ユクモ村
自然溢れるこの村は周囲に緑が多い
俺の名前はセネル=ボルアス
一応この村のハンターだ…新米だけど
今俺はハンターの基礎を教わるべく訓練所に訪れている。もちろん村長からのいいつけもあるが、それ以前に両親との約束で、ハンターになるなら必ず訓練所にいけと言われていた
両親は二人ともハンターだった。ただ…この世にはもういない
ヤマツカミ討伐中に飛竜に襲われて死んだらしい
その場にいたハンターの証言と、遺品が送られてきたからまず間違いないだろう。ハンターは死と隣り合わせの職業だといつも父さんが言っていたし、覚悟はしていたつもりだった
それに悲しみに暮れるよりも、ハンターとなって父さんと母さんの意思を受け継ぐ事が、俺に出来る一番の弔いなんだと思っていた
79: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 23:07:11 ID:52PP2t7zb2
「さってと!!とりあえず次行こうぜ」
「・・・ああ」
ルーはまだ本調子じゃなかったが、ある程度は取り戻していた。どのみち戦うのは俺なんだから関係がないんだけど
「あ、セネル君。君に緊急の依頼が来てるよ」
「俺に?」
コノハが差し出したのはリオレイアの討伐依頼だった
「次の相手はリオレイアか」
ルーが依頼書を覗き込みながら呟く
雌火竜 リオレイア
別名陸の女王と呼ばれ、火竜リオレウスの番である
陸の女王と呼ばれるだけあって、その破壊力は桁違いで、今まで戦ってきたモンスターの比ではない
「・・・」
「一応期限は無期限だからいつでも受けれるよ?どうする?」
「今のままでは返り討ちにあう可能性も高い。ここは装備を整えてからでもいいと思うぞ」
「そうだね、そうするよ。情報も集めないとだし」
80: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 23:10:06 ID:UEFq.FzFOc
「ふむ…なら次はこいつだな」
そういいながらルーが取り出したのはクルペッコの討伐依頼書だった
「風圧のいい経験になるだろう。リオレイアには片手剣で挑むつもりか?」
「まあね」
「なら、尚更こいつで慣れておくべきだな」
「そうするよ」
俺はルーから依頼書を受け取り名前を書いた
「この依頼、セネル=ボルアスが引き受けた」
81: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 23:17:27 ID:UEFq.FzFOc
ネコタクで孤島に向かってる間、俺はルーからクルペッコの対処法を教わっていた
「それではおさらいだ。クルペッコの特徴は?」
「喉にある特別な器官で他のモンスターを呼び寄せる事が可能。破壊可能部位は火打石、嘴か?」
「その通りだ」
「その他にも演奏をして自分強化をしてくるんだっけか?」
「ああ、演奏をやめさせるには大きな音。大タル爆弾か音爆弾を使えば演奏を中止させることが出来る」
「片手剣なら、抜刀したまま道具を使用できるから、臨機応変に対応すること。これを忘れるな」
「ああ」
「まあ、君なら上手くやれるさ…もうすぐ着くぞ」
82: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/18(火) 23:21:01 ID:52PP2t7zb2
皆様こんばんは
さぎしです
早いものでこのSSももうちょいで100いきますね
まあ、これは安定と信頼のさぎしクオリティって事でご容赦下さい
しかし、やっぱりモンハン書くの楽しいです
自分の好きな事ですからね
他にもガン○ムとかテ○ルズとか書いてみたいですけど…まあ、いつか
本日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
83: 名無しさん@読者の声:2012/12/18(火) 23:22:20 ID:TEFXytsk9o
クルペッコ亜種にナルガ亜種呼ばれたのはいい思いで
支援
84: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:31:50 ID:g5WCmxTCbU
>>83
ペッコ亜種がイビル臨時教師召喚
↓
イビル討伐後、ナルガ亜種召喚
↓
ナルガ亜種討伐後、ドボル召喚
↓
\(^o^)/回復追い付かねぇ
支援感謝です♪
85: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:37:14 ID:g5WCmxTCbU
孤島に着き支給品ボックスを開ける。中にはこやし玉や音爆弾などのクルペッコ対策のアイテムが入っていた
「やっぱり…音爆弾とか必要なんだな…ルー、準備出来たよ」
「・・・」
「ルー?」
