ユクモ村
自然溢れるこの村は周囲に緑が多い
俺の名前はセネル=ボルアス
一応この村のハンターだ…新米だけど
今俺はハンターの基礎を教わるべく訓練所に訪れている。もちろん村長からのいいつけもあるが、それ以前に両親との約束で、ハンターになるなら必ず訓練所にいけと言われていた
両親は二人ともハンターだった。ただ…この世にはもういない
ヤマツカミ討伐中に飛竜に襲われて死んだらしい
その場にいたハンターの証言と、遺品が送られてきたからまず間違いないだろう。ハンターは死と隣り合わせの職業だといつも父さんが言っていたし、覚悟はしていたつもりだった
それに悲しみに暮れるよりも、ハンターとなって父さんと母さんの意思を受け継ぐ事が、俺に出来る一番の弔いなんだと思っていた
862: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 19:14:11 ID:aMQyUdLMrI
「断る。と言ったらどうする?」
「ならば、力づくだ!!」
私の背後にいた兵士が根を振りかぶり私に殴りかかる
その根を掴み兵士を引き寄せ腹部を蹴り飛ばす
「ぐっ!!」
「でやあああ!!」
間髪いれずに斧を持った兵士が斧を降り下ろす
遅い。遅すぎる
奪った根で斧を弾きそのまま兵士を殴り付ける
兵士は大きくふっ飛び動かなくなった
「どうした!!親衛隊の力はこの程度か!!」
「くっ…この女…」
兵士達の目に殺気がこもる
そうこなくては、やりがいがないからな
「ふん!!」
私の腹部めがけ蹴りが飛んで来る
私はそれを肘で叩き落とし怯んだ隙に顔に掌打を放つ
「おい!!囲め!!」
一人の怒号で奥から続々と兵士達が出てくる
数は少なく見積もっても30はいた
「流石に…分が悪いか?」
863: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 19:20:20 ID:brIb.FAqgM
「うおおおおおお!!」
兵士が四方八方から襲いかかってくる
避けれないと判断した私は根で前方を凪ぎ払い後ろを突き左右に凪ぎ払いその場で回転する
面白いように根に当たり吹き飛んでいく兵士達
「なんだ、数だけか」
「言わせておけば!!」
逆上した一人が私に飛びかかるが
「ぐえっ!!」
顔面を根で突きその場に崩れ落ちる
「なにやってるんだよ!!早く捕まえなよ!!」
椅子に偉そうに座りながら兵士達を叱咤するモス
お前は黙っていろ
「来ないなら、こちらからいかせてもらう!!」
根を構え一人の兵士を突き飛ばす。振り向き背後の兵士を突こうとしたとき
「っ!?」
丈の長いドレスが足に絡み付き私をその場に倒れこんでしまった
864: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 19:24:52 ID:aMQyUdLMrI
「チャンス!!捕まえるチャンスだよ!!」
モスがはしゃいでピョンピョン跳び跳ねる
数人の兵士が私を取り囲んだ
「手間取らせやがって…」
「落とし前、つけてもらおうか」
「な、何してんだよ!?その人は僕の妻なん…」
兵士が剣を振りかざし私を切りつけた
しかし、切ったのは私ではなく私のドレス
「っ!!」
「へっへっへ、いい体してんじゃねーか…」
「や、止めろ!!近づくな!!」
布をかき集めて体を隠すが、男達には逆効果だったらしい
「何勝手に隠してやがんだ!!」
男の一人が剣を振り上げた瞬間
ズーーーン!!
865: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 19:31:17 ID:brIb.FAqgM
大地が揺れ体がぐらつく 音の方向に目を向けると、何かが壁に突撃をしているようだった
「ぜ、全員!!僕チンを守れよ!!」
モスの号令に兵士達がモスを守るように陣形を取る
ドガン!!
壁に大きな亀裂が走り今にも破られそうだ
食堂に緊張が走る…そして
ドガァァン!!
「ガアアアアアア!!」
「ヒイイイイイイ!!」
獣の方向に真っ先に悲鳴をあげたのはモスだった 土煙の中から姿を表したのはアオアシラ
だが、その大きさが桁外れに大きい
「うわああああ!!ア、アオ、アオ、アオ、アオアシラー!!」
モスはすっかり怯え机の中に潜る
先程ジンオウガやドボルベルクを余裕と言っていた者の行動にはとても見えない
866: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 19:35:26 ID:brIb.FAqgM
兵士達も顔を見合せ武器を構える
対人には慣れてるようだが、モンスター相手には奴らには荷が重いだろう
アオアシラなら根でも戦えるが…大きさ的にただのアオアシラではないことは明白
アオアシラの行動を注意しながら私は根を構える
「ガアアアアアア!!」
「ヒイイイイイイ!!」
両手をあげて威嚇をするアオアシラ…来るか?
