ユクモ村
自然溢れるこの村は周囲に緑が多い
俺の名前はセネル=ボルアス
一応この村のハンターだ…新米だけど
今俺はハンターの基礎を教わるべく訓練所に訪れている。もちろん村長からのいいつけもあるが、それ以前に両親との約束で、ハンターになるなら必ず訓練所にいけと言われていた
両親は二人ともハンターだった。ただ…この世にはもういない
ヤマツカミ討伐中に飛竜に襲われて死んだらしい
その場にいたハンターの証言と、遺品が送られてきたからまず間違いないだろう。ハンターは死と隣り合わせの職業だといつも父さんが言っていたし、覚悟はしていたつもりだった
それに悲しみに暮れるよりも、ハンターとなって父さんと母さんの意思を受け継ぐ事が、俺に出来る一番の弔いなんだと思っていた
705: 名無しさん@読者の声:2013/1/31(木) 23:23:55 ID:Dp1hf6qrAo
さぎしさんトライGやってる?
つ支援
706: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 16:29:42 ID:3MT/HFyZ1E
>>705
3DSを持ってない事から察して下さい
支援感謝です♪
707: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 16:35:40 ID:3MT/HFyZ1E
目が覚めると、私は病院のベッドに寝かされていた
辺りを見回すと、テオと戦った戦友達が寝かされている
よかった…皆、生きていたのか
ふと、お腹の辺りに重みを感じて首だけ動かしてみると、セネルが私の手を握り締めながら頭を置いて寝ていた
「気分はいかがですか?」
安否を確認する声と共に入ってきたのは見知らぬ女性ハンターである
確か、セネルやルークと一緒にいたような…
「あ、ごめんなさい。私、ムゥ・シュバルツっていいます」
ムゥと名乗る女性がペコリと頭を下げた
「お兄ちゃんから様子を見てこいって言われたんですけど…大丈夫みたいですね」
ムゥは私の状態を確認するように見た後、寝ているセネルをみて微笑む
「それじゃ、お兄ちゃん呼んで来ますね」
708: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 16:40:52 ID:q2dqERqijw
ムゥが去った後、私はすることがなかったのでセネルを撫でる
今回はこいつが一番の功労賞かもしれないな…
「ざまぁねぇな…G級の、しかも名のあるハンターがHR6の中堅に助けられるなんてな…」
ティソンが起きていたのか、なんの感情もなしに呟く
「なあ、そいつ何者なんだ?」
「何者でもないさ」
ティソンの疑問に私は答える
「こいつは、ただのハンターだよ。ただの…な」
そうさ、セネルはただのハンター
私の夫で、私の危機に真っ先に駆けつけてくれる。私の誇りだ
709: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 16:48:37 ID:3MT/HFyZ1E
「・・・今回は、我々が助けられたな。双炎の覇者の息子に」
「けっ、そういう事にしといてやるよ」
ティソンが面白く無さそうに口を尖らせる
よほど悔しいのだろう
「・・・イオンは?一緒ではないのか?」
「イオンなら、今頃ギルドナイツに報告をしていると思いますよ」
「ルーク!!」
「どうも、ムゥから聞きましてね…皆さんあまり大事にならなかったようで何よりです」
ルークは相変わらずの爽やかスマイルを私達に向ける
「・・・」
だが、ヴァンを見た瞬間にその顔が曇る
「・・・ヴァン、あなたのそんな姿は見たくありませんでしたよ」
「・・・ルーク、俺とて人間だ。傷つき倒れもする」
ヴァンは顔をしかめ、苦々しく返す
710: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 16:57:41 ID:q2dqERqijw
「折角の再開を水を指すようで悪いが、ルーク。私達が気を失っていた時の事を話してくれるか?」
「わかりました」
ルークは表情を戻して私に向き直る
「取り急ぎ、あなた方に伝えなくてはならないことは二点。ルーさんに伝えなくてはいけない事が二点あります」
「まず、皆さんが契約していた報酬になりますが…半分の報酬で手を打つとギルドナイツが言っていました」
予想はしていた事だった 全滅と言ってもいいような有り様だったのだから、半額でもこちらには上手すぎる話だろう
「それと、今回の討伐はお疲れ様だそうです」
「お使いが成功したガキじゃあるめーし、けっ!!」
「それで、私には?」
「・・・セネル君が、ギルドナイツの人間兵器としてリストに上がりました」
「!?」
711: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 17:02:53 ID:3MT/HFyZ1E
私は思わず体を起こしてルークを見る
馬鹿な…早すぎる…
「そのお気持ちもわかります。私も確認をいたしましたが…ほぼ確定だそうです」
「そ…んな…」
目の前が真っ暗になる
