソが入り見事にベースキャンプに送られたのだ
ルーの指示により俺達はベースキャンプにモドリ玉で戻り今に至る
「どうするんだ?ばれてるからもう煙は使えないぞ?」
「閃光は全員持ってきてますよね?」
「ああ」
「もちろん」
「全員で上手く当てれば15分は相手の行動を封じる事が出来ます。それでいきましょう」
「へぶしっ!!」
ルークは力尽きた
979: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 21:05:16 ID:gWo5pRD/ec
「・・・面目次第もございません」
ルークがまたしても意気揚々とエリアを出た為、俺も出ようとしたが、ルーに止められた
そして今に至る
「ルーク。お前は協力をしてもらってるんだろう?」
「いやぁ…咆哮が避けれなくてですね…」
「知るか。気合いでかわせ」
「というより。私はガンナーなんですよ?ペラッペラなんですよ?」
「知らん。働け」
ルーの容赦ない罵声がルークを次々と貫く
もうやめて!!ルークのライフは以下ry
「わかりました。次からは本気を出します」
「なら、最初から出せ」
「・・・はい」
ルーは散々にルークを罵倒し、俺に振り向く
「セネル。今なら君はリタイア出来るぞ」
「ルーは?」
「ギルドカードにリタイアの文字は刻みたくないからな」
「なら、俺もだよ」
俺は持ってきていた大剣 ハイジークムントに手をかけて
「ギルドカードにリタイアを刻みたくないし、ましてやルーをおいてリタイアなんて絶対にしない」
「・・・そうか」
ルーは嬉しそうに微笑んでから
「では、いくぞ!!」
「おう!!」
気合いを入れて、ルーと一緒闘技場に降り立った
980: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 21:12:03 ID:gWo5pRD/ec
「ガアアアアア!!」
「ガアアアアア!!」
夫妻の二重奏をガードをして防ぐ
「セネル!!君は今回は大剣だから引き気味だから…」
「でやああああ!!」
俺は全力でハイジークムントを降り下ろす
確かな手応えと共に金レイアの羽を砕いた
「ガギャアアアア!!」
痛みに悶絶する金レイアを助けるように銀レウスがブレスを放つが、俺は素早く金レイアを盾にして難を逃れる
「ガアアアアアア!!」
痛みに金レイアが怒りの咆哮をあげ、銀がそれに呼応するかのように怒る
「喧しい!!」
ルーが銀レウスの羽を貫く
銀がルー。金は俺をそれぞれに敵として定めたようだ
981: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 21:18:12 ID:gWo5pRD/ec
「ふぅぅぅぅ…」
俺は大剣を構えたままゆっくりと息を吐く
双剣がスピードある手数で勝負するのなら、大剣は力。圧倒的破壊力で相手をねじ伏せる武器だ
「ガアアアアアア!!」
金レイアが俺に向かって突進してくる
「はあああああ!!」
俺は一度剣を横に振り、体ごと捻り力を溜める
強溜めと呼ばれるこの構えは通常の溜めに比べて威力が桁違いに高い
其れ故隙も多く、大概は相手が行動不能の時にやることが多い
「ガアアアアアア!!」
金レイアはドンドン近づいてきて、後数秒で俺を轢ける位置まで来ていた
まだ…後、少し!!
「今だぁぁぁぁ!!」
力を極限まで溜め、勢いよく降り下ろす
降ろされた剣は金レイアの顔を正確に捉え、硬く美しい甲殻を砕いた
982: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 21:24:42 ID:WdcfcM3W0U
「グギャアアアア!!」
後ろの方で金火竜の絶叫が聞こえる
目の前の銀火竜は番の身を案じて気が気ではないようだ
「よそ見をするなぁ!!」
私は銀火竜の腹下に潜り込み腹を突き刺す
「グガアアアア!!」
痛みに悶絶し、尻尾を振るうが私は腹下にいるため当たらない
「遅い!!」
私は槍を高く突き上げ振るわれている尻尾を穿つ。尻尾は先端が切れ高く宙を舞った
「ガアアア!!」
「っ!?」
番の危機を感じ取ったのか金火竜がこちらに突進をしてくる
くそ!!ガードが間に合わん!!
