ユクモ村
自然溢れるこの村は周囲に緑が多い
俺の名前はセネル=ボルアス
一応この村のハンターだ…新米だけど
今俺はハンターの基礎を教わるべく訓練所に訪れている。もちろん村長からのいいつけもあるが、それ以前に両親との約束で、ハンターになるなら必ず訓練所にいけと言われていた
両親は二人ともハンターだった。ただ…この世にはもういない
ヤマツカミ討伐中に飛竜に襲われて死んだらしい
その場にいたハンターの証言と、遺品が送られてきたからまず間違いないだろう。ハンターは死と隣り合わせの職業だといつも父さんが言っていたし、覚悟はしていたつもりだった
それに悲しみに暮れるよりも、ハンターとなって父さんと母さんの意思を受け継ぐ事が、俺に出来る一番の弔いなんだと思っていた
350: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 22:32:32 ID:RAo/q.JuHo
一人残された俺は火照った体をを冷まそうとコップに水を注いで喉を潤していた
色んな意味で水分を失った為か、水が喉を伝うのが心地いい
「・・・ルーの奴、どうしたんだろ」
改めてルーの様子を思い出す
明らかに様子が変だった。まるで薬でも盛られたかのように…
そこまで考え、ふとテーブルを見る
ルーが何かを書くのに使っていた手帳と、ペンと…コップ?
俺はそのコップを手に取り臭いを嗅ぐ
「っ!!これ、黄金芋酒じゃん!!」
コップの中に注がれていた金色の液体は珍酒の黄金芋酒だった
何故黄金芋酒が注がれているのか…いや、それより
「まさか…さっきの…酔っ払ってたの?」
351: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 22:37:17 ID:2BBUCgR206
「どうやらそのようですね」
「うわあああああ!?」
突然声がして驚き振り返る
そこにはルークが爽やかな笑顔で立っていた
「どうも、セネル君」
「ルーク…お前いつからいたんだよ…」
「そうですねぇ…」
ルークが顎に手を置き考え込む素振りをし、ややあって
「ルー、俺も死ぬのは怖いよ…の、辺りからですね」
ご丁寧に声真似までしやがった。しかも妙に上手い
「・・・って、最初から見てたのかよ!?」
「ええ、それはもうセネル君が悶える姿を何から何まで」
「うわああああああ!!」
俺は本日二度目の絶叫をした
352: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 22:41:50 ID:2BBUCgR206
「み、見てたんなら助けろよ!!」
羞恥で顔を真っ赤に染めながらルークを怒鳴り付ける
「申し訳ありません。私は女性恐怖症ですし…それに」
ルークは、やや顔を伏せて
「私が…女性恐怖症になった時の事を思い出しまして…」
「ルークが…」
「ええ…」
ルークは少しだけ震えていた
俺はビックリした
あの冷静沈着なルークが震える程の経験をしたなんて…
「何が…あったんだ?」
俺はルークに真剣に聞いてみる
「・・・辛い話ですよ」
ルークは近くの椅子に座り語り始めた
353: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/3(木) 22:43:34 ID:RAo/q.JuHo
皆様こんばんは
さぎしです
エロ?書くわけないだろ?
本日の投下を終了いたします
見てくださった方々ありがたうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
354: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 16:54:33 ID:REyqDbJZgQ
「あれは、私がG級にあがってまもなくの事でした…その日はガノトトスの討伐クエストを受けてましてね…」
ルークの語る口調は鬼気迫る物があり、思わず俺は姿勢を正していた
「そんなときに狩りに同行したいと申し出たハンター達がいましてね…忘れもしませんよ…」
「キリンXにザザミZ、ザザミXの姉妹…」
「・・・ん?全員女?」
「はい…そしてキリンXはヘビィボウガンで、後はライトボウガンでした」
「バランス悪いな…」
「その時は私も思いましたが、G級ハンターだったので問題ないと思ってたんです…」
「悔やんでも悔やみきれませんよ…あの時断って一人で行っていれば…」
355: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 17:03:37 ID:7Z2YiUeokA
「話を戻しましょう。狩り自体はとても上手くいきました。彼女達も息の合った連携でガノトトスを追い詰めたのです」
「しかし、あと一歩というところで、ガノトトスが逃げてしまい、ペイントと消えていたので場所がわからなくなったのです」
「キリンXさんの判断で、二手に別れる事になり、私はキリンXさんに同行しました」
「私が前を歩いていると、後ろで微かな装填音と同時に弾が飛んできたのです」
「私は急いでかわすと、キリンXさんは申し訳なさそうに謝ってきたんですよ」
「装填してしまおうとしたら誤射してしまった。許してほしいと」
「ガンナーには希にあることなので、私は構いませんと言いましたが…次の瞬間私の背中に何かが刺さり、私は麻痺で動けなくなっていました」
「必死に首だけを動かし後ろを見ると、別れた筈のザザミ姉妹が私にライトボウガンを構えてにんまりしてたんです」
「忘れもしませんよ…あの獲物を手に入れた時の獣のような目…」
356: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 17:12:22 ID:7Z2YiUeokA
ルークがカタカタと震え始めた
「それで…どうなったんだ?」
「私は、ベースキャンプに連れ込まれ…文字通り絞り尽くされるまで犯されました…」
ルークの顔は真っ白だった
「そんな…事が…」
「はい…ですから、先程のセネル君の状況を昔と重ねてしまいまして…まあ、セネル君の方がよっぽど幸運な状況でしたが…」
「ごめん…ルーク」
「いいんです。私もいけなかったのですから」
ルークが疲れたような笑みを浮かべながら励ましてくれる
「そういえば、ルーさんは大丈夫でしょうか」
ルークが思い出したように呟く
そうだ!!ルー!!
