ユクモ村
自然溢れるこの村は周囲に緑が多い
俺の名前はセネル=ボルアス
一応この村のハンターだ…新米だけど
今俺はハンターの基礎を教わるべく訓練所に訪れている。もちろん村長からのいいつけもあるが、それ以前に両親との約束で、ハンターになるなら必ず訓練所にいけと言われていた
両親は二人ともハンターだった。ただ…この世にはもういない
ヤマツカミ討伐中に飛竜に襲われて死んだらしい
その場にいたハンターの証言と、遺品が送られてきたからまず間違いないだろう。ハンターは死と隣り合わせの職業だといつも父さんが言っていたし、覚悟はしていたつもりだった
それに悲しみに暮れるよりも、ハンターとなって父さんと母さんの意思を受け継ぐ事が、俺に出来る一番の弔いなんだと思っていた
697: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/31(木) 17:57:51 ID:brBbFDFh8A
「何してんだこの糞獅子!!」
「ギャウ!!」
何者かが目の前に降ってきた気配を感じて目を開ける
背に双剣を背負い、赤い鎧を着た見慣れた後ろ姿
「セネ…ル…」
「ルー!!大丈夫!?」
セネルが慌てたように私に振り向き無事を確かめる
「セネル!!後ろ!!」
「ガアッ!!」
セネルに向かってテオが爪を降り下ろす
だが、突然テオは前足をピタリと止める
「・・・うるさいんだよ。お前」
セネルから尋常じゃない殺気
そしてセネルが突きつけている剣
「お前…それ…」
「ルー、もう大丈夫だよ」
私はセネルに抱き締められる
それだけで、体の力が抜けて目から涙が溢れてきち
「セネル…セネル!!」
私はセネルを抱き締めわんわんと泣いた
そんな私をセネルは黙って抱き締めてくれていた
698: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/31(木) 20:09:29 ID:1rWYGP2MtE
「さて…と」
ルーから体を離してテオを見る
テオは突然現れた俺をすっかり敵と認識しているようだ。まあ、いいんだけどさ
「セネル…」
涙に濡れながら不安そうな目で俺を見るルー
正直言おう。可愛過ぎて辛い
「心配すんなよ。ルー」
ルーを安心させるように笑いかけてテオを睨み付ける
「ルーを、泣かせたな?」
俺は双剣を構える
迷いなんてない。ただ、斬るだけだ
俺とルーの道を阻む奴を
699: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/31(木) 20:18:22 ID:1rWYGP2MtE
「はあああああ!!」
「ガアアアアアア!!」
俺とテオが同時に走り出す
改めて見るとすごい大きさだ。最大金冠を軽く超えているな
「でも、でかいなら当たりやすい!!」
俺はテオが繰り出した前足を飛んでかわし角をきりつける
剣の龍殺しの力がテオを蝕み赤黒い光を発した
「クギャアアア!!」
角の一部が砕け、先ほどまでテオを覆っていた炎の鎧が無くなる
こうなれば炎龍もただの獅子だ
「さってと…んじゃ、反撃いくぜ?」
俺は勢いよく走り出す
「これはお前に殺されたハンターの分!!」
テオの顔面を思いっきり蹴飛ばす
「ギャウ!!」
「これはルーの分!!」
「グギャア!!」
「そして…これはぁ!!」
高く跳躍してテオの頭上からかかとおとしを食らわしながら
「ルーを止めれなかった自分自身の怒りだぁ!!」
「グガァ!!」
700: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/31(木) 20:30:11 ID:1rWYGP2MtE
地面に着地したと同時にテオの体が倒れる
俺はテオに近づき双剣を取りだして能天に突き刺した
剣を引き抜き血を払ってからルーに向かって駆け出す
「大丈夫!?ルー!!」
「お前…そのセリフ…二回目だぞ?」
ルーが疲れたように笑うが、思い出したように
「そうだ!!ティソンとヴァンが!!」
「大丈夫だよ」
俺は指差す
ムゥとルークが人を背負いながらこちらに向かってくる
「良かった…」
ルーは安堵したのか、そのまま安心した表情で気を失ってしまった
701: 名無しさん@読者の声:2013/1/31(木) 21:04:05 ID:CB1RoyqAtc
セネル、、、かっこよすぎ
つCCCCC
702: 名無しさん@読者の声:2013/1/31(木) 21:22:38 ID:HxQMLvgrOM
セネル強ぇぇぇぇぇ(οдО;)
703: 名無しさん@読者の声:2013/1/31(木) 21:40:27 ID:whq.aZ6wWc
自分自身の怒りだー!!
