ユクモ村
自然溢れるこの村は周囲に緑が多い
俺の名前はセネル=ボルアス
一応この村のハンターだ…新米だけど
今俺はハンターの基礎を教わるべく訓練所に訪れている。もちろん村長からのいいつけもあるが、それ以前に両親との約束で、ハンターになるなら必ず訓練所にいけと言われていた
両親は二人ともハンターだった。ただ…この世にはもういない
ヤマツカミ討伐中に飛竜に襲われて死んだらしい
その場にいたハンターの証言と、遺品が送られてきたからまず間違いないだろう。ハンターは死と隣り合わせの職業だといつも父さんが言っていたし、覚悟はしていたつもりだった
それに悲しみに暮れるよりも、ハンターとなって父さんと母さんの意思を受け継ぐ事が、俺に出来る一番の弔いなんだと思っていた
2: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 00:57:36 ID:LEiceYsiw.
そんなわけで、今は訓練所の装備を借りながらハンターの基礎を教官に教えてもらってるわけだが…
「うむ!!素晴らしい!!実にいい動きだ!!セネル!!」
「・・・そりゃどうも」
「む?少しは嬉しそうにせんか!!」
「んなこと言われても…」
教官が俺の事を睨んでくるが、アイテムや動き、ハンターとしての知恵等は両親から一通り教えてもらっていたため、はっきり言えば簡単だった
「まあ、ジュードとミラの子供だからな!!天才的な才能を持っていてもおかしくはあるまい!!」
ガッハハと笑いながら俺の頭を撫でる教官。いまだに子供扱いされるらしい
「教官、俺もう20だぜ?いい加減子供扱い止めてくれよ」
「ぬ!?高々20生きた程度のひよっこが!!その程度でハンターを名乗るとは甘ちゃんにもほどがあるぞ!!」
3: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 00:58:31 ID:T4cBKsgiVM
しみじみとした顔で語る教官。教官は父さん達が新米だった頃から教官をやっているらしいが…一体何歳なんだろうか…未だに怖くて聞けていない
「そういえばセネル。村長殿が呼んでいたぞ」
「村長が?」
「うむ。訓練が終わり次第こちらに来るように伝えておいてくれと」
「はーい」
「馬鹿者!!返事は伸ばさない!!」
「あんたは先生か!?」
「教官だ!!」
ドヤ顔をする教官を無視して俺は訓練所を出ることにした。幸い訓練は全て終了しているので、後は村長のところに向かうだけだ
「セネル!!忘れていた、これを持っていけ!!」
教官が何やら渡したいものがあるらしいので渋々とりいくことにする
4: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 00:59:35 ID:LEiceYsiw.
「これ…アサシンカリンガ?」
「ああ、ジュードがお前のためにと特別に作った物だ。お前がハンターになり、訓練所を訪れた時に渡してくれとな」
「父さんが…」
教官から受け取ったアサシンカリンガは手に馴染み、初めて持つとは思えなかった
「ありがと教官。確かに受け取ったよ」
俺はアサシンカリンガを腰に差しながら教官に礼を言う
「礼なら我輩ではなくジュードに言ってやれ」
「・・・ああ」
優しげに目を細める教官に背を向けて村長に会いに行くことにする
教官はなにも言わないが、頑張ってこいと応援してような雰囲気を出していた
相変わらず口下手だが、それすらも慕われる要因なのかなと最近は思い始めていた
5: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:00:33 ID:T4cBKsgiVM
「ほほほ、お待ちしておりましたわ。ハンター様」
「ああ…うん」
ユクモ村のちょうど中央に位置する場所にあるベンチにいつも腰かけている竜人族の女性。これがユクモ村の村長さんだ
村長さんは父さん達の顔馴染みで、俺とも親交はあるため気軽に話しかけられる
「訓練はどうでこざいました?」
「父さん達から教わった事の復習みたいなものだからね、楽だったよ」
「それはそれは、頼もしいですね」
「それで?何か用なんですか?」
「ええ、依頼をしたくお呼びしました」
依頼。その言葉を聞いただけで背筋がのび、手に力が入る。ようやく依頼を受けれるまで認められたんだということに内心は喜んでいた
「それで…相手は?」
「青熊獣 アオアシラです」
6: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:01:23 ID:T4cBKsgiVM
村長の話によると、最近までは付近の渓流で静かに暮らしていたアオアシラが近くまで来ているらしい
原因は不明だが、このままでは村に被害がでる恐れがあるため、早急に狩ってほしいとの事だ
「少々危険な子ではございますが、ハンター様なら必ずややりとげてくださると信じています」
村長から期待を込めた目で見られる。俺は深呼吸をして
「わかりました。その依頼、このセネル=ボルアスが引き受けます」
「ありがとうございます。お気をつけて」
村長に見送られながら、俺は渓流までの途についた
7: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:02:22 ID:T4cBKsgiVM
ネコタクに揺られること数時間
俺は渓流のベースキャンプに立っていた
「さて、支給品をもってとっとといくか」
青い色が目印の支給品ボックスに近づき中身を取り出す
父さんもとい訓練所で教えてもらった事だが、この中には予めクエストで役にたつアイテムが複数入っており持ち出し可能である
誰が入れているのかは定かではないが、ボックスに入れるくらいなら手渡しでいいんじゃないかと最近思い始めている
そんなことを考えつつ支給品ボックスから携帯食料、応急薬、携帯砥石、ペイントボール、地図、空ビン、毒ビンを持っていった
何故ビンを持っていくのかは後で説明させてもらうことにするとして、俺は地図を見ながらアオアシラが目撃されたエリアに歩き始めた
8: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:03:14 ID:LEiceYsiw.