「ごめん!!ルーク!!俺、ちょっと見てくる!!」
俺はギルドへの道を駆け出した
357: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 19:24:23 ID:OVSWlYCIKk
「ルー!!」
俺がギルドに駆けつけると、そこには半べそをかきながらカエデさんに起こられているコノハと、ひたすらに渓流天然水を飲んでいるルーがいた
「あぅぅ…ゼネル君〜ごめん〜ごめんね〜」
コノハが俺に気がつきすがりつきながら謝ってくる
いったいカエデさんは何をしたんだ?
カエデさんを見ると、いつもの笑顔で微笑んでいるだけだった
一方、ルーは素面でグビグビと渓流天然水を飲んでいる
「ルーは…何を?」
「ルー様から酒気を感じましたので、水による酒抜きが必要だと判断いたしました」
カエデさんは笑顔のまま事情を説明してくれる
「ルー様は私がお運びしてる間もずっとセネル様の名を呼び続けていました。ルー様はお酒に弱いのですよ」
「カエデさんは知ってたんですか?」
「ルー様とは少々のご縁がありますので」
上手くはぐらかされたような気がするが…ともかく
「ルーは大丈夫なんですか?」
「大丈夫です。私の経験上もうすぐ治りますわ。ルー様はお酒が入ると、特定のものに固執し独占するんですよ」
358: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 19:31:17 ID:.f1NH6m4X6
カエデさんの話からルーは相当酒に弱い事がわかった…いや、それより
「色々と凄い酒癖ですね…今回はたまたま俺だったのか…」
「そうでもありませんよ」
にこやかに微笑み否定とも肯定ともつかないどっち付かずな返事をするカエデさん
「セネル…」
後ろから呼ばれたので振り返ると、いつもの表情でルーが俺に話しかける
「先程はすまなかった」
「いや…いいよ」
いつものように凛とした表情で、先程のような淫魔な雰囲気ではなかった
「というか、大丈夫なのか?」
「私は問題ない。君は優しいな…私の心配をしてくれるなんて…」
「ああ…いや、まあ、うん」
黄金芋酒を所持していた俺に責任はあるし、ルーばかりが悪いわけではない
「・・・あれ?ひょっとして何があったのか覚えてるのか?」
「・・・」
ルーが水を飲む手を止める
後ろでコノハが小さく悲鳴をあげたような気がした
359: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 19:46:43 ID:.f1NH6m4X6
「・・・まあな」
だが、ルーは再び水を飲み始める
おいおい、俺が来てからもう既にコップ8杯は飲んでるぞ?大丈夫なのか?
「ルー…」
不安になり、ルーに近づく
「・・・」
ルーまで後一歩というとき
「それ以上いけませんセネル様!!」
カエデさんの厳しい制止で俺の足は一瞬止まる
「え!?むぐ!?」
その隙を突き、ルーは俺を抱き寄せ唇を重ねた
「んーー!?」
なんてこった。まだ酒は抜けてなかったのか
だが、ルーが次の動作に移るより早くカエデさんがルーの後ろに回り込み首に手刀を食らわせる
「くっ!!」
だが、ルーは咄嗟に体を捻り直撃を避けた
ルーは俺を抱えたままカエデさんから三歩程下がる
360: 名無しさん@読者の声:2013/1/4(金) 20:53:27 ID:iVrzPrlVFw
なんだこのバトルw
361: 名無しさん@読者の声:2013/1/4(金) 21:38:17 ID:NaSHqV57P6
ワロタwww
362: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 22:02:27 ID:FvptZ7Oy6.
「ルー様。あまりお戯れが過ぎますと、私も本気を出すことになりますが」
カエデさんから笑みが消え厳しい口調になる
しかしルーはそれを受け流すようにせせら笑う
「お前が?私に勝てた事のないお前の本気などたかが知れているな」
こいつ、本当に酔っぱらってんの?素面なんじゃないの?
