ユクモ村
自然溢れるこの村は周囲に緑が多い
俺の名前はセネル=ボルアス
一応この村のハンターだ…新米だけど
今俺はハンターの基礎を教わるべく訓練所に訪れている。もちろん村長からのいいつけもあるが、それ以前に両親との約束で、ハンターになるなら必ず訓練所にいけと言われていた
両親は二人ともハンターだった。ただ…この世にはもういない
ヤマツカミ討伐中に飛竜に襲われて死んだらしい
その場にいたハンターの証言と、遺品が送られてきたからまず間違いないだろう。ハンターは死と隣り合わせの職業だといつも父さんが言っていたし、覚悟はしていたつもりだった
それに悲しみに暮れるよりも、ハンターとなって父さんと母さんの意思を受け継ぐ事が、俺に出来る一番の弔いなんだと思っていた
312: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 15:26:01 ID:gUlMLlO5yg
翌朝、俺はルーと一緒に起きた
ルーはずっと無言で、まだ昨日の事を引きずっているらしく俺と目を合わせようとしなかった
まあ…死にたがってたのを止めたんだからな…
俺はルーに頭を下げながら
「ごめん…あんなタイミングで言うのもどうかとおもったんだけど…でも、俺本気だから…」
「・・・」
ルーは何も言わない
「俺のこと…嫌いになってもいいよ…でも、お願いだから側にいてほしいんだ」
「・・・わけないだろ」
「ルー?」
「嫌いに…なるわけないだろ」
俺は顔を上げてルーを見る
ルーはほんのり頬を赤くさせていた
「ルー、ひょっとして照れてる?」
「・・・知らん///」
ルーは顔をますます赤くしてそっぽを向く
その姿が可愛くて、気がついたら俺はルーに飛び付くように抱きついていた
「こ、こら!!セネル!!」
「好きだよ…ルー。大好き」
「っ!!///…ああ」
313: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 15:35:27 ID:MvVpHIxlN.
ひとしきりルーと抱き合った後、ルーと手を繋いでギルドに向かう
ギルドにはルークや村長さんが待っていた
「おはようございます。ハンター様、昨日はお眠りになられましたか?」
「うん」
「それでは、カエデさん。説明を」
「わかりました」
カエデさんが俺のギルドカードを差し出しながら
「改めまして。セネル=ボルアス様、HR4認定おめでとうございます。これであなたは名実共に上位ハンターとなりました」
「上位依頼の斡旋。受付は私がやらせていただきます」
「・・・」
チラリとコノハを見るとあからさまに不満そうな顔をしていた
314: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 15:45:05 ID:gUlMLlO5yg
「それでは上位クエストについての説明をさせていただきます」
「上位クエストと下位クエストの違いは大きく三つあります」
「一つ目、開始地点」
「下位クエストではベースキャンプからスタートしていただき、支給品もございましたが、上位では開始地点がランダムで、支給品も後から届くようになっております」
「理由は二つ目に関連しているので深くは申し上げませんが、いきなり大型モンスターの目の前から開始というのもあり得ますのでご注意くださいませ」
「二つ目、個体の強さ」
「上位モンスターは総じて厳しい環境を生き抜いてきた個体が非常に多いです。また、そのぶん知恵も働きます」
「下位と同じように戦うと死にますのでご注意を」
「三つ目は、素材」
「下位と違い、更に上質な素材をてにいれる事が出来ます。武具防具の強化、作成に役立つでしょう」
「上位クエストについての説明は以上です。他に質問はございますか?」
「もうないよ。ありがとう」
315: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 18:48:51 ID:eVkVJ.l3wU
「ちょ!?ちょちょ!!本当に何もないの!?」
コノハが凄く慌てた様子で聞いてくる
「な、なんだよ…特に何にも…」
「あーるーのー!!」
「・・・何かあるの?」
「なんと!!上位ハンターでも下位のクエストは受けれるんだよ!!知ってた!?」
「・・・いや、知ってる」
コノハはあからさまに落胆して項垂れた
本当になんなんだこいつ
316: 名無しさん@読者の声:2012/12/31(月) 18:52:51 ID:PJdZ8M5cv6
コノハかわいいな〜
モンハンも好感度機能とかつかないかな←
支援
317: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 18:57:01 ID:eVkVJ.l3wU
「ハンター様。ここからは少々真剣なお話になります」
村長さんが真剣な表情で俺に話始める
「最近になり、ジンオウガが渓流付近にまで降りてきた理由が出てきましたの」
「ジンオウガは元々霊峰にすむ子なんですが…その霊峰に最近何かが住み着いたのです」
「ジンオウガが降りてくる程の何かです。以前ユクモ村に危機が訪れていると言いましたね?」
ルークが言葉を繋ぐ
「その後、ギルドの詳しい調査の結果、巨大な影が霊峰に住み着いている事がわかったのです」
「巨大な…影」
ルークの言葉を繰り返す ルークの表情は重かった
318: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/31(月) 22:10:43 ID:7ulrnFqknA
>>316
キリンとベリオとアズール装備の女の子とにゃんにゃん出来るんですねわかります
皆様こんばんは
さぎしです
ついに残す所数時間で2013年になりますね
この一年色々ありましたが、他の作品含め私がここでSSを書けるのも皆様の応援ご支援のおかげでございます
本当に感謝です!!