「お、いたいた…」
渓流のちょうど中央に位置するその場所に、青熊獣 アオアシラはいた
熊みたいな見かけに鋭い牙と爪、そして発達した腕甲を持ち、名前の通り青い毛に包まれている
遠目から見ればモフりたい衝動に駆られるが、相手は凶悪なモンスターだということを忘れないでいただきたい
さて、当のアシラだが熱心に池を覗き込んでいる
これならもう少し近づいても気づかれないだろうと俺は慎重に歩を進めた
「ちっ、側にジャギィがいるな…騒がれたら厄介だな…」
まるでアオアシラを取り囲むように、小型の鳥竜ジャギィがいた
単体ではそれほど危険ではないが、群れで襲いかかるため判断を誤ると非常にまずいことになる。更に近くにはアシラもいるため、下手に近づいたらジャギィの群れとアオアシラを両方同時に相手をしなければならないだろう
9: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:03:57 ID:T4cBKsgiVM
だが、熱心に池を覗き込んでいるアオアシラはジャギィは眼中に無いようだった
「これは…ひょっとしていけなくもないか?」
俺はジャギィに気づかれる範囲まで近づき、空きビンを落とした
「ギャア!!ギャア!!」
一匹のジャギィが俺に気付き、威嚇の声をあげる
それに気づいた残りの二匹が近寄ってきた
肝心のアシラはというと、まだ池を覗き込んでいた
どんだけ魚が食いたいんだよ
だが、せっかくのチャンスを逃すわけにはいかないので、俺はアサシンカリンガを抜きジャギィ達と対峙する
最初に気づいたジャギィがまっすぐ俺に飛びかかってきたが、それを左に避けながらすれ違いざまに首を切りつける。アシラがいつ気づくかわからないので、あまり長引かせるのは得策ではないと判断し、首を切り落とすつもりで剣を降り下ろしたが
「何!?」
あっさりジャギィの首と胴体が別れて驚愕の声を出す。そういえば切りつけた時にわずかに違和感を感じたような気がしたが…
ともかく、一匹目を想定外の速さで倒し、残る二匹も同じ速さで首を切り落とした
10: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:04:53 ID:T4cBKsgiVM
アサシンカリンガについた血を軽く払い、アシラに目を向ける
池を覗き込んでいたアシラはようやく異変に気づいたようで、両手を上げて俺に威嚇をしてきた
「さて…準備運動も終わったし…いくか!!」
まっすぐアシラに向かって走りだし剣を降り下ろす
アシラの顔を切りつけ素早く左に回避し納刀し、距離をとる
アシラは突然の痛みにややびっくりしたようだが、俺を見つけると両手を振り上げ抱き締めるように腕を交差させてきた
「遅い!!」
動きが単調な攻撃は軌道が読みやすいという父さ…教官の教え通りにかわしてアシラの背後に回り込む
そのまま無防備な背中に連撃を与える
「ギャウ!!」
痛みに大きくのけぞるアシラ。それをチャンスだと思い俺は更に攻撃の速度を上げた
アサシンカリンガが肉を裂き、血が飛び散らせるのも構わずアシラを切り続けた
11: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:05:42 ID:T4cBKsgiVM
かなりの攻撃をアシラに食らわせ続けると、アシラの動きに精彩が無くなり始めていた
「よっし!!このまま!!」
チャンスと踏んだ俺は大きく踏み出し縦に剣をおもいっきり降り下ろす
片手剣ではやや威力に不安があるが、今のアシラには効果的な攻撃だった
「ギャウ!!」
アシラの顔を縦に切りつけそのまま回転して横に薙ぎ払う。ついにアシラは足を引きずりながら俺から逃げ始めた
「お、捕獲できそうだな」
俺は武器をしまい、ポーチから携帯シビレ罠と捕獲用麻酔玉を用意する
このまま仕掛けたら無駄なのでアシラを追いかけるようにして走り始めた
12: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:06:35 ID:T4cBKsgiVM
数分後、そこには岩壁に体を預けスピスピと寝息を立てているアシラの姿があった
「ここだけ見てれば大人しそうなのにな…」
そう呟きながらシビレ罠を足元に設置する。いくら見掛けが大人しそうだからといって、村民に被害が出れば討伐の対象になってしまう。このアシラもまだ被害は出してはいないが、この辺りに生息することを考えたらいずれ被害が出るのは避けられないだろう
「これでよし…っと」
シビレ罠を設置し終え、その場から離れる
雷光虫の発電の仕組みを利用したこの罠は大型モンスターの体重を感知して痺れ作用のある電撃を流す
この電撃を浴びたモンスターはしばらく行動ができなくなるのだ
「ギャウワ!?」
体が痺れる感覚と共に無理やり眠りから引き起こされたアシラはややびっくりしたような声をだしたが、体を自由にしようと暴れていた
「悪いな…すぐ終わらすから」
ポーチから赤いマークの麻酔玉を取りだし二つぶつける。玉から発せられる煙を吸い込み、アシラはその場で倒れ伏し、スピスピとまた寝息をたてはじめた
「捕獲完了…村に戻るか」
13: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:07:28 ID:T4cBKsgiVM
「流石でございますわハンター様。お見事な手腕惚れ惚れいたします」
村に帰り、捕獲の旨を伝えると、村長からは称賛の言葉を貰った
自分の力で初めて依頼を達成出来た事から俺はかなり浮かれていた
「ま、まあ父さん達の教えもあったし…」
「いいえ、今回は間違いなく貴方様のお力です」
村長は優しく、それでいて力強く俺を見ている。この人が嘘をつく事はないから、俺の力が認められたような気がした
「お疲れでしょうし、今日は休まれたらどうでしょう?」
「そうさせてもらいますよ」
村長の提案を受けて、俺は家で体を休める事にした
14: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:08:12 ID:T4cBKsgiVM
家で一休みした後、俺はまた村長から依頼を受けていた
「ハンター様、お疲れではないのですか?」
村長が心配そうに俺を見つめるが
「初めての依頼を成功させて、少し調子が出てきたみたいです。まあ、無理はしませんよ」
軽く笑いながら依頼を探す。俺が受けられる依頼はまだ危険が少ない方なので気持ち的に楽に選べるのだ
「村長、ただいま帰還した」
俺が依頼を吟味していると、後ろから声が聞こえた
15: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:08:53 ID:T4cBKsgiVM
振り返り声の主を見た瞬間に、俺はかなり驚いた
見たこともない金色の鎧
雌火竜と呼ばれる狂暴な飛竜 リオレイアの素材を使った防具によく似ているが、金色に光るのを見るのは初めてだった
更に背中には天を貫いてもおかしくないほどの長さの黒槍を背負っていたのである。更に一番驚いたのは、それが女性である事だった
「ルー様、よくご無事で」
「ディアブロスの狩猟、確かに完遂したが…珍しいな?私に依頼するなど」
「お忙しいかとは思いましたが、何分緊急だと言われましたので…」
「いや、構わないさ」
そのルーと呼ばれた女ハンターは村長と会話を交わすと俺の方を向いた
「・・・君は?」
「あ、ああ…俺はセネル。セネル=ボルアス」
「ボルアス…?」
俺の名前を聞いた瞬間、ルーが怪訝な顔をしたのを俺が見逃さなかった
16: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:09:57 ID:T4cBKsgiVM
「ハンター様、クエストの受注をなさいに来たんじゃありませんの?」
「あ、忘れてた」
村長さんに微笑まれながら急かされクエストを選ぶ
その間もルーという女性ハンターは俺の事を見ていた
「とりあえず、これにするよ」
村長に差し出した受注書にはざわめく森とかかれたクエストが載っていた
クエスト内容はドスファンゴ一頭の討伐
アシラの素材を使って作った防具の性能も試したかったし、一石二鳥だ
「このクエストにするよ」
「あ、この依頼は…」
「大丈夫だって、ほんの準備運動だからさ」
村長さんが何かをいいかけたが、俺は早く試したかったので聞かずにクエストに出発した
17: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:10:37 ID:T4cBKsgiVM
渓流のベースキャンプに着いて支給品を確認し、エリアに向かう
今回は千里眼の薬というのを自宅から持ってきた
もちろん父さんの物だったが、ハンターになった今は使ってもバチは当たらないだろう
「よし…ここか」
地図と照らし合わせながらドスファンゴの位置を探る
「なんか…今日変だな…何かざわつくっていうか…」
雷を発しながら飛び回る事から雷光虫と呼ばれる虫が普段より多い事が気になり、違和感を覚えながらも気のせいだろう思い、途中にいたジャギィ達を切り捨てながら目的地に向かった
18: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:11:20 ID:LEiceYsiw.
水辺に生えているキノコをフガフガと食すファンゴと呼ばれる巨大な猪
特徴としては、異様に発達した牙をもち、非常に好戦的な事である
「ファンゴがいるってことは、近くにいるはずなんだよな…」
茂みに隠れながら観察していると、奥から土埃が立ち込めてきた
土埃の中から白い毛並み混じりでどちらかといえば灰色っぽい毛並みをもち、ファンゴより一回りも二回りも大きい猪が現れた
あれが今回の狩猟対象であり、凶暴なファンゴ達の長であるドスファンゴである
19: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:12:07 ID:T4cBKsgiVM
「お出ましか…」
アサシンカリンガを掴む手に力がこもる
アオアシラの時はたまたまジャギィ達に関心が無かっただけだったが、今回は手下のように付き従う二頭のファンゴがいる
ファンゴ自体が獰猛な生き物であるがゆえにあまり相手にしたくはないが、今回はそのファンゴ達の長を倒すのだ。恐らく戦いは避けられないだろう
「ま、なるようになる…か」
あれこれ考えていてもしょうがない
俺は茂みから勢いよく飛び出した
20: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:13:03 ID:LEiceYsiw.