「させるかぁぁぁ!!」
セネルの咆哮と共に何かが重く沈み混む音
「グギャアアアア!!」
尻尾を切られた衝撃で私を飛び越え跳ねるようにして金火竜は銀火竜に突進した
983: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 21:28:43 ID:gWo5pRD/ec
「ルー!!大丈夫か!?」
「問題ない!!」
ルーに怪我がないのを確認してから俺は改めて夫妻を見る
「グガア…アアア…」
「ガアアア…アア…」
二匹とも力無く鳴き、お互いを支えるようにして立っていた
「セネル…」
「わかってる」
俺は夫妻に向かって駆け出す
ここまでお互い命を懸けて戦ったんだ。いい勝負だった
ここで手加減なんてしたら、相手に失礼だ!!
「うおおおおおお!!」
寄り添い合う二匹を楽にするために、俺は全力で剣を降り下ろした
984: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 21:36:07 ID:gWo5pRD/ec
「グギャアアアア!!」
飛び散る鮮血。響き渡る断末魔…そして、弾け飛ぶ金の甲殻…金!?
「ガアア!?」
「なっ!?」
夫妻に向かって振り下ろした大剣。しかし、それは金レイアを断ち切っただけだった
「番を…庇った?」
降り下ろす直前、金レイアは満身の力を込めて銀レウスを突き飛ばした
銀はよろけて後退りし、金レイアは俺の降ろした剣に首を差し出す形になった
「ガアア…ガアア…」
動かなくなった金レイアを必死に揺さぶる銀レウス…そして
「グガアアアアアア!!」
目からは涙を流し、怒りと悲しみの咆哮をあげる
「傷が!?」
ルーが驚愕に溢れた声をあげる。先程まで血だらけだった銀レウスの傷がみるみる塞がっていったのだ
「ちぃっ!!またか!!」
ルーが武器を構えて俺の隣に立つが、俺は黙って調合していた
「セネル!!こんなときに何を…っ!?」
俺はルーに向き直るとモドリ玉をぶつけた
985: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 21:42:35 ID:WdcfcM3W0U
「セネル!!」
視界が緑に染まり、気がつくとベースキャンプに立っていた
「あいつ!!」
私は急いでセネルの元に向かおうとしたが
「お止めなさい」
「どけ!!ルーク!!いくら貴様といえど容赦はしない!!」
「なら、意地でも引くわけには参りません。彼の、セネル=ボルアスの意思を尊重します」
「何が意思だ!!私達はハンターだ!!あれは仕方のない事だった!!セネルが悪いわけではない!!銀火竜が悪かったわけでもない!!金火竜が勝手にしたことだ!!」
「だからですよ。ルーさん。だからセネル君は貴女をベースキャンプに戻したのです」
「何を!?」
「貴女が言う勝手にしたことですよ。セネル君にとっては違いますが」
「私は!!この槍であいつに立ちはだかるもの全てを穿つと誓ったんだ!!」
「銀火竜はセネル君には立ちはだかってはいません。信じて、待ちましょう」
「・・・くそ!!」
986: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 21:56:18 ID:gWo5pRD/ec
「・・・」
「グルルルルル…」
にらみあってから何分が経っただろうか、いや、ひょっとしたら一分も経過していないのかもしれない
それくらいに錯覚するほどに俺は銀レウスとにらみあっていた
何故だろう。先程の行動は確かに衝撃だった
でも、段々時間が立つに連れて俺は怒りを覚えていたのだ
そんなことをしたレイアに
「自分の身も守れなくちゃ…大切な人なんて守れやしない!!」
俺は剣を構えて銀レウスを睨む
「ガアアアアアア!!」
「守る方法なんて!!いくらでもあるだろ!!」
剣を降り下ろし、銀レウスの甲殻を裂く
銀レウスは痛みに顔をしかめながらもブレスを俺に放った
「許せないんだよ!!守るためにそんな選択しか出来なかったレイアが!!そんな選択をさせたお前も!!」
剣を横に払い、降り下ろす
銀レウスから血が吹き出て甲殻が破ける