セネルが、ギルドナイツの人間兵器に?もしそうなったら…私はセネルに二度と会えない…
「大丈夫だよ。ルー」
うつ向いていた私を励ますような声
セネルがゆっくりと立ち上がり私に笑いかけていた
「俺はルーから離れないよ。だから、ルーも俺を置いてどっかにいかないでくれよ?」
セネルは私から離れるとルークに近づいて
「ルーク。色々聞きたい事あるんだけど…いいかな?」
「ええ」
ルークに連れられてセネルが退室する
私はその後ろ姿を見送る事しか出来なかった
712: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 21:19:43 ID:mCU9rSPiNc
ルークは俺に全てを語ってくれた
今回の狩りで俺がしたこと
また、そのしたことがどのような結果をもたらしたのか
そして、今後の事
「あなたがギルドナイツ入りを阻む方法は2つです」
「・・・死ぬか、殺るかです」
「・・・」
ルークは沈んだ表情のまま俺に話した
「ギルドナイツを相手どるのは正直おすすめはしません。ルーさんに危険が及びますからね」
「・・・」
「大人しくギルドナイツの管理下に入れば…ルーさんの安全は保証されます…あなたはどうかは知りませんが」
「そっか…」
713: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 21:25:09 ID:3U3Hhll63g
「もちろん私もあなたをギルドナイツに入れさせない為に様々な策を講じます…といっても、時間を遅らせることぐらいしか出来ませんが…」
「ありがとう…ルーク」
「・・・君は、不安ではないのですか?」
「ん…よくわかんない」
俺は思っている事をありのままに話す事にした
「皆が言うようにギルドナイツに入ったらルーに会えなくなるんだと思う。でも、一生会えないわけじゃないと思うんだよね。生きてさえいれば会えると思うんだよ」
「やっぱりルーに会えなくなるのは寂しいけど…一生会えないわけじゃない。だって、俺達は生きてるんだから」
「セネル君…」
「だからさ、気にすんなよ!!ルーク!!」
俺はルークを元気づけるように背中を軽く叩く
「じゃあ、俺ルーの所に行ってくるよ」
714: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/1(金) 23:56:53 ID:LSTUsvET3o
病室に戻ると、ルーしかいなかった
ティソンという人とヴァンという人はもういなかった
あの怪我動ける辺り流石G級ハンターと言うべきか、単に病院の雰囲気が嫌いだからか…
とにかく、病室にはルーしかおらず、そのルーも今はグッスリの寝ていた
「・・・」
ルーのベッドの側の椅子に腰かける
ルーは所々擦り傷だらけだったが、寝顔は安らかだった
「別れでも告げているの?」
背後から声がして振り返るとイオンが病室に入ってくる所だった
「話、聞いた?」
「まあな」
イオンが隣に腰かける
「ギルドナイツでの君の評判は凄いよ。双炎の覇者の息子って名前が一人歩きするくらい」
「・・・」
「なるの?人間兵器」
イオンが責めるような目で見てくる
「逃げた所で、悲惨な結果しか待ってないからな」
「そっか…」
715: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 00:01:36 ID:LSTUsvET3o
イオンはそれだけ言うと立ち上がった
「もういくのか?」
「やることとかあるからね」
イオンはそういいながら扉に手をかける
「あ、そうそう」
イオンがドアを開ける直前に振り向きながら
「ギルドナイツには過去に一度君と同じように人間兵器に推薦された人物がいたんだけど、その人は人間兵器になることを免れたんだ…君のよく知ってる人だよ」
イオンはそう言うとドアを開けて行ってしまった
残された俺はルーを見ながら今後の事に思案を巡らしていた
716: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 00:05:10 ID:LSTUsvET3o
皆様こんばんは
さぎしです
ようやくいつも通りの挨拶が出来ますよ…
で、ですね。テオ編が終わったのですが、なんか話が膨らんでるような…
正直残り290レスで話をまとめられる自信ががが
善処はします
本日の投下を終了します
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
717: 名無しさん@読者の声:2013/2/2(土) 02:16:23 ID:TjuDwVsXHM
なんなら第二段スレ突入だっていいんじゃないかい?
無理矢理まとめてつまらなくしないでねぃ(。・д・。)
毎日仕事して疲れて帰ってきて、君のSSだけが毎日の楽しみなんだ
無理言ってすまないがよろしく頼むm(._.)m
718: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 09:34:47 ID:k81ksGofh2
>>717
HAHAHA
そんなこと言っても、とあるモンハンオタが赤面して悶えるだけだZE?
