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駆け出しハンターと愉快な狩人達
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1: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/16(日) 00:56:15 ID:LEiceYsiw.
ユクモ村

自然溢れるこの村は周囲に緑が多い
俺の名前はセネル=ボルアス
一応この村のハンターだ…新米だけど
今俺はハンターの基礎を教わるべく訓練所に訪れている。もちろん村長からのいいつけもあるが、それ以前に両親との約束で、ハンターになるなら必ず訓練所にいけと言われていた

両親は二人ともハンターだった。ただ…この世にはもういない
ヤマツカミ討伐中に飛竜に襲われて死んだらしい
その場にいたハンターの証言と、遺品が送られてきたからまず間違いないだろう。ハンターは死と隣り合わせの職業だといつも父さんが言っていたし、覚悟はしていたつもりだった
それに悲しみに暮れるよりも、ハンターとなって父さんと母さんの意思を受け継ぐ事が、俺に出来る一番の弔いなんだと思っていた


596: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 20:01:21 ID:vGr4fxBIqI
>>595

もったいなきお言葉

私の作品が高クオリティなら、他の方のは神クオリティですね

いや、比べるのもおこがま…

肉支援感謝です♪
597: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 20:08:39 ID:vGr4fxBIqI
「・・・よろしいでしょうか?」

「あ、ごめん…」

二人の世界に入り込みそうになるのをルークが止めてくる

「ともかく、なんらかの形でお二人にもお触れが来るかもしれません。注意をしてください」

「ありがとう。ルーク」

「いえいえ、それでは私はこの辺りで…あ、そうそう」

玄関に歩いていくルークが急に振り向き、ここ一番の笑顔で親指を立てながら

「今晩は、お楽しみですね」

「なっ!?」

「では」

俺が問い詰めようとするとルークは風のように去っていってしまった

浴場でのやりとりもばっちり聞かれていたらしい
598: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 20:16:08 ID:vGr4fxBIqI
残された俺達は顔を見合わせる

ルーはいっそ清々しいくらいの無表情である
くそ、俺にもあのポーカーフェイスが出来れば…

「まあ…ルークの言ったことは留めておいた方がいいかもしれないな」

それは何を指して言っているのか。もしもお楽しみだったとしたら俺は全力で遠慮させてもらう

・・・いや、お楽しみが嫌なわけじゃないよ?寧ろ俺だって男なんだからそういう欲求もあるよ?でもさ、あれだよ、うん

「セネル…聞いているか?」

「ひゃい!!」

我に返り声が裏返る
突然声をかけられびっくりした

「もしも私とルークがこの村を離れたら…ユクモ村を頼む」

「え!?」

ルーの表情は真剣だった

「・・・うん」

俺はその迫力に思わず頷いてしまう
聞きたい事は山ほどあるのに聞けない

くそ、俺のヘタレめ
599: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 20:21:25 ID:vGr4fxBIqI
「さて…風呂に入ってくる」

「また!?」

ルーが立ち上がり浴室に向かう

「・・・ほんと、女の子って綺麗好きだよな」

「そうじゃない。集会浴場だと入った気にならんのだ」

ルーは腰に手を当てながら呆れたように呟く
残念ながら、俺にはよくわからん

「おい、セネル」

「なに?」

ルーに声をかけられ振り返る

「背中を流せ」

「は!?なんでよ!?」

「集会浴場で流してやっただろうが」

「あれはほぼ無理やりだろうが!!」

「知るか」

ルーに腕を掴まれ引きずられる

「ちょ!?やめ、離せぇぇ!!」

こうして俺は風呂場に無理矢理連れ込まれた
その後どうなったかは皆さんのご想像におまかせする
600: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 20:28:01 ID:vGr4fxBIqI
翌日、俺はルーと砂漠に立っていた

「うぅ…ちくしょう」

「まだ言うか、いい加減腹を括れ」

「お前が言うなよ!!」

俺は両手を振り上げ怒りを露にする。あんな目に合わされて泣き言の一つも言いたくなるものだ

「くそ…なんでだよ…」

「私は楽しめたから別に構わないがな」

「ルーはだろ!?俺なんか…うぅ…」

ルーは満足そうに頷く
結婚してから妙に大胆になってる気がする

「さあ、泣き言はもう終わりだ…来るぞ」

ルーが言ったとほぼ同時に目の前が砂に包まれる

砂埃の先には黄土色の甲殻に二本の巨角
砂漠の暴君と呼ばれる角竜 ディアブロスが猛々しく現れた
601: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 22:41:42 ID:HxQMLvgrOM
「よし…いくぜ!!」