ルーが返事しないのを不審に思い振り返ると、ルーはベースキャンプのベッドに腰かけて虚空を見つめていた
「ルー?」
顔を覗き込み反応を確かめる。ルーはそれに気づくと慌てて立ち上がった
「す、すまない!!ぼーっとしていた、すぐ行こう」
「大丈夫か?ベースキャンプで休んでれば?」
「弟子を尻目に休む師匠がどこにいる」
ルーは兜を被り直して歩き始めた
86: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:44:04 ID:Da6WQ42Ckk
「しかし…空を飛ぶモンスターね…初めてじゃないかな」
「君が私と会う以前に狩っていたなら話は別だがな」
「出来るわけないだろ」
軽い冗談を言いながらクルペッコを探す
出会った当初はお互いぎこちなかったが、今ではすっかり冗談を言い合えるような関係になっていた。まあ、師弟なのは変わらないけど
「・・・」
「ん?どうしたセネル」
「いや、なんでも」
ルーは今さらかもしれないが、かなりの美人だ
だから恋人や将来を誓った人がいてもおかしくはなさそうだが…
だが、ハンターというのは常に死と隣り合わせの世界。未練があると腕が鈍ると言われ、基本的にはそういった関係を持つのは暗黙のルールというやつで禁止されていた
父さんと母さんみたいに夫婦で狩りに出るハンターは例外らしいが
87: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:50:58 ID:Da6WQ42Ckk
どうしても気になった俺はルーに聞いてみる事にした
「なあ、ルーってさ恋人とかいないの?」
「・・・ぷっ、くっくく」
いきなり笑いやがった
そんなにおかしい質問はしてないぞ?
「すまない…くくく、君が、そんな質問をしてくるとは…思いもしな…ぷっ、あっはは!!」
ほっといたら腹を抱えて笑い転げそうな程に笑うルー
笑った顔も美人だなと思う反面、そこまで笑う必要があるのかと考えていた
「んじゃ、いないんだな」
「ああ…私はハンターだからな。帰る場所があり、死にたくないと思えば武器が鈍る」
「ふーん」
「何故いきなりそんな質問を?」
「気になっただけだよ」
「そうか…他に理由が…」
そこまでルーが喋ったとき、突然ルーが空を険しい顔で睨み付けた
つられて見上げると、ゆっくりと降り立つ影が見えた
88: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:55:30 ID:Da6WQ42Ckk
「来たぞ…クルペッコだ」
ルーが小声で俺に注意を促す
「分かってる」
俺はクルペッコの背後からゆっくりと近づいた
クルペッコはまだ気づいておらず、呑気に歩いている
「てやっ!!」
勢いをつけ飛びかかるように剣を降り下ろしクルペッコの尻尾を切りつける
クルペッコは突然の痛みに驚いて飛び上がったが、俺を見つけると羽を広げて威嚇をしてきた
「それが隙なんだよ!!」
素早くクルペッコの懐に飛び込み数回切る
そのまま横に回避してまた数回切りつけた
「クルゥ!!」
「うわっ!!」
クルペッコは体を回転させて尻尾を俺に叩きつけようとする。それを間一髪の所で盾でいなした
89: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 20:59:28 ID:Da6WQ42Ckk
「よし、もう一回!!」
クルペッコの懐に飛び込もうとするが、そうはさせまいとクルペッコも体を回転させる
「回転の隙を狙えば…そこだっ!!うわ!!」
クルペッコの回転の隙をついたはずが、突風で前に進めない
「これが風圧か…厄介だな」
ルーの話によれば、大剣や太刀、スラッシュアックス等重量がある武器は武器の重さで風圧をあまり受けないらしいが、今の俺は小回りを重視した片手剣だ
「焦っちゃ駄目だな。ゆっくり、確実に攻撃を重ねよう」
90: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 21:11:26 ID:g5WCmxTCbU
武器を構え直し、クルペッコに突っ込む
クルペッコは俺を見据えて両翼にある火打石を打ち付けて突進してきた
「そら!!」
俺は前転しながらクルペッコの足の間に入り股を切りつけて脱出する
クルペッコは視界から俺が消えたと共に起きた痛みに仰け反った
「てやあああ!!」
剣を振りかざし連続で切りつける
クルペッコは既に足をよろめかせその最後が近い事が分かった
クルペッコが飛び立とうとした瞬間、ペイントボールをつけクルペッコを見送る
これで場所はいつでも把握出来る
91: 名無しさん@読者の声:2012/12/19(水) 21:50:32 ID:7.4O1GfmJI
う〜ん面白い
支援支援