八つ当たりされたテオかわいそす(´;ω;´)
C
704: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/1/31(木) 23:05:15 ID:nhkhr2ewlE
>>701
セネル君はやれば出来る子なんです
>>702
セネル君はry
>>703
八つ当たりは正義(ドヤァ?
すみません。おもっきし個人的な理由でこんな時間まで投下してませんでした
(口が裂けても飽きるまでユクモとポッケを行き来してたなんて言えない…)
で、突然なんですが投下を終了します
最近こんな終わりが多くて申し訳ない
見てくださった方々ありがとうございました
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
705: 名無しさん@読者の声:2013/1/31(木) 23:23:55 ID:Dp1hf6qrAo
さぎしさんトライGやってる?
つ支援
706: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 16:29:42 ID:3MT/HFyZ1E
>>705
3DSを持ってない事から察して下さい
支援感謝です♪
707: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 16:35:40 ID:3MT/HFyZ1E
目が覚めると、私は病院のベッドに寝かされていた
辺りを見回すと、テオと戦った戦友達が寝かされている
よかった…皆、生きていたのか
ふと、お腹の辺りに重みを感じて首だけ動かしてみると、セネルが私の手を握り締めながら頭を置いて寝ていた
「気分はいかがですか?」
安否を確認する声と共に入ってきたのは見知らぬ女性ハンターである
確か、セネルやルークと一緒にいたような…
「あ、ごめんなさい。私、ムゥ・シュバルツっていいます」
ムゥと名乗る女性がペコリと頭を下げた
「お兄ちゃんから様子を見てこいって言われたんですけど…大丈夫みたいですね」
ムゥは私の状態を確認するように見た後、寝ているセネルをみて微笑む
「それじゃ、お兄ちゃん呼んで来ますね」
708: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 16:40:52 ID:q2dqERqijw
ムゥが去った後、私はすることがなかったのでセネルを撫でる
今回はこいつが一番の功労賞かもしれないな…
「ざまぁねぇな…G級の、しかも名のあるハンターがHR6の中堅に助けられるなんてな…」
ティソンが起きていたのか、なんの感情もなしに呟く
「なあ、そいつ何者なんだ?」
「何者でもないさ」
ティソンの疑問に私は答える
「こいつは、ただのハンターだよ。ただの…な」
そうさ、セネルはただのハンター
私の夫で、私の危機に真っ先に駆けつけてくれる。私の誇りだ
709: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 16:48:37 ID:3MT/HFyZ1E
「・・・今回は、我々が助けられたな。双炎の覇者の息子に」
「けっ、そういう事にしといてやるよ」
ティソンが面白く無さそうに口を尖らせる
よほど悔しいのだろう
「・・・イオンは?一緒ではないのか?」
「イオンなら、今頃ギルドナイツに報告をしていると思いますよ」
「ルーク!!」
「どうも、ムゥから聞きましてね…皆さんあまり大事にならなかったようで何よりです」
ルークは相変わらずの爽やかスマイルを私達に向ける
「・・・」
だが、ヴァンを見た瞬間にその顔が曇る
「・・・ヴァン、あなたのそんな姿は見たくありませんでしたよ」
「・・・ルーク、俺とて人間だ。傷つき倒れもする」
ヴァンは顔をしかめ、苦々しく返す
710: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 16:57:41 ID:q2dqERqijw
「折角の再開を水を指すようで悪いが、ルーク。私達が気を失っていた時の事を話してくれるか?」
「わかりました」
ルークは表情を戻して私に向き直る
「取り急ぎ、あなた方に伝えなくてはならないことは二点。ルーさんに伝えなくてはいけない事が二点あります」
「まず、皆さんが契約していた報酬になりますが…半分の報酬で手を打つとギルドナイツが言っていました」
予想はしていた事だった 全滅と言ってもいいような有り様だったのだから、半額でもこちらには上手すぎる話だろう
「それと、今回の討伐はお疲れ様だそうです」
「お使いが成功したガキじゃあるめーし、けっ!!」
「それで、私には?」
「・・・セネル君が、ギルドナイツの人間兵器としてリストに上がりました」
「!?」
711: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 17:02:53 ID:3MT/HFyZ1E