「あの頃と同じと思われては困ります!!」
カエデさんが詰めより突きを放つ
「っ!?」
しかしカエデさんは突然後ろに飛び退いてしまった
ルーは左腕を使い俺を抱き寄せつつ、右手で剥ぎ取りナイフを構えていた
「セネルを抱えたままは少し動きづらいが…」
そう言いながらゆっくりとカエデさんから距離を取る
「最後だ。カエデ。次に攻撃をしてきたら…この場でセネルを犯す」
「・・・はいぃぃぃ!?」
あまりにも突然出た死刑宣告に俺は暴れて抗議をする
「ちょ!!おいルー!!聞いてないぞ!!てか、お前素面なんじゃないのかよ!!」
「セネル…あまり暴れるな。君に危害を加えるつもりはない」
「それが危害なんだよ!!」
363: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 22:08:57 ID:FvptZ7Oy6.
俺は暴れながらこの場をどうにかしようと頭を働かせる
このまま暴れてルーに隙を作ればカエデさんが助けてくれるかもしれない しかしそれだと右手にあるナイフが最大の邪魔だ。かといってこのままなにもしなかった公開処刑は免れない
俺はふとあることに気づく
俺の左手が、ルーが先程飲んでいた水のコップに手が届くことを
やるしかない
俺は覚悟を決めてコップを掴んだ
「!!」
ルーが俺の動きに一瞬注意を向ける
そこにカエデさんがまた突きを繰り出そうと前に進んだ
「ごめん!!ルー!!」
俺は水をルーにかけた
バシャアという音と共にルーの顔に水がかかる
ルーは咄嗟に顔を背けたが、そのせいでカエデさんへの注意が逸れる
「っ!!」
今度こそカエデさんの手刀がルーの首に当たり、ルーは気を失った
364: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/4(金) 22:13:27 ID:FvptZ7Oy6.
「ありがとうございます…セネル様」
「いや…うん…」
咄嗟だったとはいえ、ルーには酷い事をしてしまった
カエデさんからタオルを借りてルーの顔を拭き取る
「これほどまで固執したのは初めてです…そんなにセネル様の事を…」
カエデさんがなにかを呟いたような気がしたが、あまり聞き取れなかった
「セネル様、ルー様の介抱は私がいたします。セネル様は自宅へとお戻り下さい」
「はい」
あらかた顔を拭き取り終わり、首まで拭きかけたとき、俺は気づいた
ルーの服にまで水滴は飛んでいる
ルーの着ていたのは白のシャツ
俺はタオルをカエデさんに押し付けると逃げるようにギルドから出た
365: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/5(土) 00:06:19 ID:kS4dlMjAuI
その後の事はよく覚えていなかった
自宅に戻った俺は疲れからそのままベッドで寝息をたててしまった
一時間かそこらだろうか 寝返りを打とうとして顔が柔らかい物に包まれる
恐る恐る目を開けると白 ・・・じゃなくて、双丘が
「っ!!」
咄嗟に離れようとしたが、何者かに押さえつけられ離れられなかった
まずい、これは非常にまずい
俺の頭の中がまずいで埋め尽くされそうだった時
「ん…起きたか、セネル」
「ル、ルー…?」
目の前の双丘の持ち主
というより、冷静に考えたら押さえつけてる犯人はルーしかいないわけであって。更に言えばルーは普段こんなことしないわけで
「セネル…好きだ」
ルーが押さえつける力を強める
顔が押し付けられ息がしづらくなり
「ル、ルー!!息が出来ないよ!!」
そう叫ぶと、突然力が弱まった
366: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/5(土) 00:10:29 ID:stc8zXio6w
「!?」
驚いて起き上がると、ルーは寝ていた
「ようやく効いてきましたか…」
部屋の奥からカエデさんが疲れた顔をして入ってくる
所々服が乱れてるのは激闘の跡なんだろうか
「即効性の麻酔を打ちました。しばらくは安全です…目を覚ませば元通りだと思いますので…しばらくは…ご不便をおかけします」
「は、はぁ…」
ご不便というのは、先程から手首を掴んで離さないルーの事を言ってるのだろう
「私は…職務に戻ります…では…」
余程疲れてるのか、笑顔も見せずにギルドに戻っていくカエデさん
俺はその後ろ姿を黙って見送った
367: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/5(土) 00:12:50 ID:stc8zXio6w
翌日、カエデさんの言った通り、ルーは元に戻っていた
不幸中の幸いか、記憶は一切無いらしく、昨日の出来事をまるで覚えていなかった
なんか複雑だが、触らぬ神になんとやら
俺はこの事には触れないように心に誓った
368: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/5(土) 00:15:52 ID:stc8zXio6w
皆様こんばんは
さぎしです
まずは謝罪をさせてください
昨日からすいませんでしたーー!!
改めて読み返してみたらまるでモンハン成分がないという恐ろしい事態になっていました
もはやこれはモンハンSSの名を借りた何かになっていましたね
本当にすみませんでした
本日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
369: 名無しさん@読者の声:2013/1/5(土) 00:19:33 ID:iM2L5FqJfI
、、、、、、おねいさん、
あえて言おう。
またアンタか!
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