剣を振り上げ顔の甲殻を砕く
銀レウスは既に虫の息で立っているのもやっとだった
「命は、命はそんなんじゃない!!」
力を込めて剣を降り下ろす
「グガア…アアア…」
銀レウスは弱々しく声を出しながらゆっくりと地に沈んだ
987: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 22:01:47 ID:WdcfcM3W0U
「セネル!!」
無事に戻った俺にルーが駆け寄り力いっぱいに抱き締めてくる
「お前は!!勝手に…」
「ごめん。ルー…でも、あのレウスは俺が倒さなくちゃいけなかったんだ…」
「・・・」
ルーは答える代わりに俺を抱き締める力を強くする
頬には涙を流れていた
「頼む…私を置いて…どこにもいかないでくれ…私の目の前から…消えないで…」
「大丈夫だよ。何度も言ってるだろ?俺は死なないって、ルーの側にいるから」
「・・・」
「俺はルーが好きだから、愛してるから、守ってみせる。自分の身を犠牲にしてなんかじゃなくて、二人一緒に、かっこわるく無様に生き延びてみせる」
「・・・ばか」
ルーは声をあげないようにしゃくりあげながら泣いていた
988: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 22:10:49 ID:gWo5pRD/ec
「お二人ともー、次は爆鎚竜の紅玉が欲しいですー」
「またかよ!?」
あれから数日、結局ルークは火竜の紅玉を入手出来ず、自力で入手していた
俺は銀レウスから剥ぎ取った紅玉を大事にポーチに入れている
ルークは最初は羨ましそうに見てはいたが
「まあ、男の勲章ってやつですね」
と、納得して大事にするようにと言ってくれた
「というわけで、ウラガンキンいきましょう!!」
「はぁ…どうする?ルー」
「私は構わないぞ?君が守ってくれるからな」
「・・・ああ」
そうだ…守るって誓った 色んな人に、生き物に
ならば俺は守り抜いて見せる
何故なら、俺は一人じゃないから
仲間が、かけがえのない人達がいるから…
【金銀夫妻の試練】
fin
989: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 22:16:26 ID:gWo5pRD/ec
【駆け出しハンターと愉快な狩人達】
「セネル!!貴様また腕を上げたようだな!!」
「教官…いつまで俺を子供扱いするんだよ…」
「ふははははは!!我輩は生きとし生けるハンター全てを子供扱いするぞ!!」
「・・・全く」
「それはそうと、ユクモ村を離れるらしいな…」
「ああ」
「・・・寂しくなるな」
「あれ?教官寂しいの?」
「馬鹿を言うな!!我輩は全てのハンターの一番先頭を行く者!!貴様一人に一々感傷的になるわけがあるか!!」
「あはは、まあ、そうだな」
「挨拶は済ませたのか?」
「一応、教官は一番最後なんだ」
「ほう。尊敬する我輩を一番最後にするとは…なかなか殊勝な心がけだな!!」
「(・・・忘れてたなんて言えないな)」
990: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 22:21:15 ID:gWo5pRD/ec
「じゃあ、俺もういくな」
「うむ!!向こうでもみっちりしごいてもらえ!!」
「ははは、遠慮しとくよ」
「セネル!!これだけは覚えておけ!!」
「?」
「どのハンターも最初は必ず駆け出しだ!!貴様の両親も、ルーもルークも例外ではない!!」
「だが奴らは強い!!それはなぜか分かるか?」
「・・・」
「それはな…我輩を含めて、あいつらの周りには愉快なハンターがたくさん集まるからだ!!」
「人の輪というとは様々なドラマを生み、出会いは必ず何かを起こす!!良くも悪くもだ!!」
「セネル!!もしも貴様が一流の狩人を目指すなら…沢山愉快な仲間を作れ!!」
「それが我輩からの、最後の訓練だ」
「ありがとう…教官」
991: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 22:26:28 ID:WdcfcM3W0U