さて、少し早いですが今年の投下を終了致します
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでご回覧乙狩れ様でした♪
来年も、一狩りいこうぜ!!
319: 名無しさん@読者の声:2012/12/31(月) 22:24:44 ID:.5wHn4QFp6
0:00回った途端に更新ですね?
わかります
来年もよろしくお願いしまステンバーイ
良いお年をm(__)m
320: 名無しさん@読者の声:2012/12/31(月) 23:26:19 ID:1lXnxp3vvo
今年最後の支援
321: 名無しさん@読者の声:2013/1/1(火) 00:09:31 ID:r2FnmB6dc2
最初の支援
322: 名無しさん@読者の声:2013/1/1(火) 00:15:59 ID:CtXxZyuyE.
あけおめですヾ(≧∪≦)
323: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 14:06:38 ID:VUV.UHoanE
>>319
ところがどっこい
寝落ちです
>>320
>>321
支援感謝です♪
>>322
明けましておめでとうございます。今年もよろしくこのSSをご回覧くださるようお願い致します
324: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 14:15:28 ID:VUV.UHoanE
「ですから、ギルドではその巨大な影の対策として、ハンター様にジンオウガ討伐を依頼したのです」
「俺が?」
村長さんは微笑みながら
「あなたならやりとげられます…あなたのご両親は偉大な方でしたが、あなたはあなたですから」
「私はユクモ村村長として、セネル=ボルアスに期待していますよ」
「・・・」
言葉が出なかった
もちろん恐怖からではない
村長さんが、ここにいる皆が俺の事を一人のハンターとして認めてくれた事が何よりも嬉しかった
「さあ、立ち話もなんですし。セネル君。一狩りいきませんか?」
ルークが依頼書を差し出しながら俺に話しかける 俺がその依頼書を受け取ろうとした瞬間、ルーが横から取ってしまった
「っ!?ひぃっ!!」
ルークが大幅に後ろに下がる
「ルー…あまりルークをからかうなよ…」
「からかってなどいないさ。私はセネルと狩りにいきたい。ただそれだけだよ」
ルーは笑いながら依頼書に名前を書く
やれやれ、拒否権は無しか
325: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 14:25:19 ID:iAQ67aKMvk
「ルーさん…少し積極的になってません?」
ルークがルーをジトーっと見る
「好きな人と一緒にいたいと思うのは普通の事だろ」
ルーはその視線をものともせずに軽く受け流す
・・・って、え?
「ん?どうした?セネル」
ルーが俺の顔を覗き込む
いやいや、おま、いま…
「だ、駄目ですよルーさん!!」
「コノハ?」
コノハがバン!!と受付を叩きながら
「せ、セネル君はスッゴいマザコンで、年上好きで、めんどくさがりやで愛想無くて細かいところに気づいて、周りよく見てて…」
それ、誉めてんのか?けなしてんのか?