ディアブロスの起こした砂塵に突入する
幸いディアブロスは俺達に気づいてないみたいだ

「うぉぉぉぉ!!」

火事場を発動して角を蹴りつける

「グガア!?」

突然の痛みに驚き仰け反ったディアブロスの背後にルーが回り込み、槍を突き立てる

「ガアッ!!」

ディアブロスが俺達を発見して臨戦体制をとる

「遅いんだよ!!」

剣を一閃し足を切りつける

「ガアウッ!!」

「うわっ!!」

「くっ!!」

ディアブロスは突然尻尾を振り回し、俺達を凪ぎ払う

「大丈夫か!?ルー!!」

「問題な…っ!!くあっ!!」

ルーが体制を立て直すと同時にディアブロスの角がルーに襲いかかる
ルーは防御できず弾き飛ばされてしまう

「ルー!?てめぇぇ!!」

剣をしまいディアブロスに飛びかかる
角を掴み力任せに手折る

「グギャアアアア!!」

角を折られ激痛に絶叫するディアブロス

「ルー!?大丈夫か!?」

「大丈夫だ…それより、前の敵に集中しろ!!」
602: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 22:48:53 ID:HxQMLvgrOM
「グルルルルル…」

角を折られたディアブロスは黒煙を吹き出し怒る

「どうやら相手は相当ご立腹みたいだな…」

ルーが槍を構え直す

「関係ない。ただ狩るだけだ」

俺は剣を構えディアブロスを見据える

ほんの一瞬が永遠に感じた

「「はあああっ!!」」

「グガアアアアア!!」

俺達とディアブロスは同時に駆け出した
603: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 22:54:23 ID:HxQMLvgrOM
ルーの槍がディアブロスの心の臓を貫き、俺の剣が両目を穿つ

だが、ディアブロスはそれでも止まらなかった

「なんて生命力だ!!」

ルーが忌々しげに叫ぶ

だが、俺には解っていた もう、あのディアブロスは死ぬと

俺は剣を捨てて走り出す

「セネル!?」

ルーが驚愕の声をあげる ディアブロスは俺に気づくと俺を貫かんと角をつきだした

「ふっ!!」

俺は体を捻りながら飛び上がる

「でぇぇい!!」

そのまま急降下し、ディアブロスの残った角を踏みつける

「グギャアア…アア…」

ディアブロスは断末魔をあげてその場に崩れ落ちた
604: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/21(月) 22:57:15 ID:HxQMLvgrOM
皆様こんばんは

さぎしです

安定と信頼のバトルシーンカットです

とにもかくにも投下を終了します

中々本編が進まないな…ちくせう

見てくださった方々ありがとうございました!!

ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
605: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/22(火) 18:30:31 ID:b4dYJxAukI
「・・・終わったか」

ルーが槍をしまい警戒を解く
俺も警戒を解いて地面に座り込んだ

「はぁ…疲れた…」

「全く…あんな無茶をして…死ぬ気か?」

「仕方ないだろ?ルーが吹き飛ばされた時にはもうあれだったんだから」

「・・・やれやれ」

ルーは俺の言葉を聞き流しながら剥ぎ取りにかかる。俺もルーに習って剥ぎ取りを始めた

「こんなんでいいか?」

「問題ない。帰還しよう」

ルーが歩きだすのに着いていく

・・・このとき、もう少し村に帰るの遅くしていたら、あんなことにはならなかったのかもしれない
606: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/22(火) 18:35:41 ID:y4tJpZ5ZuI
「なんだ?騒がしいな…」