茂みから飛び出した俺はアサシンカリンガを勢いよく抜き放ち、手前にいたファンゴを切りつける
ファンゴ達は完全に虚を突かれたようで硬直していた
一息に手前のファンゴを倒し、振り向き様にもう一頭のファンゴを切りつけようとすると
「ブフォーーー!!」
「うわっと!?」
ドスファンゴが突進をしてくる。それをギリギリでかわして体制を立て直す
突然の事態にも混乱せずに対応してくるあたり流石は長と言うべきだろうか
「まあ、流石にそんな上手くはいかないか」
誰に言うわけでもないが、一人呟く
二頭は完全に俺を敵とみなし、戦闘体制をとっていた
21: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:13:50 ID:LEiceYsiw.
突進してきたファンゴをいなしてかわす
間髪いれずにドスファンゴの突進が襲いかかる
「一瞬も気を抜けないな…というより、なんだろ…まるで何かに怯えてるような…」
そんなことを考えている暇もなく、二匹は代わる代わる俺に襲いかかる
「悪いけど、決めさせてもらう!!」
俺はファンゴに向かって勢いよく駆け出した
ファンゴはそれを見てこちらに突進してくる
「・・・そこだ!!」
勢いよく地を蹴りファンゴの上に跳躍する
突然視界から消えた俺にびっくりし、急停止するファンゴ。そこに
「ブモォーーー!!」
ドスファンゴの躊躇いのない突進がファンゴに当たった
22: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:14:35 ID:LEiceYsiw.
ドスファンゴの突進を正面からまともに食らい目を回して倒れるファンゴ
「チャンス!!」
あの状態ならしばらくは目を覚まさないだろう
俺は剣を抜き、ドスファンゴと対峙した
今までの行動から既にドスファンゴの動きは見切っていたため、それからは楽だった
ドスファンゴに突進させ、空振りらせたら後ろ切る
それをひたすら繰り返す内に遂にドスファンゴはヨタヨタと逃走し始めた
「逃がすかよ!!」
後ろから剣を勢いよく降り下ろし、そのまま横に薙ぐ
今までひたすら切りつけていた足に限界が来たのか、ドスファンゴは横倒しになり足掻いていた
「これで…終わりだ!!」
ドスファンゴの頭に勢いよく剣を突き刺すと、二度三度痙攣してドスファンゴは動かなくなった
23: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:15:20 ID:LEiceYsiw.
「ふぅ…」
一息をついてドスファンゴの死体を剥ぎ取ろうとした瞬間
「っ!?な、なんだ!?」
辺りが一瞬で雷光虫に取り囲まれ空が暗くなる
ガーグァやケルビ達がまるで何かに怯えてるかのように喚きどこかへて逃げ去ってしまった
「なんだってんだよ…」
とにかく、ここに長くいちゃいけない気がする
俺は剥ぎ取りナイフでドスファンゴの素材を剥ぎ取り始めた
24: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:16:05 ID:T4cBKsgiVM
「持てる物はこれで全部かな…」
ドスファンゴから素材を剥ぎ取り終わり、ポーチへとしまう
残った死体は小動物が食べたりして無くなるだろう
「早く離れないとな…」
この場から離れようと歩き始めた瞬間
グォォォォォォォォ!!
「っ!?」
空に木霊すかのような咆哮が聞こえた
方角的にすぐ近くの森林エリアか…
「・・・見るだけ、見るだけだ。危なかったらすぐ逃げればいいんだ」
俺は咆哮が聞こえた方に歩き始めた
25: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 01:18:52 ID:T4cBKsgiVM
皆さん、夜分遅くにこんばんは
さぎしです
完全新作のモンハンSSをひっさげてきました
このコテ使うのが随分昔のように感じます…
そんなわけで、激流に身を任せ流れと同化するようにスレ立てしましたが
・・・はい、書き溜め全放出しました
次から亀更新になります
それでは、ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
26: 名無しさん@読者の声:2012/12/16(日) 01:24:42 ID:TEFXytsk9o
乙と支援
27: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 15:02:08 ID:KjLWmcL3EE
>>26
一番乗り支援感謝です♪
28: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 15:07:41 ID:KjLWmcL3EE
「な…嘘だろ…」
俺が森林エリアに踏み入れた時に真っ先に目に飛び込んで来たのはおびただしい数の雷光虫だった
普段ならこんなことは異常事態であるが、更に目を疑ったのはその雷光虫を従えてるかのように佇む姿だった
碧色の甲殻に黄色の鬣
特徴的な二本の角に僅かに体に纏う雷
狼のような巨躯がこちらを向く
「っ!!」
咄嗟に武器を構えたのは狩人の本能か、防衛本能か
何をやってるんだ!?
こんな奴に勝てるわけがない!!逃げよう!!今すぐ!!
しかし、体は言うことを聞かず、その狼と真っ正面から対峙した
29: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 15:11:36 ID:KjLWmcL3EE
「グアアアアア!!」
「うわっ!?」
空を仰ぎ空気を震わすような咆哮に思わず耳を塞いでしゃがみこむ
耳に声がこびりつきそうな咆哮だった
怖い怖い怖い怖い怖い怖い
頭の中は恐怖に満たされていた。こんなのに勝てるわけがない
だが、こいつをもしもこのまま放置したらユクモ村に来てしまうだろう
そうなれば村の人が危険な目にあう
「倒さなくていい…傷をつけて…逃がすだけだ…」
自分に言い聞かせるようにして呟く
「よし!!いくぞ!!うぉぉぉぉ!!」
俺は武器を構えて走り出した
30: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 15:18:22 ID:KjLWmcL3EE
「ぐあっ!!」
何度目か分からない突進を盾で受け止め大きくはね飛ばされる
攻撃を受け続けた盾はボロボロで、最早盾としての機能を果たしていなかった
「はぁ…はぁ…くそっ!!」
体制を立て直し剣で前足を切りつける
肉が裂け鮮血が飛び散っているのに目の前の狼はまるで意に介さない
それどころか切りつけた前足で俺を踏み潰そうと何度も踏みつけた
これまでの時間で狼の大体の動きは把握していた
体を使った突進。前足を軸にして体ごと一回転して尻尾で周囲を凪ぎ払う攻撃。自身を光らせた後、巨大な雷球を飛ばしてくる攻撃。帯電
今のところ帯電してるときが唯一の攻撃チャンスだった。帯電してるときは狼が唯一無防備になるためそこを攻撃できる
31: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 15:23:59 ID:KjLWmcL3EE
狼がまた帯電を始める
「チャンス!!」
俺は素早く走り出し狼に密着して切りつけた
帯電時は無防備、そう思っていた
刹那 肌を静電気が打ち付ける。生物としての本能が下がれと命じた時には既に遅かった
「グオオオオオオ!!」
空高く仰ぎ、狼は身体中から高電圧を放電した
「うあああああああ!!」
大きく吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。体を動かそうにも身体中がしびれて上手く動かせなかった
狼がゆっくりとこちらに近づいてくる
「駄目だ…父さん…母さん…ごめ…ん」
俺は静かに目を閉じた
目を閉じようとしたとき、金色が視界にはいった気がしたが…俺は意識を手放した
32: 名無しさん@読者の声:2012/12/16(日) 16:22:11 ID:GgKO5h6FNQ
さぎしさんのモンハンSS Ktkr
しえん
33: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 20:16:44 ID:GH7i5DEIyQ
>>32
どもども
まだ始まったばかりですからなんとも言えませんがね
支援感謝です♪
34: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 20:23:08 ID:GH7i5DEIyQ
「・・・はっ!!・・・生き・・・てる?」
次に俺が目覚めたのはベッドの上だった
しかもよく見ると俺の家だった
「気がついたか?」
声の方に顔を向けると、昼間に会ったルーという女性ハンターがいた
「あれ…ここ、確か…俺」
「君を助けてここまで運んで来たのは私だ・・・全く、そんな装備でジンオウガに挑むなんて」
「ジン…え?」
ルーに聞き返そうとした時
「ハンター様!?お目覚めになられたのですね!?」
「あ…村長さん…」
家に入ってきたのは村長さんだった。村長は俺の姿を見るなり目に涙を溜めて袖で口元を押さえている
「よかった…ジンオウガに襲われたと聞いた時は…」
「ジンオウガ?」
「君が戦ったモンスターの名前だよ。セネル」
35: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 20:28:49 ID:GH7i5DEIyQ
「ジンオウガ…私達は雷狼竜と呼んでいます」
雷狼竜、その名を聞いただけで先程の光景を思いだし身震いする
村長さんは押さえた口調で続けた
「元々あの子は霊峰と呼ばれる辺境に生息しているのですが…度々村の近くで目撃情報が寄せられるのです」
「恐らく君が戦ったのは霊峰から来たジンオウガだろう。問題はそのジンオウガが降りてきたのか、降りてこざるを得なかったのか…」
ルーが険しい顔をして考え込んでいたが、村長さんは
「それも含め、ギルドに正式に調査を依頼しました。しばらくすれば結果が出ましょう」
「ルー様、本当にありがとうございました」
「大した事はしていない。あのジンオウガも傷つけて逃がしただけだからな」
36: ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 20:33:49 ID:GH7i5DEIyQ
「逃がした!?」
ルーがあまりにもあっけらかんと言ったので思わず声を大きくしてしまう
「狩猟することも可能だったが…依頼されてない狩猟はタブーだからな」
あのジンオウガを傷つけ逃がすなんて…この人はいったい何者なんだ?