92: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:18:52 ID:B6HkiMrp42
>>91
ありがとうございます
支援感謝です♪
93: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:24:00 ID:LG1gFhOOtk
「よし、後は倒すだけだよな?ルー」
「・・・」
振り返ると、ルーは厳しい表情で俺を見ていた
「前から思っていたが、君は少々突っ込み過ぎじゃないか?見ていて危なっかしいぞ?」
ルーは心配してくれているのか、いつもより厳しい口調だった
「ご、ごめん…」
「動き自体は悪くはないからな。もう少し慎重にいけ」
ルーは励ますように俺の頭を軽く叩く
「さあ、最後の大仕事だ。抜かるなよ?」
「分かってる」
俺達地図を見ながらクルペッコを追いかける事にした
94: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:29:34 ID:B6HkiMrp42
「クルルル」
ペイントが教えてくれた場所に辿り着くと、クルペッコはスヤスヤと寝息を立てていた
「寝てるだけなら本当に問題ないのにな」
俺が呟いた言葉にルーが反応する
「モンスターも好きで人間を襲ってるわけではない。他のモンスターとの縄張り争いに負けたりして、土地を移らざるを得なかった種もいる」
「つまり、人間が悪いってこと?」
「どうだかな…私達はただ依頼されたモンスターを狩るだけだ」
そう語ったルーの目はやるせないような雰囲気だった
「やっぱり、ルーはモンスター狩るのはあんま好きじゃないのか?」
「・・・狩らなきゃ生きていけないからな」
ルーから紡がれた言葉
その一言がハンターの過酷さを物語っていた
95: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:34:12 ID:LG1gFhOOtk
「・・・」
俺は改めて寝ているクルペッコを見る
人間を襲うようにはとても見えない寝顔だった
クルペッコに近づき剣を引き抜く。そのまま剣を勢いよくクルペッコの首に突き立てた
「グアッ!!」
首の骨を貫通し、息の根を止める
ルーはただそれを黙って見ていた
「・・・ごめんな。でも、無駄にはしないからさ」
剥ぎ取りナイフを構えてクルペッコを剥ぎ取る
まだ暖かい体がさっきまで生きていた事を語っていた
「帰ろう。セネル」
剥ぎ取りが終わった頃を見計らってルーが帰還を提案する
俺はそれに黙って頷いた
96: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:37:57 ID:B6HkiMrp42
帰りのネコタクは静かだった
お互いがお互いとも話さないからだ
改めて感じたハンターという職業の辛さ
「ルー、もしもこの世界からハンターが無くなったらどうなると思う?」
「・・・人類が滅亡するな」
「・・・そうか」
答えたルーの言葉はひどく重かった
ハンターは皆このような思いを背負っているのだろうか
父さんや母さんはどんな気持ちでハンターをしていたのか
ルーはどんな気持ちでハンターを続けていたのか
そして、俺はどういう気持ちでハンターをやればいいのか…
97: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:42:53 ID:LG1gFhOOtk
「お帰りなさ〜って、暗っ!!」
笑顔で迎えてくれたコノハに手を上げて答える
今は返事を返す気分ではなかった
「何!?どうしたの!?ルーさんと喧嘩した!?痴話喧嘩!?」
「そんなんじゃねーよ…」
最早答えるのも億劫だった俺はギルドに設置されてる浴場に浸かって汗を流した
とにかく、今は早く眠りたかったのだ
家につくと、何やら物が多い気がしたが、アイルーが勝手に持ってきたのだろうと思って気にも止めなかった
俺はベッドに寝転がり、そのままゆっくりと眠りの世界に入った
98: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2012/12/19(水) 22:46:45 ID:B6HkiMrp42
皆さんこんばんは
さぎしです
今回はリアルな視点で描いてみました
何故ハンターはモンスターを狩らなければならないか
ハンターが存在する意味とは
その答えをセネル君は見つける事が出来るでしょうか?
今日の投下はこれで終了となります
見てくださった方々
ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
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