ユクモ村
自然溢れるこの村は周囲に緑が多い
俺の名前はセネル=ボルアス
一応この村のハンターだ…新米だけど
今俺はハンターの基礎を教わるべく訓練所に訪れている。もちろん村長からのいいつけもあるが、それ以前に両親との約束で、ハンターになるなら必ず訓練所にいけと言われていた
両親は二人ともハンターだった。ただ…この世にはもういない
ヤマツカミ討伐中に飛竜に襲われて死んだらしい
その場にいたハンターの証言と、遺品が送られてきたからまず間違いないだろう。ハンターは死と隣り合わせの職業だといつも父さんが言っていたし、覚悟はしていたつもりだった
それに悲しみに暮れるよりも、ハンターとなって父さんと母さんの意思を受け継ぐ事が、俺に出来る一番の弔いなんだと思っていた
817: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 09:39:19 ID:oaV8sFVAmA
>>810
支援感謝です♪
>>816
自分は哀れな太刀厨です 2Gではハンマーと太刀を使ってますね
というより、戦う相手に合わせて武器を変えますから基本的になんでも使えます
支援感謝です♪
昨日は寝落ち申し訳ない
818: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 09:46:56 ID:OXmxEE5H02
視界がほぼ真っ白に染まる
その先に微かに蠢く何か 私は弓をしまい右に回避する
先程まで私がいた場所に白い崩神が突進をしてくる
「ニャニャーン!!」
「おや、お帰りなさいケマリ。寒中穴堀りはどうでした?」
「好きでしたわけじゃないニャ!!それよりご主人!!敵は!?」
「そうですねぇ…あ、そこで武器振ってくれますか?」
「こうかニャ?」
ケマリが武器を振るうと、肉が裂け焦がす音が聞こえる
「ニャ!?当たったニャ!!流石ご主人!!ご主人の言うことを聞いていれば百発百中ニャ…ギニャアアア!!」
ケマリが体を跳ねさせ喜んでいると、ウカムは咆哮でケマリを吹き飛ばしました
私ですか?もちろん避けましたよ。ガンナーですから一撃が致命傷ですからね
吹き飛んできたケマリが私の足元まで転がってきました
「ニャ…ご主人…ボクは、もう、駄目…ニャ」
「穴堀りですか?構いませんよ。36回目でしたっけ?」
「か、数えてるなんて…ご主人…ドSだニャ…」
819: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 09:54:02 ID:oaV8sFVAmA
体力の限界が来たのか、地中に潜り込むケマリ
まあ、彼女にはひたすら筋トレしかやらせてませんし、攻撃全振りの一撃離脱型に育成したのは私なんですがね
さて…かれこれ私の体内時計が狂っていなければ、既に三週間は経過していますね…
こんだけ時間がかかればギルドの方ではとっくに失敗扱いなのでしょうが…いつまでたってもクエスト失敗を告げられない…
ギルドの方で何かあったのか…相対している崩竜が天災として扱われたのか…
「なんにせよ…万全の準備をして正解でしたね…」
誰に話すともなく一人呟く
三週間生きていられるのは充分過ぎる量の食料を持ってきていた事が大きい
「とはいえ…もう食料もないわけですが…」
チラとケマリが埋まった地中を見る
ネコの肉って美味しいんでしたっけ?
820: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 10:01:37 ID:OXmxEE5H02
「まあ、そうならないように努力をするわけですが」
弓をつがえ引き絞り放つ 放たれた矢は崩竜の肉を貫きほんの一部を裂いた
このままでは持久戦
しかも、こちらが圧倒的不利な持久戦
「ニャニャーン!!」
ケマリがまた復活する
私は弓をしまいケマリを抱き抱え崩竜から距離を取りました
「ニャ?ご主人?」
「ケマリ、大事なお話があります」
私のいつもと違う雰囲気を察したのか、毛並みをピンとさせるケマリ
本当に彼女は空気を読むのが上手い
「もしも私が崩竜の一撃を受けて、自力で復帰不可能になった場合…貴女はここから速やかに離脱してギルドに助けを求めに行きなさい」
「ニャ!?それって…」
言葉の意味を理解したのか私の腕の中で暴れ始めるケマリ
「私を置いて逃げろって事ですよ」
「嫌ニャ!!そんなの嫌ニャ!!」
「埒があきませんねぇ、足手まといだから邪魔だと言えばいいんですか?」
「嘘ニャ!!ご主人はいつでもボクの事を大切にしてくれたニャ!!」
821: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 10:07:23 ID:OXmxEE5H02
私は大きくため息をつく
「ケマリ、貴女は優秀なアイルーです。私の無茶な育成にもついてきてくれました。貴女みたいな優秀なアイルーを失うわけにはいきません」
「違うニャ!!ボクは優秀なんかじゃないニャ!!ご主人の方ニャ!!」
必死に私の腕から逃れようとするケマリ
だが、私はそれを阻止する
「このままでは押し問答ですよ。ケマリ」
「く、口喧嘩なら望むところニャ!!」
彼女は空気を読むのが上手いですが、意地っ張りなのが傷ですね…