そんな俺の疑問を読んだのか、村長さんが
「ハンター様、ルー様はこの村ではHR6の凄腕ハンターなのですよ。更にG級ハンターでもあります」
「G級ハンター!?」
G級ハンターとは、ハンターなら誰しも憧れる階級のようなものである
「父さんや母さんと同じ…」
「・・・」
ルーは顔を背けた時、その表情に悲しみのようなものが現れていた
37: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 21:53:42 ID:Y26KlcU0dY
「それでは、私は仕事がありますので…お大事にしてくださいね?ハンター様」
「あ、はい…」
村長さんが家から出て暫しの沈黙が流れる
「あ、えっとありがとうございます…ルー…さん」
「ルーでいい。敬語もいらん」
「あ、うん…」
ルーは何故か俺と顔を合わそうとしない。そりゃそうだ。こんな新米にいちいち気にかける人なんて…
「セネル、君はいつからハンターをやってるんだ?」
「え?えーと…2ヶ月前からかな…」
「そうか…師匠はいるか?」
俺は腕組みをして考える 基本的な狩猟は全部教官に教えてもらっていたが、知識やその他色々は両親から教えてもらっている。教官は師匠と呼ぶにはあまりにも情けな…期間が短いので、呼べない
「うーん…いるような、いないような…」
「・・・そうか」
38: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 21:59:56 ID:Y26KlcU0dY
俺は何故ルーがこんな質問をしてくるかわからなかった。わからなかったからこそ、次のルーの言葉に驚いたのも仕方ないといえる
「君が良ければ…私が君の師匠になろうか?」
「・・・はい?」
今、この人はなんと仰いました?
師匠?ししょう?SISYOU?
「はああああああ!?」
「っ!!」
俺が驚き叫ぶと、びっくりしたのか一瞬臨戦体制を取るルー。右手は腰の剥ぎ取りナイフに伸びていた
それよりも俺はルーの意図が理解出来なかった
あのジンオウガを退け村長さんから全幅の信頼を寄せられてる凄腕ハンターが俺みたいな新米な師匠になってくれる?
「嫌なら…構わないが」
「いや!?嫌じゃないんだけど…なんでそんなことしてくれるんだ?」
「・・・」
39: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 22:05:39 ID:Y26KlcU0dY
ルーは答えなかった
いや、答えるのを躊躇っているようにも感じた
「傷が癒えたらまたくる。それまでに答えを出しておいてくれ」
そういってルーは家から出ていった。残された俺は天井を見ながらぼんやりと考えていた
ルーは凄腕ハンターだ
村長さんも信頼してるし、まず嘘はついてないだろう
なのに何故自分みたいな新米の師匠になることを申し出たのか?それに時折見せるあの悲しそうな、躊躇っているような複雑な表情は…?
「あー!!わっかんねー!!」
ベッドの上で悶々と悩む 恐らくルーの弟子になればハンターとして飛躍的に成長するだろう
しかし、どうにも腑に落ちない
「・・・とりあえず、やってみろ、か」
父さんの口癖を呟く
辛い時や苦しい時はいつもこの言葉を思い出していた
「・・・やってみるか」
俺は心の中で結論を出し、眠りについた
40: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 22:12:51 ID:Y26KlcU0dY
数日後
すっかり体が治った俺はルーを待っていた
治るまで何度もルーは足を運んでくれたが、前日にはもう治るだろうと言ってくれて、今日がその日である
体が治る日を予想出来る辺りやはりG級ハンターなのだろう
「おはよう。よく眠れたか?」
ルーが家の中に入ってくる
俺はそれを正座で迎えていた
「・・・俺は、まだ新米で、今は自分の力量もわからずに突っ込むしか出来ない馬鹿だけど、ルーが師匠なら成長出来る気がする」
「・・・」
「俺は早く一人前のハンターになりたい。それが父さんと母さんに向ける弔いだと思うから」
「・・・」
ルーは黙って俺の決意を聞いてくれていた
「だから…よろしくお願いします」
俺は頭を下げて、ルーに意思を告げた
「こちらこそ、よろしく頼む。一度弟子になった以上、容赦はしないぞ?」
顔をあげてルーを見ると、ルーは微笑んでいた
その笑顔がとても綺麗で、俺は思わず顔を赤くして俯いてしまった
こうして俺はルーの弟子になったのだ
41: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 22:15:30 ID:j7UOLnkwP.
皆さんこんばんは
さぎしです
とりあえず序章的なものが終わりました。これからドンドンセネル君が成長していくんですね
序章から結構伏線とか含みとかいれてますけど、ちゃんと回収しますので
今日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
42: 名無しさん@読者の声:2012/12/16(日) 22:40:48 ID:AXPz/dDb7M
乙狩れさまでした。
続き楽しみにしています!
っCC
43: 名無しさん@読者の声:2012/12/16(日) 23:31:21 ID:a80M3Ya6iM
おもしろし!
楽しみにしています。
やっぱり家の娘になりませんか?
つCCCCC
44: 名無しさん@読者の声:2012/12/16(日) 23:46:03 ID:TEFXytsk9o
支援
さぎしさんの過去作品を見てきてやった
45: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 15:39:04 ID:siHnvgnp82
>>42
ありがとうございます♪ 支援感謝です♪
>>43
毎日三時間以上モンハンが出来て、仲間に出会えて、薄い本が読める環境なら
支援感謝です♪
>>44
らめぇぇぇぇ!!そんなとこ(過去作品)見ちゃいやぁぁぁ!!