「言いたい事がいまいちわからないが、コノハはよくセネルを見てるのだな」
「いや…それはな…」
何故か急に口ごもるコノハ
「と、とにかく!!セネル君はルーさんみたいな人とは釣り合わ…」
「それは私が決める。それに昨夜セネルも私の事が好きだと言ってくれた。つまり相思相愛というやつだ。問題はない」
「なっ!?」
おいばか、なんて爆弾発言してるんだ
コノハも顔面蒼白になってんじゃねーか
326: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 14:33:01 ID:VUV.UHoanE
「これはこれは…私は赤飯を炊く準備をした方がいいでしょうか?」
ルークがニヤニヤしながら俺とルーを見比べる
「近いうちに頼むかもな」
そんなルークのからかいをまたしても軽く受け流す
「皆さん」
全員がビクッと跳ねる
声の主がカエデさんなんだけどカエデさんじゃなかった
「クエスト、いくんですか?いかないんですか?」
「・・・行きます」
俺はルーから依頼書を半ば奪うように取り、自分の名前とルークの名前を書いてカエデさんに出した
何故かって?顔は笑ってるのに目が笑ってないんだよ
「それでは、クエスト アオアシラが大変です×2気をつけてください」
いつもの営業スマイルで送り出すカエデさん
でもいまはそれも怖かった
327: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 22:56:08 ID:IGFgpVzJso
ネコタクに揺られ渓流に向かう俺達
背中ではなく腰に差したリュウノツガイをいじりながらぼやく
「しかし…アオアシラね…随分と手ぬるい感じがするんだけど」
「あまりなめない方がいいぞ。セネル」
ルーが厳しい口調で俺を諭す。ルークも頷きながら
「上位のアオアシラ二頭を甘く見てはいけませんよセネル君。私も苦戦したものです」
「マジかよ…」
信じられなかったが、この二人が口を揃えて言うのだから、警戒はしといた方がいいだろう
「そろそろつくぞ」
ルーが注意をそちらに向けた瞬間、二人の気配が消え、俺は渓流に立っていた
これか、バラバラの場所から始まるというのは
328: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 23:01:17 ID:D9txi/yolg
改めて周りを見回す
一見なんの変哲のない渓流の風景だが、遠くの方にこちらを発見したアオアシラ。近くにこちらに背を向けたアオアシラがいた
アオアシラはこちらに気づくと、お馴染みの両手をあげる威嚇をする
「いきなり目の前かよ…」
俺は剣を抜き走り出す
ルーの話を聞いていて思ったが、父さんのこの持ち方はどうも走りやすい 何か特別な持ち方なんだろうか
そうこうしてる内にアオアシラが目前まで迫る
俺は体を捻りながら切りつけ右に回避する
思った通りアオアシラは俺がいた場所にまっすぐ突っ込んでいった
「はっ!!ざまぁ!!」
俺は勢いよくアオアシラに走り出そうとしたが
「ガァ!!」
「うわっと!?」
もう一匹のアオアシラがこちらに気付き鋭利な爪を振り回してきた
329: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 23:13:01 ID:IGFgpVzJso
「あっぶねー、でも!!当たらなければければどうということは!!」
俺は後ろに向かって走り出す
爪を振るったアオアシラはそれを追いかける
先程突っ込んできたアオアシラがこちらに向き直ると同時にアオアシラの背中に飛び乗り跳躍する
「いっけぇ!!」
俺は上空から爪アシラに向かって飛び蹴りを食らわせる
武器に比べれば随分と威力が低いが、爪アシラを驚かせるには十分だった
「ふっ!でやっ!!」
爪アシラが驚き硬直したところに無防備な腹を切りつける。左右から素早く数回切りつけ、回し蹴りで止めという随分変わった攻撃だが、俺はこの攻撃は好きだった
突進アシラが後ろから迫ってくる
「はっ!!」
怯んだ爪アシラにサマーソルトキックをしてその反動で後ろから迫ってきていた突進アシラの背中に飛び乗る
「でぇいやぁ!!」
右手の剣を掌で回転させながら突き刺す
こうする事により、回転の力で突き刺す力が上がるらしい
「ギャウ!!」
痛みにのけ反った突進アシラから飛び降り改めて対峙する
二匹のアシラは完璧にこちらを敵として見ていたが、こちらは一つ問題があった
「・・・あれ、どっちがどっちだっけ?」
俺は先程までの攻防で、どっちがどっちのアシラかわからなくなっていた
330: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 23:19:16 ID:D9txi/yolg
「ふふ、セネル君も同じ道を歩んだみたいですねぇ」
私から少し離れたら距離から微笑ましそうにセネルを観察するルーク
全く、セネルが怪我でもしたらどうするつもりなんだ
「ああ、ご心配なく。セネル君にもしもの事があればすぐにお助けにはいります」
親指を立て爽やかな笑顔と共にウインクをかますルーク
大半の女ならこれで惚れてしまうらしいが、私は大半の女に括られる存在ではないし、ルークが女性恐怖症なのだから意味がないだろう
「しかし…セネル君のあの戦いかた…曲芸じみてるといいますか…特殊ですね」
「あれはセネルの父親、ジュードの戦いかたにそっくりだ」
「ああ…言われてみれば。彼もよく蹴りを使いましたね。確かに不意を突くには有効ですが…何か意味があるんでしょうか?」
「本人曰く、カッコいいから、らしい」
「・・・」
ジュード達と狩りをしたときに聞いたことがあった
その時は子供っぽいと内心呆れたものだが…
「さぁて、セネル君はこれからどうするんですかねぇ…」
ルークが面白そうにセネルに視線を戻す
私もまた、いつでも助けれるように構えながらセネルを見守った
331: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/1(火) 23:21:47 ID:D9txi/yolg
皆様こんばんは
さぎしです
セネル君in上位の回でしたが、アオアシラ二頭は皆様もさぞ苦戦したと思われます
ちなみに私はこやして一頭ずつハメハメしました
本日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
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