私は思わず体を起こしてルークを見る
馬鹿な…早すぎる…
「そのお気持ちもわかります。私も確認をいたしましたが…ほぼ確定だそうです」
「そ…んな…」
目の前が真っ暗になる
セネルが、ギルドナイツの人間兵器に?もしそうなったら…私はセネルに二度と会えない…
「大丈夫だよ。ルー」
うつ向いていた私を励ますような声
セネルがゆっくりと立ち上がり私に笑いかけていた
「俺はルーから離れないよ。だから、ルーも俺を置いてどっかにいかないでくれよ?」
セネルは私から離れるとルークに近づいて
「ルーク。色々聞きたい事あるんだけど…いいかな?」
「ええ」
ルークに連れられてセネルが退室する
私はその後ろ姿を見送る事しか出来なかった
712: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 21:19:43 ID:mCU9rSPiNc
ルークは俺に全てを語ってくれた
今回の狩りで俺がしたこと
また、そのしたことがどのような結果をもたらしたのか
そして、今後の事
「あなたがギルドナイツ入りを阻む方法は2つです」
「・・・死ぬか、殺るかです」
「・・・」
ルークは沈んだ表情のまま俺に話した
「ギルドナイツを相手どるのは正直おすすめはしません。ルーさんに危険が及びますからね」
「・・・」
「大人しくギルドナイツの管理下に入れば…ルーさんの安全は保証されます…あなたはどうかは知りませんが」
「そっか…」
713: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 21:25:09 ID:3U3Hhll63g
「もちろん私もあなたをギルドナイツに入れさせない為に様々な策を講じます…といっても、時間を遅らせることぐらいしか出来ませんが…」
「ありがとう…ルーク」
「・・・君は、不安ではないのですか?」
「ん…よくわかんない」
俺は思っている事をありのままに話す事にした
「皆が言うようにギルドナイツに入ったらルーに会えなくなるんだと思う。でも、一生会えないわけじゃないと思うんだよね。生きてさえいれば会えると思うんだよ」
「やっぱりルーに会えなくなるのは寂しいけど…一生会えないわけじゃない。だって、俺達は生きてるんだから」
「セネル君…」
「だからさ、気にすんなよ!!ルーク!!」
俺はルークを元気づけるように背中を軽く叩く
「じゃあ、俺ルーの所に行ってくるよ」
714: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 23:56:53 ID:LSTUsvET3o
病室に戻ると、ルーしかいなかった
ティソンという人とヴァンという人はもういなかった
あの怪我動ける辺り流石G級ハンターと言うべきか、単に病院の雰囲気が嫌いだからか…
とにかく、病室にはルーしかおらず、そのルーも今はグッスリの寝ていた
「・・・」
ルーのベッドの側の椅子に腰かける
ルーは所々擦り傷だらけだったが、寝顔は安らかだった
「別れでも告げているの?」
背後から声がして振り返るとイオンが病室に入ってくる所だった
「話、聞いた?」
「まあな」
イオンが隣に腰かける
「ギルドナイツでの君の評判は凄いよ。双炎の覇者の息子って名前が一人歩きするくらい」
「・・・」
「なるの?人間兵器」
イオンが責めるような目で見てくる
「逃げた所で、悲惨な結果しか待ってないからな」
「そっか…」
715: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 00:01:36 ID:LSTUsvET3o
イオンはそれだけ言うと立ち上がった
「もういくのか?」
「やることとかあるからね」
イオンはそういいながら扉に手をかける
「あ、そうそう」
イオンがドアを開ける直前に振り向きながら
「ギルドナイツには過去に一度君と同じように人間兵器に推薦された人物がいたんだけど、その人は人間兵器になることを免れたんだ…君のよく知ってる人だよ」
イオンはそう言うとドアを開けて行ってしまった
残された俺はルーを見ながら今後の事に思案を巡らしていた
716: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 00:05:10 ID:LSTUsvET3o
皆様こんばんは
さぎしです
ようやくいつも通りの挨拶が出来ますよ…
で、ですね。テオ編が終わったのですが、なんか話が膨らんでるような…
正直残り290レスで話をまとめられる自信ががが
善処はします
本日の投下を終了します
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
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