支援感謝です♪
46: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 15:45:41 ID:gxDSHASFOs
さて、ルーの弟子になったはいいが、やることは普段と何も変わらなかった。依頼を受けてモンスター狩猟するだけである
ただ、一つだけ違うのは…
「セネル!!ラングロトラの回転攻撃を片手剣で捌くのは厳しい!!回避に専念しろ!!」
「わかって…うわぁ!?」
ルーが俺と一緒に狩りをして、逐一俺に指示するということである
だが、ルーの指示は的確で迷いがなかった
だから俺もただルーのいう通りにして狩りに集中出来たのである
「あ!!足を引きずった!!ルー!!」
「深追いは無用だ」
ルーはランスをチェックしながら俺に告げる
「セネル。君の戦い方は悪くない。だが、もう少し相手の弱点や肉質が脆い部分を狙うといい」
「・・・」
47: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 16:01:00 ID:gxDSHASFOs
俺はルーの言うことを黙って聞く。ルーのいう通りにして失敗した事がないからだ
「片手剣なら小回りを活かして相手の体制が低くなった時を狙って頭に連続攻撃を叩き込めばいい。また、回避がしやすい武器なら腹を切ったら離脱という戦法も使える。時間はかかるが、安全にいくに越したことはない」
「わかったよ。ルー」
「君は本当に私の言う事を真に受けるな…」
「だって、ルーが正しいのは知ってるし、俺はルーに意見出来るほど強くないから」
「私が君に嘘を教えてると思わないのか?」
ルーは俺に冷たい目線を投げたが
「ルーは嘘をつかないよ。だってそんな気がする」
「・・・ぷっ、くくく」
48: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 16:05:12 ID:siHnvgnp82
突然ルーが吹き出す
なんかおかしなこと言ったかな?
「くっくく…すまない…そっくりだなって…」
そっくり?誰に?昔の狩りの仲間とかにか?
「さあ、お喋りは終わりだ。セネル。今回は一人で君が討伐してくるんだ」
「分かったよ」
「いいか、手負いとはいえ狂暴なモンスターだ。油断するなよ」
「・・・」
俺は小さく頷きラングロトラが去っていた方向に走り出した
49: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 16:10:48 ID:gxDSHASFOs
「・・・いた」
追い付いた先でラングロトラは寝息を立てていた 同じ牙獣種だから、どことなくアオアシラに寝姿が似ていたが、アオアシラの方がずっと可愛いかった
「よし…まずは…」
ラングロトラから少し離れた所にシビレ罠を設置する。本来はモンスターを捕獲するために使われるが、今回は捕獲しない
「準備はよし…いくか」
ラングロトラのすぐそばに立ち剣を構える
ラングロトラはそんなことに気づかず寝息を立てる
「はあああああ!!」
剣に力を乗せ体重と力を乗せた満身の一撃をラングロトラに降りおろす
突然の激痛に顔を押さえて大きくよろめくラングロトラ
しかし俺はラングロトラに追撃をせず、距離をおくように走った
50: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 16:16:41 ID:siHnvgnp82
怒りに我を忘れたラングロトラは俺を潰そうと転がってきたが
「ギャウ!?」
予め仕掛けてあったシビレ罠に引っ掛かり体を痙攣させる
「うぉぉぉぉ!!」
踵を返しラングロトラの頭をめちゃくちゃに切りつける
血が飛び散り肉が裂け痛みに悲鳴をあげるラングロトラ
しかし、シビレ罠の麻痺から解放されたラングロトラは両手を高々とあげて威嚇をしてきた
だが、それがラングロトラの失敗だった
両手を高々と上げた為、柔らかい腹が露出したのだ
「でやあああ!!」
露出した腹に立て続けに連続攻撃をお見舞いすると、ラングロトラは断末魔をあげ動かなくなった
51: 名無しさん@読者の声:2012/12/17(月) 17:14:03 ID:4EhYJ/N8tA
ほんまに面白い!支援!
52: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 19:38:33 ID:.UPaASQov2
>>51
ありがとうございます!! 実は正直不安だったんですよねwww
支援感謝です♪
53: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 19:44:13 ID:.UPaASQov2
ラングロトラが動かなくなるのを確認して剣をしまう。すると後ろから拍手が聞こえてきた
振り返るとルーが笑顔で拍手をしてくれていた
「よくやったセネル。相手を怒らせ注意力を散漫させた後に罠にかける。実に綺麗な戦略だ」
「そんなことないよ、ルーが教えてくれたからだよ」
「お前には才能があるな…両親に似てな」
「そ、そうかな…」
何故ルーが俺の両親がハンターだと知っているのか疑問に思ったが、村長さんから聞いたんだろうと思い何も言わなかった
「早く素材を剥いでしまえ。急がないと腐るぞ」
「わ、わかってるよ」
剥ぎ取りナイフを構えてラングロトラを剥ぎ取りにかかる。その様子を黙ってルーは見ていた
54: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 19:51:04 ID:iaGtp/4v.o
「なあ、ルー」
「ん?」
ネコタクに揺られる道すがら、俺は日頃思っている事をルーに言ってみた
「あのさ…ルーの狩りを見せてくれないかな?」
実は俺はルーの狩りを今まで一度も見たことがなかった。いつもルーが指示を出して俺がそれに従うというような感じだからだ
「・・・」
ルーは少し考えてから
「私の得意とする武器はランスだ。君の参考にはならないと思うが…いいだろう」
「ありがとう。ルー」
「いや、冷静に考えたら君の前で腕を見せていなかったな。私が本当の腕前を君が疑問に感じるのは当然だ」
「そういうわけで言った訳じゃないんだけど…」
とにかく、ルーは戻ったらすぐ狩りを見せてくれるらしい
55: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 19:55:15 ID:.UPaASQov2
ギルドに着くと騒がしい声が俺達を迎えた
「あ!!ルーさん、セネル君お帰りなさい!!」
「ただいま、コノハ」
「ラングロトラどうでした?セネル君頑張れました?」
「文句なしの出来だな」
俺達を出迎えた騒がしい存在。ギルドの正式な下位受付嬢のコノハだ
俺より年下であるが、その朗らかな笑顔と無邪気な様子から誰もに好かれている
「コノハ、世間話してないで帳簿に書く」
「忘れてた!!ごめん!!お姉ちゃん!!」
「すみません。ルーさん」
「構わないよ。カエデ」
56: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 20:00:47 ID:.UPaASQov2
ルーと会話を交わしているのは上位受付嬢のカエデさん。コノハのお姉さんなのだが、性格は正反対だ
コノハが天真爛漫なら、カエデさんは気品優雅とでも言うべきだろう。とにかく大人としての余裕みたいなのが出てる
「あの二人、絵になるよね〜」
コノハが帳簿をつけながら話しかけてくる
ルーは文句なしの美人だし、カエデさんは美人というより…なんだろう?天女?
「安心して!!セネル君も格好いいよ!!」
「別に気にしてねーよ」
年下に君付けされてるが、コノハに関しては色々と周りが甘い所があるからな
「コノハ、すまないがクエストの受注を頼めるか?」
「ふえ?いいですけど…セネル君疲れちゃいません?」
「今回は私が受注する」
57: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/17(月) 20:03:24 ID:iaGtp/4v.o
「え〜〜〜っ!?ルーさんが下位クエストを!?」
「セネルに狩りが見たい言われてな、少々物足りないが我慢するしかあるまい」
「ちなみに、なんのクエストを?」
「ボルボロス辺りでいいだろう」
「うわ〜、ルーさん。弱いものイジメはよくないですよ?」
「セネルの為だ。仕方ない」
なんか物騒な会話してないか?あの二人
58: 名無しさん@読者の声:2012/12/17(月) 22:22:45 ID:.5wHn4QFp6
続きキターヾ(=^▽^=)ノ
このスレ見つけてからずっと更新楽しみにしています♪
っCCCC
59: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 00:02:26 ID:9r5HZT/Q3c
>>58
そんなこと仰られたら大量更新するしかないじゃないですか!!