村に着くと村長さんが数人の男と話していた
村長さんは何やら語気を強めている

「ただごとじゃないらしいな…ルー、見てく…」

俺が見てくると言おうとした瞬間、既にルーは村長さんの元に歩き始めていた

「ですから!!そんなこと知りもしませんし、ルー様はそんなことなさいませんわ!!」

「しかしですね。目撃者が多数いるのですよ」

「証拠はおありなんでしょうね?」

「それは村長を勤めているあなたが一番よくお分かりでしょう。ハンターの目の良さを」

男の一人が村長さんに詰め寄り厳しい口調で問いかける

「隠してもあなたの立場が悪くなる一方ですよ。ルー・シフォンはどこですか?」

「知りません」

「狩りに出たのですか?なんの!?」

「存じません」

「村長!!あなたは…」
607: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/22(火) 18:41:38 ID:b4dYJxAukI
「私に何か用か?」

「!!」

その場を制するような凛とした声に男が全員こちらを振り向く

先程威圧していた男がルーに詰め寄る

「貴様がルー・シフォンか?」

「そうだが…だったらなんだ?」

「うう…」

ルーの眼光が鋭く光り男を圧倒する

「止めなよ。君が敵う相手じゃない」

「イオン殿!!しかし…」

「いいから黙って…ね?」

「・・・」

イオンと呼ばれた男が俺達の前に出てくる

中性的な顔立ちをしていて小柄な体つきである

「はじめまして。ルー・シフォン。僕はイオン。よろしく」

イオンは笑顔でルーに手を差しのべる。だがルーは

「馴れ合いに来たわけでは無いだろう?早く用件を言え」

「怖いなぁ…泣いちゃいそうだよ…」

イオンが困ったように笑う

俺には分かる。このイオンという奴。かなり強い
608: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/22(火) 18:48:53 ID:b4dYJxAukI
「僕達は…まあ、服を見ればわかるかな…」

イオンは服を引っ張って俺達に見せる
イオン達が来ているのはギルドバードスーツといって、ギルドナイツに所属している者だけが着れる特別な物である。さらに、イオンの胸に光るバッジは…

「私に用があるだけでわざわざ隊長殿がご足労か…」

「僕はそんな偉い地位にいないよ」

イオンが笑顔で訂正する

どうでもいいかもしれないが、笑顔というのはひとそれぞれだ
ルーみたいにあんま笑わない奴もいれば、カエデさんやルークみたいに笑顔を使い分けてる奴もいる

だが、このイオンは笑顔にさせちゃいけない気がする

「さて…用件なんだけど」

「ルー・シフォン。君に殺害の容疑がかけられている」
609: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/22(火) 18:54:46 ID:y4tJpZ5ZuI
「・・・」

「はぁ!?」

ルーが反応するよりも早く俺が声を出す

「今朝の事だよ。孤島でハンターの死体が出てきた。腹部を槍で貫かれ即死らしい」

「や、槍だけで疑うのかよ!?」

「孤島の近辺に住む人や、ハンターに聞き込みをした…皆、黄金の鎧に身を包んだハンターが黒槍を携えて逃げたって言うんだ…」

「た、たまたま同じ装備だった…」

「殺されたのはHR9のハンターだ。生半可なハンターじゃ返り討ちだよ」

イオンは笑顔を見せながら

「というわけで、ルー・シフォン。君をドンドルマのギルドナイツに連行する」

数名の男がルーを取り囲んだ

ルーは何もせずに黙ってイオンを睨み付ける

一人の男の手がルーの肩に手を伸ばす

「っ!!ルー!!」
610: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/22(火) 18:59:04 ID:b4dYJxAukI
素早くルーと男の間に割って入り手をはね除ける

「貴様!!」

他の男が俺に掴みかかろうとしたが

「遅い!!」

俺は男達の腹に拳を沈ませ気絶させる

「へぇ…凄いね君。名前は?」

イオンが拍手をしながら俺の名を聞いてくる

「セネル=ボルアス」

「…ボルアス?」

イオンの表情に変化が現れる

「正真正銘、あの双炎の覇者の息子だよ。そして私の夫でもある」

ルーのフォローでようやくイオンの表情に笑顔が戻る

「ああ、あの二人の…どうりでお強いわけだ」
611: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/22(火) 19:02:27 ID:y4tJpZ5ZuI
「さっきから黙って聞いてれば!!好き放題言いやがって!!」