「ちょ!!アシラ!!ストップ!!ストップ!!」
土煙の中から声が聞こえて人影が浮かび上がる
いや、それより今の声は…
「ルー!!」
「セネル!!」
土煙が晴れ、中から出てきたのはセネルだった
867: 名無しさん@読者の声:2013/2/15(金) 19:54:09 ID:k81ksGofh2
アシラたんお友達か!
っCCCCC
868: 名無しさん@読者の声:2013/2/15(金) 20:05:12 ID:ifyv3wwCGQ
アシラたんキター(°∀°)ー
支援+ハチミツ
869: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:10:37 ID:zZ0LLNhnzs
「ん…んん…」
頭を押さえながら立ち上がる。まだズキズキと痛むのは先程の煙のせいだろうか?
「そうだ…ルー…」
俺は辺りを見回したがルーはどこにもいなかった
恐らく、先程クリスと名乗ったあの男に連れ去られたのだろう
「すぐそばにいたのに…くそ!!」
俺はすぐさま装備を整え家を飛び出した
870: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:15:39 ID:zZ0LLNhnzs
「セネル様?」
駆け出した俺を村長さんが不安そうな声で引き留める
「村長さん。悪いんだけど今急いで…」
「ルー様の事ですか?」
村長さんは表情を曇らせながら
「先程、プッチモーネ一族と名乗る一団が現れて、眠ってるルー様を連れていったのを加工屋が見たと言っていましたので…」
プッチモーネ。確かクリスがそう名乗っていた
「何かあったのですか?」
「わからないんです。突然クリスって奴が家に入ってきて、ルーを嫁にするとかなんとか言って…催眠ガスを…」
「・・・」
「ごめんなさい。村長さん。話は後で」
俺はまた走り出そうとしたが
「お待ちください。セネル様」
村長さんに呼び止められ振り返る。今はこんな事をしてる場合じゃないのに
871: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:21:02 ID:0fd8NEJ9sQ
「依頼を受けていただきませんか?」
ニッコリと笑いながら村長さんが提案する
「村長さん。こんなときにクエストだなんて…」
「契約金は0Z、報酬金は1000Z。場所は渓流、制限時間は無し。受注条件はハチミツ10個の所持。達成条件は…ルー様と共にユクモ村に帰ってくること」
「・・・」
「受けて、くださいますか?」
村長さんは微笑みながら作りたての依頼書を渡してくる
「ありがとうございます。村長さん」
俺は依頼書を受け取り名前を書いて渡す
「この依頼。セネル=ボルアスが受けます」
「無事に帰ってきて下さる事を願っています」
村長さんに見送られながら俺はユクモ村を出発した
872: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:28:17 ID:zZ0LLNhnzs
「さて…渓流に来たはいいんだけど…」
渓流に着いた俺は早速途方にくれていた
村長さんが言うから何かあることは間違いないのだが…
「こんなこと…本当に意味あるのか?」
俺はポツンと一人ハチミツを掲げながら待っていた
何かはわからない
「こんなことしてる暇ないのに…ん?」
不意に聞こえた地響きに耳を済ませる
「向こうの方か?」
俺が音のする方向に視線を向けると
「ガアッ!!」
林から勢いよくアオアシラが飛び出してきた
「な!?で、でかい!!」
いきなりアオアシラが出てきたのに驚いたが、更に驚いたのはアオアシラの大きさである。今までに見たことのないような大きさで真っ直ぐ俺に向かって走ってくる
「くそ!!どうする!?」
武器を取り出して迎撃しようにも、ハチミツを掲げていては武器を取り出せない。かといってハチミツを仕舞って武器を取り出すには時間がない
873: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:32:14 ID:0fd8NEJ9sQ
そうこうしてる間にアシラは俺を掴んで抱き上げた
「わわっ!!」
ハチミツを持った状態だったので、アシラには掴みやすい格好だっただろう
「・・・ん?」
しかし、いつまで経ってもアシラは俺を揺さぶろうとせずにじっと俺を見ている
「ガウ」
なにかを納得したのか俺を降ろして自分も四本足で立つ
アシラの視線は俺の持ってるハチミツに釘付けだった
「これが…欲しいのか?」
「ガウ!!」
俺の言葉にブンブンと頷くアシラ
人間の言葉がわかるモンスターなんて初めて見た
874: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:36:42 ID:0fd8NEJ9sQ
俺はアシラにハチミツを渡すと、アシラは器用に両手で受け取りハチミツを舐め始めた
「珍しいな…」