まあ、相変わらずの亀更新ですけどwww
支援感謝です♪
60: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 00:08:28 ID:KjLWmcL3EE
ルーが受けたボルボロスの討伐依頼に同行した俺達はベースキャンプにいた
「よし…携帯食料に…応急薬に…」
「携帯砥石をもらっていくぞ。まあ、多分使わないだろうがな…」
ルーがボソリと呟いた言葉に思わず耳を傾ける
あのボルボロスを砥石いらずで?
「ルー、本当に大丈夫なのか?」
「私を誰だと思っている?君の師匠だぞ?」
ルーは得意気に胸を張ると早々とベースキャンプから出発した
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!!」
俺は支給品をポーチに詰め込みながらルーの後を追いかけた
61: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 00:10:46 ID:KjLWmcL3EE
皆さんこんばんは
さぎしです
今日は色々とゴタゴタがありましてあまり更新が出来ませんでした
というのもそのゴタゴタがこのSSにも関係してる事なんですがね
本日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
62: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 14:23:51 ID:52PP2t7zb2
「そういやさ、ルーのその背負ってるランスって何の素材なんだ?全然加工されてないように見えるけど…」
ボルボロスを探す道すがら、俺はルーに武器について質問していた。ランスは使わないので知らなくてもいいことだが、興味はあったのだ
「このランスはブラックテンペストと呼ばれるランスで、角竜の亜種、黒角竜の上質な角から作られた武器だ」
「角竜…ってことは、ディアブロスか?」
「ああ」
「いつか…戦うのかな」
「恐らくな」
角竜と聞けば中堅ハンターも弱腰になるという程の狂暴な飛竜である
そんな角竜に挑む日が来るなんて…
63: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 14:29:17 ID:df/De3TGVs
「心配するな。今の君はまだ未熟だが。これから大きく成長するよ」
ルーが元気づけるように俺の頭を叩く
「そうこうしてるうちに…ついたぞ」
「へ?」
ルーが指差した先には小さな泥池があった
しかし…何もいないような
「よく見ろ」
ルーに促されて目を凝らして見る…ん?なんだあれ?
ルーは俺がなにかを発見したのを確認すると、そのなにかに歩いていった。そして
「ふん!!」
おもいっきり蹴りつけた
64: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 14:37:21 ID:4xmdquRWxQ
「ガアアアアア!!」
ルーが蹴りつけると、なにかは地響きを立てて地中から姿を表した
「ボルボロス!!」
俺が武器を構えようとしたとき
「動くな!!」
ルーは俺を見ずにボルボロスを見据えて俺を制止した
「君は目立たないようにしゃがんでいろ!!」
言われた通りにしゃがみこみルー達を見る
ボルボロスは突然起こった事にびっくりしていたが、ルーを見つけると敵と判断し、威嚇の咆哮をあげた
「ルー!!」
しかしルーは盾を構え咆哮を防いだ。いや、防ぐどころかそのままカウンターで腹部に槍を突き立てた
「ボルボロスは頭部と脚部の肉質が硬い!!しかし腹部の肉質は柔らかいのでそこを狙え!!」
腹部に深々と刺さった槍を素早く引き抜くとルーは横にステップをして後ろに回り込んだ
65: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 14:43:22 ID:4xmdquRWxQ
「ガアウッ!!」
特徴的な頭部でルーを殴ろうと頭を振ったが、ルーは既にその場所にはおらず空振る。ルーはその間に無防備な尻尾に上段突きをしていた
バキンという音と共に尻尾を覆っていた泥が砕ける。ルーはステップをしながら
「ボルボロスは泥がついているのとついていないのでは弱点属性が変わる!!泥がついている場合は火が、ついていない場合は水だ!!」
ルーが槍を突き出す度に砕け剥がれる泥。泥が剥がれて露出した甲殻にルーの槍が刺さる度に血が吹き出していた
66: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 14:50:47 ID:4xmdquRWxQ
突然ボルボロスの様子が変わる
頭部から煙を噴出し、怒りの咆哮をあげた
しかしルーはそれに臆する事なく真下からボルボロスの顎を貫いた
「ガアッ!!」
ボルボロスが仰け反りルーから距離があく
ルーはそれを見逃さずに体制を低くした
「はあっ!!」
ルーはボルボロスに向かって突進を仕掛けた
見た目はファンゴのような突進だが、威力はけた違いだ
槍が肉を刺す度に血が吹き出しボルボロスが痛みにうめき声をあげる
ルーは突進を止めると槍を横に薙いだ
その勢いにたまらず横倒しになって倒れるボルボロス。最早虫の息だった
「ふっ!!」
ルー呼吸を整えると、腹部に槍を穿ちボルボロスの息の根を止めた
67: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 20:18:33 ID:LBbMXTai1k
「す…すげぇ…」
ルーは当然といったような顔でこちらに歩いてきていた
ルーが凄腕ハンターだということは疑ってはいなかった。でも、もしかしたらと…ほんのちょっと油断するかなと思っていたが…ルーはボルボロスを何の危なげもなくあっという間に狩猟してしまった
「少々時間がかかったな…手を抜きすぎたか?」
もはやこんなことまで言い出す始末。これは一生ルーに頭が上がらないな
「どうした?剥がないのか?」
神妙な顔で悩んでいる俺にルーが声をかける
「俺がやったわけじゃないし、今日はルーの狩りを見たかっただけだからいいよ」
「そうか…」
ルーはそれ以上何も言わずに剥ぎ取りナイフを構えてボルボロスを剥ぎ取り始めた
「俺も…あんな風になれるかな…」
空に向かって呟いた言葉 それはいったい誰に聞いた言葉だったんだろうか
68: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 20:36:50 ID:x.G53gS2Po
ギルドに戻ると、受付が少しざわついていた
「何かあったのかな?」
俺が疑問に思うより早くルーがコノハに聞いていた
「何があった」
「あ、ルーさん…双炎の覇者の弟子と名乗る人が騒いでて…」
「双炎の覇者だと?」
双炎の覇者とは俺の両親の通り名みたいな者だった。いつも夫婦で狩りをしてるところから織姫と彦星、剣と鞘等様々言われていたがこの双炎の覇者というのが一番有名だった
有名だからこそ、こんな風に名前にあやかろうと弟子と名乗る者が後を絶たない
ちなみに俺の両親は弟子を取ったことがない。何十という人が弟子になりたがってはいたが…
69: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 20:40:52 ID:x.G53gS2Po
「はあ…またか、いいよコノハ。言わせたいだけ言わせておけば」
「うーん、そうしたいんだけどねぇ…お姉ちゃんが対応してるのよ」
「カエデさんが?」
「うん。なんでもリオレウスに挑戦させろーだなんて言ってきてね…その人装備がヘボの極みなのよ?いかせられると思う?」
「そりゃ無理だな。ルー、少し休憩してから…っ!!」
「・・・」
ルーに休憩を提案しかけて思わず身震いをしてしまう。何故ならルーは全身から殺気を滲ませ受付で騒いでいるハンターを睨み付けていたからだ
70: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 20:46:17 ID:7yUYKTB.9o
「お、おい…ルー?」
ルーは何も言わずにゆっくりと受付で騒いでいるハンターに近づいていく とてつもなく嫌な予感しかしない
「だーかーらー、俺様は双炎の覇者の弟子だよ?リオレウスくらい余裕だっつーの」
「申し訳ありませんが、ハンター様の力量では無理だと思います」
「ハンデだよ、ハンデ」
「上位のリオレウスですよ?死ぬ気ですか?ギルドが死体を引き取る手間を考えてください?」
「あのなぁ…狩れるっていってんの、早く依頼だせよ」
「おい」
「あん?ぶぐばっ!!」
ルーがハンターに声をかけハンターが振り向いた瞬間…それは見事な右ストレートをかましていた
71: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 20:52:09 ID:7yUYKTB.9o
「何すんだよ!?」
「それはこちらのセリフだ!!」
「ひっ!!」
語気を荒げ、明確な殺意を示していた
ルーにしては珍しかった いつもなら冷静沈着で何事にも動じないのに
「あの二人は私が知る限り最高のハンターだった…貴様のような葛が弟子?自惚れにも程があるぞ!!分を弁えろ!!」
「ひぃぃぃぃ!!」
ルーの本気の殺意にあてられたハンターはすっかり怯えてしまい、転びながらギルドから出ていってしまった
ルーにはちと申し訳ないが、あのハンターには同情せざるを得ないな
72: 名無しさん@読者の声:2012/12/18(火) 21:02:23 ID:TEFXytsk9o
何装備だったのだろうか
真ユクモノとかか?