「っ!?」
突如激しい殺気を感じてケマリを放り投げる
直後に私の全身を襲う激しい激痛
崩竜がいつの間にか接近していたらしく、突進をまともにくらったようですね
822: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 10:14:50 ID:OXmxEE5H02
「ギニャ!?ご主人!!」
遠くに放り投げられたケマリが必死にこちらに駆け寄ってくる
剣士でさえまともに食らえば無事ではすまない突進をガンナーの薄い防具で食らってしまいましたからね…全身が痛くて痛くて泣きそうですよ
崩竜は私に止めを刺そうと地中に潜り背鰭だけを見せて突進をしてくる
「ご、ご主人はボクが守るニャ!!」
武器を構えて私の前に仁王立ちするケマリ
その小さな体はガクガクと震えていた
「ケマリ…逃げなさい。そして…ギルドに…」
「嫌ニャ!!いくらご主人の命令でも聞けないニャ!!」
「確かにご主人はドSで意地悪で性格悪くてなに考えてるかわかんニャいけど!!」
酷い言われようです
「でも、ボクは知ってるニャ!!ご主人は誰よりもボク達アイルーに優しくしてくれるって!!」
崩竜はすぐ近くまで接近している
もう、逃げても無駄ですね
私はそっとケマリを抱き寄せ
「わかりました…私達は一緒です」
「ご主人…」
崩竜は目前にまで迫っている
私は静かに目を閉じた
823: 名無しさん@読者の声:2013/2/11(月) 15:50:59 ID:O5X0CHOlqg
なにこれ冬なのに汗で画面が見えない
824: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 23:47:18 ID:aMQyUdLMrI
「うおおおおおおお!!」
「グギャアアアアア!!」
飛竜かと間違うほどのけたたましい咆哮
そして、崩竜の絶叫
私はゆっくりと目を開ける
崩竜の背中に刃を突き立てる銀と、その銀を振り落とそうとする崩竜
銀は素早く剣を引き抜くと私の目前に着地する
「ルーク!!大丈夫か!?」
銀は心配そうな声色で私に駆け寄る
ああ…そうでしたね、君は仲間の為ならこんなところにでも来てしまう
そういう人でしたね
崩竜がゆっくりと私達に近づいてくる
セネル君は私を庇うように前に立ち剣を構えました
「今だ!!ムゥ!!」
825: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 23:53:11 ID:brIb.FAqgM
ヒュンと風切り音がしたかと思えば、飛竜を貫くような巨大な矢が崩竜の脳天に突き刺さる
突き刺さった場所から炎があがり崩竜を焦がします
「お兄ちゃん!!しっかりして!!」
ムゥが私の元に駆け寄ってきますが、すんでのところで立ち止まります
この状況で私の体質を気にするとは…嬉しいような悲しいような…
「手酷くやられたな。立てるか?」
銀の番である金…ではなく、ルーさんが手を差し伸べてきます
「・・・それは、わざとですか?」
「癖だ。それに、一人で立てないのも事実だろう」
「まあ、そうなんですけどね…」
そう呟きながら私は手を伸ばす
しかし、掴んだのはルーさんでもセネル君でもない
「・・・え?」
私はムゥの腕を掴んで
「申し訳ありませんが、立つのを手伝ってくれませんか?ムゥ」
826: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/11(月) 23:58:24 ID:brIb.FAqgM
「・・・うん!!」
ムゥは目に涙を溜めながら一生懸命にルークが立つのを補佐する
「グルルルルル…」
そんな空気をぶち壊すかのように威嚇してくるウカム
「せっかくの兄妹の感動の再開を邪魔すんなよ」
「セネル、所詮獣だ。わかるはずもない」
「そらそうだ」
俺は剣を構え、ルーは槍を持つ
「やれるな?」
ルーの問いに短く頷き走り出す
狙うは先程ムゥが放った矢だ
ムゥが放った矢には炎属性の他に、古龍にとっては毒となる呪いがかけられている。分類では飛竜に指定されているウカムだが、一定の効果は望めるだろう
827: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/12(火) 00:01:06 ID:brIb.FAqgM
皆さんこんばんは
さぎしです
今日は色々な諸事情が重なりろくに更新ができず申し訳ありませんでした。そして、今日の投下も終了いたします
明日はおそらく少量更新となることをご了承ください
見てくださった方々ありがとうございました!!
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
828: 名無しさん@読者の声:2013/2/12(火) 00:51:53 ID:ifyv3wwCGQ
乙です
支援
829: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/12(火) 22:54:08 ID:qf7Rx7Huy.
さて、皆さんにここでクイズみたいなのを出そうと思う
ウカムの脳天に突き刺さった矢を俺はどうするか?
引き抜くか更に突き刺すか
答えは…両方!!