しばらくアシラがハチミツを舐めているのを見ていたが、当初の目的を思い出す
「って、ルーを助けにいかないと!!」
「ガウ?」
アシラが首を傾げて俺を見る
多分村長さんはこのアシラに会わせたかったんだろうが…
「アシラ…聞いてくれ」
俺が真剣な表情で切り出すと、アシラは俺の前でペタンと座り込んだ
「俺の大事な人が拐われたんだ。助けるのを手伝ってくれないか?」
「グルルル」
アシラはこれまた器用に腕組みをして考えるような仕草をする。そしてややあって
「ガウ!!」
アシラは俺を掴み、背中に乗っけると勢いよく駆け出した
875: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:42:44 ID:0fd8NEJ9sQ
アシラに乗りしばらくすると、山に囲まれた屋敷が見えてきた
「ガウ」
アシラが降りやすいように体勢を低くする
「ここに…いるのか?」
「ガウ」
アシラは目を閉じて頷く 確かに、表札にはプッチモーネと書かれていた
「よし…待ってろよ。ルー」
俺は入り口に向かって歩き出すと
「待て、そこの者」
門番が武器を構えながら
「この屋敷はヘリオネ・クリスティーヌ・プッチモーネ様のお屋敷である。用のある者以外は早々に…」
そこまで言ったとき、門番は顔を青ざめ
「モ、モンスター!?」
「ガウ!!」
いつの間に来ていたのか俺の後ろに立っていたアシラが元気に返事する
「ま、まずい!!仲間に知らせないと!!」
門番が屋敷に入ろうとする
「まずい!!」
あのまま逃がしたら仲間を呼ばれて厄介な事になってしまう
876: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 21:47:35 ID:0fd8NEJ9sQ
しかし、俺が反応するより早くアシラは門番に向かって走り出し、門番を押し潰した
「ぐえっ!!」
門番が明らかにヤバい声と、プチっという音と共に潰される
慌てて駆け寄ったが、どうやら生きているらしく、気絶しているらしい
「この巨体でこのスピード…このアシラ、なんなんだ?」
俺がじっとアシラを見つめると、恥ずかしいのか前足で顔を隠してしまった
「なんにせよ…これで入れるな…行こう、アシラ」
「ガウ」
俺は屋敷の扉を開き、アシラと共に中に入った
877: 名無しさん@読者の声:2013/2/15(金) 22:10:35 ID:CT7VV0836g
アシラたんかわゆす////プチッ
つロイヤルハニー
878: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 23:08:57 ID:qf2Xyjydl2
「な!?お前、どこから入っ…うわあああ!!」
「曲者!!これ以上の狼藉は…ぐわあああ!!」
「待たれぃ!!クリスティーヌ様には指一本…爪は無理!!ぐはああ!!」
「もう帰りてぇよぉぉ!!」
アシラと共に侵入したはいいが、ただでさえ目立つのに、大きさのせいもあってか、ほぼ全ての見回りに見つかり、素早くアシラが気絶させていった
お陰で楽に進めるのだが…いいのだろうか
「ガウ」
「なんか…楽しそうだな」
ご満悦な表情のアシラにハチミツをあげる
その場に座り込んでハチミツをペロペロと舐め始めた
「む。何者!?」
「はっ!!」
「ぐおっ!!」
あやうく見つかりそうになるのをなんとか気絶させる
アシラはまだハチミツを舐め続けていた
「早く…ルーを見つけないと…ん?」
879: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 23:13:36 ID:MD.Og/oBiw
奥から話し声が聞こえてきたので耳を澄ませる
どうやら見張りの会話らしい
「聞いたか?あの噂」
「ああ、クリスティーヌ様が新しい妻をみつけたんだろ?」
「なんでも、今回は人妻らしいぜ」
「マジかよ。懲りないね…」
「しょうがねぇよ。見合いを含め30連敗してんだ」
「まあ、その人妻とやらは今は食堂で必死に口説かれてんだな…可哀想に」
「俺達はこうして食堂の見張り…普通わかんねーよな。俺達が立ってる後ろの壁の向こう側が食堂だなんて」
「そ、俺達はただ壁の見張りをしてりゃいいんだよ」
880: さぎし ◆CmqzxPj4w6:2013/2/15(金) 23:15:31 ID:MD.Og/oBiw
皆様こんばんは
さぎしです
今日はわかる人には分かるキャラを出して見ましたが…思ったより分かった方が多くて嬉しい反面少々複雑な気分です
もらったハチミツはアシラにあげときますのでご安心を
本日の投下を終了いたします
見てくださった方々ありがとうございました
ここまでのご回覧
乙狩れ様でした♪
881: 名無しさん@読者の声:2013/2/15(金) 23:48:38 ID:d8KO31Zzzg
俺のアイテムボックスにあるハチミツやるよ
つハチミツ×2657
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