73: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 21:16:01 ID:XIAVTAtKm2
>>72
高級ユアミでアルバ狩りに行った私に謝れ
ちなみにこの可哀想なハンターさんはハンター一式です。Sもつきません
74: 名無しさん@読者の声:2012/12/18(火) 21:20:37 ID:TEFXytsk9o
>>73
申し訳ありません
でも、リオレウスくらいなら裸でも倒せる気がします
75: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 21:21:08 ID:qIymICtQKA
「お見事ですね、ルーさん」
「すまない…取り乱しました」
「貴女は本当にあの二人の事になると人が変わりますね」
「・・・まあな」
ルーとカエデさんが何やら話をしているが、この距離からじゃよく聞こえなかった
それより、ルーの俺の両親に対する尊敬がそこまで高かった事に驚きだった
「ルーは父さんと母さんを尊敬してるのか?」
「ああ」
ルーは一瞬凄く寂しそうな表情をしたが、すぐに直して
「前に一度狩りに行ったことがある…それ以来、数回な」
「ふーん」
76: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 21:26:15 ID:qIymICtQKA
「君は…なんとも思わないのか?君の両親の名を語る輩が現れて」
「いいんだよ。あんなん日常茶飯事だし」
「それに、いくら名を語った所で、本人には敵わないんだから」
「君は…強いな。過去に囚われないのか」
「前を向いて生きろ」
「!!」
「父さんの口癖だったんだよね。過去は何をやっても変えられないけど、未来は変えられるからさ」
「・・・」
話をしているとき、ルーの表情は複雑だった
悲しみと寂しさと決意を胸に秘めたような…そんな表情だった
77: 名無しさん@読者の声:2012/12/18(火) 22:09:26 ID:4fuIC8BBSA
ナルガたんの作者さんだったんですね!あれ大好きなんです!
他の過去作も少し拝見してきました♪やっぱり大好きです(ハァト
っCCCCCCCCCCCCCC
78: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 23:00:06 ID:52PP2t7zb2
>>77
おうふ…まさかその名をまた聞けるとは思いもしませんでした…
私も嫌いじゃないです
あえて好きとはいいませんが
支援感謝です♪
79: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 23:07:11 ID:52PP2t7zb2
「さってと!!とりあえず次行こうぜ」
「・・・ああ」
ルーはまだ本調子じゃなかったが、ある程度は取り戻していた。どのみち戦うのは俺なんだから関係がないんだけど
「あ、セネル君。君に緊急の依頼が来てるよ」
「俺に?」
コノハが差し出したのはリオレイアの討伐依頼だった
「次の相手はリオレイアか」
ルーが依頼書を覗き込みながら呟く
雌火竜 リオレイア
別名陸の女王と呼ばれ、火竜リオレウスの番である
陸の女王と呼ばれるだけあって、その破壊力は桁違いで、今まで戦ってきたモンスターの比ではない
「・・・」
「一応期限は無期限だからいつでも受けれるよ?どうする?」
「今のままでは返り討ちにあう可能性も高い。ここは装備を整えてからでもいいと思うぞ」
「そうだね、そうするよ。情報も集めないとだし」
80: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 23:10:06 ID:UEFq.FzFOc
「ふむ…なら次はこいつだな」
そういいながらルーが取り出したのはクルペッコの討伐依頼書だった
「風圧のいい経験になるだろう。リオレイアには片手剣で挑むつもりか?」
「まあね」
「なら、尚更こいつで慣れておくべきだな」
「そうするよ」
俺はルーから依頼書を受け取り名前を書いた
「この依頼、セネル=ボルアスが引き受けた」
81: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 23:17:27 ID:UEFq.FzFOc
ネコタクで孤島に向かってる間、俺はルーからクルペッコの対処法を教わっていた
「それではおさらいだ。クルペッコの特徴は?」
「喉にある特別な器官で他のモンスターを呼び寄せる事が可能。破壊可能部位は火打石、嘴か?」
「その通りだ」
「その他にも演奏をして自分強化をしてくるんだっけか?」
「ああ、演奏をやめさせるには大きな音。大タル爆弾か音爆弾を使えば演奏を中止させることが出来る」
「片手剣なら、抜刀したまま道具を使用できるから、臨機応変に対応すること。これを忘れるな」
「ああ」
「まあ、君なら上手くやれるさ…もうすぐ着くぞ」
82: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 23:21:01 ID:52PP2t7zb2
皆様こんばんは
さぎしです
早いものでこのSSももうちょいで100いきますね
まあ、これは安定と信頼のさぎしクオリティって事でご容赦下さい
しかし、やっぱりモンハン書くの楽しいです
自分の好きな事ですからね
他にもガン○ムとかテ○ルズとか書いてみたいですけど…まあ、いつか
本日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
83: 名無しさん@読者の声:2012/12/18(火) 23:22:20 ID:TEFXytsk9o
クルペッコ亜種にナルガ亜種呼ばれたのはいい思いで
支援
84: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:31:50 ID:g5WCmxTCbU
>>83
ペッコ亜種がイビル臨時教師召喚
↓
イビル討伐後、ナルガ亜種召喚
↓
ナルガ亜種討伐後、ドボル召喚
↓
\(^o^)/回復追い付かねぇ
支援感謝です♪
85: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:37:14 ID:g5WCmxTCbU
孤島に着き支給品ボックスを開ける。中にはこやし玉や音爆弾などのクルペッコ対策のアイテムが入っていた
「やっぱり…音爆弾とか必要なんだな…ルー、準備出来たよ」
「・・・」
「ルー?」
ルーが返事しないのを不審に思い振り返ると、ルーはベースキャンプのベッドに腰かけて虚空を見つめていた
「ルー?」
顔を覗き込み反応を確かめる。ルーはそれに気づくと慌てて立ち上がった
「す、すまない!!ぼーっとしていた、すぐ行こう」
「大丈夫か?ベースキャンプで休んでれば?」
「弟子を尻目に休む師匠がどこにいる」
ルーは兜を被り直して歩き始めた
86: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:44:04 ID:Da6WQ42Ckk
「しかし…空を飛ぶモンスターね…初めてじゃないかな」
「君が私と会う以前に狩っていたなら話は別だがな」
「出来るわけないだろ」
軽い冗談を言いながらクルペッコを探す
出会った当初はお互いぎこちなかったが、今ではすっかり冗談を言い合えるような関係になっていた。まあ、師弟なのは変わらないけど
「・・・」
「ん?どうしたセネル」
「いや、なんでも」
ルーは今さらかもしれないが、かなりの美人だ
だから恋人や将来を誓った人がいてもおかしくはなさそうだが…
だが、ハンターというのは常に死と隣り合わせの世界。未練があると腕が鈍ると言われ、基本的にはそういった関係を持つのは暗黙のルールというやつで禁止されていた
父さんと母さんみたいに夫婦で狩りに出るハンターは例外らしいが
87: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:50:58 ID:Da6WQ42Ckk
どうしても気になった俺はルーに聞いてみる事にした
「なあ、ルーってさ恋人とかいないの?」
「・・・ぷっ、くっくく」
いきなり笑いやがった
そんなにおかしい質問はしてないぞ?