「どおりゃあああ!!」
俺はウカムのスコップと呼べるような特殊な形をした顎を足場に跳躍する。そのまま額に器用に乗っかり、脳天に突き刺さってる矢をおもいっきり押し込んだ
「グギャアアアアア!!」
痛さに悶絶に暴れ狂うウカム
俺はそれに必死に耐えながら今度は力いっぱい引き抜く
「アンギャアアアア!!」
最早可哀想と言うべきかお約束というべきか
ウカムは激痛に体を大きく揺らす
「やべっ!!」
体を揺らした衝撃で俺はウカムから振り落とされ頭から地面に落下する
地面に直撃する間際にルーが受け止めてくれた
「全く!!無茶をする!!」
「ごめん!!でも、あと一息だ!!」
「わかっている!!」
830: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/12(火) 22:59:14 ID:LSTUsvET3o
「はああああ!!」
双剣を構え鬼人化する
コウリュウノツガイの熱も加わり熱気が俺を包み込む
「はっ!!」
一息に飛び出し、ウカムの腹下に潜り込み一心不乱にきりつける
肉を裂き骨を削りそれらを焦がす
繰り返し行われる怒涛の攻めになす術もなくウカムは倒れ伏した
「はあっ!!」
ルーが矢が突き刺さっていた場所に槍を深々と突き刺し、ウカムの命を絶った
831: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/12(火) 23:04:54 ID:LSTUsvET3o
「やったの…ですか?」
ルークがムゥに肩を貸されながらヨタヨタと近寄ってくる
「なんとかな…それよりルーク。それ…」
「克服、か?」
「・・・わかりません」
ルークは神妙な顔つきで呟く
「今はムゥに肩を貸されても何も起きませんが…落ち着いたら拒否反応がでるやもしれません…申し訳ないですが…」
「いいよ。そんなの」
ムゥはルークに笑いかけながら
「たとえお兄ちゃんに手を貸せなくても、私が側にいて力になれるし…それでいいよ」
「・・・ありがとう」
「とにかく、ここにいては充分な手当ても出来ない。一旦ギルドに戻ろう」
ルーの提案で俺達はギルドに戻ることにした
本当に、手遅れになるまえでよかった
【激震!!崩竜 ウカムルバス】
fin
832: 名無しさん@読者の声:2013/2/13(水) 00:18:05 ID:QsZCryh2P.
ルーク、、、よかったよ〜(T∇T)
セネル君、やっぱデキル子だ!
つCCCCC
833: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 19:29:09 ID:UKHLqDlbGE
>>832
ありがとうございます
昨日はすみませんでした 駆け足で終わらせるにも程がありましたね…申し訳ないです
さて、次のお話ですが
結局タイトルが決まらなかったので、初期案でいかせていただきます
なんか、上手いタイトルは皆様でお考え下さい
では、参ります
834: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 19:36:43 ID:UKHLqDlbGE
【ルーVS貴族クリス】
僕チンの名前はヘリオネ・クリスティーヌ・プッチモーネ
長いから気軽にクリス様と呼んでもいいよ
さて、今僕チンはユクモ村にお忍びで来ている
なんで来てるかって?
屋敷の奴らがしつこ…もとい、爺やが外の世界を見てこいと言っていたからわざわざこんな辺境の村まで来たんだ。感謝して村人全員で土下座で迎えてもらいたいくらいだよ
とにかく、ユクモ村にやってきた僕チンだけど…やっぱり僕チンは生粋の貴族だね!!村人の視線を集めに集めまくってるよ!!
あ、なんか今目を逸らされた。きっと貴族と目を合わせてはいけないとわかっているんだな。庶民のくせにやるではないか。うんうん
835: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 19:42:48 ID:3inC/w3.6k
しかし…本当に辺鄙で退屈な村だ…僕チンを迎える宴くらいあってもいいのに…
あ、僕チンは今屋敷の奴らには秘密で来てるんだった。村人が騒いだら、僕チン目立つからバレちゃうな…
「ルー!!待ってくれよ!!」
僕チンの前を男が通りすぎる。全く無礼な!!僕チンを誰だと思ってるんだ!?
一言文句を言ってやろうと男の方に顔を向けると
き、き、き、キターーーー!!
遠目からわかる美貌
透き通るような白い肌
凛々しい風格
整った顔立ち!!
完、全に僕チンのどストライクの女性がいた
なんなんだあの女性は!? あんな美しい人が野放しでいいのか?僕チンの嫁にしなくては!!
しかし、先程の男がやたら馴れ馴れしく話しかけている
無礼な!!その女性は僕チンのお嫁さんなんだぞ!?
836: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/13(水) 19:47:11 ID:3inC/w3.6k
「・・・」
「どうした?セネル」
「いや…」
背中に伝わる嫌な視線に後ろを振り返った俺をルーが不思議そうに見る
振り向いてみたが特に誰もいない…よな?
「気のせいだよな…ごめん。ルー」
「全く。しっかりしてもらわなくては困るな」
「ごめんごめん」
「今日はカエデが薦めてくれた特別クエストだからな。気合いを入れていくぞ」
「渓流の長い1日だよな?どんな内容だろうな」
「何が現れても、私達に立ちはだかるなら切り捨てるだけだ」
「・・・男らしいな」
ルーと冗談を交わしながら俺達はギルドに入った
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