まあ、第二…は、無しの方向で
事情がありますゆえ…申し訳ない
719: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 09:42:51 ID:k81ksGofh2
「セネル…」
いつから起きていたのか、ルーが不安そうな目で俺を見ていた
俺をそれ消すかのように笑いかける
「なんだ、起きてたのか。言ってくれれば…」
「いかないで…」
「・・・」
ルーから紡がれた言葉
それだけで、今のルーの気持ちがよくわかった
「私が…泣き叫んで懇願すれば…君は、私の傍にいてくれるか?」
ルーは震える声で俺に問いかける
「当たり前だろ。ルーは心配性だな…」
そこまでいいかけてルーに抱き締める
ルーは目から涙を流して
「セネル!!いかないで!!お願いだから!!」
「・・・」
「セネル!!セネルぅ…うう…」
俺はルーの背中を優しくさすってやる
720: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 09:49:21 ID:uI2Wh2UJdg
「ルー、約束しよう」
「・・・?」
ルーが涙に濡れた目で見つめてくる。俺はそれを優しく見つめながら
「俺はいつまでもルーの傍を離れない。ルーだけを見てるから」
「だから…信じて欲しい」
「・・・うん」
ルーをもう一度抱き締める
「全く、俺より年上なのに甘えん坊なんだからな」
「・・・すまん」
罰が悪そうに顔を背け俺と目を合わせようとしない。なんだかんだでルーと長い付き合いなのだから、こういった微妙な変化もわかるようになっている
「じゃあ、俺行くところあるからさ」
ルーから離れて病室をでる
721: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 10:05:39 ID:k81ksGofh2
「来たね…というより、来るってわかってたけど」
イオンが読んでいた本を閉じて俺に向き直る
病室から出て俺が向かったのはギルドナイツだった
「それで?ご用件は?」
「・・・俺は、ギルドナイツには入らない」
「そんなの僕みたいなしたっぱに言わないでよ。ていうか、ルー・シフォンがどうなってもいいの?」
「お前、ギルドナイツマスターだろ?」
「・・・」
イオンが僅かに眉を潜める
「いつから?」
「お前がテオ戦に参加するって聞いた時から」
イオンが何も話さないので、俺は続ける
「ルーやヴァンさんやティソンさんに全部聞いた。それで確信したんだ。お前がマスターだって」
イオンは何も答えない
ただ、じっと床を見ているだけだった
722: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 10:29:02 ID:w.7DrG1zg2
「僕が君ぐらいの頃の話だ」
「え!?イオンって俺より年上だったの!?」
「殴るよ?」
「・・・すいません」
すっかり見慣れてない笑いながら怒るを見てしまい畏縮してしてしまう
「あの頃は、僕はギルドナイツには憧れしか持っていなかった。強固な信念。やり遂げる意志。ギルドナイツはそんな誇りあるハンターの集まりだと思ってた…でも、現状は違った」
「腐りきった中身。自分の保身しか考えない老人。黙認される犯罪の横行」
「あの時に、狂人になっていればよかったのに…僕は、ギルドナイツを変えるなんて甘い考えをしてしまったんだ」
「死に物狂いで手に入れたこの地位…得た物は嘘が上手くなるだけだった」
「老人共は経験が足りないってあの手この手で降ろそうとしてくる。無駄なのにね…でも、心のどこかではもう逃げ出したいとさえ思ってる」
「結局僕は、ギルドナイツを変えるって意気込んでた自分に酔っていただけなんだ…ただの道化だよ…」
723: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 10:39:53 ID:l5W1Sce4Lg
「そんなことないんじゃないか?」
「皆そう言うよ。慰めは止めてくれ」
「慰めなんかじゃない!!」
「・・・」
「お前がマスターじゃなかったら、お前が俺に推薦をしてくれなかったら、俺はルーを守れなかった!!何も出来なかったんだ!!」
「だから、意味ないなんて無い!!この世に意味が無いことなんて一つも無い!!」
「・・・」
イオンは俯き黙り込む
だが、先程までの自嘲の雰囲気はもう無かった
「君は強いな…本当に」
「イオンだって…ずっと一人で、見えない敵と戦ってたんだろ?…凄いよ」
「凄い…僕が…」
「確かにいきなり変わるのは無理だと思う。でも、確実に少しずつ変わっていけるよ」
「・・・そうだね」
イオンは微笑んだ
俺もそれにつられて笑顔になる
「ユクモ村行きの馬車を手配しといた。明日、ルーとルークを連れてユクモ村に帰るといい」
「お前は来ないのか?」
724: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/2(土) 10:44:48 ID:w.7DrG1zg2
イオンはキョトンとした顔をするが、すぐに笑顔になり
「僕にはここでやることがある。君にもやるべきことがあるんだろう?」
「ま、まあな…」
「君に出来ない事、僕が出来るかもしれない。でも、僕に出来ない事。君は出来るんだ」
「ありがとう…イオン」
「どういたしまして…そうそう」
「人間兵器を免れた人の話だけど、君のご両親だよ。最後までギルドナイツ相手に二人で戦い抜いて…こっちが根負けした」
「あはは、あの二人らしいや…」
「僕は、明日見送りが出来ない。だからここでさようならだ」
「ああ…じゃあなイオン」
「じゃあね、セネル=ボルアス」
俺とイオンは強く握手をして別れた
でも、永遠の別れじゃないんだ。また会えるって、わかってるから…
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