俺はイオンに指を突きつけながら

「ルーが今朝に人を殺したとか言いやがって!!ルーは今朝は俺とクエストに行った!!俺が証人だし!!ギルドにも記録が残ってる!!」

「彼女は優秀なハンターだ。ギルドぐるみで庇う可能性も否定できない」

「さらに言うなれば身内の証言は一番あてにならないんだよ?…でもいい情報を聞けたな」

「君も連行だな。重要参考人とし…」
612: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/23(水) 21:53:29 ID:x3KWHfBD2A
イオンがそこまでいいかけたとき、ルーは剥ぎ取りナイフをイオンの首元に突きつけていた

「・・・」

「ル、ルー…」

あまりの速さに俺は何が起こったかを理解するのに少しかかった
だが、イオンはナイフを突きつけられているのに全く動じず

「いいの?ここで殺したら罪が出来るよ?」

「殺害容疑がかけられているんだ。今さら一人二人増えた所で構いやしない」

「ま、それもそうか」

イオンは納得したように頷く

「だ、駄目だ!!ルー!!」

このままでは本当にイオンを刺しかねないルーに制止の声を出す

「こいつの言ってる事はでたらめなんだから!!ここでこいつを殺したら思うツボだ!!」

「・・・」

ルーはゆっくりとナイフを降ろす。その様子を見ていたイオンは驚愕する

「へぇ?彼の言うことは聞くんだ?てっきり刺すかと思ったのに」

「セネルの命令を無視するわけにはいかんからな」

ルーはナイフをしまいながら言った
613: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/23(水) 22:00:29 ID:04i3aITIXg
「ふぅ〜ん…なるほど」

イオンは俺達二人を面白そうに見比べながら

「セネル君だよね?…ゲームをしないかい?僕と」

「は?」

イオンは疲れたようにため息をつきながら

「というより、僕は別にルーが人を殺してるか殺してないかなんてどうでもいいんだよ。ただ連れてこいとしか言われてないから」

「それが…なんだよ」

「まだわからないかなぁ…」

イオンはやれやれといった感じで首を振る

「今からやるゲームに君が勝てば、君たち二人を見逃すって事」

「・・・ギルドナイツが許すのか?」

ルーが信じられないという風に聞いてくる

「そのときは僕が出る事になるかな…ま、構わないけど」

「ゲームって…どんなの?」

「お、やる気になった?」

イオンはにこやかに笑いながら

「ルールは簡単。君は30分間何をしてもいいから僕に触れる事。もちろん僕は反撃はしない。ね?簡単でしょ?」
614: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/23(水) 22:05:02 ID:x3KWHfBD2A
「それだけか?」

「うん」

イオンは素直に頷く
見たところ嘘はついてないみたいだが…

どうしようか迷いルーを見る

「受けてみたらどうだ?ギルドナイツ所属のハンターと一戦交えるなんて滅多にない機会だぞ」

「一戦って…」

「僕のことなら気にしなくていいよ。日常訓練でいつもやってるし」

イオンはニコニコとしながら

「さあ、やろう」

「・・・」

俺はイオンにゆっくりと近づいていく。まずはどんな動きをするのかな

「おや、意外に慎重だね」

イオンはまだ笑顔である そうこうしてる内に手を伸ばせば触れる距離まで近づいていた

「あはは、こんなに近づかれちゃったなぁ」

イオンはまだ余裕だ

615: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/23(水) 22:12:24 ID:x3KWHfBD2A
俺は手を伸ばしてイオンに触れようとする

「おっと」

イオンは肩を軽く動かしてかわす

「いいの?そんな悠長にしてて…時間ないんじゃない?」

俺はイオンの言葉に焦りを感じ…はしなかった

これも俺を焦らすための話術だ

「何をしてもいいんだよな?」

「いいよ。殴っても蹴っても斬っても」

「そうか」

俺はイオンから少し離れて地面を見つめる

「はっ!!」

地面を踵落としをして大地を割る

「凄いね。それで蹴られたら死んじゃうかも」

イオンは素直に感嘆の声を出す。だが、まだどこか余裕そうだった

俺は浮き出た土塊を手に持つ

「・・・」

イオンはそれを注意深く見ていた
俺は手にした土塊を真上に放り投げる

イオンは一瞬目で土塊を追ったがすぐに俺に視線を戻す

「・・・はあっ!!」

降ってきた土塊に拳を当てる
土塊は細かく砕け散ってイオンに飛散した

「・・・」

イオンは素早く横に避けたが、俺はそれを捉えていた
552.27 KBytes

名前:
sage:


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