「すまない…くくく、君が、そんな質問をしてくるとは…思いもしな…ぷっ、あっはは!!」
ほっといたら腹を抱えて笑い転げそうな程に笑うルー
笑った顔も美人だなと思う反面、そこまで笑う必要があるのかと考えていた
「んじゃ、いないんだな」
「ああ…私はハンターだからな。帰る場所があり、死にたくないと思えば武器が鈍る」
「ふーん」
「何故いきなりそんな質問を?」
「気になっただけだよ」
「そうか…他に理由が…」
そこまでルーが喋ったとき、突然ルーが空を険しい顔で睨み付けた
つられて見上げると、ゆっくりと降り立つ影が見えた
88: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:55:30 ID:Da6WQ42Ckk
「来たぞ…クルペッコだ」
ルーが小声で俺に注意を促す
「分かってる」
俺はクルペッコの背後からゆっくりと近づいた
クルペッコはまだ気づいておらず、呑気に歩いている
「てやっ!!」
勢いをつけ飛びかかるように剣を降り下ろしクルペッコの尻尾を切りつける
クルペッコは突然の痛みに驚いて飛び上がったが、俺を見つけると羽を広げて威嚇をしてきた
「それが隙なんだよ!!」
素早くクルペッコの懐に飛び込み数回切る
そのまま横に回避してまた数回切りつけた
「クルゥ!!」
「うわっ!!」
クルペッコは体を回転させて尻尾を俺に叩きつけようとする。それを間一髪の所で盾でいなした
89: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:59:28 ID:Da6WQ42Ckk
「よし、もう一回!!」
クルペッコの懐に飛び込もうとするが、そうはさせまいとクルペッコも体を回転させる
「回転の隙を狙えば…そこだっ!!うわ!!」
クルペッコの回転の隙をついたはずが、突風で前に進めない
「これが風圧か…厄介だな」
ルーの話によれば、大剣や太刀、スラッシュアックス等重量がある武器は武器の重さで風圧をあまり受けないらしいが、今の俺は小回りを重視した片手剣だ
「焦っちゃ駄目だな。ゆっくり、確実に攻撃を重ねよう」
90: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 21:11:26 ID:g5WCmxTCbU
武器を構え直し、クルペッコに突っ込む
クルペッコは俺を見据えて両翼にある火打石を打ち付けて突進してきた
「そら!!」
俺は前転しながらクルペッコの足の間に入り股を切りつけて脱出する
クルペッコは視界から俺が消えたと共に起きた痛みに仰け反った
「てやあああ!!」
剣を振りかざし連続で切りつける
クルペッコは既に足をよろめかせその最後が近い事が分かった
クルペッコが飛び立とうとした瞬間、ペイントボールをつけクルペッコを見送る
これで場所はいつでも把握出来る
91: 名無しさん@読者の声:2012/12/19(水) 21:50:32 ID:7.4O1GfmJI
う〜ん面白い
支援支援
92: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:18:52 ID:B6HkiMrp42
>>91
ありがとうございます
支援感謝です♪
93: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:24:00 ID:LG1gFhOOtk
「よし、後は倒すだけだよな?ルー」
「・・・」
振り返ると、ルーは厳しい表情で俺を見ていた
「前から思っていたが、君は少々突っ込み過ぎじゃないか?見ていて危なっかしいぞ?」
ルーは心配してくれているのか、いつもより厳しい口調だった
「ご、ごめん…」
「動き自体は悪くはないからな。もう少し慎重にいけ」
ルーは励ますように俺の頭を軽く叩く
「さあ、最後の大仕事だ。抜かるなよ?」
「分かってる」
俺達地図を見ながらクルペッコを追いかける事にした
94: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:29:34 ID:B6HkiMrp42
「クルルル」
ペイントが教えてくれた場所に辿り着くと、クルペッコはスヤスヤと寝息を立てていた
「寝てるだけなら本当に問題ないのにな」
俺が呟いた言葉にルーが反応する
「モンスターも好きで人間を襲ってるわけではない。他のモンスターとの縄張り争いに負けたりして、土地を移らざるを得なかった種もいる」
「つまり、人間が悪いってこと?」
「どうだかな…私達はただ依頼されたモンスターを狩るだけだ」
そう語ったルーの目はやるせないような雰囲気だった
「やっぱり、ルーはモンスター狩るのはあんま好きじゃないのか?」
「・・・狩らなきゃ生きていけないからな」
ルーから紡がれた言葉
その一言がハンターの過酷さを物語っていた
95: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:34:12 ID:LG1gFhOOtk
「・・・」
俺は改めて寝ているクルペッコを見る
人間を襲うようにはとても見えない寝顔だった
クルペッコに近づき剣を引き抜く。そのまま剣を勢いよくクルペッコの首に突き立てた
「グアッ!!」
首の骨を貫通し、息の根を止める
ルーはただそれを黙って見ていた
「・・・ごめんな。でも、無駄にはしないからさ」
剥ぎ取りナイフを構えてクルペッコを剥ぎ取る
まだ暖かい体がさっきまで生きていた事を語っていた
「帰ろう。セネル」
剥ぎ取りが終わった頃を見計らってルーが帰還を提案する
俺はそれに黙って頷いた
96: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:37:57 ID:B6HkiMrp42
帰りのネコタクは静かだった
お互いがお互いとも話さないからだ
改めて感じたハンターという職業の辛さ
「ルー、もしもこの世界からハンターが無くなったらどうなると思う?」
「・・・人類が滅亡するな」
「・・・そうか」
答えたルーの言葉はひどく重かった
ハンターは皆このような思いを背負っているのだろうか
父さんや母さんはどんな気持ちでハンターをしていたのか
ルーはどんな気持ちでハンターを続けていたのか
そして、俺はどういう気持ちでハンターをやればいいのか…
97: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:42:53 ID:LG1gFhOOtk
「お帰りなさ〜って、暗っ!!」
笑顔で迎えてくれたコノハに手を上げて答える
今は返事を返す気分ではなかった
「何!?どうしたの!?ルーさんと喧嘩した!?痴話喧嘩!?」
「そんなんじゃねーよ…」
最早答えるのも億劫だった俺はギルドに設置されてる浴場に浸かって汗を流した
とにかく、今は早く眠りたかったのだ
家につくと、何やら物が多い気がしたが、アイルーが勝手に持ってきたのだろうと思って気にも止めなかった
俺はベッドに寝転がり、そのままゆっくりと眠りの世界に入った
98: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:46:45 ID:B6HkiMrp42
皆さんこんばんは
さぎしです
今回はリアルな視点で描いてみました
何故ハンターはモンスターを狩らなければならないか
ハンターが存在する意味とは
その答えをセネル君は見つける事が出来るでしょうか?
今日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々
ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
99: 名無しさん@読者の声:2012/12/20(木) 00:26:02 ID:gUbNZUcfAw
んん〜深い!
乙狩れさまでした。
っCCC
100: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/20(木) 20:09:54 ID:2k.durce8E
>>99
ありがとうございます
正直、なにいってんだこいつみたいな反応されてもおかしくはありませんでしたからね
支援感謝です♪
100ゲトー
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