「もう終わったのか?」
「うん」
「教官、なんて言ってたの?」
「愉快な狩人を作れって」
「はは、教官らしいアドバイスですね」
「うん…本当に」
「セネル様…行く先の村でも、活躍なされるのを祈っております」
「ありがとう。村長さん」
「寂しくなるなぁ…たまには顔見せてよ?」
「忘れないで下さいね。貴方には帰る場所があるということを」
「ありがとう。コノハ、カエデさん」
「向こうについたら君はまたHR1からだが…本当にいいのか?」
「いいよ。どんなハンターも最初は駆け出しだったんだ」
「そして、皆強くなって…成長する」
「・・・ああ」
「っと、もうすぐ馬車が来るな…村長さん。皆…」
「いってきます!!」
【駆け出しハンターと愉快な狩人達】
fin
992: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/28(木) 22:30:25 ID:gWo5pRD/ec
皆様こんばんは
さぎしです
というわけで、駆け出しハンターと愉快な狩人達
これにておしまいとなります!!
ここまでこれたのも皆様のご支援応援のお陰です!!
本当にありがとうございました!!
このあとの予定ですが
新作MHSS制作の繋ぎとして
モンハンSS第三弾
【モンハン】魔物黙示録【SS】
と、オリジナルSSを一つ書く予定です
えー、長くなりましたが、ここまでのご回覧本当に乙狩れ様でした!!
長い間ありがとうございました!!
993: 名無しさん@読者の声:2013/2/28(木) 23:19:17 ID:gP4JtfV4Ig
乙狩れ様!
今回も本当に楽しいSSでした!
また次回も必ず読むから頑張ってね♪
次回に向けて支援
つCCCCCCCCCCCCCC
994: 名無しさん@読者の声:2013/2/28(木) 23:43:19 ID:gWo5pRD/ec
(;´д`)踊り疲れた…
乙でした。次の作品まで、また舞ってますね。ゞ(^o^ゝ)≡(/^_^)/"o(^-^o)(o^-^)o
995: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/3/1(金) 17:51:55 ID:yy8uT.WIIA
>>993
ありがとうございます
次回も頑張らせていただきます
次回はモンハンSSではないんですがねwww
>>994
もう踊らなくてもいいのよ?
ありがとうございました
996: 名無しさん@読者の声:2013/3/1(金) 19:38:30 ID:tCJ8JUJvHQ
さぎしさんの文才に圧倒されました。
おつ狩れさまでした。
997: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/3/2(土) 12:52:44 ID:LZLGIJcYkw
>>996
こちらこそ、長い間ありがとうございました
文才なんて、私には無いですよ〜
998: 名無しさん@読者の声:2013/3/2(土) 23:43:32 ID:4G2TUF7rtg
乙狩れ様ー
っ古の秘薬
っカルピス?
999: 名無しさん@読者の声:2013/3/3(日) 02:42:46 ID:CFLmb6CSvM
おつかれ!
次作に支援\(^o^)/
1000: 名無しさん@読者の声:2013/3/3(日) 07:03:32 ID:8E/OsEWieY
乙狩れ様でした
つ元気ドリンコ
1001: 1001:Over 1000 Thread
| ̄| ∧∧
ニニニ(゚Д゚∩コ
|_|⊂ ノ
/ 0
し´
えっ…と、
1001はここかな…と
∧∧ ∧∧
∩゚Д゚≡゚Д゚)| ̄|
`ヽ /)ニニニコ
|_=` |_|
∪ ∪
∧∧ ミ ドスッ
( ) _n_
/ つ 終了|
〜′ /´  ̄|| ̄
∪∪ ||_ε3
゙゙゙゙
1002: 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
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